【実施例】
【0033】
硬化性樹脂組成物のサンプルを製造し硬化した。百分率は、特に指示のない限りすべて重量による。熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、破壊抵抗(K
IC)、及び動的せん断弾性率(G’)を決定する以下の手技により、硬化組成物を特徴づけた。
【0034】
硬化樹脂のCTEは、標準プローブ及び0.20ニュートン(N)の荷重を用い、TMA Q400(V 7.0、80型)熱機械分析器(TA Instrumentsより入手)を用いて測定した。1.5ミリメートル(mm)(1/16インチ)厚のサンプルを、−50℃から250℃まで、1分あたり10℃(℃/分)で加熱した。荷重を一定に保ったまま、続いてサンプルを5℃/分で−50℃まで冷却し、10℃/分で250℃まで再加熱した。Tgを、TMAにより熱流カーブにおける第1遷移の開始時点の温度として、又は、TA InstrumentsのQ100 DSCを用いて半分の高さ時点の温度として決定した。
【0035】
樹脂のTg以下のCTEは、−25℃〜25℃における寸法変化−温度曲線の曲線適合から得た。樹脂のガラス転移温度以上のCTEは、125℃〜175℃における寸法変化−温度曲線の曲線適合から得た。
【0036】
硬化樹脂サンプルの動的せん断弾性率(G’)は、ARESレオメーター(Rheometrics Scientific,Inc.から入手)のねじり方形モードで測定した。公称寸法35mm×12.5mm×1.5mmのサンプルを25℃から200℃まで加熱し、0.05%の負荷をかけた。AutoStrain Adjustmentを採用し、トルクを5グラム(g)〜100gに維持した。
【0037】
硬化樹脂サンプルの平面ゆがみ破壊靭性(K
IC)は、サンプルあたり4標本のみを測定した以外は、ASTM D5045−99に従って測定した。
【0038】
表面修飾ナノ粒子の調製
表面修飾ナノ粒子(「ENP−1」)は、シリカナノ粒子(Nalco 2327、直径約20ナノメートル(nm))の水溶液1750グラムを、95℃で48時間以上、2−メトキシエタノールの存在下にてトリメトキシフェニルシラン76.4グラムで処理することにより調製した。熱重量分析(TGA)を用いると、生じた溶液は、27.5重量%(wt%)のシリカを含有することが判明した。この溶液2190グラムを、ビスフェノールFエポキシ樹脂(Ciba GeigyのPY 306)733グラムに添加することにより、樹脂にENP−1表面修飾シリカナノ粒子を配置した。この混合液を、最初は100℃で、次いで175℃で真空蒸留し、揮発物を除いた。生じた混合物は、エポキシ樹脂中に45wt%のシリカを含有していた。
【0039】
表面修飾ナノ粒子(「ENP−2」)は、Nalco 2327シリカ溶液1300グラムを、95℃で38時間以上、1−メトキシ−2−プロパノールの存在下にてトリメトキシフェニルシラン52.9グラムで処理することにより調製した。次いで、溶媒/水を蒸留し、30wt%のシリカ溶液を残した。この溶液266.7グラムを、PY 306エポキシ樹脂120グラムに添加することにより、樹脂にENP−2表面修飾シリカナノ粒子を配置した。この混合液を、100℃で、次いで175℃で真空蒸留し、揮発物を除いた。生じた混合物は、エポキシ樹脂中に40wt%のシリカを含有していた。
【0040】
エポキシ樹脂中に表面修飾ナノ粒子とコアシェルゴムの両方を含む混合物は、エポキシ樹脂中のENP−2ナノ粒子154グラム(上記にて調製)を、水洗したマイクロメートルサイズのコアシェルゴム粒子(Roam and Haasから入手可能なPARALOID EXL−2691)13.12グラムと混合することにより調製した。この混合物を、なめらかな分散液が得られるまで、撹拌しながら1時間加熱した。生じた混合物は、エポキシ樹脂中に37wt%のシリカと7.8wt%のコアシェルゴムを含有していた。
【0041】
比較例CE1。硬化性樹脂組成物を、PY 306エポキシ樹脂650gと、米国特許第4,684,678号の実施例4に従って調製されたフルオレンアミン硬化剤(「CAF」)592gを混合することにより調製した。この組成物を、なめらかな分散液が得られるまで(約30分)、真空下65℃で撹拌した。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは透明であった。
【0042】
比較例CE2。硬化性樹脂組成物を、まず2.3マイクロメートルのシリカフィルターガラス球(Potters Industries、ロット番号10002Eで入手可能)90グラムを、PY 306エポキシ樹脂110グラムに加え、真空下室温で15分間撹拌することにより調製した。次に、この混合物100グラムをCAF硬化剤50.3グラムに加え、真空下65℃で20分間混合した。生じた硬化性樹脂組成物は、36wt%のシリカを含有していた。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは不透明で、灰褐色の外観を有していた。
【0043】
