(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部に設けられ、前記第1の方向に移動可能に前記測定部が取り付けられるとともに、前記第1の方向における前記測定部の移動を制限可能な保持部、をさらに具備する請求項1乃至請求項8のいずれか一つの測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0008】
図1は、第1の実施形態に係る三次元測定システム10を概略的に示す図である。三次元測定システム10は、例えば、測定装置11と、トラッカ12と、コンピュータ13とを有する。なお、三次元測定システム10の構成はこれに限らない。
【0009】
測定装置11は、測定機15と、ガイド装置16とを有する。測定機15は、測定部の一例であり、例えば、プローブ又はタッチプローブとも称され得る。ガイド装置16は、例えば、ホルダ又は治具とも称され得る。測定機15は、ハンディタイプの三次元測定機であり、ガイド装置16に取り外し可能に取り付けられる。
【0010】
測定機15は、例えば、作業者によって被測定物18に接触させられた状態で、当該被測定物18に対して相対的に移動させられる。測定機15は、ガイド装置16に取り付けられた状態で使用されるが、ガイド装置16から取り外された状態で使用することも可能である。なお、測定機15はこれに限らず、例えば、台座に接続された三次元測定機であっても良い。
【0011】
図2は、第1の実施形態の測定装置11を示す斜視図である。
図3は、第1の実施形態の測定装置11を示す断面図である。
図3は、測定機15を部分的に省略して示す。
図4は、第1の実施形態の測定装置11を示す底面図である。
【0012】
図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、測定装置11の長さに沿う。Y軸は、測定装置11の幅に沿う。Z軸は、測定装置11の高さに沿う。
【0013】
図3に示すように、測定機15は、本体21と、スタイラス22とを有する。本体21は、被検出部の一例である。
図2に示すように、本体21は、例えば、Z軸に沿う方向に延びた棒状に形成される。本体21は、他の形状を有しても良い。
【0014】
図1に示すように、本体21は、レトロリフレクタ25を有する。レトロリフレクタ25は、例えば、再帰反射器、再帰反射材、鏡、反射部、又は被検出部とも称され得る。レトロリフレクタ25は、入射した光を、入射方向と平行で、かつ反対の方向へと反射する。レトロリフレクタ25は、例えばコーナーキューブであるが、他のレトロリフレクタであっても良い。レトロリフレクタ25は、例えば、Z軸と交差する方向に向く。
【0015】
図3に示すスタイラス22は、取り外し可能に本体21に取り付けられる。例えば、スタイラス22は、被測定物18に対応する形状のスタイラス22と交換可能である。スタイラス22は、接触子28と、柱部29とを有する。
【0016】
接触子28は、例えば、球状に形成される。接触子28は、半球状のような他の形状に形成されても良い。接触子28は、例えば、ルビーのような硬く且つ摩擦係数が低い材料によって作られる。
【0017】
柱部29は、接触子28からZ軸に沿う正方向(Z軸の矢印が示す方向)に延びる円柱状に形成される。言い換えると、柱部29の先端に、接触子28が設けられる。柱部29の半径は、接触子28の半径よりも小さい。柱部29のZ軸に沿う正方向の端部は、本体21に設けられたソケット21aに取り外し可能に固定される。このため、柱部29は、本体21と接触子28とを接続する。
【0018】
ガイド装置16は、基部31と、スライド板32と、第1のガイド33と、加圧部34と、インデックスプランジャ35と、ブッシュ部36と、クランプ部37とを有する。基部31は、支持部の一例であり、例えば、載置部、壁、又は板とも称され得る。スライド板32は、可動部の一例であり、例えば、支持部、取付部、回動部、又は揺動部とも称され得る。第1のガイド33は、例えば、当接部又は接触部とも称され得る。加圧部34は、例えば、離間部、押付部、又は付勢部とも称され得る。インデックスプランジャ35は、制限部の一例であり、例えば、加圧部、保持部、固定部、又はロックとも称され得る。ブッシュ部36は、保持部の一例である。クランプ部37は、回転制限部の一例である。
【0019】
基部31は、ベースプレート41と、スライドガイド42とを有する。スライドガイド42は、第1の受け部の一例である。ベースプレート41は、例えば金属によって作られ、X‐Y平面上に広がる略四角形の板状に形成される。ベースプレート41は、他の材料によって作られても良いし、他の形状に形成されても良い。ベースプレート41は、第1の面41aと、第2の面41bとを有する。
【0020】
第1の面41aは、Z軸に沿う負方向(Z軸の矢印の反対方向)に向く略平坦な面である。Z軸に沿う負方向は、第1の方向の一例である。第2の面41bは、第1の面41aの反対側に位置し、Z軸に沿う正方向に向く。
【0021】
第1の面41aに、例えば、ポリテトラフルオロエチレンシートが貼りつけられる。一方、第2の面41bは、ベースプレート41の材料である金属によって形成される。このため、第1の面41aの摩擦係数は、第2の面41bの摩擦係数よりも小さい。なお、第1の面41aはこれに限らない。
【0022】
ベースプレート41に、第1の孔41cと、第2の孔41dとが設けられる。第1の孔41cと第2の孔41dとはそれぞれ、Z軸に沿う方向にベースプレート41を貫通し、第1の面41aと第2の面41bとに開口する。
【0023】
第1の孔41cは、例えば、略円形の孔である。第1の孔41cの半径は、接触子28の半径よりも大きい。第2の孔41dは、例えば、X軸に沿う方向に延びる略長方形の孔である。第2の孔41dは、第1の孔41cに対してX軸に沿う負方向(X軸の矢印の反対方向)に離間した位置に設けられる。
【0024】
スライドガイド42は、ベースプレート41の第1の面41aに固定される。スライドガイド42に、収容部42aが設けられる。収容部42aは、X軸に沿う負方向に開口する有底の穴である。
【0025】
スライドガイド42は、支持面42bと、受け面42cとを有する。支持面42bと受け面42cとはそれぞれ、収容部42aの内面の一部を形成する。支持面42bは、Z軸に沿う正方向に向く。受け面42cは、X軸に沿う負方向に向く。
【0026】
スライドガイド42は、調整ボルト43を有する。調整ボルト43は、スライドガイド42の受け面42cを形成する。調整ボルト43が移動することで、スライドガイド42の受け面42cの位置が変化する。
【0027】
図4に示すように、スライド板32は、Y軸に沿う方向に延びる略四角形の板状に形成される。スライド板32は、底面32aと、
図3に示す上面32bとを有する。底面32aは、Z軸に沿う負方向に向く。上面32bは、底面32aの反対側に位置し、Z軸に沿う正方向に向く。上面32bは、ベースプレート41の第1の面41aに面する。
