特許第6437959号(P6437959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437959
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20181203BHJP
   H02M 7/48 20070101ALN20181203BHJP
【FI】
   H02M3/155 R
   !H02M7/48 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-130452(P2016-130452)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-7394(P2018-7394A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 一成
(72)【発明者】
【氏名】梶 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】小島 崇
(72)【発明者】
【氏名】野村 勝也
(72)【発明者】
【氏名】服部 佳晋
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/049736(WO,A1)
【文献】 特開2016−077102(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/067835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換用のトランジスタと、
前記トランジスタに直列に接続されているダイオードと、
前記トランジスタと前記ダイオードとに並列に接続されており、前記トランジスタが発生するリップルを抑制する平滑コンデンサと、
スナバコンデンサとインダクタ素子と抵抗の直列接続で構成されており、前記平滑コンデンサに並列に接続されているスナバ回路と、
を備えており、
前記スナバコンデンサの容量と前記インダクタ素子のインダクタンスと前記抵抗の大きさが、前記スナバ回路の共振周波数が前記トランジスタのリンギング周波数に一致し、前記スナバ回路と前記平滑コンデンサで構成される第1ループの前記共振周波数におけるインピーダンスが前記トランジスタと前記平滑コンデンサで構成される第2ループの前記共振周波数におけるインピーダンスよりも小さくなるように設定されている、電力変換装置。
【請求項2】
前記スナバコンデンサの容量は、前記トランジスタの端子間容量に等しくなるように設定されており、
前記インダクタ素子のインダクタンスは、前記第1ループのインダクタンスが前記第2ループのインダクタンスに等しくなるように設定されており、
前記抵抗の大きさは、前記共振周波数における前記第1ループのインピーダンスが前記共振周波数における前記第2ループのインピーダンスよりも小さくなるように設定されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スナバ回路は、前記平滑コンデンサを収容するコンデンサユニットに収容されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電力変換用のトランジスタと平滑コンデンサが並列に接続されている電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧コンバータやインバータなどの電力変換装置では、直流電力を伝送する正極線と負極線の間に電力変換用のトランジスタ(パワートランジスタ)が接続され、さらに正極線と負極線の間に平滑コンデンサが接続されることがある。平滑コンデンサは、トランジスタのオンオフの繰り返しによって生じるリップル(電圧/電流脈動)を抑制するために備えられている。
【0003】
近年、トランジスタのスイッチング速度の向上に伴い、トランジスタのスイッチングの際に生じるサージ電圧の抑制が課題となってきている。例えば、特許文献1に開示された電力変換装置では、サージ電圧を抑制すべく、別のコンデンサとコイル(インダクタ素子)の直列接続からなるスナバ回路を平滑コンデンサに並列に付加する。特許文献1の電力変換装置では、平滑コンデンサと別のコンデンサとコイルのループがいわゆるLC共振回路を構成する。特許文献1によると、LC共振回路の共振周波数が、サージ電圧に含まれる周波数成分のうち、抑制しようとする所定周波数になるように、2個のコンデンサの容量とコイルのインダクタンスの少なくとも一つが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−231593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サージ電圧の立ち上がりが大きいと、スイッチング直後に電圧/電流の振動現象が生じるようになる。