特許第6437873号(P6437873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

特許6437873押出成形品及びその製造方法並びに押出成形用成形原料及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437873
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】押出成形品及びその製造方法並びに押出成形用成形原料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/10 20060101AFI20181203BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20181203BHJP
   B29K 83/00 20060101ALN20181203BHJP
【FI】
   B29C47/10
   B29K75:00
   B29K83:00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-83636(P2015-83636)
(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公開番号】特開2016-203395(P2016-203395A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】本多 雅之
(72)【発明者】
【氏名】日下 利光
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−514054(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/007798(WO,A1)
【文献】 特開2006−321885(JP,A)
【文献】 特開2011−225875(JP,A)
【文献】 特開2003−213141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C47/00―47/96
C08J3/00−3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、
前記成形原料が、液状シリコーンゴムを含む第一の液状材料と、液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子との混合物であり、
前記第一の液状材料の23℃における粘度が600Pa・s未満であり、
前記成形原料の23℃における粘度が800Pa・s以上である、押出成形品の製造方法。
【請求項2】
成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、
前記成形原料が、ウレタン原料を含む第一の液状材料と、ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子との混合物であり、
前記第一の液状材料の23℃における粘度が600Pa・s未満であり、
前記成形原料の23℃における粘度が800Pa・s以上である、押出成形品の製造方法。
【請求項3】
液状シリコーンゴムを含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料と、
液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子と、
の混合物であり、
23℃における粘度が800Pa・s以上である、押出成形用成形原料。
【請求項4】
ウレタン原料を含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料と、
ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子と、
の混合物であり、
23℃における粘度が800Pa・s以上である、押出成形用成形原料。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の成形原料を押出成形してなる、押出成形品。
【請求項6】
液状シリコーンゴムを含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料に、液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子を配合して、23℃における粘度が800Pa・s以上の押出成形用成形原料を得る工程を含む、押出成形用成形原料の製造方法。
【請求項7】
ウレタン原料を含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料に、ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子を配合して、23℃における粘度が800Pa・s以上の押出成形用成形原料を得る工程を含む、押出成形用成形原料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形品及びその製造方法に関する。また本発明は、押出成形用成形原料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低粘度の液状材料を架橋硬化させて成形品を得るためには、射出成形法、注型成形法等の方法が用いられている。例えば、特許文献1には、100ポイズ〜1000ポイズの粘度の樹脂組成物を用いて注型成形を行うことが記載されている。また、特許文献2には、液状ゴム材料を用いて射出成形を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−271938号公報
