(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が70質量%以上であり、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合が0〜10.0質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、
温度35℃および相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを特徴とするウレタン樹脂塗料組成物。
前記ポリオールおよび前記ポリイソシアネートが、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体であることを特徴とする請求項1に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
前記体質顔料が炭酸カルシウム、シリカ、および硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物。
コンクリート基材上に、塗膜を形成するコンクリート基材の保護方法であって、塗膜を形成する塗料が、請求項1〜7のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物であることを特徴とするコンクリート基材の保護方法。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを保護するために、表面に塗膜を形成し環境因子(例えば水、酸素等)を遮断する方法が用いられる。以下に一例として4つの塗装工程からなるコンクリート保護工法を示す。
(1)下塗り塗装:コンクリート基材にエポキシ樹脂塗料を塗装し、下塗り塗膜を形成しコンクリート基材の空隙を埋める工程。
(2)パテ塗装:下塗り塗膜に顔料を多く含むエポキシ樹脂塗料を塗装し、パテ層を形成し、表面を平滑にする工程。
(3)中塗り塗装:パテ層に中塗り塗料を塗装し、防食性が付与できる連続層として中塗り塗膜を形成する工程。ここで、中塗り塗料としては、エポキシ樹脂塗料を使用する場合が多い。
(4)上塗り塗装:中塗り塗膜に上塗り塗料を塗装する工程。
【0003】
エポキシ樹脂は、通常、基材に対する付着性が良好であり、下塗り塗装、パテ塗装及び中塗り塗装に用いられる塗料の樹脂材料として好適に採用される。しかしながら、エポキシ樹脂は、耐候性が悪いといった欠点を有するため、上塗り塗料を塗装することによって紫外線による劣化を防ぐことが行われている。上塗り塗料には、ウレタン樹脂塗料やふっ素樹脂塗料等の耐候性に優れる合成樹脂を用い、塗膜に色を付与し美観を向上させ、さらに紫外線透過を防ぎ下塗り塗膜のエポキシ樹脂を保護する目的で着色顔料を配合した塗料が好適に採用されている(例えば、一般社団法人日本建築学会、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS18 塗装工事」、第8版、丸善出版株式会社、2013年3月5日、p.235−239(非特許文献1)参照)。また、これら塗料には揮発性有機化合物の一種である有機溶剤が含まれており、環境負荷が大きいことが問題となっている。
【0004】
ところで、コンクリートは、塩害や中性化、又は物理的な曲げ応力等によりひび割れが生じ易く、一旦ひび割れが発生すると、そこから水や腐食性イオン物質等が浸入し、コンクリートの劣化が促進され、時には、それが崩壊につながることがある。
【0005】
これに関して、様々なコンクリートの検査方法が提案されているが(例えば、特開2005−35827号公報(特許文献1)参照)、コンクリート構造物の維持管理コストの低減を目的として、コンクリートの劣化状態を目視により判定できる方法が依然として要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先に述べた下塗り、パテ層、中塗り、上塗りの4工程からなるコンクリート保護工法では、少なくとも上塗り塗膜が着色されており、コンクリート基材にひび割れが生じても確認することが困難である。また、コンクリート基材の可視性を高めるため、各工程で用いる塗料に着色顔料を配合しないで塗膜を形成した場合、下塗り、パテ層、あるいは中塗りに用いられているエポキシ樹脂に紫外線が到達し、早期に劣化が起こるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、長期にわたり基材の可視性が高く、耐久性に優れる、すなわち、長期にわたりコンクリートを保護するとともに、コンクリートのひび割れに対する追従性を有する塗膜を形成することが可能で、さらに含有する揮発性有機化合物の量が少なく、環境負荷が小さいウレタン樹脂塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるウレタン樹脂塗料組成物を用いたコンクリート基材の保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、まず、コンクリートの保護の目的から使用されていたエポキシ樹脂塗料組成物をウレタン樹脂塗料組成物に置き換えることについて検討した。なぜなら、ウレタン樹脂は、エポキシ樹脂に比べて耐候性に優れるという特徴を有するため、上塗り塗料に着色塗料を用いる必要がなくなると考えたためである。
【0011】
次に、ウレタン樹脂塗料組成物によって得られる膜厚を厚くすることについて検討した。なぜなら、膜厚を厚くすることによって耐久性に優れる、すなわち、長期にわたりコンクリートを保護することが可能となるとともに、コンクリートのひび割れに対する追従性も向上すると考えたからである。ところでウレタン樹脂は、例えばポリイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基との反応によってウレタン結合が形成されることで合成されるが、イソシアネート基は例えば空気中に存在する水とも反応し、生じるカルバミン酸から二酸化炭素が発生し、最終的に尿素結合が形成される。このため、膜厚を厚くすればする程、塗膜中に二酸化炭素を由来とする気泡が残存することになり、塗膜の耐久性が低下するといった問題や、塗膜が濁り基材の可視性を確保できないといった問題があった。
【0012】
