特許第6438577号(P6438577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6438577炭酸カルシウム含有材料の粒径分布を改善するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438577
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】炭酸カルシウム含有材料の粒径分布を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20181203BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20181203BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   C01F11/18 Z
   C01F11/18 J
   C09J201/00
   C09J11/04
【請求項の数】34
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2017-517243(P2017-517243)
(86)(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公表番号】特表2017-537045(P2017-537045A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】EP2015072275
(87)【国際公開番号】WO2016050698
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】14186967.7
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/061,218
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/134,283
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505018120
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ライナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】スペーン,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ティンクル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ゼンティ−ベンク,アルメル
(72)【発明者】
【氏名】グタール,エマニュエル
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−508791(JP,A)
【文献】 特開平05−319816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00− 17/00
C09J 1/00− 5/10
C09J 9/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の調製のための方法であって、前記方法が以下の工程:
a)少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、実質的に分散剤を含まない水性懸濁液を提供する工程、および
b)周囲圧力において、40から95℃の温度に工程a)の前記懸濁液を予熱する工程、および
c)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの粉砕工程において、前記予熱された懸濁液を湿式粉砕する工程、および
d)湿式粉砕工程c)の前および/または間および/または後に、および/または除去工程e)の前および/または間および/または後に、≧9.0の、25℃で測定されるpHを有する水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの塩基と前記水性懸濁液を接触させる工程、および
e)前記少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液中の直径>20μmを有する粒子の少なくとも一部を除去する工程;および
f)1.5から4.0の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20を有する粒子との比[d80/d20]を有する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、除去工程e)の後に得られる前記水性懸濁液を70℃から140℃の温度で0.25から8時間貯蔵する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の粒子直径<1μmを有する粒子の含有量が、30から90重量%の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の粒子直径<1μmを有する粒子の含有量が、35から65重量%の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が、ドロマイトおよび/または天然重質炭酸カルシウム(NGCC)であって、1つ以上の、大理石、石灰石および/またはチョークから選択されるものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程a)において提供される水性懸濁液が、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%の固形分含有量を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)において提供される水性懸濁液が、水性懸濁液の総重量に基づいて、10.0重量%から55.0重量%の固形分含有量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程a)の水性懸濁液が、予熱工程b)において、周囲圧力で50から95℃の温度に調節される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)の水性懸濁液が、予熱工程b)において、周囲圧力で60から90℃の温度に調節される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
接触工程d)が除去工程e)の後に行われる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
接触工程d)が、得られた水性懸濁液が、10.0から13.525℃で測定されるpHを有するように行われる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
接触工程d)が、得られた水性懸濁液が、11.0から13.0の25℃で測定されるpHを有するように行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
接触工程d)における少なくとも1つの塩基が、
a)炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、≧0.05重量%の量で添加され、および/または
b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物、および/または水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
接触工程d)において添加される塩基の量が、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、≧0.1重量%である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
湿式粉砕工程c)が、40から95℃の出発温度で行われる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
湿式粉砕工程c)が、60から80℃の出発温度で行われる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
除去工程e)が、少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、直径>100μmの粒子を>90重量%および直径>20μmの粒子を>70重量%除去するために、遠心分離機、少なくとも1つのシーブまたはディスクセパレータ、またはこれらの組み合わせを用いることによって行われる、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
除去工程e)が、少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、直径>100μmの粒子を本質的にすべて、および直径>20μmの粒子を>90重量%除去するために、遠心分離機、少なくとも1つのシーブまたはディスクセパレータ、またはこれらの組み合わせを用いることによって行われる、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水性懸濁液の貯蔵工程f)が、75から130℃の温度にて、および/または0.1から7時間の期間で行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
水性懸濁液の貯蔵工程f)が、80から95℃の温度にて、および/または0.5から3.5時間の期間で行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
工程f)において貯蔵される水性懸濁液が、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%の固形分含有量を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程f)において貯蔵される水性懸濁液が、水性懸濁液の総重量に基づいて、10.0重量%から55.0重量%の固形分含有量を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
貯蔵工程f)の後に得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が、1.7から3.5の範囲である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
貯蔵工程f)の後に得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が、2.2から3.4の範囲である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法がさらに、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を得るために、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を得るために、工程e)またはf)で得られた水性懸濁液を脱水および場合により乾燥して、少なくとも一部の水を除去する工程g)を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程g)の脱水が、機械的に行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
水が、工程g)の後に得られた部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料に添加され、水性懸濁液を得、且つ得られた水性懸濁液が、再び脱水される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
水が脱イオン水であり、再び行う脱水が機械的に行われ、水を添加し且つ脱水する手順を2回繰り返す、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程f)または工程g)の後に得られた材料が、脱アグロメレートされる、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
脱アグロメレートが、ピンミルにおいて実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記得られた材料を、60から150℃の範囲の温度に加熱し、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.05から0.2重量%の範囲の総湿分含有量を有する材料を得る、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記得られた材料を、70から130℃の範囲の温度に加熱し、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.01から0.1重量%の範囲の総湿分含有量を有する材料を得る、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
a)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料が、脱水工程g)の後に、少なくとも1つの分散剤で処理され、且つ再希釈されて、分散された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得る、および/または
b)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料が、脱水または乾燥工程g)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で、および/または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/または塩反応生成物で、および/または1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物との少なくとも1つのリン酸エステルブレンドで処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る、
請求項26から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
工程f)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が、
a)≦15.0m/gの範囲の、BET比表面積を有し、および/または
b)予熱工程b)および接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する、
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が有するBET比表面積が、1.0から15.0m/gの範囲である、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の調製のための方法に関する。本発明はさらに、紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティング、繊維用途、プラスチック用途における、または一般にPCC(=沈降炭酸カルシウム)を置き換えるための、本発明の方法により得ることができる炭酸カルシウム含有材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムは、紙の充填剤構成成分として製紙業界において広く使用されている。これは、シートの輝度および不透明度を増大させるために使用される低コストの高輝度充填剤である。この使用は、製紙工場において、酸からアルカリ製紙への転換により、ここ数十年で劇的に増加している。炭酸カルシウムは、天然に存在する鉱物、および合成的に製造された製品として存在することが知られている。天然および合成炭酸カルシウムの両方が製紙業界で使用されている。製紙業界におけるこの使用の他、炭酸カルシウムはまた、種々の他の目的のために、例えば塗料業界における充填剤または顔料としておよびプラスチック材料、プラスチゾル、シーリング化合物、印刷インク、ゴム、歯磨き粉、化粧品、農業用途などの製造のための機能性充填剤として使用される。
【0003】
天然炭酸カルシウムは、通常、紙または他の用途におけるこの使用の前に小さい粒径に粉砕される。
【0004】
しかし、多くの用途において、低含有量の微粒子で、低BET比表面積および狭い粒径分布を有する炭酸カルシウムを提供することが所望されるが、これは、これらの特徴が通常、良好な機械的および光学特性、例えば光沢をこうした炭酸カルシウムを含むポリマー製品に与えるからである。さらに、低BET比表面積での狭い粒径分布は、プラスチック用途のために通常使用される疎水化炭酸カルシウム製品にとって有利であるが、これは、例えばこうした疎水化製品を調製するための疎水化剤として使用され得るステアリン酸の量を低減できるからである。これらに加えて、この低BET比表面積での狭い粒径分布はまた、スラリー中の炭酸カルシウムを分散するために使用されることが多い分散剤の量を低減できるので、炭酸カルシウムスラリーに良い影響を与える。
【0005】
これに関して、BET比表面積を低減し、粒径分布を狭くするための方法は当該技術分野において周知である。例えば、US5,269,818Aは、多量の熱熟成炭酸カルシウム懸濁液を製造するために適合される熱熟成方法を言及している。方法は、約40から約100℃の熟成温度に加熱することによって約15m/gを超える比表面積を有する炭酸カルシウムの熱熟成を開始する工程;例えば二酸化炭素の添加によって、熟成温度にて炭酸カルシウムのpHを約6.5に調節する工程;熟成温度にて炭酸カルシウムにアルカリ金属水酸化物を添加して、pHを約9.5から約12.0に上昇させる工程;炭酸カルシウムのモルホロジーを最終形態に再配列するのに十分な時間、熟成温度で炭酸カルシウムを維持する工程;および熱熟成を終了して炭酸カルシウムのモルホロジーを最終形態に固定する工程を含む。US2002/0155055A1は、狭い粒径分布を有する重質炭酸カルシウム組成物およびこの組成物を製造するための方法に関する。この方法は、実質的に分散剤を含まない炭酸カルシウム懸濁液を形成する工程、この懸濁液を湿式粉砕する工程およびこの懸濁液を熟成する工程を含む。熟成は、40℃未満の温度で行われる。
【0006】
しかし、これらの方法は、こうした熟成方法が通常時間がかかるという欠点を有する。例えば、US5,269,818Aにおいて、炭酸カルシウム出発材料が、約0.01から約0.5μmの初期平均粒径を有し、高純度を有する場合、熟成時間が、約60分程度に短い一方で、約0.5から約2μmの大きな初期アグロメレートされた粒径を有し、および/または約5重量%までの不純物を含有する炭酸カルシウム出発材料については、熱熟成時間は24時間程度に長くなり得ることが記載されている。これと同様に、US2002/0155055A1には、熟成が約24時間続くことが記載されている。
【0007】
狭い粒径分布を有する炭酸カルシウム含有材料を調製するための別の方法は、本願と同じ出願人の、本願の出願時において未公開の欧州特許出願(出願番号:13192156.1、2013年11月13日出願)に記載されている。この方法は、a)少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の実質的に分散剤を含まない水性懸濁液を提供する工程、b)周囲圧力にて40から95℃の温度まで工程a)の懸濁液を予熱する工程、c)予熱工程b)の前および/または間および/または後、工程a)の水性懸濁液を、25℃で測定されるpHが≧9.0である水性懸濁液を得るために少なくとも1つの塩基と接触させる工程およびd)平均粒径d80を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が≦2.50である少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの粉砕工程において、工程b)または工程c)の予熱された懸濁液を湿式粉砕する工程を含む。
【0008】
狭い粒径分布、低湿分取り込み感受性(moisture pick−up susceptibility)および低BET比表面積を有する炭酸カルシウム含有材料を調製するための代替方法を提供することが当該技術分野においてなおも必要とされており、ここでこうした方法は、簡単で安価であるべきであり、出発材料の粗さの観点においても強く制限されるべきではなく、同時に、粉砕後の時間のかかる熟成工程の使用を回避し、または少なくとも熟成時間を短縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,269,818号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0155055号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、低量の微粒子で、改善または最適化された狭い粒径分布を有する炭酸カルシウム含有材料を調製するための改善された方法を提供することである。本発明の別の目的は、BET比表面積について低減または最適化された値を有する炭酸カルシウム含有材料を調製するための方法の提供に見ることができる。本発明のさらなる目的は、改善または最適化された光学特性、例えば不透明度および輝度および光散乱特性および機械的特性を有する炭酸カルシウム含有材料を調製するための方法の提供に見ることができる。本発明の別の目的は、部分的に脱水または乾燥された炭酸カルシウム含有材料として利用可能な炭酸カルシウム含有材料を調製するための方法の提供に見ることができる。本発明のなおさらなる目的は、単純で安価な方法で行われることができる湿式粉砕炭酸カルシウムを調製するための方法の提供に見ることができる。本発明の別の目的は、出発材料の粗さの観点で強くは制限されない方法の提供に見ることができる。さらなる目的は、本発明の以下の説明から収集できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の必要性を満たすために、請求項1において本明細書で規定された主題に従う方法が提供される。
【0012】
本発明の方法の有利な実施形態は、対応する従属項および明細書において規定される。
【0013】
本発明の1つの態様によれば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の調製のための方法であって、この方法は以下の工程を含む:
a)少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、実質的に分散剤を含まない水性懸濁液を提供する工程、および
b)周囲圧力において、40から95℃の温度に工程a)の懸濁液を予熱する工程、および
c)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの粉砕工程において、予熱された懸濁液を湿式粉砕する工程、および
d)湿式粉砕工程c)の前および/または間および/または後に、および/または除去工程e)の前および/または間および/または後に、≧9.0の、25℃で測定されるpHを有する水性懸濁液を得るために、この水性懸濁液を少なくとも1つの塩基と接触させる工程、および
e)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液中の直径>20μmを有する粒子の少なくとも一部を除去する工程;および
f)1.5から4.0の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20を有する粒子との比[d80/d20]を有する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、除去工程e)の後に得られる水性懸濁液を70℃から140℃の温度で0.25から8時間貯蔵する工程。
【0014】
本発明者らは、驚くべきことに、前述の方法は、低量の微粒子において、改善または最適化された狭い粒径分布および改善または最適化されたBET比表面積を有する炭酸カルシウム含有材料の効率の良い制御された製造を可能にすることを見出した。本発明の方法によれば、改善または最適化された光学特性および光散乱特性および機械的特性を有する炭酸カルシウム含有材料は、簡単で安価な方法において直接調製できる。本発明の方法によって得ることができる炭酸カルシウム含有材料はまた、この良好な機械的特性により、プラスチックでの用途に特に好適であることを見出した。より詳細には、本発明者らは、この方法によって得られる炭酸カルシウム含有材料の粒径分布およびBET比表面積は、特に≧9.0のpHを保持する、予熱された炭酸カルシウム含有材料の懸濁液を粉砕することによって改善または最適化できることを見出した。本発明の方法のさらなる本質的な工程は、非常に粗い粒子の部分的除去および特定の熟成(ripening)または貯蔵工程を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】PSD Sedigraphを示す。
図2】PSD Sedigraphを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の趣旨上、以下の用語は以下の意味を有することが理解されるべきである:
本発明の意味において「懸濁液」または「スラリー」は、不溶性固形分および水、および場合によりさらなる添加剤を含み、普通は多量の固形分を含有し、故にこれが形成される液体よりも粘稠であり、一般により高い密度を有する。