【0028】
スライド板32は、凸部45をさらに有する。凸部45は、底面32aからZ軸に沿う負方向に突出する。凸部45は、Y軸に沿う方向におけるスライド板32の略中央に位置する。
【0029】
図3に示すように、スライド板32の一部は、スライドガイド42の収容部42aに収容される。スライド板32の凸部45は、スライドガイド42の支持面42bに支持される。さらに、スライドガイド42の一部は、スライド板32の底面32aを支持する。
【0030】
スライド板32は、スライドガイド42の支持面42bとベースプレート41の第1の面41aとの間に配置され、スライドガイド42によって支持される。これにより、スライド板32は、基部31に取り付けられる。
【0031】
スライド板32は、基部31に対してX軸に沿う方向に移動可能である。X軸に沿う方向は、第2の方向の一例であり、X軸に沿う正方向(X軸の矢印が示す方向)と、X軸に沿う負方向とを含む。さらに、スライド板32は、基部31に対して、例えばZ軸まわりに回動可能である。すなわち、スライド板32は、Z軸に沿う負方向に見た状態で回動可能である。
【0032】
Z軸に沿う負方向に見た状態で回動可能であるスライド板32は、回動したときに、Z軸に沿う負方向に見た平面視で曲線状に移動していれば良い。すなわち、Z軸まわりに回動可能なスライド板32は、回動したときに、Z軸に沿う負方向に見た平面視で曲線状の移動の一例である円弧状の軌道の移動をする。他の例として、Z軸に対して斜めに交差する中心軸まわりに回動可能なスライド板32は、回動したときに、Z軸に沿う負方向に見た平面視で曲線状の移動の一例である楕円の円弧状の軌道で移動する。
【0033】
スライド板32の凸部45に、凹部45aが設けられる。凹部45aは、X軸に沿う正方向に開口する有底の穴である。凹部45aは、スライドガイド42の受け面42cと対向する。
【0034】
スライド板32は、ロッド48を有する。ロッド48は、スライド板32の上面32bからZ軸に沿う正方向に延びる円柱状の柱である。ロッド48は、ベースプレート41の第2の孔41dを通り、ベースプレート41の第2の面41bから突出する。
【0035】
図4に示すように、第1のガイド33は、二つの第1のローラ51を有する。第1のローラ51は、ローラの一例である。二つの第1のローラ51は、Y軸に沿う方向に互いに離間して、スライド板32の底面32aに取り付けられる。Y軸に沿う方向は、第3の方向の一例であり、Y軸に沿う正方向(Y軸の矢印が示す方向)と、Y軸に沿う負方向(Y軸の矢印の反対方向)とを含む。
【0036】
第1のガイド33の第1のローラ51は、スライド板32を介して、基部31に接続される。二つの第1のローラ51は、ベースプレート41の第1の面41aに対してZ軸に沿う負方向に位置する。
【0037】
図2に示すように、第1のローラ51は、第1の軸51aを有する。第1の軸51aは、Z軸に沿う正方向に延び、スライド板32を貫通する。第1の軸51aにナット52が取り付けられることで、第1のローラ51は、スライド板32に取り付けられる。第1のローラ51は、第1の軸51aまわりに回転可能なローラである。言い換えると、第1のローラ51は、Z軸まわりに回転可能なローラである。
【0038】
図4に示すように、二つの第1のローラ51は、スライド板32のY軸に沿う方向における両端部にそれぞれ配置される。X軸に沿う負方向における第1のローラ51の端部は、X軸に沿う負方向におけるスライド板32の端部に対し、X軸に沿う負方向に離間している。言い換えると、第1のローラ51は、スライド板32からX軸に沿う負方向に張り出す。X軸に沿う方向において、二つの第1のローラ51は、実質的に同一の位置に配置される。
【0039】
図3に示すように、加圧部34は、第1のスプリング55を有する。第1のスプリング55は、第1の弾性体の一例である。第1のスプリング55は、例えばコイルバネであるが、他の弾性体であっても良い。
【0040】
第1のスプリング55の一方の端部は、スライドガイド42の受け面42cによって支持される。第1のスプリング55の他方の端部は、スライド板32の凹部45aによって支持される。言い換えると、第1のスプリング55は、スライド板32とスライドガイド42との間に介在する。
【0041】
第1のスプリング55は、基部31に対して、スライド板32及び第1のガイド33を、X軸に沿う負方向に弾性的に押す。言い換えると、第1のスプリング55は、スライド板32及び第1のガイド33に対して、基部31をX軸に沿う正方向に弾性的に押す。すなわち、第1のスプリング55は、基部31と、スライド板32及び第1のガイド33とを、弾性力によってX軸に沿う方向に離間させる。
【0042】
インデックスプランジャ35は、スリーブ57と、プッシャ58とを有する。スリーブ57は、ベースプレート41の第2の面41bに取り付けられる。プッシャ58は、スリーブ57の内部を通り、X軸に沿う方向に延びる。
【0043】
プッシャ58は、例えば、作業者によって操作されることで、スリーブ57に対してX軸に沿う正方向に移動可能である。プッシャ58の先端は、ロッド48に面する。作業者がプッシャ58を操作することで、プッシャ58は、ロッド48をX軸に沿う正方向に押す。
【0044】
ロッド48がX軸に沿う正方向に押されると、スライド板32及び第1のガイド33が、基部31に対してX軸に沿う正方向に移動させられる。インデックスプランジャ35は、プッシャ58がロッド48を押す状態で、スリーブ57に対するプッシャ58の移動を制限することができる。
【0045】
スリーブ57に対するプッシャ58の移動を制限されると、プッシャ58がロッド48を支持する。このため、インデックスプランジャ35は、第1のスプリング55によって押されるスライド板32及び第1のガイド33と基部31との相対的な移動を制限する。
【0046】
ブッシュ部36は、ベースプレート41の第2の面41bに取り付けられる。言い換えると、ブッシュ部36は、基部31に設けられる。ブッシュ部36は、無給油ブッシュ61と、回転ブッシュ62と、押ネジ63と、スペーサ64とを有する。
【0047】
無給油ブッシュ61と回転ブッシュ62とはそれぞれ、Z軸に沿う方向に延びる略円筒状に形成される。回転ブッシュ62は、無給油ブッシュ61の内側に、Z軸まわりに回転可能に保持される。
【0048】
回転ブッシュ62に、取付孔62aと、ネジ孔62bとが設けられる。取付孔62aは、略円筒状の回転ブッシュ62の内側の孔であり、Z軸に沿う方向に回転ブッシュ62を貫通する。Z軸に沿う負方向に平面視したとき、取付孔62aの中心は、ベースプレート41の第1の孔41cの中心と略同一位置に設けられる。ネジ孔62bは、Z軸と交差する方向に延びる孔であり、回転ブッシュ62の外部と取付孔62aとを連通する。
【0049】
