特許第6437893号(P6437893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437893
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】脈波計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
   A61B5/02 310C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-140421(P2015-140421)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-18466(P2017-18466A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年11月20日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、公益財団法人科学技術交流財団、共同研究推進事業(委託事業)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】515192748
【氏名又は名称】神田 毎実
(73)【特許権者】
【識別番号】501168685
【氏名又は名称】中島 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】二ツ山 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】神田 毎実
(72)【発明者】
【氏名】中島 聡
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−319378(JP,A)
【文献】 特開2014−180287(JP,A)
【文献】 実開昭58−112997(JP,U)
【文献】 実開昭58−099688(JP,U)
【文献】 特開2015−066160(JP,A)
【文献】 実開昭55−085004(JP,U)
【文献】 特開2009−082627(JP,A)
【文献】 特開2007−244600(JP,A)
【文献】 特開2015−188496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02−5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の部位(25)に光を照射する光照射ユニット(3)と、
前記光が前記部位において反射した反射光、又は前記光が前記部位を透過した透過光を受光する受光ユニット(5)と、
前記反射光又は前記透過光に基づき脈波を計測する脈波計測ユニット(7)と、
脈波の計測中に前記部位が当接する当接部(15)と、
を備え、
前記当接部は、前記部位の少なくとも一部を収容可能な凹部(17)を備えるとともに、前記凹部の内部に、前記部位が当接する凸部(19)を備え
前記凸部の断面形状は、上に凸の曲面形状であり、
前記凹部の断面形状は、テーパ形状であり、
前記凸部は、前記凹部の周囲よりも低いことを特徴とする脈波計(1)。
【請求項2】
請求項に記載の脈波計であって、
前記上に凸の曲面形状は、前記凸部のうちの中央部(19A)の曲率が、前記凸部のうちの外周部(19B)の曲率よりも小さい形状であることを特徴とする脈波計。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脈波計であって、
前記凹部の周囲に突出部(23)を有することを特徴とする脈波計。
【請求項4】
請求項に記載の脈波計であって、
前記凸部は、前記突出部よりも低いことを特徴とする脈波計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脈波計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下のような脈波計が知られている。脈波計は、脈波の計測中、ユーザの指先を当接させておく部分(以下、当接部とする)と、発光素子と、受光素子とを備える。発光素子は、当接部に当接している指先に光を照射する。受光素子は、指先で反射した反射光、又は指先を透過した透過光を受光する。脈波計は、受光素子における受光量の波動的な変化に基づき、脈波を計測する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−213498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脈波を正確に計測するためには、指先を当接部に対し、適切な押圧力で当接させておく必要がある。従来の脈波計では、ユーザにとって当接部の位置が分かり難く、指先がそこからずれてしまうことがあった。また、従来の脈波計では、押圧力が過大又は過小になることがあった。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、上述した問題を解決できる脈波計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の脈波計は、人体の部位に光を照射する光照射ユニットと、前記光が前記部位において反射した反射光、又は前記光が前記部位を透過した透過光を受光する受光ユニットと、前記反射光又は前記透過光に基づき脈波を計測する脈波計測ユニットと、脈波の計測中に前記部位が当接する当接部とを備える。
【0007】
さらに、本発明の脈波計において、前記当接部は、前記部位の少なくとも一部を収容可能な凹部を備えるとともに、前記凹部の内部に凸部を備える。
本発明の脈波計によれば、人体の部位の少なくとも一部を凹部に収容することができる。そのため、脈波計測中に人体の部位の位置が安定し、脈波計測における再現性が向上する。また、凹部があることにより、ユーザは、脈波計測中に人体の部位を当接させる位置を容易に知ることができる。