【0017】
本発明の意味において用語「炭酸カルシウム含有材料」は、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて少なくとも40.0重量%の炭酸カルシウムを含む。好ましくは、炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、少なくとも60.0重量%、より好ましくは少なくとも80.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも85.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも90.0重量%、最も好ましくは少なくとも95.0重量%、例えば少なくとも98.0重量%の炭酸カルシウムを含む。
【0018】
材料の「湿分取り込み感受性」とは、規定の湿った大気への曝露時に特定の時間内でこの材料の表面に吸収される湿分の量を指し、mg/g単位で表現される。材料の「正規化された湿分取り込み感受性」とはまた、規定の湿った大気への曝露時に特定の時間内でこの材料の表面に吸収される湿分の量を指し、mg/m単位で表現される。湿分取り込み感受性は、+23℃(±2℃)の温度で、それぞれ10および85%の相対湿度の雰囲気にそれぞれ2.5時間の間曝露された後に、mg湿分/g単位で決定できる。この目的のために、サンプルはまず、2.5時間の間、10%の相対湿度の雰囲気に維持され、次いでこの雰囲気を85%の相対湿度に変更し、ここでサンプルをさらに2.5時間維持する。次いで相対湿度10%と85%との間の重量増大は、mg湿分/gサンプルの単位で湿分取り込みを計算するために使用される。m単位の比表面積(BET方法)で除したmg/g単位の湿分取り込み感受性は、mg/サンプルm単位で表される正規化された湿分取り込み感受性に対応する。
【0019】
本明細書で使用される場合および当該技術分野において一般に規定される場合、「d80」値および「d20」値は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)III Plus(機器のソフトウェアバージョン1.04使用)を用いることによって行われる測定に基づいて決定され、粒子質量の80%および20%のそれぞれが、特定値よりも微細または同等の直径を有する粒子が占めるサイズとして規定される。故に類似のd50値は、すべての粒子の50重量%が示された粒径よりも小さい「重量中央粒径」である。方法および機器は、当業者に既知であり、充填剤および顔料のグレインサイズを決定するために一般に使用される。例えば、20μmより小さい本願の範囲内で規定される粒径は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)III Plus(機器のソフトウェアバージョン1.04使用)を用いることによって行われる測定に基づいて決定できる。方法および機器は、当業者に既知であり、充填剤および顔料の粒径を決定するために一般に使用される。20μm以上である粒径の場合、フラクショナルシービングまたは湿式スクリーニングを使用して、粒径分布を決定する。
【0020】
本発明の意味において用語「塩基」は、ブレンステッド−ローリー説に従う塩基を指す。
【0021】
本発明の意味において表現「周囲圧力」は、1000から1050mbarの間の圧力を指し得る。
【0022】
本発明の意味において表現「湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料」は、水性懸濁液での少なくとも1つの粉砕工程を含む方法によって製造されており、ここで固形分含有量が、GCCについては20から80重量%の間であり、ナノ製品またはPCCについては2から98重量%の間であるあらゆる炭酸カルシウム含有材料を指す。
【0023】
用語「含む」は本説明および特許請求の範囲に使用される場合に、これは他の要素を排除しない。本発明の趣旨上、表現「からなる」は、表現「含む」の好ましい実施形態であると考えられる。この後、群が少なくとも特定数の実施形態を含むように規定される場合に、これはまた、これらの実施形態のみからなるのが好ましい群を開示することも理解されるべきである。
【0024】
不定冠詞または定冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」または「この(the)」が単数名詞を指すときに使用される場合に、これは、具体的な記述がない限り、この名詞の複数形を含む。
【0025】
「得ることができる」または「規定できる」および「得られる」または「規定される」のような用語は、交換可能に使用される。例えばこれは、文脈上明確に示されない限り、用語「得られる」が、例えばある実施形態が、例えば用語「得られる」に続く工程の順序によって得られなければならないことを示す意図はないが、こうした限定的な理解は、好ましい実施形態として用語「得られる」または「規定される」によって常に含まれることを意味する。
【0026】
第2の態様によれば、本発明は、紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティング、繊維用途、プラスチック用途における、または一般にPCCを置き換えるための、本発明の方法により得ることができる炭酸カルシウム含有材料の使用に言及する。好ましい使用のより詳細なリストを以下に示す。
【0027】
第1の態様の本発明の方法に関連する以下の好ましい実施形態は、特許請求された本発明の使用に適用されることが理解されるべきである。さらに、以下の好ましい実施形態は、本発明に従って互いに組み合わせることができる。
【0028】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の粒子直径<1μmを有する粒子の含有量は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、30から90重量%の間、好ましくは35から65重量%の間、最も好ましくは40から60重量%の間である。本発明の方法は、相対的に粗い出発材料の加工処理に特に好適である。
【0029】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、ドロマイトおよび/または天然重質炭酸カルシウム(NGCC)、例えば1つ以上の大理石、石灰石および/またはチョークである。
【0030】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程a)において提供される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、最も好ましくは15.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する。
【0031】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、工程a)の水性懸濁液は、予熱工程b)において、周囲圧力で50から95℃、好ましくは周囲圧力で60から90℃、より好ましくは周囲圧力で75から85℃の温度に調節される。
【0032】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば接触工程d)は、除去工程e)の後に行われる。
【0033】
本発明の方法の別の実施形態によれば、接触工程d)は、得られた水性懸濁液が、10.0から13.5、好ましくは11.0から13.0の、25℃で測定されるpHを有するように行われる。
【0034】
本発明の方法の別の実施形態によれば、接触工程d)における少なくとも1つの塩基は、
a)炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、≧0.05重量%、好ましくは≧0.1重量%、より好ましくは≧0.2重量%、最も好ましくは0.2から1.0重量%の量で添加され、および/または
b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物および/または水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物である。
【0035】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、湿式粉砕工程c)は、40から95℃、好ましくは60から80℃、より好ましくは65から75℃の出発温度で行われる。
【0036】
除去工程e)は、少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、直径>100μmの粒子を>90重量%、および直径>20μmの粒子を>70重量%除去するために、好ましくは直径>100μmの粒子を本質的にすべて、および直径>20μmの粒子を>90重量%除去するために、遠心分離機、少なくとも1つのシーブまたはディスクセパレータ、またはこれらの組み合わせを用いることによって行われることが本発明の方法に従ってさらに好ましい。
【0037】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、水性懸濁液の貯蔵工程f)は、75から130℃、最も好ましくは80から95℃の温度にて、および/または0.1から7時間、好ましくは0.5から3.5時間、より好ましくは0.75から2.5時間、最も好ましくは1から2時間の期間で行われる。
【0038】
本発明の方法の別の実施形態によれば、工程f)において貯蔵される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、より好ましくは15.0重量%から50.0重量%、最も好ましくは20.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する。
【0039】
本発明の方法によれば、貯蔵工程f)の後に得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]は、1.7から3.5、好ましくは2.2から3.4の範囲であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、方法はさらに、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を得るために、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を得るために、工程e)またはf)で得られた水性懸濁液を脱水および場合により乾燥して、少なくとも一部の水を除去する工程g)を含む。
【0041】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、水、好ましくは脱イオン水は、工程g)の後に得られた部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料に添加され、水性懸濁液を得、得られた水性懸濁液が、好ましくは機械的に再び脱水され、且つ好ましくは水を添加し、脱水する手順は2回繰り返される。
【0042】
本発明の方法の1つの実施形態によれば、工程f)または工程g)の後に得られた材料は、好ましくはピンミルにおいて、脱アグロメレートされる。
【0043】
本発明の方法によれば、得られた材料は、60から150℃、好ましくは70から130℃、最も好ましくは80から110℃の範囲の温度に加熱され、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.05から0.2重量%、好ましくは0.01から0.1重量%の範囲の総湿分含有量を有する材料を得ることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、
a)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の後に、少なくとも1つの分散剤で処理され、且つ再希釈されて、分散された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得る、および/または
b)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、脱水または乾燥工程g)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で、および/または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/または塩反応生成物で、および/または1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物との少なくとも1つのリン酸エステルブレンドブレンドで処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。
【0045】
本発明の方法のさらに別の実施形態によれば、工程f)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/gの、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲の、BET比表面積、および/または
b)予熱工程b)および接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20
を有する。
【0046】
本発明の方法によれば、工程g)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/gの、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲のBET比表面積、および/または
b)予熱工程b)および接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20
を有することがさらに好ましい。
【0047】
上記第1の態様に記載されるような本発明の方法によって得ることができる炭酸塩を含む材料の、本発明の使用は、紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティングにおける使用を含み、好ましくはアンダーボディコーティングまたはプラスチック用途、繊維および不織布において、繊維用途のためおよび沈降炭酸カルシウムの置き換えのための使用、さらにプラスチック用途においては、これらは、フィルム用途、好ましくはインフレーションフィルム用途、通気性フィルム用途、二軸延伸フィルム、好ましくはポリエチレンテレフタレート−、ポリアミド−、ポリエチレン−またはポリプロピレン−を含む二軸延伸フィルム;顆粒;管;技術的プロファイル;壁パネル;天井パネル;クラッディングパネル;ワイヤまたはケーブル絶縁材;シート;繊維;産業および消費者用途のための柔軟性包装、好ましくはロールストック、バッグ、ポーチ、ラベル、ラップ、施蓋装置、シュリンクスリーブおよびストレッチフィルム;工業および消費者用途のための硬質包装、好ましくはプラスチックボトル、カップおよび容器;建築および建設資材、好ましくはパイプおよび導管、クラッディングおよびプロファイル、断熱材、シールおよびガスケット;ジオテキスタイル;農業および園芸資材、好ましくは温室材料、マルチフィルム、トンネル、サイレージ、ベールラップ、箱および木箱;輸送および自動車用途、好ましくは内装部品、例えば計器およびドアパネル、コンソール、柱および座席、外装部品、例えばバンパーフェイシア、フェンダ、テールゲート、ボンネット下用途、好ましくは空気ダクト、空気取入マニホールド、ラジエータおよび冷却ホース;電気および電子用途、好ましくはCDプレーヤー、DVDシステム、パソコンおよびテレビセット、ノートPC、タブレット、スマートフォン、調理器具、冷蔵庫および冷凍庫、洗濯機、食器洗い機、ツールおよび事務機器;医療および健康用途、好ましくは使い捨てキャップ、ガウン、マスク、スクラブスーツおよび靴カバー、カーテン、ラップおよびパック、スポンジ、包帯およびワイプ、ベッドリネン、防汚ガウン、検査ガウン、白衣、アイソレーションガウン、診断医療機械および医療機器;パーソナルケア製品、好ましくは吸収性衛生製品、赤ちゃんのおむつ、女性用衛生製品および成人用失禁製品、ワイプ、スキンケア製品、脱毛ストリップ;家庭用品および家具製品、好ましくは木材複合体、装飾ホイル、床仕上げ材、フローリング、台所用品、洗剤、ペットケア、芝生および庭園物品;おもちゃ、スポーツおよびレジャー用品、好ましくはプレイハウス、建物キット、プレイビークル、スポーツおよびフィットネス機器、靴、衣類およびスポーツウェア、ヘルメット、ニーパッドのような安全装備、スポーツ用品およびスーツケースからなる群から選択される。プラスチックは、窓枠、パイプ、技術的プロファイル、例えば、ケーブルもしくはワイヤ伝導、壁、天井もしくはクラッディングパネル、またはワイヤ絶縁材のためのPVCであってもよい。
【0048】
特に断らない限り、用語「乾燥」は、少なくとも一部の水が材料から除去されて乾燥される方法を指す。また、「乾燥された」材料はさらに、特に断らない限り、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、3.0重量%未満、好ましくは0.05から0.2重量%の範囲、より好ましくは0.01から0.1重量%の範囲である総湿分含有量によって規定されてもよい。特に断らない限り、材料の「総湿分含有量」は、カールフィッシャー電量滴定方法に従って測定でき、オーブン中で湿分を220℃にて10分間脱着させ、100ml/分で乾燥窒素を用いて10分間連続的にカールフィッシャー電量計(Mettler−Toledo coulometric KF Titrator C30,oven DO 0337)に通す。この文脈において、水を用いる較正曲線が記録されるべきであり、サンプルなしでの10分の窒素フローのブランクも考慮されるべきである。
【0049】
本発明の1つの実施形態によれば、工程f)および場合により行なわれる工程g)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、a)≦15.0m/gの、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、さらにより好ましくは2.5から13.0m/g、最も好ましくは2.5から4m/gの範囲のBET比表面積を有し、および/またはc)予熱工程b)および/または接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同様の粒径に工程a)の同じ懸濁液を湿式粉砕することによって得られる炭酸カルシウムを含有する材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する。
【0050】
上記で述べられたように、少なくとも1つの炭酸カルシウムを含有する材料を含む水性懸濁液を調製するための本発明の方法は、工程a)、b)、c)、d)、e)およびf)を含む。以下において、本発明のさらなる詳細および特に少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を調製するための本発明の方法の前述の工程について述べる。当業者は、本明細書に記載される実施形態が共に組み合わせられまたは適用されることができることを理解する。
【0051】
<工程a)の特徴付け:少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の提供>
本発明の方法の工程a)によれば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、実質的に分散剤を含まない水性懸濁液が提供される。
【0052】
本発明の意味において、用語「少なくとも1つの」炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料は、1種以上の炭酸カルシウム含有材料を含み、好ましくはこれらからなることを意味する。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、1種の炭酸カルシウム含有材料を含み、好ましくはこれらからなる。代替的に、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、2種以上の炭酸カルシウム含有材料を含み、好ましくはこれらからなる。例えば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、2または3種の炭酸カルシウム含有材料を含み、好ましくはこれらからなる。
【0054】
好ましくは、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、1種の炭酸カルシウム含有材料である。
【0055】
本方法の工程a)において提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、想定される目的、即ち紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティング、繊維用途、プラスチック用途において、または一般にPCCを置き換えるために好適ないずれかの炭酸カルシウム含有材料であることができることが理解される。
【0056】
本発明に従う少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、好ましくは、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、少なくとも40.0重量%、より好ましくは少なくとも60.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも80.0重量%、最も好ましくは少なくとも90.0重量%、例えば少なくとも95.0重量%または98.0重量%の炭酸カルシウムを含む材料である。
【0057】
少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、好ましくはドロマイトおよび/または粉砕(または天然)炭酸カルシウム(NGCC)である。例えば少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、好ましくはドロマイトまたは粉砕(または天然)炭酸カルシウム(NGCC)である。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、粉砕(または天然)炭酸カルシウム(NGCC)である。
【0058】
NGCCは、天然に存在する形態の炭酸カルシウムであり、石灰石またはチョークのような堆積岩から、または変態大理石岩から採掘され、例えばサイクロンまたは分級機による、湿式および/もしくは乾燥形態での粉砕、スクリーニングおよび/または分別のような処理により加工されることが理解される。
【0059】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料はNGCC、例えば1つ以上の大理石、石灰石および/またはチョークである。好ましくは、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は大理石または石灰石である。より好ましくは、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は大理石である。
【0060】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、本質的にPCCを含まない、即ち炭酸カルシウム含有材料に基づいて2重量%未満のPCCを含有する、より好ましくはPCCを含まない。
【0061】
工程a)において出発材料として使用される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、好ましくは粒子状材料の形態であり、使用されるべき製品のタイプに関与する材料のために通常使用されるような粒径分布を有していてもよい。一般に、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、0.5μmから50.0μmの範囲の重量中央粒径直径d50を有する。例えば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、0.7μmから45.0μm、より好ましくは1.0μmから40.0μm、最も好ましくは5μmから35μmの範囲の重量中央粒径直径d50を有する。
【0062】
本発明の方法によれば、相対的に粗い出発材料も使用できる。工程a)において、粒子直径<1μmを有する粒子の含有量が少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、30から90重量%の間、好ましくは35から65重量%の間、最も好ましくは40から60重量%の間である炭酸カルシウム含有材料が使用できる。
【0063】
本明細書で使用される場合および当該技術分野において一般に規定される場合、「d50」値は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)III Plus(機器のソフトウェアバージョン1.04使用)を用いることによって行われる測定に基づいて決定され、50%(中央点)のサンプル質量を、特定値よりも微細または同等の直径を有する粒子が占めるサイズとして規定される。方法および機器は、当業者に既知であり、充填剤および顔料のグレインサイズを決定するために一般に使用される。
【0064】