回転ブッシュ62の取付孔62aに、測定機15が挿入される。例えば、測定機15の本体21のソケット21aが、回転ブッシュ62の取付孔62aの内部に収容される。測定機15のスタイラス22の柱部29は、回転ブッシュ62の取付孔62aと、ベースプレート41の第1の孔41cとを通る。
【0050】
柱部29が回転ブッシュ62の取付孔62aとベースプレート41の第1の孔41cとを通ることで、スタイラス22の接触子28は、ベースプレート41の第1の面41aに対してZ軸に沿う負方向に位置する。
【0051】
押ネジ63は、回転ブッシュ62のネジ孔62bに取り付けられる。押ネジ63の先端は、取付孔62aに挿入された測定機15のソケット21aを押す。これにより、押ネジ63は、測定機15を回転ブッシュ62に取り付ける。すなわち、測定機15の接触子28は、柱部29、本体21、及びブッシュ部36を介して、基部31に接続される。
【0052】
測定機15は、Z軸に沿う方向において、基部31に対する所望の位置で回転ブッシュ62に取り付けられる。言い換えると、測定機15は、Z軸に沿う方向に移動可能に回転ブッシュ62に取り付けられる。押ネジ63が測定機15を押すことで、Z軸に沿う方向における測定機15の移動が制限される。
【0053】
例えば、測定機15は、Z軸に沿う方向において、接触子28と、第1のローラ51と、第1のスプリング55とが略同一位置に配置されるように、押ネジ63によって回転ブッシュ62に取り付けられる。接触子28の位置が変更される場合、押ネジ63が緩められ、測定機15がZ軸に沿う方向において基部31に対して移動させられる。
【0054】
スペーサ64は、Z軸に沿う方向に延びる略円筒形に形成される。スペーサ64の一方の端部は、無給油ブッシュ61に取り付けられる。スペーサ64の他方の端部は、ベースプレート41の第2の面41bに取り付けられる。
【0055】
回転ブッシュ62は、無給油ブッシュ61に対して、Z軸まわりに回転可能である。このため、測定機15は、回転ブッシュ62に取り付けられることで、無給油ブッシュ61及び基部31に対してZ軸まわりに回転可能である。具体的には、測定機15は、基部31に対して、柱部29の中心軸まわりに回転可能である。
【0056】
クランプ部37は、ベースプレート41の第2の面41bに取り付けられる。言い換えると、クランプ部37は、基部31に設けられる。クランプ部37は、クランプ板66と、レバー機構67と、複数の柱68とを有する。
【0057】
クランプ板66は、例えば合成樹脂によって、X‐Y平面上に広がる略四角形の板状に形成される。クランプ板66は、他の材料によって作られても良いし、他の形状に形成されても良い。クランプ板66に、保持孔66aと、スリット66bと、挿通孔66cとが設けられる。
【0058】
保持孔66aは、クランプ板66をZ軸に沿う方向に貫通する。保持孔66aの内部に回転ブッシュ62が配置される。保持孔66aの内周面は、回転ブッシュ62の外周面に接触する。スリット66bは、保持孔66aから、例えばX軸に沿う負方向に延びる。スリット66bは、X軸に沿う方向において、保持孔66aと、クランプ板66の外部とを連通する。
【0059】
クランプ板66は、スリット66bを形成する二つの面が互いに近づくように弾性変形可能である。言い換えると、クランプ板66は、スリット66b及び保持孔66aが狭まるように弾性変形可能である。
【0060】
挿通孔66cは、クランプ板66をY軸に沿う方向に貫通する。挿通孔66cは、スリット66bを横切って延びる。すなわち、挿通孔66cは、Y軸に沿う方向におけるクランプ板66の端部に開口するとともに、スリット66bを形成する二つの面に開口する。
【0061】
レバー機構67は、係合ロッド67aと、
図2に示すレバー67bとを有する。係合ロッド67aは、スリット66bを横切るとともに、クランプ板66の挿通孔66cを通る。係合ロッド67aの一方の端部は、クランプ板66に固定される。レバー67bは、係合ロッド67aの他方の端部に設けられる。
【0062】
レバー67bが締められることで、クランプ板66は、スリット66b及び保持孔66aが狭まるように弾性変形する。これにより、保持孔66aの内周面が回転ブッシュ62の外周面を保持し、クランプ部37が回転ブッシュ62の回転を制限する。すなわち、クランプ部37は、基部31に対する回転ブッシュ62及び測定機15の本体21の回転を制限する。
【0063】
一方、レバー67bが緩められることで、クランプ板66は元の状態に戻る。これにより、保持孔66aによる回転ブッシュ62の保持が解除され、回転ブッシュ62及び測定機15は、基部31に対して回転可能になる。
【0064】
複数の柱68は、Z軸に沿う方向に延びる。柱68の一方の端部は、クランプ板66に取り付けられる。柱68の他方の端部は、ベースプレート41の第2の面41bに取り付けられる。
【0065】
図3に示すように、第1のガイド33の第1のローラ51は、X軸に沿う方向において、測定機15の接触子28から離間する。なお、第1のガイド33は、X軸に沿う方向において、接触子28と部分的に重なっても良い。しかし、第1のガイド33のX軸に沿う負方向の端部は、接触子28のX軸に沿う正方向の端部から、X軸に沿う負方向に離間する。
図4に示すように、Y軸に沿う方向において、接触子28は、二つの第1のローラ51の間の略中央に位置する。
【0066】
上述のように、スライド板32及び第1のガイド33は、X軸に沿う方向に移動可能に取り付けられる。このため、第1のガイド33の第1のローラ51は、接触子28に対して相対的にX軸に沿う方向に移動可能である。すなわち、第1のガイド33は、接触子28に対して移動可能に基部31に取り付けられる。別の表現によれば、接触子28を有する測定機15は、ブッシュ部36及び基部31を介して、第1のガイド33に対して移動可能にスライド板32に取り付けられる。
【0067】
図3に示す加圧部34の第1のスプリング55は、スライド板32を接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向は、接触子に対して第2の方向に沿って遠ざかる方向、の一例である。これにより、加圧部34は、第1のガイド33を接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。
【0068】
具体的には、第1のスプリング55は、第1のガイド33が取り付けられたスライド板32を、接触子28から遠ざかるように、X軸に沿う負方向に押す。別の表現によれば、第1のスプリング55は、接触子28を有する測定機15と、ブッシュ部36と、基部31とを、第1のガイド33から遠ざかるように、X軸に沿う正方向に押す。このように、第1のスプリング55は、第1のガイド33と接触子28とを、X軸に沿う方向に互いに離間させる。
【0069】
図5は、第1の実施形態の測定装置11と被測定物18とを示す断面図である。
図3及び
