(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータの回転子が回転する際に、ホールセンサにより現在時刻の回転子の現在角度を検出し、前記現在時刻のモータの逆起電力を検出し、前記現在時刻のモータの相電流を検出することと、
前記逆起電力に基づき、逆起電力-トルク係数関係モデルにより目標トルク係数を確定することと、
検出された相電流に基づき、相電流-トルク係数関係モデルにより現在トルク係数を確定することと、
現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定することと、
前記補正角度により前記現在角度を補正して調整角度を取得することと、
前記調整角度に基づき、磁場配向技術によりモータへの給電を調整することと
を含むことを特徴とするモータ駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決手段及び長所をより明らかにするために、以下、図面及び実施例に合わせて本発明をより詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。本発明の技術的解決手段を説明するために、以下具体的な実施例により説明する。
【0013】
本発明の実施例において、モータにおける回転子の位置はホールセンサにより検出され確定されたものである。さらに持続的にホールセンサにより回転子を確定する過程中、一定時間内に回転子の回転速度を確定することができる。
本発明の実施例において、FOC技術(Field Oriented Control、FOC)によりモータへの給電を制御する際に採用された回転子の角度というパラメータは、該ホールセンサにより検出され確定されたものであることを強調する必要がある。本発明の実施例において、FOC技術に用いられるFOC制御ポリシーは、直軸電流をゼロに設定する制御ポリシー、定数交磁束の制御ポリシー、弱界磁制御ポリシーを含むが、これらに限られないものである。
【0014】
ホールセンサを採用するモータについて、FOC技術によりモータへの給電を制御する際に、該ホールセンサにより検出された回転子の角度を使用する必要がある。ホールセンサの装着に誤差が存在する場合(例えば、120度の間隔で三つのホールセンサを装着する必要がある場合、120度の等間隔での装着を実現しない)、モータへの給電に対するFOC技術の制御精度に影響を与えてしまう。
【0015】
ホールセンサの装着誤差が存在することがあるという点に鑑みて、本発明の実施例ではFOC技術によりモータへの給電を制御する際に、回転子の角度に角度補正を行う方式で次第に目標角度に近づくようになる。該目標角度は、ホールセンサの装着に誤差が存在しない場合、ホールセンサにより検出された回転子の角度であり、該目標角度をパラメータとしてFOC技術によりモータへの給電を制御する際、モータに必要な有効電力は最小である。
【0016】
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、前記モータは永久磁石同期モータを選択するようになっている。
本発明の実施例において回転子の角度に角度補正を行い、FOC技術によりモータへの給電を制御する具体的な方法は
図1に示されている。
図1は本発明の実施例によるモータ駆動方法の実現フロー図を示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
【0017】
本発明の実施例によるモータ駆動方法は
図1に示されるとおりである。前記モータ駆動方法はステップA11と、ステップA12と、ステップA13と、ステップA14と、ステップA15と、ステップA16とを含む。
ステップA11において、モータの回転子が回転する際に、ホールセンサにより現在時刻の回転子の現在角度を検出し、前記現在時刻のモータの逆起電力を検出し、前記現在時刻のモータの相電流を検出する。
本発明の実施例において、FOC技術によりモータへの給電を制御する。モータは電源により作動し、回転子が回転する。モータにはホールセンサが設けられており、該ホールセンサにより回転子の位置を検出する。
ある時刻にとって、回転子の位置に基づいて該時刻の回転子の角度を確定することができる。例えば、現在時刻にとって、ホールセンサが検出した現在時刻の位置に基づき、現在時刻の回転子の現在角度を確定することができ、該角度を回転子の現在角度とする。
ある期間にとって、ホールセンサにより該期間における異なった時点の該回転子の角度を確定して、さらに異なった時点の該回転子の角度に基づき、該期間における回転子の回転速度を算出することができる。
【0018】
本発明の実施例において、回転子が回転する際にモータの逆起電力を検出する。どのような方式でモータの逆起電力を検出するかについて、制限しない。
