特許第6438939号(P6438939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000003
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000004
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000005
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000006
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000007
  • 特許6438939-ハニカム構造体 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438939
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/02 20060101AFI20181210BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20181210BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20181210BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20181210BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20181210BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B01J35/02 GZAB
   B01J35/04 301K
   B01J35/04 301P
   B01J35/04 301B
   B01D53/94 100
   F01N3/28 L
   F01N3/20 K
   F01N3/24 L
   F01N3/28 301P
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-511526(P2016-511526)
(86)(22)【出願日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2015058170
(87)【国際公開番号】WO2015151823
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-71857(P2014-71857)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】大宮 好雅
(72)【発明者】
【氏名】野呂 貴志
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/047790(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/146955(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86−53/90
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となり一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、外周に位置する外周壁とを有する柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、
前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、中心から、外周に向かって中心から外周までの長さの10%の位置まで、の領域を中央部とし、且つ、外周から、中心に向かって外周から中心までの長さの10%の位置まで、の領域を外周部としたときに、
前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.70〜0.95倍であり、
触媒担体であるハニカム構造体。
【請求項2】
前記ハニカム構造部において、前記中央部と前記外周部との間の領域を中間部としたときに、前記中間部の開口率が、前記中央部の開口率以上、前記外周部の開口率以下である請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記中央部の前記隔壁の厚さが、前記外周部の前記隔壁の厚さの1.0〜2.0倍である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカム構造部及び前記電極部が、炭化珪素を含む材料により形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記中央部のセル密度が、前記外周部のセル密度の1.0〜1.5倍である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.75〜0.90倍である請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.80〜0.85倍である請求項6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体を有する排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。さらに詳しくは、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、電圧を印加して排ガスを浄化する際に、短時間で中央部まで、必要温度に昇温することができるハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の上流側に、金属製のヒーター(電気加熱式触媒装置用メタル担体)を設置して、排ガスを昇温させる方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、セラミック製のハニカム構造体を「加熱可能な触媒担体」として使用することが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136319号公報
【特許文献2】特開平8−131840号公報
【特許文献3】国際公開第2011/125815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなヒーターを、自動車に搭載して使用する場合、自動車の電気系統に使用される電源が共通で使用され、例えば200Vという高い電圧の電源が用いられる。しかし、金属製のヒーターは、電気抵抗が低いため、このような高い電圧の電源を用いた場合、過剰に電流が流れ、電源回路を損傷させることがあるという問題があった。
【0008】
