特許第6437356号(P6437356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437356
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/42 20060101AFI20181203BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   H01H33/42 L
   H01H33/42 D
   H01H33/666 M
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-54430(P2015-54430)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-173968(P2016-173968A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 友一
(72)【発明者】
【氏名】志賀 大介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕哉
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−117366(JP,U)
【文献】 特開2004−088825(JP,A)
【文献】 実開平03−035634(JP,U)
【文献】 特開2002−216597(JP,A)
【文献】 特開2005−190919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 31/00 〜 31/36
H01H 33/60 〜 33/68
H02B 13/00 〜 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を回動させて、可動接点を、固定接点に接触する位置と離れた位置とで移動させることで、三相の電路の開閉を同時に行う開閉装置であって、
三相の可動接点が、前記駆動軸の軸方向に略直交するように配置されており、
前記駆動軸と、
前記駆動軸に固着されており、前記駆動軸の回動に応じて第1の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第1の駆動部材と、
第2の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第2の駆動部材と、
第3の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第3の駆動部材と、
前記第1の駆動部材の回動を、前記第2および第3の駆動部材に伝達する伝達部材と、
をそれぞれ2つずつ備えており、
一方の駆動軸が、他方の第2または第3の駆動部材の回動の中心軸である、
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
駆動軸を回動させて、可動接点を、固定接点に接触する位置と離れた位置とで移動させることで、三相の電路の開閉を同時に行う開閉装置であって、
三相の可動接点が、前記駆動軸の軸方向に略直交するように配置されており、
前記駆動軸と、
前記駆動軸に固着されており、前記駆動軸の回動に応じて第1の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第1の駆動部材と、
第2の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第2の駆動部材と、
第3の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第3の駆動部材と、
前記第1の駆動部材の回動を、前記第2および第3の駆動部材に伝達する伝達部材と、
をそれぞれ3つずつ備えており、
1つの駆動軸が、他の2つの第2または第3の駆動部材の回動の中心軸である、
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
前記伝達部材は、前記第1ないし第3の駆動部材に対して、それぞれ回動可能に固定されている連結棒である、
請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記伝達部材は、ベルトである、
請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記第1ないし第3の駆動部材は歯車を備えており、
前記伝達部材は、前記第1の駆動部材の回動を第2の駆動部材に伝達する歯車と、前記第2の駆動部材の回動を第3の駆動部材に伝達する歯車とを備えている、
