特許第6437448号(P6437448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6437448改善した発泡性および向上した加工性のためのポリオレフィン系ケーブル用化合物の配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437448
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】改善した発泡性および向上した加工性のためのポリオレフィン系ケーブル用化合物の配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20181203BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20181203BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20181203BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20181203BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20181203BHJP
   C08L 91/08 20060101ALI20181203BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   C08L23/06
   C08K5/06
   C08K5/17
   C08J9/04 101
   C08J9/04CES
   C08J9/04CEZ
   C08L71/02
   C08L91/08
   C08L23/08
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-549425(P2015-549425)
(86)(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公表番号】特表2016-501962(P2016-501962A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013072621
(87)【国際公開番号】WO2014099335
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/740,715
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デイ−チュアン・リー
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−033158(JP,A)
【文献】 特開2000−230068(JP,A)
【文献】 特開昭49−066760(JP,A)
【文献】 特開2009−161738(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/086937(WO,A1)
【文献】 特開2009−270029(JP,A)
【文献】 特表2009−535490(JP,A)
【文献】 特表2011−522923(JP,A)
【文献】 SUN GUANGら,複合加工助剤のHDPEレオロジー性能及び力学性能に対する影響,高分子材料化学と工程(POLYMER MATERIALS SCIENCE AND ENGINEERING),中国,2006年 3月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/06
C08J 9/04
C08K 5/06
C08K 5/17
C08L 23/08
C08L 71/02
C08L 91/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性組成物であって、ブレンド物として、
A.二峰性高密度ポリエチレン(HDPE)を80〜99.9重量%含むエチレン系熱可塑性ポリマーと、
B.1,000〜100,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)から選択される改質剤成分と、
C.0超〜2重量%の膨張剤と、
D.任意選択的に、カーボンブラックと、を含み、前記重量百分率(重量%)が組成物の全重量に基づくものである、発泡性組成物。
【請求項2】
B.前記改質剤成分を0.1〜2重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックを0超〜3重量%含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アゾジカーボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホ−ヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミ−カルバジド、p−トルエンスルホニルセミ−カルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、および重炭酸ナトリウムから成る群から選択される化学膨張剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
二酸化炭素、窒素、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される物理膨張剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記改質剤成分が5,000〜50,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)であり、前記膨張剤がアゾジカーボンアミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記HDPEと、前記改質剤成分と、化学膨張剤と、任意選択的にカーボンブラックと、任意選択的に1種以上の添加剤とのブレンド物から本質的に成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物から作製されるポリマー発泡物品。
【請求項9】
ポリマー発泡材料を調製する方法であって、請求項1に記載の組成物を押出成形することと、前記組成物が前記ポリマー発泡物品に膨張することを可能にすることと、を含み、
a)前記組成物は、前記押出成形の前に膨張剤を含むか、
または
b)前記組成物は、前記押出成形の間に膨張剤と組み合わされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様において、本発明は、改質剤成分と、任意選択の膨張(または発泡)剤とをブレンドした高密度ポリエチレン(HDPE)を含む、エチレン系熱可塑性ポリマーの押出成形可能なブレンド物から成る組成物に関し、一方、別の態様では、本発明は、発泡物品を作製するためのこれらの組成物の使用に関する。別の態様では、本発明は、発泡物品を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンおよび発泡/膨張剤を含む発泡性組成物は、絶縁材および外被を作製するためのワイヤおよびケーブル用途に使用されてきた。しかしながら、ポリエチレン(PE)の発泡性には問題がある。
【0003】