加えてまたは代替的に、工程a)の出発材料として使用される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、≦250.0μmのd95値を有する。例えば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、30.0から250.0μm、好ましくは40.0から180.0μm、最も好ましくは50.0から150.0μmのd95値を有する。
【0065】
本発明の1つの実施形態において、工程a)の出発材料として使用される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、乾燥粉砕材料、湿式粉砕され、乾燥されている材料、または前述の材料の混合物であり、湿式粉砕材料が好ましい。
【0066】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、湿式粉砕された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を形成するために、湿式粉砕され、場合により乾燥され、水で再希釈される材料である。代替的に、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、乾式粉砕された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を形成するために、乾式粉砕され、水で再希釈される材料である。少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の湿式粉砕および乾式粉砕は、当業者に既知のいずれかの従来の粉砕手段によって行われることができる。例えば、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の湿式粉砕は、縦型撹拌ビーズミルにて行われることができる。さらに、乾燥は、当業者に既知のいずれかの従来の乾燥または加熱手段によって行われることができる。
【0067】
少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の形態で提供されることが理解される。例えば、水性懸濁液は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料および水を含み、好ましくはこれらからなる。代替的に、水性懸濁液は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料、水および有機溶媒を含み、好ましくはこれらからなる。水性懸濁液が有機溶媒を含む場合、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、0.1から20.0重量%、好ましくは0.5から15.0重量%、最も好ましくは1.0から10.0重量%の量で有機溶媒を含む。
【0068】
本発明の1つの実施形態において、水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、最も好ましくは15.0重量%から50.0重量%の固形分含有量、即ち少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を有する。
【0069】
水性懸濁液に使用されるべき水は、いずれかの利用可能な水、例えば処理水、例えば水処理システム由来の処理水および/または水道水および/または脱イオン水であることができる。好ましくは、工程a)の水性懸濁液を調製するために使用される水は処理水である。
【0070】
水性懸濁液が実質的に分散剤を含まないことは本発明の1つの要件である。
【0071】
表現「実質的に分散剤を含まない」とは、分散剤、例えばポリアクリル酸ナトリウムおよび/またはリン酸水素ナトリウムの量が、非常に低く、本発明の少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の調製を妨害し得ない系を指す。好ましくは、工程a)で提供される水性懸濁液は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、<0.05重量%、より好ましくは<0.02重量%、最も好ましくは<0.01重量%の量で分散剤を含む。換言すれば、用語「実質的に分散剤を含まない」とは、水性懸濁液が、分散剤を含有しない、または有効量以下の分散剤を含有することを意味する。本発明の意味において、「有効量以下の分散剤」は、湿った炭酸カルシウムを含有する材料、即ち炭酸カルシウム固形分を含有するスラリーの粘度の、測定可能な影響または変化をもたらさない分散剤の量に対応する。換言すれば、有効量以下の分散剤を含有する湿った炭酸カルシウムを含有する材料の粘度は、分散剤の完全な不存在下と実質的に同じである。有効量以下の分散剤は、通常、乾燥炭酸カルシウムを含有する材料に基づいて、約0.05重量%未満、例えば乾燥炭酸カルシウムを含有する材料に基づいて、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満である。本発明の意味において「分散剤」は、例えばポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびこれらの誘導体および前述のブレンドである。本発明の1つの実施形態において、工程a)の水性懸濁液は、分散剤を含まない、即ち水性懸濁液は分散剤を全く含まない。
【0072】
こうした分散剤は、本方法を妨害して、本発明の意味での炭酸カルシウム含有材料、即ち平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が1.5から4の範囲である炭酸カルシウム含有材料が得られないようにすると理解される。
【0073】
従って、分散剤は、方法工程a)および/または工程b)および/または工程c)および/または工程d)および/または工程e)および/または工程f)の前および/または間で添加されないことが好ましい。より好ましくは分散剤は、方法工程a)および工程b)および工程c)および工程d)および工程e)および工程f)の前および間で添加されない。
【0074】
<工程b)の特徴付け:水性懸濁液の予熱>
本発明の方法の工程b)によれば、工程a)の懸濁液は、周囲圧力にて、40から95℃の温度に予熱される。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、水性懸濁液は、50から95℃、好ましくは60から90℃、より好ましくは75から85℃の温度に調節される。
【0076】
本方法において予熱は、当業者に既知のいずれかの従来の加熱手段によって行われることができる。
【0077】
水性懸濁液の温度は、水の温度または水の品質の変動により変動し、従って水性懸濁液の温度は頻繁に調節されてもよい。好ましくは、温度は連続的に制御される。代替的に、温度は繰り返し制御される。
【0078】
工程a)の水性懸濁液の予熱は、当業者に既知のいずれかの従来の加熱手段によって行われることができる。例えば工程a)の水性懸濁液の予熱は、熱交換装置を用いることによって行われることができる。
【0079】
好ましい実施形態において、スラリーの固形分含有量は、予熱工程b)の前に20から30%、より好ましくは25%に調節される。
【0080】
1つの実施形態において、予熱工程b)は、高められた圧力下で行われる。
【0081】
表現「予熱工程b)の前」とは、工程a)の水性懸濁液が、室温または周囲圧力にて先行する加工処理工程から既に得られた高温を有し、所望の予熱温度まで懸濁液を加熱することがまだ始まっていない期間を指すことが理解される。表現「予熱工程b)の間」は、工程a)の水性懸濁液が、周囲圧力にて、40から95℃の予熱温度まで加熱される期間を指す。表現「予熱工程b)の後」は、水性懸濁液が、周囲圧力にて、40から95℃の予熱温度に到達した後の期間を指す。表現「湿式粉砕工程c)の前」は、工程c)の湿式粉砕が始まる前の期間を指す。表現「湿式粉砕工程c)の間」は、工程b)の水性懸濁液が湿式粉砕される期間を指す。表現「湿式粉砕工程c)の後」は、工程c)の水性懸濁液の湿式粉砕が停止された後の期間を指す。用語「後」、「間」および「前」は、方法工程d)、e)、f)および場合により行なわれる工程g)について同様に使用される。
【0082】
<工程c)の特徴付け:予熱された水性懸濁液の湿式粉砕>
本発明の方法の工程c)によれば、工程b)の予熱された懸濁液は、好ましくは平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が3から8の範囲、好ましくは3.5から7の範囲、最も好ましくは4から6の範囲である少なくとも1つの湿式粉砕された炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために少なくとも1つの粉砕工程において湿式粉砕される。
【0083】
一般に、湿式粉砕工程c)は、当業者に既知のいずれかの従来の粉砕装置を用いて行われることができる。例えば、湿式粉砕工程c)は、ビーズミルまたは媒体ミル、例えば縦型もしくは横型ビーズミルまたは縦型もしくは横型媒体ミル、および/または当業者に既知の他のこうした方法を用いることによって行われることができる。
【0084】
本発明の1つの実施形態において、粉砕装置、例えば縦型ビーズミルは、粉砕媒体を含む。例えば、粉砕装置は、粉砕装置の総体積に基づいて、少なくとも10.0体積%、好ましくは少なくとも50.0体積%、より好ましくは50.0から80.0体積%、最も好ましくは60.0から80.0体積%、例えば約70.0体積%の量の粉砕媒体で満たされる。
【0085】
湿式粉砕は、多種多様な粉砕媒体を用いることによって行われることができる。例えば、粉砕媒体は、セラミック媒体、ジルコニア(ZrO)、セリア安定化高密度粉砕媒体、ガラスまたはこれらの混合物で構成できる。本発明の1つの実施形態において、粉砕媒体は、約5g/cm以上の比重を有するセラミック媒体またはセリア安定化高密度粉砕媒体で構成される。
【0086】
加えてまたは代替的に、粉砕媒体は特定直径を有していてもよい。例えば粉砕媒体は、0.1から2.5mm、好ましくは0.2から2.0mm、最も好ましくは0.3から1.6mmの重量中央粒径直径d50を有する。
【0087】
加えてまたは代替的に、粉砕媒体は見掛け密度を有していてもよい。例えば、粉砕媒体は、3.0から10.0g/cm、好ましくは4.0から8.0g/cm、最も好ましくは5.0から7.0g/cmの密度を有していてもよい。
【0088】
湿式粉砕工程c)は、好ましくは少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が所望の微細度(fineness)を有するまで、行われることが理解される。
【0089】
例えば、湿式粉砕工程c)は、少なくとも20.0重量%、好ましくは少なくとも25.0重量%の少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が≦1.0μmの重量中央粒径直径を有するまで、行われる。本発明の1つの実施形態において、湿式粉砕工程c)は、少なくとも30.0重量%、好ましくは少なくとも35.0重量%、より好ましくは少なくとも40.0重量%、最も好ましくは少なくとも45.0重量%の少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が、≦1.0μmの重量中央粒径直径を有するまで行われる。
【0090】
湿式粉砕工程c)の、即ち水性懸濁液の出発温度は、好ましくは、工程b)にて得られる予熱された懸濁液の温度に対応する。従って、湿式粉砕工程c)は、好ましくは40から95℃、好ましくは60から80℃、より好ましくは75から85℃の出発温度で行われることが理解される。
【0091】
温度は好ましくは制御でき、工程c)が行われている間、この出発温度で維持される。これに関して、本発明の意味において、この方法工程の間に、用語「温度が維持される」は、好ましくは5℃を超えて出発温度を超えない温度に関し;即ち出発温度が、例えば40℃の温度に調節される場合、方法工程c)の間の温度は45℃を超えないことに留意すべきである。
【0092】
代替的に、方法工程c)の出発温度は、湿式粉砕工程c)が行われる間に上昇し得る。しかし、湿式粉砕の間に生じる放熱/摩擦熱により、混合物の温度は90℃以上の温度に上昇し得る。方法のこの実施形態においてミル出口における最大温度は、好ましくは水の沸点付近であり、最も好ましくは工程c)の間に到達する最大温度は、周囲圧力にて約100℃である。例えば、方法工程c)の間に到達する最大温度は好ましくは80から99℃の間である。
【0093】
湿式粉砕工程c)において得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液は、好ましくは、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、より好ましくは15.0重量%から50.0重量%、最も好ましくは20.0重量%から45.0重量%の固形分含有量を有する。
【0094】
得られた水性懸濁液が、所望の範囲を超えるまたは所望の範囲未満の少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の固形分含有量を有する場合、水性懸濁液は、この所望の固形分含有量の懸濁液を得るために当業者に既知のいずれかの従来の方法によって、水で希釈されてもよくまたは濃縮(up−concentrated)されてもよい。
【0095】
本発明の1つの実施形態において、湿式粉砕工程c)において得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液は、好ましくは、≧9.0、好ましくは10.0から13.0、最も好ましくは11.0から12.5の、25℃で測定されるpHを有する。
【0096】
本方法工程を行うために必要とされ得る時間は、所望の特徴を保持する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料への、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の転換をほぼ完了させるのに必要な時間である。少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料のこうしたほぼ完全な転換は、場合により少なくとも1つの塩基の存在下、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む予熱された水性懸濁液の湿式粉砕の開始から計算して、好ましくは2時間以内、より好ましくは1時間以内、さらにより好ましくは45分以内、さらにより好ましくは30分以内、最も好ましくは20分以内で得られる。
【0097】
<工程d)の特徴付け:少なくとも1つの塩基と水性懸濁液を接触させる>
本発明の方法の工程d)によれば、工程a)の水性懸濁液は、湿式粉砕工程c)の前および/または間および/または後、および/または除去工程e)の前および/または間および/または後に、≧9.0の、25℃で測定されたpHを有する水性懸濁液を得るための少なくとも1つの塩基と接触させる。接触工程d)は、湿式粉砕工程c)の後で行われることが好ましく、より好ましくは除去工程e)の後で行われるのが好ましい。
【0098】
本発明の意味において、表現「少なくとも1つの塩基」は、塩基が、1種以上の塩基を含み、好ましくはこれからなることを意味する。
【0099】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの塩基は、1種の塩基を含み、好ましくはこれらからなる。代替的に、少なくとも1つの塩基は、2種以上の塩基を含み、好ましくはこれらからなる。例えば、少なくとも1つの塩基は、2または3種の塩基を含み、好ましくはこれらからなる。
【0100】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの塩基は、1種の塩基である。
【0101】
本方法の工程d)の少なくとも1つの塩基は、水性懸濁液のpHを、≧9.0の、25℃で測定されるpHに調節するのに好適ないずれかの塩基であることができることが理解される。
【0102】
本発明の1つの実施形態において、水性懸濁液は、得られた水性懸濁液が、10.0から13.0、好ましくは11.0から12.5の、25℃で測定されるpHを有するように少なくとも1つの塩基と接触させる。
【0103】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの塩基は、炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、≧0.05重量%、好ましくは≧0.1重量%、より好ましくは≧0.2重量%、最も好ましくは0.2から1.0重量%の量で接触工程d)において添加される。
【0104】
完全性のために、少なくとも1つの塩基の量は、乾燥物質の炭酸カルシウム含有材料に対する活性材料として計算されることに留意すべきである。
【0105】
加えてまたは代替的に、接触工程d)の少なくとも1つの塩基は、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物および/または少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物であるのが好ましい。
【0106】
少なくとも1つの塩基が少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物である場合、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物は、好ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムから選択される。例えば、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることが好ましい。
【0107】
少なくとも1つの塩基が少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物である場合、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される。例えば、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物は、水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムである。少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物は水酸化カルシウムであることが好ましい。
【0108】
本発明の1つの実施形態において、接触工程d)の少なくとも1つの塩基は水酸化ナトリウムである。
【0109】
本発明に従う工程d)のために好ましい別の塩基は、炭酸ナトリウムである。
【0110】
少なくとも1つの塩基は、水性環境中でまたは乾燥材料として工程d)で提供できる。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの塩基は、水性環境において、工程d)で提供される。例えば、少なくとも1つの塩基は水を含み、好ましくは水からなる水性環境で工程d)にて提供される。
【0111】
表現「水性環境」は、水を含み、好ましくは水からなる系を指す。例えば、水性環境は水からなる。水性環境が水からなる場合、使用されるべき水は、いずれかの利用可能な水、例えば処理水、例えば水処理システム由来の処理水および/または水道水および/または脱イオン水であることができる。水性環境は、好ましくは分散剤および懸濁した固形材料を含まない。本発明の1つの実施形態において、水性環境は、好ましくは、炭酸カルシウム含有材料に対して反応性の材料を含まない。
【0112】
少なくとも1つの塩基が水性環境で水性懸濁液に添加される場合、少なくとも1つの塩基を含み、好ましくはこれらからなる水性環境は、好ましくは、室温を有する水性環境が、水性懸濁液を予熱するために必要とされる時間に悪影響を与え得るので、高温を有する。故に、接触工程d)において使用される少なくとも1つの塩基を含み、好ましくはこれらからなる水性環境の温度は、好ましくは、室温を超えるべきであるが、予熱工程b)において使用される温度以下である。代替的に、接触工程d)において使用される少なくとも1つの塩基を含み、好ましくはこれらからなる水性環境の温度は、約室温、即ち例えば20から24℃である。
【0113】
好ましくは、水性懸濁液は、乾燥材料である少なくとも1つの塩基と接触させる。
【0114】
本発明の1つの実施形態において、工程a)の水性懸濁液は、1度にまたは数回に分けて少なくとも1つの塩基と接触させる。少なくとも1つの塩基が数回に分けて添加される場合、工程a)の水性懸濁液は、2から5回に分けて、より好ましくは2から4回に分けて、さらにより好ましくは2または3回に分けて、最も好ましくは2回に分けて、少なくとも1つの塩基と接触させる。
【0115】
工程a)の水性懸濁液は、少なくとも1つの塩基と、好ましくは1度に接触させることが理解される。
【0116】
<工程e)の特徴付け:粗粒子(直径>20μm)の除去>
粗粒子の除去は、当業者に既知のあらゆる手段によって行われることができる。好ましくは、粗粒子の除去のために、遠心分離機および/またはディスクセパレータが使用される。
【0117】
本発明の要点において表現「粗粒子」は、直径>20μmを有する粒子を指す。粗粒子は、特に、炭酸カルシウム含有材料、汚染物質、雲母、石英または粉砕媒体の一部である。
【0118】
好ましい実施形態において、直径>100μmを有する粒子の>90重量%および直径>20μmを有する粒子の>70重量%、より好ましくは本質的にすべての直径>100μmを有する粒子および直径>20μmを有する粒子の>90重量%が除去される。
【0119】
別の実施形態において、BET比表面積は、工程e)の後、≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/gの範囲、より好ましくは2.0から14.0m/gの範囲、最も好ましくは3.0から13.0m/gの範囲である。
【0120】
<工程f)の特徴付け:水性懸濁液を貯蔵する>
本発明に従う方法は、除去工程e)にて得られる水性懸濁液を貯蔵する方法工程f)を含む。
【0121】
1つの好ましい実施形態に従う除去工程e)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液は直接使用できる、即ち貯蔵のために、工程e)とf)との間にさらなる方法工程を必要としないことが理解される。従って、工程f)において貯蔵される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、より好ましくは15.0重量%から50.0重量%、最も好ましくは20.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有していてもよい。
【0122】
本方法は貯蔵工程f)を含み、これは高温で行われる。除去工程e)において得られる水性懸濁液は、70から140℃、好ましくは75から130℃、最も好ましくは80から95℃の温度にて工程f)にて貯蔵される。
【0123】
さらに、貯蔵は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の所望の結晶モルホロジーへの完全またはほぼ完全な転換を可能にするのに十分長い期間行われる。貯蔵工程f)の間、平均粒径d80を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]が1.5から4.0の範囲である少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、工程e)で得られる水性懸濁液は、0.25から8時間の期間貯蔵される。好ましくは水性懸濁液は、75から130℃、最も好ましくは80から95℃の温度にて、および/または0.1から7時間、好ましくは0.5から3.5時間、より好ましくは0.75から2.5時間、最も好ましくは1から2時間貯蔵される。
【0124】
貯蔵工程は、高められた圧力下で行われることができる。
【0125】
1つの実施形態において、スラリーは、貯蔵工程f)の後、20から60℃、好ましくは30から50、最も好ましくは40℃に冷却される。
【0126】
少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む弱アルカリ性水性懸濁液を得るために、水性懸濁液は、貯蔵工程f)の後、≦10.5、好ましくは8.0から10.5、最も好ましくは8.5から10.0の、25℃で測定されるpHを有する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの酸で処理されてもよい。
【0127】
本発明の意味において、表現「少なくとも1つの」酸は、酸が、1種以上の酸を含み、好ましくはこれらからなることを意味する。
【0128】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの酸は、1種の酸を含み、好ましくはこれらからなる。代替的に、少なくとも1つの酸は、2種以上の酸を含み、好ましくはこれらからなる。例えば、少なくとも1つの酸は、2または3種の酸を含み、好ましくはこれらからなる。
【0129】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの酸は、1種の酸である。
【0130】
本発明の意味において用語「酸」は、ブレンステッド−ローリー説に従う酸を指す。
【0131】
本方法の水性懸濁液に添加されてもよい少なくとも1つの酸は、水性懸濁液のpHを、≦10.0の、25℃で測定されるpHに調節するのに好適ないずれかの酸であることができることが理解される。
