特許第6438650号(P6438650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438650
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20181210BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20181210BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20181210BHJP
   H01G 11/00 20130101ALI20181210BHJP
   H01G 11/32 20130101ALI20181210BHJP
   H01M 10/44 20060101ALN20181210BHJP
【FI】
   H01M10/058
   H01M10/0566
   H01M4/38 Z
   H01G11/00
   H01G11/32
   !H01M10/44 A
【請求項の数】3
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-262612(P2013-262612)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-143184(P2014-143184A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年12月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-282044(P2012-282044)
(32)【優先日】2012年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】桃 純平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 裕之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
【審査官】 小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/093126(WO,A1)
【文献】 特開2009−141181(JP,A)
【文献】 特表平08−510088(JP,A)
【文献】 特開2003−100353(JP,A)
【文献】 特開2012−235041(JP,A)
【文献】 特開2006−080335(JP,A)
【文献】 特開2012−253072(JP,A)
【文献】 特開2012−248556(JP,A)
【文献】 特開2005−203131(JP,A)
【文献】 特開2004−355823(JP,A)
【文献】 特開2009−070782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/13−4/62
H01G 9/00
H01G 11/00−11/86
H01M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極と電解液とを有する蓄電装置において、
さらに第3の電極を有し、
前記第3の電極は、非ファラデー反応をする材料が用いられており、
前記蓄電装置は、
前記正極と前記負極の間に、第1の電位差を与えて充電を行い、
前記第3の電極と前記負極の間に、前記第1の電位差より大きい第2の電位差を与えて追加の充電を行い電解液の分解を行ない、
前記第3の電極は、自己放電によって電極に蓄積された電気の量を減少させる、こと
を特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第3の電極は、活性炭が用いられている蓄電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第3の電極の比表面積は、500m/g以上である蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物(プロダクト。機械(マシン)、製品(マニュファクチャ)、組成物(コンポジション・オブ・マター)を含む。)、及び方法(プロセス。単純方法及び生産方法を含む。)に関する。特に本発明の一態様は、蓄電装置、蓄電システム、半導体装置、表示装置、発光装置、若しくはその他の電気機器、又はそれらの製造方法及び駆動方法に関する。また、特に本発明の一態様は、蓄電装置及びその充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話やスマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯情報端末、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ等の電気機器、あるいは医療機器、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業の発展に伴い急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0003】
非水系二次電池の中でも高エネルギー密度を有することで広く普及しているリチウムイオン二次電池は、コバルト酸リチウム(LiCoO)やリン酸鉄リチウム(LiFePO)などの活物質を含む正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な黒鉛等の炭素材料からなる負極と、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiBFやLiPF等のリチウム塩からなる電解質を溶解させた非水電解液などにより構成される。リチウムイオン二次電池の充放電は、二次電池中のリチウムイオンが非水電解液を介して正極−負極間を移動し、正極または負極の活物質にリチウムイオンが挿入脱離することにより行われる。
【0004】
このようなリチウムイオン二次電池などでは、電池の容量は、リチウムの正極における挿入脱離量により決定される。一方、負極では電解液の分解反応が生じるため、副生成物(SEI(Solid Electrolyte Interphase)ともよばれる)の形成などにリチウムが消費され、電池の容量が減少していく。
【0005】
このような負極における電解液の分解反応が正極においても生じれば、負極での分解反応と相殺することができる。しかし、電解液の酸化電位に対し正極の電位は十分に高いものではないため、正極における酸化分解の反応量よりも負極における還元分解の反応量が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−203131号公報
【特許文献2】特開2009−123385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、従来の蓄電装置においては、負極では電解液の分解も生じるため、正極でのリチウムの挿入脱離量に比べ負極でのリチウムの挿入脱離量が少ない。従って、正極と負極とでリチウムの挿入脱離量が不均衡となるため、蓄電装置の容量が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、負極の電解液の分解により生じる正極と負極とのキャリアイオンの挿入脱離量の不均衡を調整又は改良して、蓄電装置の容量の低下を抑制することを課題の一とする。
【0009】
または、本発明の一態様は、低下した蓄電装置の容量を回復することを課題の一とする。
【0010】
または、本発明の一態様は、第3の電極により、電解液中の不純物を分解することを課題の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様では、蓄電装置の制御を低消費電力で行うことを課題の一つとする。
【0012】
または、本発明の一態様では、蓄電装置の信頼性を向上させることを課題の一つとする。
【0013】
または、本発明の一態様では、新規な蓄電装置を提供することを課題の一つとする。
【0014】
特に、本発明の一態様は、上記に掲げる課題のうち少なくとも一つを解決することができる場合がある。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、上記に掲げる課題に含まれていない課題であっても、明細書、図面又は特許請求の範囲等の記載から自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面又は特許請求の範囲等などの記載から、課題として抽出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のように、正極と負極とで生じるリチウムの挿入脱離量の不均衡は、正極においても電解液が分解されることで解消しうる。例えば、正極活物質をリン酸鉄リチウム(LiFePO)とした場合、リチウムの反応電位は約3.5Vであるため終止電圧は4Vとすれば十分であるが、あえて終止電圧を4.5Vまで上げることで正極での電解液の分解が発生する。このようにして、正極での電解液の分解量と負極での電解液の分解量とを均等にすることで、正極及び負極の容量のバランスを均等にし、電池の容量の低下を抑制することができる。
【0016】
しかし一方で、正極において電解液の分解を生じさせた場合、正極の抵抗が増加してしまうおそれがある。
【0017】
そこで、本願発明者等は、正極及び負極とは異なる第3の電極を、別途電池の内部に設けることに想到した。第3の電極は、電解液の分解を行う機能を有する電極である。すなわち、第3の電極は主に非ファラデー反応による容量、具体的には第3の電極表面に生じる極めて薄い電気二重層を利用した静電容量を持つ電極である。あるいは、電解液中の不純物を吸着する機能を有する電極である。従って、第3の電極は、その比表面積が大きいことが好ましい。このため第3の電極として、多孔質の電極材料を用いることが好ましく、例えば活性炭を用いるとよい。特に第3の電極に活性炭を用いた場合、製造工程や安全性の点で好ましい。
【0018】
なお、本明細書において第3の電極とは、正極又は負極のいずれか一方を第1の電極又は第2の電極とした場合に付した名称であり、その序数にはそれ以上の意味を有するものではない。
【0019】
充放電の繰り返しなどにより電池の容量が低下してきた場合、第3の電極と負極とを用いて充電を行うことで、容量を追加することができる。なお、この容量の追加のための充電後に第3の電極を放電すると、元の状態に戻り電池の容量が低下してしまう。このため、第3の電極は、充電後は放電せずに、自己放電により放電が行われるのを待つとよい。なお自己放電とは、電極に蓄積された電気の量が、時間の経過とともに徐々に減少する現象のことをいい、自然放電ともいう。
【0020】
第3の電極の自己放電は、電解液の分解や不純物の分解によって生じるものである。従って、第3の電極に活性炭のような比表面積の大きい材料を用いる場合には、材料の反応性が低くても電解液や不純物との反応を進行させることができる。
【0021】
さらに、電解液等に含まれる不純物は正極で反応することにより、正極の表面に分解物による副生成物(分解物を含む皮膜など)が形成されて、正極の抵抗を増加させる。しかし、第3の電極を用いて不純物と積極的に反応させることで、正極の劣化を防止又は低減することができる。
【0022】
そこで、本発明の一態様は、正極と負極と電解液とを有する蓄電装置において、さらに第3の電極を有し、第3の電極は、非ファラデー反応をする材料が用いられている蓄電装置である。
【0023】
特に、第3の電極は、活性炭が用いられているとよい。
【0024】
また、本発明の一態様は、蓄電装置の充電方法であって、蓄電装置は正極と負極と第3の電極とを有し、第3の電極は、非ファラデー反応をする材料が用いられ、正極及び負極を用いて蓄電装置の充電をした後、第3の電極と負極とを用いて追加の充電をする蓄電装置の充電方法である。
【0025】
特に、追加の充電の後、前記第3の電極を自己放電させるとよい。
【発明の効果】
【0026】
蓄電装置の容量の低下を抑制することができる。
【0027】
または、低下した蓄電装置の容量を回復することができる。
【0028】
または、第3の電極により、電解液中の不純物を分解することができる。
【0029】
または、蓄電装置の制御を低消費電力で行うことができる。
【0030】
または、蓄電装置の信頼性を向上させることができる。
【0031】
または、新規な蓄電装置等を提供することができる。または、優れた蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】充電方法を説明する図。
図2】第3の電極を説明する図。
図3】蓄電装置を充放電するシステムについて説明する図。
図4】蓄電装置を充放電するシステムについて説明する図。
図5】蓄電装置を充放電するシステムについて説明する図。
図6】制御回路を説明する図。
図7】正極を説明する図。
図8】負極を説明する図。
図9】第3の電極を説明する図。
図10】蓄電装置を説明する図。
図11】蓄電装置を説明する図。
図12】蓄電装置を説明する図。
図13】電気機器を説明する図。
図14】電気機器を説明する図。
図15】電気機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下、詳細に説明する。なお、本発明の実施形態については、以下に説明する。
【0034】
ただし、本発明はこれらの説明に限定されず、その形態及び態様を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
なお、本明細書で説明する各図において、膜や層、基板などの厚さや領域の大きさ等の各構成要素の大きさは、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での相対的な大きさに限定されない。
【0036】
また、本明細書等において、第1、第2などとして付される序数詞は、便宜上用いるものであって工程の順番や積層の順番などを示すものではない。また、本明細書等において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0037】
また、本明細書等で説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0038】
また、実際の電池の製造工程において、電極には凹凸が含まれるものであるが、理解を容易にするため、図面においては省略して示すことがある。
【0039】
また、本明細書等において、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」又は「直下」であることを限定するものではない。