【特許文献2】特開2004−74431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形法及び注型成形法は、いずれもバッチ式と呼ばれる成形法であり、型の数や型に原料を注入する装置の数が生産性を左右し、連続式である押出成形法と比較して、生産効率に劣る傾向がある。
【0005】
押出成形可能な熱硬化性樹脂として、シリコーンのミラブル材、EPDMゴムコンパウンド等が挙げられるが、これらは粘度が高いため、押出機で移送し易く、ダイ内で圧力発生が可能でダイス口形状に賦形することができ、吐出後にその形状を保ったまま硬化工程に移送することができる。一方、低粘度の液状材料では、押出機での移送が困難であり、ダイスでの賦形ができず、吐出物の形状が直ぐに変形するため、押出成形法を適用することは困難である。
【0006】
本発明の目的の一つは、低粘度液状材料の成形品と類似の組成を有する成形品を、押出成形によって製造可能な、押出成形品の製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的の一つは、低粘度液状材料の成形品と類似の組成を有し、押出成形によって成形された、押出成形品を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的の一つは、低粘度液状材料から、得られる成形品組成を大きく崩すことなく押出成形を可能にした押出成形用成形原料、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、上記成形原料が、液状シリコーンゴムを含む第一の液状材料と、液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子との混合物であり、上記第一の液状材料の23℃における粘度が600Pa・s未満であり、上記成形原料の23℃における粘度が600Pa・s以上である、押出成形品の製造方法に関する。
【0010】
本発明の他の一側面は、成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、上記成形原料が、ウレタン原料を含む第一の液状材料と、ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子との混合物であり、上記第一の液状材料の23℃における粘度が600Pa・s未満であり、上記成形原料の23℃における粘度が600Pa・s以上である、押出成形品の製造方法に関する。
【0011】
本発明のさらに他の一側面は、液状シリコーンゴムを含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料と、液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子と、の混合物であり、23℃における粘度が600Pa・s以上である、押出成形用成形原料に関する。
【0012】
本発明のさらに他の一側面は、ウレタン原料を含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料と、ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子と、の混合物であり、23℃における粘度が600Pa・s以上である、押出成形用成形原料に関する。
【0013】
本発明のさらに他の一側面は、上記成形原料を押出成形してなる、押出成形品に関する。
【0014】
本発明のさらに他の一側面は、液状シリコーンゴムを含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料に、液状シリコーンゴムを含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子を配合して、23℃における粘度が600Pa・s以上の押出成形用成形原料を得る工程を含む、押出成形用成形原料の製造方法に関する。
【0015】
本発明のさらに他の一側面は、ウレタン原料を含み、23℃における粘度が600Pa・s未満である第一の液状材料に、ウレタン原料を含む第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子を配合して、23℃における粘度が600Pa・s以上の押出成形用成形原料を得る工程を含む、押出成形用成形原料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低粘度液状材料の成形品と類似の組成を有する成形品を、押出成形によって製造可能な、押出成形品の製造方法が提供される。また、本発明によれば、低粘度液状材料の成形品と類似の組成を有し、押出成形によって成形された、押出成形品が提供される。さらに、本発明によれば、低粘度液状材料から、得られる成形品組成を大きく崩すことなく押出成形を可能にした押出成形用成形原料、及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
【0018】
本実施形態に係る製造方法は、成形原料を押出成形して押出成形品を得る工程を備え、当該製造方法において、成形原料は、第一の液状材料と、第二の液状材料を動的架橋して得られる架橋粒子との混合物である。
【0019】
第一の液状材料の23℃における粘度は600Pa・s未満であり、成形原料の23℃における粘度は600Pa・s以上である。なお、本明細書中、液状材料の粘度は、BH型回転粘度計を用い、23℃、No.7スピンドル、20rpmの条件で測定された粘度を示す。また、成形原料の粘度は、キャピラリー型粘度計を用い、23℃、φ1mm及びL10mmのダイ、せん断速度121.6s−1の条件で測定された粘度を示す。
【0020】