本発明の実施例において、回転子が回転する際にモータの相電流を検出する。どのような方式でモータの相電流を検出するかについて、制限しない。好ましくは、モータの相電流を検出する際、モータのいずれか一相の電流を検出することができ、検出された電流を本発明の実施例に説明したモータの相電流とする。
本発明の実施例において、モータは電源により作動してから、モータの回転子が回転し、ステップA11を執行する。ステップA11を執行する具体的な要求は、現在時刻に検出することが必要である。つまり、ホールセンサにより該現在時刻の回転子の現在角度を検出する同時に、該現在時刻のモータの逆起電力を検出するとともに、該現在時刻のモータの相電流を検出する。
検出された現在時刻のモータの逆起電力に基づき、ステップA12を執行する。検出された現在時刻のモータの相電流に基づき、ステップA13を執行する。
【0019】
ステップA12において、前記逆起電力に基づき、逆起電力-トルク係数関係モデルにより目標トルク係数を確定する。
本発明の実施例において、前記逆起電力-トルク係数関係モデルは、モータ分野におけるモータの逆起電力とモータのトルク係数との間の数学モデルである。従って、本発明の実施例は、逆起電力-トルク係数関係モデルがモータのどのような具体的な数学的モデルに基づくかに制限しない。
該逆起電力-トルク係数関係モデルがモータの逆起電力とモータのトルク係数との間の数学的関係を確定するため、モータの逆起電力を検出する場合、該逆起電力-トルク係数関係モデルに基づいてモータのトルク係数を算出することができる。
【0020】
本発明の実施例の一つの実施方式として、前記モータ駆動方法は、さらに、モータの回転子が回転する際、ホールセンサにより前記現在時刻の回転子の回転速度を検出することを含む。本実施方式において、回転子の回転速度もホールセンサにより検出されたものである。現在時刻を含むある短い期間にとって、ホールセンサにより該短い期間内に異なった時点の該回転子の角度を確定してもよく、さらに異なった時点の該回転子の角度に基づき、該短い期間における回転子の回転速度を算出し、算出された回転速度を現在時刻の回転子の回転速度とする。
【0021】
対応的に、ステップA12にとって、前記逆起電力に基づいて逆起電力-トルク係数関係モデルにより目標トルク係数を確定するという前記ステップは、具体的に、前記逆起電力と前記回転速度に基づき、第一トルク係数モデルにより前記目標トルク係数を確定することである。
そのうち、前記第一トルク係数モデルは、
【数1】
であり、
前記K
Tは前記目標トルク係数であり、前記Eは前記逆起電力のピーク値であり、前記nは前記回転子の回転速度である。
【0022】
本実施例において、現在時刻のモータの逆起電力を検出する同時に、該現在時刻の回転子の回転速度を検出する。逆起電力のピーク値及び現在時刻の回転速度に基づき、逆起電力係数モデルにより現在時刻の逆起電力係数K
eを確定する。該逆起電力係数モデルは、
【数2】
であり、
前記Eは前記逆起電力のピーク値であり、前記nは前記回転子の回転速度である。
さらに、逆起電力係数とモータのトルク係数との関係モデルに基づいてトルク係数を算出する。該逆起電力係数とモータのトルク係数との関係モデルは、
【数3】
である。
このように、現在時刻の逆起電力係数K
eを確定した後、公式(3)に基づいて現在時刻のモータのトルク係数を確定することができる。
即ち、本実施方式において、公式(2)に示された逆起電力係数モデル及び逆起電力係数と公式(3)に示されたモータのトルク係数との関係モデルを結合し、公式(1)に示された第一トルク係数モデルを取得する。前記逆起電力Eのピーク値を確定し、現在時刻の回転子の回転速度nを検出した後、第一トルク係数モデル(1)に基づいて現在時刻の目標トルク係数K
Tを算出することができる。
【0023】
ステップA13において、検出された相電流に基づき、相電流-トルク係数関係モデルにより現在トルク係数を確定する。
本発明の実施例において、前記相電流-トルク係数関係モデルは、モータ分野におけるモータの相電流とモータのトルク係数との間の数学モデルである。従って、本発明の実施例は、相電流-トルク係数関係モデルがモータのどのような具体的な数学的モデルに基づくかに制限しない。
現在時刻のモータの相電流を検出した後、ステップA13を執行する。相電流-トルク係数関係モデルによりモータの現在時刻のトルク係数を算出し、算出されたトルク係数を前記現在トルク係数とする。
【0024】
本発明の実施例の一つの実施方式として、前記相電流-トルク係数関係モデルは、
【数4】
である。
前記K'
Tは前記現在トルク係数であり、前記Tは予めロードされた負荷トルクであり、前記Iはモータの前記相電流のピーク値である。
本実施方式において、現在時刻の負荷トルクTは、例えば、モータの負荷トルク観測器により検出されるものである。
本実施方式において、予め負荷トルクTを検出したため、さらに現在時刻のモータの相電流を検出した後、該相電流のピーク値を取って公式(4)に示された相電流-トルク係数関係モデルにより現在時刻の現在トルク係数K'
Tを算出する。