【0040】
また、本明細書等において、「電解液」や「電解質」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。明示的に区別している箇所でない限り、「電解質」は「電解液」の意を含み得るものとする。
【0041】
また、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。従って、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0042】
また、本明細書等において、能動素子、受動素子、或いは端子の接続状態の説明に用いられている「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。また、そこでは電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
【0043】
また、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。又は、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。従って、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。又は、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0044】
また、本明細書等において、二次電池用の正極及び負極の双方を併せて電極とよぶことがあるが、この場合、電極は正極及び負極のうち少なくともいずれか一方を示すものとする。
【0045】
また、本明細書等において放電レートCとは、電池を放電する際の速さを表す。例えば、容量1Ahの電池を1Aで放電する場合の放電レートは1Cである。
【0046】
また、この発明を実施するための形態に記載の内容は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0047】
[1.蓄電装置の充放電方法及びシステム]
本発明の一態様に係る蓄電装置の充放電方法及びそのシステムについて、図1及び図2を用いて説明する。
【0048】
(実施の形態1)
[1.1.蓄電装置の充放電方法]
図2(A)に示すように、蓄電装置100には少なくとも負極101、正極102及び第3の電極103を有する。これら負極101、正極102及び第3の電極103は、互いの短絡を防止するためにセパレータ104が設けられ、この空間105は電解液で充填されている。それぞれの電極については、後に詳述する。
【0049】
蓄電装置100の充放電方法について、図1を用いて説明する。なお、図1においては、セパレータの図示は省略している。
【0050】
図1(A)に示すように、蓄電装置100の充電は、蓄電装置100の負極101と正極102とを系統電源等の電源に接続することで行う。例えば蓄電装置100がリチウムイオン二次電池の場合、キャリアイオン(図においてはリチウムイオン)は、正極102から負極101に向かって移動し、負極101に挿入される。
【0051】
この充電の際に、負極101の表面で電解液の分解が起こり、分解物の形成に伴って不可逆容量が形成される。
【0052】
充電の後、図1(B)に示すように、第3の電極103を用いて蓄電装置100に追加の充電を行う。追加の充電は、正極102をフローティングとし、負極101と第3の電極103との間に電流を流すことで行う。電解液の溶質として例えばLiPFを溶解させている場合、イオン化したリチウムは負極101に挿入される一方で、アニオンとなったPFは第3の電極103の表面に移動する。このため、第3の電極103の表面には極めて薄い電気二重層が形成される。
【0053】
追加の充電を行う場合、負極101の電位を0V(vs.Li/Li)とした場合、第3の電極の電位は4V(vs.Li/Li)以上の高い電圧に設定するとよい。このような高電圧を印加することによって、電解液を分解する。これにより、正極102と負極101との容量バランスを均等にすることができる。
【0054】
追加の充電は、初回の不可逆容量を低減することができる。また、繰り返しの追加の充電を行う場合には、充放電の繰り返しに伴い形成された不可逆容量も低減することができる。
【0055】
ここで、追加の充電は、例えば正極102の活物質材料にリン酸鉄リチウム(LiFePO)などの充電深度によって電位の変動が小さい材料を用いる場合には、まず正極102と第3の電極103との間の電圧を検出し、例えば当該電圧が0.2V以下である場合に実施を開始するとよい。また、追加の充電により当該電圧が例えば1.1Vとなったとき、当該充電を終了するとよい。
【0056】
一方、正極102の活物質材料にコバルト酸リチウム(LiCoO)などの充電深度によって電位の変動がある材料を用いる場合には、例えば充電の終止状態における電位を基準に第3の電極103の電位を検出して、追加の充電を行えばよい。
【0057】
図1(C)に示すように、蓄電装置100の放電は、負極101に挿入されたキャリアイオンを正極102に移動させることで行う。
【0058】
さらに、追加の充電により第3の電極103に蓄積された電荷は、図1(D)に示すように自己放電によって放出する。自己放電は、充放電の行われていない期間に行われる。
【0059】
ここで、第3の電極103の自己放電の際に、電解液中の不純物を電気分解することができる。これにより、蓄電装置100の劣化を抑制し、長寿命化することができる。電解液中の不純物とは、例えば水(HO)などである。
【0060】
第3の電極103の自己放電は、放電が完了するまでに例えば1週間から2週間の期間を要する。このため、追加の充電及び自己放電は、必要に応じて任意のタイミングで行えばよい。
【0061】
また、第3の電極103の自己放電の放電速度は、周辺の温度に依存する。このためヒーター等の加熱手段や冷却手段を蓄電装置100に設けることで、第3の電極103の自己放電の放電速度を制御してもよい。
【0062】
なお、図1では、追加の充電を行う場合の例について述べたが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または状況に応じて、追加の充電を行わないことも可能である。
【0063】
ここで、第3の電極103の、負極101及び正極102に対する設置位置を、図2(B)乃至図2(G)を用いて説明する。
【0064】
図2(B)では、セパレータ104aを介した正極102と負極101との積層体に対して、正極102側に第3の電極103が設けられている。正極102と第3の電極103との間には、セパレータ104bが設けられている。
【0065】
図2(C)では、セパレータ104dを介した正極102と負極101との積層体に対して、負極101側に第3の電極103が設けられている。負極101と第3の電極103との間には、セパレータ104cが設けられている。
【0066】
図2(D)では、セパレータ104fを介した正極102と負極101との積層体に対して、正極102及び負極101の双方の側に第3の電極103がそれぞれ設けられている。負極101と第3の電極103との間、正極102と第3の電極103との間には、セパレータ104e、セパレータ104gが設けられている。
【0067】
図2(E)では、正極102と負極101との間に第3の電極103が設けられている。正極102と第3の電極103との間にはセパレータ104iが、負極101と第3の電極103との間にはセパレータ104hが設けられている。
【0068】
図2(F)では、セパレータ104jを介した正極102と負極101との積層体に対して、正極102や負極101と概略直交するように積層体の側面に第3の電極103が設けられている。また、積層体と第3の電極103との間には、セパレータ104kが設けられている。
【0069】
図2(G)では、セパレータ104lを介した正極102と負極101との積層体に対して、積層体の側面を囲むように、第3の電極103が湾曲して設けられている。また、積層体と第3の電極103との間には、セパレータ104mが設けられている。なお、図2(G)においては第3の電極103の一部が開放されているが、第3の電極103はループ状に閉じていてもよい。さらに、ここでは第3の電極103は積層体の側面を取り囲んでいるが、積層体の側面に限らず、積層体のその他の面を囲むように配置されていてもよい。さらに、第3の電極103は、積層体を封じる封止缶等の内壁の一部又は全体に形成されていてもよい。
【0070】
なお、以上に説明した第3の電極103の設置位置を組み合わせて複数設置してもよい。また、以上に示した第3の電極103の設置位置は一例であって、これに限られない。
【0071】
[1.2.蓄電装置を充放電するシステム]
本発明の一態様に係る蓄電装置を充放電するシステムの一例を、図3を用いて説明する。
【0072】
図3に示す蓄電装置を充放電するシステムでは、蓄電装置201と、コンバータ202と、回路203と、負荷204と、電源205と、スイッチ206と、スイッチ207と、スイッチ208と、スイッチ209とを少なくとも用いる。なお、各構成要素を同一の装置に設けることにより、接続点数などを減らすこともできる。例えば、蓄電装置201と回路203とを同一の装置に設けてもよい。あるいは、蓄電装置201とコンバータ202と回路203とを同一の装置に設けてもよい。
【0073】
蓄電装置201については後に詳説するが、上記したように、正極及び負極の他、第3の電極を有する蓄電装置201を用いる。
【0074】
コンバータ202は、蓄電装置201及び回路203に接続される。
【0075】
コンバータ202は、例えば電源205から供給される電圧を変換することにより、蓄電装置201の充放電の際の電流値を制御することができる機能を有する。
【0076】
コンバータ202としては、例えば昇降圧型コンバータを用いることができる。昇降圧型コンバータは、例えばスイッチングレギュレータ及び制御回路を有する。スイッチングレギュレータは、例えばインダクタ、スイッチを有する。昇降圧型コンバータは、例えば制御回路によりスイッチを制御することにより、入力電圧の昇圧又は降圧を切り換えることができ、昇圧又は降圧された電圧の値を制御することができるとともに、インダクタに流れる電流の向きを切り換えて入力と出力を入れ替えることができるため、蓄電装置201の充放電を切り換えることができる。なお、これに限定されず、制御回路の代わりに回路203によりスイッチングレギュレータのスイッチを制御してもよい。昇降圧型コンバータとしては、例えばSEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)型コンバータ又はZeta型コンバータ等を用いることができる。
【0077】
回路203は、蓄電装置201に接続される。回路203には、蓄電装置201又は電源205から電力が供給される。
【0078】
回路203は、コンバータ202の状態を指示する命令信号を生成して出力することにより、コンバータ202の出力電圧の値を制御することができる機能を有し、コンバータ202のインダクタに流れる電流の向きを制御することができる機能を有する。また、後述するスイッチ206及びスイッチ207の切り換えを制御することができる機能を有する。なお、回路203を制御回路としてもよい。または、回路203をマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ(MPUともいう)、マイクロコントロールユニット(MCUともいう)、フィールド プログラマブル ゲート アレイ(FPGAともいう)、中央演算装置(CPUともいう)、若しくはバッテリマネジメントユニット(BMUともいう)としてもよい。
【0079】
負荷204は、蓄電装置201、コンバータ202、回路203に接続される。負荷204には、蓄電装置201又は電源205から電力が供給される。なお、回路203には、負荷204から制御信号が入力されてもよい。負荷204にパワーゲートを設け、パワーゲートにより負荷204を構成する回路に対する電力の供給を制御してもよい。なお、回路203は、必ずしも負荷204に接続されていなくてもよい。
【0080】
電源205としては、例えば系統電源を用いた電源回路などを用いることができる。また、これに限定されず、例えば給電装置などを用いて非接触で電力を供給することができる装置を用いてもよい。
【0081】
スイッチ206は、例えば蓄電装置201の正極に接続され、蓄電装置201とコンバータ202との導通を制御することができる機能を有する。スイッチ206は、コンバータ202の制御回路又は回路203により制御してもよい。
【0082】
スイッチ207は、例えば蓄電装置201の第3の電極に接続され、蓄電装置201とコンバータ202との導通を制御することができる機能を有する。スイッチ207は、コンバータ202の制御回路又は回路203により制御してもよい。
【0083】
スイッチ208は、電源205とコンバータ202との導通を制御することができる機能を有する。スイッチ208は、コンバータ202の制御回路又は回路203により制御してもよい。
【0084】
スイッチ209は、蓄電装置201と負荷204との導通を制御することができる機能を有する。スイッチ209は、コンバータ202の制御回路又は回路203により制御してもよい。
【0085】
スイッチ207乃至スイッチ209としては、例えばトランジスタ、ダイオードなどを用いることができる。
【0086】
次に、図3に示すシステムにおいて、第3の電極を有する蓄電装置201の充放電方法について図4及び図5を用いて説明する。
【0087】
充電の期間では、図4(A)に示すように、回路203等で制御することにより、スイッチ207及びスイッチ209をオフ状態にし、スイッチ206及びスイッチ208をオン状態にする。これにより、蓄電装置201の正極と電源205とをコンバータ202を介して電気的に接続する。これにより、電源205からコンバータ202を介して蓄電装置201に電流が流れ、蓄電装置201が充電される。
【0088】
追加の充電の期間では、図4(B)に示すように、回路203等で制御することにより、スイッチ206及びスイッチ209をオフ状態にし、スイッチ207及びスイッチ208をオン状態にする。これにより、蓄電装置201の第3の電極と電源205とをコンバータ202を介して電気的に接続する。これにより、電源205からコンバータ202を介して蓄電装置201に電流が流れ、蓄電装置201に追加の充電が行われる。
【0089】
