特許第6437346号(P6437346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437346
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】容器用吐出具
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
   B65D47/34 200
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-38247(P2015-38247)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-159920(P2016-159920A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−089886(JP,A)
【文献】 実開平03−015367(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0056991(US,A1)
【文献】 特開2013−121377(JP,A)
【文献】 特開2008−184222(JP,A)
【文献】 米国特許第06223954(US,B1)
【文献】 特開2012−251440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上部に配置される本体部の側壁に、内部に流路を備えるノズルが側方に向かって形成されたノズルヘッドと、該ノズルヘッドの押下げ及び復元により、前記容器の内容液を吸引、加圧、圧送し、前記ノズルを通じて排出させるポンプとを備える容器用吐出具において、
前記ノズルの先端部に、該ノズルの内周面に嵌合し、内部に吐出流路を備える筒状のノズルチップが設けられ、
該ノズルチップの先端に形成された吐出口の輪郭形状は、鉛直方向下側に、水平方向に延びる平坦部を有し、
前記ノズルチップは、前記ノズルの内周面に嵌合する筒状の基部から径方向外側に突出するフランジと、前記フランジよりも先端側に設けられて前記吐出口に向けて外形が先細り状となる吐出筒とを有することを特徴とする容器用吐出具。
【請求項2】
記ノズルは、該ノズルの先端に、該フランジが嵌り込む位置合わせ凹部を有する、請求項1に記載の容器用吐出具。
【請求項3】
前記吐出口の輪郭形状は、前記吐出流路に沿って見たときに横長の略長方形である、請求項1又は2に記載の容器用吐出具。
【請求項4】
前記ノズルチップは、前記吐出流路に沿って見たときに中心軸線を中心として点対称形状である、請求項1〜の何れか一項に記載の容器用吐出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の上部に配置される本体部の側壁にノズルが側方に向かって形成されたノズルヘッドと、該ノズルヘッドの押下げ及び復元により、内容液を吸引、加圧、圧送し、ノズルを通じて排出させるポンプとを備える容器用吐出具に関し、特に、ノズルの先端における液垂れを抑制しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器用吐出具として、例えば特許文献1に記載されるようなものが知られている。特許文献1では、ノズルの先端に、流路に沿って見たときに円形状をなす吐出口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−251440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の容器用吐出具では、特に、クレンジングオイルなどの表面張力が小さい液体を容器の内容物とした場合等において、内容物の吐出後に、円筒状のノズル内に残った液が徐々に先端に集中して、ある程度の時間が経過した後になって液垂れが生じることがあった。そのため、容器本体や、容器の保管場所が汚れたり、使用時に内容物が手に付着したりする虞があった。
【0005】
このような問題に対しては、ノズルの先端を覆うように外側から装着するタイプのカバーを用いて液垂れを防ぐことも可能であるが、カバー内に液が溜まり、ノズル周辺の汚れを悪化させる可能性があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、ノズルの先端における液垂れを抑制可能な容器用吐出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の容器用吐出具は、容器の上部に配置される本体部の側壁に、内部に流路を備えるノズルが側方に向かって形成されたノズルヘッドと、該ノズルヘッドの押下げ及び復元により、前記容器の内容液を吸引、加圧、圧送し、前記ノズルを通じて排出させるポンプとを備える容器用吐出具において、