また、特許文献3に記載のハニカム構造体は、所定の電気抵抗率のセラミック製であるため、通電により、電源回路の損傷等もなく、均一に(温度分布の偏りなく)発熱するものであった。特許文献3に記載のハニカム構造体は、通電発熱式の触媒担体として優れたものである。一方で、ハニカム構造体全体に均一に電流を流そうとするものであるため、排ガスの流量が多い中心部付近を効率的に加熱するという点で、改良の余地があった。更に具体的には、特許文献3に記載のハニカム構造体は、柱状のハニカム構造部の側面に電極が配設されているため、通電時、外周部から中央部に向けて発熱が進行する。そのため、「中央部を、浄化性能を確保するために必要な温度まで昇温する」のに必要な時間を、短くするという点で改良の余地があった。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、電圧を印加して排ガスを浄化する際に、短時間で中央部まで、必要温度に昇温することができるハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
【0011】
[1] 流体の流路となり一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、外周に位置する外周壁とを有する柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、中心から、外周に向かって中心から外周までの長さの10%の位置まで、の領域を中央部とし、且つ、外周から、中心に向かって外周から中心までの長さの10%の位置まで、の領域を外周部としたときに、前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.70〜0.95倍であり、触媒担体であるハニカム構造体。
【0012】
[2] 前記ハニカム構造部において、前記中央部と前記外周部との間の領域を中間部としたときに、前記中間部の開口率が、前記中央部の開口率以上、前記外周部の開口率以下である[1]に記載のハニカム構造体。
【0013】
[3] 前記中央部の前記隔壁の厚さが、前記外周部の前記隔壁の厚さの1.0〜2.0倍である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0014】
[4] 前記ハニカム構造部及び前記電極部が、炭化珪素を含む材料により形成されている[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0015】
[5] 前記中央部のセル密度が、前記外周部のセル密度の1.0〜1.5倍である[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0016】
[6] 前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.75〜0.90倍である[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0017】
[7] 前記中央部の開口率が、前記外周部の開口率の0.80〜0.85倍である[6]に記載のハニカム構造体。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体を有する排ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明のハニカム構造体は、中央部の開口率が外周部の開口率の0.70〜0.95倍である。そのため、中央部の電気抵抗率が外周部の電気抵抗率より低くなり、ハニカム構造体に電圧を印加したときに中央部に多くの電流が流れ、中央部が従来よりも早く発熱するようになる。これにより、ハニカム構造体に電圧を印加して排ガスを浄化する際に、短時間で中央部まで、必要温度に昇温することができる。そして、外周部よりも多くの排ガスが流れる中央部において、効果的に排ガスの処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図3】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図4】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図5】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図6】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0021】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1図4に示すように、柱状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面5に配設された一対の電極部6,6とを備えるものである。ハニカム構造部4は、流体の流路となり「一方の端面である第1端面11から他方の端面である第2端面12まで延びる」複数のセル2を、区画形成する多孔質の隔壁1と、外周7に位置する外周壁3とを有するものである。そして、ハニカム構造部4の電気抵抗率は、1〜200Ωcmである。そして、一対の電極部6,6のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部6,6における一方の電極部6が、一対の電極部6,6における他方の電極部6に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そして、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面において、中心Oから、「外周7に向かって、中心Oから外周7までの長さの10%の位置」まで、の領域を中央部21とする。更に、外周7から、「中心Oに向かって、外周7から中心Oまでの長さの10%の位置」まで、の領域を外周部22とする。そのときに、中央部21の開口率が、外周部22の開口率の0.70〜0.95倍である。ここで、「開口率」とは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面において、セルの面積を、隔壁とセルのそれぞれの面積の合計で除して得られた値(セル面積合計/(セル面積合計+隔壁面積合計))を、百分率で表した値である。つまり、各領域の「開口率」は、該当する領域における「開口率」の平均値であるということもできる。図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。図4は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。尚、図3図4においては、隔壁が省略されている。
【0022】
