(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6438970
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】血管及び腹膜アクセスのための器具、並びに血液透析用器具
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
A61M1/36 141
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-554845(P2016-554845)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公表番号】特表2017-512094(P2017-512094A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】SE2015000014
(87)【国際公開番号】WO2015137859
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】1400131-7
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】516259882
【氏名又は名称】トランスクタン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065651
【弁理士】
【氏名又は名称】小沢 慶之輔
(72)【発明者】
【氏名】ランドグレン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ニーマン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アンカブランス モルガン
【審査官】
細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0116316(US,A1)
【文献】
特表2013−526990(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0249361(US,A1)
【文献】
特開2001−333976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61M 1/28
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈または腹膜へのアクセス器具であって、
遠位開口(11’)および近位開口(11”)を有する空隙を含むハウジング(2)と、
前記近位開口(11”)を通って前記ハウジング(2)へ挿入するためのインサート(3、103)であって、遠位面(14)および近位面(15)を有するインサート(3、103)と、
静脈または腹膜のアクセス部分(44,45)であって、該アクセス部分(44,45)の近位端で前記インサート(3)の前記遠位面(14)に取り付けられるアクセス部分(44,45)と、
前記インサート(3)の前記近位面(15)の円筒形状の窪み(16)内に取り付け可能になっている円筒形状のバルブ部材(4)と、
前記インサートに含まれ、前記近位面(15)の前記円筒形状の窪み(16)から前記遠位面(14)まで延在する1つまたは複数のインサート導管(12,13)とを備え、
前記円筒形状の窪み(16)と前記円筒形状のバルブ部材(4)との組合せにより形成されたバルブが、前記円筒形状のバルブ部材(4)の回転によって、開閉可能になっており、
前記ハウジング(2)を移植する際に、前記遠位開口(11’)は、患者の軟質組織に面するように配置され、前記近位開口(11”)は患者の外部に配置されるようになっており、
静脈または腹膜のアクセス部分(44,45)とともに前記インサート(3)は、前記アクセス部分(44,45)を最初に前記近位開口(11”)に挿入し、そして前記アクセス部分(44,45)を前記遠位開口(11’)を通過させることにより、前記ハウジングに取り付け可能になっている、アクセス器具。
【請求項2】
前記バルブ部材(4)は、1つまたは複数の導管(17、18)を有し、該1つまたは複数の導管(17、18)は、前記バルブが開位置にあるときに前記1つまたは複数のインサート導管(12,13)と連通するようになっている、請求項1に記載されたアクセス器具。
【請求項3】
前記器具(1)が、身体外のカップリング部材(5)を備え、該カップリング部材は、前記バルブ部材(4)のバルブ部材窪み(21)に取り付け可能になっている遠位末端部分(22)を有し、前記カップリング部材(5)は、結合位置において、遠位開口で前記バルブ部材(4)のそれぞれの前記1つまたは複数の導管(17,18)と流体連通するように設計された1つまたは複数のカップリング部材導管(23,24)を有する、請求項2に記載されたアクセス器具。
