(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動パーティション部材は、前記ウォータージャケットの周方向において前記固定パーティション部材から半周離れた位置に対して周方向の一方に偏倚した位置に設けられ、
前記冷却水入口及び前記第1冷却水出口が、前記ウォータージャケットにおける前記固定パーティション部材と前記可動パーティション部材との間の部分のうちの短い方に設けられたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の冷却構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の冷却装置では、サーモスタットが複数必要になる。また、内燃機関に流入した冷却水はシリンダブロックとシリンダヘッドとに分かれて流れる上、シリンダブロックにおいて冷却水がシリンダ列の両側を流れることから冷却水の流速が低く、シリンダブロックを効果的に冷却することができない。
【0007】
また、特許文献2記載の冷却装置では、冷却水通路をシリンダボア側及び外壁側に2重に形成しなければならず、シリンダブロックが大型化する。シリンダブロックの大型化を避けるために両冷却水通路の幅を小さくすることも可能であるが、このようにすると流路抵抗による圧力損失が大きくなる。従って、シリンダブロックを効果的に冷却することができない。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑み、シリンダブロックの大型化や冷却水の圧力損失の増大を抑制しつつ、早期暖機とシリンダブロックの効果的冷却との両立が可能な内燃機関の冷却構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明に係る内燃機関(1)の冷却構造の一態様は、シリンダブロック(3)にシリンダ(2)を取り囲むように環状に形成されたウォータージャケット(7A)と、前記ウォータージャケットに冷却水を流入させる冷却水入口(21)と、前記ウォータージャケットの周方向において前記冷却水入口と異なる位置に設けられ、前記ウォータージャケットから冷却水を流出させる冷却水出口(22m)と、前記ウォータージャケットにおける前記冷却水入口と前記冷却水出口との間に設けられ、当該ウォータージャケットを周方向に仕切る閉位置と当該ウォータージャケットを周方向に開放する開位置とを取り得る可動パーティション部材(31)とを備える構成とする。
【0010】
この構成によれば、冷却水は、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態では、冷却水入口から可動パーティション部材が設けられた部分を迂回して冷却水出口に流れ、可動パーティション部材が開位置にある開放状態では、可動パーティション部材が設けられた部分をも通るように冷却水入口から冷却水出口に向けて流れる。つまり、可動パーティション部材がウォータージャケットを開放し、冷却水の流通経路を増やすことで、閉塞状態で冷却水通路となる部分の冷却水の流速を低下させて内燃機関の早期暖機を図ることができる一方、可動パーティション部材がウォータージャケットを仕切り、冷却水の流通経路を減らすことで、冷却水の流速を増大させてシリンダブロックを効果的に冷却することができる。また、ウォータージャケットは周方向に仕切られるだけであり、2重に形成される必要がないため、シリンダブロックの大型化や冷却水の圧力損失の増大が抑制される。
【0011】
また、上記の態様において、前記冷却水出口(22m)は、前記ウォータージャケット(7A)の周方向において前記冷却水入口(21)から半周離れた位置(P1)に対して周方向の一方に偏倚した位置に設けられ、前記可動パーティション部材(31)が、前記ウォータージャケットにおける前記冷却水入口と前記冷却水出口との間の部分のうちの短い方に設けられた構成とすることができる。
【0012】
ここで、半周とは、環状のウォータージャケットの全周長の半分を意味する。つまり、ウォータージャケットが1つのシリンダのみを取り囲む場合には、ウォータージャケットの半周はシリンダの半周に相当するが、ウォータージャケットが複数のシリンダを取り囲む場合には、ウォータージャケットの半周は1つのシリンダの半周に相当するものではない。
【0013】
この構成によれば、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態では、冷却水通路長が半周よりも長くなることから冷却効果が高くなり、可動パーティション部材が開位置にある開放状態では、冷却水入口と冷却水出口と距離が短くなることから冷却効果が低くなる。これにより、シリンダブロックの効果的冷却及び早期暖機が促進される。
【0014】
また、上記の態様において、前記シリンダブロック(3)に前記シリンダ(2)が複数形成され、前記冷却水入口(21)及び前記冷却水出口(22m)が、前記ウォータージャケット(7A)における1つの前記シリンダ(2a)に対向する部分に設けられた構成とすることができる。
【0015】
この構成によれば、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態において、ウォータージャケットの冷却水入口及び冷却水出口が設けられた部分が取り囲むシリンダを少なくとも部分的に、他のシリンダを全体的に冷却することができ、複数のシリンダの全てを冷却することができる。
