(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸リブは、前記キャップ本体及び前記嵌合筒部において、前記凸リブが設けられた側の前記第1突起部または前記第2突起部よりも高いことを特徴とする、請求項2に記載の二重容器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書において、「上」とは、二重容器を水平面上に載置した際に容器本体に対して吐出キャップが位置する側であり、「下」とは、その反対側である。
【0017】
図1は、本発明に係る二重容器の一実施形態としての二重容器1を示す図である。二重容器1は、内容液を収容する内層体10及び内層体10を内側に収める外層体20からなる容器本体、中栓30、逆止弁40、移動弁50、並びに吐出キャップ2を備えている。吐出キャップ2は、キャップ本体60と、蓋部70と、を備えている。なお、
図1では、キャップ本体60が蓋部70により閉じられた状態を実線で示し、蓋部70が開けられた状態を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0018】
内層体10は、その内側に内容液を収容する充填空間Sを備えている。内層体10は薄肉の合成樹脂製であって、減容変形自在となっている。
【0019】
外層体20は、図示を省略する底部につながる胴部21と、下部が上部よりも大径となる段付き円筒状の口部周壁22と、胴部21と口部周壁22との間に位置し、胴部21及び口部周壁22を連結する肩部25と、を有する。口部周壁22は、上部に位置する小径部26と、下部に位置する大径部27とを有し、口部周壁22の内部が上方へ向けて開口する上部開口とされている。口部周壁22の小径部26の外周面には、雄ねじ部22bが設けられている。また口部周壁22には、内層体10と外層体20との相互間に空気を導入させるための貫通開口23が設けられている。更に、貫通開口23が位置する口部周壁22の小径部26の外周面には、雄ねじ部22bを上下方向に切り欠く溝部24が設けられている。口部周壁22の大径部27は、キャップ本体60の外周壁61の下端部と嵌合し、大径部27の外周面と外周壁61の内周面との間にシール部28が形成されている。シール部28は、例えば大径部27の外面及び外周壁61の内面の一方に設けられた環状凸部と他方に設けられた環状凹部とを係合することにより形成することができる。
図1では、大径部27の外面に環状凹部27aを設け、外周壁61の内面に環状凸部61aを設けている。また、凹凸嵌合に代えて、圧入嵌合や凸部同士によるアンダーカット嵌合としてもよい。なお、内層体10は、口部周壁22の上端面の位置まで延びており、内層体10の上端部11は当該上端面上に積層されている。
【0020】
本実施形態において内層体10と外層体20は、相互に相溶性が低い合成樹脂を剥離可能に積層させたものであり、これらの合成樹脂素材を積層して形成したパリソンを、押出ブロー成形することによって得られたものである。押出ブロー成形の他にも、試験管状に形成したプリフォームを2軸延伸ブロー成形することや、外層体及び内層体を個別に形成し、その後、内層体を外層体内に装着するようにしたものを用いてもよい。また、図示は省略するが、内層体10と外層体20との間に、縦方向に延在して内層体10と外層体20とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
【0021】
中栓30は、外層体20の上部開口を覆う天壁31を有している。本実施形態では天壁31に、上下を貫通させるとともに充填空間Sに向けて延在する筒状壁32が設けられている。本実施形態の筒状壁32は、その内周面の横断面形状が円になる円筒状であるが、内周面の横断面形状が四角形や六角形等の多角形になる角筒状のものであってもよい。また筒状壁32には、下方に向かうにつれて内径を狭める縮径部32aが設けられている。天壁31には、上向き凸状となる段部33が形成されており、この段部33に前記筒状壁32及び表裏を貫通する注出開口34を設けている。また天壁31の上面には、段部33を取り囲むとともに、当該段部33との相互間に逆止弁40を嵌合保持する環状の嵌合壁35を設けている。更に、嵌合壁35の径方向外側には、天壁31の縁部から起立する円筒状の係合壁36を設けている。そして、天壁31の下面には、内層体10を挟み込んで外層体20の口部周壁22の内周面と当接する環状のシール壁37を設けている。また、