【0132】
例えば、少なくとも1つの酸は、リン酸、クエン酸、炭酸、塩酸、分散剤、例えばアクリル酸またはマレイン酸およびこれらの混合物の少なくとも部分的に中和されたホモポリマーまたはコポリマーのナトリウムおよび/またはカリウムおよび/またはアンモニウム塩を含む群から選択される。
【0133】
少なくとも1つの酸が分散剤である場合、本方法から得られた水性懸濁液は、好ましくは脱水され、次いで分散剤の存在下、水で再希釈される。分散剤は、当業者に周知であり、多種多様の供給源から利用可能である。
【0134】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液は、キレート化剤および/または共役塩基を含まない。
【0135】
<工程g)の特徴付け:脱水および場合により乾燥>
場合により、貯蔵工程f)において得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液は、脱水され、場合により方法工程g)において、場合により部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を得る点まで乾燥される。
【0136】
脱水は、当業者に既知のいずれかの手段によって行われることができ、デカンタおよび/または遠心分離機の使用が好ましい。1つの実施形態において、炭酸カルシウム含有材料は、好ましくは純水で再希釈され、再度脱水されて、残留塩基を洗い流す。この手順は、好ましくは2回繰り返すことができる。炭酸ナトリウムを塩基として使用する場合、再希釈脱水手順を1回繰り返すことが好ましく、これは両方の工程を2回行うことを意味する。1つの実施形態において、残留塩基は、洗浄フィルタを用いることによって、好ましくは置換洗浄によって、即ち1工程で除去される。洗浄ゾーンでの例えばベルトフィルタまたはドラムフィルタの使用により、1つの機械において、脱水/洗浄順序を直接行うことができる。
【0137】
1つの実施形態において、炭酸カルシウム含有材料は脱水され、残留塩基は適した方法設備、例えば当業者に既知の洗浄フィルタ、真空ドラムフィルタ、プレスフィルタ、洗浄を伴うプレスフィルタにおいて1工程で洗い流される。本発明の発明者らは、驚くべきことに、残留塩基を洗い流すことにより、残留塩基を洗い流すことなく製造された炭酸カルシウム含有材料よりも低い湿分取り込み感受性を有する炭酸カルシウム含有材料を得ることを見出した。水取り込みの20分の1への低下は、残留塩基を洗い流す工程を適用することによって達成され得る。
【0138】
炭酸カルシウム含有材料を乾燥するために、フラッシュまたはスプレー乾燥のような熱方法が好ましい。
【0139】
本明細書で使用される表現「乾燥された」は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて3.0重量%未満、好ましくは2.0重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、最も好ましくは1.0重量%未満の総湿分含有量を有する炭酸カルシウム含有材料を指すことが理解される。本発明の1つの実施形態において、炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.8重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、最も好ましくは0.6重量%未満の総湿分含有量を有する。例えば炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.05から0.2重量%、好ましくは0.01から0.1重量%の総湿分含有量を有する。
【0140】
上記で記載される水性懸濁液が部分的に脱水される場合、工程g)にて得られた部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、好ましくは高い固形分含有量を有する水性懸濁液の形態である、即ち固形分含有量は、本方法の貯蔵工程f)の後に得られる水性懸濁液の固形分含有量を超える。例えば、工程g)において得られた部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の総重量に基づいて、20.0から70.0重量%、好ましくは25.0から65.0重量%、最も好ましくは30.0から60.0重量%の固形分含有量を有する水性懸濁液の形態である。
【0141】
上記で記載される水性懸濁液が乾燥される場合、固形分(即ち、乾燥または流体形態ではないように水をほとんど含有しない。)の工程g)にて得られる炭酸カルシウム含有材料は、顆粒状または粉末の形態であることができる。
【0142】
別の実施形態において、炭酸カルシウム含有材料は脱アグロメレートされる。この工程は、好ましくはピンミルにて行われる。
【0143】
本発明の1つの実施形態によれば、乾燥または脱アグロメレーション工程の後に得られる炭酸カルシウム含有材料は、60から150℃、好ましくは70から130℃、最も好ましくは80から110℃の範囲の温度に加熱され、0.05から0.2重量%、好ましくは0.01から0.1重量%の範囲の湿分含有量を有する材料を得る。
【0144】
乾燥生成物および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料の場合、生成物および/または材料は、加えて、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/またはこれらの塩反応生成物で処理できる。例えば、乾燥された炭酸カルシウム含有材料および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、乾燥中および/または乾燥前および/または乾燥後に5から24個の間の炭素原子を有する脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理できる。好ましくは乾燥された炭酸カルシウム含有材料および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、乾燥前または乾燥後、5から24個の間の炭素原子を有する脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理される。より好ましくは乾燥された炭酸カルシウム含有材料および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、乾燥前、5から24個の間の炭素原子を有する脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理される。
【0145】
本発明の意味において脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、1つ以上の直鎖、分岐状鎖、飽和、不飽和および/または脂肪族カルボン酸から選択されてもよい。好ましくは、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、モノカルボン酸であり、即ち脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、単一カルボキシル基が存在することを特徴とする。このカルボキシル基は、炭素骨格の末端にある。
【0146】
本発明の1つの実施形態において、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、飽和非分岐状カルボン酸から選択され、即ち、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、好ましくはペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカノン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸およびこれらの混合物からなるカルボン酸の群から選択される。
【0147】
本発明の別の実施形態において、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、オクタン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0148】
例えば、脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸はステアリン酸である。
【0149】
別の実施形態において、乾燥された炭酸カルシウム含有材料および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物との少なくとも1つのリン酸エステルブレンドで処理できる。
【0150】
本発明の意味において用語リン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルの「反応生成物」は、炭酸カルシウムを、少なくとも1つのリン酸エステルブレンドと接触させることによって得られる生成物を指す。この反応生成物は、適用されたリン酸エステルブレンドの少なくとも一部と、炭酸カルシウム粒子の表面に位置する反応性分子との間に形成される。
【0151】
本発明の意味において用語「リン酸モノエステル」は、アルコール置換基においてC−C30、好ましくはC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0152】
本発明の意味において、用語「リン酸ジエステル」は、アルコール置換基において、C−C30、好ましくはC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2つのアルコール分子でジエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0153】
表現「1つ以上の」リン酸モノエステルは、1種以上のリン酸モノエステルが、リン酸エステルブレンドに存在し得ることを意味することが理解される。
【0154】
従って、1つ以上のリン酸モノエステルは1種のリン酸モノエステルであってもよいことに留意すべきである。代替的に、1つ以上のリン酸モノエステルは、2種以上のリン酸モノエステルの混合物であってもよい。例えば1つ以上のリン酸モノエステルは、2または3種のリン酸モノエステル、同様に2種のリン酸モノエステルの混合物であってもよい。
【0155】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基においてC−C30の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基においてC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0156】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、ヘキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、ドデシルリン酸モノエステル、テトラデシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0157】
例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルである。
【0158】
表現「1つ以上の」リン酸ジエステルは、1種以上のリン酸ジエステルが、炭酸カルシウムおよび/またはリン酸エステルブレンドのコーティング層に存在し得ることを意味することが理解される。
【0159】
従って、1つ以上のリン酸ジエステルは1種のリン酸ジエステルであってもよいことに留意すべきである。代替的に、1つ以上のリン酸ジエステルは、2種以上のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。例えば1つ以上のリン酸ジエステルは、2または3種のリン酸ジエステル、同様に2種のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。
【0160】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基においてC−C30の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基においてC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2つの脂肪族アルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0161】
リン酸をエステル化するために使用される2つのアルコールは、独立に、アルコール置換基においてC6−C30の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる、不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択されてもよいことが理解される。換言すれば、1つ以上のリン酸ジエステルは、同じアルコールから誘導されている2つの置換基を含んでいてもよく、またはリン酸ジエステル分子は、異なるアルコールから誘導されている2つの置換基を含んでいてもよい。
【0162】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基において、C−C30、好ましくはC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる飽和線状脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。代替的に、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基において、C−C30、好ましくはC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる飽和分岐状脂肪族アルコールから選択される2つのアルコール分子でエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0163】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、ヘキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、ドデシルリン酸ジエステル、テトラデシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0164】
例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルである。
【0165】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択され、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0166】
例えば、炭酸カルシウムのアクセス可能な表面積の少なくとも一部は、1つのリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物および1つのリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物のリン酸エステルブレンドを含む。この場合、1つのリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルを含む群から選択され、1つのリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルを含む群から選択される。
【0167】
リン酸エステルブレンドは、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と、1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物とを特定のモル比で含む。特に、処理層および/またはリン酸エステルブレンド中の1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と、1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物とのモル比は、1:1から1:100、好ましくは1:1.1から1:60、より好ましくは1:1.1から1:40、さらにより好ましく1:1.1から1:20、最も好ましくは1:1.1から1:10である。
【0168】
文言「1つ以上のリン酸モノエステルおよびこれらの反応生成物と、1つ以上のリン酸ジエステルおよびこれらの反応生成物とのモル比」は、本発明の意味において、リン酸モノエステル分子の分子量の合計で除した実際の重量の合計および/または反応生成物中のリン酸モノエステル分子の分子量の合計で除した実際の重量の合計と、リン酸ジエステル分子の分子量の合計で除した実際の重量の合計および/またはこれらの反応生成物中のリン酸ジエステル分子の分子量の合計で除した実際の重量の合計とを指す。
【0169】
本発明の1つの実施形態において、炭酸カルシウムの表面の少なくとも一部においてコーティングされたリン酸エステルブレンドはさらに、1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸および/またはこれらの反応生成物を含んでいてもよい。
【0170】
本発明の意味において、用語「リン酸トリエステル」は、アルコール置換基において、C−C30、好ましくはC−C22、より好ましくはC−C20、最も好ましくはC−C18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる不飽和または飽和、分岐状または線状、脂肪族または芳香族アルコールから選択される3つのアルコール分子でトリエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0171】
表現「1つ以上の」リン酸トリエステル」は、1種以上のリン酸トリエステルは、炭酸カルシウムのアクセス可能な表面積の少なくとも一部上に存在し得ることが理解される。
【0172】
従って、1つ以上のリン酸トリエステルは1種のリン酸トリエステルであってもよいことに留意すべきである。代替的に、1つ以上のリン酸トリエステルは、2種以上のリン酸トリエステルの混合物であってもよい。例えば1つ以上のリン酸トリエステルは、2または3種のリン酸トリエステル、同様に2種のリン酸トリエステルの混合物であってもよい。
【0173】
別の実施形態において、乾燥炭酸カルシウム含有材料および/または部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の前または後に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/またはこれらの塩反応生成物で処理できる。
【0174】
ジヒドロ−2,5−フランジオン、コハク酸無水物またはスクシニルオキシドとも称される表現「コハク酸無水物」は、分子式Cを有し、コハク酸の酸無水物である。
【0175】
本発明の意味において、表現「一置換」コハク酸無水物は、水素原子が別の置換基によって置換されるコハク酸無水物を指す。
【0176】
本発明の意味において、表現「一置換」コハク酸は、水素原子が別の置換基によって置換されるコハク酸を指す。
【0177】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、1種の一置換コハク酸無水物であってもよいことに留意すべきである。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2種以上の一置換コハク酸無水物の混合物であってもよい。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2または3種の一置換コハク酸無水物の混合物、例えば2種の一置換コハク酸無水物の混合物であってもよい。
【0178】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、1種の一置換コハク酸無水物である。
【0179】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、表面処理剤を表し、置換基においてC2−C30の炭素原子の総量を有するいずれかの線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸無水物からなることが理解される。
【0180】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC3−C20の炭素原子の総量を有する線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸無水物からなる。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC4−C18の炭素原子の総量を有する線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸無水物からなる。
【0181】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する線状および脂肪族基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなる。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する分岐状および脂肪族基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなる。
【0182】
故に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する線状または分岐状アルキル基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなるのが好ましい。
【0183】
例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する線状アルキル基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなる。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する分岐状アルキル基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなる。
【0184】
本発明の意味において用語「アルキル」は、炭素および水素で構成される線状または分岐状、飽和有機化合物を指す。換言すれば、「アルキル一置換コハク酸無水物」は、ペンダントコハク酸無水物基を含有する線状または分岐状、飽和炭化水素鎖で構成される。
【0185】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は少なくとも1つの線状または分岐状アルキル一置換コハク酸無水物である。例えば、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、エチルコハク酸無水物、プロピルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、トリイソブチルコハク酸無水物、ペンチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ノニルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0186】
従って、例えば用語「ブチルコハク酸無水物」は、線状および分岐状ブチルコハク酸無水物を含むことが理解される。線状ブチルコハク酸無水物の1つの具体例は、n−ブチルコハク酸無水物である。分岐状ブチルコハク酸無水物の特定例は、イソ−ブチルコハク酸無水物、sec−ブチルコハク酸無水物および/またはtert−ブチルコハク酸無水物である。
【0187】
さらに、例えば用語「ヘキサデカニルコハク酸無水物」は、線状および分岐状ヘキサデカニルコハク酸無水物を含むことが理解される。1つの特定例の線状ヘキサデカニルコハク酸無水物は、n−ヘキサデカニルコハク酸無水物である。特定例の分岐状ヘキサデカニルコハク酸無水物は、14−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、13−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、12−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、11−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、10−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、9−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、8−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、7−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、6−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、5−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、4−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、3−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、2−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、1−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、13−エチルブタデカニルコハク酸無水物、