【0016】
また、このような課題を解決するために、本発明に係る内燃機関(1)の冷却構造の他の態様は、シリンダブロック(3)にシリンダ(2)を取り囲むように環状に形成されたウォータージャケット(7A)と、前記ウォータージャケットに冷却水を流入させる冷却水入口(21)と、前記ウォータージャケットから冷却水を流出させる第1冷却水出口(22m
1)及び第2冷却水出口(22m
2)と、前記ウォータージャケットを周方向に仕切るように設けられた固定パーティション部材(41)と、前記ウォータージャケットの周方向において前記固定パーティション部材と異なる位置に設けられ、前記ウォータージャケットを周方向に仕切る閉位置と前記ウォータージャケットを周方向に開放する開位置とを取り得る可動パーティション部材(31)とを備え、前記ウォータージャケットにおける前記固定パーティション部材と前記可動パーティション部材との間の部分のうちの一方に前記冷却水入口及び前記第1冷却水出口が設けられ、前記ウォータージャケットにおける前記固定パーティション部材と前記可動パーティション部材との間の部分のうちの他方に前記第2冷却水出口が設けられた構成とすることができる。
【0017】
この構成によれば、冷却水は、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態では、冷却水入口から直接的に第1冷却水出口に流れ、可動パーティション部材が開位置にある開放状態では、可動パーティション部材が設けられた部分をも通るように冷却水入口から第1冷却水出口及び第2冷却水出口に向けて流れる。つまり、可動パーティション部材がウォータージャケットを仕切り、冷却水の流通経路を減らすことで、冷却水の流通範囲を小さくすると共に開放時に冷却水通路となる部分の冷却水の流速を低下させて内燃機関の早期暖機を図ることができる。一方、可動パーティション部材がウォータージャケットを開放し、冷却水の流通経路を増やすことで、冷却水の流通範囲を大きくしてシリンダブロックを効果的に冷却することができる。また、ウォータージャケットは周方向に仕切られるだけであり、2重に形成される必要がないため、シリンダブロックの大型化や冷却水の圧力損失の増大が抑制される。
【0018】
また、上記の態様において、前記第1冷却水出口(22m
1)が前記第2冷却水出口(22m
2)よりも小さい構成とすることができる。
【0019】
この構成によれば、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態での第1冷却水出口の流路抵抗は大きくなるが、可動パーティション部材が開位置にある開放状態において第2冷却水出口に向けて流通する冷却水量を確保することができる。
【0020】
また、上記の態様において、前記可動パーティション部材(31)は、前記ウォータージャケットの周方向において前記固定パーティション部材(41)から半周離れた位置(P2)に対して周方向の一方に偏倚した位置に設けられ、前記冷却水入口(21)及び前記第1冷却水出口(22m
1)が、前記ウォータージャケット(7A)における前記固定パーティション部材と前記可動パーティション部材との間の部分のうちの短い方に設けられた構成とすることができる。
【0021】
この構成によれば、可動パーティション部材が開位置にある開放状態では、冷却水の流通範囲が広くなることから冷却効果が高くなり、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態では、冷却水の流通範囲が半周よりも短くなることから冷却効果が低くなる。これにより、シリンダブロックの効果的冷却及び早期暖機が促進される。
【0022】
また、上記の態様において、前記シリンダブロック(3)に前記シリンダ(2)が複数形成され、前記固定パーティション部材(41)及び前記可動パーティション部材(31)が、前記ウォータージャケットにおける1つの前記シリンダ(2a)に対向する部分に設けられた構成とすることができる。
【0023】
この構成によれば、可動パーティション部材が閉位置にある閉塞状態において、ウォータージャケットの冷却水入口及び第1冷却水出口が設けられた部分が取り囲むシリンダのみが部分的に冷却され、他のシリンダの冷却を停止できる。これにより、一層の早期暖機を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明によれば、シリンダブロックの大型化や冷却水の圧力損失の増大を抑制しつつ、早期暖機とシリンダブロックの効果的冷却との両立が可能な内燃機関の冷却構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
≪第1実施形態≫
まず、
図1〜
図10を参照して第1実施形態に係る内燃機関1の冷却構造について説明する。内燃機関1は、3つのシリンダ2(以下、左から順に第1シリンダ2a、第2シリンダ2b、第3シリンダ2cとする)が形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3のシリンダ軸線2X方向の一方の端面(図示例では上面)に結合されたシリンダヘッド4とを備えている。シリンダブロック3の他方の端面にはロアブロックやオイルパンが適宜結合されており、シリンダ2のシリンダヘッド4と相反する側にクランク室やオイル溜めが形成されている。本実施形態の内燃機関1は、3つのシリンダ2が1列に形成された直列3気筒ガソリンエンジンである。