第一の液状材料は、粘度が600Pa・s未満であるため押出成形法の適用が困難である。本実施形態に係る製造方法では、第一の液状材料を架橋粒子によって増粘して、600Pa・s以上の粘度を有する成形原料とすることで、押出成形による成形品の製造が実現される。
【0021】
一態様(以下、場合により第一の態様という。)において、第一の液状材料及び第二の液状材料は、それぞれ液状シリコーンゴムを含むものであってよい。このような態様においては、架橋粒子がシリコーン系ポリマーを含む粒子となるため、第一の液状材料のみを硬化した場合と類似した組成の、シリコーン系ポリマーを含む押出成形品を得ることができる。
【0022】
他の一態様(以下、場合により第二の態様という。)において、第一の液状材料及び第二の液状材料は、それぞれウレタン原料を含むものであってよい。このような態様においては、架橋粒子がウレタン樹脂を含む粒子となるため、第一の液状材料のみを硬化した場合と類似した組成の、ウレタン樹脂を含む押出成形品を得ることができる。
【0023】
すなわち、本実施形態に係る製造方法によれば、第一の液状材料を硬化した場合と類似した組成の成形品を、押出成形によって効率良く製造することができる。
【0024】
なお、本明細書中、類似の組成とは、例えば、その構成成分に同種の樹脂が含まれていること又はその主体となる樹脂が同種であることをいう。類似の組成を有する成形品は、近い性質を有する傾向があり、例えば、本実施形態に係る製造方法では、第一の液状材料を硬化して得られるものと近い性質を有する成形品を、押出成形によって効率良く製造することができる。ただし、本発明は、類似の組成を有する成形品が近い性質を有するものに限定されるものではなく、得られる成形品は、第一の液状材料の硬化物と異なる性質を有していてもよい。
【0025】
第一の液状材料の23℃における粘度は、600Pa・s未満であり、300Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましい。第一の液状材料を低粘度化することで、成形品の架橋密度が向上し、成形品のゴム弾性が一層向上する傾向がある。より具体的には、例えば、第一の液状材料を低粘度化することで、第一の液状材料に含まれる原料化合物の分子量が小さくなり、第一の液状材料中の架橋基密度が高くなって、成形品の架橋密度が高くなる傾向がある。なお、第一の液状材料の23℃における粘度の下限値は特に制限されないが、例えば0.02Pa・s以上であってよく、0.1Pa・s以上であってよい。
【0026】
第一の態様において、第一の液状材料は、液状シリコーンゴムを含む硬化可能な材料であり、例えば、加熱により硬化可能な材料であってよい。
【0027】
液状シリコーンゴムは、架橋硬化によりゴム状の成形体を成すものであってよい。
【0028】
液状シリコーンゴムは、付加型であってよく、縮合型であってよく、UV硬化型であってもよい。また、液状シリコーンゴムは、一液型であっても二液型であってもよい。
【0029】
付加型の液状シリコーンゴムとしては、例えば、ビニルポリシロキサン(ビニル基含有ポリシロキサン)、ハイドロジェンポリシロキサン(シリリジン基(Si−H)含有ポリシロキサン)及び触媒を含むものが挙げられる。触媒は、ビニルポリシロキサンとハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応を生じさせる触媒であって、例えば、白金錯体又はロジウム錯体を含むものであってよい。また、触媒は、熱活性型であってよく、光活性型(UV活性型)であってもよい。
【0030】
縮合型の液状シリコーンゴムとしては、例えば、シラノール基含有ポリシロキサン、及び/又は、加水分解でシラノール基を生じる基(以下、場合により加水分解基という。)を含有するポリシロキサンを含むものが挙げられる。加水分解基としては、アセトキシ基、エノキシ基、オキシム基、アルコキシ基等が挙げられる。アセトキシ基含有ポリシロキサンを含む場合は縮合反応によって酢酸が生じ、エノキシ基含有ポリシロキサンを含む場合は縮合反応によってアセトンが生じ、オキシム基含有ポリシロキサンを含む場合は縮合反応によってオキシムが生じ、アルコキシ基含有ポリシロキサンを含む場合は縮合反応によってアルコールが生じる。このため、これらのポリシロキサンを含む液状シリコーンゴムは、それぞれ酢酸タイプ、アセトンタイプ、オキシムタイプ、アルコールタイプと称される場合がある。また、縮合型の液状シリコーンゴムは、シラノール基と加水分解基との縮合反応を促進する縮合触媒をさらに含有していてもよい。縮合触媒としては、例えばジブチルスズビス(イソオクチルフタレート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセテート)といったスズ系触媒、チタン系触媒等が挙げられる。
【0031】
UV硬化型の液状シリコーンゴムとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリシロキサン及び光開始剤を含むもの、ビニルポリシロキサン、メルカプトアルキル基含有ポリシロキサン及び光開始剤を含むもの、等が挙げられる。
【0032】
一液型の液状シリコーンゴム及び二液型の液状シリコーンゴムの反応形式は、付加型、縮合型、UV硬化型のいずれであってもよい。二液型では、反応に関与する成分を二液に分けており、反応開始前に混合して用いる。なお、液状シリコーンゴムは、反応に関与する成分を三液以上に分けたものであってもよい。
【0033】
二液型の液状シリコーンゴムの例としては、ビニルポリシロキサン及びハイドロジェンポリシロキサンを含有する第一液と、ビニルポリシロキサン及び付加反応触媒を含有する第二液とを含む、付加型が挙げられる。
【0034】
また、二液型の液状シリコーンゴムの他の例としては、加水分解基を含有するポリシロキサン及び縮合触媒を含む第一液と、シラノール基を含有するポリシロキサンを含む第二液とを含む、縮合型が挙げられる。
