特許第6438319号(P6438319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438319
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】粒子検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
   G01N15/14 D
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-29997(P2015-29997)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151527(P2016-151527A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古谷 雅
(72)【発明者】
【氏名】小原 太輔
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−145044(JP,A)
【文献】 特表2011−506977(JP,A)
【文献】 特開昭63−133041(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/073064(WO,A1)
【文献】 特開2006−250685(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0217308(US,A1)
【文献】 米国特許第4523841(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査光を発する検査光源と、
前記検査光を照射される、粒子を含む流体を流すフローセルであって、前記検査光を照射された前記粒子で生じた蛍光及び散乱光を反射する半球面反射膜と、前記半球面反射膜で反射された蛍光及び散乱光が透過する半球面レンズ部と、を有するフローセルと、
前記フローセルの位置を第1焦点とする楕円鏡であって、前記フローセルの半球面レンズ部を透過した蛍光及び散乱光を反射する楕円鏡と、
前記楕円鏡の幾何学的な第2焦点と光学的に等価な位置に配置された、前記楕円鏡で反射された蛍光を検出する蛍光検出器と、
前記楕円鏡の幾何学的な第2焦点と光学的に等価な位置に配置された、前記楕円鏡で反射された散乱光を検出する散乱光検出器と、
を備える、粒子検出装置。
【請求項2】
前記フローセルが、前記流体が流れる貫通孔が設けられた透明な球体部材を備え、
前記半球面反射膜が、前記球体部材の一部を覆い、
前記球体部材の前記半球面反射膜で覆われていない部分が、前記半球面レンズ部として機能する、
請求項1に記載の粒子検出装置。
【請求項3】
前記球体部材に設けられた貫通孔の断面形状が円である、請求項に記載の粒子検出装置。
【請求項4】
前記フローセルが、
第1主面、前記第1主面と対向する第2主面、並びに前記第1及び第2主面に対して垂直な側面を有し、前記側面から側面へ貫通する貫通孔が設けられた透明な板状部材と、
前記板状部材の第1主面上に配置された、透明な第1の半球部材と、
前記板状部材の第2主面上に配置された、透明な第2の半球部材と、
を備え、
前記半球面反射膜が、前記透明な第1の半球部材を覆い、
前記第2の半球部材が、前記半球面レンズ部として機能する、
請求項1に記載の粒子検出装置。
【請求項5】
前記板状部材に設けられた貫通孔の断面形状が円である、請求項に記載の粒子検出装置。
【請求項6】
前記フローセルが、
第1主面、及び前記第1主面と対向する第2主面を有し、前記第1主面から前記第2主面に貫通する貫通孔が設けられた透明な板状部材と、
貫通孔が設けられた透明な第1の半球部材であって、前記板状部材の貫通孔と、当該第1の半球部材の貫通孔とが連通するように、前記板状部材の第1主面上に配置された第1の半球部材と、
貫通孔が設けられた透明な第2の半球部材であって、前記板状部材の貫通孔と、当該第2の半球部材の貫通孔とが連通するように、前記板状部材の第2主面上に配置された第2の半球部材と、
を備え、 前記半球面反射膜が、前記透明な第1の半球部材を覆い、
前記第2の半球部材が、前記半球面レンズ部として機能する、
請求項1に記載の粒子検出装置。
【請求項7】
前記板状部材、並びに第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の断面形状が円である、請求項に記載の粒子検出装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の内壁の平滑度が、前記板状部材に設けられた貫通孔の内壁の平滑度より低い、請求項又はに記載の粒子検出装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の直径が、前記板状部材に設けられた貫通孔の直径よりも大きい、請求項6から8のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の半球部材の透明度が、前記板状部材の透明度より低い、請求項6から9のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項11】
前記板状部材が石英ガラスからなり、前記第1及び第2の半球部材が、前記石英ガラスとは異なる材料からなる、請求項6から10のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項12】
前記板状部材と、前記第1及び第2の半球部材とが、オプティカルコンタクトにより接合されている、請求項6から11のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項13】
