(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438501
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】ラックシステム及びそのスライドレールキット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20181203BHJP
F16C 29/04 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
H05K7/18 F
F16C29/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-7456(P2017-7456)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-224800(P2017-224800A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】105119024
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】何 俊毅
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−122376(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3197171(JP,U)
【文献】
特開2015−037153(JP,A)
【文献】
特開2011−222638(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3197090(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3119210(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3200607(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
G06F 1/16− 1/18
F16C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ポストと第二ポストとを有し、前記第一ポストと前記第二ポストとの間で幅を定義するラックと、
第一側面と第二側面とを有するシャーシと、
前記第一ポストに取り付けられている第一スライドレールキットと、
前記第二ポストに取り付けられている第二スライドレールキットと、
を備え、前記シャーシの第一側面は前記第一スライドレールキットに取り付けられ、前記シャーシの第二側面は前記第二スライドレールキットに取り付けられており、前記各スライドレールキットは第一レールと、第二レールと、第三レールとを有し、
前記第一レールの少なくとも一部は前記幅の外側に位置し、前記第二レール及び前記第三レールは前記幅の内側に位置し、
第一アームと、前記第一アームに対して可動的に連結される第二アームとを有し、前記第一スライドレールキットに取り付けられる束線アームと、
前記第一スライドレールキットの前記第一レールに連結される延出部材と、
を更に備え、前記束線アームの前記第一アームは前記第一スライドレールキットの前記延出部材に取り付けられ、前記束線アームの前記第二アームは前記第一スライドレールキットの前記第二レールに取り付けられることを特徴とするラックシステム。
【請求項2】
前記延出部材は前記ラックで画成される前記幅の内側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のラックシステム。
【請求項3】
第一ポストと第二ポストとを有し、前記第一ポストと前記第二ポストとの間で幅を定義するラックと、
第一側面と第二側面とを有するシャーシと、
前記第一ポストに取り付けられている第一スライドレールキットと、
前記第二ポストに取り付けられている第二スライドレールキットと、
を備え、前記シャーシの第一側面は前記第一スライドレールキットに取り付けられ、前記シャーシの第二側面は前記第二スライドレールキットに取り付けられており、前記各スライドレールキットは第一レールと、第二レールと、第三レールとを有し、
前記第一レールの少なくとも一部は前記幅の外側に位置し、前記第二レール及び前記第三レールは前記幅の内側に位置し、
前記各スライドレールキットの前記第二レールは第一特徴部と、前記第一特徴部とは異なる形態の第二特徴部とを有しており、
前記シャーシは、前記第一特徴部及び前記第二特徴部にそれぞれ取り付け可能である第一取付特徴部と第二取付特徴部とを有することを特徴とするラックシステム。
【請求項4】
前記第一特徴部は第一孔であり、前記第二特徴部は第一突出部であり、前記第一取付特徴部は前記第一孔に取付可能な第二突出部であり、前記第二取付特徴部は前記第一突出部に取付可能な第二孔である、ことを特徴とする請求項3に記載のラックシステム。
【請求項5】