【0008】
また、本発明の脈波計は、凹部の内部に凸部を備える。そのため、人体の部位と当接部との接触性が向上し、その結果、脈波信号が良好に計測でき、脈波計測におけるSNRが向上する。ここで、SNRとは信号対雑音比である。SNRが大きいことは、脈波が良好に計測できていることを意味する。
【0009】
また、本発明の脈波計では、凹部の内部に凸部を備えるので、平坦面に凸部を備える場合に比べて、人体の部位と当接部との接触圧が過度に大きくなることを抑制できる。その結果、接触圧による脈波信号の減衰を抑制でき、脈波計測におけるSNRが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】脈波計1の電気的構成を表すブロック図である。
図2】脈波計1の構成を表す正面図である。
図3図2におけるIII−III断面での断面図である。
図4】当接部15の正面図である。
図5】脈波計1が実行する脈波計測処理を表すフローチャートである。
図6】第2の実施形態におけるIII−III断面での断面図である。
図7】第3の実施形態におけるIII−III断面での断面図である。
図8】第4の実施形態における脈波計1の構成を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.脈波計1の構成
脈波計1の構成を図1図4に基づき説明する。脈波計1の電気的構成は、図1に示すとおりである。脈波計1は、光照射ユニット3、受光ユニット5、制御ユニット7、表示ユニット9、及び入力ユニット11を備える。
【0012】
光照射ユニット3は、可視光である約520nmの波長の緑色光をユーザの指(人体の部位の一例)に照射するLEDである。受光ユニット5は、光照射ユニット3が照射した光の反射光を受光するフォトダイオード(PD)である。この反射光は、ユーザの指の内部の血管で反射した光を含む。すなわち、光照射ユニット3からユーザの指に向かって光が照射されると、その光の一部が指の内部を通る小・細動脈(毛細動脈)にあたって、毛細動脈を流れる血液中のヘモグロビンに吸収され、残りの光が毛細動脈で反射して散乱し、その一部が受光ユニット5に入射する。
【0013】
制御ユニット7は、CPU、RAM、ROM等を備える公知のコンピュータである。制御ユニット7は、ROMに記憶したプログラムにより、後述する脈波計測処理を実行する。制御ユニット7が脈波を計測する原理は以下のとおりである。制御ユニット7は、まず、受光ユニット5を用いて、反射波の受光量を継続的に取得する。
【0014】
反射光の受光量は、血液の脈動を反映して、波動的に変化する。それは、血液の脈動により、毛細動脈にあるヘモグロビンの量が波動的に変化し、ヘモグロビンに吸収される光の量も波動的に変化するからである。制御ユニット7は、反射波の受光量における波動的な変化を脈波情報として検出する。
【0015】
表示ユニット9は液晶ディスプレイである。制御ユニット7は、表示ユニット9に、脈波の計測状況を表す表示(例えば「脈波の計測を開始しました」という表示、「計測を終了しました」という表示等)を表示する。また、制御ユニット7は、表示ユニット9に、脈波の計測結果(例えば「現在の心拍数は75bpmです」という表示等)を表示する。
【0016】
入力ユニット11は、ユーザの入力操作を受け付けるユニットである。入力ユニット11は、タッチパネルにより構成される。
脈波計1は、図2に示すように、箱型の筐体13を備えており、表示ユニット9は、筐体13における正面13Aに設けられている。タッチパネルである入力ユニット11は、表示ユニット9の領域に重畳して設けられている。正面13Aには、脈波の計測中にユーザの指を当接させる当接部15が設けられている。
【0017】
当接部15は、図3図4に示すように、凹部17を備えている。凹部17は、正面13Aにおける他の部分に比べて、奥側に落ち込んだ部分である。凹部17の断面形状は、筐体13の奥側にゆくほど、内径が狭くなるテーパ形状である。
【0018】
凹部17の内部には、レンズ19が取り付けられている。レンズ19の断面形状は、上に凸の曲面形状である。この曲面形状において、レンズ19の中央部19Aでの曲率は、レンズ19の外周部19Bでの曲率より小さい。レンズ19の頂点19C(中央部19Aの中心)の位置は、正面13A(凹部17及び後述する突出部23を除く部分)よりも低い。凹部17の内部のうち、底面17Aはレンズ19により覆われており、側面17Bは露出している。
【0019】
レンズ19の内部に、基板21と、光照射ユニット3と、受光ユニット5とが収容されている。基板21は、光照射ユニット3及び受光ユニット5を保持している。
筐体13は、正面13Aのうち、凹部17の周囲に突出部23を備える。突出部23は、その外周側の正面13Aよりも上方に突出している。突出部23は、図4に示すように、凹部17の全周にわたって設けられている。図3に示すように、ユーザの指25が当接部15に当接しているとき、指25の一部は凹部17内に収容される。凹部17、レンズ19は、正面13Aに直交する方向から見たとき、円形である。
【0020】
なお、制御ユニット7は、脈波計測ユニットの一例である。レンズ19は凸部の一例である。
2.脈波計1が実行する脈波計測処理
脈波計1(特に制御ユニット7)が所定時間ごとに繰り返し実行する脈波計測処理を図5のフローチャートに基づき説明する。ステップ1では、その時点が脈波計測中であるか否かを判断する。なお、脈波計測中とは、後述するステップ6において計測開始表示を行い、その後、後述するステップ7での計測終了表示は未だ行っていない状態である。脈波計測中である場合はステップ2に進み、脈波計測中ではない場合はステップ5に進む。
【0021】
