特許第6437838号(P6437838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437838
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】ジャーナル軸受及び回転機械
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20181203BHJP
   F16C 17/03 20060101ALI20181203BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20181203BHJP
   F01D 25/18 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   F16C33/10 Z
   F16C17/03
   F01D25/16 A
   F01D25/18 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-21768(P2015-21768)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-145589(P2016-145589A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆
(72)【発明者】
【氏名】篠原 種宏
(72)【発明者】
【氏名】貝漕 高明
(72)【発明者】
【氏名】脇 勇一朗
(72)【発明者】
【氏名】小澤 豊
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−203481(JP,A)
【文献】 特開2008−151239(JP,A)
【文献】 特開2003−176818(JP,A)
【文献】 特開2015−145687(JP,A)
【文献】 米国特許第4497587(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00− 17/26
F16C 33/00− 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のキャリアリングと、
前記キャリアリングの内周側に設けられ、ロータ軸を支持するように構成された少なくとも二つの軸受パッドと、
前記キャリアリングの内周側に設けられ、前記軸受パッドと前記ロータ軸との間に潤滑油を供給するための少なくとも一つの給油ユニットと、
前記キャリアリングの軸方向一端部と他端部とに前記ロータ軸の外周に沿って設置された一対のサイドプレートと、
を備え、
前記少なくとも二つの軸受パッドと前記一対のサイドプレートとによって囲まれた軸受内部空間を大気に開放するとともに、前記潤滑油を前記軸受内部空間から外部に排出するように構成された少なくとも一つの開口を有し、
前記少なくとも一つの開口は、前記ロータ軸の周方向において前記少なくとも二つの軸受パッド間に形成される前記軸受内部空間に開口している
ことを特徴とするジャーナル軸受。
【請求項2】
前記少なくとも一つの給油ユニットは、前記少なくとも二つの軸受パッドに挟まれた周方向位置に設置された給油ユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載のジャーナル軸受。
【請求項3】
1個以上の前記開口が、前記サイドプレートの下半領域に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のジャーナル軸受。
【請求項4】
1個以上の前記開口が、前記キャリアリングの下半領域に設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のジャーナル軸受。
【請求項5】
前記少なくとも二つの軸受パッドは、
前記キャリアリングの下半領域の内周側に設けられる第1軸受パッドと、
前記キャリアリングの前記下半領域の内周側において前記第1軸受パッドよりも前記ロータ軸の回転方向下流側に設けられ、前記ロータ軸を下方から支持するように構成された第2軸受パッドと、
を含み、
1個以上の前記開口が、前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のジャーナル軸受。
【請求項6】
前記少なくとも一つの給油ユニットは、
前記第1軸受パッドの上流側直前に位置する第1給油ユニットと、
前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置に設置された第2給油ユニットと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載のジャーナル軸受。
【請求項7】
