特許第6438458号(P6438458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6438458シリコーン及び脂肪酸アミドスリップ剤を有するポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438458
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】シリコーン及び脂肪酸アミドスリップ剤を有するポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20181203BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20181203BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20181203BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20181203BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   C08L23/04
   C08L83/04
   C08K5/20
   H01B3/44 F
   H01B3/44 P
   H01B7/18 B
   H01B7/18 H
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-508951(P2016-508951)
(86)(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-521305(P2016-521305A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】US2014032773
(87)【国際公開番号】WO2014172105
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/812,754
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ブオ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・エセギエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エム・コーゲン
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・ジェイ・クミーク
(72)【発明者】
【氏名】アニー・エル・フローリー
(72)【発明者】
【氏名】サスワティ・プジャリ
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−343144(JP,A)
【文献】 特開2013−004445(JP,A)
【文献】 特開2012−109229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 5/00−5/59
H01B 3/44
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル外皮ポリマー組成物であって、
(a)エチレン系ポリマーと、
(b)ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(OH−PDMS)及びエルクアミドを含むスリップ剤と、を含み
OH−PDMS及び該エルクアミドは、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.35〜3.0重量パーセントの範囲の総量で存在する、前記ケーブル外被ポリマー組成物。
【請求項2】
OH−PDMS及び該エルクアミドが、1:25〜2:1の範囲のエルクアミドOH−PDMSの重量比で存在し、該OH−PDMSが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.25〜2.9重量パーセントの範囲の量で存在し、該エルクアミドが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.1〜1.5重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項3】
該ケーブル外皮ポリマー組成物が、ASTM D1894に従って測定した場合、0.15未満の摩擦係数を有する、請求項1または2に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項4】
該ケーブル外皮ポリマー組成物が、第1の比較組成物及び第2の比較組成物の両方よりも低い摩擦係数を有し、該第1の比較組成物が、該スリップ剤が完全に該OH−PDMSからなることを除いて、該ケーブル外皮ポリマー組成物と同一の組成を有し、該第2の比較組成物が、該スリップ剤が完全に該エルクアミドからなることを除いて、該ケーブル外皮ポリマー組成物と同一の組成を有し、該摩擦係数はASTM D1894に従い測定される、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項5】
該エチレン系ポリマーが高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、またはこれらの組合せである、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項6】