比較例CE3。硬化性樹脂組成物を、1200グラムのエポキシ混合物中ENP−1にCAF硬化剤601グラムを加えることにより調製した。この組成物を、なめらかな分散液が得られるまで(約30分)、真空下65℃で撹拌した。生じた混合物は、30wt%のシリカを含有していた。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは透明で、褐色の色相を有していた。
【0044】
比較例CE4。硬化性樹脂組成物を、CAF硬化剤1031グラムとPY 306エポキシ樹脂1050グラムを、真空下60℃にてなめらかになるまで撹拌することにより調製した。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは透明であった。
【0045】
比較例CE5。硬化性樹脂組成物を、まず水洗したPARALOID EXL−2691コアシェルゴム粒子7.99グラムと、PY 306エポキシ樹脂75グラムを混合し、100℃にてなめらかな分散液が得られるまで(約1時間)撹拌することにより調製した。次に、CAF硬化剤76.9グラムを加え、この混合物を真空下65℃で30分間撹拌した。生じた硬化性樹脂組成物は、5wt%のコアシェルゴムを含有していた。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは不透明で、黄色の色相を有していた。
【0046】
比較例CE6。硬化性樹脂組成物を、CAF硬化剤69.2グラムと、フェニルシランで表面処理した38.5wt%のシリカナノ粒子(NALCO 2327)を含むPY 306エポキシ樹脂システム110グラムを混合することにより調製した。この混合物を真空下65℃で30分間撹拌した。生じた硬化性樹脂組成物は、23.5wt%のシリカを含有していた。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは透明で、黄色の色相を有していた。
【0047】
比較例CE7。硬化性樹脂組成物を、CAF硬化剤80.4グラムと、ENP−2表面修飾シリカナノ粒子及びPARALOID EXL−2691コアシェルゴム粒子の両方を含むエポキシ樹脂142.3グラムとを混合し、真空下65℃で20分間撹拌することにより調製した。生じた硬化性樹脂組成物は、23.6wt%のシリカと5wt%のコアシェルゴムを含有していた。硬化性組成物を成形型内で177℃にて4時間加熱し、硬化サンプルを調製した。硬化サンプルは不透明であった。
【0048】
各硬化サンプルを測定し、破壊靭性(K
IC)、せん断弾性率(G’)、及びガラス転移温度(Tg)を決定した。表1及び表2に、結果を示す。表1に示すように、小さいナノサイズのシリカ粒子は、大きいマイクロメートルサイズのシリカ粒子よりも、破壊靭性がより強化されていた。
【0049】
【表1】
【0050】
表2に示すように、マイクロメートルサイズのコアシェルゴムをエポキシ樹脂に添加すると、破壊靭性は改善されたが、せん断弾性率は減少した。表面修飾ナノ粒子の添加により、破壊靭性とせん断弾性率の両方が改善されたが、破壊靭性の改善度は、マイクロメートルサイズのコアシェルゴムを単独で添加して得られるものより低かった。マイクロメートルサイズのコアシェルゴムと表面修飾ナノ粒子の両方の添加により、破壊靭性及びせん断弾性率が改善されたが、破壊靭性の改善度は、コアシェルゴム単独で得られるものよりも低く、せん断弾性率の改善度は、表面修飾シリカナノ粒子単独で得られるものよりも低かった。
【0051】
【表2】
【0052】
硬化性樹脂システムにおける表面修飾ナノ粒子及びゴムナノドメインの相互作用を更に調べるため、以下の材料を用いて更なるサンプルを調製した。
【0053】
【表3】
【0054】
エポキシ樹脂中のマイクロメートルサイズのコアシェルゴム粒子の予混合物は、以下のように調製した。PARALOID EXA 2600コアシェルゴム粒子を、EPON 825エポキシ樹脂と混合した。まず撹拌及び真空引きを行い、続いて85〜90℃に設定した油浴を用いて加熱した。混合物を撹拌し、加熱し、なめらか(明らかに粒状のものがない)になるまで脱気した。これにはおおよそ45〜60分かかった。この予混合物の組成物を表3Bに要約する。
【0055】
【表4】
【0056】
TB−A.Arkema,Inc.から入手可能なNANOSTRENGTH E40、ポリスチレンの三元ブロックコポリマー、1,4−ポリブタジエン及びシンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)適当な樹脂、例えばエポキシ樹脂と混合すると、三元ブロックコポリマーはゴムナノドメインを形成する。
【0057】
TB−B.エポキシ樹脂中の三元ブロックコポリマーの予混合物を以下のように調製した。20gバッチのTB−Bは、NANOSTRENGTH E40とEPON 828を混合し、この混合物を120℃にてミニ押出成形機で処理することにより調製した。生じた組成物は、エポキシ樹脂中に40重量%のNANOSTRENGTH E40を含有していた。
【0058】