発泡/膨張剤の選択に関連して、PE連鎖構造(例えば、鎖長、分岐など)を最適化することによって、ポリエチレンの発泡性を改善するための試みが行われてきた。今日まで、ポリエチレンの発泡性を改善するための最も効果的な手段は、高溶融強度の低密度ポリエチレン(LDPE)の使用を介するものであった。
【0004】
高密度ポリエチレン(HDPE)はコスト効果が良い材料であり、ワイヤまたはケーブルの伝導体を支持するための所望の剛性および硬性を提供する利点を有する。しかしながら、HDPEは、特に化学発泡/膨張剤と併せて使用されるとき、その半結晶質の性質に起因して、LDPEまたはLLDPEと比較して発泡させることがより困難である。
【0005】
産業の見地から、減少した(低い)重量および総合的性能特質のバランスを有する押出または成形されたケーブル構成要素の製造に使用され得る、改善した発泡性および高い加工性を有するHDPEに基づく材料を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、本発明は、発泡性組成物であって、ブレンド物として、
A.高密度ポリエチレン(HDPE)を含むエチレン系熱可塑性ポリマーと、
B.1,000〜100,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、1,000〜100,000の分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG)、ジエチレングリコール(DEG)、パラフィンワックス、極性ポリエチレンコポリマー、ポリエチレン/シランコポリマー、トリエタノールアミン(TEA)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される改質剤成分と、
C.任意選択的に、膨張剤と、
D.任意選択的に、カーボンブラックと、を含み、
膨張剤を有する該組成物から調製された発泡材料の密度は、同じ配合および膨張剤だが該改質剤成分を含有しない組成物から調製された発泡材料の密度より少なくとも1%低い、発泡性組成物である。
【0007】
複数の実施形態において、本組成物は、20〜99.9重量%の該エチレン系熱可塑性ポリマーと、0.1〜2重量%の該改質剤成分と、任意選択的にゼロ超(0超)〜2重量%の該膨張剤と、を含み、該重量百分率(重量%)は、本組成物の全重量に基づく。複数の実施形態において、本組成物は、ゼロ超(0超)〜3重量%のカーボンブラックを含む。複数の実施形態において、カーボンブラックは、該改質剤成分でコーティングされる。
【0008】
複数の実施形態において、本組成物は、化学および/または物理膨張剤を含む。複数の実施形態において、本組成物は、アゾジカーボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホ−ヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミ−カルバジド、p−トルエンスルホニルセミ−カルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、および重炭酸ナトリウムから成る群から選択される化学膨張剤を含む。複数の実施形態において、本組成物は、二酸化炭素、窒素、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される物理膨張剤を含む。
【0009】
複数の実施形態において、本組成物は、同じであるが該改質剤成分を含まずに作製された組成物より、少なくとも1%〜最大15%低い粘度を有する。
【0010】
複数の実施形態において、該改質剤成分は、1,000〜100,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。
【0011】
複数の実施形態において、該エチレン系熱可塑性ポリマーは、二峰性HDPEを含む。複数の実施形態において、該エチレン系熱可塑性ポリマーは、二峰性HDPEと、単峰性ポリエチレン(PE)、例えば、単峰性HDPE、単峰性中密度ポリエチレン(MDPE)、単峰性線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、および/または単峰性低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物を含む。
【0012】
他の実施形態では、該エチレン系熱可塑性ポリマーは、単峰性HDPE、または、単峰性HDPEと、第2の単峰性HDPE、単峰性MDPE、単峰性LLDPE、および/もしくは単峰性LDPEから成る群から選択される少なくとも1種のポリエチレン(PE)との混合物を含む。
【0013】
複数の実施形態において、本組成物は、該エチレン系熱可塑性ポリマーと、該改質剤成分と、任意選択的に該化学発泡/膨張剤と、任意選択的にカーボンブラックと、任意選択的に1種以上の添加剤とのブレンド物から本質的に成る。
【0014】
別の態様では、本発明は、本発明の組成物から作製されるポリマー発泡物品を提供する。複数の実施形態において、該ポリマー発泡物品は、ケーブル上のケーブル外被を含む。
【0015】
さらに別の態様では、本発明は、ポリマー発泡材料を調製するプロセスを提供し、該プロセスは、本発明の組成物を押出成形することと、該組成物がポリマー発泡物品に膨張することを可能にすることと、を含み、該組成物は、該押出成形の前に膨張剤を含むか、または、該組成物は、該押出成形の間に膨張剤と組み合わされる。一実施形態において、本プロセスは、本発明の組成物をケーブル上に押出成形することと、発泡してケーブル外被を形成することとを含み、これは、複数の実施形態において、減少したファイバ余長(EFL)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
別段の記載がある場合、文脈から黙示的である場合、または当技術分野において慣例的である場合を除き、全ての部分およびパーセントは重量に基づく。米国特許の慣例を目的として、いかなる参照特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に合成技術、生成物および加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において明確に提供されるいかなる定義とも矛盾しない限り)、ならびに当技術分野における一般知識の開示に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(またはその均等の米国版が参照により組み込まれる)。
【0017】
本開示における数値範囲はおよそであり、したがって、別段の指示がない限り、その範囲外の値を含み得る。数値範囲は、1単位の増分における、より低い値およびより高い値を含む、全ての値を含むが、但し、いかなるより低い値といかなるより高い値との間にも、少なくとも2単位の隔たりがあることを条件とする。一例として、例えば、分子量、重量百分率などの組成的、物理的、または他の特性が100〜1,000である場合、100、101、102などの全ての個別の値、および100〜144、155〜170、197〜200などの部分的範囲は明示的に列挙されることが意図される。1未満の値を包含するか、または1を超える分数を包含する範囲(例えば、0.9、1.1など)については、1単位は必要に応じて0.0001、0.001、0.01、または0.1と見なされる。10未満の1桁の数を包含する範囲(例えば、1〜5)については、1単位は典型的に0.1と見なされる。これらは明確に意図されるものの例に過ぎず、列挙される最低値と最高値との間の数値のあらゆる可能性のある組み合わせが、本開示において明示的に記載されると見なされるものとする。数値範囲は、とりわけ、組成物の成分量および種々の処理パラメータのために、本開示において提供される。
