特許第6438810号(P6438810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438810
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】管設置装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   E21D9/06 311C
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-53674(P2015-53674)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-172992(P2016-172992A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岩永 茂治
(72)【発明者】
【氏名】河越 勝
(72)【発明者】
【氏名】稲田 正毅
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−025233(JP,A)
【文献】 特開2012−007460(JP,A)
【文献】 特開2010−121294(JP,A)
【文献】 実開平04−053880(JP,U)
【文献】 特開2005−030040(JP,A)
【文献】 特開昭60−173289(JP,A)
【文献】 米国特許第04332508(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
E21D 9/08
E21D 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形の管と、管の一端開口よりも前側に位置されて管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体と、回転掘削体を管に支持させる支持装置と、駆動手段とを備え、回転掘削体を回転させて地山を掘削させながら回転掘削体と管とに推進力を付与することによって、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
支持装置は、回転掘削体を回転可能に支持する支持体と、伸縮可能な筒状止水部材とを備え、
支持体は、筒の中心線が管の中心線に沿って延長する状態となるよう管内の前側に設置された筒状支持体と、回転掘削体を支持するとともに筒状支持体の内側に揺動可能に支持された平板状の支持基板とを備え、
回転掘削体は、支持基板の前面より前方に突出するように設けられた支柱を介して支持基板に連結されており、
支持基板は、管の他方の一対の内面と向かい合う一対の外面が筒状支持体の前後方向に揺動可能なように筒状支持体に取付けられて、回転掘削体が管の互いに平行に向かい合う他方の一対の内面と直交する方向に揺動可能なように構成され、
筒状止水部材は、筒の一端開口縁が筒状支持体の一端開口縁に固定されるとともに、筒の他端開口縁が支持基板の前面に固定されたことで、当該筒状止水部材が、筒状支持体の内面と支持基板の外面との間を介した筒状支持体の後方への水の移動を阻止するように構成されたことを特徴とする管設置装置。
【請求項2】
筒状止水部材は、筒の一端開口縁が筒状支持体の一端開口縁に固定されるとともに、筒の他端開口縁が支持基板の前面の外周縁側に固定されたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項3】
筒状止水部材は、蛇腹筒状止水部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面四角形状の管を地中に設置するための管設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
断面四角形状の管を地中に設置するために、管の前側に位置させた回転掘削体が管の地中への推進方向を基準として左右に揺動可能となるように支持装置を介して管の内側に支持され、回転掘削体が管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転するように構成された管設置装置において、回転掘削体を左右に揺動させるための支持装置として、回転掘削体が連結された支持基板と、当該支持基板の左右が前後方向に揺動可能なように当該支持基板を回転可能に支持するとともに、支持基板の外周面と対向する内周面を有した筒状支持体と、を備えた管設置装置が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−100659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の管設置装置では、支持基板の外周面と筒状支持体の内周面との間の水密状態を維持するための止水ゴム等の止水部材を支持基板の外周面に設けるようにしている。したがって、支持基板の左右を前後方向に揺動する毎に止水部材と筒状支持体の内周面との摩擦が生じることになるので、支持基板の左右を前後方向に揺動させる際の負荷が局所的に大きくなる。また、止水部材が装着された溝から当該止水部材が外れ易くなる。
本発明は、支持基板の外周面と筒状支持体の内周面との間の止水性能を維持できるとともに支持基板の左右を前後方向に揺動させる際の負荷を小さくすることが可能なように構成された管設置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、断面四角形の管と、管の一端開口よりも前側に位置されて管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体と、回転掘削体を管に支持させる支持装置と、駆動手段とを備え、回転掘削体を回転させて地山を掘削させながら回転掘削体と管とに推進力を付与することによって、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、支持装置は、回転掘削体を回転可能に支持する支持体と、伸縮可能な筒状止水部材とを備え、支持体は、筒の中心線が管の中心線に沿って延長する状態となるよう管内の前側に設置された筒状支持体と、回転掘削体を支持するとともに筒状支持体の内側に揺動可能に支持された平板状の支持基板とを備え、回転掘削体は、支持基板の前面より前方に突出するように設けられた支柱を介して支持基板に連結されており、支持基板は、管の他方の一対の内面と向かい合う一対の外面が筒状支持体の前後方向に揺動可能なように筒状支持体に取付けられて、回転掘削体が管の互いに平行に向かい合う他方の一対の内面と直交する方向に揺動可能なように構成され、筒状止水部材は、筒の一端開口縁が筒状支持体の一端開口縁に固定されるとともに、筒の他端開口縁が支持基板の前面に固定されたことで、当該筒状止水部材が、筒状支持体の内面と支持基板の外面との間を介した筒状支持体の後方への水の移動を阻止するように構成されたので、支持基板の外周面と筒状支持体の内周面との間の止水性能を維持できるとともに支持基板の左右を前後方向に揺動させる際の負荷を小さくすることができる。
筒状止水部材は、筒の一端開口縁が筒状支持体の一端開口縁に固定されるとともに、筒の他端開口縁が支持基板の前面の外周縁側に固定されたので、支持基板の外周面と筒状支持体の内周面との間の止水性能を維持できて支持基板の左右を前後方向に揺動させる際の負荷を小さくすることができるとともに、支持基板の前面側に掘削ズリを多く取り込めるようになり、排泥効率を向上できる。
筒状止水部材は、蛇腹筒状止水部材であるので、伸縮した場合の形状保持性能に優れ、支持基板の外周面と筒状支持体の内周面との間に蛇腹筒状止水部材が噛み込まれるようなことを防止でき、止水装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】管設置装置の横断面図(実施形態1)。
図2】管設置装置の縦断面図(実施形態1)。
図3】支持基板の後面側を後方側から見た図(実施形態1)。
図4】支持装置を前側から見た斜視図(実施形態1)。
図5】支持装置を後側から見た斜視図(実施形態1)。
図6】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
図7】支持体と止水部材とを分解して示す分解斜視図(実施形態1)。
図8】止水装置の動作説明図(実施形態1)。
図9】止水装置の動作説明図(実施形態1)。
図10】止水装置の動作説明図(実施形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図10に基づいて、地中10に管2を設置するための実施形態1による管設置装置1の構成及び動作について説明する。
尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。即ち、図4図5の矢印で示すように、管2や管設置装置1の前後、左右、上下を定義して説明する。
【0008】
まず、管設置装置1の構成について説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、を備える。
掘削装置3は、掘削機械26と、止水装置150と、摩擦低減装置と、推進装置70と、水供給装置75と、排泥装置76と、制御装置65と、を備える。
【0009】
掘削装置3により地中に設置される管2は、例えば管2の中心線と直交する断面の形状が長方形の管2である。管2は、最初に地中に入れる先頭管6、先頭管6に後方に順次連結される図外の複数の後続管である。
先頭管6の一端開口縁6zは、地山99に食い込みやすいように、先細の傾斜面に形成されている。
【0010】
先頭管6の前端(先端)である一端開口6tよりも前側の位置に回転掘削体46が位置され、当該回転掘削体46を回転可能かつ揺動可能に支持する支持装置110が先頭管6の管内の前側に設置される。
回転掘削体46は、先頭管6の地中10への推進方向Fと交差する回転中心線Lを回転中心として回転するように構成されている。
回転掘削体46は、先頭管6の中心線6xを中心として左右方向及び上下方向に揺動可能に構成されている。
【0011】
掘削機械26は、支持装置110と、連結支柱部40と、回転掘削体46を備えた回転部41と、回転掘削体46の回転駆動源と、回転掘削体46の揺動駆動手段と、を備える。
【0012】