12−エチルブタデカニルコハク酸無水物、11−エチルブタデカニルコハク酸無水物、10−エチルブタデカニルコハク酸無水物、9−エチルブタデカニルコハク酸無水物、8−エチルブタデカニルコハク酸無水物、7−エチルブタデカニルコハク酸無水物、6−エチルブタデカニルコハク酸無水物、5−エチルブタデカニルコハク酸無水物、4−エチルブタデカニルコハク酸無水物、3−エチルブタデカニルコハク酸無水物、2−エチルブタデカニルコハク酸無水物、1−エチルブタデカニルコハク酸無水物、2−ブチルドデカニルコハク酸無水物、1−ヘキシルデカニルコハク酸無水物、1−ヘキシル−2−デカニルコハク酸無水物、2−ヘキシルデカニルコハク酸無水物、6,12−ジメチルブタデカニルコハク酸無水物、2,2−ジエチルドデカニルコハク酸無水物、4,8,12−トリメチルトリデカニルコハク酸無水物、2,2,4,6,8−ペンタメチルウンデカニルコハク酸無水物、2−エチル−4−メチル−2−(2−メチルペンチル)−ヘプチルコハク酸無水物および/または2−エチル−4,6−ジメチル−2−プロピルノニルコハク酸無水物である。
【0188】
さらに、例えば用語「オクタデカニルコハク酸無水物」は、線状および分岐状オクタデカニルコハク酸無水物を含むことが理解される。線状オクタデカニルコハク酸無水物の1つの特定例は、n−オクタデカニルコハク酸無水物である。分岐状ヘキサデカニルコハク酸無水物の特定例は、16−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、15−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、14−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、13−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、12−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、11−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、10−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、9−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、8−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、7−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、6−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、5−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、4−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、3−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、2−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、
1−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、14−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、13−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、12−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、11−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、10−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、9−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、8−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、7−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、6−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、5−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、4−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、3−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、2−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、1−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、2−ヘキシルドデカニルコハク酸無水物、2−ヘプチルウンデカニルコハク酸無水物、イソ−オクタデカニルコハク酸無水物および/または1−オクチル−2−デカニルコハク酸無水物である。
【0189】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0190】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、1種のアルキル一置換コハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルキル一置換コハク酸無水物はヘキシルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、ヘプチルコハク酸無水物またはオクチルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルキル一置換コハク酸無水物はヘキサデカニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、線状ヘキサデカニルコハク酸無水物、例えばn−ヘキサデカニルコハク酸無水物または分岐状ヘキサデカニルコハク酸無水物、例えば1−ヘキシル−2−デカニルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルキル一置換コハク酸無水物はオクタデカニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、線状オクタデカニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデカニルコハク酸無水物または分岐状オクタデカニルコハク酸無水物、例えばイソ−オクタデカニルコハク酸無水物または1−オクチル−2−デカニルコハク酸無水物である。
【0191】
本発明の1つの実施形態において、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物、例えばn−ブチルコハク酸無水物である。
【0192】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2種以上のアルキル一置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2または3種のアルキル一置換コハク酸無水物の混合物である。
【0193】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有する線状または分岐アルケニル基である1つの基で一置換されたコハク酸無水物からなる。
【0194】
本発明の意味において用語「アルケニル」は、炭素および水素で構成される線状または分岐状、不飽和有機化合物を指す。この有機化合物はさらに、置換基において少なくとも1つの二重結合、好ましくは1つの二重結合を含有する。換言すれば、「アルケニル一置換コハク酸無水物」は、ペンダントコハク酸無水物基を含有する線状または分岐状、不飽和炭化水素鎖で構成される。本発明の意味において、用語「アルケニル」はシスおよびトランス異性体を含むことが理解される。
【0195】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、少なくとも1つの線状または分岐状アルケニル一置換コハク酸無水物である。例えば、少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、トリイソブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、デセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0196】
従って、例えば用語「ヘキサデセニルコハク酸無水物」は、線状および分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物を含むことが理解される。線状ヘキサデセニルコハク酸無水物の1つの具体例は、n−ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば14−ヘキサデセニルコハク酸無水物、13−ヘキサデセニルコハク酸無水物、12−ヘキサデセニルコハク酸無水物、11−ヘキサデセニルコハク酸無水物、10−ヘキサデセニルコハク酸無水物、9−ヘキサデセニルコハク酸無水物、8−ヘキサデセニルコハク酸無水物、7−ヘキサデセニルコハク酸無水物、6−ヘキサデセニルコハク酸無水物、5−ヘキサデセニルコハク酸無水物、4−ヘキサデセニルコハク酸無水物、3−ヘキサデセニルコハク酸無水物および/または2−ヘキサデセニルコハク酸無水物である。分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物の具体例は、14−メチル−9−ペンタデセニルコハク酸無水物、14−メチル−2−ペンタデセニルコハク酸無水物、1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物および/またはイソ−ヘキサデセニルコハク酸無水物である。
【0197】
さらに、例えば用語「オクタデセニルコハク酸無水物」は、線状および分岐状オクタデセニルコハク酸無水物を含むことが理解される。線状オクタデセニルコハク酸無水物の1つの特定は、n−オクタデセニルコハク酸無水物、例えば16−オクタデセニルコハク酸無水物、15−オクタデセニルコハク酸無水物、14−オクタデセニルコハク酸無水物、13−オクタデセニルコハク酸無水物、12−オクタデセニルコハク酸無水物、11−オクタデセニルコハク酸無水物、10−オクタデセニルコハク酸無水物、9−オクタデセニルコハク酸無水物、8−オクタデセニルコハク酸無水物、7−オクタデセニルコハク酸無水物、6−オクタデセニルコハク酸無水物、5−オクタデセニルコハク酸無水物、4−オクタデセニルコハク酸無水物、3−オクタデセニルコハク酸無水物および/または2−オクタデセニルコハク酸無水物である。分岐状オクタデセニルコハク酸無水物の具体例は、16−メチル−9−ヘプタデセニルコハク酸無水物、16−メチル−7−ヘプタデセニルコハク酸無水物、1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物および/またはイソ−オクタデセニルコハク酸無水物である。
【0198】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、ヘキセニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0199】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物はヘキセニルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物はオクテニルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物はヘキサデセニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、線状ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えばn−ヘキサデセニルコハク酸無水物または分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物である。代替的に、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、オクタデセニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル一置換コハク酸無水物は、線状オクタデセニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデセニルコハク酸無水物または分岐状オクタデセニルコハク酸無水物、例えばイソ−オクタデセニルコハク酸無水物、または1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物である。
【0200】
本発明の1つの実施形態において、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、線状オクタデセニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデセニルコハク酸無水物である。本発明の別の実施形態において、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、線状オクテニルコハク酸無水物、例えばn−オクテニルコハク酸無水物である。
【0201】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が1つのアルケニル一置換コハク酸無水物である場合、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物の総重量に基づいて、≧95重量%、好ましくは≧96.5重量%の量で存在することが理解される。
【0202】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2または3種のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である。
【0203】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が、2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、線状または分岐状オクタデセニルコハク酸無水物である一方で、さらなるアルケニル一置換コハク酸無水物のそれぞれは、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物から選択される。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物であり、ここで1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、線状オクタデセニルコハク酸無水物であり、さらなるアルケニル一置換コハク酸無水物のそれぞれは、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物から選択される。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物であり、ここで1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、分岐状オクタデセニルコハク酸無水物であり、さらなるアルケニル一置換コハク酸無水物のそれぞれは、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物から選択される。
【0204】
例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、1つ以上のヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば線状または分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物および1つ以上のオクタデセニルコハク酸無水物、例えば線状または分岐状オクタデセニルコハク酸無水物を含む2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である。
【0205】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、線状ヘキサデセニルコハク酸無水物および線状オクタデセニルコハク酸無水物を含む2種以上アルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物および分岐状オクタデセニルコハク酸無水物を含む2種以上アルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、1つ以上のヘキサデセニルコハク酸無水物は、線状ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えばn−ヘキサデセニルコハク酸無水物および/または分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物である。加えてまたは代替的に、1つ以上のオクタデセニルコハク酸無水物は、線状オクタデセニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデセニルコハク酸無水物および/または分岐状オクタデセニルコハク酸無水物、例えばイソ−オクタデセニルコハク酸無水物および/または1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物である。
【0206】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つのアルケニル一置換コハク酸無水物は、提供される少なくとも1つの一置換コハク酸無水物の総重量に基づいて、20から60重量%、好ましくは30から50重量%の量で存在することが理解される。
【0207】
例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が、1つ以上のヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば線状または分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物および1つ以上のオクタデセニルコハク酸無水物、例えば線状または分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物を含む2種以上のアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つ以上のオクタデセニルコハク酸無水物は、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物の総重量に基づいて20から60重量%、好ましくは30から50重量%の量で存在することが好ましい。
【0208】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物であってもよいことが理解される。
【0209】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である場合、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物のアルキル置換基および少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物のアルケニル置換基が好ましくは同じであることが理解される。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、エチルコハク酸無水物およびエテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、プロピルコハク酸無水物およびプロペニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物およびブテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、トリイソブチルコハク酸無水物およびトリイソブテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ペンチルコハク酸無水物およびペンテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ヘキシルコハク酸無水物およびヘキセニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ヘプチルコハク酸無水物およびヘプテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、オクチルコハク酸無水物およびオクテニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ノニルコハク酸無水物およびノネニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、デシルコハク酸無水物およびデセニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ドデシルコハク酸無水物およびドデセニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ヘキサデカニルコハク酸無水物およびヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、線状ヘキサデカニルコハク酸無水物および線状ヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物または分岐状ヘキサデカニルコハク酸無水物および分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物である。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、オクタデカニルコハク酸無水物およびオクタデセニルコハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、線状オクタデカニルコハク酸無水物および線状オクタデセニルコハク酸無水物の混合物または分岐状オクタデカニルコハク酸無水物および分岐状オクタデセニルコハク酸無水物の混合物である。
【0210】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物は、ノニルコハク酸無水物およびノネニルコハク酸無水物の混合物である。
【0211】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物の混合物である場合、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物と少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物との間の重量比は、90:10から10:90(重量%/重量%)の間である。例えば、少なくとも1つのアルキル一置換コハク酸無水物と少なくとも1つのアルケニル一置換コハク酸無水物との重量比は、70:30から30:70(重量%/重量%)の間または60:40から40:60の間である。
【0212】
表現「少なくとも1つの」一置換コハク酸は、1種以上の一置換コハク酸が本発明の方法に提供されてもよいことを意味することが理解される。
【0213】
従って、少なくとも1つの一置換コハク酸が1種の一置換コハク酸であってもよいことに留意すべきである。代替的に、少なくとも1つの一置換コハク酸は、2種以上の一置換コハク酸の混合物であってもよい。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸は、2または3種の一置換コハク酸、例えば2種の一置換コハク酸の混合物であってもよい。
【0214】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸は、1種の一置換コハク酸である。
【0215】
少なくとも1つの一置換コハク酸は表面処理剤を表し、置換基においてC2−C30の炭素原子の総量を有する、いずれかの線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸からなることが理解される。
【0216】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸は、置換基においてC3−C20の炭素原子の総量を有する線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸からなる。例えば、少なくとも1つの一置換コハク酸は、置換基においてC4−C18の炭素原子の総量を有する線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される基で一置換されたコハク酸からなる。
【0217】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および少なくとも1つの一置換コハク酸は、同じまたは異なる置換基を含んでいてもよいことが理解される。
【0218】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの一置換コハク酸のコハク酸分子および少なくとも1つの一置換コハク酸無水物のコハク酸無水物分子は、置換基においてC2−C30、好ましくはC3−C20、最も好ましくはC4−C18の炭素原子の総量を有するいずれかの線状、分岐状、脂肪族および環状基から選択される同じ基で一置換される。
【0219】
少なくとも1つの一置換コハク酸無水物が、少なくとも1つの一置換コハク酸と組み合わせて提供される場合、少なくとも1つの一置換コハク酸は、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および少なくとも1つの一置換コハク酸のモル合計に基づいて≦10mol%の量で存在する。例えば少なくとも1つの一置換コハク酸は、少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および少なくとも1つの一置換コハク酸のモル合計に基づいて≦5mol%、好ましくは≦2.5mol%、最も好ましくは≦1mol%の量で存在する。
【0220】
本発明の別の実施形態によれば、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥炭酸カルシウム含有材料は、脱水および場合により乾燥工程g)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理されて、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得ることが好ましい。例えば、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、脱水または乾燥工程f)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。
【0221】
本発明の1つの実施形態において、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、脱水または乾燥工程g)の前に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。好ましくは、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の前に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理されて、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。
【0222】
代替的に、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、脱水または乾燥工程g)の後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。
【0223】
本発明の1つの実施形態において、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、脱水および場合により行なわれる乾燥工程g)の後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。例えば、乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、乾燥工程g)の後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理され、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得る。
【0224】
加えてまたは代替的に、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の後、少なくとも1つの分散剤で処理できる。例えば、少なくとも1つの分散剤で処理されるべき部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の総重量に基づいて≦40.0重量%、例えば5.0から40.0重量%の固形分含有量を有する水性懸濁液の形態であってもよい。代替的に、少なくとも1つの分散剤で処理されるべき部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、フィルタケークの総重量に基づいて50.0から85.0重量%の固形分含有量を有するフィルタケークの形態であってもよい。
【0225】
こうした部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を分散させるのに好適な分散剤は、当業者に周知である。例えば、分散剤は、アクリル酸またはマレイン酸の少なくとも部分的に中和されたホモポリマーまたはコポリマーのナトリウムおよび/またはカリウムおよび/またはアンモニウム塩、例えば4000から10000g/mol、好ましくは4000から8000g/mol、最も好ましくは約6000g/molの分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルメタクリレート、立体、櫛型ポリマーおよびこれらの混合物から選択できる。本発明の1つの実施形態において、分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムの混合物である。
【0226】
部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料が分散剤で処理される場合、分散剤は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、好ましくは0.05から2.0重量%、より好ましくは0.1から1.5重量%、最も好ましくは0.3から1.0重量%の総量で存在する。分散剤の量は、乾燥物質の炭酸カルシウム含有材料に対する活性材料として計算されることに留意すべきである。
【0227】
加えてまたは代替的に、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得るために、水で再希釈されてもよい。
【0228】
部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を水で再希釈する場合、得られた水性懸濁液は、好ましくは、水性懸濁液の総重量に基づいて10.0から80.0重量%、好ましくは15.0から79.0重量%、最も好ましくは20.0から78.0重量%の固形分含有量を有する。
【0229】
本発明の1つの実施形態において、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の総重量に基づいて、50.0から80.0重量%、好ましくは60.0から80.0重量%、最も好ましくは65.0から78.0重量%の固形分含有量を有する水性懸濁液を得るために、水で再希釈される。
【0230】
例えば、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の総重量に基づいて、65.0から75.0重量%の固形分含有量を有する水性懸濁液を得るために水で再希釈できる。
【0231】
故に、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を再希釈することによって得られる水性懸濁液は、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸を含んでいてもよく、または飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸を含んでいなくてもよいことが理解される。従って、炭酸カルシウム含有材料は、疎水化炭酸カルシウム含有材料即ち少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理することによって得られるものであることができる。
【0232】
本発明に従う方法によって得られる炭酸カルシウム材料は、0.01から1mg/g、好ましくは0.1から0.9mg/g、より好ましくは0.2から0.8mg/gの湿分取り込み感受性を有する。
【0233】
本発明の1つの実施形態において、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を再希釈することによって得られる水性懸濁液は、分散剤を含んでいてもよく、または分散剤を含んでいなくてもよい。従って、炭酸カルシウム含有材料は、分散材料または非分散材料であることができる。
【0234】
本発明の1つの実施形態において、方法工程g)の後に得られる炭酸カルシウム含有材料は、分散材料である。
【0235】
本方法によって得られる炭酸カルシウム含有材料は、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]によって表される特定の狭い粒径分布、即ち勾配係数によって特徴付けられる。
【0236】
工程f)の後に本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、1.5から4の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有することが理解される。
【0237】
本発明の1つの実施形態において、工程f)の後に本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、1.5から4.0、好ましくは1.7から3.50、最も好ましくは2.2から3.4の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する。
【0238】
勾配係数は、場合により行なわれる方法工程g)が方法において実施される場合に変化せず、故に場合により行なわれる方法工程g)の後に得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料はまた、上記で概要されるような勾配係数を有する、即ち≦4.1、1.5から4.0、好ましくは1.7から3.50、最も好ましくは2.2から3.4の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有することに留意すべきである。
【0239】
好ましくは、本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、工程a)の同じ懸濁液を同様の粒径に湿式粉砕するが、予熱工程b)および/または接触工程d)および/または貯蔵工程f)を行わずに得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する。
【0240】
工程f)の後、本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、低いBET比表面積を有することがさらに理解される。好ましくは、少なくとも1つの炭酸カルシウムを含有する材料は、≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、さらにより好ましくは2.5から13.0m/g、最も好ましくは2.5から4m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0241】
本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料のBET比表面積は、工程a)の同じ懸濁液を同様の粒径に湿式粉砕するが、予熱工程b)および接触工程d)または貯蔵工程f)を行わずに得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料のBET比表面積よりも低いことに留意すべきである。
【0242】
本方法によって得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の有利な特徴はまた、BET比表面積と重量中央粒径直径d50との比[SSA/d50]によって計算できる正規化SSAによって表されることができる。工程f)の後、本方法によって得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、好ましくは≦15.0*10m/g、好ましくは0.5から10*10m/gの範囲、より好ましくは0.9から7*10m/gの範囲、最も好ましくは1.5から4.5*10m/gの範囲の正規化SSA[SSA/d50]を有する。
【0243】
加えてまたは代替的に、場合により行なわれる方法工程g)の後に得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、上記で概要されたような正規化SSA、即ち≦15.0*10m/g、好ましくは0.5から10.0*10m/gの範囲、より好ましくは0.9から7.0*10m/gの範囲、最も好ましくは1.5から4.5*10m/gの範囲の正規化SSA[SSA/d50]を有する。
【0244】
本方法によって得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の有利な特徴はまた、同じ比表面積を有する理想球体の直径からの、平均測定重量中央粒子直径d50の偏差によって表現できる。同じ比表面積を有する理想球体の直径dpは、以下の式(1)に従って計算できる。
【0245】
(1)dp=6/ρSSA
式中、dpは、同じ比表面積を有する理想球体の直径であり;
ρは、炭酸カルシウムの密度(2.7kg/m)であり;
SSAは、実験部分に記載されるISO4652に従って決定されたBET比表面積である。
【0246】
式(1)は、式(2)から(4)から誘導される。
【0247】
(2)A=πdp2
(3)V=πdp3/6
(4)SSA=A/ρ
式中、Aは、表面積であり、Vは表面体積である。
【0248】
工程f)または工程g)の後に得られた炭酸カルシウム含有材料の同じ比表面積を有する理想球体の直径dpからの、測定されたd50の偏差は、同じ比表面積を有する理想球体の直径に対して好ましくは100から200%の間、より好ましくは120から180%の間、最も好ましくは130から165%の間である。
【0249】
本発明の1つの実施形態において、本方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、工程a)の同じ懸濁液を同様の粒径に湿式粉砕するが、予熱工程b)および接触工程d)および/または貯蔵工程f)を行わずに得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い正規化SSAを有する。
【0250】
得られた良好な結果の観点から、本発明のさらなる態様は、1.5から4、好ましくは1.7から3.5、より好ましくは2.2から3.4の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する炭酸カルシウム含有材料を対象とする。炭酸カルシウム含有材料が、上記で規定されるような方法、即ち方法工程a)、b)、c)、d)、e)、f)および場合により行なわれる方法工程g)によって得られることは本発明の1つの要件である。
【0251】
以下で与えられるように用途または使用の観点から、炭酸カルシウム含有材料は、部分的に脱水されたまたは乾燥された炭酸カルシウム含有材料の形態であることが好ましい。特に、部分的に脱水されたまたは乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、本発明の方法の工程f)において得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を乾燥または脱水することによって得られる。場合により、部分的に脱水されたまたは乾燥された炭酸カルシウム含有材料はさらに、少なくとも1つの分散剤で処理され、再希釈されて、水性懸濁液を得る、および/または少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/またはこれらの塩反応生成物で処理される。
【0252】
水性懸濁液の規定、炭酸カルシウム含有材料およびこれらの好ましい実施形態に関して、本発明の方法の工程f)および場合により行なわれる方法工程g)において得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液をさらに議論する場合に、上記で提供されるコメントを参照する。
【0253】
特に、本発明の方法によって得られる炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液、および/または部分的に脱水されたまたは乾燥された炭酸カルシウム含有材料、および場合により、水性懸濁液を得るために少なくとも1つの分散剤でさらに処理され、再希釈されたもの、および/または少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理されたものは、本発明の方法によって得られる炭酸カルシウム含有材料を含有することを特徴とする。本発明に従う炭酸カルシウム含有材料の粒子は、特に、先行技術の方法によって調製された炭酸カルシウム含有材料に比較して、改善または最適化された狭い粒径分布および低BET比表面積を保持することを特徴とする。先行技術の方法とは対照的に、前述のことは、湿式粉砕の後に時間のかからない熱熟成工程により達成されるが、むしろ少なくとも1つの塩基の存在下、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む予熱された水性懸濁液を湿式粉砕を行うことによって達成される。こうした方法による結果として、改善または最適化された狭い粒径分布およびBET比表面積に関して改善または最適化された値を保持し、ひいては改善または最適化された光学特性、例えば紙製品における不透明度および輝度および光散乱特性、または良好な機械的および光学特性、例えば光沢を、こうした材料を含むポリマー製品に付与する炭酸カルシウムが得られると考えられる。別の利点として、本発明の方法によって得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、単純な方法で、時間のかからない方法工程を用いて調製できる。
【0254】
本発明の別の第3の態様は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の調製のための方法を指し、この方法は以下の工程を含む:
a)少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、実質的に分散剤を含まない水性懸濁液を提供する工程、および
c)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために少なくとも1つの粉砕工程において、工程a)の懸濁液を湿式粉砕する工程、および
d)湿式粉砕工程c)の前および/または間および/または後に、または除去工程e)の前または間または後に、≧9.0の、25℃で測定されるpHを有する水性懸濁液を得るための少なくとも1つの塩基と水性懸濁液を接触させる工程、および
e)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液中の>20μmの直径を有する粒子の少なくとも一部を除去する工程、および
f)1.5から4の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20を有する粒子との比[d80/d20]を有する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、接触工程d)または除去工程e)の後に得られる水性懸濁液を70℃から140℃の温度で0.25から10時間貯蔵する工程を含み、
ここでpHは、工程a)、c)、d)、e)の前、間および後、および工程f)の前および間、>8.5に維持される。
【0255】
この実施形態において、任意の加熱工程は、湿式粉砕工程c)の後、および/または接触工程d)の後で行われることができる。
【0256】
第3の態様の本発明の方法に関連する以下の好ましい実施形態も、特許請求された本発明の使用に適用されることが理解されるべきである。さらに、以下の好ましい実施形態は、本発明のこの第3の態様(態様3)に関する態様として記載される。
【0257】
4.態様3(本発明の第3の態様)に従う方法であって、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の粒子直径<1μmを有する粒子の含有量は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、30から90重量%、好ましくは35から65重量%、最も好ましくは40から60重量%である、方法。本発明の方法は、相対的に粗い出発材料の加工処理に特に好適である。
【0258】
5.態様3または4に従う方法であって、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、ドロマイトおよび/または天然重質炭酸カルシウム(NGCC)、例えば1つ以上の大理石、石灰石および/またはチョークである、方法。
【0259】
6.態様3から5のいずれかに従う方法であって、工程a)において提供される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、最も好ましくは15.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する、方法。
【0260】
7.態様3から6のいずれかに従う方法であって、工程a)の水性懸濁液は、湿式粉砕工程c)の前になんら予熱工程を受けない、方法。
【0261】
8.態様3から7のいずれかに記載の方法であって、接触工程d)は除去工程e)の後に行われる、方法。
【0262】
9.態様3から8のいずれかに従う方法であって、接触工程d)は、得られた水性懸濁液が、10.0から13.5、好ましくは11.0から13.0の、25℃で測定されるpHを有するように行われる、方法。
【0263】
10.態様3から9のいずれかに従う方法であって、接触工程d)における少なくとも1つの塩基は、
a)炭酸カルシウム含有材料の総乾燥重量に基づいて、≧0.05重量%、好ましくは≧0.1重量%、より好ましくは≧0.2重量%、最も好ましくは0.2から1.0重量%の量で添加され、および/または
b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物および/または水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物である、方法。
【0264】
11.態様3から10のいずれかに従う方法であって、除去工程e)は、少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、直径>100μmの粒子を>90重量%、および直径>20μmの粒子を>70重量%除去するために、好ましくは直径>100μmの粒子を本質的にすべて、および直径>20μmの粒子を>90重量%除去するために、遠心分離機、少なくとも1つのシーブまたはディスクセパレータ、またはこれらの組み合わせを用いることによって行われる、方法。
【0265】
12.態様3から11のいずれかに従う方法であって、水性懸濁液の貯蔵工程f)は、75から130℃、最も好ましくは80から95℃の温度にて、および/または0.1から7時間、好ましくは0.5から3.5時間、より好ましくは0.75から2.5時間、最も好ましくは1から2時間の期間で行われる、方法。
【0266】
13.態様3から12のいずれかに従う方法であって、工程f)において貯蔵される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、より好ましくは15.0重量%から50.0重量%、最も好ましくは20.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する、方法。
【0267】
14.態様3から13のいずれかに従う方法であって、貯蔵工程f)の後に得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]は、1.7から3.5、好ましくは2.2から3.4の範囲である、方法。
【0268】
15.態様3から14のいずれかに従う方法であって、方法はさらに、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を得るために、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を得るために、工程e)で得られた水性懸濁液を脱水および場合により乾燥して、少なくとも一部の水を除去する工程g)を含む、方法。
【0269】
16.態様15に従う方法であって、工程f)または工程g)の後に得られた材料は、好ましくはピンミルにおいて、脱アグロメレートされる、方法。
【0270】