前記キャリアリングの上半領域の内周側に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うガイドメタルをさらに備え、
前記少なくとも一つの開口は、前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の前記周方向位置に加えて、前記ガイドメタルと前記第1軸受パッドとの間の周方向位置、または、前記ガイドメタルと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のジャーナル軸受。
【請求項8】
前記第2軸受パッドの下流側に配置された第3給油ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載のジャーナル軸受。
【請求項9】
前記キャリアリングの上半領域の内周側に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うガイドメタルをさらに備え、
前記少なくとも一つの開口は、前記ガイドメタルの延在範囲を除く周方向位置範囲に設けられることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のジャーナル軸受。
【請求項10】
前記請求項1乃至9の何れか一項に記載のジャーナル軸受にロータ軸が支持されることを特徴とする回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジャーナル軸受及び回転機械に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン、ガスタービン、送風機、圧縮機等の回転機械に用いられるジャーナル軸受が広く知られている。
例えば、特許文献1には、キャリアリング、二つの軸受パッド、及び複数の給油ノズルを備えたジャーナル軸受が開示されている。給油ノズルは、供給された潤滑油をロータ軸の外周面と軸受パッドの内周面との間に供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4764486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1が開示するジャーナル軸受では、軸受パッドに十分な厚さの油膜を形成することが難しい場合があり得ることを見出した。特に、軸受パッドに対するロータ軸の面圧が低かったり、ロータ軸が低回転領域で回転したりする場合において、軸受パッドの油膜厚を十分に確保することが難しいことが明らかになった。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、軸受パッドにおける油膜厚さを十分に確保可能であり、かつ、ロータ軸の撹拌抵抗の増大を抑制可能であるジャーナル軸受及び回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るジャーナル軸受は、
円筒状のキャリアリングと、
前記キャリアリングの内周側に設けられ、ロータ軸を支持するように構成された少なくとも二つの軸受パッドと、
前記キャリアリングの内周側に設けられ、前記軸受パッドと前記ロータ軸との間に潤滑油を供給するための少なくとも一つの給油ユニットと、
前記キャリアリングの軸方向一端部と他端部とに前記ロータ軸の外周に沿って設置された一対のサイドプレートと、
を備え、
前記少なくとも二つの軸受パッドと前記一対のサイドプレートとによって囲まれた軸受内部空間を大気に開放するとともに、前記潤滑油を前記軸受内部空間から外部に排出するように構成された少なくとも一つの開口を有する。
【0007】
本発明者らによる鋭意検討の結果、例えば特許文献1に記載された従来のジャーナル軸受における第1軸受パッドの油膜厚さ不足の問題の原因が、軸受パッドにキャリーオーバされる潤滑油の不足にあることを見出した。すなわち、ジャーナル軸受は、ヘッド差により潤滑油がキャリーオーバされにくいことに加えて、各々のサイドプレートの内周面とロータ軸の外周面との間に一対のサイドプレートによって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための隙間を有し、潤滑油が漏れやすい。このため、第1軸受パッドにキャリーオーバされる潤滑油が少なくなり、第1軸受パッドにキャリーオーバされる潤滑油の油量が不足する。したがって、第1軸受パッドの上流側直前の第1給油ユニットと、第2軸受パッドの上流側直前の第2給油ユニットと、の吐出油量が同じであっても、第2軸受パッドに比べて第1軸受パッドでは潤滑油不足となりやすい。特に、第1軸受パッド及び第2軸受パッドに対するロータ軸の面圧が低かったり、ロータ軸が低回転領域で回転したりする場合には、第1軸受パッドにキャリーオーバされる潤滑油が少ないため、第1軸受パッドにおける潤滑油不足が顕著である。第1軸受パッドに供給される潤滑油が不足すると、第1軸受パッドは入口から濡れないために油膜圧力の発生域が狭くなり、第1軸受パッドの油膜が薄くなる。これにより、第1軸受パッド及び第2軸受パッドに対するロータ軸の面圧が低かったり、ロータ軸が低回転領域で回転したりする場合には、ロータ軸の軸心軌跡が鉛直線上から逸れてジャーナル軸受の等方性が損なわれる虞がある。