支持装置110は、図2図7に示すように、先頭管6の一端開口6t側である前側の内面において互いに平行に向かい合う上内面6a及び下内面6b(一方の一対の内面)にそれぞれ設けられた一対の湾曲凹面111;111と、回転掘削体46を連結支柱部40を介して支持する支持体120と、支持体120に設けられた一対の湾曲凸面121;121と、管側係合部122と、支持体側係合部123と、管側係合部122と支持体側係合部123とが互いに係合して支持体120の回転中心120Cを形成する支持体回転支持部124と、を備えた構成である。尚、管設置装置1の静止状態においては、回転掘削体46が支持装置110で支持された状態であり、回転掘削体46を駆動させて掘削している状態においては、先頭管6が回転掘削体46に牽引される状態となる。本発明においては、これらの状態すべてを「支持」と定義する。
【0013】
湾曲凹面111は、図7に示すように、先頭管6の中心線6xに沿って湾曲する湾曲凹面であり、湾曲凹面111の弧の他端112が先頭管6の内面(上内面6a又は下内面6b)と連続し、かつ、湾曲凹面111の弧の一端113が上内面6a及び下内面6bと平行な面125に連続した構成である。即ち、湾曲凹面111は、先頭管6の内面(上内面6a又は下内面6b)より滑らかに連続し、先頭管6の前側に延長して先頭管6の中心線6x及び先頭管6の一端開口6tに近付くように形成された湾曲凹面である。
一対の湾曲凹面111;111は、先頭管6の向かい合う上内面6a及び下内面6bと平行でかつ先頭管6の中心線6xを含む面を対称面とした場合に面対称な湾曲凹面である。
湾曲凹面111は、先頭管6の中心線6xに沿って湾曲する湾曲凹面が、先頭管6の左内面6cと右内面6d(他方の一対の内面)との間において左内面6c及び右内面6dに直交する方向に連続して延在するように設けられる。
即ち、湾曲凹面111と面125とが形成された部材、つまり、図2に示す断面形状の長尺部材が左内面6c及び右内面6dに直交する方向に延長するように配置されて先頭管6の上内面6a及び下内面6bに固定されることにより、上内面6a及び下内面6bにそれぞれ湾曲凹面111を備えた先頭管6が構成される。
換言すれば、湾曲凹面111は、図2に示すように、支持体回転支持部124により形成される支持体120の回転中心120Cを中心線とする仮想の円柱の外周面である円弧面の一部を構成する弧面により形成される。即ち、各湾曲凹面111;111は、先頭管6の左内面6cと右内面6d(互いに平行に向かい合う他方の一対の内面)と直交する中心線を持つ仮想の円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面を形成する部材により形成される。
実施形態1においては、各湾曲凹面111;111は、先頭管6の左内面6cと右内面6dと直交する中心線を持ち外周面の互いに180°隔てた位置が先頭管6の上内面6aと下内面6bとに接する仮想の円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面を形成する部材により形成される。例えば、一方の湾曲凹面111は、上述した仮想の円柱の外周面の先頭管6の上内面6aと接した位置から先頭管6の一端開口6t側の方向に仮想の円柱の中心線回りの30°の角度範囲の外周面を形成する部材により形成され、他方の湾曲凹面111は、上述した仮想の円柱の外周面の先頭管6の下内面6bと接した位置から先頭管6の一端開口6t側の方向に仮想の円柱の中心線回りの30°の角度範囲の外周面を形成する部材により形成される。
【0014】
支持体120は、回転掘削体46を連結支柱部40を介して支持する平板状の支持基板30と、当該支持基板30を揺動可能に支持する筒状支持体31と、を備える。
【0015】
筒状支持体31は、筒状支持体31の筒の中心線が先頭管6の中心線6xに沿って延長する状態となるように先頭管6内の前側に設置される。例えば、筒状支持体31は、断面が長方形状の筒体により形成され、当該筒状支持体31の筒の中心線と先頭管6の管の中心線6xとが同一となるように先頭管6の前側の内側に設置される。
先頭管6の上内面6a及び下内面6bと対面する筒状支持体31の上外面及び下外面がそれぞれ筒状支持体31の筒の中心線に沿って湾曲して湾曲凹面111;111に案内される湾曲凸面121;121に形成される。
当該湾曲凸面121の曲率半径は、上述した湾曲凹面111の曲率半径よりも若干小さい曲率半径に形成される。
つまり、湾曲凸面121は、湾曲凹面111と同様に、支持体回転支持部124により形成される支持体120の回転中心120Cを中心線とする仮想の円柱の外周面である円弧面の一部を構成する弧面により形成される。即ち、各湾曲凸面121;121は、先頭管6の左内面6cと右内面6dと直交する中心線を持つ仮想の円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面により形成される。
実施形態1においては、各湾曲凸面121;121は、先頭管6の左内面6cと右内面6dと直交する中心線を持つ仮想の円柱における外周面の互いに180°隔てた位置を基準とした当該仮想の円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面により形成される。例えば、各湾曲凸面121;121は、上述した仮想の円柱の中心線回りの60°程度の角度範囲の外周面により形成される。
【0016】
先頭管6の左内面6c及び右内面6dと向かい合う筒状支持体31の左外面及び右外面は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと平行な平面に形成される。
先頭管6の左内面6c及び右内面6dと向かい合う筒状支持体31の左内面31c及び右内面31dは、筒状支持体31の筒の中心線に沿って湾曲する湾曲凹面、又は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと平行な平面に形成される。
先頭管6の上内面6a及び下内面6bと向かい合う筒状支持体31の上外面及び下外面は、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと平行な平面に形成される。
先頭管6の上内面6a及び下内面6bと向かい合う筒状支持体31の上内面及び下内面は、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと平行な平面に形成される。
【0017】
支持基板30は、外周形状が筒状支持体31の内周形状に合致した筒状支持体31の内周寸法よりも若干小さい四角形状の平板により形成される。
支持基板30を形成する平板は、先頭管6の前後方向に沿った板厚を有し、平板の左右の外面(端面)30a;30bは、支持基板30の中心線に沿って湾曲する湾曲凸面、又は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと平行な平面に形成される。
【0018】
支持基板30を形成する平板の上下の外面における左右間の中央位置には例えば円柱状の突起37;37(図2参照)が設けられる。この突起37;37が筒状支持体31の筒の上下の内面に形成された円孔38;38内に突起37;37の中心線を回転中心として回転自在となるように嵌め込まれたことで、この突起37;37が支持基板30の回転中心線30xとして機能し、この回転中心線30xを回転中心として支持基板30の左右の端部が前後方向に揺動可能に構成される。即ち、支持基板30は、筒状支持体31の互いに向かい合う一対の左右の内面と向かい合う一対の左右の外面30a;30bが前後方向に揺動可能なように筒状支持体31に取付けられている。
そして、回転掘削体46が、支持基板30の前面30fよりも前方に突出するように設けられた連結支柱部40を介して支持基板30に連結されていることにより、支持基板30の左右の外面30a;30bが前後方向に揺動した場合、回転掘削体46が先頭管6の左内面6c及び右内面6dと直交する方向、即ち、回転掘削体46が先頭管6の中心線6xを中心として左右方向に揺動可能なように構成されている。
【0019】
図1図3に示すように、支持基板30には、支持基板30の平板を前後に貫通する支柱保持貫通孔13、排泥管保持貫通孔14、水供給管保持貫通孔15が形成される。
図3に示すように、例えば、支柱保持貫通孔13は支持基板30の中央部を貫通するように形成され、排泥管保持貫通孔14は、支持基板30の下部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。
水供給管保持貫通孔15は、支持基板30の上部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。
支柱保持貫通孔13には、掘削機械26の連結支柱部40の支柱42が貫通した状態で固定状態に保持される。即ち、掘削機械26が支持基板30に固定されていることで、掘削機械が先頭管の中心線を中心として左右方向及び上下方向に揺動可能なように支持基板30に支持されている。
排泥管保持貫通孔14;14には、排泥管76cの先端部が貫通した状態で固定状態に保持される。
水供給管保持貫通孔15;15は、水供給管75cの先端部が貫通した状態で固定状態に保持される。
【0020】
支持装置110の支持体側係合部123は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dに対向する筒状支持体31の互いに平行に向かい合う左外面126及び右外面127に設けられた円形突起により形成される。当該円形突起の円の中心は、筒状支持体31の左外面126や右外面127における前後間及び上下間の中央、即ち、筒状支持体31の左外面126や右外面127の中心に位置される。
管側係合部122は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dに設けられて支持体側係合部123である円形突起を先頭管の後方側から受け入れる湾曲凹部により形成される。当該湾曲凹部は、円形突起の円周面と合致した半円周凹部により形成される。この半円周凹部の円の中心は、先頭管6の左内面6cや右内面6dの前側における上下間の中央に位置される。
支持体側係合部123である円形突起が管側係合部122である半円周凹部に係合し、筒状支持体31が前側に移動できなくなった状態(以下、初期状態という)において、筒状支持体31の回転中心を形成する支持体回転支持部124が構成され、筒状支持体31が支持体回転支持部124により形成された支持体120の回転中心120Cを回転中心として回転可能なように構成される。