そのような振動現象はリンギングと呼ばれている。特許文献1の技術は、サージ電圧の抑制に注目したものであるが、リンギング抑制に注目したものではなかった。本明細書は、リンギングを効果的に抑制することのできる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する電力変換装置は、スナバコンデンサとインダクタ素子と抵抗の直列接続で構成されているスナバ回路を備える。スナバ回路は、トランジスタが発生するリップルを抑制する平滑コンデンサと並列に接続されている。スナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスと抵抗の大きさは、スナバ回路の共振周波数がトランジスタのリンギング周波数に一致し、スナバ回路と平滑コンデンサで構成される第1ループの上記共振周波数におけるインピーダンスがトランジスタと平滑コンデンサで構成される第2ループの上記共振周波数におけるインピーダンスよりも小さくなるように設定されている。
【0007】
共振周波数における第1ループのインピーダンスがその周波数における第2ループのインピーダンスよりも小さいと、共振周波数と同じ周波数を有する電流成分は、第2ループよりも第1ループに流れ易くなる。すなわち、上記の条件を満たすようにスナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスと抵抗が定められていると、リンギングによる電流成分がスナバ回路に流れ、そのエネルギは抵抗で消費される。すなわち、リンギングを速やかに収束させることができる。
【0008】
スナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスと抵抗の大きさは、個別に次の通りに設定されているとよい。スナバコンデンサの容量は、トランジスタの端子間容量に等しくなるように設定されている。インダクタ素子のインダクタンスは、第1ループのインダクタンスが第2ループのインダクタンスに等しくなるように設定されている。抵抗の大きさは、上記共振周波数における第1ループのインピーダンスが上記共振周波数における第2ループの前記共振周波数におけるインピーダンスよりも小さくなるように設定されているとよい。詳しくは実施例で説明するが、上記のごとくスナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスを設定すると、スナバ回路の共振周波数がリンギングの周波数に一致する。共振周波数では、コンデンサ容量とインダクタンスのインピーダンスへの寄与が理論上はゼロになる。即ち、抵抗とコンデンサとインダクタ素子の直列接続で構成されるスナバ回路の共振周波数におけるインピーダンスは、抵抗の大きさのみで定まる。それゆえ、上記のごとくスナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスを設定すれば、リンギングの周波数における第1ループのインピーダンスは、抵抗の大きさのみで調整することができるようになる。即ち、スナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスと抵抗の大きさを個別に設定できるようになり、リンギングによる電流振動成分をスナバ回路へ通すための各素子の選定が容易になる。上記した設定によると、スナバ回路に含まれるスナバコンデンサの容量とインダクタ素子のインダクタンスと抵抗の大きさを、それぞれ個別に定めることができるので、リンギングを抑制するスナバ回路を備えた電力変換装置を容易に実現することができる。
【0009】
スナバ回路は、平滑コンデンサを収容するコンデンサユニットに収容されていることが望ましい。そのような構成により、コンデンサユニットのほかにスナバ回路用の空間を設ける必要がなくなる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例の電力変換装置のブロック図である。
図2】平滑コンデンサのループのインピーダンスとスナバ回路のループのインピーダンスの周波数特性の一例を示すグラフである。
図3】スナバ回路の効果を確認するシミュレーション結果の一例である。
図4】スナバ回路の抵抗の大きさを変えたときのノイズ低減効果を確認するシミュレーション結果の一例である。
図5】第2実施例の電力変換装置のブロック図である。
図6】第2実施例の電力変換装置の平面図である。
図7図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)図1図4を参照して第1実施例の電力変換装置を説明する。図1に、第1実施例の電力変換装置のブロック図を示す。第1実施例の電力変換装置は、入力端11に接続された直流電源2の電力を昇圧して出力端12に出力する昇圧コンバータ10である。
【0012】
