(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カットされた原石におけるフォトルミネッセンスを刺激するための波長において光を放出するように構成された前記少なくとも1つのレーザ光源は、約325nm、約375nm、約458nm、約514nm、約785nm、及び約830nmのうちの1つの波長において実質的に光を放出するように構成された少なくとも1つのレーザ光源を含む、請求項4に記載の装置。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様における本発明に従い、カットされた原石が単一の測定場所に位置づけられている間に上記カットされた原石の複数のパラメータを測定する装置が提供され、上記装置は、放出される光が上記測定場所の少なくとも一部を照射するように、複数の放出波長又は波長レンジのうちの異なる1つにおいて光を放出するように各々構成された複数の光源と、上記複数のパラメータを測定するために複数の感知波長又は波長レンジにおいて光を感知するように構成されたセンサアセンブリであって、上記の感知される光は、上記測定場所に位置するカットされた原石の照射の結果として上記測定場所から上記センサアセンブリにおいて受信される、センサアセンブリと、を含む。
【0006】
場合により、上記装置は、上記カットされた原石のファセットの内外への光の透過を容易にするように上記カットされた原石を上記測定場所に保つ支持アセンブリ、をさらに含む。
【0007】
場合により、上記複数の光源は、カットされた原石の吸収を測定するための光を放出するように構成された広帯域光源を含む。
【0008】
場合により、上記広帯域光源は、約300nmから約520nmのレンジ内の波長において光を放出するように構成される。
【0009】
場合により、上記複数の光源は1つ以上のレーザ光源を含む。
【0010】
場合により、上記1つ以上のレーザ光源は、カットされた原石からの検出可能な波長におけるラマン放出スペクトルを刺激するのに適した波長において光を放出するように構成されたレーザ光源を含む。
【0011】
場合により、上記レーザ光源は約660nmにおいて光を放出するように構成される。
【0012】
場合により、上記1つ以上のレーザ光源は、カットされた原石におけるフォトルミネッセンスを刺激するのに適した波長において光を放出するように構成された少なくとも1つのレーザ光源を含む。
【0013】
場合により、カットされた原石におけるフォトルミネッセンスを刺激するための波長において光を放出するように構成された上記少なくとも1つのレーザ光源は、約325nm、約375nm、約458nm、約514nm、約785nm、及び約830nmのうちの1つの波長において実質的に光を放出するように構成された少なくとも1つのレーザ光源を含む。
【0014】
場合により、上記複数の光源はUV光源を含む。
【0015】
場合により、上記センサアセンブリは、ある波長レンジ内の光の検出を防止するように構成された波長制限手段(wavelength restriction means)を含む分光計を含む。
【0016】
場合により、上記分光計は電荷結合素子を含み、上記波長制限手段は、上記分光計に入る光の経路上に、上記電荷結合素子の前に位置するマスクを含む。
【0017】
場合により、上記分光計は、上記分光計に入る光の経路上に、上記マスクの前に位置する回折格子をさらに含む。
【0018】
場合により、上記波長レンジは350nmから400nmである。
【0019】
場合により、上記装置は、カットされた原石の吸収を測定するための光を放出するように構成された広帯域光源、をさらに含み、上記UV光源は、カットされた原石の蛍光を測定するための光を放出するように構成され、上記分光計は、400nmから508nmの波長レンジ内の蛍光を測定し、300nmから350nmと400nmから508nmとの2つのレンジ内の吸収を測定するように構成される。
【0020】
場合により、上記装置は、カットされた原石の蛍光と吸収とを同時に測定するように構成される。
【0021】
場合により、上記センサアセンブリは複数のセンサを含み、各々が複数の感知波長又は波長レンジのうちの異なる1つ以上において光を感知するように構成される。
【0022】
場合により、上記複数のセンサは、カットされた原石の吸収を測定するための波長レンジにおいて光を感知するように構成された分光計を含む。
【0023】
場合により、上記分光計は、約300nmから約520nmの波長レンジにおいて光を感知するように構成される。
【0024】
場合により、上記複数のセンサは、カットされた原石のラマン放出スペクトルを測定するための波長レンジにおいて光を感知するように構成された分光計を含む。
【0025】
場合により、上記分光計は、700nmから800nmの波長レンジにおいて光を感知するように構成される。
【0026】
場合により、上記複数のセンサは、カットされた原石のフォトルミネッセンスを測定するための波長において光を感知するように構成された少なくとも1つの分光計を含む。
【0027】
場合により、上記少なくとも1つの分光計は、約380nmから約520nmのレンジと約460nmから約850nmのレンジとのうち少なくとも1つのレンジ内の波長において光を感知するように構成される。
【0028】
場合により、上記複数のセンサは、カットされた原石の蛍光又はリン光を測定するための波長において光を感知するように構成された画像捕捉デバイスを含む。
【0029】
場合により、上記画像捕捉デバイスは、約400nmから約700nmの波長レンジにおいて光を感知するように構成されたカメラである。
【0030】
場合により、上記画像捕捉デバイスは、原石のカット及び/又は原石のサイズを決定するための画像を捕捉するように構成される。
【0031】
場合により、上記装置は、上記光源アセンブリから放出される光を上記測定場所に向ける手段、をさらに含む。
【0032】
場合により、上記光源アセンブリからの光を上記測定場所に向ける上記手段は、光ファイバを含む。
【0033】
場合により、上記装置は、上記測定場所からの光を上記センサアセンブリに向ける手段、をさらに含む。
【0034】
場合により、上記測定場所からの光を上記センサアセンブリに向ける手段は、光ファイバを含む。
【0035】
場合により、上記装置は、上記光源アセンブリからの光を上記測定場所に向け、上記測定場所からの光を上記センサアセンブリに向けるように構成されたマルチ分岐光ファイバアセンブリ、をさらに含む。
【0036】
場合により、上記マルチ分岐光ファイバアセンブリは複数の光ファイバフィラメントを含み、各々が、上記複数の光源のうちの1つから、又は上記複数のセンサのうちの1つに、光を向けるように構成される。