【0018】
「ワイヤ」および同様の用語は、伝導性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムの単一のストランド、または光ファイバの単一のストランドを意味する。
【0019】
「ケーブル」、「通信ケーブル」、「電力ケーブル」、および同様の用語は、シース、例えば、絶縁カバーもしくは保護用外部外被内の、少なくとも1本のワイヤまたは光ファイバを意味する。典型的に、ケーブルは、典型的に共通の絶縁カバーおよび/もしくは保護用外被内で、共に結合された2本以上のワイヤまたは光ファイバである。シース内の個別のワイヤまたはファイバは、裸であるか、被覆されているか、または絶縁されていてよい。結合ケーブルは、電気ワイヤと光ファイバとの両方を包含し得る。電気絶縁用途は、1kV(1000ボルト)未満のものである低圧絶縁と、1kV k〜30kVの範囲の中圧絶縁と、30kV〜150kVの範囲の高圧絶縁と、150kVを超える用途のための超高圧絶縁とに、一般的に分割される(IEC、International Electrotechnical Commissionによって定義される通り)。典型的なケーブル設計は、米国特許第5,246,783号、米国特許第6,496,629号、米国特許第6,714,707号、および米国特許出願公開第2006/0045439号に例示されている。
【0020】
「組成物」および同様の用語は、2種以上の成分の混合物またはブレンド物を意味する。
【0021】
「インターポリマー」および同様の用語は、少なくとも2種の異なる種類のモノマーを重合することによって調製されるポリマーを意味する。一般名称「インターポリマー」は、したがって、コポリマー(2種の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および2種以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
【0022】
「含む(Comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、およびそれらの派生語は、それが明確に開示されるか否かを問わず、一切の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を除外することを意図しない。一切の疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を介して特許請求される全ての組成物は、別段の記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を、ポリマーのものかそうでないかを問わず含み得る。対照的に、「から本質的に成る(consisting essentially of)」という用語は、操作性に本質的でないものを除き、一切の他の構成要素、ステップ、または手順を、一切の後続の記述の範囲からも除外する。「から成る(consisting of)」という用語は、明確に記述または列記されない一切の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0023】
別段の明示的な記述がない限り、ポリマー密度および発泡ポリマー密度は、ASTM D−792に従って決定される。
【0024】
別段の明示的な記述がない限り、「溶融指数−I」という用語は、2.16キログラム(kg)の荷重および190℃の温度の下で、ASTM D1238に従って決定される溶融指数を意味する。「溶融指数−I10」という用語は、10キログラム(kg)の荷重および190℃の温度の下で、ASTM D1238に従って決定される溶融指数を意味する。「溶融指数−I21」という用語は、21.6キログラム(kg)の荷重および190℃の温度の下で、ASTM D1238に従って決定される溶融指数を意味する。
【0025】
概説
本発明は、発泡(または膨張)剤、本組成物の向上した発泡性を提供するために効果的な量で存在する成分と組み合わされた、高密度ポリエチレン(HDPE)と、改質剤成分と、任意選択的にカーボンブラックと、任意選択の添加剤と、から成る、ワイヤおよび光ケーブルを含むケーブルのための外被ならびに絶縁体を含む発泡物品を製造するための、発泡性または発泡材料を対象とする。本組成物は、向上した加工性および押出成形のための低下した粘度をさらに提供する。
【0026】
本組成物は、可撓性かつ弾力性である発泡体および発泡物品を生産するために使用され得る。本組成物は、例えば、織物、靴底、靴補強材、および人工皮革、自転車、車椅子、およびベビーカーの車輪用のタイヤなどの多くの用途、ならびに、一般的な押出成形によって、または充填剤を含むもしくは含まないカレンダー成形シートもしくはフィルムによって形成されたワイヤやケーブルの絶縁および外被において使用され得る。
【0027】
高密度ポリエチレン(HDPE)
ポリマーブレンド組成物は、高密度ポリエチレン(HDPE)ポリマーから成るエチレン系熱可塑性ポリマーを含む。本明細書において使用される場合、「高密度ポリエチレン」ポリマーおよび「HDPE」ポリマーという用語は、0.941g/cm以上の密度を有するエチレンのホモポリマーまたはコポリマーを指す。「中密度ポリエチレン」ポリマーおよび「MDPE」ポリマーという用語は、0.926〜0.940g/cmの密度を有するエチレンのコポリマーを指す。「線状低密度ポリエチレン」ポリマーおよび「LLDPE」ポリマーという用語は、0.915〜0.925g/cmの密度を有するエチレンのコポリマーを指す。「低密度ポリエチレン」ポリマーおよび「LDPE」ポリマーという用語は、0.915〜0.925g/cmの密度を有するエチレンのコポリマーを指す。
【0028】
エチレン系熱可塑性ポリマーは、ASTM D−792に従って測定されたときに、0.940〜0.980、より典型的には0.941〜0.980、より典型的には0.945〜0.975、より典型的には0.950〜0.970g/cmの密度を典型的に有する。いくつかの実施形態では、エチレン系熱可塑性ポリマーは、0.940〜0.970g/cmの密度を有するエチレンのコポリマーである。
【0029】
一般的に、エチレン系熱可塑性ポリマーは、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kgに従って測定されたときに、0.01〜45、より典型的には0.1〜10、より典型的には0.15〜5、より典型的には0.5〜2.5g/10分の溶融指数(MI、I)を有する。
【0030】
エチレン系熱可塑性ポリマーは、30以下、より典型的には25未満、典型的には7〜25、より典型的には10〜22の溶融流量(MFR、I10/I)を典型的に有する。
【0031】
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、81,000〜160,000、より典型的には90,000〜120,000の重量平均分子量(Mw)(GPCによって測定される)と、4,400〜54,000、より典型的には5,000〜32,000の数平均分子量(Mn)(GPCによって測定される)とを有する。複数の実施形態において、Mw/Mn比または分子量分布(MWD)は、3〜18、より典型的には5〜16の範囲である。
【0032】
