特許第6437511号(P6437511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437511
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】高濃度マグネシウムイオン濃縮液
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/16 20160101AFI20181203BHJP
   C02F 1/04 20060101ALI20181203BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20181203BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20181203BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20181203BHJP
   B01D 9/02 20060101ALI20181203BHJP
   C01F 5/00 20060101ALI20181203BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20181203BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20181203BHJP
   A61K 33/06 20060101ALN20181203BHJP
   A61K 33/00 20060101ALN20181203BHJP
   A61K 35/02 20150101ALN20181203BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20181203BHJP
   A23L 2/38 20060101ALN20181203BHJP
【FI】
   A23L33/16
   C02F1/04 Z
   C02F1/44 A
   B01D61/02 500
   B01D61/58
   B01D9/02 601B
   B01D9/02 602A
   B01D9/02 615Z
   B01D9/02 616
   C01F5/00
   A61P19/10
   A61P3/02
   !A61K33/06
   !A61K33/00
   !A61K35/02
   !A23L2/00 V
   !A23L2/38 B
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-249241(P2016-249241)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-102137(P2018-102137A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】516386889
【氏名又は名称】▲かん▼東實業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】QUALITY PURE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠豪
【審査官】 田名部 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−246738(JP,A)
【文献】 特開2001−121146(JP,A)
【文献】 特開2007−029899(JP,A)
【文献】 特開2008−307537(JP,A)
【文献】 特開2010−252752(JP,A)
【文献】 特開2004−359523(JP,A)
【文献】 特開平07−059661(JP,A)
【文献】 特開平06−254552(JP,A)
【文献】 鈴木 孝治,海洋深層水,J. Soc. Inorg. Japan,無機マテリアル学会,2005年,Vol. 12,pp. 423-428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 − 35/00
A47J 31/00 − 31/60
C02F 1/00 − 1/78
C05D 5/00
E03C 1/00 − 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量パーセントが60000ppm以上70000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが1000ppm以上3200ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが300ppm以上3000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが100ppm以上300ppm以下のカルシウムイオンとを包含することを特徴とする高濃度マグネシウムイオン濃縮液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度マグネシウムイオン濃縮液、飲用水製造システム及び飲用水製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
水は、人体を構成するうえで重要なもので、適度な水分補給は、人体の新陳代謝及び対内の循環を向上させることができ、近年、健康意識の向上により、人々は、飲用水の品質に対する要求が増加し、これに伴い、関連技術の開発も行われている。
【0003】
周知の飲用水技術は、特許文献1を参照することができ、特許文献1は、フィルタを介して、排水機構を包括する浄水排出槽と流体的に連通する水浄化槽と、殺菌剤保存仕切り及び殺菌剤分配口と流体的に連通する殺菌剤分配箱と、を包括する、水の浄化装置であって、前記水浄化槽は、入口及び口穴を有する給水カップを包括し、前記給水カップは、前記水浄化槽の上端に位置し、且つ前記口穴を介して前記水浄化槽と流体的に連通し、前記装置は、前記給水カップ及び前記殺菌剤分配箱を接続する垂直管をさらに包括し、前記垂直管は、前記殺菌剤分配箱と接続することで正空気圧が発生し、前記垂直管を操作する際に殺菌剤を前記水浄化槽に投入することを特徴としている。また、特許文献2のような浄水方法は、まず、電化浄水装置内に水を供水し、次に、電化浄水装置における水の硬度、CaCO計で5〜100ppmの範囲の硬度レベルになるように制御し、さらに、電化浄水装置において、水のアルカリ性が、CaCO計で10〜100ppmの範囲のアルカリレベルになるように制御し、アルカリ性を制御し且つ硬度を減少させた水を浄化水としてユーザに提供している。