このように、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が1〜200Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。また、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部6,6のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部6,6における一方の電極部6が、一対の電極部6,6における他方の電極部6に対して、ハニカム構造部4の中心を挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部6,6間に電圧を印加したときの、ハニカム構造部4の温度分布の偏りを抑制することができる。尚、中央部21の温度と、外周部22の温度とは、異なっていてもよい。「ハニカム構造部4の温度分布の偏り」とは、局所的に温度が高くなっていたり、局所的に温度が低くなっていたりすることを意味する。
【0023】
更に、本実施形態のハニカム構造体100は、中央部21の開口率が外周部22の開口率の0.70〜0.95倍である。そのため、中央部21の電気抵抗率が外周部22の電気抵抗率より低くなり、ハニカム構造体100に電圧を印加したときに中央部21に多くの電流が流れ、中央部21が早く発熱するようになる。これにより、ハニカム構造体100に電圧を印加して排ガスを浄化する際に、短時間で中央部21まで、必要温度に昇温することができる。そして、外周部22よりも多くの排ガスが流れる中央部21において、効果的に排ガスの処理を行うことができる。更に、中央部を必要温度まで昇温する際の熱量も、少なくすることができる。
【0024】
ここで、「セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部6,6における一方の電極部6が、一対の電極部6,6における他方の電極部6に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設される」の意味は以下の通りである。まず、セル2の延びる方向に直交する断面において、「一方の電極部6の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を第1線分xとする。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、「他方の電極部6の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を第2線分yとする。そのとき、第1線分xと第2線分yとにより形成される角度β(「中心O」を中心とする角度(図4を参照))が、170°〜190°の範囲となるような位置関係になるように、一対の電極部6,6がハニカム構造部4に配設されていることを意味する。また、「電極部6の中心角α」は、図4に示されるように、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部6の両端とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度である。また、「電極部6の中心角α」は、以下のようにいうこともできる。まず、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部6の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分」を第3線分zとする。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、「同じ電極部6の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分」を第4線分wとする。そのとき、「電極部6の中心角α」は、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部6」と、第3線分zと、第4線分wとにより形成される形状(例えば、扇形)における、中心Oの部分の内角である。
【0025】
本実施形態のハニカム構造体100において、中央部21の開口率は、上記のように、外周部22の開口率の0.70〜0.95倍である。そして、中央部21の開口率は、外周部22の開口率の0.75〜0.90倍であることが好ましく、0.80〜0.85倍であることが更に好ましい。中央部21の開口率が、外周部22の開口率の0.70倍より小さいと、中央部21の圧力損失が大きくなり、排ガスが流れ難くなる。中央部21の開口率が、外周部22の開口率の0.95倍より大きいと、ハニカム構造体100に電圧を印加して排ガスを浄化する際に、短時間で中央部21まで、必要温度に昇温することができなくなる。中央部21及び外周部22の開口率の比については上記の通りであるが、このとき、中央部21及び外周部22のそれぞれの開口率は、以下のとおりである。中央部21の開口率は50〜80%が好ましく、55〜75%が更に好ましく、60〜70%が特に好ましい。50%より小さいと圧力損失が大きくなることがある。80%より大きいと、中央部21の開口率を外周部22の開口率よりも小さくすることが難しくなることがある。外周部22の開口率は55〜85%が好ましく、60〜80%が更に好ましく、65〜75%が特に好ましい。55%より小さいと、外周部22の開口率を中央部21の開口率よりも大きくすることが難しくなることがある。85%より大きいと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。
【0026】
本実施形態のハニカム構造体100において、中央部21の開口率を外周部22の開口率よりも小さくする(0.70〜0.95倍にする)ために、中央部21の隔壁の厚さを外周部22の隔壁の厚さよりも厚くすることが好ましい。このとき、中央部21の隔壁1の厚さが、外周部22の隔壁1の厚さの1.0〜2.0倍であることが好ましく、1.2〜1.8倍であることが更に好ましく、1.4〜1.7倍であることが特に好ましい。1.0倍より薄いと、電圧印加時の、中央部21の昇温速度を向上させ難くなることがある。2.0倍より厚いと、中央部21の圧力損失が大きくなり、排ガスが流れ難くなることがある。
【0027】
また、中央部21の開口率を外周部22の開口率よりも小さくする(0.70〜0.95倍にする)ために、中央部21のセル密度を外周部22のセル密度よりも大きくすることが好ましい。このとき、中央部21のセル密度は、外周部22のセル密度の1.0〜1.5倍であることが好ましく、1.0〜1.4倍であることが更に好ましく、1.05〜1.3倍であることが特に好ましい。1.0倍より小さいと、電圧印加時の、中央部21の昇温速度を向上させ難くなることがある。1.5倍より大きいと、中央部21の圧力損失が大きくなり、排ガスが流れ難くなることがある。
【0028】