【0028】
内燃機関1は、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4を冷却する冷却装置5や、クランクシャフトやカムシャフト等の各摺動部にオイルを供給する図示しない潤滑装置等を備えている。冷却装置5は、クランクシャフトにより駆動され、冷却水(冷却液)を圧送するウォーターポンプ6、シリンダブロック3に形成されたブロック側ウォータージャケット7A、ブロック側ウォータージャケット7Aと連通するようにシリンダヘッド4に形成されたヘッド側ウォータージャケット7B、冷却水を冷却するラジエータ8、内燃機関1やラジエータ8、ウォーターポンプ6等を互いに接続する冷却水配管9(9a〜9e)、ブロック側ウォータージャケット7A及びヘッド側ウォータージャケット7B(以下、総称する場合には単にウォータージャケット7と記す)から流出した冷却水をラジエータ8に流通させる流路と冷却水をラジエータ8に流通させない流路とを切り替えるサーモスタット10等により構成されている。
【0029】
本実施形態では、ウォーターポンプ6とブロック側ウォータージャケット7Aとが第1配管9aにより接続され、ヘッド側ウォータージャケット7Bとラジエータ8とが第2配管9bにより接続され、ヘッド側ウォータージャケット7Bとサーモスタット10とが第3配管9cにより接続され、ラジエータ8とサーモスタット10とが第4配管9dにより接続され、サーモスタット10とウォーターポンプ6とが第5配管9eにより接続されている。図示例では、第2配管9bの上流側(シリンダヘッド4側)部分と第3配管9cの上流側部分とが共通となっている。
【0030】
サーモスタット10は、第3配管9cが接続する第1冷却水入口11a、第4配管9dが接続する第2冷却水入口11b、及び第5配管9eが接続する冷却水出口11cが形成されたケース11と、ケース11内に収容された弁体12とを備えている。サーモスタット10は、冷却水温が所定の閾値よりも低い時(即ち、暖機時)に弁体12が第2冷却水入口11bを閉塞すると共に第1冷却水入口11aを開放し、冷却水温が所定の閾値以上の時(即ち、暖機完了後)に弁体12が第2冷却水入口11bを開放すると共に第1冷却水入口11aを閉塞するように構成されている。
【0031】
これによって冷却水は次のように流通する。即ち、
図2(A)に示されるように、冷却水温が所定の閾値よりも低く、サーモスタット10が閉状態(弁体12が第2冷却水入口11bを閉塞した状態)では、ウォーターポンプ6から第1配管9aを介してウォータージャケット7へ圧送された冷却水は、第3配管9cを通って第1冷却水入口11aからサーモスタット10に流入する。サーモスタット10の冷却水出口11cから流出した冷却水は、第5配管9eを通ってウォーターポンプ6に戻される。
【0032】
一方、
図2(B)に示されるように、冷却水温が所定の閾値以上であり、サーモスタット10が開状態(弁体12が第2冷却水入口11bを開放した状態)では、ウォーターポンプ6から第1配管9aを介してウォータージャケット7へ圧送されて昇温した冷却水は、第2配管9bを通ってラジエータ8へ送られる。ラジエータ8での熱交換により冷却された冷却水は、第4配管9dを介して第2冷却水入口11bからサーモスタット10に流入し、冷却水出口11cから第5配管9eを通ってウォーターポンプ6に戻される。
【0033】
次に、
図3及び
図4を参照してウォータージャケット7について説明する。
図3は、シリンダブロック3やシリンダヘッド4に形成された通路空間であるウォータージャケット7を実態的に示している。言い換えれば、
図3は、シリンダブロック3やシリンダヘッド4を鋳造する際にウォータージャケット7を形成するために用いる中子を示しているとも云える。
【0034】
図3及び
図4に示されるように、ブロック側ウォータージャケット7Aは、3つのシリンダ2に沿って湾曲するように、且つ3つのシリンダ2の燃焼室側(シリンダヘッド4側)を取り囲むように環状に形成されている。ブロック側ウォータージャケット7Aは、略同一幅且つ略同一深さの環状溝としてシリンダブロック3に形成される。
【0035】
ブロック側ウォータージャケット7Aは、平面視(
図4)においてシリンダ列方向に長い形状を有している。3つのシリンダ軸線2Xを通るシリンダ中心面2Cにより分割される、ブロック側ウォータージャケット7Aの長手部分の一方(
図4中の下方)は吸気側7inであり、長手部分の他方(
図4中の上方)は排気側7exである。ブロック側ウォータージャケット7Aは、互いに隣接する2つのシリンダ2間の2箇所において吸気側7inと排気側7exとが近接しており、当該2箇所の近接部分には、シリンダ中心面2Cに直交する方向に延在して吸気側7inと排気側7exとを連通する比較的小断面の連通路7aが形成されている。
【0036】
ブロック側ウォータージャケット7Aの第1シリンダ2aに対向する部分(第1シリンダ2aを取り囲む部分、以下同じ)の吸気側7inの側面には第1配管9a(