前記ノズルの先端部に、該ノズルの内周面に嵌合し、内部に吐出流路を備える筒状のノズルチップが設けられ、
該ノズルチップの先端に形成された吐出口の輪郭形状は、鉛直方向下側に、水平方向に延びる平坦部を有することを特徴とするものである。
【0008】
なお、本発明の容器用吐出具にあっては、前記ノズルチップが、前記ノズルの内周面に嵌合する筒状の基部から径方向外側に突出するフランジを有し、
前記ノズルが、該ノズルの先端に、該フランジが嵌り込む位置合わせ凹部を有することが好ましい。
【0009】
また、本発明の容器用吐出具にあっては、前記吐出口の輪郭形状が、前記吐出流路に沿って見たときに横長の略長方形であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の容器用吐出具にあっては、前記ノズルチップが、前記フランジよりも先端側に設けられて前記吐出口に向けて外形が先細り状となる吐出筒を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の容器用吐出具にあっては、前記ノズルチップが、前記吐出流路に沿って見たときに中心軸線を中心として点対称形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ノズルの先端における液垂れを抑制可能な容器用吐出具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る容器用吐出具を示す一部断面側面図である。
図2】(a)は図1に示すノズルヘッドの平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
図3】(a)は図1に示すノズルチップの吐出流路に沿って見た正面図であり、(b)は側面図である。
図4】(a)〜(c)は、それぞれ、図1のノズルチップの先端の変形例を示す図であり、ノズルチップの先端を吐出流路に沿って見た様子を示す図である。
図5】吐出後にノズルチップの先端を吐出流路に沿って見たときの様子を示す図であり、(a)は図1に示す容器用吐出具での様子を示し、(b)は参考として、ノズルチップの先端が円筒形である容器用吐出具での様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る容器用吐出具1について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において、横方向とは水平方向を意味し、上下方向とは、鉛直方向を意味するものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る容器用吐出具1は、容器Cの上部に配置される本体部2の側壁に、内部にノズル流路3を備えるノズル4が側方に向かって形成されたノズルヘッド5と、該ノズルヘッド5の押下げ及び復元により、容器Cの内容液を吸引、加圧、圧送し、ノズル4を通じて排出させるポンプ6とを備えている。なお、ポンプ6としては、図1に示したような構成の他、任意の構成のものを用いることができる。
【0016】
ノズル4の先端部には、図1及び図2(a)〜(c)に示すように、内部に吐出流路7を備える筒状のノズルチップ8が装着されている。
【0017】
ノズルチップ8は、図3(a)、(b)に示すように、ノズル4の内周面に嵌合する筒状の基部9と、基部9の外周面から径方向外側に向けて突出し、それぞれ逆方向に延びる一対のフランジ10と、フランジ10よりも先端側に設けられて先端に向けて外形が先細り状となる吐出筒11とを有する。吐出流路7は、基部9の端面9bから、吐出筒11の先端面11aまでノズルチップ8の中心軸線に沿って延びており、断面は略長方形である。
【0018】
基部9の外周面は、ノズル4の内周面形状に対応しており、本実施形態ではノズル4が円筒形状であるため、基部9の外周面の断面は円形である。また、基部9の外周面には、環状の係合凸部9aが設けられており、この係合凸部9aがノズル4の内周面に設けられた環状の凸部に係合することにより、ノズルチップ8はノズル4に抜け止め保持される。また、ノズル4に装着された際、基部9の外周面はノズル4の内周面に対して液密に当接する。
【0019】
本実施形態においてフランジ10は、ノズルチップ8の中心軸線を挟んだ対向配置で1つずつ設けられているが、これに限られず、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0020】
また、吐出筒11は、横断面が略長方形の筒状であり、その先端に向けて肉厚が薄くなることで、先細り形状となっている。吐出筒11の先端面11aには吐出口12が形成されており、内容液を吐出する際には、ノズル流路3を介して吐出流路7を通過した内容液が当該吐出口12から排出される。
【0021】
