【課題を解決するための手段】
【0020】
本明細書冒頭に記載されたタイプの配光モジュールの場合、本目的は、ホログラフィック光学素子が少なくとも2つの空間次元に関して並進対称性なしで出力結合装置の中に配置され、かつ、ホログラフィック光学素子がボリューム格子として構成されているもので達成される。
【0021】
発明は、この場合、先行技術、特に、英国特許第2260203号における公知明細書と対比して、ホログラフィック光学素子の一様な配置が導光板からの一様な光出力結合を可能にするために必要ではないという発見に基づいている。その上、発明による解決手法では、ディスプレイの個別の画素への出力結合場所の離散的な割り当ては、必須ではない。
【0022】
このようにして、発明による配光モジュールの場合、光は、導光板から一方向に出力結合される可能性があり、均一の光出力結合は、導光板上のホログラフィック光学素子の分布によって達成される可能性がある。その上、例えば、ホログラフィック光学素子の形状、サイズ、回折効率、および/または回折方向は、変化することがあり、または、波長選択は、ホログラフィック光学素子を用いて実行されることがある。換言すると、典型的に使用される光源は、広い角度範囲で光を導波板に入力結合する。この場合、ホログラフィック光学素子は、これらの光ビームを選択し、導光板の中でブラッグの条件に従わない光ビームをそのままにする。形状およびサイズもしくは回折効率の巧妙な選択によって、または、導光板一面にわたるホログラフィック光学素子の分布によって、または、回折方向によって、または、波長選択によって、または、2つ以上のこれらの特性の組み合わせによって、拡散板上で一様に光均一性を調整することが可能である。導光板は、その結果、ホログラフィック光学素子が光を「抽出」し、この光を臨機応変に拡散板に出力結合する蓄光器として使用される。この可能性およびその他の可能性は、以下でより詳しく扱われる。
【0023】
発明に関するディスプレイのための光源として適しているのは、例えば、励起錯体を含んでいるプラズマ放射ランプ、例えば、冷陰極管蛍光灯もしくは他のプラズマ光源と、固体光源、例えば、無機もしくは有機材料に基づく発光ダイオード(LED)、好ましくは、紫外線および/または青色放射および色変換蛍光体を含む、いわゆる白色LEDとであり、この場合、色変換蛍光体は、−当業者に知られているように−青色もしくはUV光による励起の後、適当な赤色および緑色の、そして、青色でもよい波長範囲において高効率で放射する半導体ナノ粒子(いわゆる量子ドット、Qドット)をさらに含むことがある。できる限り非常に狭い光放射帯域幅を提供するQドットが好ましい。さらに、少なくとも3個の単色、すなわち、例えば、赤色、緑色および青色LEDの組み合わせも同様に適切であり、少なくとも3個の単色、すなわち、例えば、赤色、緑色および青色レーザーダイオードの組み合わせ、または、単色LEDとレーザーダイオードとの組み合わせは、原色が組み合わせによって可能であるように、同様に適切である。代替案として、原色は、青色LEDを使って示され、変換された赤色および緑色光をLEDの青色光と高効率で狭帯域を用いて混合するために、適当なQドットを収容するレール状素子の中でさらに発生させられることがある。登録商標「Quantum Rail」の下でも入手可能であるレール状素子は、青色LEDまたは青色レーザーダイオードのアレイの前方に位置決めされることがある。
【0024】
透過層におけるホログラフィック光学素子の生産は、様々な方法を用いて実行できる。発生されるべきパターンに対応するマスクを使用することが可能であり、マスクは、パターンに対応する開口部(ポジマスク)を含んでいる。この場合、ホログラフィック露光は、マスクによるビームの強度もしくは偏光において信号ビームもしくは参照ビームのいずれか、または、両方を局所的に修正することによりセットアップされる。このマスクは、とりわけ、金属、プラスチック、強い板紙などでできていることがあり、その結果、ビームが透過されるか、ビームの偏光が変更される開口部もしくは領域を含み、ホログラフィック記録フィルムにおける第2のビームとの干渉を用いてホログラフィック光学素子を生産する。ただ1本のビームが記録材料に衝突する、または、2本のビームの偏光状態が相互に直交する領域において、ホログラフィック光学素子の記録をもたらさない記録材料露光が行われる。
【0025】
