(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る車両用操作部構造は、タッチ操作部およびオーディオ操作部を備えた構成において、タッチ操作部用のパームレストと車両の乗員に対する肘掛けとなるアームレストとを一体的に連続した構成として備えるとともに、かかる構成と一体的にオーディオ操作部を設けることで、タッチ操作部の後方にオーディオ操作部を設けた構成を備えるものである。このような構成により、本発明は、運転席の側方におけるスペース効率の向上、および各操作部の操作性、特にブラインド操作性の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用操作部構造1は、車両としての自動車の車室の内部において、ステアリングハンドル2の後方に位置する運転席3の側方(右側方)に設けられている。運転席3の右方には、助手席4が設けられている。本実施形態に係る自動車は、ステアリングハンドル2が左側に設けられた左ハンドルの自動車であり、運転席3の助手席4側(
図1において右側、以下「助手席側」と表記する。)の側方に、車両用操作部構造1が設けられている。
【0021】
車室内において、運転席3および助手席4の前方には、車幅方向(左右方向、
図1における左右方向)に延びるインストルメントパネル5が設けられている。インストルメントパネル5の車幅方向の中央部から、センターコンソール6がインストルメントパネル5に連続するように後方に延設されている。センターコンソール6は、運転席3と助手席4との間において、車両の前後方向(
図1における上下方向)に延びるように設けられている。センターコンソール6に、車両用操作部構造1が設けられている。
【0022】
インストルメントパネル5の車幅方向の中央部には、ディスプレイ7が設けられている。ディスプレイ7は、例えば液晶カラーディスプレイであり、自動車の乗員に対して、オーディオ装置やナビゲーション装置等の車載機器に関する情報や映像等を表示する。オーディオ装置は、音楽や映像を再生する装置であり、CD/DVDプレーヤやAM/FMチューナ等を含む。ナビゲーション装置は、道路地図情報の提供や目的地までの経路案内を行う装置である。また、車室内には、オーディオ装置の再生音やナビゲーション装置のガイドオンを再生するためのスピーカ等、他の車載機器が設けられている。
【0023】
以下、本実施形態に係る車両用操作部構造1について説明する。
図1から
図4に示すように、車両用操作部構造1は、車両の前後方向に延びるセンターコンソール6の上面部に設けられている。車両用操作部構造1は、概略的には、各種操作部等が配置される基準面となる水平面状のベース面10を有する操作部配置部分11と、操作部配置部分11の後側に設けられベース面10に対して隆起した部分をなす隆起部分12とを有する。操作部配置部分11の後部と隆起部分12の前部とは互いにオーバーラップしている。
【0024】
以下、センターコンソール6上に設けられた各種構成のレイアウトを含め、車両用操作部構造1が備える各構成について説明する。車両用操作部構造1は、タッチ操作部としてのタッチパッド14と、タッチパッド14の後方に設けられたレスト面形成部15と、タッチパッド14の後方においてレスト面形成部15の前部と一体的に設けられたオーディオ操作部としてのオーディオスイッチ16とを備える。また、操作部配置部分11には、カップホルダ17と、シフトレバー18とが設けられている。
【0025】
カップホルダ17は、操作部配置部分11の前部に設けられている。カップホルダ17は、横並びに2つ配置されている。カップホルダ17は、ベース面10に対して略円形状に開口する凹部である。
【0026】
シフトレバー18は、自動車が備える変速機の操作等を行うための操作部である。シフトレバー18は、操作部配置部分11の前後中間部の運転席側の部分に設けられている。つまり、シフトレバー18は、運転席側のカップホルダ17aの後方に設けられている。
【0027】
シフトレバー18は、ベース面10から上方に向けてベース面10に対して略垂直状に突出している。シフトレバー18は、段階的に位置が切り換えられるように、前後方向を含む所定の方向に移動操作可能に設けられている。
【0028】
タッチパッド14は、例えば、車室内のインストルメントパネル5に設けられたディスプレイ7に表示された操作画面におけるカーソルの移動等といった画面表示上における操作に用いられる。タッチパッド14は、操作入力として接触を受ける被接触操作面14aを有する。
【0029】
タッチパッド14は、平面視において矩形状の外形を有し、その外形における互いに対向する一対の辺(左右の辺)が略前後方向に沿うように設けられている。タッチパッド14において、被接触操作面14aは、矩形状の外形を有する平面である。タッチパッド14は、全体として、ベース面10と略面一となるように設けられている。
【0030】
タッチパッド14は、操作部配置部分11の前後中間部の助手席側の部分に設けられている。つまり、タッチパッド14は、助手席側のカップホルダ17bの後方に設けられている。また、タッチパッド14は、シフトレバー18の右隣において、ベース面10の前後中間部における車幅方向の助手席側の略半分の部分に設けられている。なお、タッチパッド14においては、被接触操作面14aの下面全域にわたって静電電極経路が設けられており、この静電電極経路は、静電容量制御部に接続されている。このような構成により、静電容量が検出されることで、被接触操作面14aのどの部分が接触を受けているかが検出される。
【0031】
レスト面形成部15は、車両用操作部構造1において操作部配置部分11の後側に設けられた隆起部分12を構成する部分である。レスト面形成部15は、タッチパッド14に対するパームレストと、運転席3および助手席4に対するアームレストとが一体的に構成された部分である。
【0032】
すなわち、レスト面形成部15は、タッチパッド14の後方に設けられ、タッチパッド14の操作用のパームレスト部21、およびパームレスト部21と連続したレスト面15aをなすアームレスト部22を含む。レスト面15aは、レスト面形成部15の上面であり、水平面あるいはわずかに凸状の曲面をなす略水平面である。レスト面形成部15は、センターコンソール6の後部において、センターコンソール6の上面部に被さるように設けられたクッション性を有する被覆状の表層部分である。
【0033】
レスト面形成部15は、その前側については、パームレスト部21をタッチパッド14の後方近傍の位置まで延出させるとともに、後側については、アームレスト部22をセンターコンソール6の後端部近傍まで延出させている。レスト面形成部15において、パームレスト部21およびアームレスト部22は、レスト面15aを形成する部分であり、互いの間に形状的な区分けを有することなく、一体的に連続した形態をなす。レスト面15aのうち、パームレスト部21の部分が、パームレスト面となり、アームレスト部22の部分がアームレスト面となる。つまり、レスト面形成部15は、主にアームレストとして機能する部分の前端部にパームレストが一体的に設けられた構成を備える。
【0034】