図1に示すように、係合壁36の下部には開口38が設けられている。
【0022】
逆止弁40は、注出開口34を開閉することで、後述するキャップ本体60の注出口64aと内層体10内との連通及び遮断を行うものである。具体的に、逆止弁40は、その下部が、中栓30の段部33及び嵌合壁35の間に嵌合保持される環状壁41と、環状壁41の径方向内側に弾性アーム42を介して連結する板状の弁体43とから構成されており、弁体43により注出開口34を閉鎖している。また弁体43は、筒状壁32の上部開口の大部分も覆い隠しているが、その一部は常時開口している。更に環状壁41の径方向外側には、キャップ本体60の外気導入孔66の開閉状態を変化させる外気導入弁44が配置されている。外気導入弁44は、外層体20の押圧に伴う充填空間Sへの加圧の際には吐出キャップ2のキャップ本体60における外気導入孔66を閉鎖状態とし、この加圧後の外層体20の復元の際に外気導入孔66を開放状態とするものであり、本実施形態の外気導入弁44は、環状壁41と一体連結されている。また、本実施形態の外気導入弁44は、弾性変形することにより外気導入孔66の閉塞及び開放を切り替え可能な、環状且つ膜状の形状を有している。なお、本実施形態で逆止弁40は、所謂3点弁の形態をなしているが、1点弁等、従前の他の形態の逆止弁を用いることができる。また、本実施形態で環状壁41は円筒状であるが、角筒状でもよい。更に、本実施形態の外気導入弁44は、環状壁41と一体で形成されているが、環状壁41と別体で形成してもよい。
【0023】
移動弁50は、筒状壁32内に配置されてその内周面に沿って移動可能に設けられている。本実施形態の移動弁50は、球状をなすものであるが、中実の柱状のものや、筒状をなすとともにその内側に形成される内部通路を閉鎖する閉鎖壁を備えるもの等、種々の形態のものを用いることができる。なお、
図1に示すように二重容器1を起立姿勢にする際、移動弁50は縮径部32aに着座して、充填空間Sを閉鎖するようにしている。
【0024】
吐出キャップ2は、上述したように、キャップ本体60及び蓋部70を備えている。
【0025】
キャップ本体60は、口部周壁22を取り囲む外周壁61を備えていて、外周壁61の内周面には、口部周壁22の雄ねじ部22bに対応する雌ねじ部62を備えている。換言すれば、外周壁61は、口部周壁22の周囲を覆うように取り付けられ、外層体20の口部周壁22との間に外気導入孔66を貫通開口23に連通する外気導入路68を形成している。より具体的に、本実施形態の外気導入路68は、外周壁61の内面と、口部周壁22の溝部24とにより形成されている。
【0026】
また、外周壁61の内側には中栓30が嵌り込んでいる。具体的に、中栓30は、その係合壁36が、外周壁61の内周面のうち雌ねじ部62が形成されている位置よりも上側の位置に形成された凸部を乗り越えることにより、吐出キャップ2のキャップ本体60にアンダーカットで保持されている。外周壁61の上部には、中栓30及び逆止弁40を覆い隠す頂壁63を設けている。頂壁63には、逆止弁40の開放下にて充填空間S内の内容液を注出する注出口64aを形成した注出筒64が設けられている。
【0027】
なお、頂壁63の下面には、逆止弁40の環状壁41の上部を嵌合保持する同心二重配置となる一対の上部嵌合壁65を設けている。更に、頂壁63は、上部嵌合壁65の径方向外側に、頂壁63を貫通する外気導入孔66を形成している。したがって、環状壁41の径方向内側に位置し、注出筒64の注出口64aと連通する空間Mと、環状壁41の径方向外側に位置し、外気導入孔66と連通する空間Nとは、環状壁41によって区画されている。なお、空間Nには上述した外気導入弁44が位置しており、外気導入弁44により、外気導入孔66の開放と閉鎖とが切り替えられる。
【0028】