図5に示すように、被測定物18に、複数の溝18aが設けられる。測定装置11は、溝18aの形状を測定するため、例えば以下に説明するように、被測定物18上に配置される。
【0070】
被測定物18は、第1の壁71と、複数の第2の壁72とを有する。第1の壁71は、大よそX‐Y平面上に広がる。なお、第1の壁71は、他の形状に形成されても良い。複数の第2の壁72はそれぞれ、第1の壁71から実質的にZ軸に沿う正方向に突出するとともに、実質的にY軸に沿う方向に延びる。複数の第2の壁72は、間隔を介してX軸に沿う方向に配置される。
【0071】
第1の壁71は、底面71aを有する。底面71aは、実質的にZ軸に沿う正方向に向く。複数の第2の壁72はそれぞれ、第1の側面72aと、第2の側面72bと、頂面72cとを有する。第1の側面72aは、被測定面の一例である。第2の側面72bは、対向面の一例である。
【0072】
第1の側面72aは、実質的にX軸に沿う負方向に向く。第2の側面72bは、第1の側面72aの反対側に位置し、実質的にX軸に沿う正方向に向く。頂面72cは、第1の壁71から突出する第2の壁72の端部であり、実質的にZ軸に沿う正方向に向く。頂面72cは、第1の側面72aと第2の側面72bとを接続する。
【0073】
一つの第2の壁72の第2の側面72bは、隣接する他の第2の壁72の第1の側面72aからX軸に沿う方向に離間する。第1の側面72aと第2の側面72bとの間の距離は、複数の位置において異なっても良い。言い換えると、溝18aの幅は変化しても良い。
【0074】
一つの第2の壁72の第2の側面72bは、隣接する他の第2の壁72の第1の側面72aに向く。一つの第2の壁72の第2の側面72bと、隣接する他の第2の壁72の第1の側面72aとは、第1の壁71の底面71aによって接続される。
【0075】
溝18aは、実質的にY軸に沿う方向に延び、Z軸に沿う正方向に開放された有底のスリットである。別の表現によれば、溝18aは、頂面72cを含む被測定物18の表面18bに開口する。溝18aは、第1の壁71の底面71aと、一つの第2の壁72の第1の側面72aと、隣接する他の第2の壁72の第2の側面72bとを含む。
【0076】
上記の被測定物18上に、測定装置11が配置される。まず、例えば作業者により、インデックスプランジャ35のプッシャ58が押される。プッシャ58は、ロッド48をX軸に沿う正方向に押し、スライド板32及び第1のガイド33をX軸に沿う方向に移動させる。
【0077】
スライド板32及び第1のガイド33が移動することで、X軸に沿う方向における、第1のガイド33の第1のローラ51と、接触子28との間の距離が縮小される。X軸に沿う方向における、第1のローラ51のX軸に沿う負方向の端部と、接触子28のX軸に沿う正方向の端部との間の距離は、一つの第2の壁72の第1の側面72aと隣接する第2の壁72の第2の側面72bとの間の距離よりも小さい。
【0078】
インデックスプランジャ35は、上述の状態でロックされ、スリーブ57に対するプッシャ58の移動を制限する。これにより、第1のガイド33と接触子28との相対的な移動が制限され、X軸に沿う方向における第1のローラ51と接触子28との間の距離が一時的に固定される。
【0079】
次に、スライド板32と、第1のガイド33と、接触子28とが、被測定物18の溝18aに挿入される。インデックスプランジャ35がロックされることで、スライド板32と、第1のガイド33と、接触子28とは、第2の壁72に当たらずに、溝18aに挿入されることができる。
【0080】
スライド板32、第1のガイド33、及び接触子28が溝18aに挿入されると、ベースプレート41の第1の面41aが第2の壁72の頂面72cに接触する。言い換えると、スライド板32の第1の面41aは、被測定物18の表面18bに支持される。
【0081】
次に、インデックスプランジャ35のロックが解除され、第1のスプリング55がスライド板32を押す。
図3及び
図4に示すように、スライド板32が押されると、第1のガイド33の二つの第1のローラ51は、第2の壁72の第2の側面72bに接触する。
図4は、第2の壁72の断面を、
図3のF4‐F4線に沿って示す。さらに、第1のスプリング55が基部31のスライドガイド42を押すことで、基部31に接続された測定機15の接触子28が、隣接する第2の壁72の第1の側面72aに接触する。このとき、例えば、接触子28がZ軸に沿う方向において第1の側面72aの所望の位置に接触するように、測定機15が押ネジ63によって回転ブッシュ62に付け直されても良い。
【0082】
第1のローラ51が第2の側面72bに接触し、接触子28が第1の側面72aに接触した状態で、第1のスプリング55が、スライド板32を接触子28に対してX軸に沿う負方向に弾性的に押す。これにより、第1のスプリング55は、接触子28を第1の側面72aに押し付けるとともに、第1のローラ51を第2の側面72bに押し付ける。第1のスプリング55は、所望の接触圧で接触子28を第1の側面72aに押し付ける。第1のスプリング55は、接触子28が第1の側面72aに押し付けられる荷重を略一定に保つ。
【0083】
次に、
図2に示すレバー67bが緩められ、クランプ板66の保持孔66aによる回転ブッシュ62の保持が解除される。作業者は、回転ブッシュ62及び測定機15を回転させ、
図1に示すレトロリフレクタ25をトラッカ12に向ける。レトロリフレクタ25がトラッカ12に向けられると、レバー67bが締められ、クランプ部37が回転ブッシュ62及び測定機15の回転を制限する。
【0084】
以上により、測定装置11は被測定物18上に配置される。作業者は、測定装置11を、溝18aに沿って移動させる。言い換えると、測定装置11は、実質的にY軸に沿う方向(Y軸に沿う正方向又はY軸に沿う負方向)に移動させられる。
【0085】
測定装置11がY軸に沿う方向に移動させられることで、第2の側面72bに接触する第1のローラ51は、Z軸まわりに回転する。第1のローラ51の回転方向(周方向)は、測定装置11が移動させられる方向を含む。すなわち、第1のローラ51は、Y軸に沿う方向に測定装置11の基部31を移動させるよう回転可能である。Y軸に沿う方向は、第3の方向の一例であり、ベースプレート41の第1の面41aに沿うとともにX軸に沿う方向と交差する方向である。
【0086】
上記のように、第1のローラ51が第2の側面72bに接触する。さらに、球状の接触子28が第1の側面72aに接触し、ポリテトラフルオロエチレンシートが貼りつけられたベースプレート41の第1の面41aが頂面72cに接触する。このため、測定装置11は、接触子28が略一定の荷重で第1の側面72aに接触した状態で、溝18aに沿って滑らかに移動させられる。
【0087】
図6は、第1の実施形態の回動する測定装置11を示す底面図である。