エチレン系熱可塑性ポリマーは、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも80モルパーセント(モル%)の、エチレンモノマー単位由来の単位を含む。エチレンインターポリマーの他の単位は、1種以上のαオレフィンに典型的に由来する。αオレフィンは、好ましくは、C3−20の直鎖状、分岐状、または環状αオレフィンである。C3−20αオレフィンの例としては、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、および1−オクタデセンが挙げられる。αオレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含有し得、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのαオレフィンをもたらす。用語の古典的な意味でのαオレフィンではないが、本発明の目的のために、ノルボルネンおよび関連するオレフィンなどの特定の環状オレフィン、具体的には5−エチリデン−2−ノルボルネンは、αオレフィンであり、上述のαオレフィンの一部または全部の代わりに使用することができる。例示的なエチレンインターポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、および同様のもののコポリマーが挙げられる。例示的なエチレンターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン−/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)、およびエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。
【0033】
本発明の実践に使用されるエチレン系熱可塑性ポリマーは、非官能化ポリマーであり、即ち、それらはヒドロキシル、アミン、アミドなどの官能基を含有しない。エチレンビニルアセテート、エチレンメチルまたはエチルアクリレート、および同様のもののようなポリマーは、本発明の文脈におけるエチレン系熱可塑性ポリマーではない。
【0034】
本発明において使用されるHDPEポリマーならびにMDPE、LLDPE、およびLDPEポリマーは、文献において周知であり、既知の技術によって調製することができる。
【0035】
一般的に、本組成物中に存在するエチレン熱可塑性ポリマーの量は、本組成物の全重量に基づいて、20〜99.9重量%、より典型的には40〜、より典型的には60〜、より典型的には80〜、より典型的には90〜99.9重量%である。全ての個別の値および20〜99.9重量%の部分的範囲、例えば94〜99.9重量%が、本明細書中に包含および開示される。
【0036】
単峰性HDPE
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、単峰性高密度ポリエチレン(HDPE)ポリマーである。
【0037】
本明細書で使用される「単峰性HDPE」、「単峰性MDPE」、「単峰性LLDPE」、および「単峰性LDPE」という用語は、多成分ポリマーを実質的に示さない分子量分布(MWD)(ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される)を有する、即ち、GPC曲線にこぶ状部、肩部、または尾部が存在しないか、または実質的に識別可能ではなく、かつ分離度(DOS)がゼロまたは実質的にゼロに近い、ポリエチレン(PE)ポリマーを指す。
【0038】
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、単峰性HDPEと1種以上の成分単峰性PEポリマーとの混合物であり、それによってGPC曲線内のMWDは多成分ポリマーを実質的に示さず、即ち、GPC曲線にこぶ状部、肩部、または尾部が存在しないか、または実質的に識別可能ではなく、かつ分離度(DOS)がゼロまたは実質的にゼロに近い。複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、単峰性HDPEと、第2の単峰性HDPE、単峰性MDPE、単峰性LLDPE、および/または単峰性LDPEから選択される1種以上の単峰性ポリエチレン(PE)との混合物である。
【0039】
単峰性PEポリマーは1組の重合条件下で生成され、例えば米国特許第5,324,800号に記載の通り、チーグラーナッタ(Ziegler−Natta)もしくはフィリップス(Phillips)型触媒またはシングルサイトメタロセン触媒などの好適な触媒を使用して、例えば溶液、スラリー、もしくは気相プロセスなどの従来の一段階重合(単一反応器)プロセスによって生成され得る。単峰性PE樹脂は周知であり、種々の等級で市販されている。単峰性PEの非限定的な例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能な、DGDK−3364NT(HDPE)およびDHDA−6548BK(MDPE)の商品名の下で販売されているものが挙げられる。
【0040】
多峰性HDPE
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、多峰性(即ち、二峰性)HDPEである。本明細書で使用される「多峰性」という用語は、GPC曲線内のMWDが2種以上の成分ポリマーを示し、1つの成分ポリマーが、成分ポリマーのMWDに対するこぶ状部、肩部、または尾部としてさえも存在し得ることを意味する。多峰性HDPEポリマーは、1つ、2つ、またはそれよりも多くの異なる触媒から、および/または2種以上の異なる重合条件下で調製される。多峰性HDPEポリマーは、少なくともより低い分子量成分(LMW)およびより高い分子量(HMW)成分を含む。各成分は、異なる触媒を用いて、および/または異なる重合条件下で調製される。「多(multi)」という接頭辞は、ポリマー内に存在する異なるポリマー成分の数に関する。HDPEポリマーの多峰性(または二峰性)は、既知の方法に従って決定され得る。典型的に、多峰性HDPEは二峰性HDPEである。
【0041】
複数の実施形態において、HMW成分は、0.90〜、より典型的には0.915〜0.935、より典型的には〜0.94g/cmの密度と、30以下、より典型的には10g/10分以下の溶融指数(I21)とを有する。二峰性HDPEポリマーのHMWのHDPEポリマー成分は、典型的に、10〜90、より典型的には30〜70重量%の量で存在する。
【0042】
複数の実施形態において、LMW成分は、0.940〜、より典型的には0.950〜0.975、より典型的には〜0.980g/cmの密度と、50以上、より典型的には80g/10分以上の溶融指数(I)とを有する。LMWのHDPEポリマー成分は、典型的に、10〜90、より典型的には30〜70重量%の量で存在する。
【0043】
多峰性HDPEは、チーグラーナッタもしくはフィリップス型触媒またはシングルサイトメタロセン触媒などの好適な触媒を使用して、例えば溶液、スラリー、もしくは気相プロセスなどの従来の重合プロセスを使用して生成され得る。多峰性HDPEの非限定的な例は、欧州特許第2016128(B1)号、米国特許第7,714,072号、および米国特許出願公開第2009/0068429号に記載されている。好適な多峰性HDPEの非限定的な例は、The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能な、商品名DGDK 6862NTの下で販売されている。
【0044】