昇圧コンバータ10の回路構造を説明する。昇圧コンバータ10は、フィルタコンデンサ14、リアクトル15、トランジスタ16、逆流防止ダイオード18、平滑コンデンサ19、及び、スナバ回路20を備えている。トランジスタ16は、電力変換用のパワートランジスタである。トランジスタ16は、シリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)の基板で作られており、スイッチング速度が速い。
【0013】
フィルタコンデンサ14は、昇圧コンバータ10の入力端正極11aと入力端負極11bの間に接続されている。リアクトル15は、一端が入力端正極11aに接続されており、他端がトランジスタ16のドレイン電極16dに接続されている。ドレイン電極16dは、逆流防止ダイオード18を介して出力端正極12aにも接続している。逆流防止ダイオード18のアノードがドレイン電極16dに接続されており、カソードが出力端正極12aに接続されている。トランジスタ16のソース電極16sは入力端負極11bに接続されている。また、トランジスタ16のソース電力16sは、コイル28(後述)を介して出力端負極12bに接続されている。別言すれば、トランジスタ16は、直流電源2の電力が伝送される電力正極線13aと電力負極線13bの間に接続されている。
【0014】
逆流防止ダイオード18は、トランジスタ16に直列に接続されている。平滑コンデンサ19は、トランジスタ16及び逆流防止ダイオード18の直列接続に対して並列に接続されている。
【0015】
スナバ回路20は、抵抗21、スナバコンデンサ22、コイル23の直列接続で構成されており、その直列接続が、平滑コンデンサ19と並列に接続されている。別言すれば、スナバ回路20も、トランジスタ16や平滑コンデンサ19と同様に、電力正極線13aと電力負極線13bの間に接続されている。
【0016】
図1において破線で示したコイル28は、トランジスタ16と平滑コンデンサ19で構成されるループに生じる寄生インダクタンスを表しており、破線で示したコンデンサ16cは、トランジスタ16のドレイン電極16dとソース電極16sの間に生じる端子間容量(寄生容量)を表している。以下、トランジスタ16と平滑コンデンサ19で構成されるループに生じる寄生インダクタンスを記号Laで表し、トランジスタ16の端子間容量を記号Caで表す。寄生インダクタンスLaは、数[nH]から数十[nH]の大きさであり、端子間容量Caは、数百[pF]の大きさである。
【0017】
昇圧コンバータ10のトランジスタ16は、不図示のゲートドライバから送られるデューティ比が一定の駆動信号によってオンオフ切換を繰り返し、入力端11に印加された直流電力を昇圧する。図1に示す昇圧コンバータ10の回路構成(スナバ回路20を除く)は、よく知られているので動作の詳しい説明は省略する。
【0018】
フィルタコンデンサ14と平滑コンデンサ19は、直流電力に生じるリップルを抑制するために備えられている。リップルは、トランジスタ16のスイッチングの繰り返しに起因して生じる電圧/電流脈動であり、その周波数は、トランジスタ16のスイッチングのタイミングを決めるキャリアの周波数に依存する。トランジスタ16のキャリア周波数は、概ね、数[kHz]から数十[kHz]である。従ってリップルの周波数帯域も数[kHz]から数十[kHz]となる。その帯域のリップルを抑制するフィルタコンデンサ14や平滑コンデンサ19の容量は、概ね、数十[μF]から数百[μF]の間で設定される。
【0019】
シリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)を用いた高速なパワートランジスタでは、オンからオフに切り換わった直後、及び、オフからオンに切り換わった直後にドレイン電極又はソース電極に発生する電圧/電流振動が大きくなる。オンからオフに切り換わった直後、及び、オフからオンに切り換わった直後に発生する電圧/電流振動はリンギングと呼ばれている。スナバ回路20のスナバコンデンサ22の容量Cs、抵抗21の大きさRs、コイル23のインダクタンスLsは、リンギングを効果的に抑制するように設定される。
【0020】
次に、スナバ回路20のスナバコンデンサ22の容量Cs、抵抗21の大きさRs、コイル23のインダクタンスの設定について説明する。なお、コイル23のインダクタンスを含む、平滑コンデンサ19とスナバ回路20のループ(図1において符号A1が示すループ)のインダクタンスを記号Lsで表す。リンギングの周波数帯域は、トランジスタ16の端子間容量Caと、トランジスタ16と平滑コンデンサ19のループ(図1において符号A2が示すループ)の寄生インダクタンスLaに依存する。具体的には、リンギングの周波数Faは、次の(数1)で近似することができる。
【0021】
【数1】
【0022】