様々なバッチの硬化性樹脂中に分散された表面修飾シリカナノ粒子を以下のように調製した。特に示さない限り、各サンプルにおいて、最終の揮発物除去は145〜150℃で30〜60分間行った。処方中のシリカの重量パーセントは、熱重量分析(TGA)で決定した。
【0059】
NP−A.NALCO 2329シリカ(ロットBP6M0358A、40wt%シリカ固体)1000グラムを、トリメトキシフェニルシラン13.2グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1300グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。生じた16.6wt%のシリカ溶液2450グラムをEPON 825エポキシ樹脂497グラムと混合し、混合物から揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ処方は、44wt%のシリカを含有していた。
【0060】
NP−B.NALCO 2329シリカ(ロットBP6M0358A、40wt%シリカ固体)1600グラムを、トリメトキシフェニルシラン17.9グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2300グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。生じた溶液を室温で粉末になるまで風乾し、次いでSILVERSON高せん断ミキサーを用いてアセトン中に分散した。生じたアセトン溶液(18wt%固体)2386グラムを、EPON 825エポキシ樹脂445グラムと混合し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ処方は、52.2wt%のシリカを含有していた。
【0061】
NP−C.NALCO TX13112シリカ(ロットXC5H0836A1、35wt%シリカ固体)1726グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.7グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2100グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。生じた16.3wt%のシリカ溶液2820グラムを400グラムのEPON 825と混合し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、54wt%のシリカを含有していた。
【0062】
NP−D.NALCO TX13112シリカ(ロットXC5H0836A1及びXC7F0524AOの混合物、32.3wt%シリカ固体)1807グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.4グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2250グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を18wt%固体まで濃縮した。この溶液2970グラムを446グラムのEPON 825に添加し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、53wt%のシリカを含有していた。
【0063】
NP−E.NALCO TX13112シリカ(ロットXC5H0836A1及びXC7F0524AOの混合物、32.3wt%シリカ固体)1807グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.4グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2250グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を20wt%固体まで濃縮した。この溶液2538グラムを440グラムのEPON 825に添加し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、53wt%のシリカを含有していた。
【0064】
NP−F.NALCO TX13112シリカ(XC7F0524AO、29.7wt%シリカ固体)1500グラムを、トリメトキシフェニルシラン7.95グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2500グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を約20wt%固体まで濃縮した。この溶液475グラムを75グラムのEPON 825に添加し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、56wt%のシリカを含有していた。
【0065】