なお、図4(B)に示すように、追加の充電を行う場合の例を示したが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、追加の充電を行わないことも可能である。
【0090】
放電の期間では、図5(A)に示すように、回路203等で制御することにより、スイッチ207及びスイッチ208をオフ状態にし、スイッチ206及びスイッチ209をオン状態にする。これにより、蓄電装置201の正極及び負極と負荷204とを電気的に接続し、蓄電装置201から負荷204に電流が流れる。
【0091】
なお、負荷204への電力の供給は、電源205が接続されている状態においては、蓄電装置201を必ずしも用いる必要はない。電源205から負荷204へ電力の供給を行ってもよい。なお、この場合には、負荷204への電力供給を行うと同時に、蓄電装置201への充電を行うこともできる。
【0092】
自己放電の期間では、図5(B)に示すように、回路203等で制御することにより、スイッチ206、スイッチ207、スイッチ208、スイッチ209をオフ状態にする。これにより、蓄電装置201の第3の電極が電気的に浮遊状態となり、自己放電が開始される。
【0093】
(実施の形態2)
[2.制御回路]
回路203の例について図6を用いて説明する。
【0094】
[2.1.回路構成]
回路203は、プロセッサ710、バスブリッジ711、メモリ712、メモリインターフェース713、コントローラ720、割り込みコントローラ721、I/Oインターフェース(入出力インターフェース)722、及びパワーゲートユニット730を有する。
【0095】
さらに、回路203は、水晶発振回路741、タイマー回路745、I/Oインターフェース746、I/Oポート750、コンパレータ751、I/Oインターフェース752、バスライン761、バスライン762、バスライン763、及びデータバスライン764を有する。さらに、回路203は、外部装置との接続部として少なくとも接続端子770乃至接続端子776を有する。なお、各接続端子770乃至接続端子776は、1つの端子又は複数の端子でなる端子群を表す。また、水晶振動子743を有する発振子742が、接続端子772、及び接続端子773を介して回路203に接続されている。
【0096】
プロセッサ710はレジスタ785を有し、バスブリッジ711を介してバスライン761乃至バスライン763、及びデータバスライン764に接続されている。
【0097】
メモリ712は、プロセッサ710のメインメモリとして機能することができる記憶装置であり、例えばランダムアクセスメモリが用いられる。メモリ712は、プロセッサ710が実行する命令、命令の実行に必要なデータ、及びプロセッサ710の処理によるデータを記憶する装置である。プロセッサ710の命令により、メモリ712へのデータの書き込み、読み出しが行われる。
【0098】
回路203では、低消費電力モードのときにメモリ712に対する電力供給が遮断される。そのため、メモリ712は電源が供給されていない状態でもデータを保持することができるメモリで構成することが好ましい。
【0099】
メモリインターフェース713は、外部記憶装置との入出力インターフェースである。プロセッサ710の命令により、メモリインターフェース713を介して、接続端子776に接続される外部記憶装置へのデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0100】
クロック生成回路715は、プロセッサ710で使用されるクロック信号MCLK(以下、単に「MCLK」ともよぶ。)を生成する回路であり、RC発振器などを有する。MCLKはコントローラ720及び割り込みコントローラ721にも出力される。
【0101】
コントローラ720は回路203全体の制御処理を行う回路であり、例えば、バス及びメモリマップなどの制御、回路203の電源制御、クロック生成回路715、水晶発振回路741の制御などを行うことができる。
【0102】
接続端子770は、外部の割り込み信号入力用の端子であり、接続端子770を介してマスク不可能な割り込み信号NMIがコントローラ720に入力される。コントローラ720にマスク不可能な割り込み信号NMIが入力されると、コントローラ720は直ちにプロセッサ710にマスク不可能な割り込み信号NMIを出力し、プロセッサ710に割り込み処理を実行させる。
【0103】
また、割り込み信号INTが、接続端子770を介して割り込みコントローラ721に入力される。割り込みコントローラ721には、周辺回路からの割り込み信号(T0IRQ、P0IRQ、C0IRQ)も、バス(761乃至764)を経由せずに入力される。
【0104】
割り込みコントローラ721は割り込み要求の優先順位を割り当てる機能を有する。割り込みコントローラ721は割り込み信号を検出すると、その割り込み要求が有効であるか否かを判定する。有効な割り込み要求であれば、コントローラ720に割り込み信号INTを出力する。
【0105】
また、割り込みコントローラ721はI/Oインターフェース722を介して、バスライン761及びデータバスライン764に接続されている。
【0106】
コントローラ720は、割り込み信号INTが入力されると、プロセッサ710に割り込み信号INTを出力し、プロセッサ710に割り込み処理を実行させる。
【0107】
また、割り込み信号T0IRQが割り込みコントローラ721を介さず直接的にコントローラ720に入力される場合がある。コントローラ720は、割り込み信号T0IRQが入力されると、プロセッサ710にマスク不可能な割り込み信号NMIを出力し、プロセッサ710に割り込み処理を実行させる。
【0108】
コントローラ720のレジスタ780は、コントローラ720内に設けられ、割り込みコントローラ721のレジスタ786は、I/Oインターフェース722に設けられている。
【0109】
続いて、回路203が有する周辺回路を説明する。回路203は、周辺回路として、タイマー回路745、I/Oポート750及びコンパレータ751を有する。これらの周辺回路は一例であり、回路203が使用される電気機器に応じて、必要な回路を設けることができる。
【0110】
タイマー回路745は、クロック生成回路740から出力されるクロック信号TCLK(以下、単に「TCLK」ともよぶ。)を用いて、時間を計測することができる機能を有する。また、クロック生成回路715は、決められた時間間隔で、割り込み信号T0IRQを、コントローラ720及び割り込みコントローラ721に出力する。タイマー回路745は、I/Oインターフェース746を介して、バスライン761及びデータバスライン764に接続されている。
【0111】
TCLKはMCLKよりも低い周波数のクロック信号である。例えば、MCLKの周波数を数MHz程度(例えば、8MHz)とし、TCLKは、数十kHz程度(例えば、32kHz)とする。クロック生成回路740は、回路203に内蔵された水晶発振回路741と、接続端子772及び接続端子773に接続された発振子742を有する。発振子742の振動子として、水晶振動子743が用いられている。なお、CR発振器などでクロック生成回路740を構成することで、クロック生成回路740の全てのモジュールを回路203に内蔵することが可能である。
【0112】
I/Oポート750は、接続端子774を介して接続された外部機器と情報の入出力を行うためのインターフェースであり、デジタル信号の入出力インターフェースである。これにより、回路203にデータ信号MISOを入力することができる。例えば、I/Oポート750は、入力されたデジタル信号に応じて、割り込み信号P0IRQを割り込みコントローラ721に出力する。なお、接続端子774を複数設けてもよい。
【0113】
コンパレータ751は、例えば接続端子775から入力されるアナログ信号の電位(又は電流)と基準信号の電位(又は電流)との大小を比較でき、値が0又は1のデジタル信号を生成することができる。さらに、コンパレータ751は、このデジタル信号の値が1のとき、割り込み信号C0IRQを生成することができる。割り込み信号C0IRQは、割り込みコントローラ721に出力される。
【0114】
I/Oポート750及びコンパレータ751は共通のI/Oインターフェース752を介してバスライン761及びデータバスライン764に接続されている。ここでは、I/Oポート750、コンパレータ751各々のI/Oインターフェースに共有することができる回路があるため、1つのI/Oインターフェース752で構成しているが、I/Oポート750、コンパレータ751のI/Oインターフェースを別々に設けることもできる。
【0115】
また、周辺回路のレジスタは、対応する入出力インターフェースに設けられている。タイマー回路745のレジスタ787はI/Oインターフェース746に設けられ、I/Oポート750のレジスタ783及びコンパレータ751のレジスタ784は、それぞれ、I/Oインターフェース752に設けられている。
【0116】
回路203は内部回路への電力供給を遮断するためのパワーゲートユニット730を有する。パワーゲートユニット730により、動作に必要な回路のみに電力供給を行うことで、回路203全体の消費電力を低くすることができる。
【0117】
図6に示すように、回路203内の破線で囲んだユニット701、ユニット702、ユニット703、ユニット704の回路は、パワーゲートユニット730を介して、接続端子771に接続されている。接続端子771は、例えば図5に示す蓄電装置201に接続される。なお、接続端子771と蓄電装置201の間にコンバータを設けてもよい。
【0118】
本実施の形態では、ユニット701は、タイマー回路745、及びI/Oインターフェース746を含み、ユニット702は、I/Oポート750、コンパレータ751、及びI/Oインターフェース752を含み、ユニット703は、割り込みコントローラ721、及びI/Oインターフェース722を含み、ユニット704は、プロセッサ710、メモリ712、バスブリッジ711、及びメモリインターフェース713を含む。
【0119】
パワーゲートユニット730は、コントローラ720により制御される。パワーゲートユニット730は、ユニット701乃至704への電源電圧の供給を遮断するためのスイッチ731及びスイッチ732を有する。このときの電源電圧としては、例えば蓄電装置201の電源電圧などを用いることができる。
【0120】
スイッチ731、スイッチ732のオン/オフはコントローラ720により制御される。具体的には、コントローラ720は、プロセッサ710の要求によりパワーゲートユニット730が有するスイッチの一部又は全部をオフ状態とする信号を出力する(電力供給の停止)。また、コントローラ720は、マスク不可能な割り込み信号NMI、又はタイマー回路745からの割り込み信号T0IRQをトリガーにして、パワーゲートユニット730が有するスイッチをオン状態とする信号を出力する(電力供給の開始)。
【0121】
なお、図6では、パワーゲートユニット730に、2つのスイッチ(スイッチ731、スイッチ732)を設ける構成を示しているが、これに限定されず、電源遮断に必要な数のスイッチを設ければよい。
【0122】
また、本実施の形態では、ユニット701に対する電力供給を独立して制御することができるようにスイッチ731を設け、ユニット702乃至704に対する電力供給を独立して制御することができるようにスイッチ732を設けているが、このような電力供給経路に限定されるものではない。例えば、スイッチ732とは別のスイッチを設けて、メモリ712の電力供給を独立して制御することができるようにしてもよい。また、1つの回路に対して、複数のスイッチを設けてもよい。
【0123】
また、コントローラ720には、パワーゲートユニット730を介さず、常時、接続端子771から電源電圧が供給される。また、ノイズの影響を少なくするため、クロック生成回路715の発振回路、水晶発振回路741には、それぞれ、電源電圧の電源回路と異なる外部の電源回路から電源電位が供給される。
【0124】
[2.2駆動方法例]
コントローラ720及びパワーゲートユニット730などを備えることにより、回路203を3種類の動作モードで動作させることが可能である。第1の動作モードは、通常動作モードであり、回路203の全ての回路がアクティブな状態である。ここでは、第1の動作モードを「Activeモード」とよぶ。
【0125】
第2、及び第3の動作モードは低消費電力モードであり、一部の回路をアクティブにするモードである。第2の動作モードでは、コントローラ720、並びにタイマー回路745とその関連回路(水晶発振回路741、I/Oインターフェース746)がアクティブである。第3の動作モードでは、コントローラ720のみがアクティブである。ここでは、第2の動作モードを「Noff1モード」と呼び、第3の動作モードを「Noff2モード」とよぶことにする。Noff1モードでは、コントローラ720と周辺回路の一部(タイマー動作に必要な回路)が動作し、Noff2モードでは、コントローラ720のみが動作している。
【0126】
なお、クロック生成回路715の発振器、及び水晶発振回路741は、動作モードに関わらず、電源が常時供給される。クロック生成回路715及び水晶発振回路741を非アクティブにするには、コントローラ720から又は外部からイネーブル信号を入力し、クロック生成回路715及び水晶発振回路741の発振を停止させることにより行われる。
【0127】
また、Noff1、Noff2モードでは、パワーゲートユニット730により電力供給が遮断されるため、I/Oポート750、I/Oインターフェース752は非Activeになるが、接続端子774に接続されている外部機器を正常に動作させるために、I/Oポート750、I/Oインターフェース752の一部には電力が供給される。具体的には、I/Oポート750の出力バッファ、I/Oポート750用のレジスタ786である。Noff1、Noff2モードでは、I/Oポート750での実質的な機能である、I/Oインターフェース752及び外部機器とのデータの伝送機能、割り込み信号生成機能は停止している。また、I/Oインターフェース752も同様に、通信機能は停止している。
【0128】
なお、本明細書では、回路が非アクティブとは、電力の供給が遮断されて回路が停止している状態の他、Activeモード(通常動作モード)での主要な機能が停止している状態や、Activeモードよりも省電力で動作している状態を含む。
【0129】
上記構成にすることにより、例えばユーザーが蓄電装置の充電動作を強制的に終了させた場合に、プロセッサ710の要求によりパワーゲートユニット730が有するスイッチの一部又は全部をオフ状態とする信号を出力し、Noff1、Noff2モードに切り換え、不要な回路ブロックに対する電力の供給を停止させることもできる。
【0130】
(実施の形態3)