なお、トランジスタ16と平滑コンデンサ19のループには平滑コンデンサ19が存在するが、(数1)には、平滑コンデンサ19の容量Cmが現れない。これは、リンギングは数[MHz]から数十[MHz]の周波数帯域であり、リップルの周波数帯域(数[kHz]から数十[kHz])とは1000倍の差があるためである。即ち、リンギングの周波数Faを近似する際、リップルを抑制する平滑コンデンサ19の容量は無視し得る。ちなみに、端子間容量Caは数百[pF]から数[nF]の大きさであり、先に述べた平滑コンデンサ19の容量(数十[μF]から数百[μF])の1000分の1以下である。
【0023】
なお、以下では、説明の都合上、図1において符号A1が示すループ(平滑コンデンサ19とスナバ回路20のループ)を第1ループと称し、符号A2が示すループ(トランジスタ16と平滑コンデンサ19のループ)を第2ループと称する。
【0024】
一方、平滑コンデンサ19とスナバ回路20で構成される第1ループ(図1のループA1)の共振周波数Fsは、次の(数2)で表すことができる。
【0025】
【数2】
【0026】
先に述べたように、(数2)において、記号Csは、スナバコンデンサ22の容量を表し、記号Lsは、コイル23のインダクタンスを含み、平滑コンデンサ19とスナバ回路20で構成される第1ループのインダクタンスを表す。(数1)で示されるリンギング周波数Faを、(数2)で示されるスナバ回路20の共振周波数Fsに一致させるには、スナバコンデンサ22の容量Csと第1ループのインダクタンスLsの積[Cs・Ls]が、端子間容量Caと寄生インダクタンスLa(第2ループのインダクタンス)の積[Ca・La]に等しくなるように、容量Csとコイル23のインダクタンスを調整すればよい。単純には、スナバコンデンサ22の容量Csを端子間容量Caに等しい値に設定し、第1ループのインダクタンスLsが第2ループのインダクタンスLaに等しくなるようにコイル23のインダクタンスを設定すればよい。逆に言えば、スナバコンデンサ22の容量Csを端子間容量Caと等しい値に設定し、第1ループのインダクタンスLsが第2ループのインダクタンスLaに等しくなるようにコイル23のインダクタンスを設定することによって、スナバ回路の共振周波数Fsをリンギング周波数Faに一致させることができる。なお、スナバコンデンサ22の容量Caは、数百[pF]から数[nF]の端子間容量と同じ大きさとなるので、結果的に、先に述べた平滑コンデンサ19の容量(数十[μF]から数百[μF])の1000分の1以下となる。
【0027】
積[Cs・Ls]を積[Ca・La]に一致させるには、容量CsとインダクタンスLsの間に一定の関係があればよい。しかし、本実施例では、スナバコンデンサ22の容量Csを寄生容量Caに一致させ、第1ループのインダクタンスLsを第2ループのインダクタンスLaに一致させる。このことによる利点は後に説明する。
【0028】
次に、スナバ回路20の抵抗21の大きさ(抵抗値Rs)の設定について説明する。平滑コンデンサ19とスナバ回路20の第1ループのインピーダンスZ1の周波数特性は次の(数3)で表すことができる。
【0029】
【数3】
【0030】
共振周波数Fsは、(数3)右辺のかっこ内がゼロの場合である。従って、共振周波数FsにおけるインピーダンスZ1は、抵抗21の抵抗値Rsで定まる。別言すれば、スナバコンデンサ22の容量Csと第1ループのインダクタンスLsは、共振周波数FsにおけるインピーダンスZ1に影響しない。以下、共振周波数における第1ループのインピーダンスを記号Zsで表す。
【0031】
図2に、スナバ回路20と平滑コンデンサ19の第1ループのインピーダンスZ1の周波数特性と、トランジスタ16と平滑コンデンサ19の第2ループのインピーダンスZ2の周波数特性の一例を示す。図2に示すように、抵抗値Rsは、共振周波数Fsにおけるスナバ回路20と平滑コンデンサ19の第1ループのインピーダンスZsが、共振周波数Fsにおける平滑コンデンサ19とトランジスタ16の第2ループのインピーダンスZ2aよりも小さくなるように設定される。そうすることで、トランジスタ16で発生したリンギングの電流振動成分(周波数Fa=Fs)は、第2ループよりもインピーダンスが低い第1ループ(即ち、スナバ回路20と平滑コンデンサ19で構成されるループ)に流れ易くなる。その結果、トランジスタ16で発生したリンギングの電流振動成分は、スナバ回路20と平滑コンデンサ19で構成される第1ループを周回し、周回の毎に抵抗21で減衰する。
【0032】
上記のごとくスナバコンデンサ22の容量Csと抵抗21の抵抗値Rsとコイル23のインダクタンスを設定することで、トランジスタ16で発生したリンギングを効果的に抑制することができる。特に、容量Csはトランジスタ16の端子間容量Caに対応して定めることができ、コイル23のインダクタンスは第2ループのインダクタンスLaに対応して定めることができ、抵抗値Rsは、共振周波数Fsにおけるインピーダンスに対応して定めることができる。即ち、スナバ回路20の容量Csとコイル23のインダクタンスと抵抗値Rsを個別に定めることができる。実施例の技術を採用することで、リンギングを効果的に抑制するスナバ回路を備えた電力変換装置を容易に実現することができる。