【0035】
液状シリコーンゴムの重量平均分子量は、例えば、5.0×10以上であってよく、3.0×10以上であってよい。また、液状シリコーンゴムの重量平均分子量は、例えば、2.5×10以下であってよく、6.5×10以下であってもよい。
【0036】
第一の態様において、第一の液状材料は、一種又は二種以上の液状シリコーンゴムを含んでいてよい。
【0037】
第一の液状材料中の液状シリコーンゴムの含有量は、第一の液状材料の全量基準で、例えば、20質量%以上であってよく、50質量%以上であってもよい。
【0038】
第一の態様において、第一の液状材料は、架橋剤をさらに含んでいてよい。ここで架橋剤は、橋架け成分として分子中に導入される化合物、又は、シリコーンゴムの架橋を開始若しくは促進させる化合物をいう。架橋剤は、液状シリコーンゴムを架橋可能な架橋剤であればよく、例えば、ヒドロシリル化架橋剤、白金、パラジウム又はロジウムの錯体触媒(例えば、塩化白金酸と1価アルコールの反応物、塩化白金酸とオレフィン類の錯体などの熱活性型白金触媒や、ビス(アセチルアセトナイト)白金、シクロペンタジエニルトリメチル白金などの光活性白金触媒(なお、光活性白金触媒は熱活性をも有するのが一般的である。))、有機過酸化物、アルキルシリカート、スズ系又はチタン系縮合触媒、ベンゾイル系光開始剤、等が挙げられる。
【0039】
第一の態様において、第一の液状材料中の架橋剤の含有量は特に制限されず、液状シリコーンゴムの硬化反応の態様に応じて適宜調整できる。
【0040】
液状シリコーンゴムが縮合型である場合、架橋剤の含有量は、例えば、第一の液状材料の全量基準で0質量%であっても0.005質量%以上であってもよく、20質量%以下であっても5質量%以下であってもよい。また、架橋剤の含有量は、例えば、液状シリコーンゴム100質量部に対して0質量部であっても0.005質量部以上であってもよく、60質量部以下であっても45質量部以下であってもよい。
【0041】
液状シリコーンゴムが付加型又はUV硬化型である場合、架橋剤の含有量は、例えば、第一の液状材料の全量基準で0.005質量%以上であっても0.3質量部以上であってもよく、20質量%以下であっても15質量%以下であってもよい。また、架橋剤の含有量は、例えば、液状シリコーンゴム100質量部に対して0.005質量部以上であっても0.5質量部以上であってもよく、45質量部以下であっても30質量部以下であってもよい。
【0042】
第一の態様において、第一の液状材料は、液状シリコーンゴム及び架橋剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、架橋反応制御剤、充填剤、改質剤、顔料、導電材料、熱伝導剤等が挙げられる。
【0043】
架橋反応制御剤としては、例えば、アセチレン、アルコール、環状ビニルシロキサン、トリアゾール化合物等が挙げられる。
【0044】
充填剤としては、例えばセライト、シリカ、カーボンブラック、黒鉛、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスチョップドストランド、ガラスパウダー、セルロース、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0045】
改質剤としては、例えば、帯電防止剤、表面グロス調整剤、熱安定剤、耐侯安定剤、耐衝撃剤、オイルやガムなどの柔軟材、摺動剤、難燃剤、耐熱向上剤、発泡剤等が挙げられる。
【0046】
第二の態様において、第一の液状材料は、ウレタン原料を含む硬化可能な材料であり、例えば、加熱により硬化可能な材料であってよい。
【0047】
ウレタン原料は、例えば、イソシアネート及びポリオールを含むものであってよい。イソシアネートは、一分子中に2つ以上のイソシアネート基(−NCO)を有する化合物であり、ポリオールは、一分子中に2つ以上のヒドロキシル基(−OH)を有する化合物である。なお、ウレタン原料は、上記以外にポリアミン、アミノアルコール等のイソシアネートと反応する化合物をさらに含んでいてもよい。
【0048】
イソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックメタンジイソシアネート、トリレンジイソニアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。また、ポリオールとしては、ヒドロキシル基を2つ以上有する低分子アルコールを用いることもできる。このような低分子アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオールなどのアルカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0050】
第二の態様において、第一の液状材料は、イソシアネート及びポリオールをそれぞれ一種又は二種以上含んでいてよい。
【0051】
ここで、ウレタン原料は、例えば、イソシアネートとポリオールとの混合物から一度の反応で架橋構造を形成するものであってもよい。また、ウレタン原料は、例えば、イソシアネート及びポリオールを予備的に反応させて、ヒドロキシル基末端又はイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを調製し、このウレタンプレポリマーに、イソシアネート又はポリオールを反応させて架橋構造を形成するものであってもよい。なお、ヒドロキシル基末端のウレタンプレポリマーは、ポリオールに分類でき、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーは、イソシアネートに分類できる。
【0052】