請求項1または2に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相の電路の開閉を同時に行うための電力機器である開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電線などの電路の開閉を行う装置として、開閉器、遮断器、断路器、電磁接触器などの開閉装置がある。これらの開閉装置は、可動接点を固定接点に接触させることで電路を閉路状態とし、可動接点を固定接点から引き離すことで電路を開路状態とする。可動接点は、駆動軸の回動に応じて、固定接点に接触する位置と、固定接点から離れた位置とを移動する。三相交流の配電線などに配置される開閉装置は、相毎に可動接点および固定接点が設けられている。各相の電路は同時に開閉する必要があるので、駆動軸の回動に応じて、3つの可動接点が同時に移動するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、従来の三相用の開閉器A100を説明するための図である。同図(a)は、開閉器A100の平面図であり、同図(b)は、同図(a)における7B−7B線断面図である。同図においては、可動接点62が固定接点63から離れた開路状態を示している。
【0004】
開閉器A100は、第1回路710および第2回路720の、2つの開閉用の回路を備えている。第1回路710は操作機構11によって駆動され、第2回路720は操作機構12によって駆動され、互いに独立して駆動される。
【0005】
操作機構11は、図示しない操作レバーの回動に応じて、駆動軸210を回動させる。駆動軸210には、3つの駆動レバー300が固着されている。各駆動レバー300は、駆動軸210の回動に伴って、駆動軸210を中心軸として回動する。各駆動レバー300の下方には、それぞれ、真空バルブ6が配置されている。真空バルブ6は、可動接点62を先端に固着した可動軸64が上下動可能に設けられている。可動軸64は、駆動レバー300の回動に応じて上下動する。図7(b)において、駆動レバー300が時計回りの方向に回動(矢印参照)した場合、可動軸64は下方に移動(矢印参照)し、可動軸64が最下点に達すると、可動接点62が固定接点63に接触して、閉路状態になる。閉路状態において、駆動レバー300が反時計回りの方向に回動した場合、可動軸64は上方に移動し、可動接点62が固定接点63から引き離されて、開路状態になる。第2回路720も、第1回路710と同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−98428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7(a)に示すように、3つの駆動レバー300がそれぞれ駆動軸210(220)に固着されており、各駆動レバー300の下方に真空バルブ6が配置されている。したがって、開閉器A100は、駆動軸210(220)の軸方向に、3つの真空バルブ6が並ぶ構造になる。また、駆動軸210(220)を回動させるための操作機構11(12)は、駆動軸210(220)の一方端側に配置されている。よって、開閉器A100は、操作機構11(12)および3つの真空バルブ6が駆動軸210(220)の軸方向に並ぶ構造となり、駆動軸210(220)の軸方向の寸法が大きいものになる。
【0008】
本発明は上述した事情のもとで考え出されたものであって、駆動軸の軸方向の寸法を、従来のものより小さくすることができる開閉装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される開閉装置は、駆動軸を回動させて、可動接点を、固定接点に接触する位置と離れた位置とで移動させることで、三相の電路の開閉を同時に行う開閉装置であって、三相の可動接点が、前記駆動軸の軸方向に略直交するように配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記駆動軸に固着されており、前記駆動軸の回動に応じて第1の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第1の駆動部材と、第2の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第2の駆動部材と、第3の可動接点が固定された可動軸を当該可動軸の軸方向に移動させる第3の駆動部材と、前記第1の駆動部材の回動を、前記第2および第3の駆動部材に伝達する伝達部材とを備えている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝達部材は、前記第1ないし第3の駆動部材に対して、それぞれ回動可能に固定されている連結棒である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記伝達部材は、ベルトである。