ステップ2では、ユーザの指が当接部15に当接しているか否かを判断する。なお、当接しているか否かは、当接部15に設けた図示しない接触センサの検出信号により判断してもよいし、受光ユニット5で受光する光の受光量により判断してもよい。ユーザの指が当接部15に当接している場合はステップ3に進み、当接していない場合はステップ7に進む。
【0022】
ステップ3では、上述したようにして脈波を計測する。
ステップ4では、前記ステップ3で計測した脈波を心拍数として表示ユニット9に表示する。
【0023】
一方、前記ステップ1で否定判断した場合はステップ5に進み、ユーザの指が当接部15に当接しているか否かを判断する。その判断方法は前記ステップ2と同様である。ユーザの指が当接部15に当接している場合はステップ6に進み、当接していない場合は本処理を終了する。
【0024】
ステップ6では、表示ユニット9に計測開始表示を行う。計測開始表示とは、例えば、「脈波の計測を開始しました」という文字を表示ユニット9に表示するものである。その後、ステップ3に進む。
【0025】
また、前記ステップ2で否定判断した場合はステップ7に進む。ステップ7では、表示ユニット9に計測終了表示を行う。計測終了表示とは、例えば、「脈波の計測を終了しました」という文字を表示ユニット9に表示するものである。
【0026】
ステップ8では、脈波の計測を開始した時点から、脈波の計測を終了した時点までの平均心拍数を算出する。
ステップ9では、前記ステップ8で算出した平均心拍数を制御ユニット7のメモリに記憶する。
【0027】
3.脈波計1が奏する効果
(1A)脈波計1は、指25の一部を収納可能な凹部17を備える。そのため、脈波計測処理中に指25の位置が安定し、脈波計測における再現性が向上する。また、凹部17があることにより、ユーザは、脈波計測中に指25を置く位置を容易に知ることができる。
【0028】
(1B)脈波計1は、凹部17の内部に、凸の形状を有するレンズ19を備える。レンズ19が凸の形状を有するので、指25とレンズ19との接触性が向上し、その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。
【0029】
また、凹部17の内部に凸の形状を有するレンズ19があるので、平坦面に凸の形状を有するレンズ19がある場合に比べて、指25とレンズ19との接触圧が過大になることを抑制できる。その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。特に、レンズ19の頂点19Cの位置は、正面13A(凹部17及び突出部23を除く部分)よりも低いので、指25とレンズ19との接触圧を抑制する効果が一層高い。
【0030】
(1C)レンズ19の断面形状は、上に凸の曲面形状である。そのため、指25とレンズ19との接触性が一層向上する。
(1D)レンズ19の中央部19Aでの曲率は、外周部19Bでの曲率より小さい。そのため、レンズ19と指25との接触面積が大きくなり、脈波計測におけるSNRが向上する。また、中央部19Aでの曲率が小さいので、レンズ19が指25に強い刺激を与えることを抑制できる。
【0031】
(1E)凹部17はテーパ形状を有する。そのことにより、指25の大きさが個人ごとにばらついていても、安定して脈波計測を行うことができる。例えば、指25が大きい場合、指25は凹部17のテーパ形状のうち、浅い部分で引っかかり、凹部17の奥まで進入しにくい。指25が大きい場合、その厚みも大きいので、一般的には、指25がレンズ19に接触する圧力が過大になりやすいが、上記のように、凹部17のうち、浅い部分で指25を留めることで、指25がレンズ19に接触する圧力を適正化することができる。その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。
【0032】
また、指25が小さい場合、指25は凹部17のテーパ形状のうち、深くまで進入しやすい。指25が小さい場合、その厚みも小さいので、一般的には、指25がレンズ19に接触する圧力が過小になりやすいが、上記のように、凹部17の奥まで指25を進入させることで、指25がレンズ19に接触する圧力を適正化することができる。その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。
【0033】
また、凹部17がテーパ形状を有することで、指25と凹部17との密着性が高くなり、外乱光がレンズ19に入り難くなる。その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。
(1F)脈波計1は、凹部17の周囲に突出部23を有する。そのことにより、ユーザは、脈波計測中に指25を置く位置を一層容易に知ることができる。また、突出部23は、凹部17の内部に外乱光が入射することを抑制する。その結果、脈波計測におけるSNRが向上する。
【0034】
(1G)上に凸の形状を有するレンズ19における頂点19Cは、突出部23よりも低い。それにより、ユーザは、指25を置く位置を容易に知ることができる。一方で、指25自身が持つ凸形状のため、上に凸の形状を有するレンズ19と指25の接触は保持され、脈波のSNRは良好に保たれる。
(1H)凹部17、レンズ19は、正面13Aに直交する方向から見たとき、円形である。それにより、方向に依らず安定した計測が可能になる。また、手のサイズ等により、脈波計1の持ち方が異なっても、安定した計測が可能となる。
<第2の実施形態>
1.脈波計1の構成
第2の実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。図6に示すように、凹部17は、深さによらず、一定の内径を有している。
【0035】
2.脈波計1が実行する脈波計測処理
本実施形態の脈波計1は、前記第1の実施形態と同様の脈波計測処理を実行する。
3.脈波計1が奏する効果