図6に示すように、例えば、測定装置11が移動しているとき、測定装置11にZ軸まわりに回動する方向の力が作用することがある。これにより、測定機15と基部31とは、Z軸まわりに回動する。
【0088】
スライド板32は、基部31に対してZ軸まわりに回動可能である。さらに、スライド板32に取り付けられた第1のガイド33の二つの第1のローラ51は、第2の側面72bに接触する。このため、基部31が回動するとき、スライド板32は基部31に対して相対的に回動し、二つの第1のローラ51が第2の側面72bに接触し続ける。さらに、第1のスプリング55の弾性力により、接触子28は第1の側面72aに接触し続ける。
【0089】
基部31に対してスライド板32が回動すると、第1のスプリング55が曲げられる。第1のスプリング55は、弾性力により、基部31とスライド板32との相対的な位置を、
図6の位置から
図4の位置に復元させる。
【0090】
図1に示すように、トラッカ12は、移動する測定装置11のレトロリフレクタ25にレーザ光Lを照射し、測定装置11を追尾する。レーザ光Lは、レトロリフレクタ25により平行且つ反対方向に反射され、トラッカ12の受光部に入射する。
【0091】
測定装置11が移動させられると、レトロリフレクタ25が、トラッカ12に向く方向と異なる方向に向くことがある。このとき、作業者は、
図2に示すレバー67bを緩め、再び回転ブッシュ62及び測定機15を回転させることで、レトロリフレクタ25をトラッカ12に向ける。
【0092】
コンピュータ13は、トラッカ12に接続される。コンピュータ13は、トラッカ12の受光部に入射したレーザ光Lにより、トラッカ12とレトロリフレクタ25との間の距離を測定する。さらに、コンピュータ13は、カメラにより測定装置11の姿勢を測定しても良い。
【0093】
コンピュータ13は、トラッカ12及びレトロリフレクタ25の間の距離と、測定装置11の姿勢と、に基づき、三次元測定システム10の座標系における接触子28の座標を算出する。接触子28が第1の側面72aに接触した状態で、測定装置11が溝18aに沿って移動させられることで、三次元測定システム10は第1の側面72aの形状を測定(倣い測定)する。
【0094】
次に、測定装置11は、接触子28が第2の側面72bに接触し、第1のガイド33の第1のローラ51が第1の側面72aに接触するよう、被測定物18上に再度配置される。測定装置11が上述のように溝18aに沿って移動させられることで、三次元測定システム10は第2の側面72bの形状を測定する。コンピュータ13は、第1の側面72a及び第2の側面72bの形状に基づき、溝18aの形状を算出する。
【0095】
以上説明した本実施形態のコンピュータ13は、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置と、ROM(Read Only Memorry)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備える。コンピュータ13は、例えば、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、当該プログラムを主記憶装置上にロード及び生成し、上述の形状測定を行う。
【0096】
以上説明された第1の実施形態に係る三次元測定システム10において、測定装置11は、例えば、被測定物18の表面18bに基部31の第1の面41aが支持され、表面18bに設けられた溝18aの互いに対向する第1の側面72a及び第2の側面72bに接触子28及び第1のガイド33が接触した状態で使用され得る。加圧部34は、第1のガイド33を接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。すなわち、加圧部34は、接触子28及び第1のガイド33を互いに離間させ、溝18aの第1の側面72a及び第2の側面72bに向かって押し付ける。これにより、被測定物18に対して測定装置11が移動したときに、溝18aの第1の側面72a及び第2の側面72bから接触子28及び第1のガイド33が離間することが抑制されるとともに、第1のガイド33及び接触子28が溝18aの第1の側面72a及び第2の側面72bに作用させる荷重が増大することが抑制される。従って、接触子28が被測定物18に一定の荷重で接触し続けることができ、測定装置11による倣い測定の測定データの精度が低下することが抑制される。さらに、被測定物18が接触子28により変形させられることが抑制される。
【0097】
本体21は、柱部29の中心軸回りに回転可能である。これにより、測定装置11が移動させられても、例えば本体21に設けられたレトロリフレクタ25がトラッカ12に向き続けることが可能となる。
【0098】
一般的に、接触子28が被測定物18に接触した状態で測定装置11が移動すると、接触子28と被測定物18との間の摩擦により、柱部29を介して接触子28に接続された本体21が回転するおそれがある。本実施形態において、クランプ部37は、本体21の回転を制限する。これにより、本体21が望まぬ回転をすることが抑制され、レトロリフレクタ25がトラッカ12に向き続けることが可能となる。
【0099】
第1のガイド33が、Z軸に沿う負方向に見た状態で回動可能且つX軸に沿う方向に移動可能に基部31に取り付けられるスライド板32に、取り付けられる。加圧部34の第1のスプリング55は、スライド板32と基部31のスライドガイド42との間に介在し、スライド板32を接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。これにより、スライド板32に取り付けられた第1のガイド33が、被測定物18の第2の側面72bに接触する。測定装置11は、第1のガイド33と接触子28とで被測定物18に接触することで、Z軸まわりに回転することが抑制される。測定装置11がZ軸まわりに回転する場合、スライド板32が回動可能であるため、第1のガイド33が第2の側面72bに接触した状態に保たれるとともに、接触子28が第1の側面72aに接触した状態に保たれる。これにより、接触子28が被測定物18に接触し続けることができ、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制される。
【0100】
接触子28は、被測定物18の第1の側面72aに接触するよう構成される。第1のガイド33は、被測定物18の第2の側面72bに接触するよう構成されるとともに、Y軸に沿う方向に基部31を移動させるよう回転可能な第1のローラ51を有する。これにより、測定装置11は、接触子28が被測定物18の第1の側面72aに接触した状態で、第1のローラ51によってY軸に沿う方向に滑らかに移動することができる。例えば、作業者は、第1のローラ51が第2の側面72bに接触した状態で、測定装置11を移動させる。このとき、加圧部34が第1のガイド33を押すことで、接触子28が第1のガイド33に対して遠ざかる方向に弾性的に押され、第1の側面72aに押し付けられる。従って、接触子28が被測定物18に一定の荷重で接触し続けることができ、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制される。