17.態様15または16に従う方法であって、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.05から0.2重量%、好ましくは0.01から0.1重量%の範囲の総湿分含有量を有する材料を得るために、得られた材料は、60から150℃、好ましくは70から130℃、最も好ましくは80から110℃の範囲の温度に加熱される、方法。
【0271】
18.態様15から17の方法に従う方法であって、
a)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の後に、少なくとも1つの分散剤で処理され、分散された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得るために再希釈される、および/または
b)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得るために、脱水または乾燥工程g)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸および/または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/または塩反応生成物で、および/または1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物との少なくとも1つのリン酸エステルブレンドで処理される、方法。
【0272】
19.態様3から14のいずれかに従う方法であって、工程f)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲のBET比表面積を有し、および/または
b)接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する、方法。
【0273】
20.態様15から18のいずれかに従う方法であって、工程g)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲のBET比表面積を有し、および/または
b)接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する、方法。
【0274】
さらに、本発明の第1の態様に従う方法に関して上記で本明細書に提供された方法工程a)、c)、d)、e)、f)およびg)の詳細な説明を参照する。この方法工程およびここで記載されるさらに好ましい実施形態のこの詳細な説明はまた、本発明の第3の態様に従う方法に適用されることが強調される。
【0275】
本発明の別の第21の態様は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の調製のための方法を指し、この方法は以下の工程を含む:
a)少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、実質的に分散剤を含まない水性懸濁液を提供する工程、および
b)周囲圧力において、40から95℃の温度に工程a)の懸濁液を予熱する工程、および
c)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、少なくとも1つの粉砕工程において、予熱された懸濁液を湿式粉砕する工程、および
e)少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液中の直径>20μmを有する粒子の少なくとも一部を除去する工程;および
f)1.5から4.0の範囲の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20を有する粒子との比[d80/d20]を有する少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を得るために、除去工程e)の後に得られる水性懸濁液を70℃から140℃の温度で0.25から8時間貯蔵する工程。
【0276】
この実施形態において、場合により加熱工程を、湿式粉砕工程c)の後で行うことができる。
【0277】
第21の態様の本発明の方法に関連する以下の好ましい実施形態も、特許請求された本発明の使用に適用されることが理解されるべきである。さらに、以下の好ましい実施形態は、本発明のこの第21の態様(態様21)に関する態様として記載される。
【0278】
22.態様21(本発明の第21の態様)に従う方法であって、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の粒子直径<1μmを有する粒子の含有量は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、30から90重量%の間、好ましくは35から65重量%の間、最も好ましくは40から60重量%の間である、方法。本発明の方法は、相対的に粗い出発材料の加工処理に特に好適である。
【0279】
23.態様21または22に従う方法であって、工程a)の水性懸濁液中に提供される少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、ドロマイトおよび/または天然重質炭酸カルシウム(NGCC)、例えば1つ以上の大理石、石灰石および/またはチョークである、方法。
【0280】
24.態様21から23のいずれかに従う方法であって、工程a)において提供される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、最も好ましくは15.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する、方法。
【0281】
25.態様21から24のいずれかに従う方法であって、工程a)の水性懸濁液は、湿式粉砕工程c)の前になんら予熱工程を受けない、方法。
【0282】
26.態様21から25のいずれかに従う方法であって、除去工程e)は、少なくとも1つの湿式粉砕炭酸カルシウム含有材料の重量に基づいて、直径>100μmの粒子を>90重量%、および直径>20μmの粒子を>70重量%除去するために、好ましくは直径>100μmの粒子を本質的にすべて、および直径>20μmの粒子を>90重量%除去するために、遠心分離機、少なくとも1つのシーブまたはディスクセパレータ、またはこれらの組み合わせを用いることによって行われる、方法。
【0283】
27.態様21から26のいずれかに従う方法であって、水性懸濁液の貯蔵工程f)は、75から130℃、最も好ましくは80から95℃の温度にて、および/または0.1から7時間、好ましくは0.5から3.5時間、より好ましくは0.75から2.5時間、最も好ましくは1から2時間で行われる、方法。
【0284】
28.態様21から27のいずれかに従う方法であって、工程f)において貯蔵される水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、5.0重量%から60.0重量%、好ましくは10.0重量%から55.0重量%、より好ましくは15.0重量%から50.0重量%、最も好ましくは20.0重量%から50.0重量%の固形分含有量を有する、方法。
【0285】
29.態様21から28のいずれかに従う方法であって、貯蔵工程f)の後に得られた少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料の、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]は、1.7から3.5、好ましくは2.2から3.4の範囲である、方法。
【0286】
30.態様21から29のいずれかに従う方法であって、方法はさらに、部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料を得るために、または乾燥された炭酸カルシウム含有材料を得るために、工程e)で得られた水性懸濁液を脱水および場合により乾燥して、少なくとも一部の水を除去する工程g)を含む、方法。
【0287】
31.態様30に従う方法であって、工程f)または工程g)の後に得られた材料は、好ましくはピンミルにおいて、脱アグロメレートされる、方法。
【0288】
32.態様30または31に従う方法であって、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて0.05から0.2重量%、好ましくは0.01から0.1重量%の範囲の総湿分含有量を有する材料を得るために、得られた材料は、60から150℃、好ましくは70から130℃、最も好ましくは80から110℃の範囲の温度に加熱される、方法。
【0289】
33.態様31から32に従う方法であって、
c)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料は、脱水工程g)の後に、少なくとも1つの分散剤で処理され、分散された炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液を得るために再希釈される、および/または
d)部分的に脱水された炭酸カルシウム含有材料および/または乾燥された炭酸カルシウム含有材料は、疎水化炭酸カルシウム含有材料を得るために、脱水または乾燥工程g)の前または後に、少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸および/または少なくとも1つの一置換コハク酸無水物および/または少なくとも1つの一置換コハク酸および/または塩反応生成物で、および/または1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれらの反応生成物と1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれらの反応生成物との少なくとも1つのリン酸エステルブレンドで処理される、方法。
【0290】
34.態様21から30のいずれかに従う方法であって、工程f)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲のBET比表面積を有し、および/または
b)接触工程d)および/または貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する、方法。
【0291】
35.態様31から34のいずれかに従う方法であって、工程g)にて得られる少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料は、
a)≦15.0m/g、好ましくは1.0から15.0m/g、より好ましくは2.0から14.0m/g、最も好ましくは2.5から13.0m/gの範囲のBET比表面積を有し、および/または
b)貯蔵工程f)はないが同一の方法で得られた炭酸カルシウム含有材料よりも低い、平均粒径d80値を有する粒子と平均粒径d20値を有する粒子との比[d80/d20]を有する、方法。
【0292】
さらに、本発明の第1の態様に従う方法に関して上記で本明細書に提供された方法工程a)、c)、e)、f)およびg)の詳細な説明を参照する。この方法工程およびここで記載されるさらに好ましい実施形態のこの詳細な説明はまた、本発明の第21の態様に従う方法に適用されることが強調される。
【0293】
以下において、本発明の第1の態様に従う本発明の方法によって、および本発明の第3および第21の態様に従う方法によって得られることができる炭酸カルシウム含有材料の想定される使用を参照する。
【0294】
炭酸カルシウム含有材料を含む水性懸濁液の形態においておよび/または部分的に脱水されたまたは乾燥された炭酸カルシウム含有材料の形態において、および場合により水性懸濁液を得るためにさらに少なくとも1つの分散剤で処理され、再希釈される、および/または少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状または分岐状カルボン酸で処理される、こうして得られた炭酸カルシウム含有材料は、紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティング、繊維用途、プラスチック用途において、または一般にPCCを置き換えるために使用できる。
【0295】
別の実施形態において、本発明に従う方法によって得られる製品は、紙および厚紙用途、化粧品、コーキングおよびシーラント、接着剤、塗料およびコーティング、繊維用途、プラスチック用途において、または一般にPCCを置き換えるために使用される。紙および厚紙用途のために、脱水および場合により行なわれる乾燥工程g)が行われなくてもよく、または、これらの用途のためには炭酸カルシウム含有材料のスラリーが使用されるので、材料は部分的にのみ脱水される。上記で与えられる他の用途のすべてについて、脱水および場合により行なわれる乾燥工程g)を行うことが好ましい。
【0296】
本発明に従う方法によって製造される製品のプラスチック用途における使用が好ましい。このプラスチック用途に好適なポリマー材料は、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、異相コポリマーおよびランダム異相コポリマー、およびポリマーブレンド、改質、またはこれらの混合物を含む。本明細書に使用される場合、用語ポリマー材料は、同様に、リサイクルされたポリマー材料を含んでいてもよい。ポリマー材料中のリサイクルポリマーの含有量は、0.01から100重量%の範囲であってもよい。
【0297】
ポリマー材料は、ニートまたはバージンポリマー材料であってもよく、またはポリマー組成物の形成の前に既に充填剤を含んでいてもよい。
【0298】
1つの実施形態によれば、ポリマー材料に存在する鉱物充填剤材料は、本発明の方法に従って提供される鉱物充填剤鉱物材料と同一である。別の実施形態によれば、ポリマーに存在する充填剤は、本発明の方法に従って提供される鉱物充填剤材料と異なる。
【0299】
ポリマーは、場合により、当業者に周知の1つ以上の添加剤を含んでいてもよい。
【0300】
こうした添加剤は、これらに限定されないが、UV吸収剤、光安定剤、加工処理安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、核形成剤、金属不活性化剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、加工処理助剤、顔料、染料、光学的光沢剤、抗菌剤、静電気防止剤、スリップ剤、粘着防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、酸素スカベンジャー、酸スカベンジャー、マーカー、防曇剤、表面改質剤、難燃剤、発泡剤、煙抑制剤、強化剤、例えばガラス繊維、炭素繊維および/またはガラスバブル、またはこれら添加剤の混合物を含む。
【0301】
好ましくは、添加剤は、長鎖カルボン酸の塩に基づく酸スカベンジャーのクラス、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛および乳酸カルシウムから、またはハイドロタルサイトであってもよく、フェノール系酸化防止剤、ベンゾフラノン、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオシネルギストおよびホスファイト/ホスホナイトに基づく安定剤のクラスから、ヒンダードアミン(HALS)に基づく光安定剤のクラスから、金属不活性化剤のクラスから、分散剤のクラスから、カップリング剤、または相溶剤、またはこれらの添加剤のいずれかの混合物から選択される。
【0302】
好適なフェノール酸化防止剤は、例えば以下である:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノエート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド。
【0303】
好適なホスファイト/ホスホナイトは、例えば以下である:トリス−(2,4−ジ−tertブチル−フェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジ−ホスファスピロ[5.5]ウンデセン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト。
【0304】
好適な立体障害アミンは、例えば:1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状または環状縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−ジアミンおよび4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの線状または環状縮合生成物、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デセンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0305】
好適な分散剤は、例えば以下である:ポリアクリレート、例えば長い側鎖を有するコポリマーおよびポリアクリレートブロックコポリマー;アルキルアミド、例えばN,N’−1,2−エタンジイルビスオクタデカンアミド;ソルビタンエステル、例えばモノステアリルソルビタンエステル;チタネートおよびジルコネート;反応性コポリマー、例えばポリプロピレン−アクリル酸コポリマー;ポリプロピレン−無水マレイン酸コポリマー;ポリエチレン−グリシジル−メタクリレートコポリマー;ポリスチロール−無水マレイン酸−ポリシロキサン交互コポリマー、例えばジメチルシランジオール−エチレンオキシドコポリマー;ポリフェニルシロキサンコポリマー;両親媒性コポリマー、例えばポリエチレン−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー;およびデンドリマー、例えばヒドロキシ含有デンドリマー。
【0306】
好適な金属不活性化剤は、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンであってもよい。別の実施形態によれば、金属不活性化剤は、以下の構造の1つ以上から選択されてもよい:
【0307】
【化1】
【0308】
1つの実施形態によれば、ポリマー材料は、熱可塑性樹脂を含み、ここで熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィンを含む。
【0309】
好適な熱可塑性樹脂は、これらに限定されないが、以下を挙げることができる:
a)オレフィンおよびジオレフィンからのポリマー、例えばポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、同様にランダムまたはブロックコポリマー、例えばエチレン/ブタ−1−エンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、ポリプロピレン−ポリエチレン(EP)、EPM、EPDM、エチレン−ビニルアセテート(EVA)およびエチレン−アクリル酸エステルコポリマー
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー(SB)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびこの水素化ポリマー(SEBS)、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−アクリルニトリル(ABS)、スチレン−アクリルニトリル−アクリレート(ASA)、スチレン−無水マレイン酸およびグラフト化ポリマー、例えばスチレン−グラフト化ブタジエン、無水マレイン酸−グラフト化SBS、またはメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエンおよびABSからのグラフト化ポリマー(MABS)、
c)ハロゲン含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、またはポリテトラフルオロエチレン、
d)不飽和エステルからのポリマー、例えばポリアクリレート、またはポリメタクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブチルアクリレート、
e)不飽和アルコールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、またはポリビニルブチラール(PVB)
f)ポリアセタール、例えばポリオキシメチレンおよびこれらのコポリマー
g)ポリフェニレンオキシド、およびこれらのポリスチレンまたはポリアミドブレンド
h)ポリウレタン(PU)、特に線状ポリウレタン(TPU)
i)ホモポリアミドおよびコポリアミドを含むポリアミド(PA)、例えばPA6、PA6.6、PA6/66、PA6.10、PA4.6、PA4.10、PA6.12、PA12.12、PA11、PA12、および部分的に芳香族のポリアミド(例えばポリフタルアミド、例えばPA10T/6T、PA6T/6I、PA6T/66)およびこれらのブレンドまたは混合物(ISO1874−1:2010に従う命名法)
j)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンスルフィド
k)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレート、
l)ポリカーボネート、
m)セルロース誘導体、例えばセルロースニトレート、セルロースアセテート、またはセルロースプロピオネート
n)再生可能なバイオマス供給源、例えば植物油脂、コーンスターチ、エンドウスターチ、または微生物叢、脂肪族バイオポリエステルから誘導される部分的または完全なバイオ系ポリマー、例えばポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、またはポリエステル、例えばポリ乳酸(PLA)、
o)上記ポリマーの少なくとも1つを含むブレンド、混合物、合金および組み合わせ
【0310】
1つの実施形態によれば、ポリオレフィンは、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリブチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはこれらの混合物の群から選択される。
【0311】
特に好ましい実施形態によれば、ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)および/または線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。
【0312】
特に好ましい別の実施形態によれば、ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)および/または線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
【0313】
さらに別の特に好ましい実施形態によれば、ポリマーは、0.910から0.940g/cmの範囲の密度を有するLDPE、0.915から0.925g/cmの範囲の密度を有するLLDPE、0.880から0.915g/cmの範囲の密度を有するVLDPEまたはこれらの混合物である。
【0314】
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の方法によって得られる製品の使用は、プラスチック用途、例えば、顆粒、管、技術的プロファイル、壁パネル、天井パネル、クラッディングパネル、ワイヤまたはケーブル絶縁材、フィルム(例えば、インフレーションフィルムおよび、通気性フィルム、二軸延伸フィルム、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート−、ポリアミド−、ポリエチレン−またはポリプロピレン−含有フィルム)シートまたは繊維において好適である。
【0315】
当該技術分野において、ポリマー製品の製造のための多くの方法は既知である。これらの方法としては、これらに限定されないが、溶融加工処理技術、例えばプロファイル押出(パイプ、シートおよび中空シート用)、ケーブル押出、フィルム押出(キャストフィルムおよびインフレーションフィルム用)、成形(例えば射出成形、ロト成形、吹込み成形および熱形成)、繊維紡糸(例えば溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸および構造繊維)、共混錬および引抜が挙げられる。最終物品は、単層または多層構造を与えてもよい。
【0316】
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の方法によって得られる製品は、種々の成形物品のために使用される。例としては、産業および消費者用途のための柔軟性包装(ロールストック、バッグ、ポーチ、ラベル、ラップ、施蓋装置、シュリンクスリーブおよびストレッチフィルムを含む。);工業および消費者用途のための硬質包装用途(プラスチックボトル、カップおよび容器を含む。);建築および建設資材(パイプおよび導管、クラッディングおよびプロファイル、断熱材、シールおよびガスケットを含む。);ジオテキスタイル;農業および園芸資材(温室材料、マルチフィルム、トンネル、サイレージ、ベールラップ、箱および木箱を含む。);輸送および自動車用途(内装部品、例えば計器およびドアパネル、コンソール、柱および座席、外装部品、例えばバンパーフェイシア、フェンダ、テールゲートを含む。)およびボンネット下用途(空気ダクト、空気取入マニホールド、ラジエータおよび冷却ホースを含む。);電気および電子用途(CDプレーヤー、DVDシステム、パソコンおよびテレビセット、ノートPC、タブレット、スマートフォン、調理器具、冷蔵庫および冷凍庫、洗濯機、食器洗い機、ツールおよび事務機器;医療および健康用途(使い捨てキャップ、ガウン、マスク、スクラブスーツおよび靴カバー、カーテン、ラップおよびパック、スポンジ、包帯およびワイプ、ベッドリネン、防汚ガウン、検査ガウン、白衣、アイソレーションガウン、診断医療機械および医療機器を含む。);パーソナルケア製品(吸収性衛生製品(AHP)、赤ちゃんのおむつ、女性用衛生製品および成人用失禁製品、ワイプ、スキンケア製品、脱毛ストリップを含む。);家庭用品および家具製品(木材複合体、装飾ホイル、床仕上げ材、フローリング、台所用品、洗剤、ペットケア、芝生および庭園物品を含む。);おもちゃ、スポーツおよびレジャー用品(プレイハウス、建物キット、プレイビークル、スポーツおよびフィットネス機器、靴、衣類およびスポーツウェア、安全装備(ヘルメット、ニーパッド)、スポーツ用品およびスーツケースを含む。)が挙げられる。