このような状況下、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを用い、さらに水酸基に対するイソシアネート基の量を適正な範囲内とすることにより、膜厚を厚く塗装しても水とイソシアネート基の反応による二酸化炭素の発生が抑えられ、また、塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合を適正な範囲内とすることにより、長期間にわたり基材の可視性が高く、高い耐久性を有する塗膜を形成することが可能なウレタン樹脂塗料組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明のウレタン樹脂塗料組成物は、塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が70質量%以上であり、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合が0〜10.0質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、
温度35℃及び相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の好適例においては、前記ポリオールおよび前記ポリイソシアネートが、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体である。
【0015】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の他の好適例においては、前記塗料組成物の、せん断速度0.1s
−1の粘度が0.1〜10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s
−1の粘度が0.05〜10Pa・sである。
【0016】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の他の好適例においては、前記塗膜の可視光透過率が60%以上である。
【0017】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の他の好適例においては、前記体質顔料の平均粒子径が1μm以下である体質顔料を含む。
【0018】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の他の好適例においては、前記体質顔料が炭酸カルシウム、シリカ、および硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0019】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物の他の好適例においては、2液硬化形塗料組成物である。
【0020】
また、本発明のコンクリート基材の保護方法は、コンクリート基材上に、塗膜を形成するコンクリート基材の保護方法であって、塗膜を形成する塗料が、上記のウレタン樹脂塗料組成物であることを特徴とする。
【0021】
本発明のコンクリート基材の保護方法の好適例においては、1回の塗装で100μm以上の膜厚で塗膜を形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のウレタン樹脂塗料組成物によれば、長期にわたり基材の可視性が高く、耐久性に優れる、すなわち、長期にわたりコンクリートを保護するとともに、コンクリートのひび割れに対する追従性を有する塗膜を形成することが可能で、さらに含有する揮発性有機化合物の量が少なく、環境負荷が小さいウレタン樹脂塗料組成物を提供することができる。
【0023】
本発明のコンクリート基材の保護方法によれば、長期にわたり基材の可視性が高く、耐久性に優れる、すなわち、長期にわたりコンクリートを保護するとともに、コンクリートのひび割れに対する追従性を有する塗膜によるコンクリート基材の保護方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明のウレタン樹脂塗料組成物(以下、単に本発明の塗料組成物とも称する)を詳細に説明する。本発明のウレタン樹脂塗料組成物は、塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が70質量%以上であり、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合が0〜10.0質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、温度35℃及び相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを特徴とする。ここで、膜厚とは硬化乾燥後の塗膜の厚みを指す。
【0025】
なお、本発明においては、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂を合成し、塗膜が形成されるため、本発明の塗料組成物をウレタン樹脂塗料組成物と称している。
【0026】
本発明の塗料組成物は、環境負荷が小さいウレタン樹脂塗料組成物を提供するため、塗膜形成成分の割合が70質量%以上であることを要し、80〜100質量%であることが好ましい。塗膜形成成分の割合が70質量%以上であれば、環境負荷が小さいだけでなく、乾燥時に揮発性有機化合物の蒸発に伴う塗膜の収縮が少ないため、厚膜塗装性に優れるという効果も得られる。なお、本発明において、塗膜形成成分とは、塗膜を形成するための塗料組成物中に含まれる成分を意味し、ポリオールやポリイソシアネートの他、必要に応じて配合される体質顔料等が挙げられる。また、本発明においては、塗料組成物を130℃で30分間乾燥させた際に残存する成分を塗膜形成成分として取り扱う。塗料組成物に占める塗膜形成成分の割合(R)(質量%)は、以下の式により求められる。
R=(塗膜形成成分の質量)×100/(塗料組成物の質量)
【0027】
本発明の塗料組成物は、温度35℃及び相対湿度90%の雰囲気下で該塗料組成物から膜厚が300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを要し、60%以上であることが好ましい。塗膜の可視光透過率が30%以上であれば、基材の可視性に優れており、基材の劣化状態を目視により判定することができ、特に塗膜の可視光透過率が60%以上であれば容易に判定ができる。
【0028】
本発明において、塗膜の可視光透過率は、可視領域(360nm〜750nm)における全光線透過率を意味する。本発明のウレタン樹脂塗料組成物をポリプロピレン板に刷毛で膜厚300μmとなるように塗布し、温度35℃相対湿度90%の環境下で168時間乾燥させた塗膜を剥離後、その剥離した塗膜の全光線透過率をJIS K 7375に基づき測定することで求められる。
【0029】