【0033】
スナバ回路20と平滑コンデンサ19で構成される第1ループのインダクタンスLsが、トランジスタ16と平滑コンデンサ19で構成される第2ループのインダクタンスLaに等しくなるようにインダクタ素子のインダクタンスを調整したことによって、以下の利点が得られる。第1ループのインダクタンスLsは、共振周波数よりも高周波側の第1ループのインピーダンス特性の傾きに相当する。また、第2ループのインダクタンスLaは、共振周波数よりも高周波側の第2ループのインピーダンス特性の傾きに相当する。インダクタンスLaがインダクタンスLsに等しいということは、図2に示されているように、共振周波数Fsより高周波側で、第1ループと第2ループのインピーダンス特性のグラフが平行になることを意味する。従って、共振周波数Fsにおいて、第1ループのインピーダンスZsが第2ループのインピーダンスZ2aよりも所定の差以上で低くなるように抵抗値Rsを定めれば、共振周波数Fsより高い周波数帯で第1ループのインピーダンスが第2ループのインピーダンスより低くなることが保証される。その場合、共振周波数Fsよりも高い周波数のリンギングの電流振動成分もスナバ回路20に流れ易くなる。リンギングの主要周波数の電流振動成分だけでなく、さらに高周波の電流振動成分も抑制することができる。また、第1ループのインピーダンスZsが第2ループのインピーダンスZ2aよりも所定の差以上で低くなるように抵抗値Rsを定めることによって、次の効果も期待できる。第1ループと第2ループの実際のインピーダンス特性が計算上のインピーダンス特性から多少ずれても、共振周波数Fsよりも高周波側で第1ループのインピーダンスが第2ループのインピーダンスよりも大きくなる可能性が小さくなる。よって、共振周波数Fs(=リンギング周波数Fa)よりも高周波のノイズ成分は確実にスナバ回路20に導かれることになり、スナバ回路20のノイズ低減効果が期待できる。
【0034】
また、共振周波数Fsにおける第1ループのインピーダンスが抵抗値Rsのみで定まるので、図2に示すように、共振周波数Fsの付近における第1ループのインピーダンス曲線はフラットになる。このことは、実際のリンギング周波数Faと実際の共振周波数Fsが少しずれても、リンギングに対してスナバ回路20が高い減衰特性を保持できることを意味する。
【0035】
スナバコンデンサ22の容量Csと抵抗21の抵抗値Rsとコイル23のインダクタンスを上記のごとく調整することで、次の効果も期待できる。スナバコンデンサ22の容量Csを端子間容量Caに等しい値に設定し、第1ループのインダクタンスLsが第2ループのインダクタンスLaに等しくなるようにコイル23のインダクタンスを設定すると、リンギングを抑制するためのスナバ回路20の設計が容易になる。即ち、昇圧コンバータ10の設計において、トランジスタ16の端子間容量Caに応じて、スナバコンデンサ22の容量Csを設定できる。別言すれば、トランジスタ16の端子間容量Caに応じて、スナバコンデンサ22を選定できる。また、昇圧コンバータ10の設計において、トランジスタ16と平滑コンデンサ19を接続する導体(バスバ)の設計に応じて、スナバ回路20のコイル23のインダクタンスを設定できる。別言すれば、トランジスタ16と平滑コンデンサ19を接続する導体(バスバ)の設計に応じて、スナバ回路20のコイル23を選定できる。
【0036】
次に、スナバ回路20の効果を確認するシミュレーションの結果について説明する。図3は、図1の回路のシミュレーション結果のグラフである。図3は、トランジスタ16が時刻Tsでオンからオフに変化したときの出力電圧の時間応答波形を示す。黒色の線がスナバ回路ありの場合の時間応答を示し、グレーの線はスナバ回路なしの場合の時間応答を示す。使用したパラメータは次のとおりである。出力電圧(昇圧後の電圧)=600[V]、トランジスタ16の端子間容量Ca=1[nF]、トランジスタ16と平滑コンデンサ19のループ(第2ループ)のインダクタンスLa=50[nH]、平滑コンデンサ19の容量Cm=355[μF]、スナバコンデンサ22の容量Cs=1[nF]、抵抗21の抵抗値Rs=500[mΩ]、スナバ回路20と平滑コンデンサ19で構成されるループ(第1ループ)のインダクタンスLs=50[nH]。インダクタンスLsには、コイル23のインダクタンスと、第1ループを構成する導体に生じる寄生インダクタンスが含まれている。シミュレーションに用いた条件は、[スナバコンデンサ22の容量Cs]=[トランジスタ16の端子間容量Ca]=1[nF]である。また、[第1ループのインダクタンスLs]=[第2ループのインダクタンスLa]=50[nH]である。さらに、抵抗21の抵抗値Rs=500[mΩ]は、図2のグラフのZsに相当する。図3に示すように、スナバ回路20を採用することにより、リンギングによる電流振動成分が速やかに減衰する。
【0037】