NP−G.NALCO TX13112シリカ(ロットXC5H0836A1及びXC7F0524AOの混合物、32.3wt%シリカ固体)1807グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.4グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2250グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を23.5wt%固体まで濃縮した。この溶液2400グラムを475グラムのEPON 825に添加し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、52wt%のシリカを含有していた。更にNALCO TX13112シリカ溶液を添加し、再度揮発物を取り除いた。最終のシリカ/エポキシ組成物は、55wt%のシリカを含有していた。
【0066】
NP−H.NALCO TX13112シリカ(ロットXC7F0524AO、27wt%シリカ固体)1500グラムを、トリメトキシフェニルシラン7.2グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2200グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を30.9wt%固体まで濃縮した。この溶液約310グラムを63グラムのEPON 825に添加し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、58wt%のシリカを含有していた。
【0067】
NP−I.NALCO 2329シリカ(ロットBP6M0358A、34wt%シリカ固体)919グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.1グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1500グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。生じた11.9wt%のシリカ溶液1800グラムを110グラムのEPON 825と混合し、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、62.5wt%のシリカを含有していた。
【0068】
NP−J.NALCO 2329シリカ(ロットBP6M0358A、41wt%シリカ固体)750グラムを、トリメトキシフェニルシラン9.8グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1200グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。蒸留を利用して、生じた溶液を31wt%固体まで濃縮した。この31wt%のシリカ溶液405グラムを78グラムのEPON 825に入れ、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、60wt%のシリカを含有していた。
【0069】
NP−K.NALCO 2329シリカ(ロットXC3A265A01、40wt%シリカ固体)905グラムを、トリメトキシフェニルシラン6.5グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1800グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。この溶液を室温で粉末になるまで風乾し、次いでSILVERSON高せん断ミキサーを用いてアセトン中に分散した。このアセトン溶液(19.5wt%固体)1470グラムを270グラムのEPON 828に入れ、揮発物を取り除いた。最終除去は、120℃で20分間行った。生じたシリカ/エポキシ組成物は、52.4wt%のシリカを含有していた。
【0070】
NP−L.TX13112シリカ(ロットXC5H0836A2、38wt%シリカ固体)1600グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.9グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール2100グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。次いで、この溶液を室温で粉末を形成するまで風乾した。次いで、この粉末をSILVERSON高せん断ミキサーを用いてアセトン中に分散した。このアセトン溶液(22.7wt%固体)441グラムを、150グラムのHHMPAに入れ、揮発物を取り除いた。最終除去は、100℃で20分間行った。生じたシリカ/HHMPA組成物は、40.1wt%のシリカを含有していた。
【0071】