図1)が接続される冷却水入口21が形成されている。ブロック側ウォータージャケット7Aでは、ヘッド側ウォータージャケット7Bと連通する部分が冷却水出口22(22m、22s)となっている。冷却水出口22は、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との間に介装されるガスケット(図示せず)に形成された貫通孔によってブロック側ウォータージャケット7Aの上面に複数形成されている。これらの冷却水出口22のうち、ブロック側ウォータージャケット7Aの第1シリンダ2aに対向する部分の排気側7ex且つシリンダ列方向の最も端に配置された1つは、他の冷却水出口22(以下、副冷却水出口22sと称する)よりも断面積が大きな主冷却水出口22mとなっている。つまり、主冷却水出口22mは、ブロック側ウォータージャケット7Aの周方向において冷却水入口21から半周離れた位置P1(点対称の位置)に対して周方向の一方(
図4では半時計回り方向)に偏倚した位置に配置されている。
【0037】
図3に示されるように、ヘッド側ウォータージャケット7Bは、シリンダヘッド4に形成された図示しない吸気ポートや排気ポートを取り囲むように形成されている。本実施形態の内燃機関1は、1つのシリンダ2につき2つの吸気ポート(図示せず)及び2つの排気ポート(図示せず)が設けられた4バルブエンジンである。また、本実施形態では、複数の排気ポートを集合させる排気マニホールドがシリンダヘッド4内に形成されており、ヘッド側ウォータージャケット7Bの排気側7exは、排気マニホールドを上方及び下方から挟んでシリンダ列方向に延びている。ヘッド側ウォータージャケット7Bの排気側7exにおけるシリンダ列方向の一端(図示例では第3シリンダ2c側の一端)にジャケット冷却水出口23が形成されている。
【0038】
図4及び
図5に示されるように、ブロック側ウォータージャケット7Aの第1シリンダ2aに対向する部分における、シリンダ列方向の一端(第1シリンダ2a側の一端)であるシリンダ中心面2C上には、可動パーティション装置30が設けられている。つまり、可動パーティション装置30は、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける冷却水入口21と主冷却水出口22mとの間の部分のうちの短い方に設けられている。可動パーティション装置30は、環状のブロック側ウォータージャケット7Aを周方向に仕切る突出位置(閉位置)とブロック側ウォータージャケット7Aを周方向に開放する没入位置(開位置)とを取り得るように設けられた可動パーティション部材31と、可動パーティション部材31を変位させる駆動源32とを備えている。
【0039】
可動パーティション部材31は、ブロック側ウォータージャケット7Aと同程度の幅、及びブロック側ウォータージャケット7Aの深さと同程度の長さを有する棒状又は板状(図示例では棒状)とされている。可動パーティション部材31は、例えば、ゴムや樹脂、金属、或いはこれらの組み合わせにより形成される。なお、可動パーティション部材31は、突出位置にある時にブロック側ウォータージャケット7Aを完全に仕切る(閉塞する)必要はない。同様に、可動パーティション部材31は、没入位置にある時にブロック側ウォータージャケット7Aを完全に開放する必要はない。
【0040】
駆動源32は、シリンダブロック3に取り付けられるケーシング33と、可動パーティション部材31に連結され、ケーシング33に摺動自在に設けられたプランジャ34と、プランジャ34を突出方向に常時付勢する付勢手段であるばね35と、プランジャ34の周囲に設けられたソレノイド36とを有するリニアソレノイドである。駆動源32は、ソレノイド36への通電が開始されると、プランジャ34を引き寄せて可動パーティション部材31をブロック側ウォータージャケット7Aに対して没入させ、ソレノイド36への通電を遮断されると、ばね35の付勢力によりプランジャ34を押し出して可動パーティション部材31をブロック側ウォータージャケット7A内に突出させる。
【0041】
駆動源32を制御する制御装置37は、例えば、図示しない水温センサにより検出された冷却水温が所定の閾値よりも低い時(即ち、暖機時)や低負荷時に可動パーティション部材31を没入させるべく駆動源32へ通電する。これにより、ブロック側ウォータージャケット7Aは周方向に開放された無端環状の冷却水通路を形成する。そして、冷却水温が所定の閾値以上になった時(即ち、暖機完了時)や高負荷時に、制御装置37は可動パーティション部材31を突出させるべく駆動源32への通電を遮断する。これにより、ブロック側ウォータージャケット7Aは、暖機完了時や高負荷時には、可動パーティション部材31により周方向に仕切られた(閉塞された)有端環状の冷却水通路を形成する。
【0042】
或いは、制御装置37は、冷却水温が第1の閾値以上になった時や中負荷時に、可動パーティション部材31が没入位置と突出位置との中間位置にある時のばね35の付勢力に釣り合う吸引力がソレノイド36により発揮される程度まで駆動源32への供給電力を低減し、冷却水温が第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になった時や高負荷時に、駆動源32への通電を遮断してもよい。制御装置37によって駆動源32がこのように制御されることにより、上記のブロック側ウォータージャケット7Aが周方向に開放された開放状態及び周方向に仕切られた閉塞状態の2つの状態に加え、ブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31によって断面積を絞られた中間状態の3つの状態に変更することが可能である。更に、制御装置37によって駆動源32がより多くの状態に段階的又は連続的にブロック側ウォータージャケット7Aの連通状態を変更するように制御されてもよい。