【0037】
場合により、上記光源アセンブリから放出される光を上記測定場所に向ける手段は、光マルチプレクサを含み、上記光マルチプレクサは、上記複数の光源のうちの異なる1つに各々接続された複数の入力と、上記測定場所に光を向ける出力とを含み、上記光マルチプレクサは、上記複数の入力のうちの1つにおいて受信される光を選択し、上記の選択された光が上記出力から放出されることを可能にするように構成される。
【0038】
場合により、上記測定場所からの光を上記センサアセンブリに向ける手段は、光デマルチプレクサを含み、上記光デマルチプレクサは、上記測定場所から光を受信するように構成された入力と、上記複数のセンサのうちの1つに各々接続された複数の出力とを含み、上記光デマルチプレクサは、上記複数の出力のうち1つを選択し、上記入力において受信される光が上記の選択された出力から放出されることを可能にするように構成される。
【0039】
場合により、上記光マルチプレクサ及び上記光デマルチプレクサは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサを形成する。
【0040】
場合により、上記装置は、上記の測定されたパラメータに基づいて、カットされた原石が天然又は合成であるかを決定する手段、をさらに含む。
【0041】
場合により、上記装置は、ダイヤモンドと模倣物とを区別する手段、をさらに含む。
【0042】
場合により、上記装置は、上記の測定されたパラメータに基づいて、カットされた原石がその色を改善するように加工されているかを決定する手段、をさらに含む。
【0043】
場合により、上記装置は、カットされた原石の吸収とカットされた原石のラマン放出スペクトルとを同時に測定するように構成される。
【0044】
場合により、上記装置は、カットされた原石のフォトルミネッセンスとカットされた原石のラマン放出スペクトルとを同時に測定するように構成される。
【0045】
場合により、上記装置は、カットされた原石の吸収とカットされた原石のフォトルミネッセンスとを同時に測定するように構成される。
【0046】
場合により、上記カットされた原石はダイヤモンドである。
【0047】
第2の態様における本発明に従い、上記で説明されたいずれかの装置を含み、上記の測定されたパラメータに依存して、カットされた原石を分類するように構成された分類装置が提供される。
【0048】
場合により、上記カットされた原石を分類することは、原石がその色を改善するように加工されているかを識別することを含む。
【0049】
場合により、上記カットされた原石を分類することは、原石の色、サイズ、及びカットのうちの1つ以上を決定することを含む。
【0050】
場合により、上記カットされた原石を分類することは、ダイヤモンドと模倣物とを区別することを含む。
【0051】
第3の態様における本発明に従い、カットされた原石が単一の測定場所に位置づけられている間に上記カットされた原石の複数のパラメータを測定する方法が提供され、上記方法は、上記カットされた原石の少なくとも一部を、第1の放出波長又は波長レンジを有する光で照射するように、第1の光源を動作させるステップと、上記第1の放出波長又は波長レンジにおける上記カットされた原石の照射の結果として、第1の感知波長又は波長レンジにおいて上記測定場所から受信される光を感知するステップと、上記第1の感知波長又は波長レンジにおける上記の感知された光に基づいて、上記カットされた原石の第1のパラメータを測定するステップと、上記カットされた原石の少なくとも一部を、上記第1の放出波長又は波長レンジとは異なる第2の放出波長又は波長レンジを有する光で照射するように、第2の光源を動作させるステップと、上記第2の放出波長又は波長レンジにおける上記カットされた原石の照射の結果として、第2の感知波長又は波長レンジにおいて上記測定場所から受信される光を感知するステップと、上記第2の感知波長又は波長レンジにおける上記の感知された光に基づいて、上記カットされた原石の第2のパラメータを測定するステップと、を含む。
【0052】
場合により、上記第1の感知波長又は波長レンジは、上記第2の感知波長又は波長レンジとは異なる。
【0053】
場合により、上記第1及び第2の光源の各々は、上記第1及び第2の光源が光を同時に放出するように動作する。
【0054】
第4の態様における本発明に従い、カットされた原石を分類する方法であって、上記で説明されたいずれかの方法を含み、上記の測定されたパラメータに依存して上記カットされた原石を分類することをさらに含む方法が提供される。
【0055】
場合により、前記カットされた原石を分類することは、原石がその色を改善するように加工されているかを識別することを含む。
【0056】
場合により、前記カットされた原石を分類することは、原石がダイヤモンド又は模倣物であるかを識別することを含む。
【0057】
第5の態様における本発明に従い、上記で説明されたいずれかの方法を実行するように構成された非一時的コンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0059】
全体として、本明細書に開示されるのは、カットされた原石(cut gemstone)の複数のパラメータを測定する方法及び装置である。具体的に、本明細書に開示されるのは、カットされた原石の複数のパラメータを、この原石が単一の測定場所にある間に測定する方法及び装置である。
【0060】
本明細書において、カットされた原石についての用語「パラメータ」は、原石の吸収と、原石のラマン及び/又はフォトルミネッセンススペクトルと、原石の色又は透明度と、原石のサイズと、原石のカットとを包含する。
【0061】
発明者は、複数のパラメータが単一の装置によって単一の測定場所において引き受けられる場合に、信頼性と、特に、カットされた原石が分類されるスピードとを、改善することができると十分理解している。
【0062】
具体的な例示的な方法及び装置において、吸収測定とラマン又はフォトルミネッセンス測定とが、カットされた原石が単一の測定場所にある間に各々引き受けられる。これら2つの測定は、従来、典型的には単一の装置では実行されず、2つの個々の器具を用いて実行されていた。
【0063】