局所的に異なる回折効率がホログラフィック光学素子のため生成されることが意図されている場合、信号対参照ビームのビーム比を局所的に適合させ、その結果、ホログラフィック光学素子の回折効率を決定する干渉場の振幅を位置によって変化させる階調フィルタを使用することが可能である。階調フィルタは、例えば、マスクの上に置かれた、実質的に複屈折がない印刷ガラス板または透過型プラスチックフィルムによって生産されることがある。理想的に、階調フィルタは、デジタル印刷技術、例えば、インクジェット印刷またはレーザー印刷によって生産される。
【0026】
階調フィルタの他に、2本の書き込みビームのうちの少なくとも1本のビームの偏光状態を局所的に変化させる素子を使用することも可能であり、なぜならば、干渉場の振幅は、その結果、同様に影響を受ける可能性があるからである。適当な素子は、例えば、直線偏光子、4分の1波もしくは半波プレートであろう。直線偏光子は、階調フィルタの機能を果たす可能性もある。
【0027】
簡単なホログラフィック格子だけではなく、拡散特性も一緒にホログラフィック光学素子に露光することが望ましい場合、信号ビームは、光拡散板によって修正されることがある。マスクは、この場合、拡散板で空間割り当てを許可するために拡散板の上に置かれることがある。同様に、マスクと同じように参照ビームを修正することも可能である。後者の場合、参照ビームは、マスクと共に領域を定義し、信号ビームは、拡散特性を取り入れるので、「信号」情報は、参照ビームと信号ビームとの間で分割される。さらに、第1に、拡散板のマスターホログラムを生産することが可能であり、これは、第2のホログラフィック露光ステップにおいて、透過層の中に現実のホログラフィック光学素子を生産するために使用される。マスターホログラムが使用される場合、ポジマスクは、マスターホログラムの生産のためだけに必要とされ、引き続いて複製を作成するときに除去されてもよい。
【0028】
配光モジュールの出力結合装置は、いくつかの実施例を挙げるだけでも、例えば、マスキング方法(ポジマスク)によって、階調フィルタ、偏光フィルタを使用してビーム比を変化させることによって、拡散板を使用することによって、階調フィルタ(ネガマスク)を通してインコヒーレント前露光によって、または、個別のホログラフィック光学素子の連続的な光学印刷によって作られることがある。出力結合装置の修正は、例えば、放射線、化学的膨張もしくは収縮を使用してホログラムを消去することによって、機械的仕上げをすることによって、または、これらの方法のうちの2つ以上の組み合わせによって実行されることがある。
【0029】
ホログラフィック光学素子を有する異なった層を使用することが望ましい場合、これらの素子を別々に生産し、その後、積層ステップにおいて、または、接着方法によりこれらの素子を互いに貼り合わせることが有利であるということがある。異なった回折角をもつ異なったホログラフィック光学素子が使用される場合、別個のマスクがこれらのグループの各々に対して使用され、ビーム幾何学的形状は、相応して修正される。この場合、露光は、連続的に行われる。
【0030】
異なったホログラフィック光学素子が異なった再生周波数のため使用される場合、別個のマスクおよび異なってレーザーがこれらのグループの各々に対して使用される。この場合、露光は、連続的に行われることがある。各マスク開口部に色割り当てを定義する色フィルタを設けることが同様に可能である。露光は、その後、赤色、緑色および青色により構成される白色レーザーを用いて連続的に、かつ、同時に行われることがある。色フィルタの吸収が透過ビームに対しても同様にさらに変化させられる場合、回折効率は、同様に同時に適合させられる可能性がある。
【0031】
ホログラフィック光学素子が互いに隣接する、または、相互に重なる場合、マスクは、完全に除去される可能性があり、ガラス板/プラスチックフィルムは、露光のためそのまま使用されることがある。
【0032】
ポジマスクの他に、ネガマスクがさらに使用されることがある。この場合、露光される領域は、インコヒーレント前露光によって感度が低減される。この前露光の後に、現実のホログラフィック露光が記録フィルムの残りの領域で実行される。インコヒーレント前露光は、この場合、異なった光強度を用いて実行されることがある。このようにして、感度低減なしから完全な感度低減まで各領域を調整することが可能である。
【0033】