一方、ロータ軸の外周面とサイドプレートの内周面との間の間隙を狭めると、ロータ軸の外周面とサイドプレートの内周面との間から漏れる潤滑油の油量を低減できるが、潤滑油が軸受内部空間に充満し、ロータ軸の撹拌抵抗が増大する虞がある。
【0008】
この点、上記(1)の構成によれば、サイドプレートの内周面とロータ軸の外周面との間の間隙を狭めても潤滑油が軸受内部空間から開口を通り外部に排出されるので、軸受内部空間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸の撹拌抵抗の増大を抑制できる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記少なくとも一つの給油ユニットは、前記少なくとも二つの軸受パッドに挟まれた周方向位置に設置された給油ユニットを含む。
上記(2)の構成によれば、給油ユニットからロータ軸と下流側軸受パッドとの間に潤滑油が供給され、上流側軸受パッドで使用された潤滑油と給油ユニットから供給された潤滑油とが交換される。これにより、下流側軸受パッドでは給油ユニットから新たに供給された潤滑油でロータ軸を潤滑できる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
1個以上の前記開口が、前記サイドプレートの下半領域に設けられる。
上記(3)の構成によれば、余剰な潤滑油がサイドプレートの下半領域から排出される。これにより、ロータ軸の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れか一つの構成において、
1個以上の前記開口が、前記キャリアリングの下半領域に設けられる。
上記(4)の構成によれば、余剰な潤滑油がキャリアリングの下半領域から排出される。これにより、ロータ軸の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れか一つの構成において、
前記少なくとも二つの軸受パッドは、
前記キャリアリングの下半領域の内周側に設けられる第1軸受パッドと、
前記キャリアリングの前記下半領域の内周側において前記第1軸受パッドよりも前記ロータ軸の回転方向下流側に設けられ、前記ロータ軸を下方から支持するように構成された第2軸受パッドと、
を含み、
1個以上の前記開口が、前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置に設けられる。
上記(5)の構成によれば、余剰な潤滑油が第1軸受パッドと第1軸受パッドとの間の周方向位置から排出される。これにより、第1軸受パッドと第2軸受パッドとの間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記少なくとも一つの給油ユニットは、
前記第1軸受パッドの上流側直前に位置する第1給油ユニットと、
前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置に設置された第2給油ユニットと、
を含む。
上記(6)の構成によれば、第1給油ユニットから第1軸受パッドに潤滑油が供給され、第2給油ユニットから第2軸受パッドに潤滑油が供給される。これにより、第1軸受パッドで使用された潤滑油と第2給油ユニットから供給された潤滑油とが交換され、第2軸受パッドでは第2給油ユニットから新たに供給された潤滑油でロータ軸を潤滑できる。
【0014】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)の構成において、
前記キャリアリングの上半領域の内周側に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うガイドメタルをさらに備え、
前記少なくとも一つの開口は、前記第1軸受パッドと前記第2軸受パッドとの間の前記周方向位置に加えて、前記ガイドメタルと前記第1軸受パッドとの間の周方向位置、または、前記ガイドメタルと前記第2軸受パッドとの間の周方向位置の少なくとも一方に設けられている。
上記(7)の構成によれば、余剰な潤滑油がガイドメタルと第1軸受パッドとの間の周方向位置、または、ガイドメタルと第2軸受パッドとの間の周方向位置から排出される。これにより、ガイドメタルと第1軸受パッドとの間、または、ガイドメタルと第2軸受パッドとの間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0015】