器具は、天然の加工されていない(untreated)ダイヤモンドと合成ダイヤモンドと加工された(treated)ダイヤモンドとの識別を支援するのに利用可能である。例えば、DiamondSure(登録商標)、DiamondView(登録商標)及びDiamondPLus(登録商標)が、Diamond Trading Companyにより製造され、等級分けする研究所により使用されている。DiamondSure(登録商標)は、ダイヤモンドによる可視光の吸収を測定することによって動作する。合成の又は加工されたダイヤモンド(ダイヤモンドタイプIaB又はIIaに限られる)の可能性を示す吸収スペクトルを有する石が、そのようなものとして類別される。DiamondSure(登録商標)により参照される石は、DiamondView(登録商標)を用いてテストされ、紫外線放射で照射される。ユーザは、カメラを用いて捕捉される、結果として生じる表面蛍光の画像を、学習することができる。合成ダイヤモンドからの蛍光色及びパターンが天然ダイヤモンドの蛍光色及びパターンと大きく異なることを考えると、DiamondView(登録商標)は、宝石学的研究所や宝石類専門家が、ダイヤモンドが天然又は合成であるかを決定することを可能にする。DiamondView(登録商標)を用いて捕捉されるリン光画像は、さらなる証拠を提供することができる。
【0064】
天然起源のダイヤモンドの1−2%は、名目上、窒素不純物がない。これらは、タイプIIダイヤモンドと呼ばれ、DiamondView(登録商標)に対するDiamondSure(登録商標)参照の重要なカテゴリを形成する。上記天然起源がDiamondView(登録商標)を用いて確認された後、こうした石がその色を改善するように人工的に加工されているかをチェックすることが必要である。石は、DiamondPLusを用いてテストされ、DiamondPLusを使用して、さらなるより詳細なテストを必要とするタイプIIダイヤモンドの数を大きく低減させる迅速なフォトルミネッセンス測定を行うことができる。
【0065】
図1aは、カットされた原石が単一の測定場所にある間に該原石の複数のパラメータを測定する装置の概略表現を示している。装置100は測定場所102を画定し、測定場所102に、カットされた原石104が位置づけられる。
【0066】
特定の例示的な装置及び方法において、カットされた原石104はダイヤモンドである。
【0067】
測定場所102は平らな表面を含むことができ、該表面上に、カットされた原石を手動で、例えば技術者によって、位置づけることができる。他の例示的な装置において、測定場所102は、輸送手段、例えば、コンベヤ又は真空輸送の経路と一致してもよい。こうした装置において、コンベヤは、カットされた原石104を第1の場所、例えばホッパから測定場所102に輸送するように構成することができる。他の例示的装置において、測定場所は、液体窒素などの低温流体を保持する容器の中に位置してもよい。こうした装置において、カットされた原石は、1つ以上の測定が実行される間、液体窒素の中に沈められることができる。原石は、光が通過することができるウィンドウを備えたクライオスタットの中に置かれてもよい。
【0068】
カットされた原石104が測定場所102に位置づけらていれる間、原石104の複数のパラメータが測定される。
図1aの例示的な装置において、第1の光源106が、第1の放出波長又は波長レンジにおいて光を放出するように構成される。
図1aの例示的な装置100において、第1の光源106は、広帯域光源、例えば、タングステンハロゲンランプである。
図1aに図示される例において、第1の光源106は、スペクトルの300nmから520nmの波長において光を放出するように構成される。
【0069】
本明細書において、用語「広帯域光源」は、ある波長レンジにわたって同時に光を放出する光源を包含する。広帯域光源は、例えば単一周波数レーザなどの、コヒーレント位相を有する特定波長における光を放出しない光源をさらに包含する。広帯域光源は、例えば、ランプ又はLEDであり得る。
【0070】
第2の光源108は、第2の放出波長又は波長レンジにおいて光を放出するように構成される。
図1aの例示的な装置100において、第2の光源108は、660nmの波長において光を放出するように構成されたレーザ光源である。
【0071】
装置100は、ある波長レンジ、例えば300nm乃至520nmにおいて吸収を測定し、別の波長レンジ、例えば700nm乃至800nmにおいてラマン散乱及び/又はフォトルミネッセンスを測定する。ラマン散乱及び/又はフォトルミネッセンスは、660nmレーザ源によって刺激されることができる。
【0072】
したがって、第1のセンサ110は、第1の感知波長又は波長レンジにおいて光を感知するように構成される。
図1aの例示的な装置100において、第1のセンサ110は、300nmから520nmのレンジ内の波長の光を感知するように構成された分光計である。
【0073】
第2のセンサ112は、第2の感知波長又は波長レンジにおいて光を感知するように構成される。
図1aの例示的な装置100において、第2のセンサは、700nmから800nmのレンジ内の波長の光を感知するように構成された分光計である。
【0074】
第1及び第2の光源106、108と、第1及び第2のセンサ110、112とは、光ファイバアセンブリ114に各々光学的に結合される。光ファイバアセンブリ114は、第1及び第2の光源106、108から測定場所102に光を向けるように構成される。さらに、光ファイバアセンブリ114は、測定場所102から第1及び第2のセンサ110、112に光を向けるように構成される。
【0075】
光ファイバアセンブリ114は、4つの光ファイバフィラメント114a‐dを含むマルチ分岐(multi-furcated)光ファイバである。光ファイバフィラメント114a‐dは、単一の光ファイバケーブル116の中に一緒に保持される。光ファイバケーブル116は、フィラメント114a‐dの端部が測定場所102に各々向けられるように配置される。光ファイバアセンブリ114は、4つの浮動リード(flying leads)を含み、この浮動リードは、各フィラメントに対して1つであり、光源106、108又はセンサ110、112に光学的に結合することができる。光ファイバアセンブリ114は、測定場所102に位置づけられたとき、原石104に直接光を結合し、原石104から直接光を検出するように構成される。このことを援助するために、光ファイバフィラメント114a‐dは、十分に磨かれ、原石104のテーブルファセットと深く接触する。原石104が磨かれてもよい。
【0076】
第1の光源106はフィラメント114aに接続され、フィラメント114aは、第1の光源106により放出された光を、それが測定場所102の少なくとも一部を照射するように、測定場所102に向ける。第2の光源108はフィラメント114bに接続され、フィラメント114bは、第2の光源108により放出された光を、それが測定場所102の少なくとも一部を照射するように、測定場所102に向ける。第1のセンサ110はフィラメント114cに接続され、フィラメント114cは光を測定場所102から第1のセンサ110に向ける。