レスト面形成部15の平面視の形態について説明する。
図3に示すように、レスト面形成部15は、その後部において、略一定の幅員を有し平面視において前後方向を長手方向とする矩形状に沿う形状をなす一定幅員部15cを有する。レスト面形成部15は、一定幅員部15cに対して前側に連続する部分として、概略的な平面視形状として前側を頂点側とする略三角形状に沿う形状をなす先窄み形状部15dを有する。先窄み形状部15dおよび一定幅員部15cは、前後方向の寸法について、約2:3の割合で設けられている。
【0035】
先窄み形状部15dは、その平面視形状をなす辺部として、略前後方向に沿う助手席側辺部15eと、前後方向に対して傾斜した運転席側斜辺部15fと、略左右方向に沿う前側辺部15gとを有する。助手席側辺部15eは、車両の前後方向と略平行な反運転席側(助手席側)の辺部である。運転席側斜辺部15fは、車両の前後方向に対して車両の後側から前側にかけて運転席側から助手席側に傾斜した運転席側の辺部である。先窄み形状部15dは、助手席側辺部15e、運転席側斜辺部15f、および前側辺部15gにより、平面視において、前側を上底側とする略台形状に沿う形状を有する。
【0036】
先窄み形状部15dの運転席側斜辺部15fは、平面視において、前後方向に対して鋭角である角度θをなす直線S1に沿う(
図3参照)。角度θは、例えば、約20〜40°の範囲内の角度である。図に示す例では、角度θは約30°である。
【0037】
このように、レスト面形成部15は、その前部の平面視形状として、助手席側辺部15eと運転席側斜辺部15fとを含む辺部により形成された先窄み形状を有する。そして、レスト面形成部15においては、平面視で先窄み形状を有する先窄み形状部15dが、主にパームレスト部21として機能し、先窄み形状部15dの後側の一定幅員部15cが、主にアームレスト部22として機能する。
【0038】
以上のような平面視の形態を有するレスト面形成部15は、先窄み形状部15dの略全体を、操作部配置部分11の後部に対してオーバーラップさせた態様で設けられている。つまり、平面視において、レスト面形成部15は、先窄み形状部15dの略全体を、操作部配置部分11の後部に対して後側から食い込ませた態様で設けられている。
【0039】
レスト面形成部15の操作部配置部分11に対してオーバーラップする部分は、ベース面10に対して上方に間隔を隔てて平行状に設けられている。すなわち、
図4に示すように、レスト面形成部15の先窄み形状部15dは、ベース面10に対して上方に所定の間隔D1を隔てるように前方に延出している。
【0040】
また、レスト面形成部15の先窄み形状部15dがオーバーラップする操作部配置部分11の後部においては、先窄み形状部15dの運転席側に、ベース面10の余地部10aが存在する。余地部10aは、ベース面10において運転席側斜辺部15fによる先窄み形状部15dの先窄み形状によってレスト面形成部15に覆われることなく露出した態様となった部分である。余地部10aには、例えば、車載機器に対する外部接続機器が接続される出入力端子等が設けられる。
【0041】
オーディオスイッチ16は、車両が具備するオーディオ装置を操作するための操作部である。オーディオスイッチ16は、車両の前後方向についてタッチパッド14とレスト面形成部15のアームレスト部22との間に設けられている。
【0042】
オーディオスイッチ16は、先窄み形状部15dと同様に略三角形状に沿う平面視形状(板面形状)を有する厚板状の外形のケーシング23を有する。オーディオスイッチ16は、ケーシング23の板面を水平方向とする向きで、上述のとおり間隔D1を隔てたベース面10とレスト面形成部15のパームレスト部21(先窄み形状部15d)との間に挟み込まれた態様で設けられている。つまり、オーディオスイッチ16は、ベース面10とレスト面形成部15のパームレスト部21との間に介装され、ベース面10上において、表層部分をなすパームレスト部21に対して下段の層部分をなすように設けられている。
【0043】
オーディオスイッチ16は、そのケーシング23がベース面10上に固定された状態で設けられている。また、オーディオスイッチ16は、そのケーシング23上にレスト面形成部15のパームレスト部21を載置固定させた状態で設けられている。オーディオスイッチ16は、ケーシング23の大部分をレスト面形成部15のパームレスト部21と重ねるように設けられている。このように、オーディオスイッチ16は、パームレスト部21とともに一体的な積層構造をなすように設けられている。
【0044】
オーディオスイッチ16は、ケーシング23の略三角形状の平面視形状を、レスト面形成部15の先窄み形状部15dの略三角形状の平面視形状に沿わせるように設けられている。また、オーディオスイッチ16は、ケーシング23の前端部を、先窄み形状部15dの前端部、つまりパームレスト部21の前端部よりも前方に突出させている。したがって、ベース面10上においては、オーディオスイッチ16の前端部とパームレスト部21の前端部とにより、2段の階段状の部分が構成されている。
【0045】
図5に示すように、オーディオスイッチ16のケーシング23は、その平面視形状をなす側面として、略前後方向に沿う助手席側側面23aと、前後方向に対して傾斜した運転席側側面23bと、略左右方向に沿う前側側面23cとを有する。平面視において、助手席側側面23aの後部は、助手席側辺部15eに重なり、運転席側側面23bの後部は、運転席側斜辺部15fに重なる。また、前側側面23cは、前側辺部15gよりも前方に位置する。つまり、前側側面23cは、車両の前後方向についてタッチパッド14とパームレスト部21との間に位置する。このように、ケーシング23は、先窄み形状部15dと同様に、助手席側側面23a、運転席側側面23b、および前側側面23cにより、平面視において、前側を上底側とする略台形状に沿う形状を有する。
【0046】
オーディオスイッチ16は、ケーシング23の側面に、各種スイッチ操作部を有する。オーディオスイッチ16は、前側側面23cに設けられた前部操作部と、パームレスト部21に対して運転席側に位置する運転席側側面23bに設けられた側部操作部とを有する。
【0047】
本実施形態において、オーディオスイッチ16は、前側側面23cに設けられた前部操作部として、横方向に連設された3つの操作部を有する。かかる3つの操作部は、
図5に示すように、オーディオスイッチ16の前端部において左右両側に設けられたプッシュボタン31,32と、左右のプッシュボタン31,32の間に設けられたホイールボタン33である。また、オーディオスイッチ16は、運転席側側面23bに設けられた側部操作部として、サムホイール34を有する。また、助手席側側面23aの前端部には、プッシュボタン35が設けられており、運転席側側面23bの前端部には、プッシュボタン36が設けられている。
【0048】
プッシュボタン31,32は、それぞれ押圧操作を受けるプッシュ操作部である。前側側面23cにおいて、ホイールボタン33の運転席側に、プッシュボタン31が設けられており、ホイールボタン33の助手席側に、プッシュボタン32が設けられている。
【0049】