NP−M.NALCO 2329(ロットXC3A26A01、50wt%シリカ固体)1142グラムを、トリメトキシフェニルシラン10.2グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1700グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。次いで、この溶液を室温で粉末になるまで風乾した。次いで、この粉末をSILVERSON高せん断ミキサーを用いてアセトン中に分散した。このアセトン溶液(21.6wt%固体)168グラムを、50グラムのHHMPAに入れ、揮発物を取り除いた。最終除去は、100℃で15分間行った。生じたシリカ/HHMPA組成物は、40.2wt%のシリカを含有していた。
【0072】
NP−N.NALCO 2329シリカ(ロットBP6M0358A0、40.5wt%シリカ固体)750グラムを、トリメトキシフェニルシラン9.64グラム及び1−メトキシ−2−プロパノール1300グラムと、95℃で20〜22時間反応させた。この溶液を加熱し、溶媒/水を蒸留し、最終30.5wt%の固体とした。この溶液465グラムを120グラムのEPON 825に入れ、揮発物を取り除いた。生じたシリカ/エポキシ組成物は、51.3wt%のシリカを含有していた。
【0073】
以下の各データセットにおいては、構成成分をフラスコ内で混合し、室温で撹拌しながら20〜45分間真空引きを行った。FLACKTEK 150FVZスピードミキサーを用い、脱気/混合工程を完了した。生じた処方を余熱(75℃)した成形型に注ぎ、まず75℃で3〜4時間、次いで120〜125℃で2時間、最後に150〜160℃で2時間硬化した。
【0074】
用語「実施例」は、表面修飾ナノ粒子とゴムナノドメインの両方を含む、本開示の組成物の代表的な非限定例を示すために用いられる。用語「参考サンプル」は、少なくとも1つの表面修飾ナノ粒子又はゴムドメインを含まないサンプルを示すために用いられる。用語「比較例」は、表面修飾ナノ粒子及びゴムドメインの両方を含有するが、ゴムドメインがナノドメインではないサンプルを指す。各データセットの表「A」に記載される組成物データは、添加された各材料の量をグラムで報告する。しかし、様々なロットのナノ粒子は、樹脂又は硬化剤中に分散された表面修飾ナノ粒子を含む。最終組成物中のナノ粒子の最終重量パーセントは、添加された遊離の樹脂、並びに、ナノ粒子/樹脂組成物の一部として含まれる任意の更なる樹脂の両方を示しており、各データセットの表「B」に報告される。
【0075】
データセットA:無水物硬化エポキシ樹脂における表面修飾シリカナノ粒子及びコアシェルゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表4Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表4Bに要約する。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
データセットB:硬化エポキシ樹脂における30wt%の表面修飾シリカナノ粒子及びコアシェルゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表5Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表5Bに要約する。
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
データセットC:硬化エポキシ樹脂における40wt%の表面修飾シリカナノ粒子及び様々な濃度のコアシェルゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表6Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表6Bに要約する。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
データセットD:硬化エポキシ樹脂における表面修飾シリカナノ粒子及びコアシェルゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表7Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表7Bに要約する。
【0085】
【表11】
【0086】
【表12】
【0087】
データセットE:硬化エポキシ樹脂における表面修飾シリカナノ粒子及びコアシェルゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表8Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表8Bに要約する。
【0088】
【表13】
【0089】
【表14】
【0090】
データセットF:硬化エポキシ樹脂における表面修飾シリカナノ粒子及び自己集合性三元ブロックコポリマーゴムナノドメインの混合サンプルの組成物を表9Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表9Bに要約する。
【0091】
【表15】
【0092】
【表16】
【0093】