前記ラックは、前記第一ポスト及び前記第二ポストにそれぞれ対応する第三ポストと第四ポストとを更に備えており、前記第一ポスト及び前記第三ポストは前記第一スライドレールキットの取り付けに用いられ、前記第二ポスト及び前記第四ポストは前記第二スライドレールキットの取り付けに用いられる、ことを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載のラックシステム。
【請求項6】
第一通路を有する第一レールと、
前記第一レールに対して可動的に移動する第二レールと、
前記第一レールの前記第一通路と前記第二レールとの間に可動的に設けられる第三レールと、
表面が前記第三レールの外面と同一面に位置し、前記第一レールに連結される延出部材と、を備えるスライドレールキットであって、
第一アームと、前記第一アームに対して可動的に連結される第二アームとを有し、前記スライドレールキットに取り付けられる束線アームをさらに備え、
前記束線アームの前記第一アームは前記スライドレールキットの前記延出部材に取り付けられ、前記束線アームの前記第二アームは前記スライドレールキットの前記第二レールに取り付けられる、ことを特徴とするスライドレールキット。
【請求項7】
前記延出部材が前記第一レールから延出する、ことを特徴とする請求項6に記載のスライドレールキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラックシステム及びそのスライドレールキットに関し、特にスライドレールキットは広めのシャーシをその上に取り付け可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
Jansen等が発明した特許文献1には、少なくとも一つのシャーシ(chassis)を載置するための二本のポスト(posts)を備えたラック(rack)が開示されている。
【0003】
また、Haneyが発明した特許文献2では、ラックは四本のポストを備え、一対のスライドレールキットを介してシャーシがラックに取り付けられるようになっている。一般的には、電子工業会(Electronic Industries Association、EIA)の基準によれば、ラックにおける二本のポストの間の内部幅は450mmとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,220,456B1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,974,037B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、シャーシを製造するメーカにおいて、シャーシの幅はますます広く設計する傾向にあり、このような傾向において、ラックとシャーシとの間のスライドレールの取り付け幅空間が狭くなり、スライドレールの取り付け配置を圧迫してしまう。現在の市場でのトレンドを満足させるために、本発明を発明した。
【0006】
本発明の目的は、幅が幅広のシャーシでもスライドレールキットによりラックに取り付けることが可能なラックシステムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、シャーシの取り付けが可能であり、シャーシ後方のケーブルを整理するための束線アームを配置可能であるスライドレールキットを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、シャーシを安定的に取り付け可能であるスライドレールキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のラックシステムは、第一ポストと第二ポストとを有し、第一ポストと第二ポストとの間で幅を定義するラックと、第一側面と第二側面とを有するシャーシと、第一ポストに取り付けられている第一スライドレールキットと、第二ポストに取り付けられている第二スライドレールキットと、を備える。シャーシの第一側面は第一スライドレールキットに取り付けられ、シャーシの第二側面は第二スライドレールキットに取り付けられており、各スライドレールキットは第一レールと、第二レールと、第三レールとを有し、第一レールの少なくとも一部は幅の外側に位置し、第二レール及び第三レールは幅の内側に位置する。
【0010】
さらに、本発明の他の観点によれば、
第一アームと、第一アームに対して可動的に連結される第二アームとを有し、第一スライドレールキットに取り付けられる束線アームと、第一スライドレールキットの第一レールに連結される延出部材と、を更に備える。束線アームの第一アームは第一スライドレールキットの延出部材に取り付けられ、束線アームの第二アームは第一スライドレールキットの第二レールに取り付けられる。
【0011】
さらに、本発明の他の観点によれば、
延出部材はラックで画成される幅の内側に位置する。
【0012】
さらに、本発明の他の観点によれば、
各スライドレールキットの第二レールは第一特徴部と、第一特徴部とは異なる形態の第二特徴部とを有しており、シャーシは、第一特徴部及び第二特徴部にそれぞれ取り付け可能である第一取付特徴部と第二取付特徴部とを有する。
【0013】
さらに、本発明の他の観点によれば、