(8)幾つかの実施形態では、上記(5)乃至(7)の何れか一つの構成において、
前記第2軸受パッドの下流側に配置された第3給油ユニットをさらに備える。
上記(8)の構成によれば、第3給油ユニットからロータ軸に潤滑油が供給されるので、第1軸受パッドにキャリーオーバ(供給)される潤滑油が増加する。
【0016】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか一つの構成において
前記キャリアリングの上半領域の内周側に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うガイドメタルをさらに備え、
前記少なくとも一つの開口は、前記ガイドメタルの延在範囲を除く周方向位置範囲に設けられる。
上記(9)の構成によれば、ガイドメタルの延在範囲から潤滑油が漏れにくくなり、ヘッド差があるにも拘わらず潤滑油のキャリーオーバを効果的に促すことができる。
【0017】
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る回転機械は、
前記請求項1乃至9の何れか一項に記載のジャーナル軸受にロータ軸が支持される。
上記(10)の構成によれば、軸受内部空間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸の撹拌抵抗の増大を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、軸受内部空間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸の撹拌抵抗の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るジャーナル軸受の断面を概略的に示す図であって、ハウジングに支持された状態を示す図である。
図2図1に示したハウジングに支持されたジャーナル軸受のII−II線に沿う断面図である。
図3図1に示したハウジングに支持されたジャーナル軸受1のIII−III線に沿う断面図である。
図4】第1給油ユニットを構成するノズルを概略的に示す図である。
図5】一実施形態に係るジャーナル軸受を概略的に示す図である。
図6】一実施形態に係るジャーナル軸受を概略的に示す図である。
図7】一実施形態に係るジャーナル軸受を概略的に示す図である。
図8】一実施形態に係るジャーナル軸受を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るジャーナル軸受1の断面を概略的に示す図であって、ハウジングHに支持された状態を示す図である。図2は、図1に示したハウジングHに支持されたジャーナル軸受1のII−II線に沿う断面図であり、図3は、図1に示したハウジングHに支持されたジャーナル軸受1のIII−III線に沿う断面図である。また、図5乃至図7は、幾つかの実施形態に係るジャーナル軸受1を概略的に示す図である。
尚、図1は、図2に示したハウジングHに支持されたジャーナル軸受1のI−I線に沿う断面図でもある。
【0022】
幾つかの実施形態では、図1から図3に示すように、ジャーナル軸受1は、ロータ軸11を回転自在に支持するための機械要素であり、ハウジングHに支持され、蒸気タービン、ガスタービン、送風機、又は圧縮機等の回転機械に取り付けられる。図2及び図3に示すように、ハウジングHは、下半部を構成する台座部H1と上半部を構成するカバーH2とを有し、台座部H1とカバーH2との間に本発明の一実施形態に係るジャーナル軸受1を挟んだ状態で、台座部H1にカバーH2がボルトH3で締結される。これにより、ジャーナル軸受1はハウジングHに支持され、ジャーナル軸受1に回転自在に支持されたロータ軸11はハウジングHに対しても回転自在に支持される。
【0023】
幾つかの実施形態では、図1から図3に示すように、ジャーナル軸受1は、キャリアリング2、少なくとも2つの軸受パッド(31,32)、少なくとも一つの給油ユニット(4,5,6)、及び一対のサイドプレート7,7を備えている。
【0024】
図1及び図2に示すように、キャリアリング2は、ハウジングHの内部に配置され、円筒状の空間を有してロータ軸11の一部、すなわちジャーナル12を囲繞可能である。キャリアリング2は、例えば、断面矩形形状の円筒形状を有する。
【0025】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、ジャーナル軸受けは、ロータ軸11を下方から支持するための少なくとも2つの軸受パッド(31,32)を備える。
これら少なくとも2つの軸受パッド(31,32)は、キャリアリング2の下半領域の内周側に設けられ、それぞれ、ロータ軸11を下方から支持可能である。
【0026】