後続のホログラフィック露光は、その後に再び色選択的および/または方向選択的に実行されることがあるので、このようにして、回折効率は、ネガマスクを用いてインコヒーレント前露光によって調整されるのと同時に、色選択性および/または方向選択性がポジマスクを使用して第2のステップで形成される。記録媒体の感度低減は、ネガマスクを使用して実行されるので、ホログラフィック光学素子なしの領域がそれによって定義される。その後に、赤色、緑色および青色ホログラフィック光学素子がそれぞれのレーザーを用いて記録材料に連続的に書き込まれる。同様に、各ポジマスク開口部に色割り当てを定義する色フィルタを設けることが可能である。露光は、その後、赤色、緑色および青色により構成される白色レーザーを用いて連続的かつ同時に行われることがある。
【0034】
出力結合装置の中にホログラフィック光学素子を生産するため適している別の方法では、各ホログラフィック光学素子は、連続的に光学印刷される。この場合、xy変位台を使用して、記録材料が光学書き込みヘッドを通過させられるか、または、光学書き込みヘッドがxy位置決めユニットを用いて記録材料の上を案内される。この場合、各位置は、個別にアドレス指定され、ホログラフィック光学素子は、干渉露光を用いてその場所で露光される。この方法は、この場合、特に、個別のホログラフィック光学素子の再生方向の簡単な適合のためにも適当であり、なぜならば、簡単な適合は、光学書き込みヘッドまたは記録材料を回転することにより可能であるからである、書き込みヘッドは、当然ながら、複数のレーザーを使用することにより、または、信号−参照ビーム比を適合させる可能性があるフレキシブル階調フィルタもしくは偏光素子を用いて色選択性のようなさらなる機能も収容することがある。
【0035】
最初に、ホログラフィック光学素子を導光板の表面に表面幅で貼り付けること、および、後続のステップにおいて、領域内のホログラムを意図的に消去することにより、もしくは、可視スペクトルの異なった波長に対する回折特性に局所的に影響を与えることにより、ホログラフィック光学素子を個別化されたホログラフィック光学素子に構造化することは、同様に発明の範囲に含まれている。このことは、例えば、しかし、排他的にではなく、例えば、記録材料に適合したUV放射もしくは他の消去方法でホログラムを漂白することにより、マスクを使用して行われることがある。
【0036】
さらに、例えば、ホログラフィック光学素子の回折特性は、制御された局所的な膨張もしくは圧縮によりxy走査を介して可視スペクトルの異なった波長範囲に適合されることがある。適当な作用物質は、例えば、化学線により架橋可能であり、かつ、適当な屈折率を有し、局所的に拡散し、その後、架橋されるモノマーであろう。この手順は、好ましくは、記録材料として感光剤を使用するときに利用されることがある。
【0037】
最後に、スタンパブルかつ転写可能なフィルム材料を用いてホログラフィック光学素子を生産することが可能である。この場合、一様な格子構造体が露光され、パターンの構造体は、機械的に排除され、例えば、積層ステップを用いて導波路に転写される。
【0038】
出力結合装置は、好ましくは、ボリュームホログラムのための記録材料で構成される。適当な材料は、例えば、ハロゲン化銀乳剤、二色性ゼラチン、光屈折材料、光発色性材料または感光性ポリマーである。これらの中で、本質的に、ハロゲン化銀乳剤および感光性ポリマーが工業上重要である。非常に輝き、かつ、コントラストが鮮やかなホログラムがハロゲン化銀乳剤に書き込まれる可能性があるが、十分な長期間安定性を確実にするために感湿膜の保護のための費用増加が不可欠である。感光性ポリマーに対し、複数の基本的な材料概念、光開始剤系であるあらゆる感光性ポリマーの共通特徴、および、重合性書き込みモノマーが存在する。さらに、これらの構成要素は、キャリア材料、例えば、熱可塑性結合剤、架橋もしくは非架橋結合剤、液晶、ゾル・ゲル、または、ナノ多孔質ガラスの中に埋め込まれることがある。その上、さらなる特性は、特別の添加剤によって制御されたやり方で意図的に調整されることがある。特定の実施形態では、感光性ポリマーは、可塑剤、安定剤、および/またはその他の添加剤をさらに含有することがある。これは、例えば、欧州特許出願公開第2172505号明細書に記載されているような感光性ポリマーを含有する架橋マトリックスポリマーに関連して特に有利である。この文献の中に記載されている感光性ポリマーは、光開始剤として必要な波長にモジュール式に調整可能である光開始剤系と、化学線により重合可能な基を有する書き込みモノマーと、高度架橋マトリックスポリマーとを有する。