ホイールボタン33は、前側側面23cの長手方向(略左右方向)の中央部に設けられている。ホイールボタン33は、平面視において前側側面23cが沿う方向を回転軸方向とする筒状の回転操作部である。ホイールボタン33は、中心軸を回転軸方向としてケーシング23に回転可能に支持された筒状の操作部本体33aを有する。操作部本体33aは、その径方向の略半分を前側側面23cから突出させた状態、つまり前側側面23cから略半円筒状に突出した状態で支持されている。操作部本体33aの外周面には、操作部本体33aの回転軸方向に沿う溝が周方向に複数設けられている。
【0050】
このように、オーディオスイッチ16が前側側面23cにおいて有する3つの操作部のうち、真ん中に位置する操作部であるホイールボタン33は、左右の操作部であるプッシュボタン31,32に対して外形や入力操作が異なる異種の操作部である。プッシュボタン31,32は、入力操作として押圧操作を受ける操作部であり、ホイールボタン33は、入力操作として回転操作を受ける操作部である。なお、ホイールボタン33は、入力操作として回転操作に加えて押圧操作を受ける操作部であってもよい。つまり、ホイールボタン33は、その左右のプッシュボタン31,32に対して異なる外形を有したり異なる入力操作を受けたりする異種の操作部であればよい。
【0051】
また、サムホイール34は、運転席側側面23bにおいて、中間部の前側寄りの位置に設けられている。サムホイール34は、平面視において運転席側側面23bが沿う方向を回転軸方向とする筒状の回転操作部である。サムホイール34は、中心軸を回転軸方向としてケーシング23に回転可能に支持された筒状の操作部本体34aを有する。操作部本体34aは、その径方向の略半分を運転席側側面23bから突出させた状態、つまり運転席側側面23bから略半円筒状に突出した状態で支持されている。操作部本体34aの外周面には、操作部本体34aの回転軸方向に沿う溝が周方向に複数設けられている。
【0052】
このように、サムホイール34は、ホイールボタン33と同様に、入力操作として回転操作を受ける操作部である。なお、サムホイール34は、入力操作として回転操作に加えて押圧操作を受ける操作部であってもよい。
【0053】
助手席側側面23aの前端部に設けられたプッシュボタン35、および運転席側側面23bの前端部に設けられたプッシュボタン36は、プッシュボタン31,32と同様に押圧操作を受けるプッシュ操作部である。プッシュボタン36は、サムホイール34の前方に位置する。
【0054】
以上のようにオーディオスイッチ16が備える各種操作部には、それぞれオーディオ装置に関する各種機能が割り付けられる。オーディオ装置に関する各種機能としては、例えば、再生音の音量の調整機能、再生音の再生・停止機能、シークトラック機能、チューナ合わせ機能、CD/DVDプレーヤやAM/FMチューナ等の各種メディアの切替え機能等がある。
【0055】
また、ケーシング23の前側側面23cの下方におけるベース面10の部位には、前側側面23cの長手方向に沿って長穴状の凹陥部10bが設けられている。凹陥部10bは、例えばパームレスト部21上に掌を載せた状態の手の指によりホイールボタン33やプッシュボタン31,32が操作される際、爪がベース面10に接触することを避けるための部分である。したがって、凹陥部10bの形状・寸法や深さは、ホイールボタン33やプッシュボタン31,32について良好な操作性が得られるように、操作者の爪がある程度の長爪であっても、ホイールボタン33等を操作する指の爪がベース面10に触れることが回避されるように設計される。
【0056】
以上のような構成を備えた本実施形態の車両用操作部構造1においては、ベース面10に対して略面一に設けられたタッチパッド14の後方にパームレスト一体型のオーディオスイッチ16が設けられ、オーディオスイッチ16に対してレスト面形成部15のパームレスト部21が階段状に積層された態様で設けられている。このため、車両用操作部構造1は、前側から順にタッチパッド14、オーディオスイッチ16、およびレスト面形成部15(パームレスト部21)が前後に直列的に配設された構成を備える。このような構成において、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の誤操作を防止して良好な操作性を得る観点から、以下に示すような各部の寸法が設定される。
【0057】
本実施形態に係る車両用操作部構造1において着目される寸法としては、まず、
図6に示すように、前後方向(水平方向)について、タッチパッド14の後端位置と、レスト面形成部15(パームレスト部21)の前端位置との間の寸法L1がある。同じく前後方向について、タッチパッド14の後端位置と、オーディオスイッチ16の前端位置、つまりプッシュボタン31,32あるいはホイールボタン33の前端位置との間の寸法L2がある。
【0058】
また、同じく車両用操作部構造1において着目される寸法としては、
図6に示すように、上下方向(高さ方向)について、ベース面10とレスト面形成部15の前側辺部15gの上端位置との間の寸法H1がある。同じく上下方向について、ベース面10とオーディオスイッチ16のケーシング23の上面23dの位置との間の寸法H2がある。なお、
図6においてはシフトレバー18の図示を省略している。
【0059】
以上のような各部の寸法に関し、まず、タッチパッド14とレスト面形成部15との間の前後方向の寸法L1が大きいと、レスト面形成部15のパームレスト部21としての機能を確保することが困難となる。一方で、寸法L1が小さいと、タッチパッド14とオーディオスイッチ16との前後関係から、オーディオスイッチ16の前端部に設けられたホイールボタン33等の前部操作部の操作性の低下が懸念される。
【0060】
また、タッチパッド14とオーディオスイッチ16との間の前後方向の寸法L2が大きいと、マルチメディア系の操作部としてタッチパッド14に対して近接した位置に配置することが望まれるオーディオスイッチ16が、タッチパッド14から遠ざかることになる。一方で、寸法L2が小さいと、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16のいずれか一方を操作しようとする指がいずれか他方の操作部に干渉するといった事態が誤操作を招く原因として生じることから、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の互いに独立した良好な操作性を得ることが困難となる。
【0061】
また、ベース面10とパームレスト部21との間の上下方向の寸法H1が大きいと、レスト面15aからタッチパッド14の被接触操作面14aやオーディオスイッチ16のホイールボタン33等の前部操作部までの距離が長くなり、各操作部について良好な操作性が得られなくなる。一方、寸法H1が小さいと、レスト面形成部15についてはパームレスト部21としてのクッション性を得ることが困難となり、また、オーディオスイッチ16については、ホイールボタン33等を操作するためのスペースの確保が困難となる。
【0062】