前記検査光の進行方向において、前記楕円鏡に切り欠きが設けられている、請求項1から12のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出技術に関し、粒子検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フローサイトメータ、及び微生物検出装置等を含む粒子検出装置においては、サンプルである流体を流すためのフローセルが用いられる。フローセルは透明であり、フローセル内部を流れる流体に光を照射すると、流体中に含まれる粒子が蛍光を発したり、散乱光が生じたりする。蛍光や散乱光は、フローセルの隣に配置されたレンズで集光されて検出される(例えば、特許文献1ないし4参照。)。蛍光や散乱光の検出回数、検出強度、及び検出波長等から、流体中に含まれていた粒子の数や種類を特定することが可能である。例えば、粒子が生物粒子であるか否か、粒子が樹脂であるか否か、あるいは粒子が気泡であるか否か等を判別することが可能である。なお、フローセルを用いずに、気流に光を照射して、気流中に含まれる粒子を検出する場合もある(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4540509号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0140221号明細書
【特許文献3】米国特許第7355706号明細書
【特許文献4】国際公開第2010/080642号
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0077087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、鋭意研究の末、フローセル内の粒子による蛍光や散乱光は、粒子から全方位的に発せられるため、蛍光や散乱光を集光するレンズの開口数は高くなければならないことを見出した。しかし、高開口数のレンズは複雑な光学系を要するため、粒子検出装置の製造コストが増大するという問題がある。また、高開口数のレンズは、焦点距離が短いため、フローセルに対するレンズを含む光学系の配置の自由度が低くなるという問題がある。さらに、現実的に開口数が1.0のレンズは存在し得ないという問題がある。そこで、本発明は、高開口数レンズをフローセルに隣接して配置することなく、効率的に粒子を検出可能な粒子検出装置を提供可能することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、(a)検査光を発する検査光源と、(b)検査光を照射される、粒子を含む流体を流すフローセルであって、検査光を照射された粒子で生じた反応光を反射する半球面反射膜と、半球面反射膜で反射された反応光が透過する半球面レンズ部と、を有するフローセルと、(c)フローセルの位置を第1焦点とする楕円鏡であって、フローセルの半球面レンズ部を透過した反応光を反射する楕円鏡と、(d)楕円鏡の第2焦点に配置された、楕円鏡で反射された反応光を検出する光検出器と、を備える、粒子検出装置である。
【0006】
反応光が蛍光であってもよいし、散乱光であってもよいし、蛍光及び散乱光の両方であってもよい。また、検査光の進行方向において、楕円鏡に切り欠きが設けられていてもよい。
【0007】
フローセルが、流体が流れる貫通孔が設けられた透明な球体部材を備え、半球面反射膜が、球体部材の一部を覆い、球体部材の半球面反射膜で覆われていない部分が、半球面レンズ部として機能してもよい。ここで、球体部材に設けられた貫通孔の断面形状が円であってもよい。
【0008】
また、フローセルが、(a)第1主面、第1主面と対向する第2主面、並びに第1及び第2主面に対して垂直な側面を有し、側面から側面へ貫通する貫通孔が設けられた透明な板状部材と、板状部材の第1主面上に配置された、透明な第1の半球部材と、(b)板状部材の第2主面上に配置された、透明な第2の半球部材と、を備え、(c)半球面反射膜が、透明な第1の半球部材を覆い、(d)第2の半球部材が、半球面レンズ部として機能してもよい。ここで、板状部材に設けられた貫通孔の断面形状が円であってもよい。
【0009】
あるいは、フローセルが、(a)第1主面、及び第1主面と対向する第2主面を有し、第1主面から第2主面に貫通する貫通孔が設けられた透明な板状部材と、(b)貫通孔が設けられた透明な第1の半球部材であって、板状部材の貫通孔と、当該第1の半球部材の貫通孔とが連通するように、板状部材の第1主面上に配置された第1の半球部材と、(c)貫通孔が設けられた透明な第2の半球部材であって、板状部材の貫通孔と、当該第2の半球部材の貫通孔とが連通するように、板状部材の第2主面上に配置された第2の半球部材と、を備え、(d)半球面反射膜が、透明な第1の半球部材を覆い、(e)第2の半球部材が、半球面レンズ部として機能してもよい。
【0010】
ここで、板状部材、並びに第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の断面形状が円であってもよい。第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の内壁の平滑度が、板状部材に設けられた貫通孔の内壁の平滑度より低くてもよい。第1及び第2の半球部材に設けられた貫通孔の直径が、板状部材に設けられた貫通孔の直径よりも大きくてもよい。第1及び第2の半球部材の透明度が、板状部材の透明度より低くてもよい。板状部材が石英ガラスからなり、第1及び第2の半球部材が、石英ガラスとは異なる材料からなっていてもよい。板状部材と、第1及び第2の半球部材とが、オプティカルコンタクトにより接合されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、効率的に粒子を検出可能な粒子検出装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るフローセルをなす球状部材の模式図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るフローセルの側面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るフローセルの断面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