【0025】
ステップA14において、現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定する。
本発明の実施例において、予め第一誤差範囲を確定する。該第一誤差範囲を確定する具体的な方法に制限しなく、主観的に設定してもよく、実験データに基づいて確定してもよい。現在トルク係数がほとんど持続的に目標トルク係数に等しくないため、本発明の実施例は以下のように定義する。現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入る場合、前記現在トルク係数が前記目標トルク係数に近似的に等しいと見なす。
従って、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、前記現在トルク係数が前記目標トルク係数に近似的に等しいと見なすことができず、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との間に誤差が存在すると確定される。
【0026】
目標角度(ホールセンサの装着誤差が存在しない場合、ホールセンサにより検出された回転子の角度)下で、つまり、前記現在トルク係数が前記目標トルク係数に等しい場合、モータが同様の負荷トルクを克服するのに必要な有効電力が最小である。従って、FOC技術によりモータへの給電を制御する際、補正により取得された調整角度が次第に該目標角度に近づく又は接近するように、回転子の現在角度を補正する必要がある。その時に同じ負荷トルクにとって、モータに必要な有効電力が最小であり、つまりモータに必要な相電流も最小である。
本発明の実施例において、現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定するようになる。本発明の実施例は、補正角度を確定するための回転子の角度補正モデルに制限しないが、該回転子の角度補正モデル基づいて確定された補正角度により該現在角度を補正することで得られた調整角度が該現在角度に対して次第に目標角度に近づく又は接近するという条件を満たせばよい。
【0027】
図2はステップA14の一つの実現フローを示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
本発明の実施例の一つの実施方式において、
図2に示されるように、ステップA14にとって、現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定するという前記ステップは、ステップA141と、ステップA142と、ステップA143とを含む。
【0028】
ステップA141において、前記現在トルク係数及び前記目標トルク係数がトルク係数誤差モデルを満たすかどうかを判断する。前記トルク係数誤差モデルは、
【数5】
であり、
前記εは前記第一誤差範囲に決められる。本実施方式において、前記第一誤差範囲を確定する状況において、前記第一誤差範囲に基づいて確定されたεは、前記現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入るという条件を満たす全部の値を含む。
好ましくは、前記εの値は5%である。
【0029】
ステップA142において、満たす場合、前記現在角度を前記調整角度とする。
本実施方式において、現在時刻の現在トルク係数及び現在時刻の目標トルク係数が公式(5)に示されたトルク係数誤差モデルを満たす場合、以下のように判定する。
ホールセンサの装着誤差がより小さく、該現在角度は既に目標角度に近づく又は接近するため、現在トルク係数が前記目標トルク係数に近似的に等しいと判定することができる。
又は、既に前回の補正角度(現在時刻前の時刻に基づく確定された補正角度)を結合して前回の調整角度を取得し、かつ該前回の調整角度に基づいてFOC技術によりモータへの給電を調整した後、前記目標トルク係数及び現在時刻に確定された現在トルク係数としては、現在トルク係数及び前記目標トルク係数は公式(5)を満たす場合、該現在角度は既に目標角度に近づく又は接近すると見なし、現在トルク係数が前記目標トルク係数に近似的に等しいと判定することができる。
本実施方式において、現在時刻の現在トルク係数及び現在時刻の目標トルク係数が公式(5)に示されたトルク係数誤差モデルを満たす場合、現在角度に続けて角度補正を行う必要がなく、つまり前記回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定する必要がないので、現在時刻に直接に前記現在角度を前記調整角度とする。
【0030】
ステップA143において、満たさない場合、前記回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定する。
本実施方式において、現在時刻の現在トルク係数及び現在時刻の目標トルク係数が公式(5)に示されたトルク係数誤差モデルを満たさない場合、以下のように判定する。