また、ベース面10とオーディオスイッチ16との間の上下方向の寸法H2が大きいと、パームレスト部21の厚さを確保する必要性から、寸法H1の場合と同様、レスト面15aから被接触操作面14aやホイールボタン33等までの距離が長くなり、各操作部について良好な操作性が得られなくなる。一方、寸法H2が小さいと、寸法H1の場合と同様、オーディオスイッチ16においてホイールボタン33等を操作するためのスペースの確保が困難となる。
【0063】
以上のように、タッチパッド14、オーディオスイッチ16、およびパームレスト部21が直列的に配置された構成においては、上述のような各部の寸法に着目することにより、誤操作への配慮がなされて効果的に誤操作を防止することができるとともに、良好な操作性を得ることができる。
【0064】
また、オーディオスイッチ16が運転席側側面23bにおいて備えるサムホイール34は、操作方向についてのカスタマイズ機能が付与された操作部である。例えば、
図5に示すように、左ハンドルの自動車においては、サムホイール34は、パームレスト部21に掌を載せた運転者の右手25の親指25aにより操作される。そして、ケーシング23の運転席側側面23bにおいて回転軸方向を水平方向に沿わせた状態で設けられたサムホイール34の回転操作としては、上側への回転操作および下側への回転操作が行われる。
【0065】
このようなサムホイール34の上下の各回転操作方向について、各方向の回転操作に対応する機能がユーザにより任意に設定可能とされる。具体的には、
図7(a)に示すように、例えば、サムホイール34においては、上側への回転方向A1が、オーディオ装置の音量を上げる機能やチューナの周波数を上げる機能等の各種数値を上げる「UP」の回転方向として用いられる。この場合、下側への回転方向A2が、オーディオ装置の音量を下げる機能やチューナの周波数を下げる機能等の各種数値を下げる「DOWN」の回転方向として用いられる。
【0066】
こうしたサムホイール34の回転操作方向と各方向に対応する機能との関係は、サムホイール34の配置位置や回転軸方向との関係等から、ユーザが回転操作部に対して有する感覚・イメージに合致せずに違和感を与える場合がある。そこで、サムホイール34は、その回転操作方向に対応する機能がカスタマイズできるように構成されている。
【0067】
具体的には、サムホイール34の回転操作方向と各方向に対応する機能との対応関係について、
図7(a)に示すような対応関係と、これとは反対の対応関係とが、ユーザにより選択できるように構成されている。後者の対応関係を有するサムホイール34においては、
図7(b)に示すように、上側への回転方向A1が、オーディオ装置の音量等の各種数値を下げる「DOWN」の回転方向として用いられ、下側への回転方向A2が、オーディオ装置の音量等の各種数値を上げる「UP」の回転方向として用いられる。こうしたサムホイール34の操作方向と対応する機能との対応関係の選択・切替えは、例えば、ディスプレイ7の画面上における設定や、サムホイール34の長押し操作等のサムホイール34自体の操作等により行われる。
【0068】
以上のように、サムホイール34について回転操作方向についてのカスタマイズが可能な構成によれば、サムホイール34の回転操作方向と各方向に対応する機能との関係を、例えばユーザの右利き・左利きの違いや車両の左ハンドル・右ハンドルの違い等によって異なるユーザの操作感覚に合致させることが可能となる。これにより、ユーザの感覚・イメージに対する違和感を無くすことができるので、操作負担を軽減させることができ、ブラインド操作等における操作性を向上することができる。なお、このような操作部のカスタマイズ機能は、サムホイール34と同様にホイール型の操作部であるホイールボタン33においても適用可能である。
【0069】
続いて、レスト面形成部15の構造について、
図8を用いて説明する。
図8に示すように、レスト面形成部15は、レスト面15aを形成し柔軟性を有する表皮部41と、この表皮部41に覆われクッション性を有する部材からなる内層部42とを有する。
【0070】
表皮部41は、人工皮革や天然の布地を基材とする合成皮革等の人工素材、あるいは天然皮革等の天然素材により構成された皮シート部分である。表皮部41は、レスト面形成部15の表面部の全体を被覆するように設けられており、レスト面形成部15の表層部分を構成する。表皮部41の表面によりレスト面15aが形成される。
【0071】
内層部42は、例えばポリウレタン等の発泡樹脂材料により成形されたウレタンフォームや、スポンジや、ポリエチレン繊維や、ラテックス等のクッション性を有する部材からなるクッション層である。内層部42は、その表面部分の全体を表皮部41に覆われることで、レスト面形成部15の内層部分を構成する。内層部42は、表皮部41の変形に追従して変形する。
【0072】
このように表皮部41および内層部42を有するレスト面形成部15において、内層部42の一部として、パームレスト部21に載せられた操作者の掌の位置を定めるための部分である硬質部43が設けられている。硬質部43は、内層部42の他の部分に対して相対的に硬い部分である。本実施形態では、
図8に示すように、硬質部43として、主にタッチパッド14の操作に適した掌の位置を定めるための前硬質部43Aと、主にオーディオスイッチ16の操作に適した掌の位置を定めるための後硬質部43Bとが設けられている。
【0073】
このようにパームレスト部21の内層部42に前後2箇所の硬質部43を有する構成においては、内層部42を構成する部分として、硬質部43と、硬質部43に対する他の部分であって相対的にやわらかい軟質部44とが存在する。つまり、内層部42においては、その略全体をなす軟質部44に対して相対的に硬い材質からなる部分が硬質部43としてパームレスト部21において部分的に2箇所に設けられている。各硬質部43は、例えば、平面視で円状あるいは楕円状となる領域に設けられたり、パームレスト部21を横切るように左右方向に帯状の態様で設けられたりする。
【0074】
前硬質部43Aは、内層部42において、タッチパッド14の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分の前側に設けられる。つまり、軟質部44のうち前硬質部43Aの後側の軟質部44Aが、タッチパッド14の操作に際して操作者の手の掌が載る部分となり、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により表皮部41の変形をともなって圧縮変形して凹む部位となる(
図9(a)参照)。
【0075】
また、後硬質部43Bは、内層部42において、オーディオスイッチ16の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分の前側に設けられる。つまり、軟質部44のうち後硬質部43Bの後側の軟質部44Bが、オーディオスイッチ16の操作に際して操作者の手の掌が載る部分となり、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により表皮部41の変形をともなって圧縮変形して凹む部位となる(
図9(b)参照)。
【0076】