【0077】
図1の例示的な装置100は、第1及び第2のセンサ110、112の各々と電気的に通信するプロセッサ118を含む。プロセッサ118は、原石が天然であり、合成であり、又は加工されているかを、センサ110、112により取得される測定値に基づいて決定するように構成される。プロセッサ118は、任意的な特徴である。この構成において、プロセッサは、例えば、吸収測定から、色の等級又はカテゴリを出力するように構成することができる。
【0078】
例示的な装置において、第1の光源106及び第2の光源108は、光源アセンブリを形成することができる。任意数の光源が使用されてよいことが留意される。例えば、例示的な装置において、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の光源が使用されてもよい。各光源は、他の光源と比較されたときに異なる放出波長又は波長レンジにおいて光を放出するように構成することができる。別法として、1つ以上の光源についての放出波長又は波長レンジが一致してもよく、あるいは重なってもよい。さらに、複数の光源が、複数の波長又は波長レンジのうち1つ以上において光を放出するように構成された単一の調節可能光源によって提供されてもよい。例えば、第1及び第2の光源106、108が、単一の調節可能レーザによって提供されてもよい。
【0079】
同様に、センサは、感知アセンブリの一部を形成することができる。こうした装置において、感知アセンブリは任意数のセンサを含んでよい。典型的には、別個のセンサが各々の別個の光源に対応する。こうした装置において、センサは、対応する光源が測定場所102に位置するカットされた原石を照射する結果として、測定場所102から受信される光を感知するように構成される。しかしながら、他の例示的な装置において、1つのセンサが複数の光源に対応してもよい。こうした装置において、センサは、第1の対応する光源が測定場所102に位置するカットされた原石を照射する結果として、測定場所102から受信される光を感知するように構成され、さらに、第2の対応する光源が測定場所102に位置するカットされた原石を照射する結果として、測定場所102から受信される光を感知するように構成されることができる。
【0080】
図1aの例示的な装置100において、測定は2つの個々の光源106、108と2つの対応する個々の分光計110、112とを用いて行われ、各々が共通の光ファイバアセンブリ114に結合されている。各分光計110、112に入る光を制御するように、1つ以上の光フィルタが装置110に含まれてもよい。さらに、光源106、108のうち一方又は双方が、光源106、108から対応する光ファイバフィラメント114a、114bへ光を選択的に放出するように構成されたシャッターを含んでもよい。このことは、光源106、108が容易に及び/又は迅速にオンとオフとを切り換えることができない場合に有益であり得る。さらに、シャッターの使用は、分光計110、112に入る光を制御する理想的なフィルタを製作することが技術的に不可能であり、あるいは製作コストが法外に高いときに、有益であり得る。
【0081】
図1bは、別の装置150の概略表現を図示している。装置150は、装置100に対して異なる構成を有し、二分岐(bi-furcated)光ファイバアセンブリと光マルチプレクサ/デマルチプレクサとを使用する。装置150の特徴の多くは、装置100の特徴と同様であり、したがって再度詳細には論じられない。したがって、装置150の説明は、装置100の特徴に対して異なる特徴に限られる。
【0082】
装置150は、二分岐光ファイバケーブル154を含む光ファイバアセンブリ152を含む。光ファイバケーブル154は、第1及び第2のフィラメント156、158を含む。光ファイバケーブル154は、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160と光通信する。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160は、複数の光信号を受信し、この複数の光信号のうち1つ以上を出力するように構成される。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160は、さらに、単一の光信号を受信し、該光信号を複数の出力のうちの1つに出力するように構成される。
【0083】
複数の光源162、164、166が、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160と光通信する。複数の分光計168、170、172が、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160と光通信する。
【0084】
例示的な装置150において、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160は、複数の光源162、164、166のうち1つからの複数の入力のうちの1つを選択し、選択された光源の信号を光ケーブル154の第1のフィラメント156上に出力するように構成される。
【0085】
例示的な装置150において、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ160は、複数の分光計168、170、172のうち1つを選択し、第2のフィラメント158上で受信された光信号を、選択された分光計に出力するように構成される。
【0086】
複数の構成を有する光マルチプレクサ/デマルチプレクサが使用されてよいことが留意される。例えば、MPM‐2000光マルチプレクサは、Ocean Opticsにより販売されている製品である。2つのバージョンが販売されており、第1のバージョンは1つの入力と16個の出力とを有し、第2のバージョンは2つの入力と1入力につき8つの出力とを有する。第2のバージョン(2つの入力と8つの出力とを備える)が装置150において使用されてもよい。2つの入力が二分岐ファイバ152の第1及び第2のフィラメント156、158に取りつけられてもよく、その結果、最大8つの異なる分光計と最大8つの異なる光源とが提供されることになる。
【0087】
この配置の利点は、測定場所に二分岐ファイバしか必要とされないことである。欠点は、8つの入力/出力のうち1つに結合する必要があるため、最大50%の光のロスがあり得ることである。入力/出力間の切り換えは、モータにより行われてもよく、コンピュータ制御されてもよい。
【0088】
図2aは、カットされた原石の複数のパラメータを測定する方法のフロー図を示している。
【0089】