図6に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、セルの延びる方向に直交する断面において、中央部の隔壁1の交点部分13に、R部14が形成されていることも好ましい態様である。R部14は、交点部分13において、表面が「内側に凹む円弧状」に形成されるように、肉厚に形成された部分である。R部14によって、隔壁1の交点部分13の隔壁1表面が、円弧状に滑らかに繋がった状態になる。また、隔壁1の交点部分13がR部14を有する場合、セル2の断面形状における角部が、頂点ではなく、円弧状になる。このように、中央部の隔壁1の交点部分13にR部14を形成することにより、中央部の開口率を小さくすることができる。また、中央部及び外周部の両方において隔壁1の交点部分13を厚くし、中央部において、外周部よりも、隔壁1の交点部分13の厚さを、より厚くしてもよい。R部14の円弧の半径は、0.05〜0.6mmが好ましい。図6は、本実施形態のハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
【0029】
また、上記隔壁厚さ、セル密度、及び隔壁の交点部分の厚さの、それぞれの条件を組み合わせて、中央部21の開口率を外周部22の開口率よりも小さくする(0.70〜0.95倍にする)ことも好ましい態様である。
【0030】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4の中央部21と外周部22との間の領域を中間部25としたときに、中間部25の開口率が、中央部21の開口率以上、外周部22の開口率以下であることが好ましい。中間部25の開口率が、中央部21の開口率より低い値であると、中間部25に多くの電流が流れ、中央部21の昇温速度が低下することがある。中間部25の開口率が、外周部22の開口率より高い値であると、耐熱衝撃性が低下することがある。
【0031】
本実施形態のハニカム構造体100は、中央部21の隔壁1の厚さが100〜310μmであることが好ましく、130〜250μmであることが更に好ましく、150〜230μmであることが特に好ましい。隔壁1の厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁1の厚さが100μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。隔壁1の厚さが310μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0032】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4全体が同じ材料であることが好ましい。ハニカム構造部4を構成する材料が、ハニカム構造部4における場所(部分)によって異なっていると、当該材料を異ならせるための操作や工程が必要になる。これに対し、ハニカム構造部4全体が同じ材料であると、略均一に調合した成形原料を押出成形してハニカム成形体を作製し、ハニカム成形体の材料に手を加えることなく焼成し、ハニカム構造体100を得ることができる。そのため、ハニカム構造体100の製造が容易である。本実施形態のハニカム構造体100は、このようにハニカム構造部4全体が同じ材料であっても、電圧を印加した際に、中央部21を早く昇温させることができる。また、本実施形態のハニカム構造体100において、中央部21を構成する材料の電気抵抗率は、外周部22を構成する材料の電気抵抗率と同じであることが好ましい。これにより、ハニカム構造体100の作製において、材料を異ならせるための操作や工程が必要なくなる。
【0033】
本実施形態のハニカム構造体100は、中央部21のセル密度が60〜125セル/cmであることが好ましく、75〜115セル/cmであることが更に好ましく、85〜110セル/cmであることが好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が60セル/cmより低いと、触媒担持面積が少なくなることがある。セル密度が125セル/cmより高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0034】
本実施形態のハニカム構造体100の、セルの延びる方向に直交する断面において、ハニカム構造部4の外周形状(外周部22の外周形状)と、中央部21の外周形状及び外周部22の内周の形状が相似形であることが好ましい。例えば、図1図3に示されるように、ハニカム構造部4の外周形状が円形である場合、中央部21の外周形状及び外周部22の内周形状も円形であることが好ましい。
【0035】
本実施形態のハニカム構造体100において、セル2の延びる方向に直交する断面における、中央部21を含む中央側の領域を中央側領域23とし、外周部22を含む外周側の領域を外周側領域24とする。このとき、中央側領域23の開口率が中央部21の開口率と同じであり、外周側領域24の開口率が外周部22の開口率と同じであることも、好ましい態様である。更に、図1図3に示されるように、「中央部21の開口率と同じ開口率」の中央側領域23と、「外周部22の開口率と同じ開口率」の外周側領域24とが、接するように形成されている態様も、好ましい態様である。中央側領域23と外周側領域24とが接すように形成された態様とは、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面が、中央側に位置する中央側領域23と外周側に位置する外周側領域24との、2つの領域に二分された態様のことである。また、「中央部21の開口率と同じ開口率」の中央側領域23と、「外周部22の開口率と同じ開口率」の外周側領域24との間に、中央部21の開口率と外周部22の開口率との間の値の開口率を有する、中間的な領域である中間領域26が形成されていてもよい(図5参照)。また、本実施形態のハニカム構造体100の、セル2の延びる方向に直交する断面において、中間部25の開口率は、中間部25内において一定でも良いが、中央部21に接する部分から外周部22に接する部分に向けて、段階的に変化してもよい。また、中央側領域23は、開口率が段階的に変化してもよいし連続的に変化してもよい。また、外周側領域24も、開口率が段階的に変化してもよいし連続的に変化してもよい。更に、中央側領域23と外周側領域24の開口率は、両方が連続的に変化してもよいし、両方が段階的に変化してもよいし、一方のみが連続的に変化してもよいし、一方のみが段階的に変化してもよい。更に、中央部21は、開口率が一定でもよく変化を設けてもよい。変化を設ける場合には、開口率が段階的に変化してもよいし連続的に変化してもよい。また、外周部22も、開口率が一定でもよく変化を設けてもよい。変化を設ける場合には、開口率が段階的に変化してもよいし連続的に変化してもよい。更に、中央部21と外周部22の開口率は、両方が連続的に変化してもよいし、両方が段階的に変化してもよいし、一方のみが連続的に変化してもよいし、一方のみが段階的に変化してもよい。また、中間部25は、中央部21に接する部分から外周部22に接する部分に向けて、連続的に開口率が変化してもよい。図5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。図5においては、隔壁は省略されている。
【0036】