以上詳述した第2の実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果(1A)〜(1D)、(1F)、(1G)、(1H)を奏することができる。
<第3の実施形態>
1.脈波計1の構成
第3の実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。図7に示すように、筐体13は突出部23を備えておらず、凹部17の周囲において、正面13Aは平坦である。上に凸の形状を有するレンズ19における頂点19Cは、凹部17の周囲よりも低い。
【0036】
2.脈波計1が実行する脈波計測処理
本実施形態の脈波計1は、前記第1の実施形態と同様の脈波計測処理を実行する。
3.脈波計1が奏する効果
以上詳述した第3の実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果(1A)〜(1E)、(1H)に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0037】
(3A)上に凸の形状を有するレンズ19における頂点19Cは、凹部17の外周部(周囲)よりも低い。それにより、ユーザは、指25を置く位置を容易に知ることができる。一方で、指25自身が持つ凸形状のため、上に凸の形状を有するレンズ19と指25の接触は保持され、脈波のSNRは良好に保たれる。
<第4の実施形態>
1.脈波計1の構成
第4の実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。図8に示すように、脈波計1は、筐体13に収容される本体に加えて、クリップ27を備える。クリップ27は、第1部材29、及び第2部材31を備え、それらは回動軸33において回動自在に結合されている。また、クリップ27は、第1部材29における操作部35と、第2部材における操作部37とが離間するように付勢するバネ39を備えている。第1部材29における先端部41と、第2部材31における先端部43とには、バネ39により、それらを接近させる方向の力が加わる。ユーザが操作部35、37に力を加えてそれらを接近させれば、先端部41、43は離間する。ユーザが操作部35、37を離せば、バネ39の弾性力により、先端部41、43は当接する。
【0038】
本実施形態では、光照射ユニット3は、先端部43に設けられている。光照射ユニット3と制御ユニット7とは信号線45により接続されている。なお、受光ユニット5は、前記第1の実施形態と同様に、レンズ19の内部に収容されている。
【0039】
脈波を計測するとき、図8に示すように、クリップ27の先端部41と先端部43とで、筐体13及び指25を挟む。このとき、指25は筐体13の当接部15に当接している。クリップ27の向きは、先端部43が指25に当接し、先端部41が筐体13のうち、背面13Bに当接する向きとする。
【0040】
先端部43に設けられた光照射ユニット3が照射した光47は、指25を透過し、受光ユニット5に入射する。このとき、光47の一部は、指25の内部を通る小・細動脈(毛細動脈)にあたって、毛細動脈を流れる血液中のヘモグロビンに吸収され、残りの光が受光ユニット5に入射する。受光ユニット5に入射する光(透過光)の受光量は、血液の脈動を反映して、波動的に変化する。それは、血液の脈動により、毛細動脈にあるヘモグロビンの量が波動的に変化し、ヘモグロビンに吸収される光の量も波動的に変化するからである。制御ユニット7は、透過光の受光量における波動的な変化を脈波情報として検出する。
【0041】
2.脈波計1が実行する脈波計測処理
本実施形態の脈波計1は、前記第1の実施形態と同様の脈波計測処理を実行する。
3.脈波計1が奏する効果
以上詳述した第4の実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果(1A)〜(1H)が得られる。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0042】
(1)脈波を計測する人体の部位は指以外(例えば、掌、耳、脚等)であってもよい。
(2)前記第2の実施形態において、筐体13は突出部23を備えていなくてもよい。
(3)前記第4の実施形態において、凹部17の形状は、前記第2の実施形態と同様であってもよい。また、前記第4の実施形態において、筐体13は突出部23を備えていなくてもよい。
【0043】
(4)前記第1〜第4の実施形態において、レンズ19の中央部19Aでの曲率は、外周部19Bでの曲率と同じであってもよい。
(5)前記第4の実施形態において、受光ユニット5が先端部43に設けられ、光照射ユニット3がレンズ19内に設けられていてもよい。
【0044】
(6)前記第1、第2、第4の実施形態において、突出部23は、凹部17の周囲のうち、一部に設けられていてもよい。
(7)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0045】
(8)上述した脈波計の他、当該脈波計を構成要素とするシステム、当該脈波計の制御ユニットとしてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、脈波計測方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…脈波計、3…光照射ユニット、5…受光ユニット、7…制御ユニット、9…表示ユニット、11…入力ユニット、13…筐体、13A…正面、13B…背面、15…当接部、17…凹部、17A…底面、17B…側面、19…レンズ、19A…中央部、19B…外周部、19C…頂点、21…基板、23…突出部、25…指、27…クリップ、29…第1部材、31…第2部材、33…回動軸、35、37…操作部、39…バネ、41、43…先端部、45…信号線、47…光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8