第1の光源106がアクティブ化され(200)て、光ファイバアセンブリ114の光フィラメント114aに光を放出する。光ファイバアセンブリ114は、放出された光を、測定場所102に位置するカットされた原石104に向ける。第1の光源106により放出される広帯域光が、原石104を照射する。放出された光は、原石104によって逆反射される(retro-reflected)(202)。反射された光は、光ファイバアセンブリ114に入り、フィラメント114cに沿って第1のセンサ110に向けられる。第1のセンサ110は、原石104の吸収を決定するために、反射された光のスペクトルを測定する(204)。原石104の吸収は、第1のセンサ110によって、又はプロセッサ118によって決定する(206)ことができる。
【0090】
第2の光源108がアクティブ化され(208)て、光ファイバアセンブリ114のフィラメント114bへ660nmの波長において光を放出する。フィラメント114bは、放出された光を、測定場所102に位置づけられた原石104に向け、このことが、原石104からのラマン放出を刺激する(210)。原石104から放出された光は、光ファイバアセンブリ114のフィラメント114dに入り、第2のセンサ112に向けられる。第2のセンサ112は、ラマン散乱した光又は他のフォトルミネッセンス放出のスペクトルを測定する(212)。ラマンスペクトル測定は、室温において実行されてもよい。
【0091】
原石104についての吸収の特徴とラマンスペクトル及び/又はフォトルミネッセンスの特徴との決定に続いて、プロセッサ118が、原石が天然又は合成であるかを決定する。装置は、さらに、原石の色、等級、又は他の物理パラメータを決定してもよい。装置は、原石104が天然又は合成であるかの決定に基づいて原石104を分類するように構成することができる。
【0092】
これまでに知られる装置では、吸収測定が実行され、それからその結果に依存して原石が別個のビンに分配される。ビンには、「合格(pass)」、「合格‐熱ペン(thermal pen)でチェック」、「参照(refer)(タイプII)」、及び「参照」を含むことができる。発明者は、メレをふるい分ける(screening)ときに「合格 熱ペンでチェック」の結果を受ける石の数が約20%である可能性を十分理解している。このことは、石の約20%が熱ペンテストを受けてこれらが天然ダイヤモンド又は模倣物(simulant)であるかを確認する必要があることを意味している。発明者はさらに、ラマン測定の組み込みが、熱ペンテストの必要を除去することを十分理解している。ラマン測定は、テスト下の石がダイヤモンドであるかを確認することができ、吸収測定と並んで(alongside)行われる場合に、「合格 熱ペンでチェック」の結果が「合格」又は「非ダイヤモンド」の結果として再区分されることを可能にし、したがって、別個の熱ペンテストの必要を除去する。
【0093】
測定時間をさらに低減するために、吸収測定とラマン測定とが、測定と測定との間に石が移動する必要がないように組み合わせられている。したがって、石は、測定が行われる間、単一の測定場所にとどまる。
【0094】
特定の例示的な方法及び装置において、吸収及びラマン測定が同時に行われてもよい。このことは、第1及び第2の放出波長又は波長レンジと第1及び第2の感知波長又は波長レンジとの注意深い選択により、可能にされる。さらに、複数の光フィルタが、各分光計に到達する光の波長を選択するように構成されてもよい。さらに、ランプシャッター及び/又はフィルタが、上記で説明されたとおり、必要とされてもよい。
【0095】
図2bは、カットされた原石の複数のパラメータを同時に測定する方法のフロー図を示している。第1及び第2の光源が、これら光源が同時に光を放出するようにアクティブ化される(250)。各光源により放出された光は、測定場所に位置づけられた原石から反射される(252)。反射された光は、該光が測定される第1及び第2の分光計に向けられる(254)。測定されたスペクトルを使用して、原石がダイヤモンド又は合成であるかが決定される(256)。
【0096】
上記の方法において、吸収測定は、波長レンジ300nm乃至520nmにわたって行われてもよく、一方、ラマンのレーザ励起は660nmにおいてあり得、ラマン及び/又はフォトルミネッセンス測定レンジは700nm乃至800nmであり得る。したがって、第1の光源は波長レンジ300nm乃至520nm内で光を放出し、一方、(ラマン及び/又はフォトルミネッセンス測定のための)第2の光源は660nmの波長において光を放出する。各測定について2つの異なる波長レンジを選択することが、各系間の干渉を回避し、同時動作を可能にし、これにより合計測定時間が節約される。さらに、光フィルタを使用して、光源の波長レンジを制御し、センサに入る光の波長レンジを制御してもよい。さらに、四分岐(quad-furcated)光ファイバアセンブリ114が、光が干渉なしに光源の各々から及びセンサの各々に進むことを可能にする。しかしながら、特定の環境において、測定値を順次に取得することが有益であり得る。例えば、ランプが比較的長いウォームアップ時間を有する場合、ランプのシャッターを閉める(shutter)ことの提供が必要とされてもよい。さらに、光源により放出され又はセンサにより収集される波長レンジを制御する理想的なフィルタを製作することが技術的に不可能であり、あるいは製作コストが法外に高いときに、ランプのシャッターを閉めることの提供が必要とされてもよい。
【0097】
本明細書に開示される装置及び方法は、カットされた原石が同じ位置にとどまる間、該原石の複数のパラメータの同時的な測定、及び/又は該原石の複数のパラメータの順次的な測定を提供することができる。テスト下の原石は、例えば、光ファイバ測定プローブ上に置かれてもよく、あるいは別の例を挙げると、石がディスクの上に置かれ、光が原石上に焦点を合わせられ、それから分析のために収集されてもよい。光は、上又は下のいずれかから、原石に焦点を合わせられることができる。光が下から焦点を合わせられる実施形態において、ディスクは透明であり得る。
【0098】
図2a及び
図2bを参照して開示された方法は、自動化されてもよい。すなわち、本明細書に開示される装置は、原石が測定場所に存在することを決定し、その決定に依存して光を1つ以上の光源から測定場所に放出するように構成することができる。それから、1つ以上の分光計が、原石からの光を受信し、スペクトルデータを決定するように構成される。プロセッサが、分光計からスペクトルデータを獲得し、読み出し、スペクトルデータを処理し、結果/判断を出力するように構成されてもよい。このプロセスは、自動化又は半自動化されてもよく、コンピュータ又は器具により制御されてもよい。