第二の態様において、第一の液状材料中のイソシアネート及びポリオールの組成比は、イソシアネート基とヒドロキシル基の当量比[NCO]/[OH]が0.8〜1.2となるように調整することが好ましい。また、第一の液状材料中、イソシアネート及びポリオールの合計量は、第一の液状材料の全量基準で、例えば40質量%以上であっても60質量%以上であってもよく、100質量%であっても98質量%以下であってもよい。
【0053】
第二の態様において、第一の液状材料は、触媒をさらに含んでいてよい。触媒は、ウレタン化触媒又は架橋触媒であってよく、イソシアネートとポリオールの付加反応を触媒し得るものであればよい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等のチタン触媒、ジルコニウム錯体触媒、三級アミン化合物等のアミン触媒、などが挙げられる。
【0054】
第二の態様において、第一の液状材料中の触媒の含有量は、第一の液状材料の全量基準で、例えば、0質量%であっても0.0003質量%以上であってもよく、5質量%以下であっても3質量%以下であってもよい。
【0055】
第二の態様において、第一の液状材料は、ウレタン原料及びウレタン原料以外の他の成分をさらに含んでいてよい。他の成分としては、例えば、充填剤、改質剤、顔料、導電材料、熱伝導剤等が挙げられる。
【0056】
充填剤としては、例えばセライト、シリカ、カーボンブラック、黒鉛、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスチョップドストランド、ガラスパウダー、セルロース、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0057】
改質剤としては、例えば帯電防止剤、表面グロス調整剤、熱安定剤、耐侯安定剤、耐衝撃剤、オイルやガムなどの柔軟材、摺動剤、難燃剤、イオン導電剤、発泡剤等が挙げられる。
【0058】
本実施形態に係る第二の液状材料は、動的架橋によって架橋粒子を製造可能な材料である。
【0059】
第二の液状材料の23℃における粘度は、600Pa・s未満であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましく、150Pa・s以下であることがさらに好ましい。このような第二の液状材料によれば、動的架橋によって後述の好適な平均粒径の架橋粒子を容易に得ることができる。
【0060】
第二の液状材料の23℃における粘度の下限値は特に制限されないが、例えば、例えば0.02Pa・s以上であってよく、0.1Pa・s以上であってよい。
【0061】
第一の態様において、第二の液状材料は液状シリコーンゴムを含むものであってよい。液状シリコーンゴムとしては、上述した第一の液状材料における液状シリコーンゴムと同じものが例示できる。
【0062】
第一の態様において、第二の液状材料に含まれる液状シリコーンゴムは、第一の液状材料に含まれる液状シリコーンゴムと同じであっても異なっていてもよい。すなわち、第一の態様において、上記製造方法は、液状シリコーンゴムを準備する工程を備え、第一の液状材料が当該液状シリコーンゴムの一部を含み、第二の液状材料が当該液状シリコーンゴムの他部を含むものであってよい。また、上記製造方法は、第一の液状材料が第一の液状シリコーンゴムを含み、第二の液状材料が第二の液状シリコーンゴムを含むものであってもよい。
【0063】
第一の態様において、第二の液状材料は、一種又は二種以上の液状シリコーンゴムを含んでいてよい。第二の液状材料中の液状シリコーンゴムの含有量は、第二の液状材料の全量基準で、例えば、20質量%以上であっても40質量%以上であってもよく、100質量%であっても99.5質量%以下であっても98質量%以下であってもよい。
【0064】
第一の態様において、第二の液状材料は、架橋剤をさらに含んでいてよい。架橋剤は、液状シリコーンゴムを架橋可能な架橋剤であればよく、架橋剤としては、例えば、上述した第一の液状組成物における架橋剤と同じものが例示できる。
【0065】
第一の態様において、第二の液状材料中の架橋剤の含有量は特に制限されず、第二の液状材料中の液状シリコーンゴムの硬化反応の態様に応じて適宜調整できる。
【0066】
第二の液状材料中の液状シリコーンゴムが縮合型である場合、架橋剤の含有量は、例えば、第二の液状材料の全量基準で0質量%であっても0.01質量%以上であってもよく、25質量%以下であっても10質量%以下であってもよい。また、架橋剤の含有量は、例えば、液状シリコーンゴム100質量部に対して0質量部であっても0.01質量部以上であってもよく、70質量部以下であっても50質量部以下であってもよい。
【0067】
第二の液状材料中の液状シリコーンゴムが付加型又はUV硬化型である場合、架橋剤の含有量は、例えば、第二の液状材料の全量基準で0.01質量%以上であっても0.5質量部以上であってもよく、25質量%以下であっても20質量%以下であってもよい。また、架橋剤の含有量は、例えば、液状シリコーンゴム100質量部に対して0.01質量部以上であっても1質量部以上であってもよく、50質量部以下であっても40質量部以下であってもよい。
【0068】
第一の態様において、第二の液状材料は、熱可塑性樹脂をさらに含有していてもよい。熱可塑性樹脂を配合することで、動的架橋時に粒子間の凝集架橋が抑制され、後述の好適な平均粒径の架橋粒子が得られやすくなる傾向がある。
【0069】
熱可塑性樹脂としては、液状シリコーンゴムと非相溶の熱可塑性樹脂が好ましく、このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。
【0070】
第一の態様において、第二の液状材料中の熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、第二の液状材料の全量基準で、0〜5質量%であってよく、15質量%以上であっても20質量%以上であってもよく、70質量%以下であっても60質量%以下であってもよい。