また、空間Nと、外周壁61と口部周壁22の間に形成される外気導入路68とは、開口38を介して連通している。すなわち、キャップ本体60の内側には、外気導入孔66から始まり、順に空間N、開口38、及び外気導入路68を経て、貫通開口23に至る、外界から内層体10と外層体20との相互間に空気が流れる外気経路が形成される。なお、外気導入路68の下端は、上述したシール部28により閉鎖されている。
【0029】
吐出キャップ2の蓋部70は、ヒンジ71を介してキャップ本体60の外周壁61に連結していて、ヒンジ71で折り曲げることで、注出筒64が形成する注出口64a及び外気導入孔66を覆い隠すことができる。より具体的に、蓋部70は、注出筒64が形成する注出口64a及び外気導入孔66を覆い隠しつつ、キャップ本体60の頂壁63との間に外気導入孔66に連なる空洞部75を形成した状態でキャップ本体60に対してアンダーカット嵌合する。
【0030】
より詳細には、蓋部70は、頂壁63を覆う平板状の上壁72と、この上壁72の縁部に連結するとともに外周壁61に連なる形状となる嵌合筒部73とを備えていて、上壁72には、蓋部70を閉めた際に注出筒64の内側に入り込んで注出筒64をシールするシール部74を備えている。嵌合筒部73は、上壁72とキャップ本体60の頂壁63との間に外気導入孔66に連通する空洞部75を形成した状態で、キャップ本体60の外壁である頂壁63の縁部に対してアンダーカット嵌合する。なお、頂壁の縁部とは、容器本体の上部開口を覆う頂壁の径方向外側の外縁部である。
【0031】
キャップ本体60の頂壁63の縁部(例えば、頂壁63と外周壁61との接続部に形成された段部)と嵌合筒部73の内面との間で形成されるアンダーカット嵌合部分(
図1に示す「X部」参照)の詳細について説明する。
図1の「X部拡大図」に示すように、頂壁63の縁部には、外周壁61の周方向に延在する環状の第1突起部63aが設けられている。また、蓋部70の嵌合筒部73の内面の下端部には、嵌合筒部73の周方向に延在する環状の第2突起部73aが設けられている。より具体的に、嵌合筒部73の内面は、空洞部75を形成する小径内壁部73bと、小径内壁部73bよりも下方に位置し、小径内壁部73bよりも大径の大径内壁部73cと、小径内壁部73bと大径内壁部73cとを繋ぐ段差面73dと、を備えており、環状の第2突起部73aは、大径内壁部73cに形成されている。
【0032】
そして、
図1に示すように、頂壁63の縁部は、嵌合筒部73の第2突起部73aが頂壁63の縁部に設けられた第1突起部63aと摺動し、第1突起部63aを乗り越えることにより、嵌合筒部73の内面に対してアンダーカット嵌合する。換言すれば、キャップ本体60と蓋部70とは、第1突起部63aと第2突起部73aとが係合することにより、アンダーカット嵌合する。なお、蓋部70は、ヒンジ71を設けずにキャップ本体60とは別体のものとし、上記同様、頂壁63の縁部と嵌合筒部73の内面との間でアンダーカット嵌合することにより、キャップ本体60に対して装着するように構成してもよい。
【0033】
上記のように構成される二重容器1から内容液を吐出するに当たっては、蓋部70を取り外し、二重容器1を、起立姿勢から傾倒或いは倒立姿勢に姿勢変更する。そして、外層体20の胴部21を押圧すると、内層体10は、外層体20から直接、或いは内層体10と外層体20との間の空気を介して押圧されて充填空間Sが加圧される。これにより、加圧された内容液が注出開口34から弁体43を押し上げて、注出開口34から内容液が流出し、注出筒64の注出口64aを通して外界に注出される。なお、外気経路は、この一連の動作中、外気導入弁44により常時閉鎖されている。なお、この状態において、筒状壁32内の移動弁50は、自重や筒状壁32の下方側の開口から流入する内容液によって、注出筒64側(
図1中破線で示す位置)に移動している。
【0034】