図7】本発明の第3の実施の形態に係るフローセルをなす球状部材の模式図である。
図8】本発明の第3の実施の形態に係るフローセルをなす球状部材の側面図である。
図9】本発明の第3の実施の形態に係るフローセルをなす球状部材の断面図である。
図10】本発明の第4の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
図11】本発明の第4の実施の形態に係るフローセルをなす板状部材、並びに第1及び第2の半球部材の模式図である。
図12】本発明の第4の実施の形態に係るフローセルの側面図である。
図13】本発明の第4の実施の形態に係るフローセルの断面図である。
図14】本発明の第5の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
図15】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルをなす板状部材、並びに第1及び第2の半球部材の模式図である。
図16】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの側面図である。
図17】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの断面図である。
図18】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの模式的斜視図である。
図19】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの分解図である。
図20図18のXX−XX方向から見た、本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
図21】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図22】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図23】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図24】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図25】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図26】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図27】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図28】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
図29】本発明の第5の実施の形態の変形例に係るフローセルの模式的斜視図である。
図30】本発明の第5の実施の形態の変形例に係るフローセルの分解図である。
図31図29のXXXI−XXXI方向から見た、本発明の第5の実施の形態の変形例に係るフローセルの模式的断面図である。
図32】本発明の第5の実施の形態の変形例に係るフローセルの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置は、図1に示すように、検査光を発する検査光源30と、検査光を照射される、粒子を含む流体を流すフローセル40であって、検査光を照射された粒子で生じた反応光を反射する半球面反射膜42と、半球面反射膜42で反射された反応光が透過する半球面レンズ部43と、を有するフローセル40と、フローセル40の位置を第1焦点とする楕円鏡50であって、フローセル40の半球面レンズ部43を透過した反応光を反射する楕円鏡50と、楕円鏡50の第2焦点に配置された、楕円鏡50で反射された反応光を検出する光検出器60A、60B、60Cと、を備える。ここで、流体とは、例えば液体である。また、反応光とは、蛍光及び散乱光の少なくとも一方をいう。
【0015】
フローセル40は、図2に示すように、検査対象粒子を含む流体が流れる貫通孔44が設けられた透明な球体部材41を備える。透明な球体部材41の表面及び貫通孔44の内壁は、例えば、研磨されている。貫通孔44は、例えば球体部材41の中心を通る。貫通孔44の延伸方向に対する貫通孔44の断面形状は、例えば円である。貫通孔44の断面形状を円とし、内壁に角がないようにすると、貫通孔44の内部に気泡が滞留したり、汚れが付着したりすることを抑制することが可能となる。貫通孔44の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向に対して垂直である。貫通孔44の直径は、これに限定されないが、例えば1mm未満である。球体部材41は、例えば石英ガラスからなる。
【0016】
図3及び図4に示すように、半球面反射膜42は、球体部材41の一部、例えば貫通孔44を境に約半分を覆っている。半球面反射膜42は、例えば蒸着膜であり、金属等からなる。あるいは、半球面反射膜42は、誘電体多層膜であってもよい。球体部材41の半球面反射膜42で覆われていない部分が、半球面レンズ部43として機能する。半球面反射膜42と、半球面レンズ部43と、は、対向している。
【0017】
図1に示すように、フローセル40は、半球面レンズ部43の凸部及び半球面反射膜42の凹部が楕円鏡50と対向するように配置される。また、フローセル40は、貫通孔44が通るフローセル40の中心が、楕円鏡50の第1焦点と一致するよう、配置される。
【0018】