国際特許出願公開第2011/054796号明細書に記載されるように選択された適当な添加剤が添加される場合、光学特性、生産可能性、および処理可能性の点で工業上有用な材料を提供する特に有利な材料を生産することが可能である。この方法による適当な添加剤は、特に、好ましくは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されているウレタンである。これらの材料は、これらの機械的特性の点で広範囲にわたって調整される可能性があり、その結果、照明状態および非照明状態の両方で多くの要件に適合させられる可能性がある(国際特許出願公開第2011054749号明細書)。記載された感光樹脂は、ロール・ツー・ロール方法(国際特許出願公開第2010091795号明細書)によって、または、印刷方法(欧州特許第2218742号明細書)によって生産される可能性がある。
【0039】
出力結合装置は、層構造体、例えば、光透過性基板と、感光性ポリマーの層とをさらに有することがある。この場合、感光性ポリマーを備える出力結合装置を導光板に直接的に積層することが特に都合がよい。感光性ポリマーが2つの熱可塑性フィルムによって包囲された出力結合装置を構成することが同様に可能である。この場合、2つの熱可塑性フィルムのうち感光性ポリマーに隣接する一方が光透過性接着フィルムを用いて導光板に貼り付けられるのが特に有利である。
【0040】
出力結合装置の熱可塑性フィルム層は、好ましくは、透過型プラスチックで構成される。非晶性熱可塑性物質のような実質的に複屈折なしの材料が、この場合には、特に好ましく使用される。ポリメチル・メタクリレート、セルロース・トリアセテート、非晶性ポリアミド、非晶性ポリエステル、非晶性ポリカーボネート、シクロオレフィン(COC)、または上記ポリマーの混合物は、この場合に適する。ガラスは、このため同様に使用されることがある。
【0041】
出力結合装置は、ハロゲン化銀乳剤、二色性ゼラチン、光屈折材料、光発色性材料および/または感光性ポリマーをさらに含有することがあり、特に、感光性ポリマーは、光開始剤系および重合性書き込みモノマーを含有し、好ましくは、感光性ポリマーは、光開始剤系、重合性書き込みモノマー、および架橋マトリックスポリマーを含有する。
【0042】
並進対称性なしのホログラフィック光学素子の配置は、例えば、ある点間隔をもつ規則的な点格子が初期構成として仮定され、各点がホログラフィック光学素子に対応している物理モデルによって記述されることがある。格子の各点は、引張ばねによって4個の最近傍の各々に接続されている点質量が割り当てられる。これらの引張ばねは、ある一定の大きさで圧縮応力が加えられ、すなわち、ばねの静止長は、格子点間の平均距離未満である。
【0043】
ばねのばね定数は、平均値の周りに統計的に分布している。続いて、システム全体のエネルギーの最小値が決定される。これにより得られる点質量位置は、望ましい特性を有する格子を形成する:
2つの隣接する点間の平均距離は、依然としてaである。格子は、非周期的である。優先方向が存在することなく、自己相関関数は、aより大きい値に対して急激に減少する。減少の勾配は、ばね定数の値の分散によって制御される可能性がある。
【0044】
格子の自己相関関数を計算できるようにするために、関数がこの格子に最初に割り当てられなければならない。これは、値1が割り当てられた格子の線にあり、他のすべての点には値0が割り当てられた、すべての点(x,y)によって行われることがある。この関数f(x,y)に対して、自己相関関数は、それ自体が知られた方法で決定される可能性がある(E.Oran Brigham,FFT/ Schnelle Fourier−Transformation[Fast Fourier Transform],R.Oldenbourg Verlag,Munich/Vienna 1982,p.84以下を参照):
エッジ長さがaである正方形格子のような厳密に周期的な格子の場合、nが整数であるとして、x=n*aまたはy=n*aであるあらゆる点における関数Z(x,y)は、値nとは独立にそれぞれに等しい振幅の最大を有する。近接性が保存されるが、遠距離順序が保存されないようにこの格子が変形されるとすぐに、最大の振幅は、変化するnと共に急激に減少する。
【0045】