硬質部43および軟質部44の素材に関しては、例えば、硬質部43の素材として硬質ウレタンフォームが採用され、軟質部44の素材として軟質ウレタンフォームあるいは半硬質ウレタンフォームが採用される。ここで、半硬質ウレタンフォームは、軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームの中間的な素材である。また、他の例としては、硬質部43の素材として硬質のスポンジが採用され、軟質部44の素材として軟質のスポンジが採用される。また、他の例としては、硬質部43の素材として、ラテックスを中心としたいわゆる高反発クッション素材が採用され、軟質部44の素材として、ウレタンフォームを中心としたいわゆる低反発クッション素材が採用される。
【0077】
なお、本実施形態では、パームレスト部21において、タッチパッド14操作用の前硬質部43Aとオーディオスイッチ16操作用の後硬質部43Bとの2箇所の硬質部43が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の共通の操作位置としての掌の位置が定まる構成においては、硬質部43は1箇所であってもよい。
【0078】
以上のような構成を備えた本実施形態の車両用操作部構造1によれば、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16を備えた構成において、スペース効率を向上することができるとともに、ブラインド操作性を含む各操作部の操作性を向上することができる。
【0079】
すなわち、本実施形態の車両用操作部構造1によれば、タッチパッド14に対してその後方にパームレスト部21が設けられた構成において、タッチパッド14の近傍かつタッチパッド14の後方にオーディオスイッチ16を配置することが可能となる。これにより、マルチメディア系の操作部として互いに関連した操作が行われることが多いタッチパッド14およびオーディオスイッチ16のセンターコンソール6上における配置面でのグルーピングを行うことができ、これらの操作部について良好な操作性を得ることができる。
【0080】
特に、車両用操作部構造1においては、オーディオスイッチ16が、レスト面形成部15においてアームレスト部22と一体の部分であるパームレスト部21を上層部分とした場合に下層部分をなすように、つまりパームレスト部21とともに一体的な積層構造をなすように設けられている。これにより、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16について良好な操作性を確保しながら、可及的にタッチパッド14の近傍にオーディオスイッチ16を配置することが可能となる。したがって、パームレスト部21に置かれた手を移動させることなく、あるいはわずかに移動させることにより、手を置き変える動作なしでタッチパッド14およびオーディオスイッチ16の各操作部を操作することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態の車両用操作部構造1によれば、パームレスト部21をタッチパッド14およびオーディオスイッチ16のパームレストとして共用することができるので、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の各操作部に対して操作者の手の位置が定まり、両操作部のブラインド操作性を向上することができる。これにより、自動車の運転者の負担を軽減することができ、高い安全性を確保することが可能となる。
【0082】
また、タッチパッド14の後方に設けられたオーディオスイッチ16およびパームレスト部21は、互いの大部分が上下に重なった状態で設けられていることから、センターコンソール6上における操作部の配置スペースにおいてスペース効率の向上を図ることができる。これにより、例えば車両の車幅との関係でセンターコンソール6の幅が比較的狭い場合であっても、センターコンソール6に設けられるカップホルダ17やシフトレバー18等の他の部分との干渉を避けつつ効率的にスペースを利用しながら、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16を配置することが可能となる。また、スペース効率の向上を図ることができることから、各操作部を運転者の自然の肘の位置での操作が可能な位置に容易に設けることができるので、操作性の向上を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態の車両用操作部構造1においては、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16が、パームレスト部21を含めてセンターコンソール6上の助手席側において前後方向に配置されしかも略左右対称に構成されている。このような構成によれば、助手席4の乗員にとっても各操作部に対する良好なアクセス性が得られることから、運転席3の乗員および助手席4の乗員のそれぞれにとって良好な操作性をバランス良く得ることができる。
【0084】
また、本実施形態の車両用操作部構造1においては、オーディオスイッチ16は、前後方向についてタッチパッド14とパームレスト部21との間に位置するケーシング23の前側側面23cに設けられた前部操作部として、左右のプッシュボタン31,32およびホイールボタン33を有し、運転席側側面23bに設けられた側部操作部として、サムホイール34およびプッシュボタン36を有し、しかも助手席側側面23aに設けられた操作部として、プッシュボタン35を有する。このような構成によれば、パームレスト部21上に掌を載せた姿勢での手の指の動きを利用しながら、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16がそれぞれ有する各種操作部を効率的に操作することが可能となる。
【0085】
具体的には、例えば
図5に示すように、パームレスト部21上に掌を載せた右手25の人差し指25bによりタッチパッド14の被接触操作面14aの操作が行われ、親指25aによりサムホイール34の操作が行われ、人差し指25bおよび中指25cにより左右のプッシュボタン31,32の操作が行われる。また、中指25cによりプッシュボタン35の操作が行われ、親指25aによりプッシュボタン36の操作が行われる。このように、マルチメディア系の操作部の様々な機能について良好なブラインド操作性を得ることができる。
【0086】
また、本実施形態の車両用操作部構造1においては、レスト面形成部15は、その前部の平面視形状として、助手席側辺部15eおよび運転席側斜辺部15fを含む辺部により形成された先窄み形状を有する。このような構成によれば、センターコンソール6上においてベース面10に対する隆起部分であるレスト面形成部15が運転席側の部位に張り出すことを回避することができ、センターコンソール6の後部上面の運転席側においてベース面10としてフラットな部分のスペースを確保することが可能となる。これにより、運転席3に着座している運転者によるセンターコンソール6上の操作部の操作やステアリングハンドル2の操作時等において、右腕の肘がレスト面形成部15に接触する等、腕の動作がレスト面形成部15に干渉することを回避することができる。結果として、ブラインド操作性を含む各操作部の操作性を効果的に向上することができる。