フローセル40を流れる流体に含まれる粒子とは、微生物等を含む生体物質、細胞、化学物質、ごみ、ちり、及び埃等のダスト等を含む。微生物の例としては細菌及び真菌が含まれる。細菌の例としては、グラム陰性菌及びグラム陽性菌が挙げられる。グラム陰性菌の例としては、大腸菌が挙げられる。グラム陽性菌の例としては、表皮ブドウ球菌、枯草菌、マイクロコッカス、及びコリネバクテリウムが挙げられる。真菌の例としては、黒カビ等のアスペルギルスが挙げられる。ただし、微生物はこれらに限定されない。
【0019】
流体に、微生物等の蛍光性粒子が含まれていると、粒子は励起光を照射されて蛍光を発する。例えば、微生物に含まれるリボフラビン(riboflavin)、フラビンヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)H)、ピリドキサミン(pyridoxamine)、ピリドキサールリン酸(pyridoxal−5’−phosphate)、ピリドキシン(pyridoxine)、トリプトファン(tryptophan)、チロシン(tyrosine)、及びフェニルアラニン(phenylalanine)等が、蛍光を発する。
【0020】
フローセル40内部を流れる蛍光性粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、球状のフローセル40の中心に焦点を結ぶよう、図1に示す検査光源30から照射される。検査光源30としては、発光ダイオード(LED)及びレーザが使用可能である。検査光の波長は、例えば250ないし550nmである。検査光は、可視光であっても、紫外光であってもよい。検査光が可視光である場合、検査光の波長は、例えば400ないし550nmの範囲内であり、例えば405nmである。検査光が紫外光である場合、検査光の波長は、例えば300ないし380nmの範囲内であり、例えば340nmである。ただし、検査光の波長は、これらに限定されない。
【0021】
検査領域としての貫通孔44内部で励起光を照射された蛍光性粒子は蛍光を発する。また、励起光を照射された蛍光性粒子及び非蛍光性粒子において、例えばミー散乱による散乱光が生じる。光を照射された粒子において生じた反応光としての蛍光及び散乱光は、粒子から全方位的に発せられる。
【0022】
図4に示すフローセル40の半球面レンズ部43の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部43の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。検査光の焦点が球体部材41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部43の表面に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部43の表面でほぼ屈折することなく、半球面レンズ部43の表面から出射する。
【0023】
フローセル40の半球面反射膜42の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜42で反射され、半球面レンズ部43の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。検査光の焦点が球体部材41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面反射膜42に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜42でほぼ垂直に反射され、球体部材41のほぼ中心を経て、半球面レンズ部43の表面でほぼ屈折することなく、半球面レンズ部43の表面から出射する。
【0024】
図1に示す楕円鏡50の凹面は、半球面反射膜42の凹面、及び半球面レンズ部43の凸面と対向している。例えば、楕円鏡50は、フローセル40をほぼ覆っている。半球面レンズ部43の表面から出射した蛍光及び散乱光は、楕円鏡50で反射され、フローセル40の後方の楕円鏡50の第2焦点に集光される。例えば、フローセル40の半球面反射膜42と比較して楕円鏡を十分に大きくすることによって、楕円鏡50による蛍光及び散乱光の集光効率が向上する。楕円鏡50の幾何学的な第1焦点及び第2焦点の間には、波長選択的反射鏡70A、70Bが配置されている。
【0025】
波長選択的反射鏡70Aは、例えば、波長選択的に、散乱光を反射する。波長選択的反射鏡70Aで反射された散乱光の焦点は、楕円鏡50の幾何学的な第2焦点と光学的に等価である。波長選択的反射鏡70Aで反射された散乱光の焦点に、散乱光を検出するための光検出器60Aが配置される。波長選択的反射鏡70Aと光検出器60Aの間に、誘電体多層膜等を含むバンドパスフィルタ、及びロングパスフィルタ等が配置されてもよい。
【0026】
波長選択的反射鏡70Bは、例えば、波長選択的に、第1の波長帯域の蛍光を反射し、第2の波長帯域の蛍光を透過させる。波長選択的反射鏡70Bで反射された蛍光の焦点は、楕円鏡50の幾何学的な第2焦点と光学的に等価である。波長選択的反射鏡70Bで反射された第1の波長帯域の蛍光の焦点に、第1の波長帯域の蛍光を検出するための光検出器60Bが配置される。波長選択的反射鏡70Bで透過した第2の波長帯域の蛍光の焦点に、第2の波長帯域の蛍光を検出するための光検出器60Cが配置される。波長選択的反射鏡70Bと光検出器60Bの間、及び波長選択的反射鏡70Bと光検出器60Cの間に、誘電体多層膜等を含むバンドパスフィルタ、及びロングパスフィルタ等が配置されてもよい。
【0027】
波長選択的反射鏡70A、70Bとしては、ダイクロイックミラー、干渉膜フィルタ、及び光学フィルタ等が使用可能である。なお、波長選択的反射鏡70A、70Bのそれぞれの設計入射角度が45度である場合、楕円鏡50の第1及び第2焦点の間隔を、波長選択的反射鏡70A、70Bに対する散乱光又は蛍光の入射角が35度以上55度以下になるように設定すると、干渉膜フィルタの分光効率が高くなる傾向にあるが、これに限定されない。また、設計入射角度が0度の光学系がバンドパスフィルタ及びロングパスフィルタを含む場合、バンドパスフィルタ及びロングパスフィルタに対する散乱光又は蛍光の入射角が10度以下になるように設定するとよい。