所要量の内容液を注出した後は、外層体20の胴部21への押圧を解除する。これによって充填空間S内の圧力が下がり、弁体43が注出開口34を閉鎖するので、充填空間S内への外気の入り込みが防止できる。また、外層体20は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとし、内層体10と外層体20との相互間は負圧状態となるため、外気導入弁44が下方に変位して外気導入孔66が開放され、外気導入路68及び貫通開口23を通じて外気が内層体と外層体との間の空間に導入される。これにより、内層体10を減容させたまま外層体20のみが復元する。
【0035】
弁体43が注出開口34を閉鎖すると、注出筒64内には内容液が残留したままになっているものの、移動弁50は、二重容器1を元の起立姿勢に戻す際におけるそれ自身の自重や充填空間S内の圧力低下によって下方に移動する。これによって筒状壁32の上方には、移動弁50が移動した分のスペースが形成されることになるため、このスペース分に相当する分の内容液を注出筒64から引き戻すことができ(サックバック機能)、液だれを有効に防止することができる。なお、下方に移動した移動弁50は、筒状壁32の縮径部32aに着座するので、充填空間S内を閉鎖した状態に保つことができる。
【0036】
ここで、キャップ本体60と嵌合筒部73とがアンダーカット嵌合した状態で、キャップ本体60と嵌合筒部73との間には、嵌合筒部73の径方向においてキャップ本体60と嵌合筒部73とにより挟まれる間隙により空洞部75を外界に連通する連通路80が設けられている。
【0037】
図1の「X部拡大図」に示すように、本実施形態の連通路80は、上述した間隙80aと、キャップ本体60の頂壁63の上面外縁部と嵌合筒部73の内面の段差面73dとの間に形成された、間隙80aの上端部を空洞部75に連通する第1連結路80bと、キャップ本体60と嵌合筒部73の下端との間に形成された、間隙80aの下端部を外界に連通する第2連結路80cと、で構成されている。なお、第1連結路80b及び第2連結路80cは、中心軸線方向においてキャップ本体60と嵌合筒部73との間に挟まれた間隙である。
【0038】
第1連結路80bは、例えば
図1に破線で示すように、嵌合筒部73の段差面73dに溝部73eを設けることにより形成することが可能である。また、第2連結路80cは、
図1に示すように、第1突起部63aと第2突起部73aとをアンダーカット嵌合した状態で、嵌合筒部73の下端(本実施形態では大径内壁部73cの下端に連続する嵌合筒部73の下端面)とキャップ本体60との間に間隙を設けることにより形成することができる。なお、第1連結路80bについては、頂壁63の上面に溝部を設けることにより形成することも可能である。また、第1連結路80bは、積極的に溝部73eを設けるのではなく、成形条件などで部分的に空気が通過可能な間隙を設けるようにしてもよい。更に、第2連結路80cについても、嵌合筒部73の下端又はキャップ本体60に溝部を設けることにより形成してもよく、積極的に溝部を設けるのではなく、成形条件などで部分的に空気が通過可能な間隙を設けるようにしてもよい。
【0039】
以下、本実施形態の連通路80のうち、嵌合筒部73の径方向においてキャップ本体60と嵌合筒部73とにより挟まれる間隙80aの詳細について説明する。
【0040】
図2は、吐出キャップ2を示す上面図であり、キャップ本体60に対して蓋部70が開けられた状態、すなわち、蓋部70が
図1の二点鎖線で示された位置にある状態を示している。また、
図3(a)は、
図2に示す吐出キャップ2のうち、蓋部70の嵌合筒部73の一部を拡大した拡大図である。更に、
図3(b)は、
図3(a)のI−I断面図である。
【0041】
図2、
図3に示すように、本実施形態の嵌合筒部73の内面には凸リブ76が設けられている。この凸リブ76は、第1突起部63aと第2突起部73aとがアンダーカット嵌合した状態で、キャップ本体60に設けられた第1突起部63aに押圧される。そのため、蓋部70の嵌合筒部73は、第1突起部63aと第2突起部73aとがアンダーカット嵌合した状態で、部分的に変形し、凸リブ76に対して嵌合筒部73の周方向に隣接する位置に上述した間隙80aが形成される。なお、
図1では、説明の便宜上、連通路80が蓋部70の把持片77の下方に描かれているが、実際は、
図2、
図3に示すように、把持片77の下方の位置ではなく、キャップ本体60及び嵌合筒部73のうち、