該スリップ剤が、該OH−PDMS及び該エルクアミドからなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項7】
OH−PDMS及び該エルクアミドが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.5〜2.5重量パーセントの範囲の総量で存在し、該OH−PDMS及び該エルクアミドが、1:20〜2:3の範囲のエルクアミドOH−PDMSの重量比で存在する、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
【請求項8】
製造物品であって、
(a)導体と、
(b)該導体を少なくとも部分的に取り囲むコーティングと、を含み
請求項1に記載の該ケーブル外皮ポリマー組成物が該コーティングの少なくとも一部分を構成する、前記製造物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/812,754号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明の各種実施形態は、シリコーン及び脂肪酸アミドを含むスリップ剤を有するケーブル外皮ポリマー組成物に関する。
【0003】
緒言
ケーブル外皮化合物とケーブルダクトを作製するために使用される材料との間の摩擦により、ケーブル設置中に、ダクトを通して容易に引き出すことができ、または通風できるケーブルの長さが制限される。特に、エチレン系ポリマーを使用して作製したケーブル外皮には、ケーブル設置中に、ダクト内の他のケーブル、またはダクト材料自体との摩擦に起因する問題点がある場合がある。この問題に対処するために、スリップ剤が開発されているが、依然として進歩が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態は、ケーブル外皮ポリマー組成物であり、該組成物は、
(a)エチレン系ポリマーと、
(b)スリップ剤と、を含み
該スリップ剤はシリコーン及び脂肪酸アミドを含み、
該シリコーン及び該脂肪酸アミドは、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.35〜3.0重量パーセントの範囲の総量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の各種実施形態は、エチレン系ポリマー及びスリップ剤を含むポリマー組成物であって、前記スリップ剤がシリコーン及び脂肪酸アミドを含むものに関する。かかるポリマー組成物は、ケーブル外皮などの、ワイヤー及びケーブルコーティングを作製するためのコーティング組成物での使用に適する場合がある。
【0006】
エチレン系ポリマー
上述したように、本明細書で記載されるポリマー組成物の1成分は、エチレン系ポリマーである。本発明で使用する場合、「エチレン系」ポリマーは、他のコモノマーを用いてもよいが、主要(例えば、50重量パーセント(「重量%」)を超える)モノマー成分として、エチレンモノマーから調製されるポリマーである。「ポリマー」は、同一のまたは異なる種類のモノマーを反応させること(例えば、重合)により調製される高分子化合物を意味し、ホモポリマー及びインターポリマーを含む。「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー種を重合することにより調製されるポリマーを意味する。この一般的な用語は、コポリマー(通常、2つの異なるモノマー種から調製されるポリマーを表すために用いられる)、及び3つ以上の異なるモノマー種から調製されるポリマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマー種)及びテトラポリマー(4つの異なるモノマー種))を含む。
【0007】
各種実施形態において、エチレン系ポリマーはエチレンホモポリマーである場合がある。本発明で使用する場合、「ホモポリマー」は、単一モノマー種から誘導される繰返し単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤などの、ホモポリマーの調製に使用される他の成分の残留量を除外しない。
【0008】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、α−オレフィン含有量が、インターポリマーの全重量を基準として、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%である、エチレン/アルファ−オレフィン(「α−オレフィン」)インターポリマーである場合がある。これらのインターポリマーは、α−オレフィン含有量が、インターポリマーの全重量を基準として、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%である場合がある。α−オレフィンは、C3−20(すなわち、3〜20の炭素原子を有する)直鎖状、分枝状または環状α−オレフィンである場合がある。C3−20α−オレフィンの例としては、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。また、α−オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を有し、3シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキシル)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンになる場合がある。実例となるエチレン/α−オレフィンインターポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、及びエチレン/1−ブテン/1−オクテンが挙げられる。