【0099】
図3は、粒子材料の粒子のパラメータを測定するデバイス300の簡素化された概略図を示している。フィーダ302とスロープ304とが、石を回転ディスク306の上に向けるように構成される。ディスク306が回転されるときに石がたどる経路上のポイントに、測定場所308が位置する。上記で説明されたような、カットされた原石の複数のパラメータを測定する装置310が、測定場所308に近接して位置し、測定場所308に位置する石についての複数のパラメータを測定するように構成される。例示的なデバイスにおいて、装置310は測定場所308の上に位置する。すなわち、石が測定場所308にあるとき、装置310は、ディスク306に対して石の反対側にある。ディスク306が透明である実施形態において、装置310は、ディスク306の真下に位置してもよく、ディスク306を通してパラメータを測定してもよい。
【0100】
デバイス300は、ディスク306が回転して石をフィーダ302から測定場所308に運ぶように構成される。デバイス300は、さらに、石が測定場所308に到達したときにディスク306が回転を停止するように構成される。このようにして、石が十分な時間の間、測定場所308に保持されて、より正確な測定が行われることを可能にすることができる。
【0101】
原石が同じ測定場所内にある間に、複数の測定が行われる。測定は、同時及び/又は順次に行うことができる。測定には、吸収測定、ラマン測定、フォトルミネッセンス測定、及び画像に基づく測定のうち、1つ以上を含むことができる。画像に基づく測定は、サイズ及びカット情報を与えるように構成することができる。
【0102】
図4は、カットされた原石の複数のパラメータを測定する装置400を図示している。装置は、測定場所402を画定し、カットされた原石404が測定場所402に位置づけられることを引き起こし、あるいは可能にするように構成される。測定場所402は、容器405内に位置づけられる。容器は、液体窒素などの冷温流体で満たされてもよい。
【0103】
装置400は第1の光源406を含み、第1の光源406は、
図1aの第1の光源106と同様であり、ゆえにここでは説明されない。装置400は第2の光源408を含み、第2の光源408は
図1aの第2の光源108と同様であり、ゆえにここでは説明されない。さらに、装置400は第3の光源409を含む。第3の光源409は、カットされた原石404のフォトルミネッセンスを測定するための光を放出するように構成されたレーザデバイスである。第3の光源は、325nm、375nm、458nm、514nm、785nm及び830nmのうち1つ以上の波長において実質的に光を放出するように構成することができる。他の例示的な装置において、第3の光源が複数の光源を含み、各々が325nm、375nm、458nm、514nm、785nm及び830nmのうち1つの波長において実質的に光を放出するように構成されてもよい。装置400は、第4の光源411をさらに含む。第4の光源は、カットされた原石404の蛍光及び/又はリン光を測定するための光を放出するように構成される。例示的な装置400において、第4の光源はUVスペクトル内の光を放出する。
【0104】
例示的な装置において、光源のうち1つ以上、例えば、第3の光源が、タングステンハロゲンランプなどの広帯域光源であり得る。例示的な装置において、1つ以上の光源が、レーザ光又は広帯域光のいずれかを選択的に放出するように構成されてもよい。例えば、LEDが、光源のケーシング内の動くアーム上に取り付けられてもよく、このLEDが、ケーシングから広帯域又はレーザ光が放出される位置へと移動されるとき、動くアームは、広帯域又はレーザ光源からの光の放出をブロックする。
【0105】
装置400は第1のセンサ410を含み、第1のセンサ410は、
図1aにおける第1のセンサ110と同様であり、ゆえにここで詳細には説明されない。第1のセンサ410は、原石404が第1の光源406により照射される結果として測定場所402から光を受信するように構成される点で、第1の光源406に対応する。第1の光源406及び第1のセンサ410は、原石404の吸収測定を引き受けるように構成される。装置400は、第2のセンサ412を含み、第2のセンサ412は、
図1aにおける第2のセンサ112と同様であり、ゆえにここで詳細には説明されない。第2のセンサ412は、原石404が第2の光源408により照射される結果として測定場所402から光を受信するように構成される点で、第2の光源408に対応する。第2の光源408及び第2のセンサ412は、原石404のラマン測定を引き受けるように構成される。特定の実施形態において、さらに第3の光源及び第3のセンサが広帯域照射を放出し、検出して、吸収測定を行ってもよい。
【0106】
装置400は第3のセンサ413をさらに含む。第3のセンサ413は、原石404からフォトルミネッセンスにより放出される光を感知するように構成された分光計を含む。具体的に、第3のセンサ413は、380nmから520nmのレンジと460nmから850nmのレンジとのうち1つ以上において実質的に光を感知するように構成される。他の例示的な装置において、第3のセンサが複数のセンサを含み、各々が380nmから520nmのレンジ又は460nmから850nmのレンジにおいて実質的に光を感知するように構成されてもよい。第3のセンサ413は、原石404が第3の光源409により照射される結果として測定場所402から光を受信するように構成される点で、第3の光源409に対応する。第3の光源409及び第3のセンサ413は、原石404のフォトルミネッセンス測定を引き受けるように構成される。
【0107】
装置400は第4のセンサ415をさらに含む。第4のセンサ415は、原石404からの蛍光又はリン光により放出される光を感知するように構成されたカメラ又はPMTセンサである。具体的に、カメラは、400nmから700nmのレンジ内の光を感知するように構成される。カメラは、可視光を感知するように構成されてもよい。第4のセンサ415は、原石404が第4の光源411により照射される結果として測定場所402から光を受信するように構成される点で、第4の光源411に対応する。第4の光源411及び第4のセンサ415は、原石404の蛍光又はリン光測定を引き受けるように構成される。
【0108】
光源406、408、409とセンサ410、412、413とは、
図1aの装置100に関連して上記で説明された方法と同様の方法で、光ファイバアセンブリに光学的に結合される。第4の光源411は、原石404上に直接光を放出するように配置される。第4のセンサ415は、原石404から光を直接検出するように構成される。
【0109】
装置は、