このようにして構造化されたホログラフィック光学素子の配置は、並進対称性をもつ格子より視覚的に目立たない、という利点がある。このため、平均格子間隔は、より大きくなるように選択される可能性があり、生産コストが削減される可能性がある。さらに、平均格子線間隔がより大きくなるので、出力結合装置の光透過性が増大される。さらに、モアレ効果の出現が抑制される。
【0046】
発明による配光モジュールの有利な構成において、ホログラフィック光学素子は、単位面積当たりのホログラフィック光学素子の個数が出力結合装置の少なくとも1つのエッジから中央の方向に増加するように配置される。この配置は、特に、光源からの光が取り入れられる導光板の側面に対応する出力結合装置のエッジに対して当てはまる。この点で、2台の光源が導光板の反対側の側面に配置されているとき、単位面積当たりのホログラフィック光学素子の個数は、このようにして、出力結合装置の2つの反対側のエッジから中央の方向に増加することがある。光源が導光板の3または4つの側面に配置されている場合、上記分布が相応して当てはまる。光源が点光源である場合、出力結合装置の個数は、それぞれ点光源の間において、導光板のエッジの近くで増加することがさらに有利である。この構成は、1台以上の光源が導光板のエッジに位置決めされたときと同様に行われる。発明による配光モジュールにおいて、多数のホログラフィック光学素子が出力結合装置の中に存在する。本発明との関連において、多重度は、出力結合装置の中の少なくとも10個のホログラフィック光学素子、好ましくは、少なくとも30個、好ましくは、少なくとも50個、より好ましくは、少なくとも70個、特に好ましくは、少なくとも100個のホログラフィック光学素子の存在を意味することが意図されている。
【0047】
発明による配光モジュールの別の実施形態では、ホログラフィック光学素子が出力結合装置の中に形成され、出力結合装置の平坦側の一方から出力結合装置の中に延在し、および/または、出力結合装置の中を完全に通り抜ける。このような実施形態では、出力結合装置は、ホログラフィック光学素子が位置している導光板を有するこの平坦側と接触していることが特に好ましい。このようにして、ホログラフィック光学素子の出力結合効率が改善されるように、導光板と出力結合装置との間の特に効率的な光学的接触が生成される可能性がある。
【0048】
本発明の範囲において、出力結合装置または導光板は、光出力結合方向と反対側にある平坦側に貼り付けられた反射層がさらに設けられることがある。このことは、例えば、蒸着、スパッタリング、またはその他の技術によって、金属反射層を塗布することにより行われることがある。このようにして、出力結合効率が増大される可能性があり、または、強度損失が削減される可能性がある。
【0049】
発明による配光モジュールの別の好ましい実施形態によれば、ホログラフィック光学素子の回折効率が異なり、ホログラフィック光学素子の回折効率は、特に、出力結合装置のエッジから導光板への光の入射方向に沿って増加する。反対側の光源が設けられる場合、回折効率は、光源が光を導光板の中に入力結合する側方エッジから出力結合装置の中央の方向に増加するのが有利である。導光板の3または4つの側方エッジに光源が設けられている場合、回折効率に関する上記配置が相応して当てはまる。光源が点光源である場合、それぞれ点光源の間において導光板のエッジの近くで回折効率が増大することは、さらに有利である。
【0050】
本発明の範囲において、ホログラフィック光学素子が導光板からの少なくとも400から800nmの波長範囲にある光を出力結合できることが特に有利である。これとは無関係に、より広い波長範囲を対象とするホログラフィック光学素子を使用することも可能である。逆に、可視波長範囲の一区分だけ、特に、赤色、青色もしくは緑色光の範囲だけを対象とし、または、黄色光を対象とすることもあるホログラフィック光学素子を使用することも可能である。このようにして、導光板からの白色光の個別の光色の色選択性出力結合が行われる可能性がある。その結果として、本発明の特に好ましい実施形態は、ホログラフィック光学素子が波長選択的に光を出力結合する可能性がある配光モジュールで構成され、特に、赤色、緑色および青色光に対してそれぞれ波長選択性があるホログラフィック光学素子からなる少なくとも3つのグループが存在し、この場合、黄色に対する第4のグループがさらに使用されてもよい。
【0051】