次に、抵抗値Rsの影響を調べたシミュレーション結果について説明する。図4は、抵抗値Rsを変えたときのノイズレベルの大きさをプロットしたグラフである。図4は、トランジスタ16をオンオフしたときの時間応答を周波数変換し、リンギング周波数におけるレベル(ノイズレベル)の大きさを示している。図4に示すように、抵抗値Rs=500[mΩ]のときにノイズレベルが最小となる。このとき、ノイズレベルは、スナバ回路20を用いない場合(Rs=0の場合)と比較して、10[dB]も下がっている。
【0038】
抵抗値Rsが大きすぎると、図2で説明したように、リンギングによる電流振動成分のうち、スナバ回路20の第1ループを流れる電流量よりも平滑コンデンサ19とトランジスタ16の第2ループへ流れる電流量が多くなり、ノイズレベルが大きくなる。一方、抵抗値Rsが小さすぎると、減衰効果が低下する。先に述べたように、抵抗値Rsは、スナバ回路20と平滑コンデンサ19の第1ループの共振周波数FsにおけるインピーダンスZsが、トランジスタ16と平滑コンデンサ19の第2ループの上記共振周波数FsにおけるインピーダンスZ2aよりも小さくなるように設定される。
【0039】
図2の例では、第1ループのインピーダンスZsが第2ループのインピーダンスZ2aよりも所定の差以上で低くなるように抵抗値Rsを定めた。抵抗値Rsは、共振周波数Fsにおける第1ループのインピーダンスZsが共振周波数Fsにおける第2ループのインピーダンスZ2aよりも小さくなるように設定されていれば、上記した条件を満たさなくともよい。すなわち、図2のグラフにおいて、共振周波数Fsにて実線が点線よりも下側にあれば、共振周波数Fsよりも高周波帯域で点線が実線よりも下側に位置していてもよい。
【0040】
また、上記した例では、スナバコンデンサ22の容量Csは、トランジスタ16の端子間容量Caに等しくなるように設定し、コイル23のインダクタンスは、第1ループのインダクタンスが第2ループのインダクタンスに等しくなるように設定した。そのような条件を満足せずとも、容量Csとコイル23のインダクタンスと抵抗値Rsが、次の条件を満足すればよい。即ち、スナバ回路20の共振周波数Fsがトランジスタ16のリンギング周波数Faに一致し、第1ループの共振周波数Fsにおけるインピーダンスが第2ループの共振周波数Fsにおけるインピーダンスよりも小さくなるように設定されていればよい。具体的には、スナバコンデンサ22の容量Csと第1ループのインダクタンスLsとの積[Cs・Ls]が、トランジスタ16の端子間容量Caと第2ループの寄生インダクタンスLaの積[Ca・La]に一致していればよい。そして、第1ループの共振周波数Fsにおけるインピーダンスが第2ループの共振周波数Fsにおけるインピーダンスよりも小さくなるように抵抗値Rsが設定されていればよい。その場合、スナバコンデンサ22の容量Csとコイル23のインダクタンスの設定に自由度が得られるという利点が得られる。
【0041】
(第2実施例)図5図7を参照して第2実施例の電力変換装置を説明する。図5は、第2実施例の電力変換装置10aのブロック図である。電力変換装置10aは、直流電源2の電力を昇圧した後に交流に変換し、2個のモータ3a、3bに三相交流電力を供給するデバイスである。電力変換装置10aは、電気自動車に搭載されており、2個のモータ3a、3bは、走行用のモータである。モータ3a、3bは、発電機としても機能する。
【0042】
電力変換装置10aは、双方向DC−DCコンバータ31と、2個のインバータ32a、32bを含む。双方向DC−DCコンバータ31は、直流電源2の電圧を昇圧してインバータ32a、32bへ供給する昇圧動作と、インバータ32a、32bから送られる回生電力を降圧して直流電源2に供給する降圧動作を行うことができる。回生電力とは、モータ3a、3bが発電した電力である。インバータ32a、32bは、モータ3a、3bが発電した交流電力を直流電力に変換して双方向DC−DCコンバータ31へ供給することができる。
【0043】
双方向DC−DCコンバータ31は、フィルタコンデンサ14、リアクトル15、2個のトランジスタ16a、16b、還流ダイオード17a、17bを備えている。2個のトランジスタ16a、16bは、直列に接続されており、夫々のトランジスタ16a、16bに、還流ダイオード17a、17bが逆並列に接続されている。高電位側のトランジスタ16aと低電位側の還流ダイオード17bが主に降圧動作に関与し、低電位側のトランジスタ16bと高電位側の還流ダイオード17aが主に昇圧動作に関与する。図5の双方向DC−DCコンバータ31の回路構成と動作はよく知られているのでこれ以上の説明は省略する。
【0044】