【0087】
また、レスト面形成部15の先端部を助手席側辺部15eおよび運転席側斜辺部15fによって先窄み形状とすることにより、運転席側斜辺部15fにオーディオスイッチ16の運転席側側面23bを沿わせ、その運転席側側面23bにサムホイール34を配置することができる。これにより、センターコンソール6上における運転席側から離れた位置かつタッチパッド14の近傍にサムホイール34を設けることができるので、センターコンソール6上のスペースを有効に活用しながら、運転者による自然な姿勢を維持しながらの良好な操作性を得ることができる。
【0088】
また、本実施形態の車両用操作部構造1においては、レスト面形成部15は、皮シート等からなる表皮部41と、表皮部41に覆われたクッション部材からなる内層部42とを有し、内層部42におけるパームレスト部21を構成する部分に、相対的に硬い部分である硬質部43が設けられている。このような構成によれば、レスト面形成部15の硬さの違いによる感触の違いにより、パームレスト部21における操作者の手の置き位置をガイドすることができる。
【0089】
図9(a)に示すように、タッチパッド14の操作に際しては、前硬質部43Aが掌の位置決め用の部分として用いられる。具体的には、パームレスト部21上に置かれた操作者の右手25の掌が前硬質部43Aの後側に位置すると、前硬質部43Aの後側の軟質部44Aの部分は、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により、表皮部41の変形をともなって凹むことになる(凹み44x参照)。
【0090】
同様にして、
図9(b)に示すように、オーディオスイッチ16の操作に際しては、後硬質部43Bが掌の位置決め用の部分として用いられる。具体的には、パームレスト部21上に置かれた操作者の右手25の掌が後硬質部43Bの後側に位置すると、後硬質部43Bの後側の軟質部44Bの部分は、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により、表皮部41の変形をともなって凹むことになる(凹み44y参照)。
【0091】
したがって、例えば、掌でレスト面15aをある程度押圧しながら手をレスト面15a上で前後方向に移動させることで、手の感触により硬質部43(43A,43B)の手前側の部位に掌の位置を合わせることができる。つまり、軟質部44に対して相対的に硬い硬質部43の異物感により、各硬質部43それぞれの手前側の位置で掌の位置が定まることになる。これにより、手元を直視することなく、レスト面形成部15上において掌の位置決めを行うことができるので、良好なブラインド操作性を得ることができる。
【0092】
また、レスト面形成部15の内層部42に硬質部43を設ける構成によれば、パームレスト部21における掌の位置決めのための部分を、レスト面形成部15の外観に影響を与えることなく設けることができる。これにより、レスト面形成部15のデザイン性を確保しながら、ブラインド操作性の向上を図ることができる。
【0093】
また、本実施形態の車両用操作部構造1においては、オーディオスイッチ16の前端部に設けられた3つの操作部のうち、真ん中に位置するホイールボタン33は、左右のプッシュボタン31,32に対して外形や入力操作が異なる異種の操作部である。このような構成によれば、操作部を直視することなく、操作者の手の感覚で3つの操作部を判別することがで、また、3つの操作部のセンターポジションを把握することができる。これにより、ブラインド操作性の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、ホイールボタン33は、左右両側のプッシュボタン31,32に対して異種の操作部であるが、ホイールボタン33は、少なくとも左右のいずれか一方の操作部に対して異種の操作部であればよい。
【0094】
以下、本実施形態に係る車両用操作部構造1の変形例について説明する。以下に説明する本実施形態に係る車両用操作部構造1の各変形例においては、上述した実施形態と共通の構成については同一の符号を用いて説明を省略する。
【0095】
(変形例1)
本実施形態に係る車両用操作部構造1の変形例1について、
図10から
図12を用いて説明する。変形例1は、レスト面形成部15の構造についての変形例である。
【0096】
図10に示すように、変形例1のレスト面形成部15Xは、上述したレスト面形成部15と同様に表皮部41と内層部42とを有する。そして、変形例1のレスト面形成部15Xにおいては、内層部42は、少なくともパームレスト部21を構成する部分に凹凸形状部45を有する。
【0097】
凹凸形状部45は、内層部42の表皮部41側つまり上側の部分に設けられている。したがって、内層部42は、凹凸形状部45側を表皮部41の裏面41aに対する接触側とする。凹凸形状部45は、上側に突出するように設けられた多数の山型形状の突起部46により形成されている。突起部46は、車両の前後方向および左右方向に連続的に配列されている。つまり、凹凸形状部45は、パームレスト部21において内層部42の表面側の部分の全体にわたって凹凸を形成するように設けられている。なお、凹凸形状部45は、内層部42の全体にわたって(アームレスト部22にも)設けられていてもよい。
【0098】
このように内層部42に設けられた凹凸形状部45は、パームレスト部21に載せられた操作者の掌の位置を定めるための部位として、凹凸の高さが他の部分に対して異なる部位であるガイド用凹凸部47を含む。本実施形態では、
図10に示すように、ガイド用凹凸部47は、突起部46の高さが他の部分の突起部46に対して高い突起部46Aにより形成されている。また、本実施形態では、ガイド用凹凸部47として、主にタッチパッド14の操作に適した掌の位置を定めるための前ガイド用凹凸部47Aと、主にオーディオスイッチ16の操作に適した掌の位置を定めるための後ガイド用凹凸部47Bとが設けられている。
【0099】
凹凸形状部45のガイド用凹凸部47以外の部分における突起部46は、自然状態のレスト面形成部15Xにおいて表皮部41の裏面41aとの間に間隔を隔てるような高さを有する。これに対し、ガイド用凹凸部47を構成する突起部46Aは、自然状態のレスト面形成部15Xにおいて表皮部41の裏面41aに接触するような高さを有する。
【0100】
このように内層部42においてガイド用凹凸部47を含む凹凸形状部45を有する構成においては、内層部42を構成する部分として、ガイド用凹凸部47と、凹凸形状部45のガイド用凹凸部47に対する他の部分であって表皮部41側からの荷重によって相対的に変形しやすい部分である通常凹凸部49とが存在する。つまり、内層部42においては、通常凹凸部49に対して相対的に変形しにくい部分がガイド用凹凸部47としてパームレスト部21において部分的に2箇所に設けられている。各ガイド用凹凸部47は、例えば、平面視で円状あるいは楕円状となる領域に設けられたり、パームレスト部21を横切るように左右方向に帯状の態様で設けられたりする。
【0101】
