特許第6437293号(P6437293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437293
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】メタルベース基板
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/088 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
   B32B15/088
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-249990(P2014-249990)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-107593(P2016-107593A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】繁田 朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 猛
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐己
(72)【発明者】
【氏名】森北 達弥
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗紀
(72)【発明者】
【氏名】細田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】越後 良彰
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−116531(JP,A)
【文献】 特開2007−001174(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118352(WO,A1)
【文献】 特公昭54−036300(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱板の片面または両面に、ポリアミック酸を熱硬化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルム、銅箔がこの順に積層一体化された積層体からなり、非熱可塑性ポリイミドフィルムが放熱板および銅箔表面に接しており、各積層界面における接着強度が1N/cm以上であることを特徴とするメタルベース基板。
【請求項2】
非熱可塑性ポリイミドは、末端基がアルコシキシラン変性されたポリアミック酸を熱硬化したポリイミドであることを特徴とする請求項1記載のメタルベース基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁層としてポリイミドフィルムを用いたメタルベース基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁層としてポリイミドフィルムを用い、回路層として銅箔を用いた配線基板は、ポリイミドフィルムが、高い耐熱性と良好な機械的特性有するので、フレキシブル配線基板として広く用いられている。 これらの中で、放熱特性の良好な配線基板が、LED(発光ダイオード)等を実装する基板として、液晶ディスプレイのバックライトやLED電球等に用いられている。 これらの基板は、LEDの発する熱を効率的に外部に逃がすことが求められるので、回路層とは反対側の絶縁層表面にアルミ板等からなる放熱層を積層した構造となっており、メタルベース基板と呼ばれる。これらのメタルベース基板は、放熱層の片面に絶縁層および回路層が積層された片面板や放熱板の両面に絶縁層および回路層が積層された両面板が用いられている。
【0003】
絶縁層にポリイミドフィルムを用いたメタルベース基板については、例えば、特許文献1には、絶縁層として、非熱可塑性フィルムの両面に特定の化学構造を有する熱可塑性ポリイミドフィルムからなる接着層を積層し、この接着層を利用して、絶縁層と、放熱層や回路層とを積層一体化したメタルベース基板が開示されている。 また特許文献2には絶縁層として、非熱可塑性のポリイミド層と、熱流動性を有するシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂等とからなる接着層とを積層したフィルムを絶縁層として用いたメタルベース基板が開示されている。 これらは何れも絶縁層の一部を構成する接着層の熱流動性を利用して、絶縁層と、放熱層や回路層とを接着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2011/129232号
【特許文献2】特開2013−145790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した絶縁層としてポリイミドフィルム用いたメタルベース基板は、熱流動性を有する接着層が、直接、放熱層や回路層に接しているために、これに起因して、メタルベース基板としての耐熱性や寸法安定性が損なわれるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は前記課題を解決するものであって、前記したような接着層を用いることなく、非熱可塑性ポリイミド(以下「PI」と略記することがある)のフィルムが回路層や放熱層と直接接着しており、かつその密着性が良好であるメタルベース基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、接着層としてPIフィルムを用いたメタルベース基板において、その構造を特定のものとし、かつ各積層界面における接着強度を特定することにより前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、放熱板の片面または両面に、PIフィルム、銅箔がこの順に積層一体化された積層体からなり、PIフィルムが放熱板および銅箔表面に接しており、各積層界面における接着強度が1N/cm以上であることを特徴とするメタルベース基板を趣旨とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のメタルベース基板は、絶縁層として、耐熱性、寸法安定性が良好なPIフィルムを用い、かつ放熱板および銅箔表面に強固に接着しているので、LED(発光ダイオード)等を実装する基板として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメタルベース基板は、放熱板の片面または両面に、PIフィルム、銅箔がこの順に積層一体化された積層体からなるものである。