[3.蓄電装置]
蓄電装置の一例として、以下にリチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池について説明する。
【0131】
[3.1.正極]
まず、蓄電装置の正極について、図7を用いて説明する。
【0132】
正極6000は、正極集電体6001と、正極集電体6001上に塗布法、CVD法、又はスパッタリング法等により形成された正極活物質層6002などにより構成される。図7(A)においては、シート状(又は帯状)の正極集電体6001の両面に正極活物質層6002を設けた例を示しているが、これに限られず、正極活物質層6002は、正極集電体6001の一方の面にのみ設けてもよい。また、図7(A)においては、正極活物質層6002は、正極集電体6001上の全域に設けているが、これに限られず、正極集電体6001上の一部に設けても良い。例えば、正極集電体6001と正極タブとが接続する部分には、正極活物質層6002を設けない構成とするとよい。
【0133】
正極集電体6001には、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金などを用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体6001は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。正極集電体6001は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
【0134】
図7(B)は、正極活物質層6002の縦断面を示した模式図である。正極活物質層6002は、粒状の正極活物質6003と、導電助剤としてのグラフェン6004と、バインダ6005(結着剤)とを含む。
【0135】
導電助剤としては、後述するグラフェンの他、アセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック、グラファイト(黒鉛)粒子、カーボンナノチューブなどを用いることができるが、ここでは一例として、グラフェン6004を用いた正極活物質層6002について説明する。
【0136】
正極活物質6003は、原料化合物を所定の比率で混合し焼成した焼成物を、適当な手段により粉砕、造粒及び分級した、平均粒径や粒径分布を有する二次粒子からなる粒状の正極活物質である。このため、図7(B)においては、正極活物質6003を模式的に球で示しているが、この形状に限られるものではない。
【0137】
正極活物質6003としては、リチウムイオン等のキャリアイオンの挿入及び脱離が可能な材料であればよい。
【0138】
例えば、正極活物質6003としてリチウム金属リン酸化合物(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を正極活物質として用いることができる。
【0139】
または、一般式Li(2−j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)で表されるリチウム金属ケイ酸化合物等のポリアニオン化合物を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiOの代表例としては、Li(2−j)FeSiO、Li(2−j)NiSiO、Li(2−j)CoSiO、Li(2−j)MnSiO、Li(2−j)FeNiSiO、Li(2−j)FeCoSiO、Li(2−j)FeMnSiO、Li(2−j)NiCoSiO、Li(2−j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FeNiCoSiO、Li(2−j)FeNiMnSiO、Li(2−j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の化合物を正極活物質として用いることができる。
【0140】
また、正極活物質6003として、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiMnO、LiMnO、LiNi0.8Co0.2等のNiCo系(一般式は、LiNiCo1−x(0<x<1))、LiNi0.5Mn0.5等のNiMn系(一般式は、LiNiMn1−x(0<x<1))、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等のNiMnCo系(NMCともいう。一般式は、LiNiMnCo1−x−y(x>0、y>0、x+y<1))などの複合酸化物、特にリチウム金属酸化物を用いることができる。
【0141】
また、LiMn等のスピネル型の結晶構造を有する活物質、LiMVO等の逆スピネル型の結晶構造を有する活物質等、その他種々の化合物を用いることができる。
【0142】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、やアルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質6003として、上記化合物や酸化物において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
【0143】
なお、図示しないが、正極活物質6003の表面に炭素層を設けてもよい。炭素層を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。正極活物質6003への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合することで形成することができる。
【0144】
また、導電助剤として正極活物質層6002に添加するグラフェン6004は、酸化グラフェンに還元処理を行うことによって形成することができる。
【0145】
ここで、本明細書においてグラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含むものである。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラフェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPSで測定した場合にグラフェン全体の2atomic%以上20atomic%以下、好ましくは3atomic%以上15atomic%以下である。
【0146】
ここで、グラフェンが多層グラフェンである場合、酸化グラフェンを還元したグラフェンを有することで、グラフェンの層間距離は0.34nm以上0.5nm以下、好ましくは0.38nm以上0.42nm以下、さらに好ましくは0.39nm以上0.41nm以下である。通常のグラファイトは、単層グラフェンの層間距離が0.34nmであり、本発明の一態様に係る蓄電装置に用いるグラフェンの方が、その層間距離が長いため、多層グラフェンの層間におけるキャリアイオンの移動が容易となる。
【0147】
酸化グラフェンは、例えばHummers法とよばれる酸化法を用いて作製することができる。
【0148】
Hummers法は、グラファイト粉末に、過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化グラファイトを含む分散液を作製する。酸化グラファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基が結合する。このため、複数のグラフェンの層間距離がグラファイトと比較して長くなり、層間の分離による薄片化が容易となる。次に、酸化グラファイトを含む混合液に、超音波振動を加えることで、層間距離が長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離するとともに、酸化グラフェンを含む分散液を作製することができる。そして、酸化グラフェンを含む分散液から溶媒を取り除くことで、粉末状の酸化グラフェンを得ることができる。
【0149】
なお、酸化グラフェンの作製は過マンガン酸カリウムの硫酸溶液を用いたHummers法に限られず、例えば硝酸、塩素酸カリウム、硝酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等を使用するHummers法、又はHummers法以外の酸化グラフェンの作製方法を適宜用いてもよい。
【0150】
また、酸化グラファイトの薄片化は、超音波振動の付加の他、マイクロ波やラジオ波、又は熱プラズマの照射や、物理的応力の付加により行ってもよい。
【0151】
作製した酸化グラフェンは、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を有する。酸化グラフェンはNMP(N−メチルピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどともいう。)に代表される極性溶媒の中においては、官能基中の酸素がマイナスに帯電するため、NMPと相互作用する一方で異なる酸化グラフェンどうしとは反発し、凝集しにくい。このため、極性溶媒中においては、酸化グラフェンが均一に分散しやすい。
【0152】
また、酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう。)は一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下とするとよい。
【0153】
図7(B)に示す正極活物質層6002の断面図のように、複数の粒状の正極活物質6003は、複数のグラフェン6004によって被覆されている。一枚のシート状のグラフェン6004は、複数の粒状の正極活物質6003と接続する。特に、グラフェン6004がシート状であるため、粒状の正極活物質6003の表面の一部を包むように面接触することができる。正極活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン6004は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の正極活物質6003とグラフェン6004との電子伝導性を向上させる事ができる。
【0154】
また、複数のグラフェン6004どうしも面接触している。これはグラフェン6004の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、正極活物質層6002に残留するグラフェン6004は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで電子伝導の経路を形成している。
【0155】
また、グラフェン6004の一部は複数の正極活物質6003の間に設けられ、三次元的に配置されるように形成されている。また、グラフェン6004は炭素分子の単層又はこれらの積層で構成される極めて薄い膜(シート)であるため、個々の粒状の正極活物質6003の表面をなぞるようにその表面の一部を覆って接触しており、正極活物質6003と接していない部分は複数の粒状の正極活物質6003の間で撓み、皺となり、あるいは引き延ばされて張った状態を呈する。
【0156】
従って、複数のグラフェン6004により正極6000中に電子伝導のネットワークを形成している。このため正極活物質6003同士の電気伝導の経路が維持されている。以上のことから、酸化グラフェンを原料とし、ペースト後に還元したグラフェンを導電助剤として用いることで、高い電子伝導性を有する正極活物質層6002を形成することができる。
【0157】
また、正極活物質6003とグラフェン6004との接触点を増やすために、導電助剤の添加量を増加させなくてもよいため、正極活物質6003の正極活物質層6002における比率を増加させることができる。これにより、二次電池の放電容量を増加させることができる。
【0158】
粒状の正極活物質6003の一次粒子の平均粒径は、500nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下のものを用いるとよい。この粒状の正極活物質6003の複数と面接触するために、グラフェン6004は一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下であると好ましい。
【0159】
また、正極活物質層6002に含まれるバインダ(結着剤)には、代表的なポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いることができる。
【0160】
以上に示した正極活物質層6002は、正極活物質6003、導電助剤としてのグラフェン6004及びバインダを、正極活物質層6002の総量に対して、それぞれ正極活物質を90wt%以上94wt%以下、グラフェンを1wt%以上5wt%以下、バインダを1wt%以上5wt%以下の割合で含有することが好ましい。
【0161】
[3.2.負極]
次に、蓄電装置の負極について、図8を用いて説明する。
【0162】
負極6100は、負極集電体6101と、負極集電体6101上に塗布法、CVD法、又はスパッタリング法等により形成された負極活物質層6102などにより構成される。図8(A)においては、シート状(又は帯状)の負極集電体6101の両面に負極活物質層6102を設けた例を示しているが、これに限られず、負極活物質層6102は、負極集電体6101の一方の面にのみ設けてもよい。また、図8(A)においては、負極活物質層6102は、負極集電体6101上の全域に設けているが、これに限られず、負極集電体6101上の一部に設けても良い。例えば、負極集電体6101と負極タブとが接続する部分には、負極活物質層6102を設けない構成とするとよい。
【0163】
負極集電体6101には、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。負極集電体6101は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体6101は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
【0164】
図8(B)は、負極活物質層6102の一部の断面を模式的に示した図である。ここでは負極活物質層6102に、負極活物質6103とバインダ6105(結着剤)を有する例を示すが、これに限られず、少なくとも負極活物質6103を有していればよい。
【0165】