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1ないし第3の駆動部材は歯車を備えており、前記伝達部材は、前記第1の駆動部材の回動を第2の駆動部材に伝達する歯車と、前記第2の駆動部材の回動を第3の駆動部材に伝達する歯車とを備えている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記駆動軸および前記第1ないし第3の駆動部材をそれぞれ2つずつ備えており、一方の駆動軸が、他方の第2または第3の駆動部材の回動の中心軸である。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記可動接点および固定接点が真空容器内に配置されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、三相の可動接点が駆動軸の軸方向に略直交するように配置されているので、三相の可動接点が駆動軸の軸方向に配置されている場合と比べて、駆動軸の軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る開閉器の平面図を示している。
図2図1における2A−2A線断面図および2B−2B線断面図を示している。
図3】第1実施形態に係る開閉器において、電路が閉路状態になった場合を示す図である。
図4】第2実施形態に係る開閉器を説明するための図である。
図5】第3実施形態に係る開閉器を説明するための図である。
図6】第1〜第3実施形態に係る開閉器の他の実施例を説明するための図である。
図7】従来の三相用の開閉器を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1図3は、第1実施形態に係る開閉器を説明するための図である。図1は、第1実施形態に係る開閉器の平面図を示している。図2は、図1における2A−2A線断面図および2B−2B線断面図を示している。図1および図2においては、電路が開路状態である場合を示している。図3は、第1実施形態に係る開閉器において、電路が閉路状態になった場合を示す図である。
【0022】
図1に示す開閉器A1は、配電線に配置される負荷開閉器であり、電路の開閉を行うための電力機器である。開閉器A1は、三相交流用のものであり、3つの相の電路の開閉を同時に行う。図1に示すように、開閉器A1は、操作機構11,12、駆動軸21,22、固定軸23、6つの駆動レバー3、2組の連結棒4、6つの真空バルブ6、および、筐体8を備えている。3つの駆動レバー3、1組の連結棒4、および、3つの真空バルブ6で、三相の電路を開閉するための1つの回路を構成しており、開閉器A1は、2つの回路を備えている。一方の回路(図1において下側の回路)を第1回路71とし、他方の回路(図1において上側の回路)を第2回路72としている。第1回路71と第2回路72とは、互いに独立して駆動される。
【0023】
操作機構11は、第1回路71を駆動するためのものである。操作機構11は、作業者が図示しない操作レバーを回動させた場合に、その回動を駆動軸21に伝達することで、第1回路71を駆動する。電路の開路操作および閉路操作には、それぞれ所定の操作スピードが必要になるので、操作機構11はトグル機構を利用している。操作機構12は、作業者が図示しない操作レバーを回動させた場合に、その回動を駆動軸22に伝達することで、第2回路72を駆動する。なお、本実施形態においては、操作機構11および12の詳細の図示および説明を省略する。また、操作機構11(12)は、人力による操作レバーの回動を必要とせず、モータなどの回転力を駆動軸21(22)に伝達するものであってもよい。
【0024】
駆動軸21は、操作機構11によって回動されるものであり、電路を開路させた状態にする開路位置と、電路を閉路させた状態にする閉路位置との間で回動する。駆動軸21には、1つの駆動レバー3(図1における左下の駆動レバー3)が溶接などにより固着されており、1つの駆動レバー3(図1における左上の駆動レバー3)が回動可能に固定されている。駆動軸22は、操作機構12によって回動されるものであり、電路を開路させた状態にする開路位置と、電路を閉路させた状態にする閉路位置との間で回動する。駆動軸22には、1つの駆動レバー3(図1における右上の駆動レバー3)が溶接などにより固着されており、1つの駆動レバー3(図1における右下の駆動レバー3)が回動可能に固定されている。固定軸23は、筐体8に固定された軸であり、駆動軸21と駆動軸22との間の位置に配置されている。固定軸23には、2つの駆動レバー3(図1における中央の上下の駆動レバー3)が回動可能に固定されている。