【0009】
各種実施形態において、エチレン系ポリマーを、単独でまたは1つ以上の他の種類のエチレン系ポリマーと組み合わせて(例えば、モノマー組成及び含有量、触媒式調製法などが互いに異なる、2つ以上のエチレン系ポリマーのブレンド)、使用することができる。エチレン系ポリマーのブレンドを用いる場合、ポリマーは、いかなる反応器内または反応器後工程のいずれによってもブレンドすることができる。
【0010】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(「LDPE」)である場合がある。LDPEは一般に、高度な分枝状エチレンホモポリマーであり、高圧法により調製することができる(例えば、HP−LDPE)。本明細書での使用に適するLDPEは、密度が0.91〜0.94g/cmの範囲にある場合がある。各種実施形態において、エチレン系ポリマーは、密度が少なくとも0.915g/cmで、0.94g/cm未満、または0.93g/cm未満の高圧LDPEである。本明細書で提供するポリマー密度は、ASTMインターナショナル(「ASTM」)法D792に従って測定される。本明細書での使用に適するLDPEは、メルトインデックス(I)が、20g/10分未満であるか、もしくは0.1〜10g/10分、0.5〜5g/10分、1〜3g/10分の範囲にあるか、またはIが2g/10分である。本明細書で提供するメルトインデックスは、ASTM法D1238に従って測定される。特に明記しない限り、メルトインデックスは190℃及び2.16Kg(例えば、I)で、測定される。一般に、LDPEは広範な分子量分布(「MWD」)を有し、結果として多分散指数(「PDI」、重量平均分子量と数平均分子量比率の比率)が比較的大きくなる。
【0011】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)であることができる。LLDPEは一般に、不均質な分布のコモノマー(例えば、α−オレフィンモノマー)を有するエチレン系ポリマーであり、短鎖分枝を特徴とする。例えば、LLDPEは、エチレンと、上述したα−オレフィンモノマーのうちの1つ以上などのα−オレフィンモノマーとのコポリマーである場合がある。本明細書での使用に適するLLDPEは、密度が0.916〜0.925g/cmの範囲にある場合がある。本明細書での使用に適するLLDPEは、メルトインデックス(I)が1〜20g/10分、または3〜8g/10分の範囲にある場合がある。
【0012】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、超低密度ポリエチレン(「VLDPE」)である場合がある。さらに、VLDPEは、かかる技術分野において、超低密度ポリエチレンまたはULDPEとして知られている場合がある。VLDPEは一般に、コモノマー(例えば、α−オレフィンモノマー)の分布が不均質であるエチレン系ポリマーであり、短鎖分枝を特徴とする。例えば、VLDPEは、エチレンとα−オレフィンモノマー(例えば、1つ以上の上述したこれらのα−オレフィンモノマー)のコポリマーである場合がある。本明細書での使用に適するVLDPEは、密度が0.87〜0.915g/cmの範囲にある場合がある。本明細書での使用に適するVLDPEは、メルトインデックス(I)が0.1〜20g/10分、または0.3〜5g/10分の範囲にある場合がある。
【0013】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、中密度ポリエチレン(MDPE」)である場合がある。MDPEは、密度が一般に、0.930〜0.945g/cmの範囲にあるエチレン系ポリマーである。一実施形態において、MDPEは、密度が0.939〜0.943g/cmの範囲にある。MDPEは、メルトインデックス(I)が、0.1〜5g/10分、0.5〜1.0g/10分、または0.6〜0.8g/10分の範囲にある場合がある。
【0014】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、高密度ポリエチレン(HDPE」)である場合がある。HDPEは、密度が0.940g/cmより大きいエチレン系ポリマーである。一実施形態において、HDPEは、ASTM D−792に従って測定した場合、密度が0.945〜0.97g/cmである。HDPEは、融解温度のピークが、少なくとも130℃または132〜134℃にある場合がある。HDPEは、メルトインデックス(I)が、0.1g/10分、または0.2g/10分、または0.3g/10分、または0.4g/10分から、5.0g/10分、または4.0g/10分、または3.0g/10分、または2.0g/10分、または1.0g/10分、または0.5g/10分までの範囲にある場合がある。さらに、HDPEは、ゲル透過クロマトグラフィーで測定した場合、PDIが1.0〜30.0の範囲内、または2.0〜15.0の範囲内にある。
【0015】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、上述したエチレン系ポリマーのうちのいずれか2つ以上の混合物を含む場合がある。
【0016】
エチレン系ポリマーを調製するために使用する製造プロセスは、幅広く、多種多様であり、かかる技術分野において知られている。従来のまたは以後発見される、上記性質を有するエチレン系ポリマーを製造するための製造プロセスのいずれも、本明細書で記載されるエチレン系ポリマーを調製するために用いてよい。一般的に、重合は、Ziegler−NattaまたはKaminsky−Sinn型重合反応としてかかる技術分野で知られている条件、すなわち、0〜250℃または30℃もしくは200℃の温度、かつ、大気圧〜10,000気圧(1.013メガパスカル(「MPa」))の圧力、で実施することができる。ほとんどの重合反応において、用いる触媒と重合性化合物のモル比は、10−12:1〜10 1:1または10−9:1〜10−5:1である。