負極活物質6103は、キャリアの溶解・析出、又はキャリアイオンの挿入・脱離が可能な材料であれば、特に限定されない。負極活物質6103の材料としては、リチウム金属の他、蓄電分野に一般的な炭素材である黒鉛を用いることができる。黒鉛は、低結晶性炭素として軟質炭素や硬質炭素等が挙げられ、高結晶性炭素として、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解炭素、液晶ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、液晶ピッチ、石油又は石炭系コークス等が挙げられる。
【0166】
また、負極活物質6103には上述の材料の他、キャリアイオンとの合金化、脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な合金系材料を用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg及びIn等のうちの少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような金属は黒鉛に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物質6103にシリコンを用いることが好ましい。
【0167】
図8(B)においては、負極活物質6103を粒状の物質として表しているが、これに限られず、負極活物質6103の形状としては、例えば板状、棒状、円柱状、粉状、鱗片状等任意の形状とすることができる。また、表面に凹凸形状を有するものや、表面に微細な凹凸形状を有するもの、多孔質形状を有するものなどであってもよい。
【0168】
塗布法を用いて負極活物質層6102を形成する場合は、負極活物質6103に、導電助剤(図示せず)やバインダ6105を添加して、負極ペーストを作製し、負極集電体6101上に塗布して乾燥させればよい。
【0169】
なお、負極活物質層6102にリチウムをプレドープしてもよい。プレドープの方法としては、スパッタリング法により負極活物質層6102表面にリチウム層を形成してもよい。また、負極活物質層6102の表面にリチウム箔を設けることで、負極活物質層6102にリチウムをプレドープすることもできる。
【0170】
また、負極活物質6103の表面に、グラフェン(図示せず)を形成することが好ましい。例えば、負極活物質6103をシリコンとした場合、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵・放出に伴う体積の変化が大きいため、負極集電体6101と負極活物質層6102との密着性が低下し、充放電により電池特性が劣化してしまう。そこで、シリコンを含む負極活物質6103の表面にグラフェンを形成すると、充放電サイクルにおいて、シリコンの体積が変化したとしても、負極集電体6101と負極活物質層6102との密着性の低下を抑制することができ、電池特性の劣化が低減されるため好ましい。
【0171】
負極活物質6103の表面に形成するグラフェンは、正極の作製方法と同様に、酸化グラフェンを還元することによって形成することができる。該酸化グラフェンは、上述した酸化グラフェンを用いることができる。
【0172】
また、負極活物質6103の表面に、酸化物等の被膜6104を形成してもよい。充電時において形成される被膜6104は、その形成時に消費された電荷量を放出することができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜6104をあらかじめ負極活物質6103の表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することができる。
【0173】
このような負極活物質6103を被覆する被膜6104には、ニオブ、チタン、バナジウム、タンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含む酸化膜を用いることができる。このような被膜6104は、従来の電解液の分解生成物により負極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
【0174】
例えば、酸化ニオブ(Nb)は、電子伝導度が10−9S/cmと低く、高い絶縁性を示す。このため、酸化ニオブ膜は負極活物質と電解液との電気化学的な分解反応を阻害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10−9cm/secであり、高いリチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能である。
【0175】
負極活物質6103を被覆する被膜6104の形成には、例えばゾル−ゲル法を用いることができる。ゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応・重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法である。ゾル−ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に混合することができる。このため、溶媒の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、負極活物質6103の表面に被膜6104を形成することができる。
【0176】
[3.3.第3の電極]
次に、蓄電装置の第3の電極について、図9を用いて説明する。
【0177】
一例として図9(A)示す第3の電極6200は、集電体6201と、集電体6201上に設けられた第3の電極の材料層6202とを有する。
【0178】
集電体6201には、正極及び負極が有する集電体と同様に、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体6201は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体6201は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
【0179】
図9(B)は、第3の電極の材料層6202の一部の断面を模式的に示した図である。第3の電極の材料層6202は、材料6203と、導電助剤6204と、バインダ6205(結着剤)とを有する。
【0180】
非ファラデー反応とは、電極と電解液中のイオンとの間で電子の授受が伴わない反応である。すなわち、材料6203は、アニオンの少なくとも一つを可逆的に担持できる材料である。第3の電極6200は、上述した蓄電装置の追加の充電時においてその表面に極めて薄い電気二重層を形成し、物理的な作用による充電を可能にする電極である。このような材料6203として、例えば活性炭、導電性高分子、ポリアセン系有機半導体(PAS:PolyAcenic Semiconductor)等が挙げられる。
【0181】
また、材料6203は、表面積が大きい材料であることが好ましく、多孔質の物質が適している。材料6203が多孔質である場合、表面積を大きくすることができるとともに、細孔に不純物を吸着することができる。これらのことから、材料6203として、例えば活性炭が好ましい。
【0182】
材料6203が有する比表面積は、BET法による比表面積が500m/g以上、好ましくは1000m/g以上、より好ましくは2000m/g以上である。また、負極の比表面積に対して例えば10倍以上がよく、好ましくは100倍以上である。また、材料6203が多孔質の場合、有する細孔の最小径は、50nm以下、好ましくは20nm以下である。
【0183】
なお、導電助剤6204及びバインダ6205は、第3の電極6200の特性や蓄電装置の特性、規格、仕様等に応じて適宜調整して添加すればよく、必ずしも用いる必要はない。
【0184】
図9(B)に示す第3の電極6200は、活性炭などの材料6203を粒状としたもの複数を、導電助剤6204及びバインダ6205とともに溶媒に添加して混合物を作製し、これを集電体6201に塗布した後焼成することで形成することができる。
【0185】
材料6203として活性炭を用いる場合、活性炭は木材、石炭、椰子等の原材料を800℃程度の高温で熱処理して炭化させた後、1000℃程度の高温で賦活して多孔質化させ、精製すること等により得ることができる。原材料に大鋸屑等の木材を用いる場合には、塩化亜鉛やリン酸等の薬液を繊維質に含浸させてから炭化させるとよい。これにより、最小の直径が1nm以上20nm以下程度の細孔を有する活性炭を作製することができる。
【0186】
導電助剤6204には、カーボンブラック、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ等を用いることができる。また、正極において記載したグラフェンを導電助剤として用いてもよい。特に酸化グラフェンを上記の混合物中に分散させ、集電体6201に塗布した後に還元することで、導電性に優れた第3の電極6200を作製することができる。
【0187】
バインダ6205には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いることができる。
【0188】
あるいは、上記とは異なる第3の電極の製造方法として、例えば活性炭などの充分大きな表面積を持つ粒状の材料に導電助剤とバインダとを混練したものを第3の電極として用いることもできる。
【0189】
また、活性炭繊維の織物を炭化及び賦活したものを集電体と合わせて第3の電極として用いることもできる。
【0190】
また、未炭化のフェノール樹脂などを活性炭と併せて加圧して成形し、熱処理により炭化させて形成した焼結体を、第3の電極として用いることもできる。
【0191】
[3.4.電解液]
蓄電装置に用いる電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0192】
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0193】
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0194】
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiAlCl、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、Li12Cl12、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiN(CFSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiN(CSO等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0195】
[3.5.セパレータ]
蓄電装置のセパレータには、セルロースや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の多孔性絶縁体を用いることができる。また、ガラス繊維等の不織布や、ガラス繊維と高分子繊維を複合した隔膜を用いてもよい。
【0196】
[3.6.非水系二次電池]
次に、非水系二次電池の構造について、図10及び図11を用いて説明する。
【0197】
[3.6.1.ラミネート型二次電池]
図10(A)は、ラミネート型のリチウムイオン二次電池の外観図であり、部分的にその断面構造を併せて示した図である。
【0198】
図10(A)に示すラミネート型の二次電池970は、正極集電体971および正極活物質層972を有する正極973と、負極集電体974および負極活物質層975を有する負極976と、セパレータ977と、電解液(図示せず)と、外装体978と、を有する。外装体978内に設けられた正極973と負極976との間にセパレータ977が設置されている。また、外装体978内は、電解液で満たされている。
【0199】
図10(A)においては、さらに負極976の下にセパレータ977とは異なるセパレータを介して第3の電極979が設けられている。ここでは、第3の電極979は、正極973や負極976と概略同形状のシート状である。セパレータを間に挟むことにより、負極976と絶縁した電極として用いることができる。なお、第3の電極979を配置する位置は負極976の下に限らず、例えば正極973の上でもよい。あるいは、正極973、セパレータ977及び負極976からなる積層体を包むように帯状としてもよく、あるいは、棒状や円柱状等の形状として、外装体978の内部の隅などに設けてもよい。
【0200】
また、図10(A)においては、正極973、負極976、セパレータ977をそれぞれ一枚ずつ用いているが、これらを交互に積層した積層型の二次電池としてもよい。
【0201】
正極973、負極976、第3の電極979、セパレータ977、電解液(電解質及び溶媒)には、それぞれ上述した部材を用いることができる。
【0202】
図10(A)に示すラミネート型の二次電池970において、正極集電体971、負極集電体974及び第3の電極979は、外部との電気的接触を得る端子(タブ)の役割も兼ねている。そのため、正極集電体971、負極集電体974及び第3の電極979の一部は、外装体978から外側に露出するように配置される。
【0203】
ラミネート型の二次電池970において、外装体978には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のラミネートフィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。
【0204】
[3.6.2.円筒型二次電池]
次に、円筒型の二次電池の一例について、図11を参照して説明する。円筒型の二次電池6380は図11(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)6381を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)6382を有している。これら正極キャップ(電池蓋)6381と電池缶(外装缶)6382とは、ガスケット(絶縁パッキン)6390によって絶縁されている。
【0205】
図11(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶6382の内側には、帯状の正極6384と負極6386とがセパレータ6385を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。帯状の正極6384と負極6386とセパレータ6385とはセンターピンを中心に捲回されるが、ここではセンターピンは捲回後に取り外し、第3の電極6393を設けている。電池缶6382は、一端が閉じられ、他端が開いている。
【0206】
正極6384、負極6386、第3の電極6393、セパレータ6385には、上述した部材を用いることができる。