図1aに示されたプロセッサ118と同様のプロセッサをさらに含んでもよい。
【0110】
図1aの装置100は、
図1aに示された光源及びセンサに加えて、又はその代替として、
図4の装置400についての光源及びセンサのうち1つ以上を含んでもよいことが留意される。
【0111】
本明細書に開示され又は例示された各特長は、単体においてか、あるいは本明細書に開示され又は例示された任意の他の特徴との任意の適切な組み合わせにおいて、本明細書に開示された装置又は方法に組み込まれてもよい。
【0112】
装置400は、装置100と同様の方法で、
図2に開示されたとおり、動作する。光源とセンサとの各々対応するペアが、原石404が測定場所402にある間、原石404のパラメータの測定を実行するように動作する。
【0113】
装置400を用いて、吸収測定とラマン測定とフォトルミネッセンス測定とのうち2つ以上を同時に実行することができる。具体的に、吸収測定とラマン測定とが同時に実行されてもよい。さらに、ラマン測定とフォトルミネッセンス測定とが同時に実行されてもよい。吸収測定とフォトルミネッセンス測定とが順次に実行されてもよい。順次的な吸収及びフォトルミネッセンス測定は、光源により放出され又はセンサにより収集される波長レンジを制御するための理想的な光フィルタを製作することが技術的に不可能であり、あるいは製作コストが法外に高くなるときに、必要とされることがある。
【0114】
上記で言及されたとおり、De BeersのAMS装置などの現在の装置は、例えば300nmから508nmのレンジ内の波長を有する光を用いて吸収測定を、例えば700nmから800nmのレンジ内の波長を有する光を用いて別個のフォトルミネッセンス測定を行う。こうした別個の測定に続いて、石が、双方の測定結果に依存して5つのビンのうちの1つに分配されることができる。「合格」ビンに配設された石は、測定後にさらなるテストを必要とせず、「参照 タイプII」ビンに配設された石は、さらなるテストを必要とする。
【0115】
さらなるテストには、通常、装置から石を除去することと別の装置を用いてフォトルミネッセンス測定を行うこととが含まれる。単一の装置内でこうした追加測定を行うことは、装置の全体の合格レートが改善されることになり、別の器具への石の移動が回避されることになるため、有益であろうことを発明者は十分理解している。さらに、別のふるい分け器具の追加コストがもたらされないことになる。
【0116】
コスト及び複雑さを低減するために、単一の分光計と比較的高価でないUV LED光源とを利用する方法及び装置が開発されている。
【0117】
図5は、UV LED511を含む装置500の概略図を示している。
図5の装置は、磨かれたダイヤモンドに対する吸収測定、フォトルミネッセンス測定、及び蛍光測定を行う能力を有する。
【0118】
第1の光源506及び第1の分光計510が、吸収測定を行うことに使用される。UV LED光源511及び第1の分光計510が、蛍光測定を行うことに使用され、レーザ509及び第2の分光計513が、ラマン/フォトルミネッセンス測定を行うことに使用される。レーザ509及び第2の分光計513を含むことは任意的であることが留意される。
【0119】
図5における装置では、第1の分光計510が吸収と蛍光との双方の測定に使用されるので、これらを測定する追加の分光計を必要としない。励起照射が、光ファイバケーブルを通って届けられるのではなくUV LED光源511によって高所に(overhead)導入されるため、追加の光ファイバケーブルも必要とされない。よりコストのかかるレーザ光源ではなく、UV LED光源511が使用される。
【0120】
例示的な方法及び装置において、第1の分光計510は、電荷結合素子(CCD)検出器を利用することができる。特定の例示的な方法及び装置において、第1の分光計510は、CCD検出器を含む「小型」分光計であってもよい。こうしたデバイスにおいて、光は、スリットに入射し、それから、反射回折格子からロングCCD検出器(典型的には、2048x14ピクセル)へと分散される。
【0121】
典型的に、既知のソリューションにおいて、フォトルミネッセンス及び蛍光測定は別個の専用の分光計を用いて行われ、励起光は長波長パスフィルタ(ロングパスフィルタ)の使用により分光計に入ることを防止される。ロングパスフィルタは、通常、分光計の入口スリットの後ろにはめ込まれ(fitted)、定義された波長を下回る光を排除する。例えば、励起波長が365nmである場合、ロングパスフィルタは一般に390nm及びそれ以上における光を透過する(transmit)ことになる。
図6が、典型的なロングパスフィルタの透過スペクトルを与える。
【0122】
ロングパスフィルタが存在しない場合、励起光が分光計に入り、CCD検出器の飽和を引き起こし、蛍光又はフォトルミネッセンスが検出されるのを妨げることになる。蛍光又はフォトルミネッセンスの強度は、一般に入射励起光強度よりかなり小さく、ゆえに、CCD検出器が飽和状態でないとしても検出するのが非常に困難である。
【0123】
ロングパスフィルタを使用することの欠点は、ロングパスフィルタ排除帯域内の波長において、光を分光計によって検出することができないことである。ゆえに、この領域における吸収測定が、不可能である。
【0124】
一解決策が、機械的に取外し可能であるロングパスフィルタを有することであるが、これは、複雑さを増大させ、分光計本体に対する修正を意味することになる。ロングパスフィルタは、光ファイバ線の中に追加され、機械的に取外し可能としてもよいが、この線を切断してフィルタの後ろで再結合すること(recombining)は、約40%の光のロスを結果としてもたらす。
【0125】
本明細書に開示される方法及び装置は、ロングパスフィルタの必要なしに、同一の分光計を用いて、300nmから508nmのレンジ内の吸収測定と400nmから508nmのレンジ内の蛍光測定とを可能にする。
【0126】
図7を参照すると、第1の分光計510の概略図が示されている。分光計510は、スリット700と、回折格子702と、マスク704と、CCDアレイ708とを含む。光ビーム708がスリット700に入射し、光はスリットを通過し、回折格子702により分散される。それから、分散された光が、マスク704を介してCCDアレイ706に入射する。マスクはマスキング領域710を含み、マスキング領域710は350nmから400nmのレンジ内の波長を有する光に対応し、したがって、その光はブロックされ、CCDアレイ706に到達しない。このことは、CCDアレイ706上のエリア712によって図示されている。マスクは、特定の波長レンジ内で分光計のCCD検出器に入射するすべての光をブロックし、例示的な方法及び装置において、上記特定の波長レンジには、365nmにおけるUV LED光が含まれる。ゆえに、400nmから508nmの蛍光スペクトルを、CCD検出器を飽和させることなく測定することができる。