【0025】
駆動レバー3は、駆動軸21または22の回動に応じて回動して、後述する可動軸64を上下動させるものである。本実施形態では、駆動レバー3は、略L字形状の金属板である2枚の駆動板31が略平行になるように、固定部材32および押圧部材33で固定したものとしている。押圧部材33は、駆動板31の一方端部(図2における右側の端部)に配置されており、可動軸64を押圧する機能も有する。なお、駆動レバー3の材質および形状は、上記したものに限定されない。駆動レバー3は、駆動軸21または22の回動を可動軸64の上下動に変換するものであればよい。
【0026】
駆動レバー3の駆動板31には、孔3aが設けられている(図2参照)。図1における左下の駆動レバー3は、孔3aに駆動軸21を貫通させて、溶接により固着されている。当該駆動レバー3と駆動軸21とは、溶接によって一体となっているので、図2(b)においては、孔3aを示していない(左の駆動レバー3参照)。図1における左上の駆動レバー3は、孔3aに駆動軸21を貫通させて、駆動軸21に対して回動可能に固定されている。本実施形態においては、孔3aと駆動軸21との間に軸受を介在させているが、軸受を介在させていなくてもよい。図2(a)においては、当該駆動レバー3と駆動軸21とが一体となっていない(回動可能である)ことを示すために、孔3aを大きくして記載している(左の駆動レバー3参照)。図1における右上の駆動レバー3は、孔3aに駆動軸22を貫通させて、溶接により固着されている。当該駆動レバー3と駆動軸22とは、溶接によって一体となっているので、図2(a)においては、孔3aを示していない(右の駆動レバー3参照)。図1における右下の駆動レバー3は、孔3aに駆動軸22を貫通させて、駆動軸22に対して回動可能に固定されている。図2(b)においては、当該駆動レバー3と駆動軸22とが一体となっていない(回動可能である)ことを示すために、孔3aを大きくして記載している(右の駆動レバー3参照)。図1における中央の上下の駆動レバー3は、それぞれ、孔3aに固定軸23を貫通させて、固定軸23に対して回動可能に固定されている。図2においては、これらの駆動レバー3と固定軸23とが一体となっていない(回動可能である)ことを示すために、孔3aを大きくして記載している(中央の駆動レバー3参照)。
【0027】
図2(a)において、各駆動レバー3が駆動軸21(22)を中心として時計回りに回動した場合、押圧部材33が可動軸64の一方端に当接して、可動軸64を下方に押し下げる(図3参照)。一方、図3において、各駆動レバー3が駆動軸21(22)を中心として反時計回りに回動した場合、押圧部材33による押圧力が解除され、図示しないバネの反発力により、可動軸64が上方に押し上げられる。なお、駆動レバー3が反時計回りに回動した場合に、押圧部材33が可動軸64を押し上げ、駆動レバー3が時計回りに回動した場合に、バネの反発力により、可動軸64を下方に押し下げるようにしてもよい。
【0028】
連結棒4は、3つの駆動レバー3を連結するものであり、1つの駆動レバー3の回動を、他の2つの駆動レバー3に伝達するためのものである。図2に示すように、連結棒4は、3つの駆動レバー3の駆動板31の上端部に、それぞれ、連結軸5によって回動可能に固定されている。各駆動レバー3は2枚の駆動板31を備えているので、3つの駆動レバー3は、2つの連結棒4によって連結されている(図1参照)。なお、各駆動レバー3の一方の駆動板31を1つの連結棒4で連結するのみとしてもよい。
【0029】
第1回路71の3つの駆動レバー3は連結棒4によって連結されている。したがって、駆動軸21に固着されている駆動レバー3(図2(b)における左側の駆動レバー3参照)が、駆動軸21の回動に伴って回動した場合、他の2つの駆動レバー3(図2(b)における中央および右側の駆動レバー3参照)も、同時に同方向に回動する。左側の駆動レバー3が時計回りに回動した場合、連結棒4が右側に移動して、この移動により、中央および右側の駆動レバー3も時計回りに回動する(図3の矢印参照)。逆に、左側の駆動レバー3が反時計回りに回動した場合、連結棒4が左側に移動して、この移動により、中央および右側の駆動レバー3も反時計回りに回動する。つまり、駆動軸21の回動によって、第1回路71の3つの駆動レバー3が同時に同方向に回動する。第2回路72の3つの駆動レバー3も連結棒4によって連結されており、駆動軸22に固着されている駆動レバー3(図2(a)における右側の駆動レバー3参照)が、駆動軸22の回動に伴って回動した場合、他の2つの駆動レバー3(図2(a)における中央および左側の駆動レバー3参照)も、同時に同方向に回動する。つまり、駆動軸22の回動によって、第2回路72の3つの駆動レバー3が同時に同方向に回動する。