ハニカム構造部の側面に帯状の電極部を有する通電発熱式(ハニカム構造部が通電により発熱するもの)のハニカム構造体は、電極部周辺の熱応力が大きくなる傾向にある。これにより、耐熱衝撃性という点で、更に改良の余地があった。これに対し、本実施形態のハニカム構造体100は、上記のように、中央部21の開口率が、外周部22の開口率の0.70〜0.95倍であるため、外周部22のヤング率が低くなっており、電極部6周辺の熱応力を低減する効果を有している。このように、本実施形態のハニカム構造体100は、外周部22のヤング率が低くなっており、電極部6周辺の熱応力が低減されるため、耐熱衝撃性の高いものである。
【0037】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4及び電極部6は、炭化珪素を含む材料により形成されていることが好ましい。炭化珪素を含む材料としては、珪素−炭化珪素複合材料、炭化珪素等を主成分とする材料を挙げることができる。これらの中でも珪素−炭化珪素複合材料を主成分とする材料が更に好ましい。そして、ハニカム構造部4及び電極部6を構成する材料は、珪素−炭化珪素複合材料を95質量%以上含有する材料であることが特に好ましい。本明細書において、「材料が、珪素−炭化珪素複合材料である」という場合、「珪素−炭化珪素複合材料」を95質量%以上含有することを意味する。ここで、「主成分」とは、全体の90質量%以上含有されている成分のことをいう。珪素−炭化珪素複合材料は、複数の炭化珪素粒子が、金属珪素によって結合された材料である。珪素−炭化珪素複合材料は、「複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に気孔が形成されるように金属珪素によって結合されている」ことにより、多孔質であることが好ましい。このような材質を用いることにより、ハニカム構造部4の電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。ハニカム構造部4の電気抵抗率は、400℃における値である。また、ハニカム構造部4及び電極部6が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極部6の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ成分又は近い成分となるため、電極部6とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ値又は近い値になる。また、材質が同じもの又は近いものになるため、電極部6とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体100に熱応力がかかっても、電極部6がハニカム構造部4から剥れたり、電極部6とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
【0038】
ハニカム構造部4が珪素−炭化珪素複合材料である場合、珪素−炭化珪素複合材料中の金属珪素の含有率は、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。10質量%より少ないと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が高くなりすぎることがある。50質量%より多いと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が低くなりすぎることがある。
【0039】
本実施形態のハニカム構造体100は、図1図4に示されるように、ハニカム構造部4の側面5に一対の電極部6,6が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部6,6間に電圧を印加することにより、発熱する。印加する電圧は12〜900Vが好ましく、64〜600Vが更に好ましい。
【0040】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4を形成する材料が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜50μmであることが好ましい。そして、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜40μmであることが更に好ましい。ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、ハニカム構造部4の400℃における電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径が3μmより小さいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が大きくなることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が小さくなることがある。更に、炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム成形体を押出成形するときに、押出成形用の口金に成形原料が詰まることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0041】
ハニカム構造部4の隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましく、35〜45%であることが更に好ましい。気孔率が、35%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうことがある。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下することがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0042】
ハニカム構造部4の隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、電気抵抗率が大きくなりすぎることがある。平均細孔径が15μmより大きいと、電気抵抗率が小さくなりすぎることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0043】
本実施形態のハニカム構造体100の形状(ハニカム構造部4の形状)は特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体100(ハニカム構造部4)の大きさは、底面の面積が2000〜20000mmであることが好ましく、4000〜10000mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体100(ハニカム構造部4)の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造部4の端面の直径が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向における長さの3倍以下であることが好ましく、0.5〜2.5倍であることが更に好ましく、0.8〜2.0倍であることが特に好ましい。ハニカム構造部4の端面の直径が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向における長さの3倍超であると、ハニカム容積が小さくなり、充分な排ガス浄化性能を発揮できる量の触媒を、担持できなくなることがある。