【0071】
第一の態様において、第二の液状材料は、液状シリコーンゴム、架橋剤及び熱可塑性樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、架橋反応制御剤、充填剤、改質剤、顔料、導電材料、熱伝導剤等が挙げられる。これらの具体例としては上記と同じものが挙げられる。
【0072】
第二の態様において、第二の液状材料はウレタン原料を含むものであってよい。ウレタン原料としては、上記と同じものが例示される。
【0073】
第二の態様において、第二の液状材料に含まれるウレタン原料は、第一の液状材料に含まれるウレタン原料と同じであっても異なっていてもよい。すなわち、第二の態様において、上記製造方法は、ウレタン原料を準備する工程を備え、第一の液状材料が当該ウレタン原料の一部を含み、第二の液状材料が当該ウレタン原料の他部を含むものであってよい。また、上記製造方法は、第一の液状材料が第一のウレタン原料を含み、第二の液状材料が第二のウレタン原料を含むものであってもよい。
【0074】
第二の態様において、第二の液状材料は、一種又は二種以上のウレタン原料を含んでいてよい。すなわち、第二の液状材料は、イソシアネート及びオールをそれぞれ一種又は二種以上含んでいてよい。
【0075】
第二の態様において、第二の液状材料中のイソシアネート及びポリオールの組成比は、イソシアネート基とヒドロキシル基の当量比[NCO]/[OH]が0.8〜1.2となるように調整することが好ましい。また、第二の液状材料中、イソシアネート及びポリオールの合計量は、第二の液状材料の全量基準で、例えば20質量%以上であっても40質量%以上であってもよく、100質量%であっても98質量%以下であってもよい。
【0076】
第二の態様において、第二の液状材料は、触媒をさらに含んでいてよい。触媒は、ウレタン化触媒又は架橋触媒であってよく、イソシアネートとポリオールの付加反応を触媒し得るものであればよい。このような触媒としては、上記と同じものが例示できる。
【0077】
第二の態様において、第二の液状材料中の触媒の含有量は、第二の液状材料の全量基準で、例えば、0質量%であっても0.0003質量%以上であってもよく、5質量%以下であっても3質量%以下であってもよい。
【0078】
第二の態様において、第二の液状材料は、液状シリコーンゴム及び架橋剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、充填剤、改質剤、顔料、導電材料、熱伝導剤等が挙げられる。これらの具体例としては上記と同じものが挙げられる。
【0079】
本実施形態に係る製造方法において、架橋粒子は、第二の液状材料を動的架橋して得られるものである。
【0080】
架橋粒子の平均粒径は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下であり、10μm以下であってよい。このような平均粒径を有する架橋粒子によれば、成形原料の押出成形性が向上するとともに、滑らかな表面状態及びより高強度の押出成形品が得られる。また、動的架橋による形成の容易さの観点からは、架橋粒子の平均粒径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0081】
なお、本明細書中、架橋粒子の平均粒径は、株式会社キーエンス製の形状測定レーザーマイクロスコープVK−X210で写真撮影し、画像解析ソフトMac−Viewで自動計算して求められた値を示す。より具体的には、架橋粒子を含む組成物(例えば、成形原料)をガラス板上に薄く広げ、VK−X210の倍率を400倍(場合によって200〜800倍としてもよい)として写真撮影し、Mac−Viewを使って周長円相当半径の平均値を自動計算させ、この平均値を平均粒径とする。
【0082】
動的架橋は、例えば、連続式又はバッチ式の混練機を用いて、スクリューやロータを回転させながら架橋反応させることによって行うことができる。
【0083】
動的架橋の架橋温度は、第二の液状材料の組成に応じて適宜調整することができ、例えば、20℃〜70℃であってよく、70℃〜130℃であってよく、130℃〜230℃であってもよい。
【0084】
本実施形態に係る製造方法において、成形原料は、第一の液状材料と架橋粒子との混合物である。本実施形態に係る製造方法では、成形原料の23℃における粘度が600Pa・s以上であるため、押出成形法による成形が可能となり、効率良く成形品を製造することができる。
【0085】
成形原料の23℃における粘度は、600Pa・s以上であり、好ましくは700Pa・s以上であり、より好ましくは800Pa・s以上である。また、成形原料の23℃における粘度は、十分な押出速度を容易に確保できる観点からは、3000Pa・s以下であってよく、2500Pa・s以下であってよい。
【0086】
成形原料は、第一の液状材料に架橋粒子を配合して増粘したものであってよい。また、成形原料は、第一の液状材料の各成分と架橋粒子とをそれぞれ混合して調製されたものであってもよい。
【0087】
成形原料中の架橋粒子の配合量は、所望の粘度に応じて適宜調整すればよく、例えば、成形原料の全量基準で35質量%以上であっても50質量%以上であってもよく、85質量%以下であっても70質量%以下であってもよい。
【0088】
成形原料の押出成形は、公知の種々の押出成形機を用いて行うことができる。押出成形機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。
【0089】
押出成形の条件は、成形原料の組成、成形品の形態等に応じて適宜調整することができる。例えば、押出成形温度は、−20℃〜230℃であってよく、10℃〜230℃であっても−20℃〜60℃であってもよい。