また、可視光透過率を測定するための塗膜は、温度、湿度及び塗膜の厚みが上記特定した値である限り、常法に従って形成できる。例えば、塗料の塗布方法は、公知の塗布方法が利用でき、例えば、ハケ塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が挙げられる。塗装回数は1回に限定されず、複数回塗装することで膜厚300μmの塗膜を作製することもできる。
【0030】
可視光透過率を測定する際の膜厚は、本発明のウレタン樹脂塗料組成物の用途を考慮して300μmに設定されている。本発明のウレタン樹脂塗料組成物は、基材の可視性が高いため、本発明のウレタン樹脂塗料組成物のみをコンクリート基材に塗装することで、コンクリート基材の劣化状態を目視により長期間容易に判定できる保護方法を提供することができるが、耐久性を確保する観点から、膜厚が100〜300μmの塗膜を形成することを想定している。このため、可視光透過率を測定する際の膜厚を300μmに設定した。
【0031】
また、可視光透過率を測定する塗膜を作成する際の温度及び相対湿度は、それぞれが35℃及び90%に設定されている。この条件は、常温乾燥型塗料の塗装に適する条件(気温10〜30℃、相対湿度80%以下 『一般社団法人日本建築学会、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS18 塗装工事」、第8版、丸善出版株式会社、2013年3月5日、p151〜153』参照)に比べて、高温高湿度である。
高温高湿度になるに従い、イソシアネート基と空気中に存在する水の反応によって二酸化炭素が発生しやすく、可視光透過性が低くなる傾向がある。そのため、温度35℃及び相対湿度90%の条件で透明性のある塗膜が得られれば、気温10〜30℃、相対湿度80%以下の条件で塗装しても、透明性のある塗膜が形成できると推測できる。
【0032】
本発明の塗料組成物は、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートを含むことを要する。ポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO基)を複数有する化合物であるが、本発明においては、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であり、好ましくは10.0〜15.0質量%である。ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合が20.0質量%以下であれば、上記の温度および相対湿度の条件で塗装しても可視光透過率が30%以上の塗膜が得られる。この理由は明らかでないが、発生する二酸化炭素の量を低く抑えることが可能であり、且つ、架橋密度が高過ぎないため、二酸化炭素が発生しても気泡にならずに塗膜内を移動し、空気中に放散するためと考えられる。また、イソシアネート基の割合が10.0質量%未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。
【0033】
上記ポリイソシアネートは、塗膜形成成分の割合を高める観点から、液体であることが好ましい。具体的には23℃で粘度が100,000mPa・s以下の液体であることが好ましく、23℃で粘度が100〜10,000mPa・sの液体であることが更に好ましい。なお、本発明において、ポリイソシアネートの粘度は、液温23℃においてB型粘度計を用いて60rpmで測定された値である。
【0034】
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが含まれ、具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のほか、これらイソシアネート化合物の変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。特に耐候性の観点からヘキサメチレンジイソシアネートの各種変性体、イソホロンジイソシアネートの各種変性体が好ましい。なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明の塗料組成物において、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることを要し、0.8〜1.2当量であることが好ましい。ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5当量未満だとポリオールの水酸基過剰となり架橋密度が低下するため、不粘着性や耐溶剤性を満足する塗膜が得られない。また、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が1.5当量を超えるとイソシアネート過剰となり残存したイソシアネート基が水と反応し二酸化炭素が発生し、塗膜中に泡となり残存し可視光透過性が高い塗膜が得られないと同時に、塗膜の伸び性が低下する。
【0036】
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中に占めるポリイソシアネートとポリオールを合計した割合は、90〜100質量%であることが好ましく、93〜99質量%であることが更に好ましい。
【0037】
本発明の塗料組成物は、数平均分子量が300〜10,000、より好ましくは400〜2,000であり、且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0、より好ましくは2.5〜5.0のポリオールを含むことを要する。なお、ポリオール1分子あたりの水酸基の数(n)は、ポリオールの持つ水酸基価(OHV)と数平均分子量(Mn)から次の計算式により求められる。
n=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56110
ここで、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が不良となるため好ましくない。
ポリオール1分子あたりの水酸基の数が2.3未満であり、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量の場合、塗膜の不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、1分子あたりの水酸基の数が9.0を超え、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量である場合、コンクリートのひび割れに対する追従性が十分でなく、塗膜の耐久性が得られない。また、二酸化炭素が発生した際に気泡が塗膜内を移動できずに泡が残存してしまい、基材の可視性にも優れない。