【0010】
ここで、放熱板としては、銅、アルミニウム等の金属板を用いることができ、軽量かつ熱伝導性が良好なアルミニウム板が好ましい。厚みに制限はないが、50〜2000μmとすることが好ましい。このようにすることにより良好な放熱性を確保することができる。 これらの放熱板は、研磨処理、サンドブラスト処理、プラズマ処理、レーザ処理、化学的エッチング処理等でその表面が粗面化処理されていてもよい。 これらの放熱板は市販品を利用することができる。 ここで、これらの放熱板はシランカップリング処理して用いることが好ましい。 シランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミン系、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物系のシランカップリング剤を用いることができる。 これらのシランカップリング剤は市販品を用いることができる。 シランカップリング剤による処理は、イソプロピルアルコール(IPA)等の溶媒で0.05〜1質量%程度の濃度としたシランカップリング剤溶液を、スピンコート法、スプレーコート法等公知の方法で、放熱板表面に塗布、乾燥することにより行うことができる。ここで、シランカップリング層の厚みとしては、10〜100nm程度とすることが好ましい。
【0011】
また、銅箔としては、通常のフレキシブル基板に用いられる電解銅箔や圧延銅箔を用いることができる。厚みとしては、3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。 これらの放熱板は、研磨処理、サンドブラスト処理、プラズマ処理、レーザ処理、化学的エッチング処理等でその表面が粗面化処理されていてもよい。 これらの放熱板は市販品を利用することができる。 ここで、これらの放熱板はシランカップリング処理して用いることが好ましい。 シランカップリング剤としては、例えば、アミン系、エポキシ系、酸無水物系のシランカップリング剤を用いることができ、その処理は前記した方法と同様に行うことができる。
【0012】
本発明の絶縁層に用いられるPIとは、300℃以下では溶融による熱流動性を示さないポリイミドを言う。PIは、通常、DSC(示差熱分析)で測定したガラス転移温度(Tg)が270℃以上であり、280℃以上であることが好ましい。 PIは、その前駆体であるポリアミック酸を熱硬化して得ることができる。
【0013】
本発明の積層体において、PIフィルムと放熱板、またはPIフィルムと銅箔の界面の接着強度は、1N/cm以上であり、2N/cm以上であることが好ましい。このようにすることにより、この積層体をメタルベース基板として好適に用いることができる。ここで言う接着強度とは、層間の接着強度をJIS K6854−2に基づいて180°剥離試験を行うことにより測定された値を言う。
【0014】
前記ポリアミック酸は、原料となるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの略等モルを、溶媒中で反応させて得ることができ、このポリアミック酸溶液を乾燥、熱硬化(イミド化)してPIフィルムとすることができる。
【0015】
本発明のPIにおいては、末端基がアルコシキシラン変性されたポリアミック酸(以下「シラン変性PAA」と略記することがある)を用いることが好ましい。末端基がアルコシキシラン変性されたポリアミック酸は、ポリアミック酸溶液製造の際に、前記テトラカルボン酸二無水物またはジアミンの一部を、酸無水物系またはアミン系シランカップリング剤で置換して重合反応させることにより得ることができる。ここで、酸無水物系シランカップリング剤を用いる場合は、テトラカルボン酸二無水物の一部を、これらシランカップリング剤と置換(「シロキサン置換」と略記することがある)して重合反応させる。 また、アミン系シランカップリング剤を用いる場合は、ジアミンの一部を、これらシランカップリング剤と置換して重合反応させる。 ここで、シロキサン置換量としては、テトラカルボン酸二無水物またはジアミンのモル量に対し、0.01〜20モル%とすることが好ましく、0.05〜10モル%がより好ましく、0.1〜2モル%とすることがさらに好ましい。 酸無水物系シランカップリング剤で、テトラカルボン酸二無水物の一部を置換して重合反応する際のテトラカルボン酸二無水物の使用量は、ジアミンのモル量に対し、(100−0.5*シロキサン置換量)モル%とすることが好ましい。 また、アミン系シランカップリング剤で、テトラカルボン酸二無水物の一部を置換して重合反応する際のジアミン使用量は、テトラカルボン酸二無水物のモル量に対し、(100−0.5*シロキサン置換量)モル%とすることが好ましい。ここで、アミン系シランカップリング剤や酸無水物系シランカップリング剤は、前記したものと同様のものを用いることができる。
【0016】
ポリアミック酸溶液を製造する際の反応温度としては、−30〜70℃が好ましく、−15〜60℃がより好ましい。またこの反応において、モノマー及び溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。 また、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を重合反応させてポリアミック酸溶液とした後、これに前記シランカップリング剤を添加、反応させても、シラン変性PAA溶液を得ることができるが、重合時に添加して反応させることが好ましい。
【0017】
前記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸(PMDA)、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸(BPDA)、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン、酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等の二無水物を単体もしくは混合物として使用することができるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
ここで、BPDA、PMDAが好ましく用いられる。
【0019】