なお、通常凹凸部49における各突起部46の高さは、例えば、各突起部46の頂点が、表皮部41の面形状にならって表皮部41の裏面41aに対して所定の寸法の間隔を隔てるような高さに設定される。この場合、通常凹凸部49の複数の突起部46は、それぞれの頂点を、表皮部41の裏面41aに平行な仮想面41bに沿わせるように設けられる。そして、通常凹凸部49の上方には、通常凹凸部49と表皮部41との間に、表皮部41の面形状に沿う層状の空間48が形成されることになる。
【0102】
前ガイド用凹凸部47Aは、内層部42において、タッチパッド14の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分の前側に設けられる。つまり、通常凹凸部49のうち前ガイド用凹凸部47Aの後側の通常凹凸部49Aが、タッチパッド14の操作に際して例えば操作者の右手25の掌が載る部分となり、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により表皮部41の変形をともなって圧縮変形して凹む部位となる(
図11(a)参照)。
【0103】
また、後ガイド用凹凸部47Bは、内層部42において、オーディオスイッチ16の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分の前側に設けられる。つまり、通常凹凸部49のうち後ガイド用凹凸部47Bの後側の通常凹凸部49Bが、オーディオスイッチ16の操作に際して例えば操作者の右手25の掌が載る部分となり、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により表皮部41の変形をともなって圧縮変形して凹む部位となる(
図11(b)参照)。
【0104】
なお、本実施形態では、パームレスト部21において、タッチパッド14操作用の前ガイド用凹凸部47Aとオーディオスイッチ16操作用の後ガイド用凹凸部47Bとの2箇所のガイド用凹凸部47が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の共通の操作位置としての掌の位置が定まる構成においては、ガイド用凹凸部47は1箇所であってもよい。
【0105】
このような変形例1の構成によれば、レスト面形成部15Xの変形のしやすさの違いによる感触の違いにより、パームレスト部21における操作者の手の置き位置をガイドすることができる。
【0106】
図11(a)に示すように、タッチパッド14の操作に際しては、前ガイド用凹凸部47Aが掌の位置決め用の部分として用いられる。具体的には、パームレスト部21上に置かれた操作者の右手25の掌が前ガイド用凹凸部47Aの後側に位置すると、前ガイド用凹凸部47Aの後側の通常凹凸部49Aの部分は、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により、表皮部41の変形をともなって凹むことになる(凹み49x参照)。
【0107】
同様にして、
図11(b)に示すように、オーディオスイッチ16の操作に際しては、後ガイド用凹凸部47Bが掌の位置決め用の部分として用いられる。具体的には、パームレスト部21上に置かれた操作者の右手25の掌が後ガイド用凹凸部47Bの後側に位置すると、後ガイド用凹凸部47Bの後側の通常凹凸部49Bの部分は、手の重さや手によるレスト面15aの押圧により、表皮部41の変形をともなって凹むことになる(凹み49y参照)。
【0108】
したがって、例えば、掌でレスト面15aをある程度押圧しながら手をレスト面15a上で前後方向に移動させることで、手の感触によりガイド用凹凸部47(47A,47B)の手前側の部位に掌の位置を合わせることができる。つまり、通常凹凸部49に対して相対的に変形しにくいガイド用凹凸部47の異物感により、各ガイド用凹凸部47それぞれの手前側の位置で掌の位置が定まることになる。これにより、手元を直視することなく、レスト面形成部15X上において掌の位置決めを行うことができるので、良好なブラインド操作性を得ることができる。
【0109】
また、レスト面形成部15Xの内層部42にガイド用凹凸部47を有する凹凸形状部45を設ける構成によれば、パームレスト部21における掌の位置決めのための部分を、レスト面形成部15Xの外観に影響を与えることなく設けることができる。これにより、レスト面形成部15Xのデザイン性を確保しながら、ブラインド操作性の向上を図ることができる。
【0110】
なお、
図10に示す変形例1では、凹凸形状部45のガイド用凹凸部47が、他の部分に対して凹凸の高さを異ならせる部位であるが、ガイド用凹凸部47としては、凹凸の高さおよび凹凸のピッチの少なくともいずれかが他の部分に対して異なる部位であればよい。
【0111】
したがって、凹凸形状部45のガイド用凹凸部47としては、例えば、
図12(a)に示すように、凹凸のピッチが他の部分に対して異なる部位であってもよい。
【0112】
図12(a)に示す例では、ガイド用凹凸部47を構成する複数の突起部46Bは、前後方向および左右方向の少なくともいずれかの方向についての配置のピッチが凹凸形状部45の他の部分における突起部46の配置のピッチに対して小さくなるように設けられている。つまり、凹凸形状部45のガイド用凹凸部47以外の部分である通常凹凸部49を、突起部46が相対的に疎に設けられている部分とした場合、ガイド用凹凸部47は、突起部46が相対的に密に設けられている部分となる。なお、この例では、通常凹凸部49の各突起部46は、自然状態のレスト面形成部15Xにおいて表皮部41の裏面41aに接触するような高さを有する。
【0113】
また、凹凸形状部45のガイド用凹凸部47としては、例えば、
図12(b)に示すように、凹凸の高さおよび凹凸のピッチの両方が他の部分に対して異なる部位であってもよい。
【0114】
図12(b)に示す例では、ガイド用凹凸部47を構成する複数の突起部46Cは、
図12(a)に示す突起部46Bと同様に、前後方向および左右方向の少なくともいずれかの方向についての配置のピッチが凹凸形状部45の通常凹凸部49における突起部46の配置のピッチに対して小さくなるように設けられている。
【0115】
また、
図12(b)に示す例では、ガイド用凹凸部47を構成する複数の突起部46Cは、
図10に示す突起部46Aと同様に、自然状態のレスト面形成部15Xにおいて表皮部41の裏面41aに接触するような高さを有し、通常凹凸部49の突起部46は、自然状態のレスト面形成部15Xにおいて表皮部41の裏面41aに対して間隔を隔てるような高さを有する。したがって、通常凹凸部49の複数の突起部46は、それぞれの頂点を表皮部41の裏面41aに平行な仮想面41bに沿わせるように設けられ、通常凹凸部49の上方には、表皮部41の面形状に沿う層状の空間48が形成されている。
【0116】
以上のとおり
図12(a)、(b)に示すような構成によっても、ガイド用凹凸部47は他の部分に対して変形しにくい部分となり、パームレスト部21における操作者の手の置き位置をガイドすることができる。なお、変形例1の構成において、ガイド用凹凸部47の素材として、