【0028】
以上説明した第1の実施の形態に係る粒子検出装置によれば、当初、楕円鏡50と反対方向に進行した蛍光及び散乱光を半球面反射膜42で楕円鏡50の方向に反射し、光検出器60A、60B、60Cの位置に集光することが可能となる。そのため、フローセル40内において、当初、粒子から全方位的に発せられた蛍光及び散乱光を、レンズ集光系と同等以上の効率で集光し、検出することが可能となる。
【0029】
また、第1の実施の形態に係る粒子検出装置においては、フローセル40に半球面反射膜42を設けることにより、半球面反射膜42を小さくすることが可能となる。そのため、半球面反射膜42の影の面積を小さくすることが可能となり、蛍光及び散乱光の集光効率が向上し、高価な高開口数レンズを含む複雑な光学系を用いなくとも、微弱な蛍光や散乱光を効率よく検出することが可能となる。また、第1の実施の形態に係る粒子検出装置は、複雑な光学系を必要としないため、製造や調節が容易である。
【0030】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る粒子検出装置においては、図5に示すように、検査光の進行方向において、楕円鏡50に切り欠き51が設けられている。フローセル40に検査光を照射すると、フローセル40の外壁及び貫通孔44の内壁等で散乱が生じ、迷光となりうる。迷光は、フローセル40の外壁及び貫通孔44の内壁等における検査光の照射位置を頂点とし、頂角が約30度から60度である円錐状に広がる傾向にある。
【0031】
フローセル40の貫通孔44内部を流れる粒子で生じたミー散乱と異なり、迷光は粒子の検出に不要である。しかし、迷光が楕円鏡50で反射されると、迷光は光検出器60A、60B、60Cに到達し、ノイズの原因になりうる。
【0032】
したがって、迷光が広がる円錐状の空間と、楕円鏡50とが交差する部分に切り欠き51を設けることによって、迷光が楕円鏡50で反射され、光検出器60A、60B、60Cに到達することを防止することが可能となる。また、迷光の進行方向に、迷光を遮断又は減衰させる迷光吸収部材80を配置してもよい。さらに、迷光が広がる円錐状の空間と、半球面反射膜42とが交差する半球面反射膜42の部分にも、切り欠きを設けてもよい。第2の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。
【0033】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態においては、図1に示すように、フローセル40の貫通孔44の延伸方向が、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向に対して垂直な例を示した。これに対し、図6に示すように、フローセル40の貫通孔44の延伸方向が、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向と平行であってもよい。
【0034】
第3の実施の形態において、図7ないし図9に示すように、フローセル40の貫通孔44の一方の開口は、球体部材41の半球面反射膜42で覆われた部分の中心に設けられており、貫通孔44の他方の開口は、半球面レンズ部43として機能する、球体部材41の半球面反射膜42で覆われていない部分の中心に設けられている。
【0035】
第3の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。第3の実施の形態に係る粒子検出装置においては、フローセル40の貫通孔44が楕円鏡50の長軸と一致しているため、貫通孔44に接続される流路等が蛍光及び散乱光の影を作る影響を抑制することが可能となる。
【0036】
(第4の実施の形態)
図10に示す第4の実施の形態に係る粒子検出装置おいては、フローセル140が、図11に示すように、第1主面211、第1主面211と対向する第2主面212、並びに第1及び第2主面211、212に対して垂直な側面213、214を有し、側面213から側面214へ貫通する貫通孔144が設けられた透明な板状部材145と、板状部材145の第1主面211上に配置された、透明な第1の半球部材146と、板状部材145の第2主面212上に配置された、透明な第2の半球部材147と、備える。図11ないし図13に示すように、フローセル140において、半球面反射膜142は、透明な第1の半球部材146を覆い、第2の半球部材147が、半球面レンズ部143として機能する。
【0037】
板状部材145の第1主面211及び第2主面212は、例えば、それぞれ矩形状である。第1主面211及び第2主面212の形状は、フローセルのホルダの形状に合わせてもよい。貫通孔144は、板状部材145の側面213、214に対して垂直に設けられている。貫通孔144は、例えばフローセル140の中心である板状部材145の中心を通る。貫通孔144の延伸方向に対する貫通孔144の断面形状は、例えば円である。貫通孔144の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ図10に示す楕円鏡50の長軸方向に対して垂直である。
【0038】
フローセル140内部を流れる粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、板状部材145の側面213、214に対して垂直な側面から貫通孔144に向けて入射される。励起光が照射される板状部材145の側面は、研磨され、平滑度が高いことが好ましい。
【0039】
図11に示す第1及び第2の半球部材146は、それぞれ底面及び球面を有する。第1及び第2の半球部材146、147の底面の外径は、板状部材145の第1主面211及び第2主面212の幅と同じでもよいし、小さくてもよい。第1及び第2の半球部材146、147は、それぞれ、完全な球を半分にしたものでありうる。あるいは、第1及び第2の半球部材146、147は、それぞれ、検査光と貫通孔144の交点で生じた反応光が、第1及び第2の半球部材146、147の表面に垂直に入射するよう、曲率と厚みを選定した凸レンズ部材であってもよい。