このように、管側係合部122が半円周凹部により形成されてかつ支持体側係合部123が円形突起により形成されたので、半円周凹部に円形突起を係合させて支持体120の回転中心120Cを形成する作業が容易となるとともに、支持体120をスムーズに回転させることができる構造を得ることができる。
実施形態1においては、支持体側係合部123である円形突起が管側係合部122である半円周凹部に係合して支持体回転支持部124が構成され、支持体回転支持部124により形成された支持体120の回転中心120Cが先頭管6の上内面6aと下内面6bとの間の中間位置に形成されているので、湾曲凹面111;111に沿って筒状支持体31を前後方向に揺動させる場合、支持体120の湾曲凸面121;121上の筒状止水部材171と湾曲凹面111;111との面圧を均等にすることが可能となり、重力負荷によって支持体120の下部に位置する筒状止水部材171の下面と湾曲凹面111との面圧が過大になってしまうことを抑制できるため、支持体120を小さな力で所望の方向である前後方向に正確に揺動させることができるようになり、回転掘削体46を所望の方向である上下方向に小さな力で正確に揺動させることができるようになる。また、筒状止水部材171と湾曲凹面111;111との摩擦抵抗を減らすことができ、筒状止水部材171が早期に劣化してしまうようなことを抑制できるようになる。
【0021】
連結支柱部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
【0022】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。分岐支柱43の両方の先端には、それぞれモータマウント44が設けられ、各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上(即ち、分岐支柱43の中心線線上)において互いに離れる方向に延長する。
【0023】
回転掘削体46は、例えば円筒部50aと円筒部50aの他端を閉塞する底板50bとを有した一端開口他端閉塞の円形箱状の回転体50と、回転体50の円筒部50aの外周面51に設けられた複数の掘削ビット52とを備えた構成である。
【0024】
図2に示すように、回転掘削体46の回転中心線46xと直交する第1線46Aと平行な線上に位置するビット先端間最小寸法46Sと、回転掘削体46の回転中心線46x及び第1線46Aと直交する第2線46Bと平行な線上に位置するビット先端間最大寸法46Lとが構成され、ビット先端間最大寸法46Lが回転掘削体46の回転中心線46xと直交する管2の上下の外面間の最短距離寸法よりも大きく、ビット先端間最小寸法46Sが管2の上下の内面間の最短距離寸法よりも小さいことにより、先頭管6の前方で回転掘削体46を回転させた場合に、先頭管6の前方の地山の上下を余掘、即ち、先頭管6の上下幅よりも大きい上下幅の掘削を行うことが可能となり、かつ、回転掘削体46を発進基地に回収する際においては、回転掘削体46の上下方向の最大幅がビット先端間最小寸法46Sとなるように設定することで、回転掘削体46を管2内に引き戻すことができ、回転掘削体46を発進基地に回収することが可能となる。
【0025】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47と言う)を用いる場合、油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は連結支柱部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。即ち、モータ47と油圧源55とで回転掘削体46の回転駆動源が構成される。
例えば、回転掘削体46の回転体50の底板50bの内面53の円中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、回転体50の底板50bの内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。即ち、2つの回転掘削体46;46が先頭管6の一端開口6tよりも前方に位置され、2つの回転掘削体46;46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。
【0026】
回転掘削体46の揺動駆動手段(駆動手段)としては、支持基板30の回転中心線30xを回転中心として支持基板30の左部の外面30a及び右部の外面30bを前後に揺動させて回転掘削体46を左右方向(先頭管6の左内面6c及び右内面6dと直交する方向)に揺動させるための左右揺動駆動手段と、支持体回転支持部124により形成された筒状支持体31の回転中心を回転中心として筒状支持体31の上部及び下部を前後に揺動させて回転掘削体46を上下方向(先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交する方向)に揺動させるための上下揺動駆動手段と、を備える。
【0027】
左右揺動駆動手段は、回転掘削体46を左右に揺動させるための駆動源となる左右揺動用ジャッキ16と、後述する推進力伝達構成部64に連結されたジャッキ反力受部材18と、図外のジャッキ駆動制御装置とを備える。
左右揺動用ジャッキ16は、例えば、油圧ジャッキにより構成される。
左右揺動用ジャッキ16は、2個設けられ、支持基板30の後方における左端側及び右端側にそれぞれ1つずつ配置される。
左側の左右揺動用ジャッキ16Aは、シリンダ16bの基端と支持基板30の後面30rにおける左側の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段22により接続され、かつ、ピストンロッド16aの先端とジャッキ反力受部材18とがヒンジのような可動自在な接続手段23により接続されている。
右側の左右揺動用ジャッキ16Bは、シリンダ16bの基端と支持基板30の後面30rにおける右側の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段22により接続され、かつ、ピストンロッド16aの先端とジャッキ反力受部材18とがヒンジのような可動自在な接続手段23により接続されている。
そして、左側の左右揺動用ジャッキ16Aのピストンロッド16aを伸長させ、かつ、右側の左右揺動用ジャッキ16Bのピストンロッド16aを縮退させた場合に、支持基板30の左端部が前側に移動し、支持基板30の右端部が後側に移動するので、回転掘削体46が右側に揺動する。
また、右側の左右揺動用ジャッキ16Bのピストンロッド16aを伸長させ、かつ、左側の左右揺動用ジャッキ16Aのピストンロッド16aを縮退させた場合に、支持基板30の右端部が前側に移動し、支持基板30の左端部が後側に移動するので、回転掘削体46が左側に揺動する。
尚、ジャッキ反力受部材18を撤去して、左側の左右揺動用ジャッキ16Aのピストンロッド16aの先端、及び、右側の左右揺動用ジャッキ16Bのピストンロッド16aの先端を、ヒンジのような可動自在な接続手段23を介して、後述する推進力伝達構成部64に連結してもよい。例えば、左側の左右揺動用ジャッキ16Aのピストンロッド16aの先端を後述する後左側上下延長柱部64cに連結し、かつ、右側の左右揺動用ジャッキ16Bのピストンロッド16aの先端を後述する後右側上下延長柱部64dに連結してもよい。
【0028】
即ち、回転掘削体46の回転中心線Lを、先頭管6の互いに平行に対向する一方の一対の内面である上内面6a及び下内面6bと平行で、かつ、先頭管6の推進方向Fと直交する面と直交以外の状態で交差する状態に設定する揺動駆動手段としての左右揺動駆動手段を備えていることにより、先頭管6の中心線6xを基準として回転掘削体46を左右方向に揺動させることができ、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅間隔よりも広い左右幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の一端開口6tが地山99の硬質層に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。即ち、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できるようになり、先頭管6の前方での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができるようになる。
また、先頭管6の中心線6xを基準として回転掘削体46を左方向又は右方向に揺動させることによって、先頭管6の推進方向を左右に調整することが可能となる。
また、先頭管6の前方の右側だけを重点的に掘削したい場合や、先頭管6の前方の左側だけを重点的に掘削したい場合にも対応できるようになる。
【0029】
上下揺動駆動手段は、回転掘削体46を上下に揺動させるための駆動源となる上下揺動用ジャッキ80と、ジャッキ設置部81と、図外のジャッキ駆動制御装置とを備える。
上下揺動用ジャッキ80は、例えば、油圧ジャッキにより構成される。
上下揺動用ジャッキ80は、4個設けられ、支持基板30の後方における左端側及び右端側にそれぞれ2つずつ配置される。
即ち、上下揺動用ジャッキ80は、図3に示すように、左側の上下揺動用ジャッキ80Aと右側の上下揺動用ジャッキ80Bとを備え、左側の上下揺動用ジャッキ80Aは、上ジャッキ80A1(第1のジャッキ)と下ジャッキ80A2(第2のジャッキ)とを備え、右側の上下揺動用ジャッキ80Bは、上ジャッキ80B1(第1のジャッキ)と下ジャッキ80B2(第2のジャッキ)とを備える。
ジャッキ設置部81は、推進力伝達構成部64の一部を形成する左中央側連結部64gに固定された左側ジャッキ設置部81Aと、推進力伝達構成部64の一部を形成する右中央側連結部64jに固定された右側ジャッキ設置部81Bと、を備える。
そして、図9(a)に示すように、左側の上ジャッキ80A1及び下ジャッキ80A2の中心線が先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交するように、左側ジャッキ設置部81Aの上面に左側の上ジャッキ80A1のシリンダ80aの基端が固定状態に設置され、左側ジャッキ設置部81Aの下面に左側の下ジャッキ80A2のシリンダ80aの基端が固定状態に設置される。