第1軸受パッド31は、キャリアリング2の下半領域の内周側に設けられ、ロータ軸11を下方から支持するように構成されている。第1軸受パッド31は、キャリアリング2の軸線方向に沿って見たときに扇形の形状を有し、湾曲した内周面31a及び外周面31bを有している。第1軸受パッド31の内周面31aは、軸受合金、例えば、ホワイトメタルによって形成され、ロータ軸11の一部、すなわちジャーナル12の外周面12aと対向して配置される。
【0027】
また、幾つかの実施形態では、第1軸受パッド31とキャリアリング2との間には、図示せぬ傾動ユニットが設けられ、第1軸受パッド31は傾動可能に支持される。
【0028】
第2軸受パッド32は、キャリアリング2の下半領域の内周側において第1軸受パッド31よりもロータ軸11の回転方向下流側に設けられ、第1軸受パッド31と同様に、ロータ軸11を下方から支持するように構成されている。第2軸受パッド32は、第1軸受パッド31と同様に、キャリアリング2の軸線方向に沿って見たときに扇形の形状を有し、湾曲した内周面32a及び外周面32bを有している。第2軸受パッド32の内周面32aは、第1軸受パッド31と同様に、軸受合金、例えば、ホワイトメタルによって形成され、ジャーナル12の外周面12aと対向して配置される。
【0029】
また、幾つかの実施形態では、第2軸受パッド32とキャリアリング2との間には、第2軸受パッド32とキャリアリング2との間と同様に、図示せぬ傾動ユニットが設けられ、第2軸受パッド32は傾動可能に支持される。
【0030】
また、幾つかの実施形態では、さらに、ガイドメタル33を備えている。
ガイドメタル33は、キャリアリング2の上半領域の内周側に設けられ、図示せぬボルト等によってキャリアリング2に対して固定されている。ガイドメタル33は、キャリアリング2の軸線方向に沿って見たときに扇形の形状を有し、ロータ軸11の外周面のうち上側領域を覆っている。ガイドメタル33は、キャリアリング2の径方向において内側に軸受面33aを有する。軸受面33aは、ジャーナル12の外周面12aの上側領域に沿うように湾曲し、ジャーナル12の外周面12aの上側領域と軸受隙間を有して対向する。
【0031】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、ジャーナル軸受1は、ロータ軸11に向けて潤滑油を供給するための少なくとも一つの給油ユニット(4,5,6)を備える。
これら少なくとも一つの給油ユニット(4,5,6)は、周方向において相互に離間して配置され、それぞれ、ロータ軸11に向けて潤滑油を供給可能である。例えば、キャリアリング2にマニホールド24が形成され、マニホールド24を通じて複数の給油ユニット(4,5,6)に潤滑油が供給される。
【0032】
第1給油ユニット4は、ロータ軸11の一部、すなわちジャーナル12に向けて潤滑油を供給するためのものであり、第1軸受パッド31のロータ軸11の回転方向上流側、第1軸受パッド31の直前に配置されている。第1給油ユニット4は、複数のノズル41,42、例えば、二つのノズル41,42を含む。第1給油ユニット4の複数のノズル41,42は、第1軸受パッド31の上流側直前に間隔を開けて固定されている。
【0033】
図4は、第1給油ユニット4を構成するノズル41,42を概略的に示す図である。
図4に示すように、第1給油ユニット4のノズル41,42は、それぞれ、基部43と枝部44とを有している。基部43は、先端が塞がれた円筒形状を有し、キャリアリング2の径方向に沿って配置され、マニホールド24に連通するように、キャリアリング2に固定される。枝部44は、基部43よりも細い先端が塞がれた円筒形状を有し、キャリアリング2の軸方向に沿って配置され、基部43の内部空間に連通するように、基部43の両側に固定されている。また、枝部44には、複数の油吐出孔45がキャリアリング2の軸心を向くように設けられている。
【0034】
図2に示すように、第2給油ユニット5は、第1給油ユニット4と同様、ロータ軸11の一部、すなわちジャーナル12に向けて潤滑油を供給するためのものであり、第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間の周方向位置に配置されている。第1給油ユニット4は、第1給油ユニット4と同様に、複数のノズル51,52、例えば、二つのノズル51,52を含む。第2給油ユニット5の複数のノズル51,52は、第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間の周方向位置に間隔を開けて配置されている。ノズル51,52は、第1給油ユニット4を構成するノズル41,42と同様の構成を有しているので、ここでは対応する基部53、枝部54及び油吐出孔55を図4に符号を付して説明を省略する。
【0035】