該現在角度と該目標角度との間に誤差が存在し、続けて補正角度を確定する必要がある。調整角度(現在角度に対して該補正角度を結合して算出したもの)に基づいてFOC技術によりモータへの給電を調整した後、次回に確定されたトルク係数及び前記目標トルク係数は公式(5)を満たすように、該補正角度で現在角度に対して角度を補正する。又は、次回に確定されたトルク係数及び前記目標トルク係数が公式(5)を満たさないものの、次回に確定されたトルク係数は前記目標トルク係数に近づく又は接近する(つまり次回に検出された角度は目標角度に近づく又は接近する)。
【0031】
図3はステップA14の他の実現フローを示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式において、
図3に示されるように、ステップA14にとって、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定するという前記ステップは、具体的にステップA144と、ステップA145と、ステップA146とを含む。 ステップA144において、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るかどうかを判断する。
本実施形態において、第一誤差範囲を確定するだけではなく、また第一誤差範囲を含む第二誤差範囲を確定することになる。
【0032】
ステップA14を執行する際、既に現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らないことが確定されたため、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定する必要がある。本実施方式においてさらにステップA1431を執行してより大きな誤差範囲での判断を行い、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るかどうかを判断する。
前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入らない場合、ステップA145を執行して補正角度を確定する。ステップA145に基づいて確定された補正角度の値がより大きいであるため、ステップA145に確定された補正角度及び現在角度を結合して取得した調整角度が次第に大角度で速やかに前記目標角度に近づく又は接近するように、該ステップA145に基づいて確定されたより大きな補正角度で大角度の補正を行う。
前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るが第一誤差範囲に入らない場合、ステップA146を執行して補正角度を確定する。ステップA146に基づいて確定された補正角度の値がより小さいため、ステップA146が確定した補正角度及び現在角度を結合して取得した調整角度が次第に小角度で前記目標角度に近づく又は接近するように、該ステップA146に基づいて確定したより小さな補正角度で小さな角度の補正を行う。
【0033】
ステップA145において、前記差が第二誤差範囲に入らない場合、第一回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定する。前記第一回転子の角度補正モデルは、
【数6】
であり、
前記θ
iは第i回の補正角度であり、前記iは1より大きく、前記Δは単位角度である。
本実施方式において、予め主観的に単位角度Δを設定し、又は実験データに基づいて前記単位角度Δを確定する。
本実施方式において、現在時刻の現在トルク係数と現在時刻の目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入らない場合、検出された現在時刻の現在角度に対して角度補正を行う。検出された現在時刻の現在角度に対する角度補正は第i回の補正角度である。
第i回の補正角度が第i-1回の補正角度の二倍であるため、回転子の角度は大角度で速やかに前記目標角度に近づく又は接近する。
【0034】
ステップA146において、前記差が前記第二誤差範囲に入る場合、第二回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定する。前記第二回転子の角度補正モデルは、
【数7】
であり、
前記θ
iは第i回の補正角度であり、前記θ
i−1は第i−1回の補正角度であり、前記θ
i−2は第i-2回の補正角度である。
本実施方式において、前記現在時刻の現在トルク係数と現在時刻の目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るが第一誤差範囲に入らない場合、検出された現在時刻の現在角度に対して角度補正を行う。検出された現在時刻の現在角度に対する角度補正は第i回の補正角度である。