【0090】
本実施形態に係る製造方法においては、事前に調製した成形原料を用いて押出成形を行ってよく、成形原料の調製と押出成形とを1つの押出機内で連続して行ってもよい。
【0091】
また、本実施形態に係る製造方法においては、事前に調製した架橋粒子を用いて成形原料を調製してよく、架橋粒子の調製と成形原料の調製とを1つの押出機内で連続して行ってもよく、架橋粒子の調製、成形原料の調製及び押出成形を1つの押出機内で連続して行ってもよい。
【0092】
すなわち、本実施形態に係る製造方法は、第一の液状材料と架橋粒子とを混合して成形原料を得る工程をさらに備えるものであってよく、第二の液状材料を動的架橋して架橋粒子を得る工程をさらに備えるものであってよい。
【0093】
本実施形態に係る製造方法で製造される押出成形品は、例えば、チューブ、ホース、パイプ等の管状成形品;ガスケット、窓枠用気密材、ウェザーストリップ等のパッキン類;現像ロール、定着ロール等のロール類;滑り止めシート等の防滑用材;コーナーガード等の保護部材;丸棒、角棒等の棒材;自動車窓ガラス用、建物のガラス磨き用のワーパー類;などが挙げられる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0095】
例えば、本発明は、上記第一の液状材料と上記架橋粒子との混合物であり、23℃における粘度が600Pa・s以上の押出成形用成形原料に関するものであってよい。
【0096】
また、本発明は、上記成形原料を押出成形してなる、押出成形品に関するものであってよい。
【0097】
また、本発明は、上記第一の液状材料に上記架橋粒子を配合して、23℃における粘度が600Pa・s以上の押出成形用成形原料を得る工程を含む、押出成形用成形原料の製造方法に関するものであってよい。
【0098】
また、本発明は、上記第一の液状材料に上記架橋粒子を配合する、液状材料の増粘方法に関するものであってよい。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
<架橋粒子(1)の調製>
株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル4C150・R60ローラミキサー(製品名)を使って、液状シリコーンゴムKE−1950−40A(信越化学工業株式会社製、粘度530Pa・s)と液状シリコーンゴムKE−1950−40B(信越化学工業株式会社製、粘度530Pa・s)とから、以下の方法で架橋粒子(1)を作製した。
【0101】
ジャケット温度40℃のラボプラストミルに、KE−1950−40A及びKE−1950−40Bをそれぞれ20.6gずつ投入した。投入後、ジャケット温度を、約15℃/分の昇温速度で105℃に昇温し、105℃で保持した。回転数50rpmのロータで撹拌し、ロータに掛かるトルクを観測し、上昇したトルクがピークをむかえ低下し始めた時点でロータを停止して、架橋粒子(1)を得た。得られた架橋粒子(1)の平均粒径は、23μmであった。
【0102】
<押出成形品の製造>
ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、25.0gの架橋粒子(1)、12.5gのKE−1950−40A、及び12.5gのKE−1950−40Bを投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を調製した。得られた成形原料の粘度は、1681Pa・sであった。
【0103】
得られた成形原料を、株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D(製品名)のバレルに挿入し、ピストンを押し下げて、長さ10mm、φ1mmの孔を持つダイスから押し出した。バレルとダイスは40℃に保温した。
【0104】
せん断速度を60.8sec−1、121sec−1、243sec−1、608sec−1、1216sec−1、2432sec−1及び6080sec−1に変速して押し出しを行ったところ、いずれのせん断速度においても、押し出された紐状体は、垂れ切れたりせず安定して連続して押し出すことができた。また、押し出された紐状体は、十分に形状が維持されていた。
【0105】
(比較例1)
ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、20gのKE−1950−40A、及び20gのKE−1950−40Bを投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を調製した。得られた成形原料の粘度は508Pa・sであった。
【0106】
得られた成形原料を、実施例1と同様のキャピログラフ1Dのバレルに挿入し、ピストンを押し下げてダイスから押し出した。押し出された紐状体は、その断面が円形にならず不定形であり、途中で切れるため安定した押し出しが困難であり、押出後に徐々に変形して形状が維持されなかった。
【0107】
(実施例2)
<液状材料(1)の調製>
30Pa・sの両末端がジメチルビニルシロキサンで封鎖されたポリシロキサン65質量部、20Pa・sの両末端がトリメチルシロキサンで封鎖され側鎖にビニル基をもったポリシロキサン30質量部、1Pa・sの両末端がジメチルビニルシロキサンで封鎖されたポリシロキサン5質量部、平均粒径1μmの結晶性シリカ10質量部、及びアセチレンブラック5質量部を、プラネタリーミキサーで20分撹拌し、3本ロールに一回通して、混合物を得た。
【0108】
上記混合物と、メチルハイドロジェンポリシロキサン3.5質量部、エチニルシクロヘキサノール0.07質量部、Pt量1質量%の白金触媒0.2質量部を、再びプラネタリーミキサーで撹拌して、粘度70Pa・sの液状材料(1)を得た。
【0109】
<架橋粒子(2)の調製>