図1の紙面に直交する方向に位置する部分に形成されている。ただし、
図1に示すように、連通路80を把持片77の下方の位置に設ける構成としてもよい。
【0042】
また、
図2、
図3に示すように、本実施形態の凸リブ76は、嵌合筒部73の中心軸線O(口部周壁22や外周壁61の中心軸線と同じ)に平行な方向(中心軸線方向)に延在する縦リブ76aである。より具体的に、縦リブ76aは、嵌合筒部73の周方向に所定の間隔を隔てて2つ配置されており、本実施形態の間隙80aは、2つの縦リブ76aの間及び2つの縦リブ76aに対して周方向の外側で隣接する位置に形成される。具体的に、縦リブ76aにより蓋部70の嵌合筒部73が部分的に変形し、2つの縦リブ76aの間及び2つの縦リブ76aに対して周方向の外側で隣接する位置では、頂壁63の縁部と嵌合筒部73の内面とが当接せずに離間した状態となる。これにより、2つの縦リブ76a間及び各箇所の2つの縦リブ76aに対して周方向の外側で隣接する位置に、上述した間隙80aを形成することができる。
【0043】
このように、本実施形態の間隙80aは、嵌合筒部73の内面に形成された凸リブ76によって、蓋部70の嵌合筒部73を変形させることにより形成されるが、この構成に限られるものではなく、キャップ本体60の外壁である頂壁63の縁部に凸リブを設けて、この凸リブによって蓋部70の嵌合筒部73を変形させることにより、嵌合筒部73の径方向においてキャップ本体60と嵌合筒部73とにより挟まれる間隙を形成してもよい。すなわち、キャップ本体に設けられた第1突起部と蓋部の嵌合筒部に設けられた第2突起部とがアンダーカット嵌合した状態で、キャップ本体及び嵌合筒部の少なくとも一方に、蓋部70の嵌合筒部73を変形させて上述した間隙を形成する凸リブが設けられていればよい。
【0044】
また、本実施形態の凸リブ76は、嵌合筒部73の周方向において1箇所のみに設けられているが、中心角度が180度ずれた位置に2箇所設けるなど、その個数や配置する位置は適宜変更することが可能であり、例えば、周方向において所定間隔を隔てて3箇所以上設ける構成であってもよい。更に、本実施形態では、凸リブ76を2つの縦リブ76aにより構成しているが、嵌合筒部の径方向においてキャップ本体と嵌合筒部とにより挟まれる間隙が形成されるものであればよく、例えば、1つのみの縦リブ76aにより凸リブ76を設ける構成や、凸リブ76としての別の形状の突出部を設ける構成としてもよい。
【0045】
更に、
図3(a)、
図3(b)に示すように、本実施形態の凸リブ76としての縦リブ76aは、嵌合筒部73の内面に設けられた第2突起部73aよりも径方向における高さが高い。また、縦リブ76aは、第2突起部73aを跨ぐように形成されている。これにより、間隙80aを、第1突起部63aと第2突起部73aとがアンダーカット嵌合した状態で、中心軸線方向に直線状に連なるようにすることができ、外界から空洞部75への空気の導入をより円滑化することができる。なお、凸リブ76がキャップ本体60に設けられている場合には、上記同様、凸リブ76を、頂壁63の縁部に設けられた第1突起部63aよりも、径方向における高さが高い構成とすればよい。
【0046】
また更に、本実施形態の間隙80aは、凸リブ76により蓋部70の嵌合筒部73を変形させることにより形成されるが、間隙80aを形成する構成はこれに限られるものではない。例えば、
図4に示すように、第1突起部63aと第2突起部73aとがアンダーカット嵌合した状態で、第1突起部63a及び第2突起部73aの少なくとも一方に、嵌合筒部73の周方向の一部において径方向高さが他の部分よりも低い凹部78が設けられており、連通路80の間隙80aがこの凹部78により形成される構成としてもよい。この凹部78は、第2突起73aを切欠くとともに、嵌合筒部73の内面を窪ませるように形成している。なお、
図4では、嵌合筒部73の周方向に延在する環状の第2突起部73aの周方向の一部に凹部78を形成しているが、この構成に限られるものではなく、外周壁の周方向に延在する環状の第1突起部の周方向の一部に凹部を形成してもよい。
【0047】