【0043】
図6は、可動パーティション装置30の他の例を示す平断面図(シリンダブロック3をシリンダ軸線2Xに直交する切断面で示す断面図)である。図示されるように、可動パーティション部材31は、ブロック側ウォータージャケット7Aと同程度の幅、及びブロック側ウォータージャケット7Aの深さと同程度の長さを有する板状に形成され、シリンダ軸線2X(
図4)と平行な回動軸回りに回動可能に設けられる。駆動源32は、例えば、ステッピングモータ等の電動機である。
【0044】
駆動源32は、例えば、暖機時や低負荷時に、
図6に破線で示されるように可動パーティション部材31をブロック側ウォータージャケット7Aの壁面に沿わせるように(回動角:0°)駆動制御され、暖機完了時や高負荷時に、
図6に実線で示されるように可動パーティション部材31をブロック側ウォータージャケット7Aに突出させるように(回動角:90°)駆動制御される。或いは、上記同様に、駆動源32は、冷却水温が第1の閾値以上かつ第2の閾値未満の時や中負荷時に、可動パーティション装置30をブロック側ウォータージャケット7Aの幅の半分程度突出させるように(回動角:30°)駆動制御される形態や、より多くの回動角に段階的又は連続的に変化するように駆動制御される形態とされてもよい。このように構成された可動パーティション装置30によっても、上記同様にブロック側ウォータージャケット7Aの周方向の連通状態を変更することができる。
【0045】
可動パーティション装置30がこのように可動パーティション部材31を駆動してブロック側ウォータージャケット7Aの周方向の連通状態を変更することにより、冷却水は
図7に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aを流通する。即ち、
図7(A)に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31により周方向に仕切られていない開放状態では、冷却水入口21からブロック側ウォータージャケット7Aに流入した冷却水の多くは、可動パーティション部材31が設けられた部分を通過する最短経路を通って直接的に主冷却水出口22mに流れ、主冷却水出口22mからヘッド側ウォータージャケット7Bへ流出する。
【0046】
なお、ブロック側ウォータージャケット7Aには複数の副冷却水出口22s(
図4)が形成されているため、冷却水はブロック側ウォータージャケット7Aにおける第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cに対向する部分にも若干流れる。また、主冷却水出口22mと冷却水入口21とが平面視でオフセットしていることから、副冷却水出口22sへの流れとは別に、吸気側7inを第1シリンダ2a側から第3シリンダ2c側へ向かう冷却水の流れも発生する。
【0047】
一方、
図7(B)に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31により周方向に仕切られた閉塞状態では、冷却水入口21からブロック側ウォータージャケット7Aに流入した冷却水は、副冷却水出口22s(
図4)から流出しつつ、可動パーティション部材31が設けられた部分を迂回するように、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける吸気側7inの第1シリンダ2a、第2シリンダ2b、第3シリンダ2cに対向する部分を順に流れ、第3シリンダ2cに対向する部分でUターンしてブロック側ウォータージャケット7Aにおける排気側7exを第3シリンダ2c、第2シリンダ2b、第1シリンダ2aに対向する部分の順に流れて主冷却水出口22mからヘッド側ウォータージャケット7Bへ流出する。
【0048】
つまり、
図7(A)に示される開放状態では、冷却水は、
図7(B)の流通経路を通ることに加え、可動パーティション部材31が設けられた部分をも通って主冷却水出口22mに向けて流れる。言い換えれば、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを開放することにより、冷却水の流通経路が増えている。
【0049】
このように本実施形態では、ブロック側ウォータージャケット7Aの周方向に互いに異なる位置に冷却水入口21及び主冷却水出口22mが設けられ、ブロック側ウォータージャケット7Aの冷却水入口21と主冷却水出口22mとの間に、閉位置と開位置とを取り得る可動パーティション部材31が設けられている。これにより、
図7(B)に示される閉塞状態では、冷却水は冷却水入口21から可動パーティション部材31が設けられた部分を迂回して主冷却水出口22mに流れ、
図7(A)に示される開放状態では、冷却水は冷却水入口21から可動パーティション部材31が設けられた部分をも通るように主冷却水出口22mに向けて流れる。
【0050】
ブロック側ウォータージャケット7Aの冷却水流通経路がこのように切り替えられることにより、次のような作用効果が得られる。なお、以下では、作用効果を明瞭にするため、副冷却水出口22sが設けられておらず、主冷却水出口22mのみが設けられている場合を例にして説明する。
【0051】