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、二峰性HDPEと、1種以上の他の二峰性PE、ならびに/または1種以上の単峰性PE、例えば、HDPE、MDPE、LLDPE、および/もしくはLDPEとの混合物であり得る。
【0045】
改質剤成分
エチレン系熱可塑性ポリマーは、本明細書に記載の化合物の選択群の改質剤成分とブレンドされる。改質剤成分は、ポリマー組成物を改質し、発泡性を改善するように、エチレン系熱可塑性ポリマーとの組み合わせで機能する。
【0046】
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、以下の改質剤成分:1,000〜100,000、より典型的には5,000〜50,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)および/またはポリプロピレングリコール(PPG)、ジエチレングリコール(DEG)、パラフィンワックス、1種以上の極性ポリエチレンコポリマー、1種以上のポリエチレン/シランコポリマー、ならびにトリエタノールアミン(TEA)のうちの1種以上と組み合わされる。
【0047】
ポリエチレングリコール(PEG)の非限定的な例としては、Clariant Corporationから入手可能なPolyglykol(登録商標)、The Dow Chemical Co.から入手可能なCarbowax(商標)、ならびにGoLYTELY、GlycoLax、Fortrans、TriLyte、Colyte、Halflytely、Macrogel、MiraLAX、およびMoviPrepの商品名の下で販売されているものが挙げられる。
【0048】
ポリプロピレングリコール(PPG)の非限定的な例は、The Dow Chemical Coから入手可能な、商品名Polyglycol P−4000Eの下で販売されている。
【0049】
ジエチレングリコール(DEG)の非限定的な例は、The Dow Chemical Coから入手可能な、商品名Diethylene Glycol(高純度)の下で販売されている。
【0050】
極性基を有するポリエチレン(即ち、「極性ポリエチレンコポリマー」)は、エチレンモノマーと極性コモノマーとの共重合、または従来の方法に従って極性モノマーをポリエチレン上にグラフト化することによって生成され得る。極性コモノマーの例としては、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、およびビニルアセテートが挙げられる。複数の実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリレート、エチレン/アセテート、エチレン/ヒドロキシエチルメタアクリレート(EHEMA)、エチレン/メチルアクリレート(EMA)、および/またはエチレン/エチルアクリレート(EEA)コポリマーである。
【0051】
シラン官能基(即ち、「ポリエチレン/シランコポリマー」)を含むポリエチレンとしての改質剤成分は、エチレンモノマーをシラン化合物と共重合すること、または、例えば、米国特許第3,646,155号もしくは米国特許第6,048,935号に記載の通り、従来の方法に従ってシラン化合物をエチレンポリマー骨格上にグラフト化することによって生成され得る。シラン化合物の例としては、ビニルシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)およびビニルトリエチオキシシラン(VTEOS)などのビニルトリアルコキシシランコポリマーが挙げられる。
【0052】
本組成物中の改質剤成分の量は、本組成物の全重量に基づいて、典型的に0.1〜2、より典型的には0.3〜、より典型的には0.4〜、より典型的には0,5〜2重量%である。全ての個別の値および0.1〜2重量%の部分的範囲、例えば0.5〜2重量%が、本明細書中に包含および開示される。
【0053】
膨張剤
複数の実施形態において、本組成物は、膨張または発泡剤をさらに含む。本開示において、用語「膨張剤」および「発泡剤」は同義であり、単独または他の物質との組み合わせで組成物を発泡性にして気泡構造体を生成することができる物質を意味するために互換的に使用され得る。
【0054】
有用な膨張剤は、発泡プロセスの条件下の昇温で分解し、気体または蒸気を形成し、ポリマー組成物を発泡形態に膨張させる、分解性化学膨張剤を含む。化学膨張剤は好ましくは、ポリマー材料と容易に乾燥ブレンドされ得るように、固体形態を取る。好適な化学膨張剤の非限定的な例としては、アゾジカーボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホヒドラジド、4,4オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N′ジメチル−N,N′ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、重炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
他の実施形態では、発泡体を作製するためのプロセスにおいて物理膨張剤が使用され得る。物理膨張剤は、発泡プロセスの条件下で揮発し、気体または蒸気を形成し、ポリマー組成物を発泡形態に膨張させる気体および液体を含む。好適な物理膨張剤の非限定的な例としては、二酸化炭素および窒素を含む無機膨張剤と、例えば、イソブテン、イソペンタン、およびシクロペンタンを含む2〜9個の炭素(C〜C)を有する飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、ならびにトリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(HCFC−22)、および1−クロロ−1,1ジフルオロエタン(HCFC−142b)を含むクロロフッ化炭素、ならびに1,1,1,2−テトラフルオロ−エタン(HFC−134a)を含むフッ化炭素などのハロゲン化炭化水素、ならびにそれらの組み合わせなどの有機膨張剤とが挙げられる。
【0056】
複数の実施形態において、含まれる場合、本組成物中の膨張剤の量は、本組成物の全重量に基づいて、ゼロ超(0超)、典型的に0.1〜、より典型的には0.1〜2重量%におけるものである。全ての個別の値および0超〜2重量%の部分的範囲、例えば0.2〜2重量%が、本明細書中に包含および開示される。
【0057】
カーボンブラック
本組成物は、ケーブル外被に一般的に使用される非伝導性カーボンブラックを任意選択的に含有し得る。
【0058】
カーボンブラック成分は、未希釈または予め混合されたマスターバッチの一部として、エチレン系熱可塑性ポリマーおよび改質剤成分と化合され得る。
【0059】
複数の実施形態において、改質剤化合物は、カーボンブラック材料上のコーティングとして本組成物中に含まれる。複数の実施形態において、カーボンブラックの凝集体が改質剤成分でコーティングされる。改質剤成分は、例えば、米国特許第5,725.650号、米国特許第5,747.563号、および米国特許第6,124,395号に記載の通り、従来の方法を使用してカーボンブラック上にコーティングされ得る。
【0060】
複数の実施形態において、含まれる場合、本組成物中のカーボンブラックの量は、本組成物の全重量に基づいて、ゼロ超(0超)、典型的に1〜、より典型的には2〜3重量%におけるものである。全ての個別の値および0超〜3重量%の部分的範囲、例えば2〜3重量%が、本明細書中に包含および開示される。
【0061】
複数の実施形態において、本組成物は、半導体用途のための高レベルの伝導性カーボンブラックを任意選択的に含み得る。