本実施方式において、前記現在時刻の現在トルク係数と現在時刻の目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るが第一誤差範囲に入らない場合、次第に補正角度を減らす。今回を例にすると、今回に確定された補正角度θ
iは第i−1回の補正角度θ
i−1と第i-2回の補正角度θ
i−2との差の絶対値の二分の一である。このように、回転子の角度は次第に小角度で目標角度に近づくように、補正角度を次第に減らす。さらに、モータに必要な有効電力が目標角度下でFOC技術を採用するのに必要な有効電力に近づき、モータの相電流が目標角度下でFOC技術を採用する際に検出された相電流に近づくことになる。
【0035】
本発明の実施例の一つの実施方式として、
図2及び
図3を結合し、示されたステップA141を執行して前記現在トルク係数と前記目標トルク係数がトルク係数誤差モデルを満たすかどうかを判断する。満たす場合、ステップA142を執行する。満たさない場合、ステップA144を執行する。
ステップA144を執行する際に前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るかどうかを判断する。前記差が前記第二誤差範囲に入らない場合、第一回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定する。前記差が前記第二誤差範囲に入るが第一誤差範囲に入らない場合、第二回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定する。
【0036】
本実施方式の一つの実施形態において、通常、開始の際に前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入らないため、回転子の角度が速やかに前記目標角度に近づく又は接近するように、ステップA145を執行してより大きな補正角度を確定し、より大きな補正角度で回転子の角度を補正することで、モータに必要な有効電力が大幅に低下し、モータの相電流も大幅に低下するようになる。一回又は多回で回転子の角度がより大きな補正角度で速やかに前記目標角度に近づく又は接近した後、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るが第一誤差範囲に入らないため、回転子の角度が小角度で前記目標角度に近づく又は接近するように、ステップA146を執行してより小さな補正角度を確定し、より小さな角度で回転子の角度を補正することで、モータに必要な有効電力が大幅に低下し、モータの相電流も大幅に低下するようになる。一回又は多回で回転子の角度がより小さな補正角度により小角度で前記目標角度に近づく又は接近した後、モータに必要な有効電力が目標角度下でFOC技術を採用するのに必要な有効電力に近づき、モータの相電流が目標角度下でFOC技術を採用する際に検出された相電流に近づくようになる。
【0037】
ステップA15において、前記補正角度により前記現在角度を補正して調整角度を取得する。
本発明の実施例において、前記現在角度でFOC技術を採用してモータへの給電を調整する際に検出された相電流は、前記調整角度でFOC技術を採用してモータへの給電を調整する際に検出された相電流より小さく又は等しいという条件を満たす際に前記調整角度を確定する。
【0038】
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、前記現在角度を前記補正角度に加えた和を調整角度とする際、該調整角度が該条件を満たす場合、前記現在角度を前記補正角度に加えた和を前記調整角度とする。逆に、前記現在角度から前記補正角度を引いた差を調整角度とする際、該調整角度が該条件を満たす場合、前記現在角度から前記補正角度を引いた差を前記調整角度とする。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、前記現在角度を前記補正角度に加えた和を調整角度とする際、今回検出された相電流(検出された現在時刻の相電流)のピーク値が次回検出された相電流(検出された現在時刻後のある時刻の相電流)のピーク値より小さく又は等しい場合、前記現在角度を前記補正角度に加えた和を調整角度とする。逆に、今回検出された相電流のピーク値が次回検出された相電流のピーク値より大きい場合、前記現在角度から前記補正角度を引いた差を前記調整角度とする。
【0039】
本発明の実施例の他の具体的な実施方式として、前記現在角度から前記補正角度を引いた差を調整角度とする際、今回検出された相電流(検出された現在時刻の相電流)のピーク値が次回検出された相電流(検出された現在時刻後のある時刻の相電流)のピーク値より小さく又は等しい場合、前記現在角度から前記補正角度を引いた差を調整角度とする。逆に、今回検出された相電流のピーク値が次回検出された相電流のピーク値より大きい場合、前記現在角度を前記補正角度に加えた和を前記調整角度とする。
【0040】
ステップA16において、前記調整角度に基づき、磁場配向技術によりモータへの給電を調整する。