【0017】
好適な市販のエチレン系ポリマーの例としては、DGDA−6318 BK、DHDA−6548 BK、DHDA−8864 BK、及びDFDG−6059 BK(全て、The Dow Chemical Company、Midland、MI、USAから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、ポリマー組成物中に、50〜99.9重量%、75〜99.8重量%、または97〜99.65重量%の範囲の量で存在する場合がある。一実施形態において、エチレン系ポリマーは、ポリマー組成物中に、上述のスリップ剤及びエチレン系ポリマーの総重量を基準として97〜99.65重量%、97.5〜99.5重量%、98.0〜99.0重量%、または98.25〜98.75重量%の範囲の量で存在する場合がある。
【0019】
スリップ剤
上述したように、本明細書で記載されるポリマー組成物はさらに、スリップ剤を含む。使用したスリップ剤は、シリコーン及び脂肪酸アミドを含む。
【0020】
本発明で使用する場合、「シリコーン」は、一般にシロキサン系モノマー残基繰返し単位含むポリマーを意味する。本発明で使用する場合、「シロキサン」は、構造:
【0021】
【化1】
【0022】
を有するモノマー残基繰り返し単位を意味し、式中、R及びRは独立して、水素またはヒドロカルビル部分である。シリコーンはさらに、
【0023】
【化2】
【0024】
(これは、シリコーン化学で「Q」基として知られている)、または、
【0025】
【化3】
【0026】
(これは、シリコーン化学で「T」基として知られている)などの枝分かれ部位を含んでもよい。
【0027】
本発明で使用する場合、用語「ヒドロカルビル」は、炭化水素(例えば、エチルなどのアルキル基、またはフェニルなどのアリール基)から水素原子を除去することにより形成された1価の基を意味する。1つ以上の実施形態において、シロキサンモノマー残基は、同じまたは異なったアルキル、アリール、アルカリル、またはアラルキル部分を有する、ジアルキル、ジアリール、ジアルカリル、またはジアラルキルシロキサンのいずれかである場合がある。一実施形態において、R及びRのそれぞれは独立して、C〜C20、C〜C12、またはC〜Cアルキル、アリール、アルカリル、またはアラルキル部分である。各種実施形態において、R及びRは、同じまたは異なる炭素原子数を有する場合がある。各種実施形態において、R及びRのそれぞれのヒドロカルビル基は、飽和かつ任意に直鎖であるアルキル基である。さらに、かかる実施形態のR及びRのそれぞれのアルキル基は、同じである場合がある。R及びRでの使用に適するアルキル基の非限定例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、イソブチル、t−ブチル、またはこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0028】
さらに、本明細書で用いるシリコーンは、25℃の密度が、0.9〜1g/mL、または0.95〜0.98g/mLの範囲にある場合がある。さらに、本明細書で用いるシリコーンは、25℃の動粘度が10×10〜50×10センチストーク(「cSt」)である場合がある。シリコーンの粘度は、本明細書ではASTM D445に従って測定される。
【0029】
各種実施形態において、シリコーンは、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリ(エチル−メチルシロキサン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される場合がある。さらに、シリコーンは、2つ以上の種類のシリコーンである場合がある。ある種の実施形態において、シリコーンはPDMSである。さらに、シリコーンは、ビニル及び/またはヒドロキシル基などの種々の末端基を含有する場合がある。1つ以上の実施形態において、シリコーンはヒドロキシル末端処理される。一実施形態において、シリコーンは、ヒドロキシル末端PDMSである。
【0030】
好適な市販のシリコーンの一例としては、Dow Corning Corporation(Midland、MI、USA)製のMB50−314(HDPEポリマー中の超高分子量のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンの50:50マスターバッチ)が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
他の実施形態において、シリコーンは、オレフィン/シリコーン共重合体の形態で存在する場合がある。オレフィン/シリコーン共重合体の市販例としては、Mitsui Fine Chemicals,Inc.(Tokyo、JP)製のEXFOLA(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
上述したように、スリップ剤はさらに、脂肪酸アミドを含む。「脂肪酸アミド」は、構造:
【0033】
【化4】
【0034】