また、右側の上ジャッキ80B1及び下ジャッキ80B2の中心線が先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交するように、右側ジャッキ設置部81Bの上面に右側の上ジャッキ80B1のシリンダ80aの基端が固定状態に設置され、右側ジャッキ設置部81Bの下面に左側の下ジャッキ80B2のシリンダ80aの基端が固定状態に設置される。
【0030】
当該上下揺動用ジャッキ80は、例えば、図9(b)に示すように、ジャッキの中心線が、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交するとともに、筒状支持体31の湾曲凸面121を形成する円弧面121Xの接線121Yと一致するように設けられる。言い換えれば、ジャッキの中心線が、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと平行でかつ支持体回転支持部124により形成された筒状支持体31の回転中心線を含む平面129と直交するとともに、筒状支持体31の湾曲凸面121を形成する円弧面121Xの接線121Yと一致するように設けられる。
【0031】
そして、支持体回転支持部124により筒状支持体31の回転中心が形成された図9(b)に示す初期状態から、図9(c)に示すように、左右の上ジャッキ80A1;80B1のピストンロッド80b;80bを伸長させてピストンロッド80b;80bのピストンヘッド80t;80tが先頭管6の上内面6aを押圧することにより得られる反力Rが、ジャッキ設置部81、推進力伝達構成部64を介して筒状支持体31に伝達されることによって、筒状支持体31が支持体回転支持部124を回転中心として回転して、筒状支持体31の下端側が前側に移動するとともに筒状支持体31の上端側が後側に移動することによって、回転掘削体46が上方に移動する。
また、支持体回転支持部124により筒状支持体31の回転中心が形成された図9(b)示す初期状態から、図9(d)に示すように、左右の下ジャッキ80A2;80B2のピストンロッド80b;80bを伸長させてピストンロッド80b;80bのピストンヘッド80t;80tが先頭管6の下内面6bを押圧することにより得られる反力Rが、ジャッキ設置部81、推進力伝達構成部64を介して筒状支持体31に伝達されることによって、筒状支持体31が支持体回転支持部124を回転中心として回転して、筒状支持体31の上端側が前側に移動するとともに筒状支持体31の下端側が後側に移動することによって、回転掘削体46が下方に移動する。
【0032】
尚、筒状支持体31が支持体回転支持部124を回転中心として回転した場合、上下揺動用ジャッキ80の中心線が、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交した状態から傾くので、上下揺動用ジャッキ80のピストンヘッド80tは、図4図5図9に示すように先頭管6の内面と点接触となるように円弧面に形成されたり、あるいは、平板状のピストンヘッドがヒンジのような可動自在な接続手段でピストンロッドの先端に連結された構成とすることが好ましい。
【0033】
上下揺動駆動手段を備えていることにより、先頭管6の中心線6xを基準として回転掘削体46を上下方向に揺動させることができ、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。即ち、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できるようになり、先頭管6の前方での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができるようになる。
また、先頭管6の中心線6xを基準として回転掘削体46を上方向又は下方向に揺動させることによって、先頭管6の推進方向を上下に調整することが可能となる。
また、先頭管6の前方の上側だけを重点的に掘削したい場合や、先頭管6の前方の下側だけを重点的に掘削したい場合にも対応できるようになる。
【0034】
以上のように、駆動源からの力を受けて筒状支持体31が支持体回転支持部124による回転中心を回転中心として回転するとともに、筒状支持体31に形成された湾曲凸面121;121が先頭管6の上内面6a及び下内面6bに形成された湾曲凹面111;111に沿った方向に移動することによって、回転掘削体46が先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交する方向、即ち、回転掘削体46が先頭管6の中心線6xを中心として上下方向に揺動可能なように構成されているものである。
【0035】
地中10への管2の設置作業においては、図外の計測手段によって先頭管6が設計通りの方向に進んでいるか否かを監視しながら作業を行っている。
実施形態1の管設置装置1によれば、先頭管6の進行方向が予定位置からずれていることが検出された場合に、回転掘削体46の位置を上下方向や左右方向に移動させた後、あるいは、回転掘削体46の位置を上下方向や左右方向に移動させながら、作業を続行することで、先頭管6の進行方向のずれを補正できる。
【0036】
止水装置150は、筒状支持体内周側止水装置160と、筒状支持体外周側止水装置170とを備える。
【0037】
筒状支持体内周側止水装置160は、例えば、ゴムなどの伸縮自在な材料により蛇腹状に形成された筒状止水部材としての蛇腹筒状止水部材161の筒の一端開口縁162側が筒状支持体31の前側開口縁163に固定され、蛇腹筒状止水部材161の筒の他端開口縁164側が支持基板30の前面30fの外周縁165側に固定されたことによって、蛇腹筒状止水部材161が、筒状支持体31の内周面と支持基板30の外周面との間を介した筒状支持体31の後方への水の移動を阻止するように構成される。
即ち、筒状支持体内周側止水装置160は、回転掘削体46を左右方向に揺動させた際において支持基板30の左右側が前後方向に揺動した場合、あるいは、回転掘削体46を上下方向に揺動させた際において支持基板30の上下側が前後方向に揺動した場合、支持基板30の後方に移動した部分と連結されている蛇腹筒状止水部材161の部位が伸び、支持基板30の前方に移動した部分と連結されている蛇腹筒状止水部材161の部位が縮む。
【0038】
当該筒状支持体内周側止水装置160を備えていることで、支持基板30の状態に拘わらず、支持基板30の前面30f側に取り込まれた掘削ズリに含まれる泥水が支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間を経由して支持基板30後方に移動することを防止できる。即ち、筒状支持体31の内側の止水を維持できる構造の管設置装置1を提供できる。
また、蛇腹筒状止水部材161の筒の他端開口縁164側が支持基板30の前面30fの外周縁165側に固定されたので、支持基板30の前面30f側に掘削ズリを多く取り込めるようになり、排泥効率を向上できる。
また、伸縮した場合の形状保持性能に優れた蛇腹筒状止水部材161を用いたことで、支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間に蛇腹筒状止水部材161が噛み込まれるようなことを防止でき、止水装置の信頼性を向上できる。
【0039】
筒状支持体外周側止水装置170は、筒状支持体31の前側の筒の外周面に取付けられた筒状止水部材171の弾性変形による筒状止水部材171の外周面172と先頭管6の湾曲凹面111との圧密な面接触により、筒状止水部材171の外周面172と先頭管6の湾曲凹面111との間の水密性能を維持するとともに、筒状支持体31の前側の筒の外周面に取付けられた筒状止水部材171の弾性変形による筒状止水部材171の左右の前部175;176と先頭管6の前側内面において互いに向かい合う左内面6c及び右内面6dに突出するように設けられた止水部材押し当て部173;173との前後方向の圧密な面接触により、筒状止水部材171と止水部材押し当て部173との間の水密性能を維持するように構成される。
【0040】
即ち、筒状支持体31の前側の筒の外周面には特許文献1のような環状止水部材を装着するための環状装着溝が形成されておらず、当該筒状支持体31の前側の筒の外周面である凹凸のない滑らかな外周面に内周面が密着して当該外周面を取り囲むように当該外周面に筒状止水部材171が取り付けられている。
当該筒状止水部材171は、筒の長さが比較的長い腹巻のような筒体により形成される。当該筒状止水部材171の筒の長さ及び筒の厚さは、筒状支持体31の初期状態から筒状支持体31の上部及び下部が前後に移動した際において先頭管6の湾曲凹面111と上述した水密性能を維持した状態で接触可能な長さ及び厚さに形成されている。
また、筒状止水部材171は、筒状支持体31の外周面の前端から当該外周面の後端に向けて延長するように当該筒状支持体31の外周面に被せられて外周面に密着状態で取付けられていることにより、筒状止水部材171の左右の前端面が最初に止水部材押し当て部173;173に接触するように構成されている。
筒状止水部材171は、例えば、前側の一端開口の内径及び外径の大きさが後側の他端開口の内径及び外径の大きさよりも小さく形成され、外周面及び内周面の形状が、筒状支持体を形成する筒の前側の外周面に対応した形状に形成されたゴム筒、あるいは、円筒状のゴム筒を、筒状支持体を形成する筒の前側の外周面に嵌め込むことにより、筒状支持体を形成する筒の前側の外周面に取付けられる。
【0041】
止水部材押し当て部173;173は、断面四角形状の長尺板材により形成され、湾曲凹面111;111の前側に延長する上下の面125;125間において管の上内面6a及び下内面6bに直交する方向に連続して延在するように配置されて先頭管6の左内面6c及び右内面6dに固定されることで、先頭管6の左内面6c及び右内面6dより突出するように設けられている。
そして、筒状止水部材171は、筒の前端部が筒状支持体31の前端面よりも若干前側に位置するように筒状支持体31の前側の筒の外周面に固定されることによって、初期状態において、当該筒状止水部材171の左右の前部175;176と止水部材押し当て部173;173との面接触圧を大きくでき、かつ、初期状態から筒状支持体31の上端部及び下端部が前後方向に揺動した際においても当該筒状止水部材171の左右の前部175;176と止水部材押し当て部173;173との面接触による水密状態を形成できるようになる。