【0044】
また、本実施形態のハニカム構造体100のハニカム構造部4の外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁の面積が小さくなることがある。
【0045】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形、六角形、八角形、又はこれらの中のいずれかの組み合わせ、であることが好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0046】
図1図4に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部6,6のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる「帯状」に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部6,6における一方の電極部6が、一対の電極部6,6における他方の電極部6に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。このように、本実施形態のハニカム構造体100は、電極部6が帯状に形成され、電極部6の長手方向が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向であり、一対の電極部6,6がハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部6,6間に電圧を印加した時に、中央部21及び外周部22のそれぞれを流れる電流の偏りを抑制することができ、これにより中央部21及び外周部22のそれぞれにおける発熱の偏りを抑制することができる。
【0047】
そして、更に、セル2の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部6,6の中心角αの0.5倍(中心角αの0.5倍の角度θ)が、15〜65°であることが好ましい。更に、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部6,6の「中心角αの0.5倍の角度θ」の上限値は、60°が好ましく、55°が更に好ましい。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部6,6の「中心角αの0.5倍の角度θ」の下限値は、20°が好ましく、30°が更に好ましい。また、一方の電極部6の「中心角αの0.5倍の角度θ」は、他方の電極部6の「中心角αの0.5倍の角度θ」に対して、0.8〜1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極部6,6間に電圧を印加した時に、中央部21及び外周部22のそれぞれを流れる電流の偏りを抑制することができ、これにより中央部21及び外周部22のそれぞれにおいて、発熱の偏りを抑制することができる。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部6の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の中央部21の電気抵抗率より低いものであることが好ましい。更に、電極部6の電気抵抗率が、ハニカム構造部4の中央部21の電気抵抗率の、20%以下であることが更に好ましく、1〜10%であることが特に好ましい。電極部6の電気抵抗率を、ハニカム構造部4の中央部21の電気抵抗率の、20%以下とすることにより、電極部6が、より効果的に電極として機能するようになる。
【0049】
電極部6の厚さは、0.01〜5mmであることが好ましく、0.01〜3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、中央部21及び外周部22のそれぞれを、より均一に発熱することができる。電極部6の厚さが0.01mmより薄いと、電気抵抗が高くなり均一に発熱できないことがある。5mmより厚いと、キャニング時に破損することがある。
【0050】
図1図2に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部6,6のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びると共に「両端部間(両端面11,12間)に亘る」帯状に形成されている。このように、本実施形態のハニカム構造体100では、一対の電極部6,6が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように配設されている。これにより、一対の電極部6,6間に電圧を印加した時に、中央部21及び外周部22のそれぞれを流れる電流の偏りを、より効果的に抑制することができる。ここで、「電極部6が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように形成(配設)されている」というときは、以下のことを意味する。つまり、電極部6の一方の端部がハニカム構造部4の一方の端部(一方の端面)に接し、電極部6の他方の端部がハニカム構造部4の他方の端部(他方の端面)に接していることを意味する。
【0051】
一方、電極部6の「ハニカム構造部4のセル2の延びる方向」における少なくとも一方の端部が、ハニカム構造部4の端部(端面)に接していない(到達していない)状態も好ましい態様である。これにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態のハニカム構造体100においては、例えば、図1図4に示されるように、電極部6は、平面状の長方形の部材を、円柱形状の外周に沿って湾曲させたような形状となっている。ここで、湾曲した電極部6を、湾曲していない平面状の部材に変形したときの形状を、電極部6の「平面形状」と称することにする。上記、図1図4に示される電極部6の「平面形状」は、長方形になる。そして、「電極部の外周形状」というときは、「電極部の平面形状における外周形状」を意味する。
【0053】
本実施形態のハニカム構造体100においては、帯状の電極部6の外周形状が、長方形の角部が曲線状に形成された形状であってもよい。このような形状にすることにより、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を向上させることができる。また、帯状の電極部6の外周形状が、長方形の角部が直線状に面取りされた形状であることも好ましい態様である。このような形状にすることにより、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0054】