を有する分子を意味し、式中、RはC〜C27アルキル部分である。各種実施形態において、RはC11〜C25、またはC15〜C23アルキル部分である場合がある。一実施形態において、RはC21アルキル部分である。かかる実施形態のいずれにおいても、Rは飽和、モノ−不飽和、またはポリ不飽和である場合がある。一実施形態において、Rはモノ−不飽和である。使用に適した脂肪酸アミドの具体例としては、エルクアミド、オレアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、及びベヘンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、脂肪酸アミドは、2つ以上の脂肪酸アミドの混合物である場合がある。一実施形態において、脂肪酸アミドはエルクアミドである。
【0035】
一実施形態において、シリコーン及び脂肪酸アミドは、スリップ剤及びエチレン系ポリマーの総重量を基準として、0.35〜3.0重量%、0.5〜2.5重量%、0.75〜2.0重量%、または1.0〜1.5重量%の範囲の総量で存在する場合がある。さらに、シリコーン及び脂肪酸アミドは、1:25〜2:1、1:20〜2:3、または1:6〜1:2の範囲の脂肪酸アミドとシリコーンの重量比で存在する場合がある。各種実施形態において、シリコーンは、スリップ剤及びエチレン系ポリマーの総重量を基準として、0.25〜2.9重量%、または0.25〜2.0重量%の範囲の個々の量で存在する場合がある。さらに、脂肪酸アミドは、スリップ剤及びエチレン系ポリマーの総重量を基準として、0.1〜1.5重量%、0.1〜1.0重量%、または0.1〜0.5重量%の範囲の個々の量で存在する場合がある。
【0036】
追加のスリップ剤成分は、任意にシリコーン及び脂肪酸アミドに含まれてよい。かかる任意のスリップ剤成分としては、可塑剤、有機アミン、二塩基性エステル、ステアリン酸塩、硫酸塩、脂肪酸、鉱油、植物油、これらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる追加のスリップ剤成分は、スリップ剤の総重量を基準として、多くとも50重量%、多くとも25重量%、多くとも15重量%、多くとも10重量%、または多くとも5重量%の量で存在する場合がある。一実施形態において、スリップ剤は、他のスリップ剤成分を全く含有しないか、または実質的に含有しない(例えば、10ppmw未満)。したがって、ある種の実施形態において、スリップ剤は基本的に、上述したシリコーン及び脂肪酸アミドからなる。他の各種実施形態において、スリップ剤は、上述したシリコーン及び脂肪酸アミドからなる。
【0037】
添加剤
ポリマー組成物は任意に、ケーブル外皮で一般に使用される非導電性カーボンブラックを含有する場合がある。カーボンブラック成分は、上述したように、純粋な、または前もって混合するマスターバッチの一部として、エチレン系ポリマー及びスリップ剤と混ぜ合わせることができる。各種実施形態において、組成物中のカーボンブラックの量が、ポリマー組成物の総重量を基準として、ゼロより大きく(>0)、典型的には1から、より典型的には2から、3重量%までである場合がある。通常のカーボンブラックの非限定例としては、ASTM N550、N472、N351、N110及びN660で記載されるグレードの、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。好適なカーボンブラックの他の非限定例としては、Cabot製の商標CSX(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、MONARCH(登録商標)、及びREGAL(登録商標)で販売されているようなものが挙げられる。
【0038】
ポリマー組成物は任意に、1つ以上の追加の添加剤を含有する場合があり、これらは一般に、純粋なまたはマスターバッチの一部として、通常の量で加えられる。かかる添加剤としては、難燃剤、加工助剤、核剤、発泡剤、架橋剤、充填剤、顔料または染料、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線安定剤(紫外線吸収剤を含む)、粘着付与剤、スコーチ防止剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、粘性調整剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、エクステンダーオイル、酸捕捉剤、金属不活性化剤、加硫剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
難燃剤の非限定例としては、アルミニウム水酸化物及び水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
加工助剤の非限定例としては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンオキシドのポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、木蝋、石油ワックス、非イオン性界面活性剤、及びDupont Performance Elastomers LLC製のVITON(登録商標)またはDyneon LLC製のDYNAMAR(商標)などのフルオロエラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
核剤の非限定例としては、Milliken Chemicals(Spartanburg、S.C.)製のHYPERFORM(登録商標) HPN−20E(ステアリン酸亜鉛との1,2シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩)が挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