【0042】
即ち、筒状支持体外周側止水装置170は、先頭管6の内周面と対向する筒状支持体31の湾曲凸面121;121を含む前側外周面に設けられた筒状止水部材171と、当該筒状止水部材171の外周面172と上下方向で面接触して外周面172との間の水密性能を維持できるように先頭管6の上内面6a及び下内面6bに設けられた湾曲凹面111;111と、筒状止水部材171の左右の前部175;176と前後方向で面接触して筒状止水部材171の左右の前部175;176との間の水密性能を維持できるように先頭管6の左内面6c及び右内面6dに設けられた止水部材押し当て部173;173とを備えて構成される。
【0043】
図9(a);図10(a)に示すように、筒状止水部材171が筒の前側の外周面に固定された筒状支持体31を先頭管6の他端開口を介して先頭管6内に挿入して前方に移動させ、図9(b);図10(b)に示すように、支持体側係合部123である円形突起を管側係合部122である半円周凹部に係合させて支持体回転支持部124を構成するとともに、筒状止水部材171の外周面172と先頭管6の上内面6a及び下内面6bに設けられた湾曲凹面111;111とを上下方向で水密状態に面接触させ、かつ、筒状止水部材171の左右の前部175;176を止水部材押し当て部173;173に押し当てて筒状止水部材171と止水部材押し当て部173;173とを前後方向で水密状態に接触させた状態、即ち、初期状態に設定する。
そして、初期状態において、油圧ジャッキ61Aにより発生させた推進力を推進力伝達手段62を介して筒状支持体31に伝達することにより、筒状支持体31に伝達された推進力が、筒状支持体31の前方への移動を規制するストッパー、言い換えれば、推進力受け部として機能する湾曲凹面111;111、止水部材押し当て部173;173、管側係合部122;122を介して先頭管6に伝達されるとともに、回転掘削体46を回転駆動させて地中10を掘削することにより、管設置装置1を地中10に推進させることができる。
そして、先頭管6の推進作業後に発進基地100に残る先頭管6の後端面102eに後続管を接続した後に、先頭管6と後続管とを共に地中10に推進させることができる。即ち、推進作業後に発進基地100に残る最後方の後続管の後端に順次後続管を接続した後、推進動作を行うことで、先頭管6と先頭管6の後方に接続された複数の後続管とで構成された管が地中10に設置される。即ち、支保工等を構成する管を地中10に設置できる。
【0044】
例えば、回転掘削体46の位置を上下方向に移動させる場合においては、図9(c):図9(d);図10(c):図10(d)に示すように、上下揺動用ジャッキ80を駆動させて、筒状支持体31を支持体回転支持部124の回転中心を回転中心として例えばα°だけ回転させると、筒状支持体31の湾曲凸面121が湾曲凹面111に沿った方向に移動するが、この場合、筒状止水部材171の外周面172と湾曲凹面111;111との面接触により湾曲凸面121と湾曲凹面111との間の水密を維持する止水部が形成されるとともに、図8(b):図8(c)に示すように、筒状止水部材171の左右の前部175;176が止水部材押し当て部173;173に押し当てられることにより筒状止水部材171と止水部材押し当て部173;173との間の水密を維持する止水部が形成されるので、地山99の地下水が筒状支持体31の湾曲凸面121と先頭管6の湾曲凹面111との間を経由して筒状支持体31の後方に移動したり、地山99の地下水が筒状支持体31の左外面と先頭管6の左内面6cとの間及び筒状支持体31の右外面と先頭管6の右内面6dとの間を経由して筒状支持体31の後方に移動したりすることを防止できる。
【0045】
また、先頭管6の互いに平行に向かい合う一方の一対の内面及び他方の一対の内面のうち、管設置時に下面となる内面、例えば、図2に示すように、先頭管6の下内面6bと向かい合う筒状支持体31の下外面を形成する湾曲凸面121に、当該先頭管6の下内面6bと筒状支持体31の湾曲凸面121との摩擦を低減させるための摩擦軽減装置としての突起として例えば車輪(例えば車輪の進行方向が自在となるように構成されたキャスター)190を1又は複数個備える。当該車輪190は、例えば湾曲凸面121の左右側に1個ずつ設けることが好ましい。
【0046】
先頭管6の下内面6bと筒状支持体31の湾曲凸面121との摩擦を低減させるための突起として車輪190を備えたことで、先頭管の下面となる下内面と支持体の下外面との摩擦を低減できるので、管設置作業終了後に筒状支持体31及び回転掘削体46を発進基地に回収する際において、先頭管6の下内面6bと筒状支持体31の湾曲凸面121との摩擦を低減でき、管設置作業終了後の筒状支持体31及び回転掘削体46の回収作業を容易に行えるようになる。
【0047】
推進装置70は、推進駆動源61と、支持体120と、推進駆動源61による推進力を支持体120に伝達する推進力伝達手段62と、筒状支持体31に伝達された推進力を先頭管6に伝達する推進力受け部とを備える。
即ち、推進駆動源61による推進力を推進力伝達手段62を介して支持体120に伝達するとともに回転掘削体46を回転させることにより、支持体120に連結支柱部40を介して連結されている回転掘削体46が前方に推進し、かつ、支持体120に伝達された推進力が推進力受け部を介して先頭管6に伝達されて先頭管6が前方に推進する。
【0048】
推進力受け部は、湾曲凹面111;111と、止水部材押し当て部173;173と、管側係合部122;122とで構成される。
【0049】
推進力伝達手段62は、推進力伝達構成部64と、推進力伝達棒状体71と、推進力伝達用の当て材72とを備える。
推進力伝達構成部64は、例えば、H形鋼を組み合わせて形成される。例えば、筒状支持体31の筒の左端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前左側上下延長柱部64aと、筒状支持体31の筒の右端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前右側上下延長柱部64bと、ジャッキ反力受部材18の左端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後左側上下延長柱部64cと、ジャッキ反力受部材18の右端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後右側上下延長柱部64dと、前後方向に延長して先端と前左側上下延長柱部64aとが連結され後端と後左側上下延長柱部64cとが連結された左上側連結部64e、左下側連結部64f、左中央側連結部64gと、前後方向に延長して先端と前右側上下延長柱部64bとが連結され後端と後右側上下延長柱部64dとが連結された右上側連結部64h、右下側連結部64i、右中央側連結部64jとを備える。
【0050】
推進力伝達棒状体71は、一端から他端までの長さが推進力伝達構成部64の後端面と先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法に形成された棒状体である。推進力伝達棒状体71としては例えばH形鋼を用いる。
推進力伝達棒状体71は、中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置される。左側の推進力伝達棒状体71Aの先端面と後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置とが連結され、右側の推進力伝達棒状体71Bの先端面と後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置とが連結される。
【0051】
推進駆動源61は、例えば、油圧ジャッキ61Aにより構成される。油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aの先端には押圧板61bが設けられる。油圧ジャッキ61Aのシリンダ61cは図外のジャッキ反力受部材に固定されている。
【0052】
そして、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間の中央部分を油圧ジャッキ61Aの押圧板61bで押圧することにより、油圧ジャッキ61Aによる押圧力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、筒状支持体31、推進力受け部を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
即ち、油圧ジャッキ61Aによる推進力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、推進力伝達構成部64、筒状支持体31、円孔38、突起37、支持基板30、連結支柱部40を介して回転掘削体46に伝達されるとともに、油圧ジャッキ61Aによる推進力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、推進力伝達構成部64、筒状支持体31、管側係合部122;122、湾曲凹面111;111、止水部材押し当て部173;173を介して先頭管6に伝達され、回転掘削体46が回転することによって、回転掘削体46と先頭管6が一緒に地中10を推進する管設置装置1となる。
言い換えれば、管側係合部122;122、湾曲凹面111;111、止水部材押し当て部173;173が、筒状支持体31を受けて筒状支持体31の前方への移動を規制するストッパー、言い換えれば、推進力受け部として機能する。
この場合、後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置に連結された右側の推進力伝達棒状体71Bと後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置に連結された左側の推進力伝達棒状体71Aとを介して推進力伝達構成部64に伝達された推進力が筒状支持体31の後端面の四隅部に伝達される構成としたので(図4図5参照)、筒状支持体31に推進力を均等に伝達でき、筒状支持体31の姿勢を安定に維持することができ、しかも、揺動動作の安定化が図れる。