【0004】
従来、飲用水を生産する技術の多くは、水中にある人体に有害な物質を浄化することに重点を置いているが、どのような水質成分が人体に好影響をもたらすかについては、更なる研究が行われていないことから、改善する余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開第2298702号
【特許文献2】アメリカ特許明細書第7,329,358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来技術が提供する飲用水では人体に対して顕著な好影響を与えることができない問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を解決するため、本発明に係る高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、重量パーセントが60000ppm以上70000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが1000ppm以上3200ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが300ppm以上3000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが100ppm以上300ppm以下のカルシウムイオンとを包含ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るマグネシウムイオン濃縮装置は、海洋深層水よりも高濃度のマグネシウムイオンを含むマグネシウムイオン濃縮液を製造するマグネシウムイオン濃縮装置であって、
a.海洋深層水に対して、精密濾過膜、限外濾過膜及び逆浸透膜をこの順に通過させることにより、0.025μm以上10μm以下の懸濁物質と5nm以上10nm以下の微小粒子又は細菌と0.2nm以上1.0nm以下の塩分とが除去された第1濃縮液を得るための濾過ユニットと、
b.前記第1濃縮液に対して、50℃以上70℃以下及び10kPa以上20kPa以下の圧力を加えることにより第2濃縮液を得るための真空低温濃縮ユニットと、
具備することを特徴とする。
【0009】
上記構成において、さらに、
c.前記第2濃縮液に対して、常圧下において、90℃以上120℃以下の温度で加熱を行うことにより前記第2濃縮液から結晶塩を析出すると共にその上澄み液を第3濃縮液として得る蒸留手段を更に具備していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
このことから、本発明に係るマグネシウムイオン濃縮装置によれば、マグネシウムイオンを豊富に含む飲用水を製造することができ、実験によれば、その成分による効能は、周知技術と比べ骨粗鬆の改善や抗疲労の効果を具備することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る高マグネシウム含有量飲用水の混合システムを示す模式図である。
図2A】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図2B】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図2C】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図2D】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図2E】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図2F】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨密度画像を示す模式図である。
図3A】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図3B】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図3C】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図3D】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図3E】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図3F】第一実施例における実験例、対照例及び比較例をマイクロコンピュータ断層撮影技術によって表された骨梁画像を示す模式図である。
図4】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とプラセボとを摂取した際の運動能力の改善状況を示す図である。
図5A】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5B】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5C】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5D】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5E】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5F】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5G】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