第一特徴部は第一孔であり、第二特徴部は第一突出部であり、第一取付特徴部は第一孔に取付可能な第二突出部であり、第二取付特徴部は第一突出部に取付可能な第二孔である。
【0014】
さらに、本発明の他の観点によれば、
ラックは、第一ポスト及び第二ポストにそれぞれ対応する第三ポストと第四ポストとを更に備えており、第一ポスト及び第三ポストは第一スライドレールキットの取り付けに用いられ、第二ポスト及び第四ポストは第二スライドレールキットの取り付けに用いられる。
【0015】
本発明のスライドレールキットは、第一通路を有する第一レールと、第一レールに対して可動的に移動する第二レールと、第一レールの第一通路と第二レールとの間に可動的に設けられる第三レールと、表面が第三レールの外面と同一面に位置し、第一レールに連結される延出部材と、を備える。
【0016】
さらに、本発明の他の観点によれば、
第一アームと、第一アームに対して可動的に連結される第二アームとを有し、スライドレールキットに取り付けられる束線アームをさらに備え、束線アームの第一アームはスライドレールキットの延出部材に取り付けられ、束線アームの第二アームはスライドレールキットの第二レールに取り付けられる。
【0017】
さらに、本発明の他の観点によれば、
延出部材が第一レールから延出する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例におけるラックシステムを示し、一対のスライドレールキット、シャーシ及び束線アームを有することを示す配置概略図である。
【
図2】本発明の一実施例のスライドレールキットの分解概略図である。
【
図3】本発明の一実施例のシャーシをスライドレールキットに取り付けた状態を示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施例のシャーシをラックに取り付けた状態を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施例における一対のスライドレールキットをラックに取り付けた状態を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施例におけるシャーシがラック内から引き出される状態を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施例のスライドレールキットとシャーシ及びラックとの間の取付配置を示す概略図である。
【
図8】本発明のスライドレールキットの延出部材が第一レールから延出している形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明の一実施例のラックシステムを示す。
図1に示すように、ラックシステムは、シャーシ12をラック(rack)14に取り付けるのに適したスライドレールキット10を備える。このうち、ラック14は、第一ポスト16aと、第二ポスト16bと、第三ポスト16cと、第四ポスト16dとを備えている。第一ポスト16aと第二ポスト16bとの間、及び、第三ポスト16cと第四ポスト16dとの間で第一幅W1を画成する。
【0021】
シャーシ12は、第一側面18aと第二側面18bとを有する。スライドレールキット10は、第一スライドレールキット20と、第二スライドレールキット22とを備えている。シャーシ12の第一側面18aは第一スライドレールキット20に取り付けられ、シャーシ12の第二側面18bは第二スライドレールキット22に取り付けられる。第一スライドレールキット20は、第一ポスト16a及び第三ポスト16cに取り付けられる。第二スライドレールキット22は、第二ポスト16b及び第四ポスト16dに取り付けられる。
【0022】
図2及び
図3には、第一スライドレールキット20が第一レール24と、第二レール26と、第三レール28とを有し、第一レール24は固定レールとされ、第一通路30を有することを示す。第二レール26は少なくとも第一特徴部32と、第一特徴部32とは異なる第二特徴部34とを有する。シャーシ12は、第二レール26の第一特徴部32及び第二特徴部34にそれぞれ取り付け可能である第一取付特徴部36と第二取付特徴部38とを少なくとも有する。好ましい実施例において、第二レール26の第一特徴部32は例えばキーホール(key hole)形状である第一孔の構造形態である。第二特徴部34は、例えばT字状輪郭の柱状固定部材として着脱可能に取り付けられる第一突出部である。
【0023】
本実施例において、第二特徴部34は、第二レール26の第一位置P1又は第二位置P2に取付可能である。よって、第二特徴部34は、シャーシ12に設けられる第一取付位置M1又は第二取付位置M2に位置する第二取付特徴部38に、シャーシ12の長さに応じて選択的に取り付け可能となっている。シャーシ12の第一取付特徴部36は、例えば柱状の固定部材が第二レール26の第一特徴部32(例えば第一孔)に取り付け可能である第二突出部である。シャーシ12の第二取付特徴部38は例えばキーホール(key hole)形状であり第二レール26の第二特徴部34(例えば第一突出部)に取付可能である第二孔の構造形態である。第三レール28は第一レール24の第一通路30と第二レール26との間に可動的に設けられており、第三レール28により、第二レール26が第一レール24に対して開く方向に延出可能である。第三レール28は第二通路31を有し、この第二通路31内で第二レール26が移動可能である。