【0062】
従来のカーボンブラックの非限定的な例としては、ASTM N550に記載の等級、N472、N351、N110、およびN660、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ならびにアセチレンブラックが挙げられる。好適なカーボンブラックの他の非限定的な例としては、Cabotから入手可能な、商品名BLACK PEARLS(登録商標)、CSX(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、MONARCH(登録商標)、REGAL(登録商標)、およびVULCAN(登録商標)の下で販売されているものが挙げられる。
【0063】
添加剤
本組成物は、未希釈またはマスターバッチの一部として従来の量で一般的に添加される、1種以上の添加剤を任意選択的に含有し得る。
【0064】
添加剤としては、難燃剤、加工助剤、造核剤、発泡剤、架橋剤、充填剤、顔料または着色剤、結合剤、抗酸化剤、紫外線安定剤(UV吸収剤を含む)、粘着付与剤、焦げ防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、伸展油、掃酸剤、金属不活性化剤、加硫剤、および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
難燃剤の非限定的な例としては、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
加工助剤の非限定的な例としては、ステアルアミド、オレアミド、エルカアミド、またはN,N′−エチレンビス−ステアルアミドなどの脂肪アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレン酸化物のポリマー、エチレン酸化物とプロピレン酸化物とのコポリマー、植物ワックス、石油ワックス、非イオン性界面活性剤、シリコーン溶液、ポリシロキサン、ならびに、Dupon Performance Elastomers LLCから入手可能なViton(登録商標)およびDyneon LLCから入手可能なDynamar(商標)などのフルオロエラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
造核剤を添加して、発泡セルの大きさを制御することができる。造核剤の非限定的な例としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、粘土、酸化チタン、シリカ、および同様のものなどの、無機物質が挙げられる。他の例としては、DuPontによるZonyl(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フルオロ添加剤、Milliken Chemicals,Spartanburg,S.C.によるHyperform(登録商標)HPN−20E(亜鉛ステアレートを有する1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩)、およびClariantによるHydrocerol(登録商標)NUC 5532などの造核剤マスターバッチが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
充填剤の非限定的な例としては、種々の難燃剤、粘土、沈降シリカおよびシリケート、フュームドシリカ、二硫化モリブデンおよび硫酸バリウムなどの金属硫化物ならびに硫酸塩、ホウ酸バリウムおよびホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩、アルミニウム無水物などの金属無水物、地中鉱物、ならびにEPDMおよびEPRなどのエラストマーポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、充填剤は一般的に、本組成物の重量に基づいて、従来の量、例えば、5重量%以下〜50重量%以上で添加される。
【0069】
発泡体の化合/調製
本発明の組成物は、押出成形または膨張した熱可塑性ポリマー発泡体、および膨張により形成された成形物品を形成するために使用され得る。
【0070】
発泡性ポリマー組成物は、任意の好適な方法によって生成され得る。例えば、本組成物は、エチレン系熱可塑性ポリマー、改質剤成分(複数可)、任意選択的にカーボンブラックおよび任意の添加剤、ならびに任意選択的に1種以上の膨張剤を、好適な混合装置内で共にブレンドすることによって調製され得る。成分のこのような化合は、例えば、BanburyまたはBolling内部混合器などの内部バッチ式混合器を使用してブレンドすることによって行うことができる。あるいは、Farrel連続混合器、Werner and Pfleiderer二軸混合器、またはBuss混練連続押出成形機などの、連続単軸もしくは二軸混合器を使用してよい。
【0071】
改質剤成分、カーボンブラック、および/または添加剤は、エチレン系熱可塑性ポリマー組成物中に、単独(未希釈)で、もしくは予め混合されたマスターバッチとして導入され得る。そのようなマスターバッチは、不活性プラスチック樹脂、例えば、ポリエチレン中に、改質剤、カーボンブラック、および/または添加剤を分散させることによって、一般的に形成される。マスターバッチは、溶融化合法によって簡便に形成される。
【0072】
複数の実施形態において、エチレン系熱可塑性ポリマーは、改質剤成分および任意選択の添加剤と、カーボンブラックを含まずに化合される。他の実施形態では、エチレン系熱可塑性ポリマー、改質剤成分、およびカーボンブラック(未希釈または予め混合されたマスターバッチとして)は、任意選択的に1種以上の添加剤と共に化合される。他の実施形態では、エチレン系熱可塑性ポリマーは、改質剤成分の表面処理を有するカーボンブラック、および任意選択の添加剤と、未希釈または予め混合されたマスターバッチとして添加される任意選択の追加量の改質剤成分と共に化合される。複数の実施形態において、改質剤成分は、未希釈で、または予め混合されたマスターバッチ内に、および/またはカーボンブラック材料上のコーティングとして導入される。
【0073】
発泡剤は、本組成物の押出成形の前またはそれと同時に、本組成物と混合することができる。複数の実施形態において、化学膨張剤がポリマー溶融物中に組み込まれ、これが次に発泡材料に加工される。他の実施形態では、発泡ステップの間に物理膨張剤がポリマー溶融物中に組み込まれる。押出形成または他の加工ステップと同時に本組成物が発泡される実施形態では、物理発泡剤が好ましくは使用される。膨張剤は、溶融ポリマー材料の実質的膨張を防止し、かつ一般的に膨張剤をその中に均質に分散させるために十分な昇圧で、溶融ポリマー材料と混合される。任意選択的に、造核剤をポリマー溶融物中にブレンドすることができる。
【0074】
発泡構造体は、例えば、米国特許第6,048,909号、米国特許第6,767,931号、米国特許第7,045,556号、および米国特許第7,226,955号に記載の、従来の押出発泡プロセスによって作製されてもよい。
【0075】
一実施形態では、分解性化学膨張剤および任意選択的に架橋剤を含む組成物が調製されてダイを介して押出成形され、任意選択の架橋が誘発され、押出成形された溶融材料が次に昇温に曝露されて化学膨張剤を放出し、発泡または膨張をもたらして発泡構造体を形成することができる。発泡性溶融ポリマー材料は、化学膨張剤(および/または架橋剤)の時期尚早の分解を防止するため、および時期尚早の架橋を防止するために、ある温度に加熱または曝露される。発泡性溶融ポリマー材料は、所望の形状のダイを介して押出成形または運搬され、発泡性構造体を形成する。