図8は、流通経路がこのように切り替えられるブロック側ウォータージャケット7Aにおける冷却水の圧力損失を示している。ブロック側ウォータージャケット7Aが開放された状態では、上記の通り多くの冷却水は、可動パーティション部材31が配置された部分を通って直接的に主冷却水出口22mに流れるため、ブロック側ウォータージャケット7Aが閉塞された状態に比べて圧力損失が3分の1程度に低下している。ブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31により中間的に閉塞された状態では、圧力損失は開放状態と閉塞状態との中間的な値であって、閉塞状態の値の3分の2程度になっている。
【0052】
図9は、同じくブロック側ウォータージャケット7Aの第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cに対向する部分における冷却水の流速を示している。ブロック側ウォータージャケット7Aが閉塞された状態では、冷却水は第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cに対向する部分を通過して主冷却水出口22mに流れるため、流速が比較的高い。一方、ブロック側ウォータージャケット7Aが開放された状態では、上記の通り冷却水は直接的に主冷却水出口22mに流れるため、第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cに対向する部分での冷却水の流速は極端に低くなる。ブロック側ウォータージャケット7Aが中間的に閉塞された状態では、第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cに対向する部分における冷却水の流速は開放状態と閉塞状態との中間的な値となる。
【0053】
図10は、同じくブロック側ウォータージャケット7Aにおけるシリンダ2上端部の温度を示している。なお、内燃機関1の運転条件は同一である。
図8及び
図9を参照して説明したように、ブロック側ウォータージャケット7Aが閉塞された状態では、冷却水の圧力損失が大きくなる一方で冷却水の流速が高くなるため、ブロック側ウォータージャケット7Aが開放された状態に比べてシリンダブロック3が冷却され、シリンダ2上端部の温度は低下する。ブロック側ウォータージャケット7Aが中間的に閉塞された状態では、シリンダ2上端部の温度は開放状態と閉塞状態との中間的な値となる。
【0054】
つまり、ブロック側ウォータージャケット7Aの冷却水入口21と主冷却水出口22mとの間に設けられた可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを開放し、冷却水の流通経路を増やすことで、閉塞状態で冷却水通路となる部分の冷却水の流速を低下させて内燃機関1の早期暖機を図ることができる一方、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを仕切り、冷却水の流通経路を減らすことで、冷却水の流速を増大させてシリンダブロック3を効果的に冷却することができる。また、ブロック側ウォータージャケット7Aは可動パーティション部材31により周方向に仕切られるだけであり、2重に形成される必要がないため、シリンダブロック3の大型化や冷却水の圧力損失の増大が抑制される。
【0055】
また、本実施形態では
図4に示されるように、主冷却水出口22mが、ブロック側ウォータージャケット7Aの周方向において冷却水入口21から半周離れた位置P1に対して周方向の一方に偏倚した位置に設けられ、可動パーティション部材31が、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける冷却水入口21と主冷却水出口22mとの間の部分のうちの短い方に設けられている。そのため、可動パーティション部材31が閉位置にある閉塞状態では、冷却水通路長がブロック側ウォータージャケット7Aの半周よりも長くなることから冷却効果が高くなり、可動パーティション部材31が開位置にある開放状態では、冷却水入口21と主冷却水出口22mとの距離が短くなることから冷却効果が低くなる。これにより、シリンダブロック3の効果的冷却及び早期暖機が促進される。
【0056】
また、本実施形態では、シリンダブロック3にシリンダ2が複数形成され、冷却水入口21及び主冷却水出口22mが、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける第1シリンダ2aに対向する部分に設けられている。そのため、可動パーティション部材31が閉位置にある閉塞状態において、冷却水入口21及び主冷却水出口22mが設けられた部分に対向する第1シリンダ2aを少なくとも部分的に、第2シリンダ2b及び第3シリンダ2cを全体的に冷却することができ、複数のシリンダ2の全てを冷却することができる。
【0057】
≪第2実施形態≫
次に、
図11及び
図12を参照して第2実施形態に係る内燃機関1の冷却構造について説明する。なお、第1実施形態と形態又は機能が同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
図11に示されるように、本実施形態の冷却構造では、ブロック側ウォータージャケット7Aの冷却水出口22が、平面視(
図11)において冷却水入口21と重なる位置に配置された第1主冷却水出口22m
1と、ブロック側ウォータージャケット7Aの第1シリンダ2aに対向する部分の排気側7ex且つシリンダ列方向の端部近傍に配置された第2主冷却水出口22m