【0040】
図11ないし図13に示す第1の半球部材146を覆う半球面反射膜142は、例えば蒸着膜であり、金属等からなる。あるいは、半球面反射膜142は、誘電体多層膜であってもよい。半球面反射膜142で覆われていない第2の半球部材147が、半球面レンズ部143として機能する。半球面反射膜142と、半球面レンズ部143と、は、対向している。
【0041】
図13に示すように、貫通孔144内部で励起光を照射された蛍光粒子において生じた蛍光及び散乱光は、蛍光粒子から全方位的に発せられる。ここで、フローセル140の半球面レンズ部143の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。フローセル140において、板状部材145の厚みが半球面レンズ部143の厚みより薄い場合、フローセル140の形状は球状に近似される。そのため、検査光の焦点がフローセル140の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面でほぼ屈折しないで、半球面レンズ部143の表面から出射する。
【0042】
フローセル140の半球面反射膜142の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜142で反射され、半球面レンズ部143の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。フローセル140の形状が球状に近似可能であり、検査光の焦点がフローセル140の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面反射膜142に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜142でほぼ垂直に反射され、フローセル140のほぼ中心付近を経て、半球面レンズ部143の表面でほぼ屈折しないで、半球面レンズ部143の表面から出射する。
【0043】
板状部材145を透過する検査光の光強度は、貫通孔144内の粒子で生じる蛍光及び散乱光の光強度よりも強い。強い光強度を有する励起光は、迷光の原因になりうるため、検査光が入射される板状部材145の材料は、合成石英等、透明度が高い材料であることが好ましい。これに対し、蛍光及び散乱光の光強度は弱く、迷光の原因になりにくい。そのため、第1及び第2の半球部材146、147の材料の透明度は、板状部材145の材料の透明度と同じでもよいが、第1及び第2の半球部材146、147には、蛍光及び散乱光が透過する範囲内において、板状部材145の材料よりも透明度の低い安価な材料を用いてもよい。
【0044】
具体的には、第1及び第2の半球部材146、147の材料には、石英ガラスを用いてもよいし、あるいは石英ガラスとは異なる光学ガラス、又はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透明樹脂を用いてもよい。
【0045】
第4の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。第4の実施の形態に係る粒子検出装置によっても、フローセル140で生じた散乱光及び検査光等の反応光を、効率よく集光し、検出することが可能となる。
【0046】
(第5の実施の形態)
図14に示す第5の実施の形態に係る粒子検出装置においては、フローセル240が、図15に示すように、第1主面311、及び第1主面311と対向する第2主面312を有し、第1主面311から第2主面312に貫通する貫通孔275が設けられた透明な板状部材245と、貫通孔276が設けられた透明な第1の半球部材246であって、板状部材245の貫通孔275と、当該第1の半球部材246の貫通孔276とが連通するように、板状部材245の第1主面311上に配置された第1の半球部材246と、貫通孔277が設けられた透明な第2の半球部材247であって、板状部材245の貫通孔275と、当該第2の半球部材247の貫通孔277とが連通するように、板状部材245の第2主面312上に配置された第2の半球部材と、を備える。
【0047】
図15ないし図20に示すように、フローセル240において、半球面反射膜242は、透明な第1の半球部材246を覆い、第2の半球部材247が、半球面レンズ部243として機能する。第1の半球部材246を覆う半球面反射膜242は、例えば蒸着膜であり、金属等からなる。あるいは、半球面反射膜242は、誘電体多層膜であってもよい。半球面反射膜242と、半球面レンズ部243と、は、対向している。
【0048】
板状部材245の第1主面311及び第2主面312は、例えば、それぞれ矩形状である。第1主面311及び第2主面312の形状は、フローセル240のホルダの形状に合わせてもよい。貫通孔275は、第1及び第2主面311、312に対して垂直に設けられている。板状部材245は、例えば、石英ガラスからなる。励起光が照射される板状部材245の側面は、研磨され、平滑度が高いことが好ましい。
【0049】
板状部材245に設けられた貫通孔275は、例えばフローセル240の中心である板状部材245の中心を通る。貫通孔275の延伸方向に対する貫通孔275の断面形状は、例えば円である。貫通孔275の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向と平行である。
【0050】