【0101】
二つの第1のローラ51が、Z軸に沿う負方向に見た状態で回動可能且つX軸に沿う方向に移動可能に基部31に取り付けられるスライド板32に、取り付けられる。加圧部34の第1のスプリング55は、スライド板32と基部31のスライドガイド42との間に介在し、スライド板32を接触子28に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。これにより、スライド板32に取り付けられた二つの第1のローラ51が、被測定物18の第2の側面72bに接触する。測定装置11は、二つの第1のローラ51と接触子28との三点で被測定物18に接触することで、Z軸まわりに回転することが抑制される。測定装置11がZ軸まわりに回転する場合、スライド板32が回動可能であるため、二つの第1のローラ51が第2の側面72bに接触した状態に保たれるとともに、接触子28が第1の側面72aに接触した状態に保たれる。これにより、接触子28が被測定物18に接触し続けることができ、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制される。
【0102】
測定装置11は、例えば、被測定物18の表面18bに基部31の第1の面41aが支持された状態で使用され得る。第1の面41aの摩擦係数が小さいため、測定装置11は、被測定物18の表面18bに沿って滑らかに移動することができる。
【0103】
一般的に、測定装置11と被測定物18の表面18bとの間の摩擦が大きく、測定装置11が被測定物18の表面18b上を滑らかに移動することが難しい場合、第1のスプリング55の弾性力の伝わりが制限され、第1のスプリング55によりスライド板32が接触子28に対して押されにくくなる。この場合、接触子28が被測定物18の第1の側面72aから離間してしまう可能性がある。一方、本実施形態では、上述のように第1の面41aの摩擦係数が小さい。これにより、接触子28がより確実に第1の側面72aに接触するため、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制される。
【0104】
測定機15は、Z軸に沿う方向に移動可能にブッシュ部36に取り付けられる。ブッシュ部36は、押ネジ63により、Z軸に沿う方向における測定機15の移動を制限可能である。これにより、測定機15の接触子28がZ軸に沿う方向における所望の位置に配置された状態で、ブッシュ部36がZ軸に沿う方向における測定機15の移動を制限することができる。
【0105】
インデックスプランジャ35は、第1のガイド33と接触子28との相対的な移動を制限可能である。例えば、インデックスプランジャ35は、第1のガイド33と接触子28とがX軸に沿う方向に近づいた状態で、第1のガイド33と接触子28との相対的な移動を制限する。これにより、第1のガイド33と接触子28とが被測定物18の溝18aに容易に挿入可能となる。
【0106】
以下に、第2の実施形態について、
図7乃至
図9を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0107】
図7は、第2の実施形態に係る測定装置11を示す斜視図である。
図8は、第2の実施形態の測定装置11を示す断面図である。
図9は、第2の実施形態の測定装置11を示す底面図である。
図9は、第2の壁72の断面を、
図8のF9‐F9線に沿って示す。
【0108】
図8に示すように、第2の実施形態の測定機15は、第1の実施形態の測定機15と異なる。第2の実施形態において、測定機15は、スライド板81と、リフレクタホルダ82と、アダプタ83と、リフレクタ84とを有する。
【0109】
スライド板81は、X‐Y平面上に広がる略四角形の板状に形成される。スライド板81は、接触面81aと、取付面81bとを有する。接触面81aは、Z軸に沿う負方向に向き、ベースプレート41の第2の面41bに接触する。取付面81bは、接触面81aの反対側に位置し、Z軸に沿う正方向に向く。
【0110】
スライド板81に、凸部87が設けられる。凸部87は、スライド板81のX軸に沿う負方向の端部に設けられ、取付面81bからZ軸に沿う正方向に突出する。凸部87に、凹部87aが設けられる。凹部87aは、X軸に沿う負方向に開口する有底の穴である。
【0111】
リフレクタホルダ82は、例えばネジ88によって、スライド板81の取付面81bに取り付けられる。リフレクタホルダ82は、スタイラス22を有する。第1の実施形態と同じく、スタイラス22の柱部29は、ベースプレート41の第1の孔41cを通る。
【0112】
アダプタ83は、リフレクタホルダ82に取り付けられる。言い換えると、リフレクタホルダ82は、スライド板81とアダプタ83とを接続する。アダプタ83は、支持面83aと、磁石83bとを有する。支持面83aは、Z軸に沿う負方向に凸に窪んだ曲面である。磁石83bは、アダプタ83の内部に設けられる。
【0113】
リフレクタ84は、略球状に形成される。リフレクタ84は、例えば金属のような磁性体によって作られ、レトロリフレクタ25を有する。リフレクタ84がアダプタ83の支持面83aに支持されると、アダプタ83の磁石83bが、磁力によって磁性体であるリフレクタ84を引き付ける。これにより、リフレクタ84がアダプタ83に取り付けられる。このように、磁石83bによってリフレクタ84が保持されるため、本実施形態ではクランプ部37が省略され得る。しかし、リフレクタ84を保持するクランプ部37が第2の実施形態の測定装置11に設けられても良い。
【0114】
リフレクタ84が磁力によってアダプタ83に取り付けられるため、リフレクタ84は、Z軸まわり、X軸まわり、及びY軸まわりに自由に回転可能である。これにより、リフレクタ84のレトロリフレクタ25は、容易にトラッカ12に向けられる。
【0115】
図7に示すように、第2の実施形態の測定装置11は、ブッシュ部36及びクランプ部37の代わりに、複数のリフレクタガイド91と、第2のガイド92とを有する。複数のリフレクタガイド91はそれぞれ、ボルト95と、フランジ96とを有する。
【0116】
ボルト95は、ベースプレート41に取り付けられ、Z軸に沿う方向に延びる。フランジ96は、ボルト95に取り付けられ、ベースプレート41の第2の面41bからZ軸に沿う正方向に離間した位置に配置される。
【0117】
Y軸に沿う方向において、ボルト95は、スライド板81のY軸に沿う方向における両端部に接触する。さらに、フランジ96は、スライド板81の取付面81bに接触する。これにより、スライド板81は、X軸に沿う方向に移動可能に、ベースプレート41とフランジ96との間に保持される。すなわち、第2の実施形態の測定機15は、X軸に沿う方向に移動可能に基部31に取り付けられる。