【0038】
上記ポリオールは、塗膜形成成分の割合を高める観点から、液体であることが好ましい。具体的には23℃で粘度が100,000mPa・s以下の液体であることが好ましく、23℃で粘度が500〜5,000mPa・sの液体であることが更に好ましい。なお、本発明において、ポリオールの粘度は、液温23℃においてB型粘度計を用いて60rpmで測定された値である。
【0039】
上記ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。アクリルポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと重合性不飽和基を有する化合物を共重合して得られる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これら重合性不飽和基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とを脱水縮合反応して得られる。また、大豆油、亜麻仁油、米ぬか油、綿実油、桐油、ひまし油、やし油などの天然油を上記多価アルコールで分解して得られる水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。ポリウレタンポリオールは、上記多価アルコールと、上述のポリイソシアネートとをアルコール過剰の条件で反応して得られる。また、上記水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。ポリエーテルポリオールは、例えば、上記多価アルコールや水酸基含有脂肪酸エステルに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて得られる。なお、これらポリオールは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明の塗料組成物は、塗膜の耐久性、特にコンクリートへのひび割れに対する追従性を満足させるため、塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合が10.0質量%以下であることを要する。体質顔料の割合が10.0質量%を超えると、塗膜の伸び性が十分でなくなり、良好な追従性が得られない。塗膜形成成分中に占める上記体質顔料の割合は、0.5〜9質量%が好ましく、1〜7質量%であることがさらに好ましい。体質顔料の割合が0.5〜9質量%であると、塗膜形成成分の割合が高くても塗装に適した粘度とすることが可能となるため、1回の塗装で100μm以上の膜厚で塗装することも容易になる。
【0041】
本発明の塗料組成物が体質顔料を含む場合、該体質顔料は平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。体質顔料は、通常、白色の無機顔料であるため、他の顔料に比べて基材の可視性への影響が小さい。また、体質顔料の平均粒子径が1μm以下であれば、耐候性に優れる塗膜を得ることができるため、長期にわたり高い可視性を維持できる。なお、体質顔料の平均粒子径の下限は特に制限されるものではないが、体質顔料の平均粒子径は例えば0.001μm以上である。
【0042】
本発明において、体質顔料の粒子径は、SEM日立ハイテクノロジーズ社製SU−70もしくは光学顕微鏡KEYENCE社製VHX−500を用いて実測した粒子径の値である。(1)体質顔料の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、構成する短軸の長さ、即ち短軸長で表され、(2)体質顔料の形状が板状もしくは柱状(ただし、厚さもしくは高さが、板面もしくは底面の最大長径より小さい)場合は、その厚さもしくは高さで表され、(3)体質顔料の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、且つ形状から長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。また、該体質顔料の平均粒子径は、無作為に抽出された100個の粒子について、上記の方法で実測された粒子径の算術平均を求めたものである。
【0043】
体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、セラミック粉末、ガラス繊維粉末等が挙げられる。特に、平均粒子径が1μm以下の体質顔料として工業的に入手しやすい炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウムが好ましい。これら体質顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
本発明の塗料組成物は粘度を調整する等の目的で有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ケトン類、酢酸エステル類、エーテル類、アルコール系溶剤等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の塗料組成物において、塗料組成物中に占める有機溶剤の割合は、0〜30質量%であり、より好ましくは0〜20質量%である。塗料組成物中に占める有機溶剤の割合が0〜30質量%であれば、含有する揮発性有機化合物の量が少なく、環境負荷が小さいウレタン樹脂塗料組成物を提供することが可能となる。
【0045】
本発明の塗料組成物には、反応触媒、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。また、本発明の塗料組成物には、本発明の目的を害しない範囲内で、特には塗膜の可視光透過率が30%未満にならない程度に、酸化チタン等の着色顔料を配合してもよい。本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中に占める着色顔料の割合は、例えば酸化チタンの場合0〜0.5質量%である。
【0046】
本発明の塗料組成物は、2液硬化形塗料組成物であることが好ましい。本発明の塗料組成物が2液硬化形塗料組成物である場合、通常、ポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネートを含む硬化剤の形態を取り、塗装直前に主剤と硬化剤とを混合させる。主剤には、ポリオールの他、必要に応じて適宜選択される各種成分を配合することができる。また、硬化剤には、ポリイソシアネートの他、必要に応じて適宜選択される各種成分を配合することができる。なお、本発明の塗料組成物の粘度を調整するため、主剤と、硬化剤とを混合した後に、有機溶剤を更に加えてもよい。