【0207】
電池缶6382には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶6382の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板6388、6389により挟まれている。
【0208】
また、電池素子が設けられた電池缶6382の内部は、電解液(図示せず)が注入されている。電解液には、上述した電解質及び溶媒を用いることができる。
【0209】
円筒型の二次電池に用いる正極6384及び負極6386は捲回するため、集電体の両面に活物質層を形成する。正極6384には正極端子(正極集電リード)6383が接続され、負極6386には負極端子(負極集電リード)6387が接続される。正極端子6383及び負極端子6387は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子6383は安全弁機構6392に、負極端子6387は電池缶6382の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構6392は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子6391を介して正極キャップ6381と電気的に接続されている。安全弁機構6392は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ6381と正極6384との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子6391は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0210】
ここで、第3の電極6393は、一例として、正極6384及び負極6386からなる電池素子の中心に、円柱状の形状として設けられている。第3の電極6393は端子6395に接続され、端子6395は電池缶6382とガスケット6394により絶縁されている。ただし、第3の電極6393の形状や配置位置はこれに限定されず、適宜設計することができる。
【0211】
[3.6.3.角型二次電池]
次に、角型の二次電池の一例について、図10(B)を参照して説明する。図10(B)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。さらに、捲回体の側面に、セパレータ992を介して第3の電極999が設けられている。
【0212】
捲回体993は、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止缶などで覆うことにより角型の二次電池が形成される。なお、負極994、正極995及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。
【0213】
また、ここでは第3の電極999は板状(シート状)の形状を有し、捲回体993の側面にセパレータ992を介して接続するものであるが、形状や配置位置はこれに限定されず、適宜設計することができる。例えば、第3の電極999を帯状として、捲回体993を取り囲むように配置してもよい。
【0214】
円筒型の二次電池と同様に、負極994は端子997及び端子998の一方を介して負極タブ(図示せず)に接続され、正極995は端子997及び端子998の他方を介して正極タブ(図示せず)に接続される。また、第3の電極999は、端子991を介して第3のタブ(図示せず)に接続される。その他、安全弁機構等の周辺構造は、円筒型の二次電池に準ずる。
【0215】
以上のように二次電池として、ラミネート型、円筒型及び角型の二次電池を示したが、コイン型などその他様々な形状の二次電池を用いることができる。また、正極と負極とセパレータとが複数積層された構造や、正極と負極とセパレータとが捲回された構造であってもよい。
【0216】
[3.7.電気回路等を有する蓄電装置]
次に、電気回路等を有する蓄電装置について説明する。
【0217】
図12は、上述した角型の二次電池に電気回路等を設けた蓄電装置の例を示す図である。図12(A)及び(B)に示す蓄電装置6600は、電池缶6604の内部に上述した第3の電極を付した捲回体6601を収納したものである。捲回体6601は、端子6602、端子6603及び第3の電極と接続した端子6612を有し、電池缶6604の内部で電解液に含浸される。端子6603は電池缶6604に接し、端子6602及び端子6612は、絶縁材6613などを用いることにより電池缶6604から絶縁する構成とするとよい。電池缶6604は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。
【0218】
さらに、図12(B)に示す蓄電装置6600に電気回路等を設けることができる。図12(C)及び(D)は、蓄電装置6600に、電気回路等を設けた回路基板6606、アンテナ6609、アンテナ6610、ラベル6608を設けた例を示す図である。
【0219】
回路基板6606は、電気回路6607、端子6605等を有する。回路基板6606としては、例えばプリント基板(PCB)を用いることができる。プリント基板を回路基板6606として用いた場合、プリント基板上に抵抗素子、コンデンサ等の容量素子、コイル(インダクタ)、半導体集積回路(IC)などの電子部品を実装し結線して電気回路6607を形成することができる。電子部品としてはこれらの他に、サーミスタ等の温度検出素子、ヒューズ、フィルタ、水晶発振器、EMC対策部品等、種々の部品を実装することができる。
【0220】
ここで、上記の半導体集積回路(IC)には、酸化物半導体をチャネル形成領域などに用いたトランジスタを有する回路を用いることができる。酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることにより、トランジスタのオフ電流を低くすることができる。これにより、電気回路6607の消費電力を大幅に低減することが可能となる。
【0221】
これらの電子部品によって形成された電気回路6607は、例えば蓄電装置6600の過充電監視回路、過放電監視回路、過電流に対する保護回路等として機能させることができる。
【0222】
回路基板6606が有する端子6605は、端子6602、端子6603、端子6612、アンテナ6609、アンテナ6610、及び電気回路6607に接続される。図12(C)及び(D)においては5つの端子を示しているが、これに限らず、任意の端子数とすればよい。端子6605を用いて蓄電装置6600の充放電を行う他、蓄電装置6600を搭載する電気機器との信号の授受を行うことができる。
【0223】
アンテナ6609及びアンテナ6610は、例えば蓄電装置の外部との電力の授受、信号の授受を行うために用いることができる。アンテナ6609及びアンテナ6610の一方又は双方を上述した電気回路6607に電気的に接続することで、電気回路6607により外部との電力の授受又は信号の授受を制御することができる。あるいは、アンテナ6609及びアンテナ6610の一方又は双方を端子6605に電気的に接続することで、蓄電装置6600を搭載する電気機器の制御回路により外部との電力の授受又は信号の授受を制御することもできる。
【0224】
なお、図12(C)及び(D)では2種類のアンテナを設けた蓄電装置6600の例であるが、アンテナは複数種設けてもよく、あるいはアンテナを設けない構成としてもよい。
【0225】
図12(C)及び(D)においては、アンテナ6609及びアンテナ6610がコイル形状である場合を示すが、これに限られず、例えば線状、平板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。
【0226】
なお、無線による電力の授受(非接触電力伝送、無接点電力伝送あるいはワイヤレス給電などともいう)には、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電波方式等を用いることができる。
【0227】
アンテナ6609の線幅は、アンテナ6610の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ6609により受電する電力量を上げることができる。
【0228】
また、アンテナ6609及びアンテナ6610と、蓄電装置6600との間に層6611を有する。層6611は、例えば捲回体6601による電界又は磁界の遮蔽を防止することができる機能を有する。この場合、層6611には、例えば磁性体を用いることができる。あるいは、層6611を遮蔽層としてもよい。
【0229】
なお、アンテナ6609及びアンテナ6610は、外部との電力の授受又は信号の授受とは異なる用途として用いることができる。例えば、蓄電装置6600を搭載する電気機器がアンテナを有さない機器である場合、アンテナ6609及びアンテナ6610を用いて電気機器への無線通信を実現することができる。
【0230】
(実施の形態4)
[4.電気機器]
本発明の一態様に係る蓄電装置は、様々な電気機器の電源として用いることができる。
【0231】
[4.1.電気機器の範疇]
ここで電気機器とは、電気の力によって作用する部分を含む工業製品をいう。電気機器は、家電等の民生用に限られず、業務用、産業用、軍事用等、種々の用途のものを広くこの範疇とする。
【0232】
[4.2.電気機器の一例]
本発明の一態様に係る蓄電装置を用いた電気機器としては、例えば、テレビやモニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型やノート型等のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、CD(Compact Disc)プレーヤやデジタルオーディオプレーヤ等の携帯型又は据置型の音響再生機器、携帯型又は据置型のラジオ受信機、テープレコーダやICレコーダ(ボイスレコーダ)等の録音再生機器、ヘッドホンステレオ、ステレオ、リモートコントローラ、置き時計や壁掛け時計等の時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話機、自動車電話、携帯型又は据置型のゲーム機、歩数計、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、マイクロフォン等の音声入力機器、スチルカメラやビデオカメラ等の写真機、玩具、電気シェーバ、電動歯ブラシ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、加湿器や除湿器やエアコンディショナ等の空気調和設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、電動工具、煙感知器、補聴器、心臓ペースメーカ、携帯型X線撮影装置、放射線測定器、電気マッサージ器や透析装置等の健康機器や医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ガスメータや水道メータ等の計量器、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、自動販売機、自動券売機、現金自動支払機(CD。Cash Dispenserの略)や現金自動預金支払機(ATM。AutoMated Teller Machineの略)、デジタルサイネージ(電子看板)、産業用ロボット、無線用中継局、携帯電話の基地局、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体(輸送体)なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、農業機械、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、電動カート、小型又は大型船舶、潜水艦、固定翼機や回転翼機等の航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
【0233】
なお、上記電気機器は、消費電力のほぼ全てを賄うための主電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。また、上記電気機器は、主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる無停電電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。あるいは上記電気機器は、主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0234】
[4.3.電力系のネットワークの一例]
上述した電気機器は、個々に蓄電装置を搭載する場合に限らず、複数の電気機器と蓄電装置とこれらを制御する制御装置とを有線又は無線で接続したネットワーク(電力網)を形成してもよい。ネットワークを制御装置により制御することによって、ネットワーク全体における電力の使用効率を向上させることができる。
【0235】
図13(A)に、複数の家電機器、制御装置、及び蓄電装置等を住宅内で接続したHEMS(家庭内エネルギー管理システム。Home Energy Management Systemの略)の例を示す。このようなシステムによって、家全体の電力消費量を容易に把握することが可能になる。また、複数の家電機器の運転を遠隔操作することができる。また、センサや制御装置を用いて家電機器を自動制御する場合には、電力の節約にも貢献することができる。
【0236】
住宅8000に設置された分電盤8003は、引込み線8002を介して電力系統8001に接続される。分電盤8003は、引込み線8002から供給される商用電力である交流電力を、複数の家電機器それぞれに供給するものである。制御装置8004は分電盤8003と接続されるとともに、複数の家電機器や蓄電システム8005、太陽光発電システム8006等と接続される。また制御装置8004は、住宅8000の屋外などに駐車され、分電盤8003とは独立した電気自動車8012とも接続することができる。
【0237】
制御装置8004は、分電盤8003と複数の家電機器とを繋ぎネットワークを構成するものであり、ネットワークに接続された複数の家電機器を制御するものである。
【0238】
また、制御装置8004は、インターネット8011に接続され、インターネット8011を経由して、管理サーバ8013と接続することができる。管理サーバ8013は、使用者の電力の使用状況を受信してデータベースを構築することができ、当該データベースに基づき、種々のサービスを使用者に提供することができる。また、管理サーバ8013は、例えば時間帯に応じた電力の料金情報を使用者に随時提供することができ、当該情報に基づいて、制御装置8004は住宅8000内における最適な使用形態を設定することもできる。