第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、底面及び球面を有する。第1及び第2の半球部材246、247の底面の外径は、板状部材245の第1主面311及び第2主面312の幅と同じでもよいし、小さくてもよい。第1の半球部材246において、貫通孔276は、第1の半球部材246の頂点から底面に向けて、垂直に設けられている。貫通孔276の延伸方向に対する断面形状は、例えば円である。また、第2の半球部材247において、貫通孔277は、第2の半球部材247の頂点から底面に向けて、垂直に設けられている。貫通孔277の延伸方向に対する断面形状は、例えば円である。第1及び第2の半球部材246、247は、例えば、石英ガラスからなる。あるいは、第1及び第2の半球部材246、247は、例えば、石英ガラスとは異なる光学ガラス、又はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透明樹脂からなっていてもよい。
【0051】
第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、完全な球を半分にしたものでありうる。あるいは、第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、検査光と貫通孔144の交点で生じた反応光が、第1及び第2の半球部材246、247の表面に垂直に入射するよう、曲率と厚みを選定した凸レンズ部材であってもよい。
【0052】
フローセル240において、流体は、第1の半球部材246の貫通孔276、板状部材245の貫通孔275、及び第2の半球部材247の貫通孔277を流れる。流体は、第1の半球部材246側から第2の半球部材247側に流れてもよいし、第2の半球部材247側から第1の半球部材246側に流れてもよい。
【0053】
フローセル240内部を流れる粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、板状部材245の第1及び第2主面311、312に対して垂直な側面から貫通孔275に向けて入射される。貫通孔275内部で励起光を照射された蛍光粒子において生じた蛍光及び散乱光は、蛍光粒子から全方位的に発せられる。
【0054】
フローセル240の半球面レンズ部243の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。フローセル240において、板状部材245の厚みが半球面レンズ部243の厚みより薄い場合、フローセル240の形状は球状に近似される。そのため、検査光の焦点がフローセル240の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面でほぼ屈折しないで、半球面レンズ部243の表面から出射する。
【0055】
フローセル240の半球面反射膜242の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜242で反射され、半球面レンズ部243の表面から出射し、楕円鏡50に到達する。フローセル240の形状は球状に近似可能であり、検査光の焦点がフローセル240の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面反射膜242に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜242でほぼ垂直に反射され、フローセル240の中心付近を経て、半球面レンズ部243の表面でほぼ屈折しないで、半球面レンズ部243の表面から出射する。
【0056】
第5の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1又は第2の実施の形態と同様である。第5の実施の形態に係る粒子検出装置によっても、フローセル240で生じた散乱光及び検査光等の反応光を、効率よく集光し、検出することが可能となる。
【0057】
なお、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277には励起光が照射されない。したがって、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の内壁の平滑度は、板状部材245の貫通孔275の内壁の平滑度と同じでもよいが、低くしてもよい。
【0058】
また、板状部材245の貫通孔275の直径が小さいほど、検査光の焦点に対して検査対象物質が流れる範囲が狭くなり、かつ検査光の焦点を複数の検査対象物質が同時に通過する可能性が低くなる。そのため、貫通孔275の直径が小さいほうが、蛍光及び散乱光の検出分解能が向上する傾向にある。これに対し、励起光を照射されない第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径は、蛍光及び散乱光の検出分解能への影響が小さい。したがって、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径は、板状部材245の貫通孔275の直径と同じでもよいが、より大きくてもよい。
【0059】
さらに、板状部材245を透過する検査光の光強度は、貫通孔275内の粒子で生じる蛍光及び散乱光の光強度よりも強い。強い光強度を有する励起光は、迷光の原因になりうるため、検査光が入射される板状部材245の材料は、合成石英等、透明度が高い材料であることが好ましい。これに対し、蛍光及び散乱光の光強度は弱く、迷光の原因になりにくい。そのため、第1及び第2の半球部材246、247の材料の透明度は、板状部材245の材料の透明度と同じでもよいが、第1及び第2の半球部材246、247には、蛍光及び散乱光が透過する範囲内において、板状部材245の材料よりも透明度の低い安価な材料を用いてもよい。
【0060】
次に、第5の実施の形態に係るフローセル240の製造方法を説明する。図21に示すように、板状部材245を用意し、図22に示すように、板状部材245に貫通孔275を設ける。また、図23に示すように、第1の半球部材246を用意し、図24に示すように第1の半球部材246の半球面上に半球面反射膜242を形成する。さらに、図25に示すように、半球面反射膜242が設けられた第1の半球部材246に貫通孔276を設ける。またさらに、図26に示すように、第2の半球部材247を用意し、図27に示すように、第2の半球部材247に貫通孔277を設ける。
【0061】