【0030】
真空バルブ6は、電路の開閉を行う主回路であり、各駆動レバー3の下方にそれぞれ配置されている。図2に示すように、各真空バルブ6は、真空容器61、可動接点62、固定接点63、可動軸64、および、固定軸65を備えている。
【0031】
真空容器61は、可動接点62および固定接点63が内部に配置される容器であり、電路の開閉時に発生するアークを抑制するために、内部が真空になっている。なお、内部を真空でなく、所定の気体を充填するようにしてもよい。可動接点62は、真空容器61の内部に配置されている一方の接点であり、固定接点63に接触する位置と離れた位置とを移動する。固定接点63は、真空容器61の内部に配置されている他方の接点であり、真空容器61内で、可動接点62の下方の所定の位置に固定されている。
【0032】
可動軸64は、先端に可動接点62が固定されており、上下動可能に設けられている。可動軸64の末端は、真空容器61の外部の、駆動レバー3の押圧部材33の真下に位置している。図においては省略しているが、可動軸64には外部端子に接続するための接続部材(例えば、銅バーや電線など)が接続されており、可動軸64は当該接続位置から先端側は導体になっている。これにより、接続部材と可動接点62とが電気的に接続されている。また、可動軸64の末端側には絶縁部分があり、接続部材と駆動レバー3とが電気的に接続されることを防止している。なお、可動軸64の構造は上記したものに限定されない。例えば、可動軸64を絶縁体で構成して、接続部材と可動接点62とを導体で接続するようにしてもよい。
【0033】
固定軸65は、真空容器61に固定されており、先端に固定接点63が固定されている。図においては省略しているが、固定軸65の末端は真空容器61の外部に露出し、当該露出部分に、他の外部端子に接続するための接続部材が接続されており、固定軸65は当該接続位置から先端側が導体になっている。これにより、接続部材と固定接点63とが電気的に接続されている。なお、固定軸65の構造は上記したものに限定されない。可動接点62と固定接点63とが接触することにより、可動接点62に接続された接続部材と、固定接点63に接続された接続部材とが電気的に接続され、電路が閉路状態になる。
【0034】
駆動レバー3が時計回りに回動した場合、押圧部材33が可動軸64を下方に押し下げることにより、可動接点62が固定接点63側に移動する。そして、最下点に達すると、可動接点62が固定接点63に接触して、閉路状態になる(図3参照)。一方、駆動レバー3が反時計回りに回動した場合、押圧部材33による押圧力が解除され、図示しないバネの反発力により、可動軸64が上方に押し上げられる。これにより、可動接点62が固定接点63から引き離されて、開路状態になる。
【0035】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0036】
本実施形態によると、3つの駆動レバー3が連結棒4によって連結されているので、駆動軸21(22)が回動した場合、第1回路71(第2回路72)の3つの駆動レバー3は、同時に同方向に回動する。各駆動レバー3が回動することにより、下方に配置された真空バルブ6の可動軸64が上下動し、可動接点62と固定接点63とが接触した閉路状態と、離れた開路状態とが切り替わる。つまり、駆動軸21(22)の回動により、第1回路71(第2回路72)の三相の電路の開閉を同時に切り替えることができる。
【0037】
また、本実施形態によると、第1回路71(第2回路72)の3つの駆動レバー3は、駆動軸21(22)の軸方向に対して略直交する方向に並んで配置されている。駆動レバー3の下方に配置される真空バルブ6も、駆動軸21(22)の軸方向に対して略直交する方向に並んで配置されている。したがって、3つの真空バルブ6が駆動軸21(22)の軸方向に並んで配置される場合と比べて、開閉器A1の駆動軸21(22)の軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0038】
上記第1実施形態においては、電路を開閉するための回路を2つ(第1回路71および第2回路72)備えている場合について説明したが、これに限られない。例えば、回路を1つだけ備えていてもよいし、3つ以上備えていてもよい。
【0039】
図4は、第2実施形態に係る開閉器を説明するための図であり、平面図を示している。同図において、第1実施形態に係る開閉器A1(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0040】