【0239】
複数の家電機器は、例えば、図13(A)に示す表示装置8007、照明装置8008、空気調和設備8009、電気冷蔵庫8010であるが、勿論これに限られず、上述した電気機器など住宅内に設置可能なあらゆる電気機器を指す。
【0240】
例えば、表示装置8007は、表示部に液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの半導体表示装置が組み込まれ、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、情報表示用表示装置として機能するものが含まれる。
【0241】
また、照明装置8008は、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を含むものであり、人工光源としては、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LED(Light Emitting Diode)や有機EL素子などの発光素子を用いることができる。図13(A)に示す照明装置8008は天井に設置されたものであるが、この他、壁面、床、窓等に設けられた据付け型であってもよく、卓上型であってもよい。
【0242】
また、空気調和設備8009は、温度、湿度、空気清浄度等の室内環境の調整を行う機能を有する。図13(A)では、一例としてエアコンディショナを示す。エアコンディショナは、圧縮機や蒸発器を一体とした室内機と、凝縮器を内蔵した室外機(図示せず)を備えるものや、これらを一体としたもの等で構成される。
【0243】
また、電気冷蔵庫8010は、食料品等を低温で保管するための電気機器であり、0℃以下で凍らせる目的の冷凍庫を含む。圧縮器により圧縮したパイプ内の冷媒が気化する際に熱を奪うことにより、庫内を冷却するものである。
【0244】
これら複数の家電機器は、それぞれに蓄電装置を有していてもよく、また蓄電装置を有さずに、蓄電システム8005の電力や商用電源からの電力を利用してもよい。家電機器が蓄電装置を内部に有する場合には、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない場合であっても、蓄電装置を無停電電源として用いることで、当該家電機器の利用が可能となる。
【0245】
以上のような家電機器のそれぞれの電源供給端子の近傍に、電流センサ等の電力検出手段を設けることができる。電力検出手段により検出した情報を制御装置8004に送信することによって、使用者が家全体の電力使用量を把握することができる他、該情報に基づいて、制御装置8004が複数の家電機器への電力の配分を設定し、住宅8000内において効率的なあるいは経済的な電力の使用を行うことができる。
【0246】
また、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち電力使用率が低い時間帯において、商用電源から蓄電システム8005に充電することができる。また、太陽光発電システム8006によって、日中に蓄電システム8005に充電することができる。なお、充電する対象は、蓄電システム8005に限られず、制御装置8004に接続された電気自動車8012に搭載された蓄電装置でもよく、複数の家電機器が有する蓄電装置であってもよい。
【0247】
このようにして、種々の蓄電装置に充電された電力を制御装置8004が効率的に配分して使用することで、住宅8000内において効率的なあるいは経済的な電力の使用を行うことができる。
【0248】
以上のように、複数の電気機器と蓄電装置とこれらを制御する制御装置をネットワーク化して制御する例として、家庭内規模の電力網を示したがこれに限らず、スマートメーター等の制御機能や通信機能を組み合わせた都市規模、国家規模の電力網(スマートグリッドという)を構築することもできる。また、工場や事業所の規模で、エネルギー供給源と消費施設を構成単位とするマイクログリッドを構築することもできる。
【0249】
[4.4.電気機器の一例(電気自動車の例)]
次に、電気機器の一例として移動体の例について、図13(B)及び(C)を用いて説明する。本発明の一態様に係る蓄電装置を、移動体の制御用の蓄電装置に用いることができる。
【0250】
図13(B)は、電気自動車の内部構造の一例を示している。電気自動車8020には、充放電の可能な蓄電装置8024が搭載されている。蓄電装置8024の電力は、電子制御ユニット8025(ECUともいう。Electronic Control Unitの略)により出力が調整されて、インバータユニット8026を介して走行モータユニット8027に供給される。インバータユニット8026は、蓄電装置8024から入力された直流電力を3相交流電力に変換するとともに、変換した交流電力の電圧、電流及び周波数を調整して走行モータユニット8027に出力することができる。
【0251】
従って、運転者がアクセルペダル(図示せず)を踏むと、走行モータユニット8027が作動し、走行モータユニット8027で生じたトルクが出力軸8028及び駆動軸8029を介して後輪(駆動輪)8030に伝達される。これに追従して前輪8023も併せて駆動することで、電気自動車8020を駆動走行させることができる。
【0252】
各ユニットには、例えば電圧センサ、電流センサ、温度センサ等の検出手段が設けられ、電気自動車8020の各部位における物理量が適宜監視される。
【0253】
電子制御ユニット8025は、図示しないRAM、ROM等のメモリやCPUを有する処理装置である。電子制御ユニット8025は、電気自動車8020の加速、減速、停止等の操作情報、走行環境や各ユニットの温度情報、制御情報、蓄電装置の充電状態(SOC)などの入力情報に基づき、インバータユニット8026や走行モータユニット8027、蓄電装置8024に制御信号を出力する。当該メモリには、各種のデータやプログラムが格納される。
【0254】
走行モータユニット8027は、交流電動機の他、直流電動機やこれらの電動機と内燃機関とを組み合わせて用いることができる。
【0255】
なお、本発明の一態様に係る蓄電装置を具備していれば、上記で示した移動体に特に限定されないことは言うまでもない。
【0256】
電気自動車8020に搭載された蓄電装置8024は、プラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図13(C)に、地上設置型の充電装置8021から電気自動車8020に搭載された蓄電装置8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクタの規格等はCHAdeMO(登録商標)等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、図13(B)に示す、蓄電装置8024と接続する接続プラグ8031を充電装置8021と電気的に接続させるプラグイン技術によって、外部からの電力供給により電気自動車8020に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、AC/DCコンバータ等の変換装置を介して、一定の電圧値を有する直流定電圧に変換して行うことができる。
【0257】
また、図示しないが、受電装置を移動体に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、移動体どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、移動体の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置8024の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0258】
なお、移動体が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により、搭載する蓄電装置に充電することができる。
【0259】
蓄電装置8024として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載することで、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、利便性を向上させることができる。また、蓄電装置8024の特性の向上により、蓄電装置8024自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、燃費を向上させることができる。また、移動体に搭載した蓄電装置8024が比較的大容量であることから、屋内等の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
【0260】
[4.5.電気機器の一例(携帯情報端末の例)]
さらに、電気機器の一例として携帯情報端末の例について、図14を用いて説明する。
【0261】
図14(A)は、携帯情報端末8040の正面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。携帯情報端末8040は、筐体8041の正面に表示部8042、カメラ8045、マイクロフォン8046、スピーカ8047を有し、筐体8041の左側面には操作用のボタン8043、底面には接続端子8048を有する。
【0262】
表示部8042には、表示モジュール又は表示パネルが用いられる。表示モジュール又は表示パネルとして、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、液晶表示装置、電気泳動方式や電子粉流体方式等により表示を行う電子ペーパ、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)、SED(Surface Conduction Electron−emitter Display)、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、ナノ結晶ディスプレイ、量子ドットディスプレイ等が用いることができる。
【0263】
図14(A)に示す携帯情報端末8040は、筐体8041に表示部8042を一つ設けた例であるが、これに限らず、表示部8042を携帯情報端末8040の背面に設けてもよいし、折り畳み型の携帯情報端末として、二以上の表示部を設けてもよい。
【0264】
また、表示部8042には、指やスタイラス等の指示手段により情報の入力が可能なタッチパネルが入力手段として設けられている。これにより、表示部8042に表示されたアイコン8044を指示手段により簡単に操作することができる。また、タッチパネルの配置により携帯情報端末8040にキーボードを配置する領域が不要となるため、広い領域に表示部を配置することができる。また、指やスタイラスで情報の入力が可能となることから、ユーザフレンドリなインターフェースを実現することができる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができるが、表示部8042は湾曲するものであるため、特に抵抗膜方式、静電容量方式を用いることが好ましい。また、このようなタッチパネルは、上述の表示モジュール又は表示パネルと一体として組み合わされた、いわゆるインセル方式のものであってもよい。
【0265】
また、タッチパネルは、イメージセンサとして機能させることができるものであってもよい。この場合、例えば、表示部8042に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部8042に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0266】
また、表示部8042にタッチパネルを設けずにキーボードを設けてもよく、さらにタッチパネルとキーボードの双方を設けてもよい。
【0267】
操作用のボタン8043には、用途に応じて様々な機能を持たせることができる。例えば、ボタン8043をホームボタンとし、ボタン8043を押すことで表示部8042にホーム画面を表示する構成としてもよい。また、ボタン8043を所定の時間押し続けることで、携帯情報端末8040の主電源をオフするようにしてもよい。また、スリープモードの状態に移行している場合、ボタン8043を押すことで、スリープモード状態から復帰させるようにしてもよい。その他、押し続ける期間や、他のボタンと同時に押す等により、種々の機能を起動させるスイッチとして用いることができる。
【0268】
また、ボタン8043を音量調整ボタンやミュートボタンとし、音出力のためのスピーカ8047の音量の調整等を行う機能を持たせてもよい。スピーカ8047からは、オペレーティングシステム(OS)の起動音等特定の処理時に設定した音、音楽再生アプリケーションソフトからの音楽等各種アプリケーションにおいて実行される音ファイルによる音、電子メールの着信音等様々な音を出力する。なお、図示しないが、スピーカ8047とともに、あるいはスピーカ8047に替えて、ヘッドフォン、イヤフォン、ヘッドセット等の装置に音を出力するためのコネクタを設けてもよい。
【0269】
このようにボタン8043には、種々の機能を与えることができる。図14(A)では、左側面にボタン8043を2つ設けた携帯情報端末8040を図示しているが、勿論、ボタン8043の数や配置位置等はこれに限定されず、適宜設計することができる。
【0270】
マイクロフォン8046は、音声入力や録音に用いることができる。また、カメラ8045により取得した画像を表示部8042に表示させることができる。
【0271】
携帯情報端末8040の操作には、上述した表示部8042に設けられたタッチパネルやボタン8043の他、カメラ8045や携帯情報端末8040に内蔵されたセンサ等を用いて使用者の動作(ジェスチャー)を認識させて操作を行うこともできる(ジェスチャー入力という)。あるいは、マイクロフォン8046を用いて、使用者の音声を認識させて操作を行うこともできる(音声入力という)。このように、人間の自然な振る舞いにより電気機器に入力を行うNUI(Natural User Interface)技術を実装することで、携帯情報端末8040の操作性をさらに向上させることができる。
【0272】