2と、複数の副冷却水出口22sとを有している。第1主冷却水出口22m
1の断面積は、第2主冷却水出口22m
2の断面積よりも小さく、且つ副冷却水出口22sの断面積よりも大きくされている。
【0059】
また、ブロック側ウォータージャケット7Aには、第1シリンダ2aに対向する部分の吸気側7in且つシリンダ列方向の端部近傍であって、第1主冷却水出口22m
1と第2主冷却水出口22m
2との間に、固定パーティション部材41がブロック側ウォータージャケット7Aを周方向に仕切るように設けられている。一方、可動パーティション装置30は、ブロック側ウォータージャケット7Aの第1シリンダ2aに対向する部分の吸気側7in且つ第2シリンダ2b側であって、冷却水入口21及び第1主冷却水出口22m
1よりも第2シリンダ2b側に設けられている。即ち、可動パーティション部材31は、ブロック側ウォータージャケット7Aの周方向において固定パーティション部材41から半周離れた位置P2(点対称の位置)に対して周方向の一方(
図11では時計周り方向)に偏倚した位置に設けられている。
【0060】
つまり、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける固定パーティション部材41と可動パーティション部材31との間の部分のうちの短い方に冷却水入口21及び第1主冷却水出口22m
1が設けられている。そして、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける固定パーティション部材41と可動パーティション部材31との間の部分のうちの長い方且つ固定パーティション部材41の近傍に第2主冷却水出口22m
2が設けられている。
【0061】
可動パーティション部材31は、第1実施形態とは異なり、次のように駆動制御される。即ち、可動パーティション部材31は、例えば、冷却水温が所定の閾値よりも低い時(即ち、暖機時)や低負荷時にブロック側ウォータージャケット7Aを仕切る閉塞状態とされる。これにより、ブロック側ウォータージャケット7Aは、可動パーティション部材31と固定パーティション部材41とにより2つに分断される。そして、冷却水温が所定の閾値以上になった時(即ち、暖機完了時)や高負荷時に、可動パーティション部材31はブロック側ウォータージャケット7Aを開放する開放状態とされる。これにより、ブロック側ウォータージャケット7Aは、固定パーティション部材41のみにより周方向に仕切られた有端環状の冷却水通路を形成する。
【0062】
或いは、可動パーティション部材31は、冷却水温が第1の閾値以上になった時や中負荷時に、ブロック側ウォータージャケット7Aの断面積を絞った中間状態とされ、冷却水温が第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になった時や高負荷時に、ブロック側ウォータージャケット7Aを仕切る閉塞状態とされてもよい。また、第1実施形態における説明と同様に、可動パーティション部材31がより多くの状態に段階的又は連続的にブロック側ウォータージャケット7Aの連通状態を変更してもよい。
【0063】
可動パーティション部材31がこのように駆動制御されてブロック側ウォータージャケット7Aの周方向の連通状態が変更されることにより、冷却水は
図12に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aを流通する。即ち、
図12(A)に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31により周方向に仕切られた閉塞状態(ブロック側ウォータージャケット7Aが2つに分割された状態)では、冷却水入口21からブロック側ウォータージャケット7Aに流入した冷却水の多くが、可動パーティション部材31と固定パーティション部材41との間の最短経路を通って直接的に第1主冷却水出口22m
1に流れ、第1主冷却水出口22m
1からヘッド側ウォータージャケット7Bへ流出する。
【0064】
なお、ブロック側ウォータージャケット7Aには複数の副冷却水出口22s(
図11)が形成されているため、可動パーティション部材31と固定パーティション部材41との少なくとも一方には閉塞状態においても隙間が形成されている。そのため、冷却水の一部はこの隙間を通って副冷却水出口22sに向かって流れる。
【0065】
一方、
図12(B)に示されるようにブロック側ウォータージャケット7Aが可動パーティション部材31により周方向に仕切られていない開放状態(固定パーティション部材41のみにより仕切られた状態)では、冷却水入口21からブロック側ウォータージャケット7Aに流入した冷却水は、第1主冷却水出口22m
1や副冷却水出口22sから流出しつつ、可動パーティション部材31が設けられた部分をも通って、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける吸気側7inの第1シリンダ2a、第2シリンダ2b、第3シリンダ2cに対向する部分を順に流れ、第3シリンダ2cに対向する部分でUターンしてブロック側ウォータージャケット7Aにおける排気側7exを第3シリンダ2c、第2シリンダ2b、第1シリンダ2aに対向する部分の順に流れて第2主冷却水出口22m
2からヘッド側ウォータージャケット7Bへ流出する。
【0066】
つまり、