本発明の実施例において、現在時刻の調整角度を確定した後、該調整角度に基づいてモータに給電する給電電流を直軸電流及び直交軸電流に調整する。前記直軸電流及び前記直交軸電流に基づいて磁場配向技術によりモータへの給電を調整する。
ステップA16の一つの具体的な実施方式として、座標変換モデルにより三相モータの給電電流を直軸電流及び直交軸電流に調整する。前記座標変換モデルは、
【数8】
である。
前記I
u、I
v、I
wはそれぞれ三相モータの三相への給電電流であり、前記θは調整角度であり、前記I
dはモータの直軸電流であり、前記I
qはモータの直交軸電流である。前記調整角度θは前記補正角度で前記現在角度を補正して取得した角度である。
さらにモータの直軸電流I
d及びモータの直交軸電流I
qで、磁場配向技術によりモータへの給電を調整する。
【0041】
当業者であれば、上述の実施例方法中の全部又は一部のステップを実現するように、プログラムにより関連ハードウェアを指示することで達成できることも理解でき、前記プログラムはパソコンの読取記憶媒体中に記憶されていてもよく、前記記憶媒体はROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク等を含む。
本発明の実施例によるモータ駆動方法及び本発明の実施例によるモータ駆動装置は互いに適用することを説明すべきである。
図4は本発明の実施例によるモータ駆動装置の組成構造を示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
【0042】
本発明の実施例はモータ駆動装置を提供する。
図4に示されるように、前記モータ駆動装置は角度検出モジュール61と、逆起電力検出モジュール62と、相電流検出モジュール63と、調整モジュール64とを含む。
前記モータ駆動装置が有する角度検出モジュール61について、前記角度検出モジュール61はモータの回転子が回転する際にホールセンサにより現在時刻の回転子の現在角度を検出するためのものである。
本発明の実施例において、該角度検出モジュール61は、回転子の位置を検出するためのホールセンサを含む。さらに、該角度検出モジュール61は検出された現在時刻の回転子の位置に基づいて回転子の現在角度を確定することができる。
前記モータ駆動装置が有する逆起電力検出モジュール62について、前記逆起電力検出モジュール62はモータの回転子が回転する際に前記現在時刻のモータの逆起電力を検出するためのものである。
【0043】
本発明の実施例において、モータの回転子が回転する際に逆起電力検出モジュール62によりモータの逆起電力を検出する。本発明の実施例は逆起電力検出モジュール62に限定せず、該逆起電力検出モジュール62の内部回路、有するデバイス及び内部構造にも限定せず、モータの逆起電力に対する検出を実現すればよく、例えば、従来技術による検出器を採用して実現する。
前記モータ駆動装置が有する相電流検出モジュール63について、前記相電流検出モジュール63はモータの回転子が回転する際に前記現在時刻のモータの相電流を検出するためのものである。
本発明の実施例において、本発明の実施例は相電流検出モジュール63に限定せず、該相電流検出モジュール63の内部回路、有する部品及び内部構造にも限定せず、モータの相電流に対する検出を実現すればよい。モータの相電流を検出する際、モータのいずれか一相の電流を検出してもよく、検出された電流をモータの相電流とする。
【0044】
前記調整モジュール64は、目標トルク係数確定ユニット641と、現在トルク係数確定ユニット642と、補正角度確定ユニット643と、調整角度取得ユニット644と、給電調整ユニット645とを含む。
前記目標トルク係数確定ユニット641は前記逆起電力検出モジュール62が検出した前記逆起電力に基づき、逆起電力-トルク係数関係モデルにより目標トルク係数を確定するためのものである。
前記現在トルク係数確定ユニット642は、前記相電流検出モジュール63が検出した相電流に基づき、相電流-トルク係数関係モデルにより現在トルク係数を確定するためのものである。
前記補正角度確定ユニット643は、現在トルク係数と目標トルク係数との差が第一誤差範囲に入らない場合、回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定するためのものである。
前記調整角度取得ユニット644は、前記補正角度により前記角度検出モジュール61が検出した前記現在角度を補正して調整角度を取得するためのものである。
前記給電調整ユニット645は、前記調整角度に基づき、磁場配向技術によりモータへの給電を調整するためのものである。
本発明の実施例の一つの実施方式として、前記調整モジュール64はシングルチップコンピュータ、プログラマブルロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA))、ARMプロセッサ等のプロセッサ機能及び記憶機能を有するデバイスを採用する。