【請求項4】
前記アクセス器具が、前記バルブ部材(4;104)の閉位置のときのみ挿入および引き抜きが可能になるように、前記カップリング部材(5;105)の前記バルブ部材窪み(21;121)への挿入を制御する挿入制御手段を備え、該挿入制御手段は、回転制限要素(6)に備えられている、請求項3に記載されたアクセス器具。
【請求項5】
前記回転制限要素(6)は、前記カップリング部材(5;105)の回転を限定する手段である、請求項4に記載されたアクセス器具。
【請求項6】
前記回転制限要素(6)は、該回転制限要素(6)の中央穴(34)の遠位領域(32、33)に設けられた1つまたは複数のショルダー(26、26’)を備え、該ショルダー(26、26’)は、前記カップリング部材(5;105)の円筒状部分(27)に設けられた1つまたは複数のラグ(25,25’)と共働するようになっている、請求項5に記載されたアクセス器具。
【請求項7】
前記挿入制御手段は、前記中央穴(34)の壁に軸方向に延びる1つまたは複数の溝(28,29)を有し、該溝は前記カップリング部材(5;105)のラグと(25,25’)と共働するようになっており、前記カップリング部材(5;105)の完全挿入は前記バルブ部材(4;104)の閉位置のときのみ可能になっている、請求項6に記載されたアクセス器具。
【請求項8】
前記回転制限要素(6)は、前記ハウジング(2)の近位体外面(35)に脱着可能なカバー(7)に備えられる、請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載されたアクセス器具。
【請求項9】
前記カバー(7)は、遮蔽体および前記回転制限要素(6)を一体化する取付け部材を備える、請求項8に記載されたアクセス器具。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載されたアクセス器具(101)用のインサート(103)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管アクセス(access)、特に静脈アクセス、のための器具、例えば血液透析用の器具、及び腹膜アクセスのための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
腎臓移植を受けない末期段階の腎臓欠陥を有する患者は、血液透析(HD)又は腹膜透析(PD)を受けなければならない。血液透析において、老廃物及び余分な流体は特殊な種類のフィルターで除去される。血管アクセスは、血液を引き出し、そしてそれを精製した状態で患者に戻すために必要とされる。腹膜透析において、透析溶液は、カテーテルにより腹部に注入される。透析溶液中には血液からの廃棄物及び余分の流体が蓄積し、該廃棄物及び余分の流体は該透析溶液を流し出すことにより引き抜かれる。
【0003】
両方の透析様式には、慢性的な身体内アクセスの要件は、挑戦を提起し、そして高レベルの死亡率を伴う。
【0004】
腹膜透析においては、標準的なカテーテルが使用される。該カテーテルはポリエステルカフを有し、該カフは瘢痕組織と同化して、該カテーテルを所定の位置に保持する。該カテーテルは透析期間の間皮膚から突き出ているので、それはしばしば変位し、そのことは傷の刺激と感染の危険性を増大する。
【0005】
3つのアクセス方法が血液透析に利用可能である:
a)動静脈フィスチュラ(瘻孔)(AVフィスチュラ);b)動静脈グラフト(移植片)(AVグラフト);及びc)静脈カテーテル(VC)。好ましい方法では、AVフィスチュラの提供は長期間の計画が必要である。何故なら、使用可能なフィスチュラは時間経過でのみ発展し、まれな事例では成長に2年ほどもかかり得る。他方、適正に成長したフィスチュラは他の種類のAVアクセス法よりも血塊を形成しにくいか又は感染されにくい。全透析患者の約70%は最後にはAVフィスチュラになる。患者がフィスチュラに適正に発展しないであろう小さい静脈を有するなら、合成管又はグラフトを使用して動脈を静脈と結合する血管アクセスを皮膚の下に挿入できる。適正に形成されたフィスチュラと比べて、グラフトは一層閉塞及び感染の問題を有する傾向がある。フィスチュラよりもより早く置換されそしてより少なく使用されるような要請がある。
【0006】
腎臓疾患が迅速に進行するなら、透析を開始する前に恒久的血管アクセスを得るに充分な時間がないであろう。それで、一時的手段として、静脈カテーテルを使用する必要があるかもしれない。カテーテルを首、胸又は股間近くの脚の静脈に挿入する。カテーテルは、血液を2つの方向、即ち、静脈への方向及び静脈からの方向、に行かせる2つの室又は導管を有する。カテーテルが一旦置かれると、針の挿入は最早必要でない。しかしながら、カテーテルは恒久的手段としては理想的でない。それは閉塞し、感染し、そしてカテーテルが置かれた静脈の狭まり及び刺激を引き起こす。