【0118】
図9に示すように、第2のガイド92は、ベースプレート41の第1の面41aに取り付けられる。言い換えると、第2のガイド92は、基部31に設けられる。第2のガイド92は、取付板101と、二つの第2のローラ102とを有する。
【0119】
取付板101は、Y軸に沿う方向に延びる略四角形の板状に形成される。取付板101は、スライド板32からX軸に沿う正方向に離間した位置で、ベースプレート41の第1の面41aに、Z軸まわりに回動可能に取り付けられる。
【0120】
二つの第2のローラ102は、Y軸に沿う方向に互いに離間して、取付板101に取り付けられる。第2のローラ102は、取付板101を介して、基部31に接続される。二つの第2のローラ102は、ベースプレート41の第1の面41aに対してZ軸に沿う負方向に位置する。第2のローラ102は、Z軸まわりに回転可能なローラである。
【0121】
二つの第2のローラ102は、取付板101のY軸に沿う方向における両端部にそれぞれ配置される。X軸に沿う正方向における第2のローラ102の端部は、X軸に沿う正方向における取付板101の端部に対し、X軸に沿う正方向に離間している。言い換えると、第2のローラ102は、取付板101からX軸に沿う正方向に張り出す。X軸に沿う方向において、二つの第2のローラ102は、実質的に同一の位置に配置される。
【0122】
接触子28に荷重が作用しない状態において、X軸に沿う正方向における第2のローラ102の端部は、X軸に沿う正方向における接触子28の端部に対し、僅かにX軸に沿う負方向に離間している。言い換えると、接触子28は、第2のローラ102からX軸に沿う正方向に張り出す。
【0123】
図8に示すように、第2の実施形態の基部31は、スプリングガイド105を有する。スプリングガイド105は第2の受け部の一例である。スプリングガイド105は、ベースプレート41の第2の面41bに固定される。
【0124】
スプリングガイド105に、凹部105aが設けられる。凹部105aは、X軸に沿う正方向に開口する有底の穴である。凹部105aは、スライド板81の凸部87に対向する。
【0125】
第2の実施形態の加圧部34は、第2のスプリング107を有する。第2のスプリング107は、第2の弾性体の一例である。第2のスプリング107は、例えばコイルバネであるが、他の弾性体であっても良い。
【0126】
第2のスプリング107の一方の端部は、凸部87の凹部87aによって支持される。第2のスプリング107の他方の端部は、スプリングガイド105の凹部105aによって支持される。言い換えると、第2のスプリング107は、測定機15とスプリングガイド105との間に介在する。
【0127】
第2のスプリング107は、基部31に対して、測定機15を、X軸に沿う正方向に弾性的に押す。言い換えると、第2のスプリング107は、測定機15に対して、基部31をX軸に沿う負方向に弾性的に押す。これにより、第2のスプリング107は、測定機15を第1のガイド33に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。
【0128】
第2の実施形態の測定装置11は、溝18aの形状を測定するため、例えば以下に説明するように、被測定物18上に配置される。まず、インデックスプランジャ35により、X軸に沿う方向における、第1のガイド33の第1のローラ51と、接触子28との間の距離が縮小される。さらに、X軸に沿う方向における、第1のガイド33の第1のローラ51と、第2のガイド92の第2のローラ102との間の距離も縮小される。インデックスプランジャ35は、上述の状態でロックされる。
【0129】
次に、スライド板32と、第1のガイド33と、接触子28と、第2のガイド92とが、被測定物18の溝18aに挿入され、ベースプレート41の第1の面41aが第2の壁72の頂面72cに接触する。インデックスプランジャ35がロックされることで、スライド板32と、第1のガイド33と、接触子28と、第2のガイド92とは、第2の壁72に当たらずに、溝18aに挿入されることができる。
【0130】
次に、インデックスプランジャ35のロックが解除され、第1のスプリング55がスライド板32を押す。スライド板32が押されると、第1のガイド33の二つの第1のローラ51は、第2の壁72の第2の側面72bに接触する。さらに、第1のスプリング55が基部31のスライドガイド42を押すことで、接触子28と、第2のガイド92の二つの第2のローラ102とが、隣接する第2の壁72の第1の側面72aに接触する。
【0131】
第1のローラ51が第2の側面72bに接触し、接触子28及び第2のローラ102が第1の側面72aに接触した状態で、第1のスプリング55が、スライド板32を接触子28に対してX軸に沿う負方向に弾性的に押す。これにより、第1のスプリング55は、接触子28及び第2のローラ102を第1の側面72aに押し付けるとともに、第1のローラ51を第2の側面72bに押し付ける。
【0132】
第2のスプリング107は、測定機15を第1のガイド33に対してX軸に沿う正方向に押す。これにより、第2のスプリング107は、測定機15の接触子28を第1の側面72aに押し付ける。第2のスプリング107は、所望の接触圧で接触子28を第1の側面72aに押し付ける。第2のスプリング107は、接触子28が第1の側面72aに押し付けられる荷重を略一定に保つ。
【0133】
次に、磁力によりアダプタ83に取り付けられたリフレクタ84が回転させられ、レトロリフレクタ25がトラッカ12に向けられる。リフレクタ84は、アダプタ83の支持面83aに支持された状態で回転させられても良いし、アダプタ83から取り外された状態で回転させられても良い。
【0134】
以上により、測定装置11は被測定物18上に配置される。作業者により、測定装置11は、溝18aに沿って移動させられる。測定装置11がY軸に沿う方向に移動させられることで、第1の側面72aに接触する第2のローラ102は、Z軸まわりに回転する。第2のローラ102の回転方向(周方向)は、測定装置11が移動させられる方向を含む。すなわち、第2のローラ102は、Y軸に沿う方向に測定装置11の基部31を移動させるよう回転可能である。
【0135】
移動する測定装置11のレトロリフレクタ25に、トラッカ12がレーザ光Lを照射する。コンピュータ13は、レトロリフレクタ25に反射されてトラッカ12の受光部に入射したレーザ光Lにより、トラッカ12とレトロリフレクタ25との間の距離を測定する。これにより、三次元測定システム10は、第1の側面72aの形状を測定(倣い測定)する。
【0136】
X‐Y平面上において、球状の接触子28の中心と、略球状に形成されたリフレクタ84の中心とは一致する。言い換えると、接触子28の中心と、リフレクタ84の中心とは、Z軸に沿う方向に並べられる。このため、三次元測定システム10の座標系におけるリフレクタ84のX‐Y座標から、リフレクタ84と接触子28との間の距離、そして接触子28の半径に基づき、被測定物18の形状が容易に測定され得る。