【0076】
気泡絶縁押出成形プロセスは、均一かつ一定の発泡を確保して、発泡絶縁体の膨張レベルおよび絶縁壁の厚さの精確な制御を達成するために、臨界温度制御を必要とする。膨張剤は、製造押出成形プロセスの間に押出成形機およびクロスヘッドを通過しながら分解される。溶解された気体を含有するポリマー溶融物が押出成形コーティングダイを出て、溶融圧力が大気圧に低下するとき、過飽和条件が発生する。これは、気体セルの造核およびセルの成長を可能にする。ダイを出た後、水桶までの空隙の長さは、発泡体の直径伸長を可能にする。ワイヤが水桶に進入すると、発泡体の膨張および直径の成長は、絶縁面の急速な凝固によって停止される。複数の実施形態において、発泡性溶融ポリマー材料は、上記のプロセスに従って、選択された温度で基材(例えば、ケーブル構成物)上にコーティングされ得る。
【0077】
別の実施形態では、発泡材料は、エチレン系熱可塑性ポリマー、改質剤成分、任意選択のカーボンブラック、および任意選択の添加剤を共に溶融ブレンドし、物理膨張剤を組み込み、この材料を、減少した、またはより低い圧力の範囲に、所望の形状のダイを介して押出成形し、発泡構造体を形成することによって調製され得る。複数の実施形態において、発泡性溶融ポリマー材料は、選択された温度で基材(例えば、ケーブル構成物)にコーティングされ、気泡構造体を最適化することができる。
【0078】
複数の実施形態において、発泡プロセスにおいて、化学発泡剤の含有または物理膨張剤の使用によって本組成物から調製された発泡材料(例えば、圧縮成形プラーク)の密度は、同じ発泡プロセスによって、同じ配合だが化学発泡剤の含有または物理膨張剤の使用を伴わない組成物から作製された発泡材料(例えば、圧縮成形プラーク)の密度より少なくとも1%低い。
【0079】
製造物品
本発明の組成物は、発泡シート、ファイバ、成形品、および押出成形部品を含むがこれらに限定されない、様々な物品またはそれらの構成要素部品もしくは部分を調製するために使用され得る。
【0080】
本発明のポリマー組成物から調製され得る物品としては、とりわけ、ワイヤやケーブルの外被、ウェザーストリップ、ベルト、床仕上げ材、密封剤、ガスケット、ホース、管、パイプ、シート、履物構成要素、コンピュータ部品、自動車部品、建築材料、電力供給筺体、貯蔵または包装容器、音響デバイス、ユーティリティーカート部品、玩具、および船舶部品、屋根膜が挙げられる。これらの物品は、既知の設備および技術を使用して製造され得る。
【0081】
一実施形態では、本発明の組成物は、既知量で、かつ既知の方法によって(例えば、米国特許第5,246,783号、米国特許第6,714,707号、米国特許第6,496,629号、ならびに米国特許第2006/0045439号に記載の設備および方法を用いて)、シースまたは絶縁層としてケーブルに適用され得る。典型的に、本組成物は、ケーブルコーティングダイを備えた反応器−押出成形機内で調製され、本組成物の成分が配合された後、ケーブルがダイを介して引かれるにつれて本組成物がケーブル上に押出され、発泡材料層を形成する。
【0082】
本発明は、以下の実施例を介してさらに完全に説明される。別段の記載がない限り、全ての部分および百分率は重量を単位とする。
【0083】
以下の材料を実施例に使用した。
DMDA−1250 NTは、CONTINUUM(商標)DMDA−1250 NT 7としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な、0.955g/cmの密度および1.5g/10分(190℃/2.16kg)の溶融指数(MI、I)を有するUnipol気相二峰性HDPEである。
DFDB−3580 NTは、The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.935g/cmの密度および0.6g/10分(190℃/2.16kg)の溶融指数(MI、I)を有するUnipol気相単峰性MDPEである。
DGDA−6944は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.965g/cmの密度および8.0g/10分(190℃/2.16kg)の溶融指数(MI、I)を有するUnipol気相単峰性HDPEである。
GRSN−2420 NTは、The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.924g/cmの密度および20g/10分(190℃/2.16kg)の溶融指数(MI、I)を有するUnipol気相単峰性HDPEである。
化学膨張マスターバッチとして使用されるアゾジカーボンアミド(AZO)は、Rita−ChemによるCellcom AC7000F、またはGalata ChemicalによるCelogen AZ−130という商品名で市販されている。
Irganox 1010は、Ciby Specialty Chemicals Inc.から市販されている抗酸化剤である。
PEG 20,000は、Clariant Corporation,Charlotte,N.C.から商品名Polyglykol(登録商標)で市販されている、20,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。
DFNC−0037BKは、The Dow Chemical Companyから市販されている、ペレット状の45%のカーボンブラックマスターバッチ(「CBM」)(粒径:平均20ミリミクロン(0.02ミクロン))である。
【0084】
表1に示す通り、商業的な単峰性および二峰性HDPEと、カーボンブラック、任意選択的に改質剤成分としてのPEG−20000、ならびに/またはアゾジカーボンアミド化学発泡剤とのブレンド物を化合し、発泡プラークに形成し、密度を測定した。
【0085】
HDPEポリマー(複数可)、カーボンブラックマスターバッチ、任意選択的にPEG−20000(CS1、実施例1、および実施例2)、ならびに任意選択的にアゾジカーボンアミド(AZO)膨張剤(実施例1、CS3、実施例2、およびCS4)を、5分にわたって185℃で50RPM(0.833Hz)のBrabender混合ボウルに導入することによって、表1の組成物ブレンド物を調製した。この混合化合物を圧縮成形し、手動モードで操作されたWabash電気プレスを使用して、8インチ×8インチ×75ミル(20.32cm×20.32cm×75ミル)のプラークを生成した。プレスを179℃(±5℃)に予熱し、材料を予め秤量し、離型剤処理したMylarで作製された成形型アセンブリとアルミニウムシートとの間の75ミルステンレス鋼プラークの中心にそれを配置した。充填された成形型を次に500psi(35.15kg/cm)のプレス内に5分間配置した。5分後、圧力を5分間2,500psi(175.76kg/cm)に上昇させた。プラークを次に−15℃/分の速度で緩徐に冷却し、温度が室温に達したときに取り除いた。液体培地としてイソプロパノールを使用して、ASTM D792−86に従って20℃において、プラークの基準および発泡密度を次に測定した。
【表1】


【0086】
化学膨張剤(AZO)の発泡性は、圧縮成形プラークの密度によって示される。同レベルの膨張剤で、より低いプラーク密度を有する化合物は、より高い発泡性を有し、発泡がより容易であった。
【0087】