【0053】
水供給装置75は、水貯留タンク75aと、送水用のポンプ75bと、水供給管75cと、水供給管75cの前端開口部を保持する水供給管保持貫通孔15とを備える。
水供給管75cは、水供給管保持貫通孔15に保持される前側部分75xと当該前側部分75xの後端に連結されて先頭管6の後端開口より外部に延長する主部分75yとを備える。例えば、前側部分75xは鋼管により形成され、主部分75yは硬質ビニル製の蛇腹管により形成される。支持基板30の前面30fの前方の地山99に水を放出することが可能なように前側部分75xの前端開口側が支持基板30の水供給管保持貫通孔15に固定され、前側部分75xの後端開口側が支持基板30の後面30rより後方に突出するように設けられる。前側部分75xの後端開口と主部分75yの前端開口とが連通可能に連結され、主部分75yの後端開口と送水用のポンプ75bの吐出口とが連通可能に連結される。そして、送水用のポンプ75bの吸込口と水貯留タンク75aとが図外の連結管により連通可能に連結される。水供給装置75は、先頭管6の上部内側の左右側に2系統設けられる。尚、支持基板30が揺動した場合に水供給管75cが先頭管6の左右の内側面に接触しないように、前側部分75xは、前端開口が先頭管6の内側面側に位置されて後端開口が先頭管6の中央側に位置するように設けられる。換言すれば、前側部分75xは、管の中心線が先頭管6の左右の内面6c;6d側から先頭管6の中央側に傾斜して延長するように設けられる。
【0054】
排泥装置76は、排泥タンク76aと、排泥用のポンプ76bと、排泥管76cと、排泥管76cの前端開口部を保持する排泥管保持貫通孔14とを備える。
排泥管76cは、排泥管保持貫通孔14に保持される前側部分76xと当該前側部分76xの後端に連結されて先頭管6の後端開口より外部に延長する主部分76yとを備える。例えば、前側部分76xは鋼管により形成され、主部分76yは硬質ビニル製の蛇腹管により形成される。支持基板30の前面30fより前方に集まった掘削土を前端開口を介して取り込むことが可能なように前側部分76xの前端開口側が支持基板30の排泥管保持貫通孔14に固定され、前側部分76xの後端開口側が支持基板30の後面30rより後方に突出するように設けられる。前側部分76xの後端開口と主部分76yの前端開口とが連通可能に連結され、主部分76yの後端開口と排泥用のポンプ76bの吸込口とが連通可能に連結される。そして、排泥用のポンプ76bの吐出口と排泥タンク76aとが図外の連結管により連通可能に連結される。排泥装置76は、先頭管6の下部内側の左右側に2系統設けられる。尚、支持基板30が揺動した場合に排泥管76cが先頭管6の左右の内側面に接触しないように、前側部分76xは、前端開口が先頭管6の内側面側に位置されて後端開口が先頭管6の中央側に位置するように設けられる。換言すれば、前側部分76xは、管の中心線が先頭管6の左右の内面6c;6d側から先頭管6の中央側に傾斜して延長するように設けられる。
【0055】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76aは、例えば水貯留タンク75aと排泥タンク76aとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76aとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して支持基板30の前方に水を圧送すると、支持基板30の前方に圧送された水と回転掘削体46;46により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76bを駆動することにより、支持基板30の前方の泥水が排泥タンク76aに排出される。排泥タンク76aに排出された泥水中の泥が排泥タンク76aの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75bによって支持基板30の前方に圧送される。即ち、泥水を循環させて支持基板30の前方に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を支持基板30の前方に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と支持基板30の前方に供給した圧力とを均等にしやすくなり、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、支持基板30の前方が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して支持基板30の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させてもよい。
【0056】
次に管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
掘削機械26と、推進力伝達構成部64と、揺動駆動手段と、当て材72を除いた推進装置70と、水供給管75cと、排泥管76cとが組立てられた組立体を、回転掘削体46側から先頭管6の後端開口を介して先頭管6内に入れていき、筒状支持体31を初期状態に設定する。そして、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように当て材72を設置して当て材72を左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結する。そして、送水用のポンプ75bを駆動して支持基板30の前方に泥水を供給し、支持基板30の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、推進駆動源61を作動させて当て材72に推進力を加えることで、推進力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、筒状支持体31、推進力受け部を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達され、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに図外の後続管を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端と後続の推進力伝達棒状体71の一端とをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76cの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。そして、当て材72を、後続管の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して、当て材72を油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aで押圧しながら、回転掘削体46;46を回転駆動させることにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管が地中に設置される。
以後、同様に、前の後続管の後端縁に後の後続管を順次連結して地中10に設置していくことで、例えば、支保工を構築できる。
【0057】
管設置作業が終了した後は、掘削始点となった発進基地100内に掘削機械26等を引き戻して回収する。実施形態1によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26等を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつ発進基地100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26等を容易に回収できるようになる。特に、先頭管6の下内面6bと向かい合う筒状支持体31の下外面を形成する湾曲凸面121に、当該先頭管6の下内面6bと筒状支持体31の湾曲凸面121との摩擦を低減させるための摩擦軽減装置としての突起として例えば車輪(例えば車輪の進行方向が自在となるように構成されたキャスター)190を備えているため、掘削機械26等の回収作業が容易となる。この場合、推進装置の一例である油圧ジャッキ61Aを掘削始点となる発進基地100内にのみ設置すればよいので、装置コストを低減できる。
尚、到達側の発進基地100内に掘削機械26等を押し出して回収するようしてもよい。例えば、先頭管6を到達側の発進基地100に押し出して推進力受け部を除去してから、到達側の発進基地100内に掘削機械26等を押し出して回収する。この場合、掘削機械26等を掘削始点となった発進基地100内に引き戻す作業よりも掘削機械26等を到達側の発進基地100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26等の回収作業が容易となる。
【0058】
実施形態1の管設置装置1によれば、先頭管6の一端開口6t側において互いに平行に向かい合う一方の一対の内面である上内面6a及び下内面6bより先頭管6の一端開口6t及び先頭管6の中心線6xに近付くように設けられた一対の湾曲凹面111;111と、回転掘削体46を回転可能に支持する支持体120と、先頭管6管の上内面6a及び下内面6bと対向するように支持体120に形成されて湾曲凹面111;111に案内される湾曲凸面121;121とを備え、支持体120に形成された湾曲凸面121;121を湾曲凹面111;111に沿った方向に揺動させることによって、回転掘削体46が先頭管6管の上内面6a及び下内面6bと直交する方向に揺動可能となるように構成されたので、支持体120に形成された湾曲凸面121;121間の寸法を先頭管6の上内面6aと下内面6bと間の管内上下寸法に近い大きな寸法にできるため、小さな力で支持体120の上端部及び下端部を湾曲凹面111;111に沿って前後方向に揺動させることができて、回転掘削体46を先頭管6の互いに平行に向かい合う他方の一対の内面である左内面6c及び右内面6dと直交する上下方向に揺動させることができる。
【0059】