また、環状の第1突起部63a及び第2突起部73aの少なくとも一方に設けられる凹部78は、当該一方の突起部に対して嵌合筒部73の周方向に隣接する部分よりも径方向高さが低ければよく、当該隣接する部分よりも低い高さで径方向に突出する構成であっても、径方向に全く突出しない構成であってもよい。換言すれば、嵌合筒部の周方向に延在する複数の第2突起部を嵌合筒部の周方向に所定距離を隔てて間欠的に配置し、周方向において隣り合う第2突起部の間の部分は径方向に突出しない構成(径方向高さがゼロ)または僅かに突出する(第2突起部よりも低い)構成とし、隣り合う第2突起部の間の部分(凹部78)に間隙80aを形成してもよい。なお、凹部78は、少なくとも1つ設けられていればよいが、複数設ける構成としてもよい。
【0048】
更に、上述した本実施形態の凸リブ76と
図4に示す凹部78とを両方用いることにより間隙80aを形成することも可能である。
【0049】
以上のとおり、本実施形態の二重容器1は、キャップ本体60と嵌合筒部73とがアンダーカット嵌合した状態で、嵌合筒部73の径方向においてキャップ本体60と嵌合筒部73とにより挟まれる間隙80aにより空洞部75を外界に連通する連通路80が設けられている。そのため、キャップ本体60と蓋部70とをアンダーカット嵌合し、蓋部70によりキャップ本体60を閉じた状態としても、連通路80を通じて、外界から空洞部75へと空気を流入させることができる。したがって、蓋部70を閉じた状態であっても、外界から連通路80、空洞部75、外気導入孔66、空間N、開口38、及び外気導入路68を順に経て、貫通開口23に至る外気経路を確保することができる。そのため、胴部21を押圧して注出口64aから内容液を注出させた後、外層体20が復元する過程において蓋部70が閉じられたとしても、内層体10と外層体20との間に形成された空間と、外界との間の通気を維持することができる。
【0050】
ここで、
図5は、本実施形態の外気導入弁44の変形例としての外気導入弁44´を示す図である。
図5(a)は、外気導入弁44´の上面図の一部を拡大した図であり、
図5(b)は、
図5(a)のII−II断面図である。なお、
図5(b)には、説明の便宜上、二点鎖線(仮想線)により弁座67(
図1参照)の位置を示している。
【0051】
図5に示す外気導入弁44´は、上述した外気導入弁44と同様、弾性変形することにより外気導入孔66の閉塞及び開放を切り替え可能な、環状且つ膜状の形状を有するものであり、上述した外気導入弁44と比較して、キャップ本体60の頂壁63の下面の弁座67(
図1参照)との間に間隙Wを維持する突起45が少なくとも1つ設けられている点で構成が相違する。この外気導入弁44´は、例えば初期状態では弁座67との間に間隙Wが設けられており、外層体20がスクイズされることで弁座67に押し付けられる。
【0052】
具体的に、外気導入弁44´は、弁座67に対する当接状態を変化させることにより、外気導入孔66の閉塞及び開放を行うことができるが、外気導入弁44´の上面44´aに設けられた突起45により、外気導入弁44と弁座67との間には、外層体20が押圧されていない状態(圧搾されていない状態)において、外気導入孔66と外気導入路68とを連通する間隙Wが形成される。つまり、突起45は、外気導入弁44´の上面44´aと、弁座67との間の間隙Wを維持するスペーサとして機能する。この突起45は、外気導入弁44´の上面44´aのうち周方向において1つのみ設ける構成であっても、複数設ける構成であってもよい。
【0053】
このように、外層体20が押圧されていない状態において、外気導入弁44´と弁座67との間に、外気導入孔66と外気導入路68とを連通する間隙Wが形成されている構成とすれば、上述した連通路80があるため、キャップ本体60に対して蓋部70を閉じた状態であっても、隙間Wを通じて内層体10と外層体20との間の空間に空気を導入し易くなる。また、内層体10と外層体20との間の空間の空気を外界に逃がすこともできる。例えば温度変化等によって内層体10と外層体20との間の空間の内圧が高くなった場合に、外気導入孔66と外気導入路68とを連通する間隙W、及び連通路80を通じて空気を外界に逃がすことができる。