図5H】第二実施例における実験例、対照例が高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量及び総ヘモグロビンの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な説明及び技術的内容について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本発明は、第一実施例において、重量パーセントが60000ppm以上70000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが1000ppm以上3200ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが300ppm以上3000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが100ppm以上300ppm以下のルシウムイオンとを包含高濃度マグネシウムイオン濃縮液を提供している。
【0014】
本発明の実施例に係る高マグネシウム含有量飲用水の混合システムを示す模式図である図1のように、本発明は、マグネシウムイオン濃縮装置10と、浄水供給装置20と、混液装置30とを包括する高マグネシウム含有量飲用水の混合システムであって、前記マグネシウムイオン濃縮装置10は、上述したような高濃度マグネシウムイオン濃縮液を提供し、前記浄水供給装置20は、浄水を提供し、前記混液装置30は、前記マグネシウムイオン濃縮装置10及び前記浄水供給装置20と連通し、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液と前記浄水とを混合して高マグネシウム含有量飲用水を得ている。
【0015】
本発明の実施例において、前記マグネシウムイオン濃縮装置10は、高濃度マグネシウムイオン濃縮液生成装置或いは前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を保存している容器のいずれかとすることができる。もし、前記マグネシウムイオン濃縮装置10が前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液生成装置の場合、図1のように、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液生成装置は、濾過ユニット11、真空低温濃縮ユニット12及び常圧蒸留ユニット13を包括している。前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液の生成は、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液生成装置によって行われ、以下のようなステップを包括している。
【0016】
ステップ1:ステップ1前記濾過ユニット11により前記海洋深層水に対して濾過を行うことで、重量パーセントが1900ppm以上3000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが13000ppm以上21000ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが550ppm以上1000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが600ppm以上1000ppm以下のカルシウムイオンとを包含する第一濃縮液を得ている。本実施例において、前記海洋深層水は、深さが200m以上1500m以下の海水面下からの深層水であって、好ましくは、深さが300m以上700m以下の深層水とすることができる。また、本実施例において、前記濾過ユニット11は、精密濾過膜11a、限外濾過膜11b及び逆浸透膜11cを包括し、例えば、前記精密濾過膜11aは、0.025μm以上10μmの間以下の第一孔径を有することで、前記海洋深層水にある泥土やアオコ、微生物等の懸濁物質を濾過し、前記限外濾過膜11bは、5nm以上10nmの間以下の第二孔径を有することで、前記海洋深層水にある微小粒子や細菌を濾過し、前記逆浸透膜11cは、0.2nm以上1.0nm以下の第三孔径を有することで、前記海洋深層水にある塩分を濾過している。
【0017】
ステップ2:ステップ2は、前記真空低温濃縮ユニット12により前記第一濃縮液に対して濃縮を行うことで、重量パーセントが10000ppm以上160000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが60000ppm以上100000ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが3000ppm以上6000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが300ppm以上500ppm以下のカルシウムイオンとを包含する第二濃縮液を得ている。前記真空低温濃縮ユニット12は、50℃以上70℃以下の温度と、10KPa以上20KPa以下の圧力とを有している。
【0018】
ステップ3:ステップ3は、前記常圧蒸留ユニット13により前記第二濃縮液に対して加熱を行うことで、前記第二濃縮液から結晶塩を析出し、その後前記第二濃縮液を静置することで、前記結晶塩を底部に沈殿させ、頂部にある液体を汲み取ることにより第三濃縮液を得ている。本発明の実施例において、前記常圧蒸留ユニット13は、前記第二濃縮液に対して90℃以上120℃以下の加熱温度を与えている。
【0019】