【0317】
1つの実施形態において、本発明の方法によって得られる製品は、PVC用途において、例えば窓枠、パイプ、技術的プロファイル、例えば、ケーブルもしくはワイヤ伝導、壁、天井もしくはクラッディングパネル、またはワイヤ絶縁材、繊維および不織布に使用される。
【0318】
湿分硬化接着剤の分野において本発明に従う方法によって得られる製品の好ましい1つの用途は、寄木細工用接着剤を含む構造結合およびフローリング用途のためのこれらの使用である。高い微細度および低湿分取り込みにより、本発明の製品に従って製造される製品は、これらの用途に非常に好適である。満足する硬化は、周囲空気からの湿分との反応による接着剤の反応によって生じるので、充填剤材料は追加の水を系にもたらさないことが重要である。
【0319】
以下の例は本発明をさらに説明することができるが、例示的な実施形態に本発明を制限することを意図しない。以下の例は、本発明に従って調製される少なくとも1つの炭酸カルシウムを含有する材料の、粒径分布およびBET比表面積のような良好な特徴および選択された用途での優れた特性を示す。
【実施例】
【0320】
<測定方法>
以下の測定方法は、例および特許請求の範囲に与えられるパラメータを評価するために使用される。
【0321】
ブルックフィールド粘度
スラリーのブルックフィールド粘度を、100rpmの速度および室温(20±3℃)で、LV−3スピンドルを備えたブルックフィールド粘度計タイプRVTを用いて決定した。
【0322】
材料のBET比表面積
BET比表面積は、250℃で30分の期間加熱することによりサンプルを調整後、窒素を使用するISO4652に従ったBET法により、測定される。このような測定の前に、サンプルを濾過し、すすぎ、少なくとも12時間オーブン中で110℃で乾燥させる。
【0323】
粒子状材料の粒径分布(サイズ<Xを有する粒子の質量%)および重量中央粒径(d50
本発明の全体を通して、d50は重量による重量中央粒子直径であり、即ち粒子の50重量%が、より粗いまたはより微細である粒径を表す。
【0324】
最終品の平均重量中央粒子直径は、沈降方法を用いて測定された。粒子質量は、X線吸収を介して直接測定した。沈降法は、既知の特性を有する液体中で異なるサイズの粒子の、重力によって誘発される沈降速度を測定する。測定は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)III Plusを用いて行われる。方法および機器は、当業者に既知であり、充填剤および顔料のグレインサイズを決定するために一般に使用される。測定は、0.1重量%のピロリン酸ナトリウム溶液(Na)の水溶液中で行った。サンプルを高速度撹拌機および超音波を用いて分散させた。
【0325】
出発材料の平均体積規定粒径および平均粒径体積分布は、レーザー回折を介して決定され、即ちレーザーからの光は懸濁液を通過し、粒径分布は、得られた回折パターンから計算される。すべての粒子が同じ密度を有するサンプルに関して、体積および質量粒径分布は同じである。測定は、CILAS,Orleans,FranceのCILAS 920粒径分析器を用いて行われる。
【0326】
水性懸濁液のpH
水性懸濁液のpHは、約25℃で標準pHメータを用いて測定される。
【0327】
水性懸濁液の固形分含有量
懸濁液固形分含有量(「乾燥重量」としても知られる。)は、以下の設定を有するMettler−Toledo HB43により市販されているMoisture Analyser HR73を用いて決定される:160℃の温度、自動スイッチオフ3、標準乾燥、5から20gの懸濁液。
【0328】
d/d
用語「d/d」は、固形材料の乾燥量に基づく乾燥量を指す。
【0329】
灰分
灰分試験は、5から30gの対応するポリマー組成物を570℃にて120分間燃焼させることによって行われた。
【0330】
フィルタ圧力値(FPV)
フィルタ圧力試験は、市販のCollin Pressure Filter Test Teach−Line FT−E20T−ISにて行われた。試験方法は、対応するポリマー組成物それぞれについて(200gの最終サンプルあたり16gの有効炭酸カルシウム、希釈剤:LLDPE ExxonMobil LL 1001 VX)、14μmのタイプ30フィルタ(GKD Gebr.Kufferath AG,Duren,Germany)を用いて欧州規格EN 13900−5に従って行われ、ここで溶融ポンプは使用せず、押出機速度は、100rpmに維持され、溶融温度は225から230℃であった(温度設定:190℃/210℃/230℃/230℃/230℃)。
【0331】
降伏応力
降伏応力の決定はISO527−3に従って行われた。フィルム試料幅は、15mmであり、5cmの試験長さであった。
【0332】
降伏伸び
降伏応力の決定はISO527−3に従って行われた。フィルム試料幅は、15mmであり、5cmの試験長さであった。
【0333】
引張E弾性率
降伏応力の決定はISO527−3に従って行われた。フィルム試料幅は、15mmであり、5cmの試験長さであった。E弾性率は、伸びが0.02%の点と2%の点との間の引張試験曲線の傾きに対応する。
【0334】
インフレーションフィルムの視覚的評価
フィルムサンプルは、光学顕微鏡下に置いた。炭酸カルシウムアグロメレートは、下方からの照明時には黒色に見え、上方からの照明時には白色に見える。「良好」の評価はピンホールがフィルム中に観察することができないことを意味する。
【0335】
通気性フィルムの視覚評価
評価は、拡大のためのいかなる補助手段もなしに視覚フィルムの処理中に視覚的に行い、「ok」は、穴、ピンホールおよび縞模様が観察されないことを意味する。
【0336】
引裂伝播抵抗
決定は、ISO6383に従って行われた。
【0337】
落槍試験
測定は、ASTMD1709Aに従って行われた。
【0338】
水蒸気透過率(WVTR)
通気性フィルムのWVTR値は、ASTME398に従って、LyssyL80−5000(PBI−DansensorA/S,Denmark)測定装置で測定した。
【0339】
静水圧試験
静水圧試験は、AATCC試験法127−2013、WSP80.6およびISO811と同等である手順に従って行った。フィルムサンプル(試験領域=10cm)をテストヘッドリザーバ上にカバーを形成するために取り付けた。漏れがフィルムの外表面に現れるまで、または水のバーストがフィルムの不具合の結果として発生するまで、このフィルムサンプルを標準化された水圧にかけ、一定の割合で上昇させた(圧力速度勾配=100ミリバール/分)。水圧は、フィルムサンプルの3つの別々の領域における漏れの最初の徴候で、またはバーストが起こる場合に到達した静水ヘッドの高さとして測定した。ヘッド高さの結果は、センチメートルまたは試料上の水圧のミリバールで記録した。より高い値は、水の浸透に対してより高い抵抗を示した。TEXTEST FX−3000、静水ヘッド試験機(Textest AG,Switzerland)を、静水圧の測定に使用した。
【0340】
シャルピー衝撃強度
機械方向において押出物から切り出したVノッチ押出サンプルについて、条件1eAに従い、ISO179−1:2000に従って、シャルピー衝撃強度を測定した。測定条件:23℃±2℃および50%±10%相対湿度。試験試料は、ISO 3167 TypAに記載されるように押出によって調製した。
【0341】
表面光沢
表面光沢は、ISO 2813:1994に従う平面から60°の角度で、Byk Spectro Guide Sphere Glossを用いて測定された。光沢値は、n測定の平均値を計算することによって、決定される。本設定において、n=10である。
【0342】
L*a*b
決定は、DIN 6174に従って行われた。
【0343】
湿分取り込み感受性
湿分取り込み感受性は、+23℃(±2℃)の温度でそれぞれ2.5時間の間、それぞれ10および85%の相対湿度の雰囲気に曝露された後に、mg湿分/g単位で決定された。この目的のために、サンプルはまず、2.5時間の間、10%の相対湿度の雰囲気に維持され、次いでこの雰囲気を85%の相対湿度に変更し、そこでサンプルをさらに2.5時間維持した。次いで10%と85%の間の相対湿度の重量増大を、mg湿分/gサンプル単位で湿分取り込みを計算するために使用した。
【0344】
不粘着時間
不粘着時間は、ASTM C679−03(2009)e1に従って決定された。シーラント/接着剤は、プラスチックフィルムに対して20cm長さのストリングとしてカートリッジ(3mmの開口部)から適用される。5分毎に、一片のプラスチックフィルム(3cm×3cm)を、10秒間の弱い圧力にて接着剤のストリングに置く。次いでこの一片のプラスチックフィルムを取り除く。プラスチックフィルム上に残るシーラント/接着剤残留物がない場合、不粘着時間に到達する。試験は、不粘着時間に到達するまで5分毎に繰り返される。
【0345】
結合強度および最大力
結合強度を決定するためのラップせん断試験は、ISO 6237(2003):規格に従って行われ、ラップせん断試験片を製造するために木材基材を用いる。接着剤は、25mm×25mmの面積にて1mmの厚さを有するように適用される。
【0346】
最大力は、ラップせん断試験片を破壊するために測定装置によって適用された力である。
【0347】
破断引張強度
破断時の引張強度は、ダンベル試験片(ISO 37)を破壊するのに必要とされる平方mmあたりの力である。
【0348】
破断伸び
破断伸びは、試験片が破断する点でのダンベル型試験片(ISO 37)で得られた最大伸びである。
【0349】
回転粘度
粘度は、回転測定設定を用いてプレート−プレート設定(1mmギャップ)を有するPaar Physica MCR301を用いて測定された。粘度は、0.1から50Pasの間の異なるせん断速度にて測定された。
【0350】
ナトリウム含有量
ナトリウム含有量は、Metrohm Compact IC 882plusでのイオンクロマトグラフィによって決定された。
【0351】
水酸化ナトリウム含有量
フィルタケークを乾燥させ、脱アグロメレートした後、これらを結晶化NaOHの検出のためにXRDを介して分析した。Na保持相は、乾燥されたサンプルには見出されなかったので、NaOHはフィルタケークの乾燥の間に結晶化するのではなく、非晶質相として存在する。トライアルにおいて、残留NaOHは、ナトリウム含有量の決定後に計算された。
【0352】
炭酸カルシウム含有材料の調製
例A(比較例)
約19μm(Cilas S.A.からのCILAS 920にて測定される。)の平均粒径を保持する分散剤を含まない湿式粉砕された天然炭酸カルシウム(Gummern,AustriaのOMYA採石場からの大理石の加工処理によって得られる。)のスラリーを、45.8重量%の固形分含有量に調節し、40℃の温度に調節した。
【0353】
次いで得られた懸濁液を、1.96mの正味の体積(空の粉砕チャンバ)を有し、1.8から2.0mmの範囲の直径および2400kg/mのバルク密度を有する1500kgのZrO/Al系粉砕ビーズで満たした縦型撹拌ビーズミルにてさらに湿式粉砕した。混合シャフトの体積供給速度および回転速度は、約1.8μm(Micromeritics Sedigraph III Plusでの測定)の、ミル後のターゲット平均粒径が得られるように調節した。これらの操作条件にてシャフト回転速度は、220分−1であった。電力消費量は、49kWh/乾燥メートルトンの比粉砕エネルギーに対応する、5.0m/hの供給速度で158kWであった。
【0354】
ミルから放出されるスラリーを次いで、デグリッティング用のデカンタ遠心分離機(SC3043、Bird−Humboldtによって供給)に移し、スラリー中に含有される粗粒子を除去した。遠心分離機のドラム直径は465mmであり、プール深さは320mmであり、コーン角度は10°であった。遠心分離機への供給速度は5.0m/hであった。回転速度は1600分−1であり、差動速度は50分−1に設定し、結果として12%トルクが得られた。
【0355】
デグリッティング遠心分離機から放出された生成物を、重質炭酸カルシウムの水性スラリーとして回収した。物理的データを表1a、A欄に示す。PSD Sedigraphは図1に示す。
【0356】
例B(本発明)
約17μm(Cilas S.A.からのCILAS 920にて測定される。)の平均粒径を保持する分散剤を含まない湿式粉砕された天然炭酸カルシウム(Gummern,AustriaのOMYA採石場からの大理石の加工処理によって得られる。)のスラリーを、44.5重量%の固形分含有量に調節し、40℃の温度に調節した。
【0357】
次いで得られた懸濁液は、1.96mの正味の体積(空の粉砕チャンバ)を有し、0.7から1.4mmの範囲の直径および2300kg/mのバルク密度を有する3000kgのZrO/SiO系粉砕ビーズで満たした縦型撹拌ビーズミルにてさらに湿式粉砕した。混合シャフトの体積供給速度および回転速度は、約1.0μm(Micromeritics Sedigraph III Plusでの測定)の、ミル後のターゲット平均粒径が得られるように調節した。これらの操作条件にてシャフト回転速度は、190分−1であった。電力消費量は、109kWh/乾燥メートルトンの比粉砕エネルギーに対応する、4.0m/hの供給速度で268kWであった。ビーズミルの底部に、5.2m/hで20℃水道水を希釈のために添加した。
【0358】
ミルから放出されるスラリーを次いで、デグリッティング用のデカンタ遠心分離機(SC3043、Bird−Humboldtによって供給)に移し、スラリー中に含有される粗粒子を除去した。遠心分離機のドラム直径は465mmであり、プール深さは320mmであり、コーン角度は10°であった。遠心分離機への供給速度は9.2m/hであった。回転速度は1800分−1であり、差動速度は60分−1に設定し、結果として13%トルクが得られた。
【0359】
デグリッティング遠心分離機から放出された生成物を、撹拌されたオートクレーブ容器に移し、0.5%(乾燥物質CaCOに対する活性物質として計算)の48重量%のNaOH溶液を添加した。次いで反応混合物を加熱し、撹拌下、115℃の温度で120分間貯蔵した。120分後、スラリーを25℃に冷却し、重質炭酸カルシウムの水性スラリーとして回収した。物理的データを表1a、B欄に示す。PSD Sedigraphは図1に示す。
【0360】
例C(比較例)
約31μm(Cilas S.A.からのCILAS 920にて測定される。)の平均粒径を保持する分散剤を含まない湿式粉砕された天然炭酸カルシウム(Gummern,AustriaのOMYA採石場からの大理石の加工処理によって得られる。)のスラリーを、45.2重量%の固形分含有量に調節し、40℃の温度に調節した。
【0361】
次いで得られた懸濁液は、1.96mの正味の体積の空の粉砕チャンバを有し、0.9から1.1mmの範囲の直径および3800kg/mのバルク密度を有する4000kgのZrO系粉砕ビーズで満たした縦型撹拌ビーズミルにてさらに湿式粉砕した。混合シャフトの体積供給速度および回転速度は、約60%が<1μm(Micromeritics Sedigraph III Plusでの測定)の、ミル後のターゲット平均粒径が得られるように調節した。これらの操作条件にてシャフト回転速度は、320分−1であった。電力消費量は、241kWh/乾燥メートルトンの比粉砕エネルギーに対応する、5.6m/hの供給速度で843kWであった。ビーズミルの底部に、6.4m/hで20℃の水道水を希釈のために添加した。
【0362】
ミルから放出されるスラリーを次いで、デグリッティング用のデカンタ遠心分離機(SC3043、Bird−Humboldtによって供給)に移し、スラリー中に含有される粗粒子を除去した。遠心分離機のドラム直径は465mmであり、プール深さは320mmであり、コーン角度は10°であった。遠心分離機への供給速度は12.0m/hであった。回転速度は1800分−1であり、差動速度は60分−1に設定し、結果として15%トルクが得られた。
【0363】
デグリッティング遠心分離機から放出された生成物を、重質炭酸カルシウムの水性スラリーとして回収した。物理的データを表1a、C欄に示す。PSD Sedigraphは図2に示す。
【0364】
例D(本発明)
例Cの下で得られた水性スラリーを、撹拌されたオートクレーブ容器に移し、0.5%(乾燥物質CaCOに対する活性物質として計算)の48重量%のNaOH溶液を添加した。次いで反応混合物を加熱し、撹拌下、115℃の温度で120分間貯蔵した。120分後、スラリーを25℃に冷却し、重質炭酸カルシウムの水性スラリーとして回収した。物理的データを表1a、D欄に示す。PSD Sedigraphは図2に示す。
【0365】
【表1】
CE:比較例
IE:本発明の例
【0366】
さらなる方法工程
例Dに得られた水性スラリーは、3つの部分(サンプルD1からD3)に分け、さらなる方法工程にかけた。
【0367】
サンプルD1は、25重量%固形分含有量の10000gのCaCOスラリーで始めた。スラリーを、機械的に脱水はしないが、200℃の入口温度でスプレー乾燥した。
【0368】
サンプルD2は、25重量%固形分含有量の10000gのCaCOスラリーで始めた。スラリーを、2から2.5barの圧力にてプレスフィルタ設備を用いることによって50重量%の固形分含有量に機械的に脱水し、得られたケークを110℃のオーブンで乾燥させた。機械的脱水の間、7500gの水道水を除去した。
【0369】
サンプルD3は、25重量%固形分含有量の10000gのCaCOスラリーで始めた。2から2.5barの圧力にてプレスフィルタ設備を用いることによってスラリーを脱水し、ケークを脱イオン水で洗い流した。第1の機械的脱水工程の間、47.1重量%の固形分含有量を得るために、2783gの水道水を除去した。フィルタケークを次いで脱イオン水で、26.1重量%の固形分含有量に希釈し戻した。故に、2679.7gの脱イオン水を添加した。再びスラリーを、2から2.5barの圧力にてプレスフィルタ設備を用いることによって53.7重量%の固形分含有量に機械的に脱水した。故に、2760.5gの水を除去した。フィルタケークを次いで、26.5重量%の固形分含有量に脱イオン水で希釈し戻した。故に、2720.6gの脱イオン水を添加した。最終的に、スラリーを、2830gの水を除去することによって、54.8重量%の固形分含有量に再び機械的に脱水した。この手順を2回繰り返し、第3の脱水工程の後に得られたケークを110℃でオーブンにて乾燥させた。
【0370】
【表2】
【0371】
表1bからわかるように、残留塩基の洗い流しは、貯蔵工程の後に得られる生成物の湿分取り込みを低下させるために非常に効率の良い手段である。湿分取り込み感受性は、生成物中のナトリウム含有量およびNaOHの含有量と直接相関する。
【0372】
ポリマーでの用途
【0373】
[例1]:インフレーションフィルムのためのポリエチレンにおけるマスターバッチの調製
30重量%のLLDPE LL 6101シリーズ(Exxon Mobil)および70重量%のCC1(比較例、Omya International AG、Switzerlandから市販の重質炭酸カルシウム、d50:1.7μm;d98:6μm、重質炭酸カルシウムの総重量に基づいて、Sigma−Aldrich、Crodaから市販の1重量%ステアリン酸で表面処理)またはCC2(本発明の例、例Dに従い、重質炭酸カルシウムの総重量に基づいて、Sigma−Aldrich、Crodaから市販の1重量%のステアリン酸で表面処理される炭酸カルシウム)をそれぞれ含むマスターバッチを、Bussニーダ(Buss AG、SwitzerlandからのPR46)上で調製した。調製されたマスターバッチの組成および充填剤含有量を以下の表2にまとめる。正確な充填剤含有量を灰分によって決定した。さらに、フィルタ圧力試験を、充填剤材料生成物の分散品質を決定するために行った。
【0374】
【表3】
【0375】
表2に示される結果は、良好な品質を有するマスターバッチが製造されたことを示す。
【0376】
[例2]:インフレーションフィルムサンプルの製造
20重量%の充填剤含有量を有するインフレーションフィルムを、71.4重量%のLLDPELL6101シリーズ(Exxon Mobil)および28.6重量%の上記の例に従うマスターバッチ(BF1=比較例、BF2=本発明の例)を用いて製造した。フィルムは、Dr.Collinインフレーションフィルム押出ラインで製造した(60mm円形ダイ、1.2mmダイギャップ、30mmスクリュ直径、L/D比=30、混合要素を有するスクリュ)。フィルムは、2.2のBUR(ブローアップ比)で加工処理し、フロストライン高さは16cm高さに維持した(ダイからの距離)。
【0377】
押出機は以下の構成を有していた:
【0378】
【表4】
【0379】
押出機速度は、60rpmにて一定に維持し、平均フィルム坪量は、ライン速度の適切な調節によって35g/mに設定した。冷却エアフローも同じ位置にてフロストラインを維持するように調節した。
【0380】
<インフレーションフィルムサンプルの材料および機械的特性:>
【0381】
【表5】
【0382】
表4からわかるように、本発明に従う充填剤を含むフィルムは、改善された機械的特性を示す。
【0383】
[例3]−通気性フィルムのためのポリオレフィンマスターバッチの調製
以下のポリオレフィンが、マスターバッチの調製のために使用されている。
【0384】
P1:LLDPE Dowlex2035(MFR:6g/10分(190℃、2.16kg)、密度:0.919g/cm(技術的データシートに従う。)、The Dow Chemical Company、USAから市販。
【0385】
P2:LDPE DOW SC 7641(MFR:2g/10分(190℃、2.16kg)、密度:0.923g/cm(技術データシートに従う。)、The Dow Chemical Company、USAから市販。
【0386】
45重量%のP1、5重量%のP2、および50重量%のCC1(比較例、Omya International AG、Switzerlandから市販の重質炭酸カルシウム、d50:1.7μm;d98:6μm、重質炭酸カルシウムの総重量に基づいて、Sigma−Aldrich、Crodaから市販の1重量%ステアリン酸で表面処理)またはCC2(本発明の例、例Dに従い、重質炭酸カルシウムの総重量に基づいて、Sigma−Aldrich、Crodaから市販の1重量%のステアリン酸で表面処理される炭酸カルシウム)をそれぞれ含むマスターバッチを、Bussニーダ(Buss AG、SwitzerlandからのPR46)上で調製した。調製されたマスターバッチの組成および充填剤含有量を以下の表5にまとめる。正確な充填剤含有量を灰分によって決定した。
【0387】
【表6】
【0388】
[例4]−通気性フィルムの調製
通気性フィルムを、例3のマスターバッチを用いて、押出機の温度設定が195℃−210℃−230℃−230℃であり、押出機の回転数が約35rpmである一体化MDO−IIユニット(Dr.Collin GMbH、Germany)を有するパイロット押出キャストフィルムラインによって製造した。延伸ユニットのローラ速度は135/135%であった。
【0389】
得られた通気性フィルムのフィルム品質を目視検査し、フィルムを、水蒸気透過率(WVTR)およびこの静水圧に関して試験した。結果を以下の表6に示す。
【0390】
【表7】
【0391】
表6に示される結果は、本発明の通気性フィルムは良好な品質および通気性を有し、比較の通気性フィルムよりも優れていることを確認する。
【0392】
[例5]:PVCサンプルの調製および試験
比較例PVC1、および本発明の例PVC2の組成物を、当業者に既知の通常の熱間/冷間混合方法を用いて先に混合し、反回転するパラレルツインスクリュを有するKrauss−Maffei KMD 2−90プロファイル押出ライン、L/D=22にて押出し、このスクリュはそれぞれ90mmの直径を有していた。
【0393】
【表8】
【0394】
【表9】
【0395】
表7および8に与えられる結果からわかるように、機械的および光学特性は、本発明の製品が適用される場合に改善する。高い充填剤含有量において光沢の顕著な改善は特に注目に値する(表8を参照)。
【0396】
[例6]:寄木細工用接着剤(PA)の調製および試験
寄木細工用接着剤PA1およびPA2の調製のために、ベース樹脂、軟化剤および炭酸カルシウムを、遊星型ミキサーに添加し、完全な真空下、65℃、400rpmにて30分間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却させた後、表9に示されるように残りの構成成分を添加し、撹拌を、真空下(413mbar)、200rpmにてさらに5分間継続した。この後、遊星型ミキサーを窒素でパージし、得られた混合物をカートリッジに充填し、23℃および50%の湿度で24時間貯蔵した。
【0397】
【表10】
【0398】
【表11】
【0399】
表10に与えられる結果からわかるように、機械的およびレオロジー特性は、本発明の製品が適用される場合に改善する。
図1
図2