【0054】
そして、蓋部70が開けられ、外層体20の胴部21を押圧すると、貫通開口23から流出する空気により、外気導入弁44´が弁座67を押圧する。この押圧力により、突起45により維持されていた外気導入弁44´と弁座67との間の間隙Wは、無くなる又は小さくなる。そのため、内層体10と外層体20との間の空気が外気導入弁44´を通じて外界に漏れ出ることを防ぐ又は微小量に抑制し、内容液を注出口64aから所望の量で吐出することが可能となる。
【0055】
なお、突起45の高さは、胴部21の押圧(圧搾)時における外気導入弁44´のシール性を考慮して、0mmより大きく、0.05mm以下とすることが好ましく、0.02以下とすることが特に好ましい。突起45をこのような高さとすれば、胴部21が圧搾されていない状態において外気導入弁44´と弁座67との間の間隙Wを維持できると共に、胴部21の圧搾時においては、内容液を注出口64aから所望の量で吐出可能なように上記間隙を十分小さいものにすることができる。
【0056】
また、
図5では、外気導入弁44´と弁座67との間に間隙Wを形成するために、外気導入弁44´の上面44´aに突起45を設けたが、外層体が押圧されていない状態において外気導入弁と弁座との間に間隙が形成され、外層体が押圧された際に当該間隙を無くす又は小さくすることができる構成であればよく、突起45を設ける構成に限られるものではない。例えば外気導入弁44´の上面44´aに溝部を設ける構成としてもよい。
【0057】
更に、本実施形態の二重容器1では、外気導入弁44又は44´を備える構成としているが、外気導入弁を備えない二重容器としてもよい。
図6は、外気導入弁44又は44´を備えない二重容器100を示す断面図である。
【0058】
図6に示すように、二重容器100は、内容液を収容する内層体110、内層体110を内側に収める外層体120、中栓130、逆止弁140、移動弁150、及び吐出キャップ102を備える。吐出キャップ102は、キャップ本体160と、蓋部170と、を備えている。なお、
図6では、蓋部170が閉じられた状態を示している。
【0059】
二重容器100は、上述した二重容器1と比較して、外気導入弁44が設けられていない点で主に相違するが、その他の構成は共通している。以下、相違する構成について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、中栓130は、天壁131の縁部から起立する円筒状の係合壁136の下部に開口が設けられていない。そのため、外気導入孔166から空間N内に導入される空気は、係合壁136の上端と頂壁163の下面との間の隙間P及び係合壁136の外面と外周壁161の内面との間の隙間Qを通じて、外気導入路168に流入する。なお、外気導入路168は、上述した二重容器1における外気導入路68(
図1参照)と同様、外周壁161の内面と口部周壁122の溝部124とにより形成されている。
【0061】
なお、キャップ本体160に対して蓋部170を閉じた際には、上述した二重容器1と同様、外界から連通路180、空洞部175、外気導入孔166、空間N、隙間P、隙間Q、外気導入路168及び貫通開口123を経て、内層体110と外層体120との相互間に空気が流入する。なお、空間Nから外気導入路168までの空気の経路は、外気導入弁により閉塞されていないため、外気導入孔166から空間N内に液体が流入した際に、その液体が外気導入路168へと流入しない構成であることが好ましく、
図6に示す構成に限られるものではない。
【0062】
なお、本発明に係る二重容器は、上述した実施形態で特定された構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態の二重容器では、キャップ本体と蓋部の嵌合筒部とが第1突起部と第2突起部とでアンダーカット嵌合する構成であるが、例えば、第1突起部と第2突起部を設けず、締め代により圧入するなど、嵌合筒部の径方向においてキャップ本体と嵌合筒部とにより挟まれる間隙により空洞部を外界に連通する連通路が形成されるように両者が嵌合する構成であればよい。