前記ジアミンとしては、例えば、4、4’−オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(PDA)、2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、m−フェニレンジアミン、3,4′−オキシジアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン等を単体もしくは混合物として使用することができるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
ここで、ODA、PDA、BAPPが好ましく用いられる。
【0021】
ポリアミック酸の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていてもよい。
【0022】
ポリアミック酸溶液に用いられる溶媒としては、ポリアミック酸を溶解する溶媒であれば制限はないが、例えば、アミド系溶媒、尿素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒等を挙げることができる。
【0023】
アミド系溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。また、尿素系溶媒の具体例としては、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、ジメチルエチレン尿素(DMEU)、ジメチルプロピレン尿素等を挙げられる。これらの溶媒は単体もしくは2種以上を混合して用いることができる。これらの溶媒のうち、好ましい例としては、溶媒単体としてはNMP、DMAcが挙げられ、混合溶媒としては、DMAcとNMP、NMPとDMEU、DMAcとDMEUの組み合わせが挙げられる。
【0024】
ポリアミック酸溶液には、酸化アルミ、窒化ホウ素等公知の熱伝導性フィラーを配合することができる。配合量に制限はないが、ポリアミック酸質量に対し、10〜70質量%程度とすることが好ましい。
【0025】
本発明のメタルベース基板は、例えば以下のようなプロセスA〜Cから選ばれる何れかのプロセスにより、容易に得ることができる。
<プロセスA>
・ 銅箔表面上にポリアミック酸溶液を塗布、乾燥、熱硬化(イミド化)することにより、銅箔表面上にPIフィルムが形成された積層体を得る。
・ PIフィルムと放熱板を接合する。
<プロセスB>
・ 放熱板表面上にポリアミック酸溶液を塗布、乾燥、熱硬化(イミド化)することにより、放熱板表面上にPIフィルムが形成された積層体を得る。
・ PIフィルムと銅箔を接合する。
<プロセスC>
・ 銅箔表面上にポリアミック酸溶液を塗布、乾燥、熱硬化(イミド化)することにより、銅箔表面上にPIフィルムが形成された積層体を得る。
・ 放熱板表面上にポリアミック酸溶液を塗布、乾燥、熱硬化(イミド化)することにより、放熱板表面上にPIフィルムが形成された積層体を得る。
・ PIフィルムどうしを接合する。
以下は、プロセスAに従った方法について説明するが、プロセスBやCについても同様に行うことができる。なお、プロセスCにおいては、PIフィルムどうしを接合する際、PIフィルムの表面に例えば熱可塑性ポリイミド等からなる接着層を設けておいてもよい。
【0026】
プロセスAにおいては、まず銅箔上にポリアミック酸溶液を塗布する。ポリアミック酸溶液の塗布は、連続もしくは枚葉で行うことができる。 連続塗布は、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター等の塗工機を用いておこなうことができる。枚葉塗布は、バーコータ、ドクターブレードコーター、スピンコーター等の塗工機を用いて行うことができる。
【0027】
次に、形成された塗膜の乾燥後、熱硬化してイミド化を行い、銅箔上にPI被膜を形成させる。ここでいう乾燥とは、加熱等の手段によりポリアミック酸塗膜における溶媒量を減少させることをいう。この際、塗膜中の固形分濃度が50質量%以上、90質量%以下となるまで溶媒の除去を行うことが好ましい。乾燥には任意の装置を用いることができ、熱風乾燥機が好ましいが、赤外線加熱、電磁誘導加熱等を使用してもよい。乾燥のためには50〜200℃の温度範囲が適当である。また、ここでいう熱硬化とは、ポリアミック酸をポリイミドに変換する工程をいう。熱硬化のためには300〜450℃の温度範囲が適当である。
【0028】
前記PI被膜は、その表面をプラズマ処理によるドライエッチング処理することができる。 プラズマ処理の具体例としては、高周波プラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理等が挙げられる。
【0029】
次に、放熱板とPI被膜を接合する。 接合の方法としては、真空下で加圧加熱して接合する真空プレス法が好ましい。加熱温度は、250〜450℃程度であり、350〜400℃とすることが好ましい。真空度は5Torr以下とするこが好ましく、3Torr以下とすることがより好ましい。 圧力は、3〜50MPaとすることが好ましく、5〜40MPaとすることがより好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
<実施例1>
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、ODA(0.998モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(0.004モル)、NMPを投入して攪拌し、ジアミン成分を溶解した。この溶液をジャケットで30℃以下に冷却しながら、BPDA(1モル)を徐々に加えた後、50℃で1時間重合反応させ、シラン変性PAA溶液を得た。この溶液の固形分濃度は20質量%であった。 前記ポリイミド前駆体溶液を、厚みが18μmの市販電解銅箔(古河電工社製F2−WS)の粗化面上に、ドクターブレードを用いて塗布し、70℃で10分、130℃で10分乾燥しポリイミド前駆体の塗膜を得た。 続いて、熱硬化炉で、窒素気流中、200℃1時間、350℃で1時間処理してポリイミド前駆体をイミド化し、銅箔上に積層された厚み20μmのPIフィルム(P−1)を得た。 このPIフィルムのDSCに基づくTgは286℃であった。
一方、サンドブラスト法で粗面化された厚み1mmのアルミ板(表面粗度はRaで1.2μm)に、濃度が0.2質量%の3−アミノプロピルトリメトキシシランのIPA溶液をスプレーで塗布、乾燥することにより、シランカップリング処理したアルミニウム板(A−1)を得た。ここで、シランカップリング層の厚みは約30nmであった。