実施形態1の管設置装置1によれば、先頭管6の左内面6c及び右内面6dに設けられた管側係合部122;122と、先頭管6の左内面6c及び右内面6dに対向する支持体120の互いに向かい合う他方の一対の外面である左外面及び右外面に設けられた支持体側係合部123;123と、管側係合部122と支持体側係合部123とが互いに係合して先頭管6の左内面6c及び右内面6dと直交する支持体120の回転中心120Cを形成する支持体回転支持部124;124と、を備え、支持体120の互いに向かい合う一方の一対の外面である湾曲凸面121;121を前後に揺動させるように当該支持体120を回転させることによって、回転掘削体46が先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交する方向に揺動可能となるように構成されたので、支持体回転支持部124;124を備えたことにより、支持体120の湾曲凸面121;121上の筒状止水部材171と湾曲凹面111;111との面圧を均等にすることが可能となり、重力負荷によって支持体120の下部に位置する筒状止水部材171の下面と湾曲凹面111との面圧が過大になってしまうことを抑制できるため、支持体120を小さな力で所望の方向である前後方向に正確に揺動させることができるようになり、回転掘削体46を所望の方向である上下方向に小さな力で正確に揺動させることができるようになる。
また、摩擦抵抗の増大によって筒状止水部材171が早期に劣化してしまうようなことを抑制できるようになる。
【0060】
実施形態1の管設置装置1によれば、支持装置が、支持体120の回転中心120Cを形成する支持体回転支持部124;124を備えているとともに、湾曲凹面111;111と当該湾曲凹面111;111に案内される湾曲凸面121;121とを備えているため、支持体120をより小さな力で所望の方向である前後方向により正確に揺動させることができるようになり、回転掘削体46をより小さな力で所望の方向である上下方向により正確に揺動させることができる管設置装置1を提供できる。
【0061】
実施形態1の管設置装置1によれば、回転掘削体46を上下方向に揺動させるための力を支持体120に伝達する駆動手段の駆動源として、支持体120に連結されて先頭管6の上内面6aを押圧した際の反力を力として支持体120に伝達する上ジャッキ80A1;80B1と、支持体120に連結されて先頭管6の下内面6bを押圧した際の反力を力として支持体120に伝達する下ジャッキ80A2;80B2とを備え、上ジャッキ80A1;80B1及び下ジャッキ80A2;80B2の中心線が、先頭管6の上内面6a及び下内面6bと直交するとともに、湾曲凸面121;121を形成する円弧面121Xの接線121Yと一致するように設けられたので、回転中心120Cを回転中心として支持体120を回転させる力を支持体120に付与できるようになり、回転中心120Cを回転中心として支持体120が回転して回転掘削体46を上下方向に揺動させることができるようになる。
尚、上ジャッキ80A1;80B1及び下ジャッキ80A2;80B2は、中心線が、湾曲凸面121;121を形成する円弧面121Xの接線121Yと一致するように設けられていなくてもよい。
即ち、上ジャッキ80A1;80B1及び下ジャッキ80A2;80B2の中心線が、湾曲凸面121;121を形成する円弧面121Xの接線121Yの位置よりも回転中心120Cに近い位置に設定されていてもよい。この場合、中心線が接線121Yと一致するように設けられて使用されるジャッキと比べて、短いジャッキストローク量で支持体120を同じ回転量だけ回転させることができるため、ジャッキストローク量の小さいジャッキを用いることができる。
また、上ジャッキ80A1;80B1及び下ジャッキ80A2;80B2の中心線が、回転中心120Cから接線121Yの位置よりも遠い位置に設定されていてもよい。この場合、中心線が接線121Yと一致するように設けられて使用されるジャッキと比べて、長いジャッキストローク量で支持体120を同じ回転量だけ回転させることができる。例えば、中心線が接線121Yと一致するように設けられたジャッキを使用した場合において、支持体120を所望の回転量だけ回転させるために必要なジャッキストローク量が小さすぎる際には、ジャッキのピストンを伸縮させる制御が困難となる。このような場合、支持体120を所望の回転量だけ回転させるために必要なジャッキストローク量を大きくできて、ジャッキの伸縮制御を容易に行うことができるように、回転中心120Cから接線121Yの位置よりも遠い位置にジャッキの中心線が位置するようにジャッキを取り付けて使用してもよい。
【0062】
実施形態1の管設置装置1によれば、支持体120は、筒の中心線が先頭管6の中心線6xに沿って延長する状態となるよう先頭管6内の前側に設置されて先頭管6の上内面6a及び下内面6bと対向する外面が湾曲凸面121;121に形成された筒状支持体31と、回転掘削体46を支持するとともに筒状支持体31の内側に揺動可能に支持された平板状の支持基板30とを備え、回転掘削体46は、支持基板30の前面30fより前方に突出するように設けられた連結支柱部40を介して支持基板30に連結されており、支持基板30は、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと向かい合う一対の外面30a;30bが筒状支持体31の前後方向に揺動可能なように筒状支持体31の円孔38内に突起37を介して取付けられて、回転掘削体46が先頭管6の左内面6c及び右内面6dと直交する左右方向に揺動可能なように構成されている。
即ち、回転掘削体46を上下方向に揺動させるための筒状支持体31と回転掘削体46を左右方向に揺動させるための支持基板30とを別々に備えているので、特許文献1のように1つの球形基板で回転掘削体の上下方向の揺動及び左右方向の揺動を1つの球形基板で行なわせる構成と比べて各揺動動作を正確かつ容易に行うことができる管設置装置1を提供できる。
【0063】
実施形態1の管設置装置1によれば、筒の一端開口縁162が筒状支持体31の前側開口縁163に固定されるとともに、筒の他端開口縁164が支持基板30の前面30fの外周縁165側に固定された蛇腹筒状止水部材161を備え、筒状支持体31の内周面と支持基板30の外周面との間を介した筒状支持体31の後方への水の移動を阻止するように構成されたので、支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間に止水部材を設けて水密状態を維持する構成のように支持基板30が揺動する毎に止水部材と支持基板30の外周面や筒状支持体31の内周面との摩擦を生じさせる構成を採用していないため、支持基板30の左右側を前後方向に揺動させる際の負荷を小さくできる。
即ち、支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間の止水性能を維持できるとともに支持基板30の左右側を前後方向に揺動させる際の負荷を小さくすることが可能な管設置装置1を提供できる。
【0064】
実施形態1の管設置装置1によれば、止水装置は、先頭管6の内周面と対向する筒状支持体31の湾曲凸面121;121を含む前側の外周面に当該外周面の前端から当該外周面の後端に向けて延長するように被せられて設けられた筒状止水部材171と、先頭管6の左内面6c及び右内面6dより突出するように設けられた止水部材押し当て部173;173とを備え、筒状支持体31の湾曲凸面121;121上に位置される筒状止水部材171の外周面172と湾曲凹面111;111とを面接触させ、かつ、筒状止水部材171の前部175;176と止水部材押し当て部173;173とを突き合わせた状態から支持体120の湾曲凸面121;121を湾曲凹面111;111に沿った方向に揺動させた場合に、筒状止水部材171の外周面172と湾曲凹面111;111との圧密な面接触により湾曲凸面121;121と湾曲凹面111;111との間の水密を維持する止水部が形成されるとともに、筒状止水部材171の前部175;176と止水部材押し当て部173;173とが突き合わされて圧密状態となるため、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと当該内面と対向する支持体120の左外面126及び右外面127との間の水密を維持する止水部が形成されるように構成される。
即ち、筒状止水部材171が、筒状支持体31の湾曲凸面121;121を含む前側の外周面に当該外周面の前端から当該外周面の後端に向けて延長するように被せられて設けられているので、従来のように、複数本の環状止水部材を装着するための複数の環状装着溝を支持体の外周面に形成する必要がなく、筒状支持体31の製作コストを安価にできるとともに、筒状止水部材171の外周面172と湾曲凹面111;111との圧密な面接触状態、及び、筒状止水部材171の前部175;176と止水部材押し当て部173;173との突き合せによる圧密状態が形成されることによって、筒状支持体31の外周面と先頭の内周面との間の水密性能も十分に維持できる管設置装置1を提供できる。
【0065】
実施形態1の管設置装置1によれば、先頭管6の設置時に下となる下内面6bと向かい合う支持体120の下面に、先頭管6の下内面6bと支持体の下面との摩擦を低減させるための突起としての車輪190を備えたので、管設置作業終了後の支持体120及び回転掘削体46の回収作業を容易にできる管設置装置1を提供できる。
【0066】
実施形態2
実施形態1では、筒状止水部材171の前部175;176と止水部材押し当て部173;173との突き合わせにより先頭管6の左内面6c及び右内面6dと当該内面と対向する支持体120の左外面126及び右外面127との間の水密を維持する止水部を形成するようにしたが、止水部材押し当て部173;173を設けずに、筒状支持体31の湾曲凸面121;121を含む前側の外周面に固定された筒状止水部材171の外周面172と先頭管6の左内面6c及び右内面6dとの面接触により、先頭管6の左内面6c及び右内面6dと当該内面と対向する支持体120の左外面126及び右外面127との間の水密を維持する止水部を形成するようにしてもよい。
当該構成であっても、複数本の環状止水部材を装着するための複数の環状装着溝を筒状支持体31の外周面に形成せずとも良く、筒状支持筒体の製作コストを安くできてかつ掘削側からの高い水圧に対する筒状支持体の外周面と管の内周面との間の水密性能も十分に維持できるように構成された管設置装置を提供できる。