図7に示される回折格子は透過格子であるが、反射光子が使用されてもよい。
【0127】
吸収測定は、300nmから350nmと400nmから508nmとで行うことができる。マスクされた350nm乃至400nm領域内に包含される情報は、ダイヤモンドのふるい分けに関連がなく、ダイヤモンドが天然又は合成であるかを決定することに使用されない。
【0128】
第1の分光計CCD検出器706へのマスクの適用は、分光計がダイヤモンドにおける蛍光測定と吸収測定との双方に使用されることを可能にする。
【0129】
図8は、マスク704とCCDアレイ706との同寸法の(isometric)表現を示している。マスキング領域710が見え、マスキング領域710は光をブロックするように構成される。マスキング領域710のどちらの側も、光を通すことができる開口である。
【0130】
蛍光測定は、任意の他の測定と共に順次に実行されることができる。
【0131】
コンピュータプログラムが、上記の説明された方法のうち任意のものを提供するように構成されてよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上で提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムプロダクトであってもよい。プロダクトには、非一時的コンピュータ使用可能記憶媒体を含んでもよい。コンピュータプログラムプロダクトは、上記方法を実行するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを媒体内に具現化させることができる。コンピュータプログラムプロダクトは、上記方法のうち一部又はすべてを少なくとも1つのプロセッサに実行させるように構成することができる。
【0132】
本明細書において、コンピュータにより実施される方法、装置(システム及び/又はデバイス)及び/又はコンピュータプログラムプロダクトのブロック図又はフローチャート例示を参照して、様々な方法及び装置が説明されている。ブロック図及び/又はフローチャート例示のうちの一ブロックと、ブロック図及び/又はフローチャート例示の中の複数のブロックの組み合わせとは、1つ以上のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令によって実施することができることが理解される。上記コンピュータプログラム命令は、汎用目的コンピュータ回路、特別目的コンピュータ回路、及び/又は他のプログラマブルデータ処理回路のプロセッサに提供されてマシンを作り出すことができ、したがって、コンピュータ及び/又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、トランジスタ、メモリロケーションに記憶された値、及び上記回路内の他のハードウェアコンポーネントを変換し、制御して、ブロック図及び/又はフローチャートの1又は複数のブロックに規定された機能/動作を実施し、これにより、ブロック図及び/又はフローチャートブロックに規定された機能/動作を実施する手段(機能性)及び/又は構造を作成することができる。
【0133】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体内に記憶され、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で機能させることができ、したがって、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、ブロック図及び/又はフローチャートの1又は複数のブロックに規定された機能/動作を実施する命令を含む製造品を作り出す。
【0134】
有形の、非一時的コンピュータ可読媒体には、電子的、磁気的、光学的、電磁気的又は半導体のデータ記憶システム、装置又はデバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体のより具体的な例には、下記が含まれる:ポータブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)回路、読取専用メモリ(ROM)回路、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)回路、ポータブルコンパクトディスク読取専用メモリ(CD‐ROM)、ポータブルデジタルビデオディスク読取専用メモリ(DVD/Blu‐ray)。
【0135】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータ及び/又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ及び/又は他のプログラマブル装置上で実行させて、コンピュータにより実施されるプロセスを作り出してもよく、したがって、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、ブロック図及び/又はフローチャートの1又は複数のブロックに規定された機能/動作を実施するステップを提供する。
【0136】
したがって、本発明は、ハードウェアにおいて、及び/又はプロセッサ上で実行されるソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)において具現化することができ、これらは、「回路」、「モジュール」又はこれらの変形として集合的に参照されてもよい。
【0137】
いくつかの代替的な実施において、ブロックの中に記された機能/動作は、フローチャートの中に記された順序から離れて生じ得ることがさらに留意されるべきである。例えば、関連する機能性/動作に依存して、連続して図示されている2つのブロックが、実際、実質的に同時に実行されてもよく、あるいは、これら2つのブロックが、時に、逆の順序において実行されてもよい。さらに、フローチャート及び/又はブロック図のうちの所与の一ブロックの機能性が、複数のブロックへと分離されてもよく、かつ/あるいは、フローチャート及び/又はブロック図のうちの2つ以上のブロックの機能性が、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後、例示されているブロックとブロックとの間に、他のブロックが追加され/挿入されてもよい。
【0138】
当業者は、別記の請求項の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を想像することができるであろう。