次に、P−1のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを、15分間真空プレスして接合することにより、メタルベース基板(M−1)を得た。 真空プレスの条件は、真空度3Torr、温度380℃、圧力30MPaとした。
メタルベース基板M−1の銅箔とPIフィルム層間およびアルミ板とPIフィルム層間の接着強度を、JIS K6854−2に基づいて、180°剥離により測定した。 接着性の評価としては、接着強度が2N/cm以上である場合を○、2N/cm未満、1N/cm以上である場合を△、1N/cm未満である場合を×と判定した。 M−1の接着性評価結果を表1に示す。
【0032】
<実施例2>
「BPDA(1モル)」を「BPDA(0.7モル)とPMDA(0.3モル)の混合物」としたこと以外は、実施例1と同様にして、銅箔上に積層された厚み20μmのPIフィルム(P−2)を得た後、実施例1と同様にして、P−2のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−2)を得た。 M−2の接着性評価結果を表1に示す。
【0033】
<実施例3>
「ODA(0.998モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(0.004モル)」を「ODA(1モル)」とし、「BPDA(1モル)」を「BPDA(0.998モル)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(0.004モル)」としたこと以外は、実施例1と同様にして、銅箔上に積層された厚み20μmのPIフィルム(P−3)を得た後、実施例1と同様にして、P−3のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−3)を得た。 M−3の接着性評価結果を表1に示す。
【0034】
<実施例4>
「ODA(0.998モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(0.004モル)」を「ODA(0.7モル)、BAPP(0.3モル)」とし、「BPDA(1モル)」を「PMDA(0.998モル)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(0.004モル)」としたこと以外は、実施例1と同様にして、銅箔上に積層された厚み20μmのPIフィルム(P−4)を得た後、実施例1と同様にして、P−4のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−4)を得た。 M−4の接着性評価結果を表1に示す。
【0035】
<実施例5>
粗面化処理しない表面の平滑なアルミニウム板(A−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、P−1のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−5)を得た。 M−5の接着性評価結果を表1に示す。
【0036】
<比較例1>
真空プレスの際の温度を300℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、P−1のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−6)を得た。 M−6の接着性評価結果を表1に示す。
【0037】
<比較例2>
「BPDA(1モル)」を「BPDA(0.7モル)とPMDA(0.3モル)の混合物」としたPIフィルム(P−5)を用い、真空プレスの際の温度を300℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、P−5のPI面とA−1のシランカップリング処理面とを接合することにより、メタルベース基板(M−7)を得た。 M−7の接着性評価結果を表1に示す。
【0038】
<比較例3>
粗面化処理とシランカップリング処理をしてないアルミニウム板(A−3)を用い、「ODA(0.998モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(0.004モル)」を「ODA(1モル)」としたPIフィルム(P−5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、P−1のPI面とA−3の平滑面とを接合することにより、メタルベース基板(M−8)を得た。 M−8の接着性評価結果を表1に示す。
【0039】
<比較例4>
粗面化処理とシランカップリング処理をしてないアルミニウム板(A−3)を用い、「ODA(0.998モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(0.004モル)」を「ODA(1モル)」とし、かつ、「BPDA(1モル)」を「BPDA(0.7モル)とPMDA(0.3モル)の混合物」としたPIフィルム(P−6)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、P−1のPI面とA−3の平滑面とを接合することにより、メタルベース基板(M−9)を得た。 M−9の接着性評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から明らかなように、実施例で得られた本発明のメタルベース基板M−1〜M−5は、絶縁層であるPIフィルムと回路層である銅箔との接着強度が1N/cm以上であり、かつPIフィルムと放熱層であるアルミ板との接着強度も1N/cm以上であり、一体化された積層体は各界面で強固に接着しており、メタルベース基板として好適であることが判る。これに対し、比較例で得られたメタルベース基板M−6〜M−9は、PIフィルムと放熱層であるアルミ板との接着強度が、1N/cm未満と劣っており、メタルベース基板としての使用は難しいことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のメタルベース基板は、絶縁層として、耐熱性、寸法安定性が良好なPIフィルムを用い、かつ放熱板および銅箔表面に強固に接着している。 従い、LED(発光ダイオード)等を実装するメタルベース基板として好適に用いることができる。