【0137】
以上説明された第2の実施形態の三次元測定システム10において、加圧部34の第2のスプリング107は、測定機15と基部31のスプリングガイド105との間に介在し、測定機15を第1のガイド33に対してX軸に沿って遠ざかる方向に弾性的に押す。すなわち、第1のガイド33及びスライド板32と、第1のスプリング55と、基部31と、第2のスプリング107と、測定機15とが直列に接続される。これにより、被測定物18に対して測定装置11がX軸に沿う方向に移動したときに、溝18aの第1の側面72a及び第2の側面72bから接触子28及び第1のガイド33が離間することが抑制されるとともに、第1のガイド33及び接触子28が溝18aの第1の側面72a及び第2の側面72bに作用させる荷重が増大することが抑制される。従って、接触子28が被測定物18に一定の荷重で接触し続けることができ、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制される。さらに、被測定物18が変形することが抑制される。
【0138】
基部31に設けられた第2のガイド92が、第1の側面72aに接触する。第2のガイド92が第1の側面72aに接触した状態で第1のスプリング55がスライド板32を押すことにより、第1のガイド33の第1のローラ51が被測定物18の第2の側面72bに接触した状態に保たれる。一方、第2のガイド92が第1の側面72aに接触した状態で第2のスプリング107が測定機15を押すことにより、測定機15の接触子28が第1の側面72aに一定の荷重で接触し続けることができる。例えば、溝18aの幅が変化しても、第2のスプリング107は、略一定の荷重で接触子28を第1の側面72aに接触させ続けることができる。従って、測定装置11による測定データの精度が低下することが抑制されるとともに、被測定物18が変形することが抑制される。
【0139】
以上の実施形態において、三次元測定システム10は、トラッカ12のレーザ光Lを測定装置11のレトロリフレクタ25に照射することにより、被測定物18の形状を測定する。しかし、三次元測定システム10はこれに限らない。例えば、測定機15が、ジャイロセンサ及び通信装置を有しても良い。この場合、測定機15は、例えば、ジャイロセンサにより当該測定機15の移動量及び姿勢を測定し、当該移動量及び姿勢のデータを通信装置によりコンピュータ13に送る。コンピュータ13は、測定機15の移動量及び姿勢のデータから接触子28の座標を測定することで、被測定物18の形状を測定する。
【0140】
さらに、第2の実施形態の測定装置11に、ブッシュ部36及びクランプ部37が設けられ、第1の実施形態の測定機15が基部31に接続されても良い。また、第1の実施形態の測定装置11に、第2の実施形態の測定機15が設けられても良い。
【0141】
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、加圧部は、第1のガイドを接触子に対して遠ざかる方向に弾性的に押す。これにより、測定装置による測定データの精度が低下することが抑制される。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
第1の方向に向く第1の面を有する支持部と、
前記第1の面に対して前記第1の方向に位置する接触子を有し、前記支持部に接続された、測定部と、
前記支持部に接続され、前記第1の面に対して前記第1の方向に位置し、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記接触子から離間するよう構成され、前記接触子に対して相対的に前記第2の方向に移動可能な第1のガイドと、
前記第1のガイドを前記接触子に対して前記第2の方向に沿って遠ざかる方向に弾性的に押すよう構成された加圧部と、
を具備する測定装置。
[2]
前記測定部は、被検出部と、前記被検出部と前記接触子とを接続する柱部と、を有し、
前記被検出部は、前記柱部の中心軸まわりに回転可能である、
[1]の測定装置。
[3]
前記支持部に設けられ、前記被検出部の回転を制限するよう構成された回転制限部、をさらに具備する[2]の測定装置。
[4]
前記第1の方向に見た状態で回動可能、且つ前記第2の方向に移動可能に前記支持部に取り付けられる可動部、をさらに具備し、
前記第1のガイドは、前記可動部に取り付けられ、
前記支持部は、第1の受け部を有し、
前記加圧部は、前記可動部と前記第1の受け部との間に介在し、前記可動部を前記接触子に対して前記第2の方向に沿って遠ざかる方向に弾性的に押すよう構成された第1の弾性体を有する、
[1]乃至[3]のいずれか一つの測定装置。
[5]
前記接触子は、被測定物の被測定面に接触するよう構成され、
前記第1のガイドは、前記被測定物の前記被測定面から前記第2の方向に離間するとともに前記被測定面に向く対向面に接触するよう構成されるとともに、前記第1の面に沿うとともに前記第2の方向と交差する第3の方向に前記支持部を移動させるよう回転可能な、少なくとも一つのローラを有する、
[1]乃至[4]のいずれか一つの測定装置。
[6]
前記接触子は、被測定物の被測定面に接触するよう構成され、
前記第1のガイドは、前記第1の面に沿うとともに前記第2の方向と交差する第3の方向において互いに離間するとともに、前記可動部に取り付けられた二つのローラを有し、
前記二つのローラは、前記被測定物の前記被測定面から前記第2の方向に離間するとともに前記被測定面に向く対向面に接触するよう構成されるとともに、前記第3の方向に前記支持部を移動させるよう回転可能である、
[4]の測定装置。
[7]
前記測定部は、前記第2の方向に移動可能に前記支持部に取り付けられ、
前記支持部は、第2の受け部を有し、
前記加圧部は、前記測定部と前記第2の受け部との間に介在し、前記測定部を前記第1のガイドに対して前記第2の方向に沿って遠ざかる方向に弾性的に押すよう構成された第2の弾性体を有する、
[1]乃至[6]のいずれか一つの測定装置。
[8]
前記支持部に設けられ、前記被測定面に接触するよう構成された第2のガイド、をさらに具備する[7]の測定装置。
[9]
前記支持部は、前記第1の面の反対側に位置する第2の面を有し、
前記第1の面の摩擦係数は、前記第2の面の摩擦係数よりも小さい、
[1]乃至[8]のいずれか一つの測定装置。
[10]
前記支持部に設けられ、前記第1の方向に移動可能に前記測定部が取り付けられるとともに、前記第1の方向における前記測定部の移動を制限可能な保持部、をさらに具備する[1]乃至[9]のいずれか一つの測定装置。
[11]
前記第1のガイドと前記接触子との相対的な移動を制限可能な制限部、をさらに具備する[1]乃至[10]のいずれか一つの測定装置。