双方向DC−DCコンバータ31の高電圧端31a、31bに、平滑コンデンサ19が接続されている。別言すれば、トランジスタ16a、16bの直列接続に対して平滑コンデンサ19が並列に接続されている。トランジスタ16aと還流ダイオード17bに着目して表現すると、平滑コンデンサ19は、トランジスタ16aと還流ダイオード17bの直列接続に対して並列に接続されている、と表現できる。また、トランジスタ16bと還流ダイオード17a着目して表現すると、平滑コンデンサ19は、トランジスタ16bと還流ダイオード17aの直列接続に対して並列に接続されている、と表現することもできる。その平滑コンデンサ19に対してスナバ回路20が並列に接続されている。スナバ回路20は、抵抗21、スナバコンデンサ22、コイル23の直列接続で構成されている。図5のスナバ回路20は、図1に示したスナバ回路20と同じである。
【0045】
双方向DC−DCコンバータ31の高電圧端31a、31bに、インバータ32a、32bが接続されている。インバータ32aは、2個のトランジスタ4の直列接続を3セット備えている。各トランジスタ4に還流ダイオード5が逆並列に接続されている。3セットの直列接続は、電力正極線13aと電力負極線13bの間に並列に接続されている。各直列接続の中点から交流が出力される。インバータ32bの回路構成はインバータ32aの回路構成と同じであるため、図5ではインバータ32bの回路構成は図示を省略している。
【0046】
双方向DC−DCコンバータ31のトランジスタ16a、16b、及び、インバータ32a、32bの複数のトランジスタ4は、いずれも、電力変換用のパワートランジスタであり、シリコンカーバイド(SiC)あるいは、ガリウムナイトライド(GaN)の基板をベースに作られている。そのようなトランジスタはスイッチング速度が速く、第1実施例のトランジスタ16と同様に、リンギング(スイッチング後の電圧/電流振動)が大きい。スナバ回路20は、次に説明するように、電力変換装置10aの全てのトランジスタ16a、16b、4のリンギングを抑制することができる。
【0047】
図5に示されているように、双方向DC−DCコンバータ31のトランジスタ16a、16b、及び、インバータ32a、32bの複数のトランジスタ4のいずれも、平滑コンデンサ19及びスナバ回路20と並列に接続されている。
【0048】
電力変換装置10aでは、いずれのトランジスタも同じ特性であり、端子間容量Caが同じである。また、電力変換装置10aでは、各トランジスタの夫々と平滑コンデンサ19が構成するループ(第2ループ)のインダクタンスが同じになるように各トランジスタと平滑コンデンサ19を接続する導体が調整されている。それゆえ、リンギングの周波数は、全てのトランジスタで同一となる。スナバコンデンサ22の容量は、トランジスタの端子間容量に等しくなるように設定されている。コイル23のインダクタンスは、スナバ回路20と平滑コンデンサ19とで構成されるループ(第1ループ)のインダクタンスが、夫々のトランジスタと平滑コンデンサで構成されるループ(第2ループ)のインダクタンスに等しくなるように調整されている。それゆえ、第1実施例の場合と同様に、スナバ回路20の共振周波数が、トランジスタのリンギングの周波数に一致する。また抵抗21の大きさは、スナバ回路20と平滑コンデンサ19のループ(第1ループ)の共振周波数Fsにおけるインピーダンスが、その共振周波数Fsにおける平滑コンデンサ19と各トランジスタのループ(第2ループ)のインピーダンスよりも小さくなるように調整されている。上記のごとくスナバ回路20の各要素が設定されているので、スナバ回路20は、全てのトランジスタのリンギングを抑制することができる。図5の電力変換装置10aも、第1実施例の昇圧コンバータ10と同様に、スナバ回路20のコンデンサ22の容量とコイル23のインダクタンスと抵抗21の大きさを個別に定めることができる。
【0049】
図6に、電力変換装置10aのハードウエアの平面図を示し、図7に、図6のVII−VII線における断面図を示す。電力変換装置10aは、そのケース90に、複数のパワーカード8と複数の冷却プレート41を積層した積層ユニット40と、リアクトルユニット104、第1コンデンサユニット103、第2コンデンサユニット105を収容している。
【0050】
積層ユニット40では、複数のパワーカード8と複数の冷却プレート41が各々1個ずつ交互に積層されている。複数の冷却プレート41には冷媒供給管91と冷媒排出管92が貫通している。冷媒供給管91と冷媒排出管92の一端はケース90の外へと延びており、不図示の冷媒循環装置に接続されている。冷媒は冷媒供給管91を通じて全ての冷却プレート41に分配され、各冷却プレート41に隣接するパワーカード8を冷却する。冷却プレート41を通過した冷媒は、冷媒排出管92を通じて不図示の冷媒循環装置に戻る。
【0051】