充填剤の非限定例としては、クレー、沈殿シリカ及びケイ酸塩、ヒュームドシリカ、二硫化モリブデン及び硫酸バリウムなどの金属硫化物及びケイ酸塩、ホウ酸バリウム及びホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩、アルミニウム無水物などの金属無水物、粉砕したミネラル、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(「EPDM」)及びエチレン−プロピレンゴム(「EPR」)などのエラストマー系ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、充填剤は一般に、ポリマー組成物の総重量を基準として、通常の量、例えば5重量%以下〜50重量%以上、で添加される。
【0043】
化合物
上述したポリマー組成物は、任意の好適な方法により作製することができる。例えば、スリップ剤、及び任意の添加剤(例えば、カーボンブラック、充填剤など)を、エチレン系ポリマーを含有する溶解物に加えることができる。成分を配合、ブレンドすること、例えば、BanburyまたはBollingの内部ミキサーなどの内部バッチミキサーを使用すること、により実施することができる。あるいは、Farrel連続ミキサー、Werner and Pfleidererツインスクリューミキサー、またはBuss混練連続押出成形機などの連続シングルまたはツインスクリューミキサーを使用することができる。
【0044】
スリップ剤及び任意の添加剤は、単独(純粋)でまたは予混合マスターバッチとして、エチレンポリマー組成物に導入することができる。かかるマスターバッチは一般に、スリップ剤及び任意の添加剤を、ポリエチレンなどの不活性プラスチック樹脂に分散させることにより形成される。マスターバッチは溶融混合方法により都合良く形成される。
【0045】
ポリマー組成物
得られたポリマー組成物は、ケーブル外皮を形成するために用いることができるが、摩擦係数が低い場合がある。「外皮」は、ケーブルまたは他の種類のコーティングされた導体の最も外部のコーティングまたは層を意味する。一実施形態において、ポリマー組成物は、摩擦係数が0.15以下、もしくは0.15未満、0.14未満、または0.13未満である。摩擦係数は、ASTM D1894に従って測定される。摩擦係数測定のために用いた基材は、DOW HDPE DGDB−2480 NTであり、これは、The Dow Chemical Company(Midland、MI、USA)製高密度ポリエチレンである。各種実施形態において、ポリマー組成物は、摩擦係数が0.08〜0.15、0.09〜0.15、または0.10〜0.15の範囲にある場合がある。
【0046】
理論に束縛されるものではないが、シリコーン及び脂肪酸アミドを組み合わせてスリップ剤として用いる場合、本出願の発明者は、驚異的かつ相乗効果を見いだしている。特に、シリコーン及び脂肪酸アミドを組み合わせることにより、摩擦係数が、シリコーンまたは脂肪酸アミドのいずれかを単独のスリップ剤として使用する場合より、さらにポリマー組成物中のスリップ剤の総量が一定に保持される場合より小さいポリマー組成物を提供する。したがって、各種実施形態において、ポリマー組成物は、摩擦係数が第1の比較組成物及び第2の比較組成物の両方より小さい場合があり、第1の比較組成物は、スリップ剤が完全にシリコーンからなることを除いて、ポリマー組成物と同一の組成を有し、第2の比較組成物は、スリップ剤が完全に脂肪酸アミドからなることを除いて、ポリマー組成物と同一の組成を有し、ポリマー組成物、第1の比較組成物、及び第2の比較組成物のそれぞれにおけるスリップ剤の総量が同じである。
【0047】
製造物品
一実施形態において、本発明のポリマー組成物は、ケーブル、ワイヤー、または導体に、外装または絶縁層として、既知の量及び既知の方法で、例えば、米国特許第5,246,783号、米国特許第6,714,707号、米国特許第6,496,629号、及び米国特許出願第2006/0045439号に記載の装置及び方法を用いて、適用することができる。一般的に、ポリマー組成物は、ケーブルコーティングダイを装着した反応器−押出成形機で調製され、組成物の成分が配合された後、ケーブルまたは導体がダイを通って引き出される時、組成物はケーブルまたは導体上に押出加工される。硬化は反応器−押出成形機で開始してもよい。
【0048】
本発明のポリマー組成物から作製可能である他の製造物品としては、ファイバー、リボン、シート、テープ、チューブ、パイプ、目詰め材、シール、ガスケット、ホース、発泡体、フットウェアベローズ、ボトル、及びフィルムが挙げられる。これらの物品は、既知の装置及び手法を使用して製造することができる。
【0049】
定義
本発明で使用する場合、用語「及び/または」は、2つ以上のアイテムの一覧で使用される時、列挙したアイテムの任意の1つを、それ自体で用いることができ、または列挙したアイテムの2つ以上を任意の組合せで用いることができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、及び/またはCを含有すると記載される場合、前記組成物はA単独で、B単独で、C単独で、AとBを組み合わせて、A及びCを組み合わせて、B及びCを組み合わせて、またはA、B、及びCを組み合わせて含有する場合がある。
【0050】
「ワイヤー」は、導電性の金属の単一ストランド、例えば、銅もしくはアルミニウムまたは光ファイバー単一ストランドを意味する。
【0051】