貫通孔275、276、277は、例えば、エッチング法により設けることが可能である。あるいは、貫通孔275、276、277は、ドリルにより設けてもよい。さらに、貫通孔275、276、277を形成後、貫通孔275、276、277の内壁を研磨等して平滑度を上げてもよい。なお、貫通孔275の内壁のみを研磨等して平滑度をあげてもよい。
【0062】
ここで、半球部材よりも板状部材のほうが、内壁の平滑度の高い貫通孔を設けやすい。また、上述したように、製造されるフローセル240において、板状部材245には励起光が照射されるが、第1及び第2の半球部材246、247には励起光が照射されない。したがって、板状部材245に内壁の平滑度が高い貫通孔275を設け、第1及び第2の半球部材246、247に、内壁の平滑度が貫通孔275よりも低い貫通孔276、277を設けて、第5の実施の形態に係るフローセル240の製造コストを低下させてもよい。
【0063】
さらに、半球部材よりも板状部材のほうが、直径の小さい貫通孔を設けやすい。またさらに、上述したように、板状部材245の貫通孔275の直径は小さい方が、製造されるフローセル240における蛍光及び散乱光の検出分解能が高くなるが、励起光が照射されない第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径が検出分解能に与える影響は小さい。したがって、板状部材245に直径の小さい貫通孔275を設け、第1及び第2の半球部材246、247に、貫通孔275よりも直径が大きい貫通孔276、277を設けて、第5の実施の形態に係るフローセル240の製造コストを低下させてもよい。
【0064】
貫通孔275が設けられた板状部材245は、延伸法により製造してもよい。例えば、図28に示すような、断面形状が円である貫通孔527が設けられたガラス母材520を用意し、貫通孔527の延伸方向と同じ方向にガラス母材520を加熱延伸することにより、断面においてガラス母材が縮小され、貫通孔527の直径が、製造される図22に示す板状部材245の貫通孔275と同じになる。その後、図28に示す延伸されたガラス母材520の端部から、図22に示す板状部材245が切り出される。切り出された板状部材245は、研磨されてもよい。
【0065】
図19に示す板状部材245と、第1及び第2の半球部材246、247とは、貫通孔276、275、277が連通するように位置決めされ、例えばオプティカルコンタクトにより接合される。あるいは、板状部材10と、第1及び第2の半球部材246、247とは、光学接着剤等により接着されてもよい。このようにして、第5の実施の形態に係るフローセル240が得られる。
【0066】
以上説明した第5の実施の形態に係るフローセル240の製造方法によれば、板状部材245、並びに第1及び第2の半球部材246、247を貼り合わせることにより、一体成型では製造が困難な立体形状を有するレンズ部分を含むフローセルを製造することが可能である。
【0067】
また、部材に、内壁に角がある貫通孔を設けようとすると、角においてクラックや空隙が形成されやすい傾向にある。これに対し、第5の実施の形態に係るフローセル240の製造方法においては、断面形状が円である貫通孔275、276、277が形成されるため、貫通孔275、276、277の内壁にクラックや空隙が形成されることを抑制することが可能となる。
【0068】
さらに、内壁の平滑度が高い貫通孔を部材に設けるのは、貫通孔の直径が小さくなるほど困難となり、また、部材の厚みが長くなるほど困難となる。そのため、フローセルの母材を一体成型した後に、フローセルの母材に、直径が小さい貫通孔を設け、研磨等により内壁の平滑度を上げることは困難である。これに対し、第5の実施の形態に係るフローセル240の製造方法によれば、予め貫通孔275、276、277が設けられた板状部材245、並びに第1及び第2の半球部材246、247を貼り合わせることにより、励起光が照射される貫通孔275の直径を小さくし、かつ内壁の平滑度を高くすることが可能である。
【0069】
(第5の実施の形態の変形例)
本発明の第5の実施の形態の変形例に係るフローセルは、図29ないし図31に示すように、板状部材245の第1主面311及び第2主面312が、それぞれ円形状である。そのため、板状部材245の側面314が円環状である。板状部材245の第1主面311及び第2主面312の外径は、第1及び第2の半球部材246、247の底面313、413の外径よりも大きくてもよいし、同じでもよい。第5の実施の形態の変形例に係るフローセルのその他の構成要素は、第5の実施の形態と同様である。
【0070】
板状部材245の外周形状、及び貫通孔275の断面形状が円である場合、貫通孔275の中心で焦点を結ぶように励起光を照射すると、図32に示すように、励起光が板状部材245の側面314及び貫通孔275の内壁に垂直に入射する。そのため、板状部材245の屈折率の影響を受けずに、貫通孔275内で励起光の焦点を結ぶことが可能となる。
【0071】
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、粒子検出装置は、粒子が発する蛍光のみを検出対象としてもよいし、粒子で生じた散乱光のみを検出対象としてもよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0072】
10、145、245 板状部材
30 検査光源
40、140、240 フローセル
41 球体部材
42、142、242 半球面反射膜
43、143、243 半球面レンズ部
44、144、275、276、277 貫通孔
50 楕円鏡
60A、60B、60C 光検出器
70A、70B 波長選択的反射鏡
80 迷光吸収部材
146、147、246、247 半球部材
211、311 第1主面
212、312 第2主面
213、214、314 側面
313、413 底面
520 ガラス母材
527 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32