データセットG:種々の硬化性樹脂システムにおける表面修飾ナノ粒子と混合した際のゴムマイクロドメインに対するゴムナノドメインの影響の比較サンプルの組成物を表10Aに要約する。硬化サンプルの物理的特性を表10B〜10Eに要約する。
【0094】
【表17】
【0095】
(a)ナノ粒子ロットに含まれるEPON 825、更なるEPON 825は追加せず。
【0096】
(b)ナノ粒子ロットに含まれるHHMPA、更なるHHMPAは追加せず。
【0097】
(c)5.8gのCUREZOL 2E4MZも含む。
【0098】
(d)3.4gのCUREZOL 2E4MZも含む。
【0099】
(e)DETDA 80LC
【0100】
【表18】
【0101】
【表19】
【0102】
【表20】
【0103】
いくつかの用途、例えばアンダーフィル接着剤では、熱膨張係数(CTE)が低い材料が有用な場合がある。K
IC及び弾性率の両方において有益な改善がみられたのに加え、本発明の発明者らは、本開示のいくつかの樹脂システムが、ゴムナノドメインと表面修飾ナノ粒子を組み合わせる際に、望ましいCTEの低減をもたらすことも発見した。
【0104】
EPON 828及びEPON 862を85℃で溶解し、1:1w/wの割合で混合し、透明な溶液を得た。秤量し、その処方に加える前に、チオールエポキシ及びBSPDAを85℃で溶解した。33gのDPI、33gのEPON 828、及び33gのEPON 862を混合することにより、DPIの原液を調製した。上記のように、この混合物をDACスピードミキサーを用いて混合した。次いで、配合物を3本ロールミルを用いて粉砕し、凝集したDPIを含まない白色ペーストを得た。
【0105】
撹拌棒、サーモウォッチ、及び凝縮器を備えたフラスコ内の40.7wt%のNALCO 2329水溶液(ロットBP4L0019A1)600グラムに入れることにより、表面修飾ナノ粒子を調製した。室温で撹拌している間、1−メトキシ−2−プロパノール950グラム及びトリメトキシフェニルシラン7.1グラムのプレミックスをゆっくりと溶液に加えた。ゲル化(gellation)又はアグロメレーションは起こらなかった。次いで、混合物を95℃に加熱し、その温度で22時間保持した。生じた表面修飾ナノ粒子を含有する溶液をホイル皿に注ぎ、室温で白色粉末が生じるまで風乾した。
【0106】
参照実施例H1、H2、及びH3、並びに実施例9を、表11に示す相対量に従って調製した。
【0107】
【表21】
【0108】
参照実施例H1及びH2は、ポリプロピレン製カップに樹脂成分を秤量し、DACスピードミキサー600FVZを用いて混合することにより調製した。サンプルは、2500rpmで1分間混合した。参照実施例H1は、基本の樹脂システムに相当する。参照実施例H2は、ゴムナノドメインを含有するが、表面修飾ナノ粒子は含まない。
【0109】
以下のようにサンプルH3を調製した。まず、250グラムの表面修飾ナノ粒子をアセトン780グラム内で高せん断混合し、静置してから、53マイクロメートルのナイロンメッシュでろ過し、アセトン中23%シリカのみの固体を得た。次に、414グラムのこの物質を95.2グラムの参照実施例H1の樹脂システムに入れてよく混合し、ロータリーエバポレーターで蒸発させ、最終的に35℃の真空オーブンに一晩置き、揮発物を除去した。生じた樹脂システムは、参照実施例H1の樹脂システム中に49.4重量%のシリカを含有していた。
【0110】
以下のように実施例9を調製した。まず、250グラムの表面修飾ナノ粒子をアセトン780グラム内で高せん断混合し、静置してから、53マイクロメートルのナイロンメッシュでろ過し、アセトン中23%シリカのみの固体を得た。次に、406グラムのこの物質を93.4グラムの参照実施例H2の樹脂システムに入れてよく混合し、ロータリーエバポレーターで蒸発させ、最終的に35℃の真空オーブンに一晩置き、揮発物を除去した。生じた樹脂システムは、参照実施例H2の樹脂システム中に49.5重量%のシリカを含有していた。
【0111】
H1樹脂システムのサンプル80gを0.6gのDPI/エポキシブレンドと混ぜ、DACスピードミキサーを用いて混合した。同様に、H2樹脂システムのサンプル80gを0.6gのDPI/エポキシブレンドと混ぜ、DACスピードミキサーを用いて混合した。
【0112】
H3樹脂システムのサンプル80gを0.3gのDPI/エポキシブレンドと混ぜ、DACスピードミキサーを用いて混合した。同様に、実施例9の樹脂システムのサンプル80gを0.3gのDPI/エポキシブレンドと混ぜ、DACスピードミキサーを用いて混合した。
【0113】
これら各サンプルを約80℃の真空オーブン内で、製剤中に更なる泡立ちがみられなくなるまで脱気した。機械的特性を検査するサンプルは、三方がゴムのガスケットで分離される成形型をもたらす2枚のガラスプレートの間に樹脂を注ぎ、小クリップで互いを留めることにより調製した。このサンプルをオーブン内120℃で1時間硬化し、150℃で4時間後硬化した。全てのサンプルは透明で、褐色〜琥珀の色相を有していた。
【0114】
各硬化サンプルを評価し、熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、破壊抵抗(K