ステップ4:ステップ4は、前記第三濃縮液を冷却し、0.2μm以上2.0μm以下の孔径を有する濾過膜14で前記第三濃縮液に対して濾過を行い、不純物を取除くことで、高濃度マグネシウムイオン濃縮液を得ており、前記第三濃縮液は、前記濾過膜14を通過すると、不純物を除去するが、濃度には変化がなく、即ち、前記第三濃縮液の濃度は、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液に等しい。本発明において、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、二種類の成分を包括しており、第一実施例の場合、前記第三濃縮液は、重量パーセントが60000ppm以上70000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが1000ppm以上3200ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが300ppm以上3000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが100ppm以上300ppm以下のカルシウムイオンとを包含し、第二実施例の場合、第三濃縮液は、重量パーセントが40000ppm以上50000ppm以下のマグネシウムイオンと、重量パーセントが8000ppm以上18000ppm以下のナトリウムイオンと、重量パーセントが8000ppm以上17000ppm以下のカリウムイオンと、重量パーセントが15ppm以上250ppm以下のカルシウムイオンとを包含ている。
【0020】
前記浄水供給装置20は、浄化したい水を濾過すると浄水が得られる浄化装置或いは前記浄水を保存する容器のいずれかとすることができる。もし、前記浄水供給装置20が前記浄化装置の場合、図1のように、前記浄水供給装置20は、第一濾過カートリッジ21、低圧圧力スイッチ22、入口電磁弁23、増圧ポンプ24及び逆浸透濾過カートリッジ25を包括し、前記第一濾過カートリッジ21は、前記浄化した水を受けるための第一入口端211及び第一出口端212を有し、前記低圧圧力スイッチ22は、前記第一出口端212と接続する第二入口端221及び第二出口端222を有することで、前記浄化したい水が前記第一濾過カートリッジ21に持続的に供給されているか否かを検出し、前記入口電磁弁23は、前記第二出口端222と接続する第三入口端231及び第三出口端232を有することで、前記浄化した水の流量を制御し、前記増圧ポンプ24は、前記第三出口端232と接続する第四入口端241及び第四出口端242を有し、前記浄化したい水の流量を増加させるため、前記浄化したい水に対して高圧の押力を与え、前記逆浸透濾過カートリッジ25は、前記第四出口端242と接続する第五入口端251及び前記浄水を供給する第五出口端252を有している。
【0021】
前記浄水供給装置20は、洗浄電磁弁26、浄水貯蔵タンク27、加熱素子28及び殺菌素子29をさらに包含し、前記洗浄電磁弁26は、前記逆浸透濾過カートリッジ25の第六出口端253と接続することで、前記逆浸透濾過カートリッジ25を洗浄する洗浄流量を制御し、前記浄水貯蔵タンク27は、前記逆浸透濾過カートリッジ25と前記混液装置30との間に設置し、且つ前記第五出口端252が供給する前記浄水を貯蔵し、前記加熱素子28は、前記逆浸透濾過カートリッジ25と前記混液装置30との間に設置し、且つ前記浄水に対して加熱し、熱水を発生させ、さらに前記熱水を前記混液装置30に供給し、前記殺菌素子29は、前記逆浸透濾過カートリッジ25と前記混液装置30との間に設置し、且つ前記浄水に対して殺菌し、無菌水を生成し、さらに前記無菌水を前記混液装置30に供給している。
【0022】
前記混液装置30は、液体貯蔵タンク31、汲上ポンプ32及び混液ユニット33を包括し、前記液体貯蔵タンク31は、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を貯蔵するために用い、前記汲上ポンプ32は、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を前記液体貯蔵タンク31から汲み上げ、前記混液ユニット33は、前記第五出口端252が供給する前記浄水と、前記汲上ポンプ32によって前記液体貯蔵タンク31から汲み上げた前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液とを混合して前記高マグネシウム含有量飲用水を生成している。そのうち、前記高マグネシウム含有量飲用水の混合システムは、異なる飲用目的、応用範囲に応じて前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を適宜な硬度の飲用水に配合している。
【0023】
上述した第一実施例の高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、ユーザの骨粗鬆の問題を改善することができ、上述した第二実施例の高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、ユーザの疲労の問題を改善することができる。本発明の第一実施例、第二実施例に係る前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液の効果を具体的に説明するため、後述にある本発明に基づいて行った実験例及び比較例を参照されたい。
【0024】
第一実施例で得られた高濃度マグネシウムイオン濃縮液については、卵巣を切除したラットで閉経した女性を模擬しており、閉経した女性は、ホルモンの変化により、骨質の減少速度が極めて速くなるため、骨粗鬆が起こり易くなってしまう。各実験例、対照例及び比較例で用いるラットは、メスのSprague−Dawleyであって、まず、ラットに異なる比率の高マグネシウム含有量飲用水を給餌し、さらにそれぞれの血清及び組織断片に対して分析を行っている。
【0025】
各実験例、対照例及び比較例に給餌した高濃度マグネシウムイオン濃縮液用量は、表1のとおりであって、容量の単位は体重1キログラム当たりである。また、対照例は、卵巣が切除されていないラットである。そのうち、クエン酸カルシウムを投与した目的は、カルシウムが骨粗鬆に対する影響を明白にするためである。
【0026】
【表1】
【0027】
表2は、各実験例、対照例及び比較例のラットに対し、給餌した後の血清中にあるアルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase,ALP)、血中尿素窒素(Blood urea nitrogen,BUN)、クレアチニン(Creatinine,CRE)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(Glutamate oxaloacetate transaminase,GOT)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(Glutamic−pyruvic transaminase,GPT)を測定したものである。