接続端子8048は、外部機器との通信のための信号や電力供給のための電力の入力端子である。例えば、携帯情報端末8040に外部メモリドライブするために、接続端子8048を用いることができる。外部メモリドライブとして、例えば外付けHDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブやDVD−R(DVD−Recordable)ドライブ、DVD−RW(DVD−ReWritable)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ、CD−R(Compact Disc Recordable)ドライブ、CD−RW(Compact Disc ReWritable)ドライブ、MO(Magneto−Optical Disc)ドライブ、FDD(Floppy Disk Drive)、又は他の不揮発性のソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)デバイスなどの記録メディアドライブが挙げられる。また、携帯情報端末8040は表示部8042上にタッチパネルを有しているが、これに替えて筐体8041上にキーボードを設けてもよく、またキーボードを外付けしてもよい。
【0273】
図14(A)では、底面に接続端子8048を1つ設けた携帯情報端末8040を図示しているが、接続端子8048の数や配置位置等はこれに限定されず、適宜設計することができる。
【0274】
図14(B)は、携帯情報端末8040の背面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、筐体8041の表面に太陽電池8049とカメラ8050を有し、また、充放電制御回路8051、蓄電装置8052、DCDCコンバータ8053等を有する。なお、図14(B)では充放電制御回路8051の一例として蓄電装置8052、DCDCコンバータ8053を有する構成について示しており、蓄電装置8052には、上記実施の形態で説明した本発明の一態様に係る蓄電装置を用いる。
【0275】
携帯情報端末8040の背面に装着された太陽電池8049によって、電力を表示部、タッチパネル、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池8049は、筐体8041の片面又は両面に設けることができる。携帯情報端末8040に太陽電池8049を搭載させることで、屋外などの電力の供給手段がない場所においても、携帯情報端末8040の蓄電装置8052の充電を行うことができる。
【0276】
また、太陽電池8049としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコン又はこれらの積層からなるシリコン系の太陽電池や、InGaAs系、GaAs系、CIS系、CuZnSnS、CdTe−CdS系の太陽電池、有機色素を用いた色素増感太陽電池、導電性ポリマーやフラーレン等を用いた有機薄膜太陽電池、pin構造におけるi層中にシリコン等による量子ドット構造を形成した量子ドット型太陽電池等を用いることができる。
【0277】
ここで、図14(B)に示す充放電制御回路8051の構成、及び動作についての一例を、図14(C)に示すブロック図を用いて説明する。
【0278】
図14(C)には、太陽電池8049、蓄電装置8052、DCDCコンバータ8053、コンバータ8057、スイッチ8054、スイッチ8055、スイッチ8056、表示部8042について示しており、蓄電装置8052、DCDCコンバータ8053、コンバータ8057、スイッチ8054、スイッチ8055、スイッチ8056が、図14(B)に示す充放電制御回路8051に対応する箇所となる。
【0279】
外光により太陽電池8049で発電した電力は、蓄電装置8052を充電するために必要な電圧とするために、DCDCコンバータ8053で昇圧又は降圧される。そして、表示部8042の動作に太陽電池8049からの電力が用いられる際には、スイッチ8054をオンにし、コンバータ8057で表示部8042に必要な電圧に昇圧又は降圧する。また、表示部8042での表示を行わない際には、スイッチ8054をオフにし、スイッチ8055をオンにして蓄電装置8052の充電を行う。
【0280】
なお、発電手段の一例として太陽電池8049を示したが、これに限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段を用いて蓄電装置8052の充電を行ってもよい。また、携帯情報端末8040の蓄電装置8052への充電方法はこれに限られず、例えば上述した接続端子8048と電源とを接続して充電を行ってもよい。また、無線で電力を送受信して充電する非接触電力伝送モジュールを用いてもよく、以上の充電方法を組み合わせてもよい。
【0281】
ここで、蓄電装置8052の充電状態(SOC:State Of Charge)が、表示部8042の左上(図14(A)の破線枠内)に表示される。これにより、使用者は、蓄電装置8052の充電状態を把握することができ、これに応じて携帯情報端末8040を節電モードと選択することもできる。使用者が省電力モードを選択する場合には、例えば上述したボタン8043やアイコン8044を操作し、携帯情報端末8040に搭載される表示モジュール又は表示パネルや、CPU等の演算装置、メモリ等の構成部品を省電力モードに切り換えることができる。具体的には、これらの構成部品のそれぞれにおいて、任意の機能の使用頻度を低減し、停止させる。省電力モードでは、また、充電状態に応じて設定によって自動的に省電力モードに切り替わる構成とすることもできる。また、携帯情報端末8040に光センサ等の検出手段を設け、携帯情報端末8040の使用時における外光の光量を検出して表示輝度を最適化することで、蓄電装置8052の電力の消費を抑えることができる。
【0282】
また、太陽電池8049等による充電時には、図14(A)に示すように、表示部8042の左上(破線枠内)にそれを示す画像等の表示を行ってもよい。
【0283】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置を具備していれば、図14に示した電気機器に限定されないことは言うまでもない。
【0284】
[4.6.電気機器の一例(蓄電システムの例)]
さらに、電気機器の一例として蓄電システムの例について、図15を用いて説明する。ここで説明する蓄電システム8100は、上述した蓄電システム8005として家庭で用いることができる。また、ここでは一例として家庭用の蓄電システムについて説明するが、これに限られず、業務用として又はその他の用途で用いることができる。
【0285】
図15(A)に示すように、蓄電システム8100は、系統電源8103と電気的に接続するためのプラグ8101を有する。また、蓄電システム8100は、家庭内に設けられた分電盤8104と電気的に接続する。
【0286】
また、蓄電システム8100は、動作状態等を示すための表示パネル等8102などを有していてもよい。表示パネルはタッチスクリーンを有していてもよい。また、表示パネルの他、主電源のオンオフを行うためのスイッチや蓄電システムの操作を行うためのスイッチ等を有していてもよい。
【0287】
なお、図示しないが、蓄電システム8100を操作するために、蓄電システム8100とは別に、例えば室内の壁に操作スイッチを設けてもよい。あるいは、蓄電システム8100と家庭内に設けられたパーソナルコンピュータ、サーバ等と接続し、間接的に蓄電システム8100を操作してもよい。さらに、スマートフォン等の情報端末機やインターネット等を用いて蓄電システム8100を遠隔操作してもよい。これらの場合、蓄電システム8100とその他の機器とは有線により又は無線により通信を行う機構を、蓄電システム8100に設ければよい。
【0288】
図15(B)は、蓄電システム8100の内部を模式的に示した図である。蓄電システム8100は、複数の蓄電装置群8106とBMU(Battery Management Unit)8107とPCS(Power Conditioning System)8108とを有する。
【0289】
蓄電装置群8106は、上述した蓄電装置8105を複数並べて接続したものである。系統電源8103からの電力を、蓄電装置群8106に蓄電することができる。複数の蓄電装置群8106のそれぞれは、BMU8107と電気的に接続されている。
【0290】
BMU8107は、蓄電装置群8106が有する複数の蓄電装置8105の状態を監視及び制御し、また蓄電装置8105を保護する機能を有する。具体的には、BMU8107は、蓄電装置群8106が有する複数の蓄電装置8105のセル電圧、セル温度データ収集、過充電及び過放電の監視、過電流の監視、セルバランサ制御、電池劣化状態の管理、電池残量((充電率)State Of Charge:SOC)の算出演算、駆動用蓄電装置の冷却ファンの制御、又は故障検出の制御等を行う。なお、これらの機能の一部又は全部は上述のように、蓄電装置8105内に含めてもよく、あるいは蓄電装置群ごとに当該機能を付与してもよい。また、BMU8107はPCS8108と電気的に接続する。
【0291】
ここで、BMU8107を構成する電子回路には、上述した酸化物半導体を有するトランジスタを用いた電子回路を有するとよい。酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることにより、トランジスタのオフ電流を低くすることができる。この場合、BMU8107の消費電力を大幅に低減することが可能となる。
【0292】
PCS8108は、交流(AC)電源である系統電源8103と電気的に接続され、直流−交流変換を行う。例えば、PCS8108は、インバータや、系統電源8103の異常を検出して動作を停止する系統連系保護装置などを有する。蓄電システム8100の充電時には、例えば系統電源8103の交流の電力を直流に変換してBMU8107へ送電し、蓄電システム8100の放電時には、蓄電装置群8106に蓄えられた電力を屋内などの負荷に交流に変換して供給する。なお、蓄電システム8100から負荷への電力の供給は、図15(A)に示すように分電盤8104を介してもよく、あるいは蓄電システム8100と負荷とを有線又は無線により直接行ってもよい。
【0293】
なお、蓄電システム8100への充電は上述する系統電源8103からに限らず、例えば屋外に設置した太陽発電システムから電力を供給してもよいし、電気自動車に搭載した蓄電システムから供給してもよい。
【符号の説明】
【0294】
100 蓄電装置
101 負極
102 正極
103 第3の電極
104 セパレータ
104a セパレータ
104b セパレータ
104c セパレータ
104d セパレータ
104e セパレータ
104f セパレータ
104g セパレータ
104h セパレータ
104i セパレータ
104j セパレータ
104k セパレータ
104l セパレータ
104m セパレータ
105 空間
201 蓄電装置
202 コンバータ
203 回路
204 負荷
205 電源
206 スイッチ
207 スイッチ
208 スイッチ
209 スイッチ
701 ユニット
702 ユニット
703 ユニット
704 ユニット
710 プロセッサ
711 バスブリッジ
712 メモリ
713 メモリインターフェース
715 クロック生成回路
720 コントローラ
721 コントローラ
722 I/Oインターフェース
730 パワーゲートユニット
731 スイッチ
732 スイッチ
740 クロック生成回路
741 水晶発振回路
742 発振子
743 水晶振動子
745 タイマー回路
746 I/Oインターフェース
750 I/Oポート
751 コンパレータ
752 I/Oインターフェース
761 バスライン
762 バスライン
763 バスライン
764 データバスライン
770 接続端子
771 接続端子
772 接続端子
773 接続端子
774 接続端子
775 接続端子
776 接続端子
780 レジスタ
783 レジスタ
784 レジスタ
785 レジスタ
786 レジスタ
787 レジスタ
970 二次電池
971 正極集電体
972 正極活物質層
973 正極
974 負極集電体
975 負極活物質層
976 負極
977 セパレータ
978 外装体
979 第3の電極
991 端子
992 セパレータ
993 捲回体
994 負極
995 正極
996 セパレータ
997 端子
998 端子
999 第3の電極
6000 正極
6001 正極集電体
6002 正極活物質層
6003 正極活物質
6004 グラフェン
6005 バインダ
6100 負極
6101 負極集電体
6102 負極活物質層
6103 負極活物質
6104 被膜
6105 バインダ
6200 第3の電極
6201 集電体
6202 第3の電極の材料層
6203 材料
6204 導電助剤
6205 バインダ
6380 二次電池
6381 正極キャップ
6382 電池缶
6383 正極端子
6384 正極
6385 セパレータ
6386 負極
6387 負極端子
6388 絶縁板
6389 絶縁板
6390 ガスケット(絶縁パッキン)
6391 PTC素子
6392 安全弁機構
6393 第3の電極
6394 ガスケット
6395 端子
6600 蓄電装置
6601 捲回体
6602 端子
6603 端子
6604 電池缶
6605 端子
6606 回路基板
6607 電気回路
6608 ラベル
6609 アンテナ
6610 アンテナ
6611 層
6612 端子
6613 絶縁材
8000 住宅
8001 電力系統
8002 引込み線
8003 分電盤
8004 制御装置
8005 蓄電システム
8006 太陽光発電システム
8007 表示装置
8008 照明装置
8009 空気調和設備
8010 電気冷蔵庫
8011 インターネット
8012 電気自動車
8013 管理サーバ
8020 電気自動車
8021 充電装置
8022 ケーブル
8023 前輪
8024 蓄電装置
8025 電子制御ユニット
8026 インバータユニット
8027 走行モータユニット
8028 出力軸
8029 駆動軸
8030 後輪(駆動輪)
8031 接続プラグ
8040 携帯情報端末
8041 筐体
8042 表示部
8043 ボタン
8044 アイコン
8045 カメラ
8046 マイクロフォン
8047 スピーカ
8048 接続端子
8049 太陽電池
8050 カメラ
8051 充放電制御回路
8052 蓄電装置
8053 DCDCコンバータ
8054 スイッチ
8055 スイッチ
8056 スイッチ
8057 コンバータ
8100 蓄電システム
8101 プラグ
8102 表示パネル等
8103 系統電源
8104 分電盤
8105 蓄電装置
8106 蓄電装置群
8107 BMU
8108 PCU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15