「ケーブル」及び「パワーケーブル」は、シース内の少なくとも1つのワイヤーまたは光ファイバー、例えば、絶縁被覆または保護用外側の外皮を意味する。通常は、ケーブルは、典型的には、一般的な絶縁被覆及び/または保護外皮中の、1つに束ねた2つ以上のワイヤーまたは光ファイバーである。外装内部の個々のワイヤーまたはファイバーは、むきだしで、覆われて、または絶縁されていてよい。結合ケーブルは、電気ワイヤー及び光ファイバーの両方を含有してよい。ケーブルは、低、中、及び/または高電圧用途用に設計することができる。典型的なケーブル設計は、米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号、及び同第6,714,707号で説明されている。
【0052】
「導体」は、熱、光、及び/または電気を伝える1つ以上のワイヤーまたはファイバーを意味する。導体は、単一ワイヤー/ファイバーまたはマルチワイヤー/ファイバーであってよく、ストランドの形態またはチューブの形態であってよい。好適な導体の非限定例としては、銀、金、銅、カーボン、及びアルミニウムなどの金属が挙げられる。導体は、ガラスまたはプラスチックのいずれかで作製された光ファイバーであってもよい。
【0053】
「残基」は、モノマーについて言及する時、別のモノマーまたはコモノマー分子と重合され、ポリマー分子を生じた結果として、ポリマー分子に属するモノマー分子の部分を意味する。
【0054】
試験方法
摩擦係数
摩擦係数(「COF」)はASTM D1894に従って、摩擦計を用いて測定される。サンプルのCOFが測定される基材は、商標名DGDB−2480 NTのThe Dow Chemical Company(Midland、MI、USA)製の高密度ポリエチレンである。各サンプルについて、新しい基材を使用し、COFにおける表面摩耗の効果を実証するために、試験は40サイクル繰り返す。下表中で報告されたデータは、40番目のサイクルで得られた値である。
【実施例】
【0055】
実施例1−組み合わせたエルクアミド及びPDMSスリップ剤の相乗効果
6つのサンプル(S1〜S6)を、以下の表1に示す組成物に従って、高密度ポリエチレン(「HDPE」)中で、エルクアミド及びヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(「OH−PDMS」)スリップ剤を組み合わせることにより調製する。用いたエルクアミドは、Croda International Plc(Snaith、UK)製のCRODAMIDE(商標)ERである。用いたOH−PDMSは、Dow Corning Corporation(Midland、MI、USA)製の製品名MB50−314である50重量%のOH−PDMS及び50重量%のHDPEを含有するマスターバッチとして存在する。用いたHDPEは、The Dow Chemical Company(Midland、MI、USA)製の製品名DGDA−6318 BKである。サンプルを調製するためには、初めにエルクアミドをHDPEと好適な容器中で組合せ、続いてOH−PDMSマスターバッチを加えた。その後、材料をBrabenderミキサー中で、175℃かつ15rpmで20分間混合する。次に、混合物を取り除き、直ちに10−ミル厚のプラーク中で180℃かつ500psiで5分間、2500psiで5分間、圧縮成形し、次に、10℃/分でゆっくり冷却した。
【0056】
調製したサンプルS1〜S6のそれぞれについて、2つの対応する比較サンプル(CS1 A及びB〜CS6 A及びB)を、比較サンプルがそれぞれエルクアミドまたはOH−PDMSのいずれかのうちの1つのみを含有すること除いて同じ調製方法を使用して調製する。それぞれの場合に、それぞれの比較サンプルにおけるスリップ剤の総量は、その対応するサンプルにおけるスリップ剤の総量と同じでなければならない。
【0057】
それぞれのサンプル及び比較サンプルの摩擦係数(「COF」)を上記で与えられた試験方法によって測定する。結果は、以下の表1で与えられる。
【0058】
【表1】
【0059】
表1で明らかなように、スリップ剤の総量を一定に保つ場合、サンプルS1〜S6のそれぞれは、エルクアミドのみ、またはOH−PDMSのみを含有するサンプルと比較すると、エルクアミドをOH−PDMSと組み合わせることと関連した相乗効果を示す。これは、サンプルのそれぞれが、その対応する、エルクアミドまたはOH−PDMSを含有する比較サンプルのどちらかより低いCOFを有するからであり、これは、驚異的、かつ予想外の結果である。
【0060】
実施例2−MDPE中のエルクアミド及びPDMSスリップ剤の相乗効果
HDPEの代わりに中密度ポリエチレン(「MDPE」)用いることを除いて実施例1の上述した方法で、サンプル(S8)及び2つの対応する比較サンプル(CS8 A及びCS8 B)を調製する。用いたMDPEは、The Dow Chemical Company(Midland、MI、USA)製の製品名Dow MDPE DHDA−8864である。OH−PDMS及びエルクアミドは、実施例1の上述したものと同じである。上記試験方法のセクションで、提供される手順に従って、S8、CS8 A、及びCS8 BをCOFに関して分析する。S8、CS8 A及びCS8 Bの組成物及びCOF値は、以下の表2で与えられる。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例1のサンプルと同様に、OH−PDMS及びエルクアミドを組み合わせることにより、スリップ剤のOH−PDMSまたはエルクアミドのみを含有する比較サンプルと比較すると、MDPE中のCOFが相乗的により低くなる。
【0063】
実施例3−鉱油及びPDMSスリップ剤(比較)