【0047】
本発明の塗料組成物は、1回の塗装で膜厚100μm以上の塗膜を形成させる観点から、せん断速度0.1s
−1の粘度が0.1〜10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s
−1の粘度が0.05〜10Pa・sであることが好ましい。それぞれのせん断速度での粘度が上記の範囲内にあることで、塗装作業性、タレ性に優れるため、1回の塗装で膜厚100μm以上の均一な塗膜を容易に形成することが可能となる。なお、本発明において、粘度はTAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、液温を23℃に調整した後測定される。
【0048】
次に、本発明のコンクリート基材の保護方法を詳細に説明する。本発明のコンクリート基材の保護方法は、コンクリート基材上に塗膜を形成するコンクリート基材の保護方法であって、塗膜を形成する塗料が、上述した本発明のウレタン樹脂塗料組成物であることを特徴とする。
【0049】
本発明のコンクリート基材の保護方法においては、コンクリート基材に上述した本発明のウレタン樹脂塗料組成物を塗装することで塗膜を形成することになるが、塗装方法は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、ハケ塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が利用できる。なお、コンクリートを保護する塗膜は、1回の塗装で100μm以上の厚みで形成されることが好ましく、また、コンクリートを保護する塗膜の膜厚は、合計で300μm以上であることが好ましい。
【0050】
上記コンクリート基材は、コンクリートを単体で利用した基材や鉄筋コンクリートを利用した基材であり、その具体例としては、橋脚、橋台、桁、床版、高欄、ドルフィン、トンネル、道路、導水路、貯蔵槽、壁、屋根、バルコニー等の各種コンクリート構造物やその部材等が挙げられる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0052】
<主剤1>
混合器にURIC H−854(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量800、水酸基価215、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度800mPa・s)を90質量部投入し、これにBYK−3441(BYK社製レベリング剤)を1.0質量部、BYK−A535(BYK社製消泡剤)を2.0質量部、及びジブチルスズジラウレート(反応触媒)を0.25質量部、それぞれ攪拌環境下で徐々に投入し20分間攪拌を行い、主剤1を調製した。
【0053】
<主剤2>
混合器にURIC H−854を90質量部、AEROSIL R972(デグサ社製シリカ、平均粒子径0.02μm)を1.0質量部順次投入し、ペイントコンディショナーを用いて1時間練合し、続いてBYK−3441を1.0質量部、BYK−A535を2.0質量部、及びジブチルスズジラウレートを0.25質量部、それぞれ攪拌環境下で徐々に投入しさらに20分間攪拌を行い、主剤2を調製した。
【0054】
<主剤3〜24>
上記主剤2の調製方法と同様に、以下の表1に示す配合処方に従って主剤3〜24を調製した。なお、主剤5〜7において、有機溶剤は練合前に投入した。
【0055】
【表1】
【0056】
(注1)サイリシア350(フジシリシア社製シリカ、平均粒子径3.9μm)
(注2)MC−K(丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム、平均粒子径0.05μm)
(注3)バリファインBF−20(堺化学社製硫酸バリウム、平均粒子径0.03μm)
(注4)URIC H−81(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量500、水酸基価340、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度1,200mPa・s)
(注5)URIC H−102(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量880、水酸基価320、1分子あたりの水酸基の数5.0、粘度1,100mPa・s)
(注6)URIC H−368(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価200、1分子あたりの水酸基の数2.5、粘度1,300mPa・s)
(注7)URIC F−40(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価240、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度3,900mPa・s)
(注8)URIC HF−2009(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量2,550、水酸基価44、1分子あたりの水酸基の数2.0、粘度1,500mPa・s)
(注9)URIC H−1830(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量1,600、水酸基価77、1分子あたりの水酸基の数2.2、粘度1,100mPa・s)
(注10)アクリディック WTU−152(DIC社製ポリオールワニス、加熱残分66質量%、数平均分子量5,100、水酸基価100、1分子あたりの水酸基の数9.1、加熱残分の粘度は100,000mPa・sを超える)
【0057】
<塗料組成物1>
先に調製した主剤1 43.5質量部にデュラネートAE700−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合11.9質量%、粘度800mPa・s)56.5質量部を混合撹拌し、塗料組成物1を調製した。ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基は1.0当量、塗料組成物1の塗膜形成成分の割合は98.5質量%、23℃におけるせん断速度0.1s
−1の粘度は2.2Pa・s、せん断速度1,000s
−1の粘度は1.2Pa・sであった。
【0058】
<塗料組成物2〜72>