この構成によれば、第2給油ユニット5からロータ軸11と第2軸受パッド32との間に潤滑油が供給され、第1軸受パッド31で使用された潤滑油と第2給油ユニット5から供給された潤滑油とが交換される。これにより、第2軸受パッド32は第2給油ユニット5から新たに供給された潤滑油でロータ軸11を潤滑できる。
【0036】
また、幾つかの実施形態では、第3給油ユニット6を備えている。
第3給油ユニット6は、第1給油ユニット4及び第2給油ユニット5と同様、ロータ軸11、すなわちジャーナル12に向けて潤滑油を供給するためのものであり、第2軸受パッド32のロータ軸11の回転方向下流側、第2軸受パッド32の直後に配置されている。第3給油ユニット6は、複数のノズルを含んでいてもよいが、図2に示す例示的な実施形態では一つのノズル61で構成されている。ノズル61は、第1給油ユニット4を構成するノズル41と同様の構成を有しているので、ここでは対応する基部63、枝部64及び油吐出孔65を図4に符号を付して説明を省略する。
この構成によれば、第3給油ユニット6からロータ軸11に潤滑油が供給されるので、第1軸受パッド31にキャリーオーバ(供給)される潤滑油が増加する。
【0037】
一対のサイドプレート7,7は、キャリアリング2の軸方向一端部と他端部とにロータ軸11の外周に沿って配置され、キャリアリング2の軸線方向においてジャーナル軸受1の内部空間の両端を規定している。一対のサイドプレート7,7は、それぞれ、キャリアリング2にボルト71によって固定されている。
【0038】
図1に示すように、幾つかの実施形態では、ジャーナル軸受1における潤滑油供給方式は、いわゆる直接潤滑方式である。すなわち、ジャーナル軸受1は、各々のサイドプレート7の内周面とロータ軸11の一部、すなわちジャーナル12の外周面12aとの間に一対のサイドプレート7,7によって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための間隙を有する。このため、ジャーナル軸受1の内部空間は完全に潤滑油で満たされているわけではなく、ジャーナル軸受1の内部空間の少なくとも一部は外部から侵入した空気によって占められている。そして、ジャーナル軸受1の内部に存在する潤滑油の圧力は大気圧と同等である。
この点において、上述した直接潤滑方式のジャーナル軸受1は、軸受内部空間を潤滑油で満たすようにした油浴潤滑方式のジャーナル軸受と相違する。油浴潤滑方式のジャーナル軸受では、サイドプレートとジャーナル外周面との間にシール部材を設けて、軸受内部空間からの潤滑油の外部への漏えいを防止し、軸受内部空間を潤滑油で満たすようになっている。このため、油浴潤滑方式のジャーナル軸受の内部空間に存在する潤滑油は、大気圧よりも高い圧力になっている。
【0039】
ここで、直接潤滑方式のジャーナル軸受1では、ロータ軸11の回転方向上流側に位置する軸受パッド(第1軸受パッド31)における油膜厚さが不足する傾向がある。これは、第1軸受パッド31にキャリーオーバされる潤滑油の不足が原因だと考えられる。
すなわち、直接潤滑方式のジャーナル軸受1では、ヘッド差により潤滑油がキャリーオーバされにくいことに加えて、各々のサイドプレート7,7の内周面とロータ軸11の外周面との間に一対のサイドプレート7,7によって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための間隙を有し、第1領域よりも上側に位置する第2領域で潤滑油が漏れやすい。このため、第1軸受パッドにキャリーオーバされる潤滑油が少なくなり、第1軸受パッド31に供給される潤滑油が不足する。特に、第1軸受パッド31及び第2軸受パッド32に対するロータ軸11の面圧が低かったり、ロータ軸11が低回転領域で回転したりする場合には、第1軸受パッド31にキャリーオーバされる潤滑油が少ないため、第1軸受パッド31における潤滑油不足が顕著である。第1軸受パッド31に供給される潤滑油が不足すると、第1軸受パッド31は入口から濡れないために油膜圧力の発生域が狭くなり、第1軸受パッド31の油膜が薄くなる。これにより、第1軸受パッド31に対するロータ軸11の面圧が低かったり、ロータ軸11が低回転領域で回転したりする場合には、ロータ軸11の軸心軌跡が鉛直線上から逸れてジャーナル軸受1の等方性が損なわれる虞がある。一方、第1軸受パッド31にキャリーオーバされる潤滑油の油量が余剰になると、ロータ軸11の撹拌抵抗が増大する虞がある。
【0040】
そこで、幾つかの実施形態では、図5乃至図8に示すように、少なくとも二つの軸受パッド(31,32)と一対のサイドプレート7,7とによって囲まれた軸受内部空間(R1,R2)を大気に開放するとともに、潤滑油を軸受内部空間(R1、R2)から外部に排出するように構成された少なくとも一つの開口(72a,72b、73、74、75、25、26、27)を有する。
【0041】