図11に示す硬質部43のように、通常凹凸部49に対して相対的に硬い素材を用いてもよい。つまり、パームレスト部21において操作者の掌の位置を定めるための変形しにくい部分の他の部分に対する差異としては、ガイド用凹凸部47を有する凹凸形状部45による形状的な差異に加えて、素材の硬軟の差異が用いられてもよい。
【0117】
(変形例2)
本実施形態に係る車両用操作部構造1の変形例2について、
図13を用いて説明する。変形例2は、レスト面形成部15の構造についての変形例である。
【0118】
図13に示すように、変形例2のレスト面形成部15Yは、パームレスト部21に載せられた操作者の掌の位置を定めるための部位として、パームレスト部21の上面部に設けられた凹部50を有する。本実施形態では、凹部50として、主にタッチパッド14の操作に適した掌の位置を定めるための前凹部50Aと、主にオーディオスイッチ16の操作に適した掌の位置を定めるための後凹部50Bとが設けられている。
【0119】
凹部50は、自然状態のレスト面形成部15Yにおける表皮部41および内層部42の一体的な形状として形成される。つまり、内層部42の表面側の部分において凹部50に沿う凹部が形成されており、この凹部の形状にならうように表皮部41にも凹部が形成されている。凹部50は、例えば、平面視で円状あるいは楕円状となる領域に陥没状に設けられたり、パームレスト部21を横切るように左右方向に溝状の態様で設けられたりする。
【0120】
前凹部50Aは、パームレスト部21のレスト面15aにおいて、タッチパッド14の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分に設けられる。すなわち、
図13(a)に示すように、パームレスト部21の前部に設けられた前凹部50Aが、タッチパッド14の操作に際して例えば操作者の右手25の掌が載る部分となり、タッチパッド14操作用の掌の位置決め部分として用いられる。
【0121】
また、後凹部50Bは、パームレスト部21のレスト面15aにおいて、オーディオスイッチ16の操作に際して操作者の手の掌が載る部分として想定された部分に設けられる。すなわち、
図13(b)に示すように、パームレスト部21の後部に設けられた後凹部50Bが、オーディオスイッチ16の操作に際して例えば操作者の右手25の掌が載る部分となり、オーディオスイッチ16操作用の掌の位置決め部分として用いられる。
【0122】
このような変形例2の構成によれば、レスト面形成部15Yの表面部の形状により、パームレスト部21における操作者の手の置き位置をガイドすることができる。これにより、手元を直視することなく、レスト面形成部15Y上において掌の位置決めを行うことができるので、良好なブラインド操作性を得ることができる。
【0123】
なお、本実施形態では、パームレスト部21において、タッチパッド14操作用の前凹部50Aとオーディオスイッチ16操作用の後凹部50Bとの2箇所の凹部50が設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、タッチパッド14およびオーディオスイッチ16の共通の操作位置としての掌の位置が定まる構成においては、凹部50は1箇所であってもよい。また、本実施形態では、表皮部41および内層部42の形状として凹部50が設けられているが、例えば、表皮部41の内部にプラスチック製のガイド部材が埋設されること等によって凹部50が設けられてもよい。
【0124】
(変形例3)
本実施形態に係る車両用操作部構造1の変形例3について、
図14を用いて説明する。変形例3は、レスト面形成部15の構造についての変形例であり、オーディオスイッチ16の操作に関するものである。
【0125】
図14に示すように、変形例3のレスト面形成部15Zにおいては、パームレスト部21の運転席側の側面部には、側部操作部としてのサムホイール34を操作する操作者の親指の位置を定めるための親指用凹部60が設けられている。
【0126】
親指用凹部60は、自然状態のレスト面形成部15Zにおける表皮部41および内層部42の一体的な形状として形成される。つまり、内層部42の運転席側の部分において親指用凹部60に沿う凹部が形成されており、この凹部の形状にならうように表皮部41にも凹部が形成されている。親指用凹部60は、例えば円状あるいは楕円状の陥没部分として設けられる。
【0127】
また、親指用凹部60は、パームレスト部21の運転席側の側面部である運転席側斜辺部15fにおいて、オーディオスイッチ16のサムホイール34の操作に際して操作者の手の親指25aの腹側の部分が嵌る部分として想定された部分、つまり親指25aを置くべき部分に設けられる。すなわち、
図14(a)、(b)に示すように、パームレスト部21の運転席側の側部に設けられた親指用凹部60が、サムホイール34の操作に際してパームレスト部21上の操作者の右手25の親指25aが嵌る部分となり、サムホイール34操作用の親指25aの位置決め部分として用いられる。
【0128】
具体的には、親指用凹部60は、掌をパームレスト部21上に載せた状態の右手25の親指25aの姿勢に対応して設けられている。サムホイール34は、主に親指25aの腹部分により操作される操作部であることから、親指用凹部60は、サムホイール34に対して斜め後上方の近傍の位置に設けられている。つまり、親指用凹部60により位置決めされた状態の親指25aの、親指用凹部60に位置する部分よりも指先側の部分によりサムホイール34が操作される。
【0129】
サムホイール34は、オーディオスイッチ16の前端部に集中配置されたホイールボタン33等の操作部に対して後方に離れた位置に設けられているため、ブラインド操作において比較的把握しにくい操作部であると言える。そこで、このような変形例3の構成によれば、レスト面形成部15Zの表面部の形状により、パームレスト部21における操作者の指の置き位置をガイドすることができる。これにより、手元を直視することなく、サムホイール34を操作する指の位置決めを行うことができるので、オーディオスイッチ16の前端部に位置する操作部に対して後方に離れた位置に存在するサムホイール34の位置を把握しやすくなり、良好なブラインド操作性を得ることができる。
【0130】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る車両用操作部構造は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。また、上述した各種変形例を含む実施形態は、適宜組み合わせて採用されてもよい。
【0131】
上述した実施形態においては、ステアリングハンドル2が左側に設けられた左ハンドルの自動車に本発明に係る車両用操作部構造を適用した場合について説明したが、右ハンドルにおいても、左ハンドルの場合の構成に対して左右反対の構成とすることで同様に適用可能である。
【0132】
また、上述した実施形態においては、オーディオスイッチ16は、前部操作部としてのプッシュボタン31,32およびホイールボタン33、並びに側部操作部としてのサムホイール34を備えるが、前部操作部および側部操作部の少なくともいずれか一方を有する構成であればよい。