図4に示す開閉器A2は、第2回路72を備えていない(第1回路71のみを備えている)点で、第1実施形態に係る開閉器A1と異なる。開閉器A2は、第2回路72を備えていないので、これを駆動させるための操作機構12も備えていない。また、駆動軸22に代えて、筐体8に固定された固定軸22’を備えている。
【0041】
第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、駆動軸21の回動により、第1回路71の三相の電路の開閉を同時に切り替えることができる。また、第1回路71の3つの真空バルブ6も、駆動軸21の軸方向に対して略直交する方向に並んで配置されている。したがって、3つの真空バルブ6が駆動軸21の軸方向に並んで配置される場合と比べて、開閉器A2の駆動軸21の軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0042】
図5は、第3実施形態に係る開閉器を説明するための図である。同図(a)は、第3実施形態に係る開閉器の平面図を示している。同図(b)は、同図(a)における5B−5B線断面図を示している。同図において、第1実施形態に係る開閉器A1(図1および図2参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0043】
図5に示す開閉器A3は、さらに第3回路73を備えている点で、第1実施形態に係る開閉器A1と異なる。第3回路73は、第1回路72と第2回路72との間に配置されている。また、開閉器A3は、第3回路73を駆動させるための操作機構13を備えており、固定軸23に代えて、操作機構13によって回動される駆動軸23’を備えている。操作機構13は、操作機構11と操作機構12との間に配置されており、駆動軸23’を回動させる。
【0044】
操作機構13は、操作機構11および12と同様に、作業者が図示しない操作レバーを回動させた場合に、その回動を駆動軸23’に伝達することで、第3回路73を駆動する。
【0045】
駆動軸23’は、操作機構13によって回動されるものであり、駆動軸21および22と同様に、電路を開路させた状態にする開路位置と、電路を閉路させた状態にする閉路位置との間で回動する。駆動軸23’には、1つの駆動レバー3(図5(a)における第3回路73の中央の駆動レバー3)が溶接などにより固着されており(図5(b)参照)、第1回路71の中央の駆動レバー3および第2回路72の中央の駆動レバー3が回動可能に固定されている。
【0046】
第3回路73の左側の駆動レバー3は、駆動軸21に回動可能に固定されており、第3回路73の右側の駆動レバー3は、駆動軸22に回動可能に固定されている。第3回路73の3つの駆動レバー3は、第1回路71および第2回路72の駆動レバー3と同じ構造のものであり、第1回路71および第2回路72と同様に、連結棒4によって連結されている。各駆動レバー3の下方には、それぞれ、真空バルブ6が配置されている。第3回路73の3つの真空バルブ6は、第1回路71および第2回路72の真空バルブ6と同じ構造のものである。
【0047】
3つの駆動レバー3が連結棒4によって連結されているので、駆動軸23’が回動した場合、第3回路73の3つの駆動レバー3は、同時に同方向に回動する。各駆動レバー3が回動することにより、下方に配置された真空バルブ6の可動軸64が上下動し、可動接点62と固定接点63とが接触した閉路状態と、離れた開路状態とが切り替わる。つまり、駆動軸23’の回動により、第3回路73の三相の電路の開閉を同時に切り替えることができる。
【0048】
第3実施形態においては、3つの回路(第1回路71、第2回路72および第3回路73)の電路の開閉を、それぞれ独立して行うことができる。
【0049】
回路を4つ備える場合は、第1実施形態に係る開閉器A1の内部の構成を2組備えるようにすればよい。
【0050】
上記第1〜第3実施形態においては、各回路の3つの駆動レバー3を連結棒4で連結する場合について説明したが、これに限られない。3つの駆動レバー3を同時に回動させることができればよいので、例えば、ベルトやチェーン、歯車などを用いて、1つの駆動レバー3の回動を他の2つの駆動レバー3に伝達するようにしてもよい。
【0051】
図6は、第1〜第3実施形態に係る開閉器A1〜A3の他の実施例を説明するための図である。
【0052】