【0045】
図5は本発明の実施例によるモータ駆動装置の最適化した組成構造を示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、
図5に示されたように、前記モータ駆動装置は回転速度検出モジュール65を含む。本発明の実施例において、該回転速度検出モジュール65は、回転子の位置を検出するためのホールセンサを含む。さらに、該回転速度検出モジュール65はある期間内に検出された回転子の位置変化に基づき、回転子の回転速度を確定することができる。好ましくは、回転速度検出モジュール65及び角度検出モジュール61は同じモジュールで実現する。
【0046】
前記回転速度検出モジュール65は、モータの回転子が回転する際にホールセンサにより前記現在時刻の回転子の回転速度を検出するためのものである。
前記目標トルク係数確定ユニット641は、具体的に前記逆起電力検出モジュール62が検出した逆起電力及び前記回転速度検出モジュール65が検出した回転速度に基づき、第一トルク係数モデルにより前記目標トルク係数を確定するためのものである。
そのうち、前記第一トルク係数モデルは、
【数9】
であり、前記K
Tは前記目標トルク係数であり、前記Eは前記逆起電力のピーク値であり、前記nは前記回転子の回転速度である。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、前記相電流-トルク係数関係モデルは、
【数10】
であり、前記K'
Tは前記現在トルク係数であり、前記Tは予め検出された又は算出された負荷トルクであり、前記Iはモータの前記相電流のピーク値である。
【0047】
図6は本発明の実施例によるモータ駆動装置の他の最適化した組成構造を示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、
図6に示されたように、前記調整モジュール64は、さらに、第一判断ユニット646と、作動ユニット647とを含み。
前記第一判断ユニット646は、前記現在トルク係数及び前記目標トルク係数がトルク係数誤差モデルを満たすかどうかを判断するためのものである。前記トルク係数誤差モデルは
【数11】
であり、前記εは前記第一誤差範囲に決められている。
前記作動ユニット647は、前記現在トルク係数及び前記目標トルク係数がトルク係数誤差モデルを満たす場合、前記現在角度を前記調整角度にするためのものである。
前記補正角度確定ユニット643は、具体的に前記現在トルク係数及び前記目標トルク係数がトルク係数誤差モデルを満たさない場合、前記回転子の角度補正モデルに基づいて補正角度を確定するためのものである。
【0048】
図7は本発明の実施例によるモータ駆動装置の他の最適化した組成構造を示すものであり、便利に説明するために、本発明の実施例に関する部分のみを示す。
本発明の実施例の一つの具体的な実施方式として、
図7に示されたように、前記補正角度確定ユニット643は、具体的に第二判断ユニット648と、第一補正角度確定ユニット649と、第二補正角度確定ユニット66とを含む。
前記第二判断ユニット648は、前記現在トルク係数と前記目標トルク係数との差が第二誤差範囲に入るかどうかを判断するためのものである。
前記第一補正角度確定ユニット649は、前記差が第二誤差範囲に入らない場合、第一回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定するためのものである。前記第一回転子の角度補正モデルは
【数12】
であり、前記θ
iは第i回の補正角度であり、前記iは1より大きく、前記Δは単位角度である。
前記第二補正角度確定ユニット66は、前記差が第二誤差範囲に入る場合、第二回転子の角度補正モデルにより前記補正角度θ
iを確定するためのものである。前記第二回転子の角度補正モデルは
【数13】
であり、前記θ
iは第i回の補正角度であり、前記θ
i−1は第i−1回の補正角度であり、前記θ
i−2は第i−2回の補正角度である。
当業者は、本発明の実施例によるモータ駆動装置が有する各ユニットは機能論理に基づいて区分されるが上述の区分に限らず、対応機能を実現すればよく、また、各機能ユニットの具体的な名称も便利に区分するためのものであり、本発明の保護範囲を制限するものではないことが理解すべきである。
【0049】
本発明の実施例は、また、上述のモータ駆動装置及びモータを含む、モータを使用する電子機器を提供する。
【0050】
以上の内容は具体的な好適な実施方式を結合して本発明をさらに詳しく説明したものであり、本発明の具体的な実施形態がこれらの説明だけに限定されると認定されない。本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない前提において、幾つかの同じの性能又は用途である等価置き換え又は顕著な変形は、いずれも本発明の提出した特許請求の範囲により確定された特許の保護範囲に属するとみなされるべきである。