表1中の結果は、対照サンプルCS2の二峰性HDPE樹脂の一部を0.54重量%のAZOと置換して、サンプルCS3を生成することにより、プラーク密度の4.3%の低減がもたらされたことを示す。この結果はまた、対照サンプルCS2中の二峰性HDPE樹脂の一部を0.54重量%のAZOおよび0.6重量%のPEGと置換して、実施例1を生成することにより、対照(CS2)と比較してプラーク密度の6.1%の低減がもたらされたことを示す。したがって、PEGの存在(実施例1において)は、同じ配合物(CS3)を含みPEG成分を含まない化合物と比較して、発泡性(即ち、プラーク密度を低減する能力)を41%改善した。
【0088】
同様の改善が、異なるポリエチレン(PE)組成物を有するサンプルの対について観察された。0.6重量%のPEGおよび0.5重量%の膨張剤を含有する実施例2(単峰性HDPE+MDPE)の密度(0.9176)は、PEGを含まずに作製された同じ配合物(CS6)の密度(0.9303)よりも1.4%低かった。したがって、PEGの存在(実施例2)は、PEG成分を含まない同じ配合物(CS6)と比較して、発泡性を54%改善した。
【0089】
この結果はまた、化学膨張剤の非存在下で、0.6重量%のPEGの存在が、プラーク密度を著しく変化させることはなかったことを示した。これは、CS2(d=0.9661)と比較して0.12%低い密度を有したCS1(d=0.9673)による二峰性HDPE樹脂、および、CS5(d=0.9546)と比較して0.05低い密度を有したCS4(d=0.9551)による単峰性HDPE(+MDPE)樹脂について例示される。
【0090】
この結果は、化学膨張剤および改質剤成分(例えば、PEG)の両方と共に作製された本発明の樹脂組成物が、同じ配合だが化学膨張剤または改質剤を有しない樹脂から作製された発泡材料と比較して、発泡材料の密度の著しい低減を提供することを示す。
粘度の低減
【0091】
HDPE材料の低下した密度に加え、改質剤成分(例えば、PEG)の添加は、改質剤成分を含まずに作製された同じ樹脂配合物と比較して、HDPE組成物の粘度を低下させた。
【0092】
表1に示す通り、CS1サンプル(0.6重量%のPEGを有する二峰性HDPE)は、同じ剪断速度範囲にわたって214〜137Pa・sの範囲の見掛け粘度を有したCS2サンプル(PEGを含まない同じ配合物)と比較して、590〜1115秒−1の範囲の剪断速度にわたって196〜128Pa・sの範囲の、より低い見掛け粘度を有した。
【0093】
同様に、CS4サンプル(0.6重量%のPEGを有する単峰性HDPE+MDPE)は、同じ剪断速度範囲にわたって251〜173Pa・sの範囲の見掛け粘度を有したCS5サンプル(PEGを含まない同じ配合物)と比較して、520〜1015秒−1の範囲の剪断速度にわたって274〜191Pa・sの範囲であった、より低い見掛け粘度を有した。
【0094】
本発明は、本明細書に包含される実施形態および図示説明に限定されることはなく、実
施形態の部分および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の修正形
態も、添付の特許請求の範囲内に収まることが特に意図される。
本出願は、例えば以下の発明を提供する。
[1] 発泡性組成物であって、ブレンド物として、
A.高密度ポリエチレン(HDPE)を含むエチレン系熱可塑性ポリマーと、
B.1,000〜100,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、1,000〜100,000の分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG)、ジエチレングリコール(DEG)、パラフィンワックス、極性ポリエチレンコポリマー、ポリエチレン/シランコポリマー、トリエタノールアミン(TEA)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される改質剤成分と、
C.任意選択的に、膨張剤と、
D.任意選択的に、カーボンブラックと、を含み、
膨張剤を有する前記組成物から調製された発泡材料の密度は、同じ配合および膨張剤だが前記改質剤成分を含有しない組成物から調製された発泡材料の密度より少なくとも1%低い、発泡性組成物。
[2] A.20〜99.9重量%の前記エチレン系熱可塑性ポリマーと、B.0.1〜2重量%の前記改質剤成分と、を含み、前記重量百分率(重量%)は、前記組成物の全重量に基づく、[1]に記載の組成物。
[3] C.0超〜2重量%の前記膨張剤、および/またはD.0超〜3重量%の前記カーボンブラックのうちの少なくとも1種をさらに含む、[2]に記載の組成物。
[4] アゾジカーボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホ−ヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミ−カルバジド、p−トルエンスルホニルセミ−カルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、および重炭酸ナトリウムから成る群から選択される化学膨張剤を含む、[1]に記載の組成物。
[5] 二酸化炭素、窒素、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される物理膨張剤を含む、[1]に記載の組成物。
[6] 前記改質剤成分を含まずに作製された前記組成物より、少なくとも1%〜最大15%低い粘度を有する、[1]に記載の組成物。
[7] 前記改質剤成分は、1,000〜100,000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である、[1]に記載の組成物。
[8] 前記HDPEと、前記改質剤成分と、任意選択的に前記化学発泡/膨張剤と、任意選択的にカーボンブラックと、任意選択的に1種以上の添加剤とのブレンド物から本質的に成る、[1]に記載の組成物。
[9] [1]に記載の組成物から作製されるポリマー発泡物品。
[10] ポリマー発泡材料を調製する方法であって、[1]に記載の組成物を押出成形することと、前記組成物がポリマー発泡物品に膨張することを可能にすることと、を含み、a)前記組成物は、前記押出成形の前に膨張剤を含むか、またはb)前記組成物は、前記押出成形の間に膨張剤と組み合わされる、方法。
【0095】
粘度の低減
HDPE材料の低下した密度に加え、改質剤成分(例えば、PEG)の添加は、改質剤成分を含まずに作製された同じ樹脂配合物と比較して、HDPE組成物の粘度を低下させた。
【0096】
表1に示す通り、CS1サンプル(0.6重量%のPEGを有する二峰性HDPE)は、同じ剪断速度範囲にわたって214〜137Pa・sの範囲の見掛け粘度を有したCS2サンプル(PEGを含まない同じ配合物)と比較して、590〜1115秒−1の範囲の剪断速度にわたって196〜128Pa・sの範囲の、より低い見掛け粘度を有した。
【0097】
同様に、CS4サンプル(0.6重量%のPEGを有する単峰性HDPE+MDPE)は、同じ剪断速度範囲にわたって251〜173Pa・sの範囲の見掛け粘度を有したCS5サンプル(PEGを含まない同じ配合物)と比較して、520〜1015秒−1の範囲の剪断速度にわたって274〜191Pa・sの範囲であった、より低い見掛け粘度を有した。
【0098】
本発明は、本明細書に包含される実施形態および図示説明に限定されることはなく、実施形態の部分および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の修正形態も、以下の特許請求の範囲内に収まることが特に意図される。