発明による配光モジュールの別の構成において、ホログラフィック光学素子は、これらのホログラフィック光学素子によって出力結合された光が出力結合装置の中を横方向に完全に通り抜けるように構成されることがある。換言すると、透過型出力結合装置がこのようにして使用されることがある。これらの透過型出力結合装置の代替として、またはこれに加えて、ホログラフィック光学素子は、出力結合された光が反射され、出力結合された後に導光板の中を横方向に通過するように構成されることもある。換言すると、このことは、このような反射型出力結合装置が配光モジュールの放射方向と反対側にある導光板の平坦側に配置されることを意味する。この場合、反射層は、このタイプの反射型出力結合装置の外側面に設けられることもある。これは、上述のとおり、蒸着またはスパッタされた金属層で構成されている。
【0052】
本発明の範囲で使用されるホログラフィック光学素子のため、多数の考えられる構成的形式が採用されることがあり、ボリューム格子のような構成が好ましい。発明による配光モジュールの別の有利な構成では、少なくとも1台の出力結合装置は、導光板の両方の平坦側面に配置されることがあり、および/または、少なくとも2台の出力結合装置が導光板の一方の平坦側面に配置されることがある。複数の出力結合装置が導光板の平坦側面のうちの一方に設けられた場合、少なくとも3台の出力結合装置は、導光板の一方の平坦側面に配置されるのがさらに好ましく、3台の出力結合装置は、それぞれ、厳密に1つの光色、特に、赤色、緑色および青色光に対する波長選択性があるホログラフィック光学素子を含んでいる。換言すると、このような実施形態において、3台の出力結合装置の各々は、導光板からの1つの光色、すなわち、例えば、赤色、緑色もしくは青色光を選択的に出力結合する。
【0053】
出力結合装置は、意図された機能のため必要とされるあらゆる厚さを有することがある。特に、感光性ポリマー層の厚さが≧0.5μm、好ましくは、≧5μmかつ≦100μm、特に好ましくは、≧10μmかつ≦40μmであれば、特定の選択された波長だけが回折されるという効果を獲得することが可能である。例えば、各々が厚さ≧5μmである3つの感光性ポリマー層を互いに積層し、各々の場合にこれらの感光性ポリマーを別々に書き込むことが可能である。少なくとも3つの色選択性ホログラムが同時に、連続的に、または時間的に一部重なり合って1つの感光性ポリマー層に書き込まれるとき、≧5μmであるちょうど1つのこの感光性ポリマー層を使用することも可能である。上述の選択肢の代替案として、≦5μm、好ましくは、≦3μm、特に好ましくは、≦3μmかつ≧0.5μmである感光性ポリマー層を使用することがさらに可能である。この場合のため、唯一の個別のホログラムが、好ましくは、可視電磁波長範囲のスペクトル中央に近接している、または、照明システムの最長波長および最短波長放射範囲の2つの波長の幾何平均に近接している波長を使って書き込まれるものである。
【0054】
発明による配光モジュールの別の有利な構成では、ホログラフィック光学素子は、互いに独立して、出力結合装置の表面と平行に延在する少なくとも1つの空間軸において少なくとも300μm、特に、少なくとも400μm、または、なお一層少なくとも500μmの程度を有する。この構成は、本発明との関連において、ホログラフィック光学素子がディスプレイの離散的な画素を照明することが必要ではないので特に有利である。その代わり、このようなより大型のホログラフィック光学素子は、ディスプレイ背景の拡散および一様な照明を可能にする。
【0055】
発明による配光モジュールのため使用されるホログラフィック光学素子は、所望の形状を有することがある。一例を挙げると、ホログラフィック光学素子は、互いに独立して、出力結合装置の表面に、円形、楕円形、または、多角形、特に、三角形、四角形、五角形、六角形、台形もしくは平行四辺形のような断面を有する。この構成は、ホログラフィック光学素子が、例えば、出力結合装置の一方の側方エッジから反対側の側方エッジまで細片の形で配置されている実施形態をさらに含む。これらの細片は、出力結合装置の側方エッジと平行に、または、他の所望の角度で配置されることがある。この場合、細片の形式で構成された個別のホログラフィック光学素子は、互いに平行に、または、ある角度で延在する。
【0056】
発明による配光モジュールの別の構成可能性によれば、出力結合装置の個別のホログラフィック光学素子は、部分的に重なり、出力結合装置の表面は、特に、ホログラフィック光学素子で実質的に完全に覆われている。
【0057】