同図(a)および(b)は、ベルトで、1つの駆動レバーの回動を他の2つの駆動レバー3に伝達する場合の第1実施例を説明するための図である。同図(a)は、当該第1実施例の第1回路71の平面図を示している。なお、真空バルブ6の記載を省略している。同図(b)は同図(a)における6B−6B線断面図を示している。同図において、第1実施形態に係る開閉器A1(図1および図2参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0053】
同図(a)および(b)に示すように、本第1実施例における駆動レバー3’の形状は、第1〜第3実施形態に係る駆動レバー3と異なる。駆動レバー3’は、外周に溝が設けられた円形状の板である2枚の駆動板31’が略平行になるように、固定部材32’および押圧部材33で固定したものである。なお、駆動レバー3’の材質および形状は限定されない。
【0054】
駆動軸21に固着された駆動レバー3’の一方(図6(a)における上側)の駆動板31’と、固定軸23に回動可能に固定された駆動レバー3’の一方の駆動板31’とは、その外周の溝にベルト4’がかけられている。また、固定軸23に固定された駆動レバー3’の他方(図6(a)における下側)の駆動板31’と、駆動軸22に回動可能に固定された駆動レバー3’の他方の駆動板31’とは、その外周の溝にベルト4’がかけられている。なお、ベルト4’の材質および形状は限定されない。
【0055】
駆動軸21が回動した場合、駆動軸21に固着されている駆動レバー3’が駆動軸21の回動に伴って回動する。この回動が、ベルト4’によって、固定軸23に固定された駆動レバー3’に伝達され、固定軸23に固定された駆動レバー3’が回動する(図6(b)の矢印参照)。また、固定軸23に固定された駆動レバー3’の回動は、ベルト4’によって、駆動軸22に固定された駆動レバー3’に伝達され、駆動軸22に固定された駆動レバー3’が回動する。
【0056】
なお、駆動レバー3’の形状や構造は、上記したものに限定されない。また、ベルト4’の掛け方も、上記したものに限定されない。駆動板31’をスプロケットのようにして、ローラーチェーンで回動を伝達するようにしてもよい。
【0057】
同図(c)は、歯車で、1つの駆動レバーの回動を他の2つの駆動レバー3に伝達する場合の第2実施例を説明するための図である。同図(c)は、第1実施例の同図(b)に相当する図である。同図において、第1実施例(同図(b)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0058】
同図(c)に示すように、本実施例における駆動レバー3”は、駆動板31”が歯車になっている。
【0059】
駆動軸21に固着された駆動レバー3”の回動は、歯車4”を介して、固定軸23に回動可能に固定された駆動レバー3”に伝達される。また、固定軸23に固定された駆動レバー3”の回動は、歯車4”を介して、駆動軸22に回動可能に固定された駆動レバー3”に伝達される。したがって、駆動軸21が回動した場合、駆動軸21に固着されている駆動レバー3”が駆動軸21の回動に伴って回動し、この回動が歯車4”によって伝達されることで、固定軸23および駆動軸22に固定された駆動レバー3”も回動する(図6(c)の矢印参照)。
【0060】
なお、各駆動レバー3”の間に配置される歯車4”の数は限定されない。また、歯車4”の形状も限定されない。
【0061】
なお、上記第1〜第3実施形態においては、真空バルブ6を用いて真空状態で接点の開閉を行う、真空開閉器について説明したが、これに限られない。本発明は、気中で開閉を行って、開路時に空気やSF6ガスなどを吹き付ける、気中開閉器やガス開閉器においても、適用することができる。
【0062】
また、上記第1〜第3実施形態においては、開閉器について説明したが、これに限られない。本発明は、三相の電路の開閉を同時に行うための電力機器である開閉装置(例えば、開閉器、遮断器、断路器、電磁接触器など)において、適用することができる。
【0063】
本発明に係る開閉装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る開閉装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0064】
A 開閉器(開閉装置)
11,12,13 操作機構
21,22,23’ 駆動軸
23,22’ 固定軸
3,3’,3” 駆動レバー(駆動部材)
31,31’,31” 駆動板
32,32’ 固定部材
33 押圧部材
4 連結棒(伝達部材)
4’ ベルト(伝達部材)
4” 歯車(伝達部材)
5 連結軸
6 真空バルブ
61 真空容器
62 可動接点
63 固定接点
64 可動軸
65 固定軸
71 第1回路
72 第2回路
73 第3回路
8 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7