この場合、サイドプレート7の内周面とロータ軸11の外周面との間の間隙を狭めても潤滑油が軸受内部空間(R1,R2)から開口(72a,72b、73、74、75、25、26、27)を通り外部に排出されるので、軸受内部空間(R1,R2)に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸11の撹拌抵抗の増大を抑制できる。また、サイドプレート7の内周面とロータ軸11の外周面との間の間隙を狭めることができるので、ロータ軸11とサイドプレート7との間から潤滑油が漏れにくくなり、第1軸受パッド31に十分な潤滑油がキャリーオーバ(供給)される。これにより、第1軸受パッド31に対するロータ軸11の面圧が低かったり、ロータ軸11が低回転で回転したりする場合にも、第1軸受パッド31における油膜厚さを十分に確保できる。一方、開口(72a,72b、73、74、75、25、26、27)でロータ軸11とサイドプレート7との間から余剰な潤滑油が排出されるので、潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸11の撹拌抵抗の増大も抑制できる。
【0042】
図5及び図6に示すように、幾つかの実施形態では、1個以上の開口(72a,72b、73)が、サイドプレート7の下半領域に設けられる。
この構成によれば、余剰な潤滑油がサイドプレート7の下半領域から排出される。これにより、ロータ軸11の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0043】
図7及び図8に示すように、幾つかの実施形態では、1個以上の開口(25、26、27)が、キャリアリング2の下半領域に設けられる。
この構成によれば、余剰な潤滑油がキャリアリング2の下半領域から排出される。これにより、ロータ軸11の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0044】
図5乃至図8に示すように、幾つかの実施形態では、1個以上の開口(72a,72b、73、25)が、第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間の周方向位置に設けられる。
この構成によれば、余剰な潤滑油が第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間の周方向位置から排出される。これにより、第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸11の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0045】
図5図6及び図8に示すように、幾つかの実施形態では、少なくとも一つの開口(74,75、26)は、第1軸受パッド31と第2軸受パッド32との間の周方向位置に加えて、ガイドメタル33と第1軸受パッド31との間の周方向位置、または、ガイドメタル33と第2軸受パッド32との間の周方向位置の少なくとも一方に設けられている。
この構成によれば、余剰な潤滑油がガイドメタル33と第1軸受パッド31との間の周方向位置、または、ガイドメタル33と第2軸受パッド32との間の周方向位置から排出される。これにより、ガイドメタル33と第1軸受パッド31との間、または、ガイドメタル33と第2軸受パッド32との間に潤滑油が充満する事態が回避され、ロータ軸11の撹拌損失の増大を抑制できる。
【0046】
図5乃至図8に示すように、幾つかの実施形態では、少なくとも一つの開口(74、26)は、ガイドメタル33の延在範囲を除く周方向位置範囲に設けられる。
この構成によれば、ガイドメタル33の延在範囲から潤滑油が漏れにくくなり、ヘッド差があるにも拘わらず潤滑油のキャリーオーバを効果的に促すことができる。
【0047】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0048】
1 ジャーナル軸受
11 ロータ軸
12 ジャーナル
12a 外周面
2 キャリアリング
24 マニホールド
25 開口
26 開口
27 開口
31 第1軸受パッド
31a 内周面
31b 外周面
32 第2軸受パッド
32a 内周面
32b 外周面
33 ガイドメタル
33a 軸受面
4 第1給油ユニット
41,42 ノズル
43 基部
44 枝部
45 油吐出孔
5 第2給油ユニット
51,52 ノズル
53 基部
54 枝部
55 油吐出孔
6 第3給油ユニット
61 ノズル
63 基部
64 枝部
65 油吐出孔
7 サイドプレート
71 ボルト
72a,72b 開口
73 開口
74 開口
75 開口
R1,R2, 軸受内部空間
H ハウジング
H1 台座部
H2 カバー
H3 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8