【0007】
恒久的カテーテルを用いた前記の問題にかかわらず、全血液透析患者の約20−30%は慢性的手段として該カテーテルで最後を迎える。2009年のFDA年間登録報告は「カテーテル使用を低減するための進行中の構想にかかわらず、....カテーテルに使用は2003年以来、17-18%のままである」と述べている。
【0008】
PDカテーテルと同様、アクセスチューブの頻繁な変位は感染と傷刺激という増大した危険性を誘発する。バクテリア又はかび菌感染への別の危険性は、流体の注入/引き抜きのための、膜を含む点検口の使用により構成される。従って、皮下注射針又は類似物による貫通に意図された膜は、恒久的に取り付けられた/組織に一体化された静脈点検口においては避けるべきである。
【0009】
前記の観点から、血液透析用の恒久的血管アクセスのための改良された器具の提供が非常に望まれている。
【0010】
単一の管腔血管アクセスのため、例えば血液流への繰り返し注入のため、特に栄養、薬品、ビタミン、及び塩類の溶液又は懸濁液の注入のため、の改良された器具の提供もまた望まれている。
【0011】
恒久的血管アクセス、例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、及び9に開示されたもの、が当業界で知られている。
【0012】
更に、腹膜アクセスのため、例えば腹膜透析又は腹膜を介して患者に薬物を投与するため、例えば皮下インスリンに良く反応しないI型糖尿病患者にインスリンを投与するため、の改良された器具の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO 92/21403 A,
【特許文献2】WO 92/13590 A,
【特許文献3】WO 99/20338 A,
【特許文献4】WO 2009/002839 A1,
【特許文献5】US 7708722 B2
【特許文献6】US 7846139 B2
【特許文献7】US 7772314 B2
【特許文献8】US 8079987 B2
【特許文献9】US 8282610 B2,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、恒久的な血管、特に静脈、又は腹膜アクセスのための器具であって、下記の特徴の1つ又はそれ以上を含む器具を提供することである:
−手術により患者に、一部は身体内、一部は身体外に設置できるように恒久的に取り付け可能である;
−組織一体化のための材料又は表面を含む;
−該器具のハウジングを取り外す必要なく、血管、特に静脈、のアクセス部分、例えば静脈カテーテル、又は腹膜アクセス部分、例えば腹膜カテーテル、を容易に交換できる;
−静脈又は腹膜アクセス部分、例えば静脈又は腹膜カテーテル、を容易に静脈、特に容易に視覚位置にない深い位置の静脈、に容易に挿入できる;
−透析装置若しくはその他の血液処理装置と、又は非透析の用途、特に薬品、栄養物、塩類及びビタミンの水溶液若しくは懸濁液の注入のために、容易且つ安全な流体連絡を確立できる;
−特に注射針又は類似物の貫通用に設計された膜の使用を避けることにより、患者に感染又は刺激の危険性を低くする;
−カテーテルを含む装置の静脈若しくは腹膜アクセス部分を、閉塞した場合に、新しい静脈若しくは腹膜アクセス部分と交換できる。
【0015】
本発明によると、例えば血液透析のための、恒久的な静脈アクセス用器具が提供される。恒久的な腹膜アクセス器具もまた提供される。
【0016】
本発明の器具は勿論、血液透析以外の方法、例えば薬品、栄養物、ビタミン及び塩類の大量の水溶液若しくは懸濁液の頻繁且つ長期間の投与方法、のために静脈アクセスを与えるためにも使用し得る。
【0017】
恒久的アクセスは、該器具を手術により患者に取り付け、次いでその適当に設計された生体適合性表面を組織一体化することにより得られる。一体化される該表面は、空隙を含むハウジングに含まれる。従って、手術により人の身体に取り付けられるのは器具のハウジングであるので、その遠位(distal)部分は軟質組織内に位置し、一方、近位(proximal)部分は該皮膚表面から延びる。
【0018】
上記器具は、静脈カテーテル又は腹膜カテーテルを含むか又はこれらのカテーテルに取り付け可能である。一態様では、静脈カテーテルは、静脈からの血液の上流引き抜きと、同じ静脈への精製した血液の下流注入を同時に許す二重内腔(lumen)カテーテルである。別の態様では、静脈カテーテル又は腹膜カテーテルは、薬品、栄養物、ビタミン、塩類等の水溶液若しくは懸濁液を血液流又は腹膜に注入するのを許す単一内腔カテーテルである。
【0019】
単一内腔若しくは二重内腔の静脈カテーテルと共に使用するための設計に対応して、該器具は、カテーテルから該器具の身体外部分に延びる1つ又は2つの導管を含み、該身体外部分で該導管又は各導管は可撓性チューブに結合される。それらの他端において、該可撓性チューブは血液透析用装置、注入用流体を有する収納器及びその他に結合される。導管の各々は、該器具の対応要素内に配置された3つのいくつか(three several)の部分を含む。