ノズルチップ8がノズル4に装着された状態において、吐出口12の輪郭形状は、鉛直方向下側に、水平方向に延びる平坦部12aを有する。本実施形態において、吐出口12の輪郭形状は横長の略長方形であり、略長方形を構成する一対の長辺のうちの、下側の長辺が平坦部12aを構成している。なお、吐出口12の輪郭形状は、ノズルチップ8がノズル4に装着された状態において、下側に平坦な平坦部12aが形成されるものであれば特に限定されず、例えば、図4(a)〜(c)に示すように、略半円形、略正方形、略三角形等としてもよい。
【0022】
ノズル4の先端には、フランジ10が嵌り込むための位置合わせ凹部13が設けられている。本実施形態において、位置合わせ凹部13は、ノズル4の左右両側に設けられた突起部14の間で上下2箇所に形成されている。
【0023】
ノズルチップ8をノズル4に装着する際には、フランジ10が位置合わせ凹部13に嵌り込むように周方向の位置を合わせて、基部9の端面9b側からノズル4の先端開口に挿入していく。そして、フランジ10の後面10bが位置合わせ凹部13の底面13a(ノズル4の先端面)に当接するまで押し込むと、係合凸部9aがノズル4の内周面に設けられた環状の凸部に係合して、ノズルチップ8がノズル4に抜け止め保持され、装着が完了する。装着されたノズルチップ8における吐出口12の輪郭形状は、図2に(c)に示すように、下側に平坦な平坦部12aを有することとなる。
【0024】
なお、ノズルチップ8をノズル4に対して押し込む際、フランジ10の前面10aに押圧力を加えるようにすると、ノズル4に対するノズルチップ8の押し込みが容易となる。
【0025】
本実施形態では、ノズルチップ8は中心軸線を中心とした点対称形状とされており、また、ノズル4の先端には、上下対称に位置合わせ凹部13が形成されているため、ノズルチップ8を上下反転させて取り付けることが可能であり、吐出口12の平坦部12a(略長方形の長辺の何れか一方)が必ず下側に配置される。
【0026】
なお、図4(a)に示すように、吐出口12の輪郭形状において一方側のみに平坦部12aが設けられている場合には、例えば、フランジ10をノズルチップ8の平坦部12a側(下側)に1つのみ設け、位置合わせ凹部13もノズル4の下側のみに設けるといったように、当該平坦部12aが下側に配置されるように、フランジ10および位置合わせ凹部13の位置を設定することが好ましい。
【0027】
ここで、吐出口12の輪郭形状が図5(b)に示すように円形である場合には、ノズルチップ8の先端に溜まった液体が鉛直方向の下端一点に集中してしまい、荷重が集中して落下し易くなる。これに対して、本実施形態の吐出口12の輪郭形状は、鉛直方向下側に水平に延びる平坦部12aを有する構成としたため、図5(a)に示すように、点ではなく辺で液体を支えることができる。これにより、液体が一点に集中するのを防止して、ノズルチップ8の先端に付着した液体が吐出口12から垂れ流れるのを抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態の容器用吐出具1にあっては、ノズルチップ8の吐出流路7が、ノズル4のノズル流路3よりも狭い(横断面の断面積が小さい)ため、吐出流路7の内部を通過する内容液の単位体積当たりに掛かる抵抗が大きくなる。これにより、吐出流路7で液体が保持され易くなるため、液垂れ抑制効果をさらに高めることができる。
【0029】
また、内容液の吐出後にノズル流路3内に液体が残った場合であっても、ノズルチップ8の後端部(基部9の端面9b)に形成される段差によって液体が堰き止められて、ノズル流路3から吐出流路7への液体の移動が抑制されるため、液垂れ抑制効果がさらに高くなる。
【0030】
また、本実施形態の容器用吐出具1にあっては、吐出口12に向けて先細り状となる吐出筒11が設けることで先端面11aの表面積が小さくなり、液体の吐出時に表面張力で内容液が引き寄せられて先端面11aに付着し難くなり、液切れが良くなる。
【0031】
また、本実施形態においては、フランジ10が、ノズルチップ8をノズル4に装着する際に、周方向の位置合わせとして機能するとともに、ノズル4への挿入を所期した位置で停止させるストッパーとしても機能するため、ノズル4に対するノズルチップ8の周方向及び軸線方向の位置決めが容易となる。さらに、フランジ10は、ノズルチップ8をノズル4に対して押し込む際に押圧力を受ける面としても機能するため、ノズルチップ8の押し込む際に吐出筒11に押圧力を負荷する必要がなくなり、挿入時の吐出筒11の変形も防止することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 容器用吐出具
2 ノズルヘッドの本体部
3 ノズル流路(流路)
4 ノズル
5 ノズルヘッド
6 ポンプ
7 吐出流路
8 ノズルチップ
9 基部
9a 係合凸部
10 フランジ
11 吐出筒
12 吐出口
12a 水平部
13 位置合わせ凹部
14 突起部
C 容器
図1
図2
図3
図4
図5