【0024】
図4及び
図5はシャーシ12が第一スライドレールキット20及び第二スライドレールキット22によりラック14に取り付けられている状態を示す。このうち、第一スライドレールキット20及び第二スライドレールキット22のうちの各々の第一レール24のレール厚さの断面の少なくとも一部は、ラック14で画成される第一幅W1の外側に位置する。各々の第二レール26及び第三レール28はラック14で画成される第一幅W1の内側に位置する。
【0025】
このような配置により、各々のスライドレールキット20及び22の第一レール24の幅がラック14で画成される第一幅W1の区間内を完全に占めるということはなくなり、幅広のシャーシ12をラック14上に取付可能とする使用形態を提供することができる。第三レール28の第二通路31は第二幅W2を有する。
【0026】
再度
図1〜
図3を参照する。好ましい実施例において、本発明は更に、第一スライドレールキット20の第一レール24に連連結し、第一レール24の長手方向に延びて形成される延出部材40と、第一スライドレールキット20に取り付けられる束線アーム42とを備える。束線アーム42は、第一アーム44と、第一アーム44に対して可動的に連結される第二アーム46とを有している。束線アーム42の第一アーム44は延出部材40に取り付けられ、束線アーム42の第二アーム46は第一スライドレールキット20の第二レール26に取り付けられる。
【0027】
具体的な実施形態では、延出部材40には、束線アーム42の第一アーム44が着脱可能に連結位置決めするための第一連結特徴48が予め設けられる。第一スライドレールキット20の第二レール26には、束線アーム42の第二アーム46が着脱可能に連結位置決めするための第二連結特徴50が予め設けられる。
【0028】
ところで、
図6に示すように、束線アーム42の束線方式では、束線アーム42の第一アーム44は固定的な位置に、つまり延出部材40に連結される。束線アーム42の第二アーム46は可動的な位置に、つまり第一スライドレールキット20の第二レール26に連結される。シャーシ12がラック14内から引き出された時、矢印方向Fに示すように、束線アーム42が連動されて展開するということに注意されたい。なお、本実施形態において、シャーシ12の引き出し方向(矢印方向F)と直交する方向が、シャーシ12の幅方向に相当する。
【0029】
図7には本発明の第一スライドレールキット20がシャーシ12をラック14に取り付ける概略的な形態を示しており、このうち、第三レール28の長さはラック14の第一ポスト16aを超えるまで延出することはない。シャーシ12の後端のケーブルを整理しなければならない場合には、本発明では延出部材40は第一スライドレールキット20の第一レール24に連結(例えば固定的に連結又は係止)するものであり、好ましい実施例において、延出部材40の表面52は第三レール28の外面54と概ね同一面に位置しており、具体的に言えば、延出部材40の厚さ断面はラック14で画成される第一幅W1の区間内に位置する。又は、延出部材40の厚さTは第三レール28の第二通路31の第二幅W2を超えないため(
図5に示す)、延出部材40は第一レール24の長さまで延出可能となり、束線アーム42への固定位置とされて、且つ延出部材40は第二レール26の第一レール24との相対的な移動に干渉することはない。上記配置によれば、
図6に示すように、延出部材40により、上記した束線アーム42の第一アーム44に連結可能となり、一つの固定的な位置とされ、上記した束線アーム42の第二アーム46が第二レール26に連結して、可動的な位置とすることで、束線アーム42に伸縮可能な機能を持たせる(
図1に示す)。
【0030】
他の実施形態として、
図8に示すように、延出部材56は第一レール24と一体に形成され、第一レール24から第一レール24の延びる方向に延出するように構成しても良い。
【0031】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 スライドレールキット、
12 シャーシ、
14 ラック、
16a 第一ポスト、
16b 第二ポスト、
16c 第三ポスト、
16d 第四ポスト、
18a 第一側面、
18b 第二側面、
20 第一スライドレールキット、
22 第二スライドレールキット、
24 第一レール、
26 第二レール、
28 第三レール、
30 第一通路、
31 第二通路、
32 第一特徴部、
34 第二特徴部、
36 第一取付特徴部、
38 第二取付特徴部、
40 延出部材、
42 束線アーム、
44 第一アーム
46 第二アーム、
48 第一連結特徴、
50 第二連結特徴、
52 表面、
54 外面、
56 延出部材、
W1 第一幅、
W2 第二幅、
P1 第一位置、
P2 第二位置、
M1 第一取付位置、
M2 第二取付位置、
T 厚さ。