組み合わせたスリップ剤比較サンプル(CS9)及び2つの対応する比較サンプル(CS9 A及びCS9 B)を、エルクアミドを鉱油と代えることを除いて実施例1の上述した同じ方法で調製する。この実施例で用いた鉱油は、ExxonMobil Chemical Company(Houston、TX、USA)製のUnivolt N 61Bである。上記試験方法のセクションで提供された手順に従って、CS9、CS9 A及びCS9 BをCOFに関して分析する。CS9、CS9 A及びCS9 Bの組成物及びCOF値は、以下の表3で与えられる。
【0064】
【表3】
【0065】
上記の表3で列挙した結果から理解され得るように、CS9にスリップ剤を組み込むと、鉱油単独(CS9 B)と比較して、COFがより低くなるが、単独のスリップ剤として使用されたOH−PDMS(CS9 A)と比較した場合、COFはより低くならない。したがって、OH−PDMS及び鉱油を組み合わせると、相乗効果を有するスリップ剤がもたらされない。
【0066】
実施例4−エポキシ化大豆油及びPDMSスリップ剤(比較)
組み合わせたスリップ剤比較サンプル(CS10)及び2つの対応する比較サンプル(CS10 A及びCS10 B)を、エルクアミドをエポキシ化大豆油(「ESO」)と代えることを除いて実施例1の上述した同じ方法で調製する。実施例1で用いたESOは、Arkema,Inc.King of Prussia(PA,USA)から得た。上記試験方法のセクションで提供された手順に従って、CS10、CS10 A、及びCS10 BをCOFに関して分析するCS10、CS10 A、及びCS10 Bの組成物及びCOF値は、以下の表4に与えられる。
【0067】
【表4】
【0068】
上記の表4で列挙した結果から理解され得るように、CS10にスリップ剤を組み込む
と、ESO単独(CS10 B)と比較して、COFがより低くなるが、単独のスリップ
剤として使用されたOH−PDMS(CS10 A)と比較した場合、COFはより低く
ならない。したがって、OH−PDMS及びESOを組み合わせると、相乗効果を有する
スリップ剤がもたらされない。

本出願は、例えば以下の発明を提供する。
[1] ケーブル外皮ポリマー組成物であって、(a)エチレン系ポリマーと、(b)スリップ剤とを含み、該スリップ剤はシリコーン及び脂肪酸アミドを含み、該シリコーン及び該脂肪酸アミドは、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.35〜3.0重量パーセントの範囲の総量で存在する、前記ケーブル外被ポリマー組成物。
[2] 該シリコーンがポリジメチルシロキサン、ポリ(メチル−エチルシロキサン)、及びこれらの混合物からなる群から選択され、該脂肪酸アミドが、エルクアミド、オレアミド、パルミトアミド、ステアルアミド、ベヘンアミド、及びこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、[1]に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[3] 該シリコーンがヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンであり、該脂肪酸アミドがエルクアミドである、[1]または[2]のいずれかに記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[4] 該シリコーン及び該脂肪酸アミドが、1:25〜2:1の範囲の脂肪酸アミド対シリコーンの重量比で存在し、該シリコーンが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.25〜2.9重量パーセントの範囲の量で存在し、該脂肪酸アミドが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.1〜1.5重量パーセントの範囲の量で存在する、[1〜[3のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[5] 該ケーブル外皮ポリマー組成物が、ASTM D1894に従って測定した場合、0.15未満の摩擦係数を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[6] 該ケーブル外皮ポリマー組成物が、第1の比較組成物及び第2の比較組成物の両方よりも低い摩擦係数を有し、該第1の比較組成物が、該スリップ剤が完全に該シリコーンからなることを除いて、該ケーブル外皮ポリマー組成物と同一の組成を有し、該第2の比較組成物が、該スリップ剤が完全に該脂肪酸アミドからなることを除いて、該ケーブル外皮ポリマー組成物と同一の組成を有し、該摩擦係数はASTM D1894に従い測定される、[1〜[5のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[7] 該エチレン系ポリマーが高密度ポリエチレンである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[8] 該スリップ剤が、該シリコーン及び該脂肪酸アミドからなる、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[9] 該シリコーン及び該脂肪酸アミドが、成分(a)及び(b)の総重量を基準として、0.5〜2.5重量パーセントの範囲の総量で存在し、該シリコーン及び該脂肪酸アミドが、1:20〜2:3の範囲の脂肪酸アミド対シリコーンの重量比で存在する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の前記ケーブル外皮ポリマー組成物。
[10] 製造物品であって、(a)導体と(b)該導体を少なくとも部分的に取り囲むコーティングとを含み、上記[1]に記載の該ケーブル外皮ポリマー組成物が該コーティングの少なくとも一部分を構成する、前記製造物品。