【0067】
実施形態3
実施形態1では、先頭管6の一端開口6t側である前側の内面において互いに平行に向かい合う上内面6a及び下内面6bに湾曲凹面111;111を備えて回転掘削体46を上下方向に揺動させることができ、かつ、回転掘削体46を左右方向に揺動させることができるように構成された管設置装置1を例示したが、先頭管6の一端開口6t側である前側の内面において互いに平行に向かい合う左内面6c及び右内面6dに湾曲凹面111;111を備えて回転掘削体46を左右方向に揺動させることができ、かつ、回転掘削体46を上下方向に揺動させることができるように構成された管設置装置としてもよい。
【0068】
実施形態4
摩擦低減装置は、単なる突起により構成してもよい。
例えば、先頭管6の下内面6bと向かい合う筒状支持体31の下外面を形成する湾曲凸面121に、先頭管6の下内面6bに点状に接触する1又は複数個の突起、又は、先頭管6の中心線6xに沿って延長する棒線状の1又は複数個の突起を設けた構成としてもよい。このような棒線状の突起を設けた構成とした場合、先頭管6の下内面6b上で筒状支持体31を先頭管6の中心線6xに沿って移動させる場合に、筒状支持体31が前後方向に傾きにくくなり、筒状支持体31の移動を容易に行えるようになる。
【0069】
実施形態5
先頭管6の下内面6bと向かい合う筒状支持体31の下外面を形成する湾曲凸面121に、摩擦低減装置として、球体が自由自在に回転するように構成されたボールキャスター等と呼称される球体車輪を1又は複数個設けた構成としてもよい。
【0070】
実施形態6
湾曲凹面111と湾曲凸面121の湾曲面は完全な円弧面でなくとも良く、例えば、楕円弧面であってもよい。尚、湾曲凹面111と湾曲凸面121とが楕円弧面によって形成される場合、当該湾曲凹面111は、先頭管6の左内面6cと右内面6d(互いに平行に向かい合う他方の一対の内面)と直交する中心線を持つ仮想の楕円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面を形成する部材により形成され、当該湾曲凸面121は、先頭管6の左内面6cと右内面6dと直交する中心線を持つ仮想の楕円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面により形成されることになる。
【0071】
実施形態7
一対の湾曲凹面111;111と、湾曲凹面111;111に案内される湾曲凸面121;121とを備えず、支持体回転支持部124;124を備えて支持体120の上端部及び下端部を前後方向に揺動させることで回転掘削体46が上下方向に揺動可能な構成としてもよい。
当該構成とすれば、支持体120が支持体回転支持部124;124を介して回転可能に構成されていることで、支持体120の外周面に固定された筒状止水部材171と先頭管6の上内面6a及び下内面6bとの接触圧力を均等にすることが可能となり、重力負荷によって支持体120の下に位置される筒状止水部材171と先頭管6の下内面6bとの接触圧力が過大になってしまって、支持体120を揺動させる際の負荷が大きくなって支持体120を揺動させるために大きな力が必要になってしまうことを抑制できるため、支持体120を小さな力で所望の方向である前後方向に正確に揺動させることができるようになり、回転掘削体46を所望の方向である上下方向に小さな力で正確に揺動させることができるようになる。
また、摩擦抵抗の増大によって筒状止水部材171が早期に劣化してしまうようなことを抑制できるようになる。
さらに、回転掘削体46を左右に揺動させる機構を備えない構成とした場合、例えば、先頭管6の内周面に対応した外周面を備えた支持体としての四角形平板状の隔壁基板と、隔壁基板の前方への移動を規制するとともに隔壁基板から先頭管に伝達される推進力を受けるストッパー兼推進力受け部とを備え、当該隔壁基板に連結支柱部40を介して回転掘削体46を固定して、かつ、当該隔壁基板の外周面に当該外周面を取り囲む筒状止水部材あるいは環状止水部材等の止水部材を固定した構成とすればよい。この場合、隔壁基板の揺動時に隔壁基板の上下の止水部材が先頭管6の上内面6a及び下内面6bに押し付けられて止水部が構成されるとともに、隔壁基板の左右の止水部材と先頭管6の左内面6c及び右内面6dとの面接触により止水部が構成される。
当該構成とすれば、隔壁基板が支持体回転支持部124;124を介して回転可能に構成されていることで、隔壁基板の上下の止水部材と先頭管6の上内面6a及び下内面6b
との接触圧力を均等にすることが可能となり、重力負荷によって隔壁基板の下の止水部材と先頭管6の下内面6bとの接触圧力が過大になってしまって、隔壁基板を揺動させる際の負荷が大きくなって大きな力が必要になってしまうことを抑制できるため、隔壁基板を小さな力で所望の方向である前後方向に正確に揺動させることができるようになり、回転掘削体46を所望の方向である上下方向に小さな力で正確に揺動させることができるようになる。
また、摩擦抵抗の増大によって止水部材が早期に劣化してしまうことを抑制できるようになる。
【0072】
実施形態8
一対の湾曲凹面111;111と、湾曲凹面111;111に案内される湾曲凸面121;121とを備え、支持体回転支持部124;124を備えない構成としてもよい。この場合でも、一対の湾曲凹面111;111が先頭管6の上内面6a及び下内面6bに滑らかに連続しているために、支持体120の湾曲凸面121;121の曲率半径を大きくできることから、小さな力で支持体120の上端部及び下端部を湾曲凹面111;111に沿って前後方向に揺動させることができて、回転掘削体46を先頭管6の互いに平行に向かい合う他方の一対の内面である左内面6c及び右内面6dと直交する上下方向に揺動させることができる。
さらに、回転掘削体46を左右に揺動させる機構を備えない構成とした場合でも、例えば、先頭管6の内周面に対応した外周面を備えた支持体としての四角形平板状の隔壁基板と、隔壁基板の前方への移動を規制するとともに隔壁基板から先頭管に伝達される推進力を受けるストッパー兼推進力受け部とを備え、当該隔壁基板に連結支柱部40を介して回転掘削体46を固定して、かつ、当該隔壁基板の外周面に当該外周面を取り囲む筒状止水部材あるいは環状止水部材等の止水部材を固定した構成とすればよい。この場合、隔壁基板の揺動時に隔壁基板の上下の止水部材が先頭管6の上内面6a及び下内面6bに押し付けられて止水部が構成されるとともに、隔壁基板の左右の止水部材と先頭管6の左内面6c及び右内面6dとの面接触により止水部が構成される。
この場合でも、一対の湾曲凹面111;111が先頭管6の上内面6a及び下内面6bに滑らかに連続しているために、隔壁基板の湾曲凸面の曲率半径を大きくできることから、小さな力で隔壁基板の湾曲凸面を湾曲凹面111;111に沿って前後方向に揺動させることができて、小さな力で回転掘削体46を上下方向に揺動させることができる。
【0073】
実施形態9
筒状支持体31の左内面31c及び右内面31dが筒状支持体31の筒の中心線に沿って湾曲する湾曲凹面に形成されて、かつ、当該湾曲凹面に対応するように支持基板30の平板の左右の外面30a;30bが湾曲凸面に形成される場合、当該湾曲凹面の曲率半径と湾曲凸面の曲率半径の曲率半径とを同じにして、当該湾曲凹面と湾曲凸面との間の空間を環状止水部材によって水密状態に維持するようにしてもよい。即ち、当該環状止水部材を蛇腹筒状止水部材161の代わりに設けた構成としてもよい。
また、当該環状止水部材と蛇腹筒状止水部材161との二重の止水部材を備えた構成としてもよい。この場合、二重の止水部材によって水密性能の信頼性を向上できる。
また、蛇腹筒状止水部材161の代わりに、伸縮した場合の形状保持性能に優れた筒状止水部材を用いてもい。
尚、実施形態1では、筒状止水部材としての蛇腹筒状止水部材161の筒の一端開口縁162側が筒状支持体31の前側開口縁163に固定され、蛇腹筒状止水部材161の筒の他端開口縁164側が支持基板30の前面30fの外周縁165側に固定された例を示したが、筒状止水部材の筒の他端開口縁側を支持基板30の前面30fの中央側に固定してもよい。即ち、水供給管保持貫通孔15を介して支持基板30の前面30f側に水を供給できてかつ当該前面30f側に取り込まれた掘削ズリを排泥管保持貫通孔14を介して排泥できるとともに、支持基板30の前面30f側に取り込まれた掘削ズリに含まれる泥水が支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間を経由して支持基板30後方に移動することを防止できれば、筒状止水部材の筒の他端開口縁側は支持基板30の前面30fのどこに固定されていても構わない。
【0074】
尚、回転掘削体46を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてもよい。
【0075】
また、管2は、断面形状が四角形状のものであればよい。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、断面長方形、断面正方形、断面台形などの四角形状を指し、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
尚、断面台形の管2を用いる場合、一対の湾曲凹面は、管の中心線と直交するとともに管の内面と平行でかつ管の一方の一対の面に跨って管の上下方向に延長する中心線、又は、管の中心線と直交するとともに管の内面と平行でかつ管の他方の一対の面に跨って管の左右方向に延長する中心線を持つ仮想の円柱又は楕円柱における中心線回りの所定角度範囲の外周面を形成する部材により形成すればよい。
【0076】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、発進基地100から先に地中10に入れる管のみを地中10に設置して当該先に地中10に入れる管のみ(即ち、1本の管)による支保工等を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 管設置装置、2 管、6 先頭管(管)、6t 一端開口、10 地中、
30 支持基板、31 筒状支持体、46 回転掘削体、
161 蛇腹筒状止水部材(筒状止水部材)。
図1
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