各パワーカード8は、樹脂製の本体9に、直列に接続された2個のトランジスタと、各トランジスタに逆並列に接続された還流ダイオードを収容している。電力変換装置10aでは、双方向DC−DCコンバータ31に、2個のトランジスタ16a、16bの直列接続が1組含まれており、インバータ32a、32bの夫々には2個のトランジスタ4の直接接続が3組含まれている。各々の直列接続が一つのパワーカード8に対応する。即ち、電力変換装置10aは7組の直列接続、即ち、7個のパワーカード8を備えている。各パワーカード8の本体9から、トランジスタの直列接続の高電位側端子に相当する正極端子8a、低電位側端子に相当する負極端子8b、中点に相当する中点端子8cが延びている。全てのパワーカード8の正極端子8aと負極端子8bは、それぞれ、正極バスバ43と負極バスバ42で第2コンデンサユニット105に接続されている。正極バスバ43は、図5の電力正極線13aに相当し、負極バスバ42は、図5の電力負極線13bに相当する。
【0052】
第2コンデンサユニット105には、図5の平滑コンデンサ19に対応するコンデンサ素子105a、図5のスナバ回路20のスナバコンデンサ22に対応するコンデンサ素子122、図5の抵抗21に対応する抵抗素子121、図5のコイル23に対応するコイル素子123が埋設されている(図7参照)。コンデンサ素子105aは、第2コンデンサユニット105の内部で、正極バスバ43と負極バスバ42の間に接続されている。抵抗素子121、コンデンサ素子122、コイル素子123は、第2コンデンサユニット105の内部で直列に接続されており、その直列接続(スナバ回路20)が、正極バスバ43と負極バスバ42の間に接続されている。即ち、スナバ回路20は、平滑コンデンサ19を収容する第2コンデンサユニット105に収容されている。そして、スナバ回路20(コンデンサ素子122と抵抗素子121とコイル素子123)は、第2コンデンサユニット105の内部で、平滑コンデンサ19(コンデンサ素子105a)と並列に接続されている。スナバ回路20を第2コンデンサユニット105に収容することで、スナバ回路20のための独立した空間を確保する場合に比べて電力変換装置10aを小型化できる。
【0053】
2個のインバータ32a、32bを構成する6個のパワーカード(図6の左端のパワーカードを除く他のパワーカード8)の中点端子8cは、別のバスバを介して外部との接続端子93に接続されている。双方向DC−DCコンバータ31に含まれるトランジスタの直列接続を含むパワーカード(図6の左端のパワーカード8)は、バスバ44を介してリアクトルユニット104に接続されている。リアクトルユニット104、第1コンデンサユニット103は、さらに別のバスバ45を介して相互に接続されている。なお、図6に示すリアクトルユニット104には、図5のリアクトル15に対応するリアクトル素子が収容されており、第1コンデンサユニット103には、図5のフィルタコンデンサ14に対応するコンデンサ素子が格納されている。
【0054】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。平滑コンデンサ19は、数[kHz]から数十[kHz]のリップルを抑制するコンデンサであり、その容量は、概ね、数十[μF]から数百[μF]の間で設定される。一方、数[MHz]から数十[MHz]のリンギング抑制のために挿入されているスナバコンデンサ22の容量は、概ね、数百[pF]から数[nF]の間で設定される。スナバコンデンサ22の容量Csは、リップルを抑制するための平滑コンデンサ19の容量Cmの1000分の1以下である。これだけの差があるので、スナバコンデンサ22の容量決定に際して、平滑コンデンサ19の容量を無視し得る。
【0055】
実施例のトランジスタ16、16a、16b、4が、請求項の「電力変換用のトランジスタ」の一例に相当する。実施例のコイル23が請求項の「インダクタ素子」の一例に相当する。図1の符号Aが示すループが請求項の「第1ループ」の一例に相当し、図1の符号A2が示すループが請求項の「第2ループ」の一例に相当する。図5においてスナバ回路20と平滑コンデンサ19が構成するループが請求項の「第1ループ」の別の一例に相当し、各トランジスタと平滑コンデンサ19で構成されるループが請求項の「第2ループ」の別の一例に相当する。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
2:直流電源
3a、3b:モータ
4、16、16a、16b:トランジスタ
5、17:還流ダイオード
8:パワーカード
10:昇圧コンバータ
10a:電力変換装置
14:フィルタコンデンサ
15:リアクトル
16c:コンデンサ(端子間容量Ca)
16d:ドレイン電極
16s:ソース電極
18:逆流防止ダイオード
19:平滑コンデンサ
20:スナバ回路
21:抵抗
22:スナバコンデンサ
23:コイル
28:コイル(寄生インダクタンスLa)
31:双方向DC−DCコンバータ
32a、32b:インバータ
103:第1コンデンサユニット
104:リアクトルユニット
105:第2コンデンサユニット
121:抵抗素子
122:コンデンサ素子
123:コイル素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7