電極部6の電気抵抗率は、0.1〜100Ωcmであることが好ましく、0.1〜50Ωcmであることが、更に好ましい。電極部6の電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、一対の電極部6,6が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部6の電気抵抗率が0.1Ωcmより小さいと、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部6の両端付近のハニカム構造部4の温度が上昇し易くなることがある。電極部6の電気抵抗率が100Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たし難くなることがある。電極部6の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0055】
電極部6は、気孔率が30〜60%であることが好ましく、30〜55%であることが更に好ましい。電極部6の気孔率がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部6の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極部6の気孔率が、60%より高いと、電気抵抗率が高くなりすぎることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0056】
電極部6は、平均細孔径が5〜45μmであることが好ましく、7〜40μmであることが更に好ましい。電極部6の平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部6の平均細孔径が、5μmより小さいと、電気抵抗率が高くなりすぎることがある。電極部6の平均細孔径が、45μmより大きいと、電極部6の強度が弱くなり破損し易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0057】
電極部6の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合に、電極部6に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極部6に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極部6の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲で制御することができる。電極部6に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μmより小さいと、電極部6の電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。電極部6に含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μmより大きいと、電極部6の強度が弱くなり破損し易くなることがある。電極部6に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0058】
電極部6の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合に、電極部6に含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部6に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましい。そして、電極部6に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極部6に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、電極部6の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲にすることができる。電極部6に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、電気抵抗率が大きくなりすぎることがあり、40質量%より大きいと、製造時に変形し易くなることがある。
【0059】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることが更に好ましい。アイソスタティック強度は、値が大きいほど好ましいが、ハニカム構造体100の材質、構造等を考慮すると、6MPa程度が上限となる。アイソスタティック強度が1MPa未満であると、ハニカム構造体100を触媒担体等として使用する際に、破損し易くなることがある。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0060】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
本発明のハニカム構造体を製造する方法は、特に限定されるものではない。本発明のハニカム構造体は、公知の方法を用いて、例えば、押出成形時に使用する口金の構造を調整することにより、製造することができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミック原料を調製した。そして、セラミック原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であった。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0063】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、図1に示すハニカム構造体100を構成するハニカム構造部4と同様の形状のハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体は、中央側領域23に相当する「隔壁の厚さが厚く形成された」部分と、外周側領域24に相当する「隔壁の厚さが中央側領域23に対して薄く形成された」部分とを備えた形状とした。ハニカム成形体の形状は、口金の形状により調整した。
【0064】
得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
【0065】
その後、ハニカム乾燥体を、脱脂(仮焼)し、焼成し、更に酸化処理してハニカム焼成体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
【0066】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であり、グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であり、界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0067】