【0028】
【表2】
【0029】
表3は、各実験例、対照例及び比較例のラットに対し、給餌した後の血清中にあるカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リンを測定したものである。
【0030】
【表3】
【0031】
表2からわかるとおり、ラットは、卵巣を切除された後、ALPが115(U/L)から202(U/L)に上昇しており、これは、骨粗鬆が反映された現象であって、本発明の第一実施例で得られた前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を飲用すると、ALPが125(U/L)以下に顕著に低下し、骨粗鬆の改善に有効的であることを示しており、また、BUN、CRE、GOT、GPTの結果からわかるとおり、各実験例は前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液を飲用した後、肝臓や腎臓に影響をもたらすことなく、さらにまた、表3からわかるとおり、給餌した後測定した血清には悪影響が一切なかった。
【0032】
血清の測定以外に、ここでは各実験例及び比較例の組織断片に対し、図2Aから図2F及び図3Aから図3Fのように、マイクロコンピュータ断層撮影技術(Micro computed tomography,Micro−CT)によって骨密度画像及び骨梁画像を観察しており、図2Aから図2Fは、それぞれ実験例1、実験例2、実験例3、対照例、比較例1、比較例2の骨密度画像を、図3Aから図3Fは、それぞれ実験例1、実験例2、実験例3、対照例、比較例1、比較例2の骨梁画像を示している。図2Aから図2Cでわかるとおり、対照例及び各実験例の骨密度(Bone mineral density)は、比較的に高く、図2E図2Fでわかるとおり、比較例の骨密度は比較的に減少している。また、図3Aから図3Cでわかるとおり、対照例及び各実験例の骨梁(Trabacular bone)は、比較的に細密で、図3E図3Fでわかるとおり、比較例の骨梁は比較的に粗大している。
【0033】
第二実施例で得られた高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、中年男性を実験例とし、若年男性を対照例とした場合、図4及び図5Aから図5Gのように、それぞれ運動能力及び運動前、運動中、運動後の赤血球量(Red blood cells,RBCs)を測定している。図4は、実験例及対照例が高濃度マグネシウムイオン濃縮液とプラセボ(Placebo,PLA)とを摂取した際の運動能力の改善状況を示しており、そのうち、実験例が服用した高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、硬度を600に配合した高マグネシウム含有量飲用水である。図からわかるとおり、対照例の場合、高濃度マグネシウムイオン濃縮液を服用した後の運動耐久能力は、顕著な改善がなく、且つ約4.77%低下しているのに対し、実験例の場合、高濃度マグネシウムイオン濃縮液を服用した後の運動耐久能力は、顕著に改善され、約7.36%増加している。
【0034】
図5A及び図5Cは、対照例と実験例とが第二実施例で得られた高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の赤血球量を示し、図5B及び図5Dは、図5A図5Cとの曲線下面積(Area under the curve)を示しており、図5E及び図5Gは、対照例と実験例とが第二実施例で得られた高マグネシウム含有量飲用水とPLAとを摂取した後の運動前、運動後及び運動から2時間後の総ヘモグロビン(total hemoglobin,tHB)を示し、図5F及び図5Hは、図5E図5Gとの曲線下面積(Area under the curve)を示している。図からわかるとおり、対照例の場合、高濃度マグネシウムイオン濃縮液及びPLAを服用することは、RBCs及びtHBに対して殆ど影響がないものの、実験例の場合、高濃度マグネシウムイオン濃縮液を服用したRBCs及びtHBは、明らかに増加しており、さらに実験例を調べると、PLAを服用した者の運動後のRBCsが低下した原因は、運動後に誘発した溶血反応(Hemolysis)によるものであって、これは酸素の輸送を阻止して赤血球調節血管弛緩(RBC−mediated vasorelaxation)を抑制し、運動能力に対して悪影響をもたらしており、また、tHBの傾向もRBCsと類似している。そのため、この結果から、第二実施例で得られた高濃度マグネシウムイオン濃縮液は運動後に誘発する溶血反応を低減することができると推知することができることから、中年男性の運動耐久能力が向上している。
【0035】
以上のことから、本発明によって選択した高濃度マグネシウムイオン濃縮液の成分範囲は、
実験を介すと、前記高濃度マグネシウムイオン濃縮液は、骨粗鬆の改善や抗疲労の効果を具備することが分かった。
【符号の説明】
【0036】
10 マグネシウムイオン濃縮装置
11 濾過ユニット
11a 精密濾過膜
11b 限外濾過膜
11c 逆浸透膜
12 真空低温濃縮ユニット
13 常圧蒸留ユニット
14 濾過膜
20 浄水供給装置
21 第一濾過カートリッジ
211 第一入口端
212 第一出口端
22 低圧圧力スイッチ
221 第二入口端
222 第二出口端
23 入口電磁弁
231 第三入口端
232 第三出口端
24 増圧ポンプ
241 第四入口端
242 第四出口端
25 逆浸透濾過カートリッジ
251 第五入口端
252 第五出口端
253 第六出口端
26 洗浄電磁弁
27 浄水貯蔵タンク
28 加熱素子
29 殺菌素子
30 混液装置
31 液体貯蔵タンク
32 汲上ポンプ
33 混液ユニット
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H