ジャケット温度40℃のラボプラストミルに、液状材料(1)40gを投入し、ジャケット温度を約15℃/分の昇温速度で80℃に昇温し、80℃で保持した。回転数50rpmのロータで撹拌し、ロータに掛かるトルクを観測し、上昇したトルクがピークをむかえ低下し始めた時点でロータを停止して、架橋粒子(2)を得た。得られた架橋粒子(2)の平均粒径は、9μmであった。
【0110】
<押出成形品の製造>
ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、22.0gの架橋粒子(2)、15gの液状材料(1)、400Pa・sの両末端がトリメチルシロキサンで封鎖され側鎖にビニル基をもったポリシロキサン5g、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン0.15gを投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を得た。得られた成形原料の粘度は898Pa・sであった。
【0111】
得られた成形原料について、実施例1と同条件で押し出しを行い、紐状体を得た。実施例2では、いずれのせん断速度においてもきれいに押出成形を行うことができた。また、せん断速度を一定にすると、ほぼ一定の径で紐状体を押出すことができた。また、紐状体表面の平滑性が良好であり、紐状体の形状維持性も良好であった。
【0112】
(比較例2)
実施例2と同様の方法で液状材料(1)を調製した。ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、液状材料(1)37g、400Pa・sの両末端がトリメチルシロキサンで封鎖され側鎖にビニル基をもったポリシロキサン5g、メチルハイドロジェンポリシロキサン0.15gを投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を得た。得られた成形原料の粘度は72Pa・sであった。
【0113】
得られた成形原料は、低粘度の液状組成物であることから、押出成形を行うことができなかった。
【0114】
(実施例3)
<架橋粒子の調製>
70質量部のKE−1950−40Aと、30質量部のウレタン系熱可塑性エレストマー(DIC Bayer Polymer Ltd.製、商品名PANDEX8185FX)とをラボプラストミルを使って190℃、110rpmの条件で2分間混練し、混合物(A1)を調製した。
【0115】
次いで、70質量部のKE−1950−40Bと、30質量部のウレタン系熱可塑性エレストマー(DIC Bayer Polymer Ltd.製、商品名PANDEX8185FX)とをラボプラストミルを使って190℃、110rpmの条件で2分間混練し、混合物(B1)を調製した。
【0116】
ジャケット温度40℃のラボプラストミルに、混合物(A1)及び混合物(B1)を各20g投入し、ジャケット温度を約15℃/分の昇温速度で125℃に昇温し、125℃に保持した。回転数110rpmのロータで撹拌し、ロータに掛かるトルクを観測し、上昇したトルクがピークをむかえ低下し始めた時点でロータを停止して、架橋粒子(3)を含む樹脂材料(1)を得た。得られた樹脂材料(1)中、架橋粒子(3)はウレタン系熱可塑性エラストマー中に分散しており、その平均粒径は7μmであった。
【0117】
<押出成形品の製造>
ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、7gのKE−1950−40A、7gのKE−1950−40B、及び30gの樹脂材料(1)を投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を得た。得られた成形原料の粘度は、1870Pa・sであった。
【0118】
得られた成形原料について、実施例1と同条件で推し出しを行い、紐状体を得た。実施例3では、いずれのせん断速度においてもきれいに押出成形を行うことができた。また、せん断速度を一定にすると、ほぼ一定の径で紐状体を押出すことができた。また、紐状体表面の平滑性が良好であり、紐状体の形状維持性も良好であった。
【0119】
(実施例4)
<架橋粒子の調製>
50質量部のKE−1950−40Aと50質量部のPANDEX8185FXとをラボプラストミルを使って190℃、110rpmの条件で2分間混練し、混合物(A2)を調製した。
【0120】
次いで、50質量部のKE−1950−40Bと50質量部のPANDEX8185FXとをラボプラストミルを使って190℃、110rpmの条件で2分間混練し、混合物(B2)を調製した。
【0121】
ジャケット温度40℃のラボプラストミルに、混合物(A2)及び混合物(B2)を各20g投入し、ジャケット温度を約15℃/分の昇温速度で105℃に昇温し、105℃に保持した。回転数110rpmのロータで撹拌し、ロータに掛かるトルクを観測し、上昇したトルクがピークをむかえ低下し始めた時点でロータを停止して、架橋粒子(4)を含む樹脂材料(2)を得た。得られた樹脂材料(2)は、架橋粒子(4)がウレタン系熱可塑性エラストマー中に分散した粘土状物であり、架橋粒子(4)の平均粒径は3μmであった。
【0122】
<押出成形品の製造>
ジャケット温度23℃のラボプラストミルに、3gのKE−1950−40A、3gのKE−1950−40B、及び39gの樹脂材料(2)を投入し、回転数100rpmのロータで4分間混練し、成形原料を得た。得られた成形原料の粘度は、935Pa・sであった。
【0123】
得られた成形原料について、実施例1と同条件で推し出しを行い、紐状体を得た。実施例4では、いずれのせん断速度においてもきれいに押出成形を行うことができた。また、せん断速度を一定にすると、ほぼ一定の径で紐状体を押出すことができた。また、紐状体表面の平滑性が良好であり、紐状体の形状維持性も良好であった。