図12(A)に示される閉塞状態では、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを仕切ることで、冷却水の流通経路が減らされ、冷却水の流通範囲が小さくなる。一方、
図12(B)に示される開放状態では、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを開放することで、冷却水の流通経路が増え、冷却水の流通範囲が大きくなる。
【0067】
このように本実施形態では、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける固定パーティション部材41と可動パーティション部材31との間の部分のうちの一方に冷却水入口21及び第1主冷却水出口22m
1が設けられ、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける固定パーティション部材41と可動パーティション部材31との間の部分のうちの他方に第2主冷却水出口22m
2が設けられている。
【0068】
これにより、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを仕切る閉塞状態では、冷却水の流通経路が減って冷却水の流通範囲が小さくなると共に開放時に冷却水通路となる部分の冷却水の流速が低下し、内燃機関1の早期暖機が可能になる。一方、可動パーティション部材31がブロック側ウォータージャケット7Aを開放する開放状態では、冷却水の流通経路が増えて冷却水の流通範囲が大きくなることで、シリンダブロック3が効果的に冷却される。また、ブロック側ウォータージャケット7Aは固定パーティション部材41及び可動パーティション部材31により周方向に仕切られるだけであり、2重に形成される必要がないため、シリンダブロック3の大型化や冷却水の圧力損失の増大が抑制される。
【0069】
また、本実施形態では
図11に示されるように、第1主冷却水出口22m
1が第2主冷却水出口22m
2よりも小さくなっている。そのため、可動パーティション部材31が閉位置にある閉塞状態での第1主冷却水出口22m
1の流路抵抗は大きくなるが、可動パーティション部材31が開位置にある開放状態において第2主冷却水出口22m
2に向けて流通する冷却水量が確保される。
【0070】
また、本実施形態では、可動パーティション部材31は、ブロック側ウォータージャケット7Aの周方向において固定パーティション部材41から半周離れた位置P2に対して周方向の一方に偏倚した位置に設けられ、冷却水入口21及び第1主冷却水出口22m
1が、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける固定パーティション部材41と可動パーティション部材31との間の部分のうちの短い方に設けられている。そのため、可動パーティション部材31が開位置にある開放状態では、冷却水の流通範囲が広くなることから冷却効果が高くなり、可動パーティション部材31が閉位置にある閉塞状態では、冷却水の流通範囲が半周よりも短くなることから冷却効果が低くなる。これにより、シリンダブロック3の効果的冷却及び早期暖機が促進される。
【0071】
更に、本実施形態では、シリンダブロック3にシリンダ2が複数形成され、固定パーティション部材41及び可動パーティション部材31が、ブロック側ウォータージャケット7Aにおける第1シリンダ2aに対向する部分に設けられている。そのため、可動パーティション部材31が閉位置にある閉塞状態において、冷却水入口21及び第1主冷却水出口22m
1が設けられた部分に対向するシリンダ2のみが部分的に冷却され、他のシリンダ2の冷却を停止することができる。これにより、一層の早期暖機が可能である。
【0072】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、一例として直列3気筒ガソリンエンジンに本発明に係る冷却構造を適用したが、単気筒エンジンやV型エンジン、ディーゼルエンジン等の他のエンジンに適用してもよい。また、可動パーティション装置30の駆動源32としてリニアソレノイドやステッピングモータを例示したが、負圧アクチュエータや油圧アクチュエータ等の流体アクチュエータ、サーモワックス、形状記憶合金、バイメタル等を用いてもよい。可動パーティション部材31の形態や動作態様等も上記実施形態に限定されるものではない。更に、上記実施形態では、2つのジャケット冷却水出口23が1箇所に形成されているが、例えば、ヒータコア等に連通する別の冷却水出口が形成されていてもよい。この場合、ジャケット冷却水出口23が主冷却水出口となり、別の冷却水出口が副冷却水出口となる。また、上記実施形態では、冷却水がブロック側ウォータージャケット7Aからヘッド側ウォータージャケット7Bに向けて流れるが、ヘッド側ウォータージャケット7Bからブロック側ウォータージャケット7Aに向けて流れてもよい。この場合、冷却水入口21が複数形成され、そのうちの最も断面積が大きいものが主冷却水入口となり、他のものが副冷却水入口となる。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度、素材、制御方法など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。また、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。