(例えば、光学印刷による)出力結合装置の生産方法に依存して、互いに隣接する、または、近傍のホログラフィック光学素子と重なる離散的なホログラフィック光学素子を生産することが可能である。一例を挙げると、3個以上のホログラフィック光学素子は、さらに互いに重なり、互いの上に重なることがある。他の生産方法(例えば、階調マスク)が使用される場合、ホログラフィック光学素子の間に離散的な境界が存在しないことがある。この場合、階調マスク印刷プロセスの(例えば、印刷ヘッドの解像度、または、階調領域の表現のためのインク用量によって指示された)イメージング性能は、ホログラフィック光学素子の基本的なサイズ、形状、回折効率などを決定する。印刷プロセスの解像度は、典型的に、dpi=1インチ当たりのドット数で指定され、これとの関連で、少なくとも100個の個別の印刷液滴が階調マスクによるホログラフィック光学素子の定義のため必要とされる、と仮定される。
【0058】
本発明の範囲において、配光モジュールは、配光板と光が放射される出力結合装置との組み合わせに平坦側面に配置された拡散板を備えることがあり、拡散板は、好ましくは、光学的接触が確立されることなしに導光板および/または出力結合装置に位置している。これは、好ましくは、導光板または拡散板の粗面化された表面もしくは表面上の粒子スペーサを用いて達成される。表面条件によって設定された間隔は、好ましくは、0.1mm以下であり、特に、0.05mm以下である。拡散板は、板の形をした素子であり、散乱層を備えるか、または、散乱層で構成されている。このようにして、特に一様な配光が生成される可能性がある。
【0059】
上述の第1の拡散板に加えて、放射方向に第1の拡散板の後方に、第1の拡散板からある距離で、第1の拡散板と平行に配置されたさらなる拡散板が設けられているとき、特に有利である。さらなる間隔のため、第1の拡散板に関連して上述された好ましい値が適用できる。換言すると、発明による配光モジュールは、1つ以上の拡散板を備えていてもよい。
【0060】
拡散板に代えて、または、加えて、ホログラフィック光学素子は、同様に、既に本質的に拡散機能を有する。このような機能は,生産中に対応する照明技術によってホログラフィック光学素子に既に与えられていることがある。
【0061】
原則的に青色発光光源だけを使用し、光が青色波長のためだけの光変調器Lの方へ均一に向けられるように発明に従って配光モジュールを構成することが同様に可能であり、色変換は、Qドットを使用して赤色画素および緑色画素のための光変調器の色フィルタの中で行われる。この設計の利点は、色フィルタが光を吸収しないが、変換するだけであるため、配光モジュールの構成が1層だけの使用によりこの配光モジュールの単色(青色)出力結合装置によって簡略化されるので、光効率が高くなることである。
【0062】
本発明は、さらに、本発明による配光モジュールを収容する光学ディスプレイ、特に、テレビジョン、携帯電話機、コンピュータなどのディスプレイに関係する。発明による配光モジュールの他に、発明によるディスプレイは、概して、光透過型デジタル空間光変調器および照明ユニットを備える。発明による配光モジュールの全体的な高さが小さいので、この配光モジュールは、テレビジョン、コンピュータスクリーン、ラップトップ、タブレット、スマートフォンおよびその他の類似する用途のような小型・薄型設計とエネルギー効率のよいディスプレイとに特に適する。
【0063】
発明による光学ディスプレイの好ましい構成において、前記ディスプレイは、原則的に青色光を放射する光源だけを含み、緑色光および赤色光への変換は、光源、出力結合装置のホログラフィック光学素子、拡散板、または、色フィルタにおいて量子レールの中のQドットを用いて行われる。
【0064】
従来型の背面ディスプレイ筐体が取り除かれ、背面ミラーリングが使用されない場合、これらの照明システムは、特に、販売時点情報管理ディスプレイにおいて様々な用途を有する透過型ディスプレイ、ショーウィンドウ、空港、鉄道駅、およびその他の公共空間にある透過型情報パネルにおいて宣伝用途を有する透過型ディスプレイ、ルーフライナーの中と、車のダッシュボードの中および上とフロントガラスとの情報ディスプレイとしての自動車用途における透明型ディスプレイ、窓ガラス枠における透過型ディスプレイ、透明扉付きの市販冷蔵庫およびその他の家庭電化製品における透過型ディスプレイにさらに適する。必要に応じて、この透過型ディスプレイは、曲面もしくはフレキシブルディスプレイとして構成されることもある。
【0065】
発明は、図面を用いて以下でより詳しく説明されるであろう。