次に、電極部形成原料を、ハニカム焼成体の側面に、厚さが0.15mm、「セルの延びる方向に直交する断面において中心角の0.5倍が50°」になるようにして、ハニカム焼成体の両端面間に亘るように帯状に塗布した。電極部形成原料は、ハニカム焼成体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に配置されるようにした。
【0068】
次に、ハニカム焼成体に塗布した電極部形成原料を乾燥させて、未焼成電極付きハニカム焼成体を得た。乾燥温度は、70℃とした。
【0069】
その後、未焼成電極付きハニカム焼成体を、脱脂(仮焼)し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、酸化雰囲気下、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、酸化雰囲気下、1300℃で1時間とした。
【0070】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは75mmであった。また、得られたハニカム構造体のアイソスタティック強度は2.5MPaであった。アイソスタティック強度は水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。また、ハニカム構造体の、2つの電極部の、セルの延びる方向に直交する断面における中心角の0.5倍は、50°であった。また、2つの電極部の厚さは、いずれも1.5mmであった。
【0071】
また、中央部の開口率は、外周部の開口率の0.95倍であった。また、ハニカム構造体は、図1に示されるハニカム構造体100のように、セルの延びる方向に直交する断面において、中央側領域と外周側領域とが接する構造であった。また、ハニカム構造体の、中央側領域の隔壁の厚さは152μmであり、外周側領域の隔壁の厚さは127μmであった。また、ハニカム構造体の、中央側領域のセル密度は93.0セル/cmであり、外周側領域のセル密度は93.0セル/cmであった。また、セルの延びる方向に直交する断面において、セル形状は正六角形であった。セルピッチは、1.11mmであった。セルピッチは、隣接する平行な隔壁(正六角形の向かい合う2つの辺、を構成する隔壁)の、厚さ(隔壁厚さ)方向における中央部分間の距離である。尚、隔壁の厚さ方向における中央部分は、隔壁の厚さ方向における中央の位置である。また、電極部の電気抵抗率は、1.3Ωcmであった。中央部の隔壁の交点部分はR部が形成されており、R部の円弧の半径は0.3mmであった。また、外周部の隔壁の交点部分にもR部が形成されており、R部の円弧の半径は0.3mmであった。また、中央部の開口率は71.8%であり、外周部の開口率は75.8%であった。
【0072】
得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で「通電性能」及び「耐熱衝撃性」を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
表1において、「リブ厚(μm)」は、隔壁の厚さ(μm)を示す。また、「セル密度(セル/cm)」は、セルの延びる方向に直交する断面における、単位面積(cm)当たりのセル数を示す。また、「交点R(mm)」は、R部の円弧の半径を示す。また、「開口率」は、セルの延びる方向に直交する断面において、セルの面積を、隔壁とセルのそれぞれの面積の合計で除して得られた値(セル面積合計/(セル面積合計+隔壁面積合計))を、百分率で表した値を示す。また、開口率比は、外周部の開口率に対する、中央部の開口率の比の値(中央部の開口率/外周部の開口率)を示す。
【0074】
(通電性能)
ハニカム構造体に5kWの電力で通電試験を行う。そして、その際のハニカム構造部の中心の温度を測定する。ハニカム構造部の中心温度が300℃に達するまでの通電時間を計測し、必要な熱量(kJ)の比較を行う。熱量は、「熱量=投入電力(kW)×通電時間(sec)」の式で算出する。
【0075】
(耐熱衝撃性試験(バーナー試験))
「ハニカム構造体を収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機」を用いてハニカム構造体の加熱冷却試験を実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、ハニカム構造体にクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたハニカム構造体を収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で900℃まで昇温し、900℃で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、ハニカム構造体のクラックを確認した。クラックが確認されなかった場合、耐熱衝撃性試験合格とし、クラックが確認された場合、耐熱衝撃性試験不合格とする。
【0076】
【表1】
【0077】
(実施例2〜12、比較例1,2)
各条件を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。表1において、「Re−SiC」は、「再結晶SiC」を意味し、炭化珪素を再結晶させることにより作製したものである。実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体の「通電性能」及び「耐熱衝撃性」の測定を行った。結果を表1に示す。
【0078】
表1より、実施例1〜12のハニカム構造体は、中央部の開口率が、外周部の開口率の0.70〜0.95倍であるため、中央部の温度上昇が速く、必要熱量も少ないことがわかる。また、実施例1〜12のハニカム構造体は、中央部の開口率が、外周部の開口率の0.70〜0.95倍であるため、耐熱衝撃性に優れていることがわかる。また、実施例10のハニカム構造体は、中央部のセル密度が高いため、触媒を担持して排ガスを通じたときに、実施例9のハニカム構造体と比較して、圧力損失の増加が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のハニカム構造体は、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化装置用の触媒担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、6:電極部、7:外周、11:第1端面、12:第2端面、13:交点部分、14:R部、21:中央部、22:外周部、23:中央側領域、24:外周側領域、25:中間部、26:中間領域、100,200:ハニカム構造体、O:中心、α:中心角、β:角度、θ:中心角の0.5倍の角度、x:第1線分、y:第2線分、z:第3線分、w:第4線分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6