IC)、及び動的せん断弾性率(G’)を判定した。結果を表12に要約する。
【0115】
【表22】
【0116】
一般に、本開示の硬化性樹脂システムは、接着剤、コーティング(例えばゲルコートを含む)、アンダーフィル組成物、及び複合物用含浸樹脂などの様々な用途で使用することができる。一般に、複合物品を既知の技術で製造でき、ここでは、本開示の硬化性樹脂システムを繊維性マトリックスと組み合わせた(例えば注入した)後に硬化することができる。代表的な複合物品としては、風車の羽根、及びスポーツ用品、例えば、釣り竿、ゴルフクラブのシャフト、自転車などが挙げられる。
【0117】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な修正及び変更が、当業者には自明であろう。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[23]に記載する。
[1]
少なくとも1つの硬化性樹脂と、表面修飾ナノ粒子と、ゴムナノドメインと、を含む、硬化性組成物。
[2]
前記硬化性樹脂がエポキシを含む、項目1に記載の硬化性組成物。
[3]
カチオン性硬化剤、アニオン性硬化剤、付加硬化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される硬化剤を更に含む、項目2に記載の硬化性組成物。
[4]
前記硬化性樹脂がフリーラジカル硬化性樹脂を含む、項目1に記載の硬化性組成物。
[5]
硬化剤を更に含む、項目4に記載の硬化性組成物。
[6]
前記表面修飾ナノ粒子が、無機コアと、該無機コアの表面と関連する少なくとも1つの有機修飾剤と、を含む、項目1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]
前記無機コアがシリカを含む、項目6に記載の硬化性組成物。
[8]
前記少なくとも1つの有機修飾剤が、一価アルコール類、ポリオール類、オルガノシラン類、オルガノチタネート類、フェニルトリメトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、フェネチルトリメトキシシラン、及びN−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、又はこれらの混合物、からなる群から選択される材料由来である、項目6又は7に記載の硬化性組成物。
[9]
前記表面修飾ナノ粒子が、少なくとも50ナノメートルの平均粒径を有する、項目1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10]
前記表面修飾ナノ粒子が、100〜250ナノメートルの平均粒径を有する、項目1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11]
前記ゴムナノドメインが、コア−シェルゴムナノ粒子を含む、項目1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
[12]
前記コア−シェルゴムナノ粒子が、少なくとも50℃のガラス転移温度を有するシェルと、−20℃以下のガラス転移温度を有するコアと、を含む、項目11に記載の硬化性組成物。
[13]
前記シェルが、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、スチレンポリマー、及びスチレンコポリマーからなる群から選択される、項目11又は12に記載の硬化性組成物。
[14]
前記コアが、アクリルゴム及びジエンゴムからなる群から選択される、項目11〜13のいずれかに記載の硬化性組成物。
[15]
前記ゴムナノドメインが、自己集合性ブロックコポリマーを含み、任意に該自己集合性ブロックコポリマーが、三元ブロックコポリマーを含む、項目1〜14のいずれかに記載の硬化性組成物。
[16]
前記ゴムナノドメインが、透過電子顕微鏡で測定されるとき、10ナノメートル〜500ナノメートルの平均寸法を有する、項目1〜15のいずれかに記載の硬化性組成物。
[17]
前記硬化性組成物が、硬化性樹脂、表面修飾ナノ粒子、及びコアシェルゴムナノ粒子の総重量に基づき、20重量%〜50重量%の表面修飾ナノ粒子を含む、項目1〜16のいずれかに記載の硬化性組成物。
[18]
前記硬化性組成物が、硬化性樹脂、表面修飾ナノ粒子、及びゴムナノドメインの総重量に基づき、0.5重量%〜10重量%のゴムナノドメインを含む、項目1〜17のいずれかに記載の硬化性組成物。
[19]
項目1〜18のいずれかに記載の硬化した硬化性組成物を含む、強化樹脂。
[20]
項目19に記載の強化樹脂を含む、物品。
[21]
前記物品が、接着剤、コーティング、アンダーフィル、及びゲルコートからなる群から選択される、項目20に記載の物品。
[22]
前記物品が、繊維マトリックスを含む複合物品である、項目20に記載の物品。
[23]
前記物品が、風力タービン翼、及びスポーツ用品からなる群から選択される、項目22に記載の物品。