上記塗料組成物1の調製方法と同様に、表2〜6に示す配合処方に従って塗料組成物2〜72を調製した。各塗料組成物の塗膜形成成分の割合や23℃における粘度は表2〜6に示す通りであった。
【0059】
(注11)デュラネートTSS−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合17.6質量%、粘度420mPa・s)
(注12)デュラネートTSE−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合12.0質量%、粘度1,650mPa・s)
(注13)デスモジュールXP2580(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合20.0質量%、粘度500mPa・s)
(注14)デュラネートTSA−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合20.6質量%、粘度500mPa・s)
(注15)デュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合23.1質量%、粘度1,400mPa・s)
(注16)デスモジュールN3400(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合21.8質量%、粘度175mPa・s)
(注17)デスモジュールN3900(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合23.5質量%、粘度730mPa・s)
【0060】
<実施例1〜34、比較例1〜38>
該塗料組成物1〜72の塗装作業性、タレ限界、発泡性、耐溶剤性、不粘着性、可視光透過率、基材可視性、伸び性、耐候性を測定及び評価した。結果を表2〜6に示す。
【0061】
<塗装作業性>
コンクリート基材の水平面に、調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、下記の基準に従って評価した。
〇:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がる。
×:塗料組成物を容易に塗りつけられない、または均一に仕上がらない。
【0062】
<タレ限界>
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)の垂直面に、調製した塗料組成物を刷毛でタレが生じるまで塗装し、温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させた後、基材上端から20mmの位置の膜厚をタレ限界とした。なお、膜厚は塗膜を基材から剥離し、ノギスを用いて測定した。
【0063】
<発泡性>
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜について、基材まで泡のない連続膜が得られている塗膜の表面積が占める割合を求め、その割合について下記の基準に従って評価した。
◎:90%以上である。
○:50%以上で且つ90%未満である。
×:50%未満である。
【0064】
<耐溶剤性>
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜にキシレンを滴下し、ラビングテストを行って、下記の基準に従って評価した。
〇:塗膜変状なし。
×:塗膜が溶解する。
【0065】
<不粘着性>
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜に砂を撒き、刷毛で払い落とした際に塗膜に砂が残存するかを観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:砂が残存しない。
×:砂が残存する。
【0066】
<可視光透過率>
ポリプロピレン板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜をポリプロピレン板から剥離した。剥離した塗膜から50mm×50mmの試験片を切り出した。サカタインクス株式会社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、JIS K 7375に基づき、該試験片の全光線透過率を測定した。具体的には、360nm〜750nmまで10nm置きに全光線透過率を測定し、得られた40データの合計を、データ数で割った値を可視光透過率とした。
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
【0067】
<基材可視性>
コンクリート基材に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた試験体について、目視で観察し、下記の基準に従って評価を行った。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
【0068】
<耐久性(伸び性)>
JSCE−K 532−2010に基づき作製した基板に、調製した塗料組成物を刷毛で膜厚300μmとなるように塗装し、気温23℃相対湿度50%の条件で28日乾燥させた試験体について、島津製作所社製オートグラフAG−100KN I型を用いJSCE−K 532−2010に定められた試験条件で引っ張り試験を行って、下記の基準に従って評価を行った。
◎:塗膜の破断距離が0.9mm以上
〇:塗膜の破断距離が0.6mm以上で且つ0.9mm未満
×:塗膜の破断距離が0.6mm未満
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
【0069】
<耐久性(耐候性)>
ポリプロピレン板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、気温23℃相対湿度50%の条件で168時間乾燥させた試験体について岩崎電気社製EYE SUPER UV TESTER SUV−W23を用い400時間の照射試験を行った。照射試験後、剥離した塗膜から50mm×50mmの試験片を切り出した。サカタインクス社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、JIS K 7375に基づき、該試験片の全光線透過率を測定した。具体的には、360nm〜750nmまで10nm置きに全光線透過率を測定し、得られた40データの合計を、データ数で割った値を可視光透過率とし、これを耐久性(耐候性)試験の評価結果とした。
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】