【0020】
本発明の器具はハウジングを含む。該ハウジングは好ましくは、ほぼ平行な複数の平面に配置されたほぼ楕円形の上部縁及び下部縁を含むスカート形状の外套を含む。該ハウジングは軟質組織に埋め込むように設計されている。該ハウジングは好ましくは、それが埋め込まれる軟質組織と一体化できる金属又は他の材料から作られる。該ハウジングは該組織内に完全に埋め込まれないが、部分的だけ埋め込まれて、その下部の部分は該組織に囲まれ、皮膚を通って延びるその上部の部分は該組織の外側に配置される。上記空隙は2つの開口を含み、1つの開口は該組織の外側に、そして1つは該組織の内側に配置される。該開口のへりは平面を規定し、外側開口の平面は皮膚表面とほぼ平行であり、他方、内側開口の平面はそれにほぼ垂直である。
【0021】
本発明の静脈若しくは腹膜アクセス用の器具は更に、上記空隙に配置可能で且つそれから除去可能なインサートを含む。該ハウジングに埋め込んだ状態で、該インサートは外側開口を通って該空隙に挿入できる。該インサートは、完全に挿入された時、該空隙の内側開口を閉じる。該インサートは、該ハウジングの内側開口で身体内に配置された場合によっては平らな第1面から、身体外に配置されたその第2面内のインサート窪みの平らな底面に延びる1つ又は2つのインサート導管を含み、該第1及び第2の面は、約90度の角度α、例えばそれぞれ80度又は85度又は88度から、100度又は95度又は92度の角度を含む。
【0022】
本発明の静脈又は腹膜アクセスのための器具は更に、円筒状バルブ部材、好ましくはインサート窪み(recess)とほぼ同じ直径及び高さの円筒状バルブ部材、を含む。該バルブ部材は、該インサート窪み内に配置され、そして1つ又は2つのバルブ部材導管を含み、該導管は、その遠位端面と、その近位面内にある細長い半径方向に延びるバルブ部材窪みの底面との間を延びる。該バルブ部材導管(複数)は、該インサート窪みの底面にあるインサート導管(複数)の開口と同じ間隔にある。好ましくはそれらは、該バルブ部材の中心に相当する該窪みの中心から等距離だけ離れ、特にその直径上で等距離だけ離れている。単一導管のデザインでは、該バルブ部材導管と該インサート導管の開口とは、インサート窪みの中心/バルブ部材の中心から同じ距離に配置される。好ましくは該バルブ部材は、該窪みの直径よりも僅かに小さい直径を有して、該バルブ部材を該窪みにぴったり適合させそして該窪み内で回転可能にする。
【0023】
本発明の静脈又は腹膜アクセスのための器具は更に、カップリング部材を含む。該カップリング部材は遠位端と近位端を有する。該部材は、その遠位端から近位方向に延びる、好ましくは該バルブ窪みと同じであるが雄型(positive)の形状のカップリング部分を含む。該カップリング部分は該バルブ部材に挿入でき、そしてそれから引き抜くことができる。該カップリング部材は更に、1つのカップリング部材導管又は一般に平行に配置された2つのカップリング部材導管を含む。1つ導管デザインにおいては、カップリング部材導管の遠位開口は、該カップリング部材を該バルブ部材窪みに挿入した位置では、該バルブ部材の中心軸から、該バルブ導管の近位開口と同じ距離にあり、そして該カップリング部材の遠位端からその近位端に向かって延びる。
【0024】
上記カップリング部材導管(単数又は複数)は、該カップリング部材の遠位面から該カップリング部材の近位部分に延びる。該カップリング部材導管(単数又は複数)は、挿入位置で、即ち該カップリング部分が該バルブ部材の長方形窪みに挿入された時の位置で、該カップリング部材導管(単数又は複数)が該バルブ部材導管(単数又は複数)と一致するように配置される。該バルブ部材は、該バルブ部材の回転により開放位置から閉鎖位置に又はその逆に変位できるので、該バルブ部材導管(単数又は複数)は、開放したインライン位置からオフライン位置に変位する。該開放位置は、1つのインサート導管/バルブ部材導管/カップリング部材導管又は一対のかかる導管を介して、流体連絡を与える。
【0025】
上記インサートは、その第1面で、二重内腔静脈カテーテルと結合するためのカップリング手段を含んで、該カテーテル導管と該インサート導管との連絡を確立するのが好ましい。
【0026】
本発明の第1の好ましい観点によると、上記インサートは、該インサートの第1面にしっかり取り付けられた単一若しくは二重の内腔カテーテルを、該カテーテル導管と該インサート導管との間の流体連絡を確立するような方法で含む。該カテーテルは単一若しくは二重内腔静脈アクセスカテーテルと単一内腔腹膜アクセスカテーテルとから選ばれる。
【0027】
本発明の第2の好ましい側面によると、該器具はカップリング部材の回転を制限する手段を含み、該手段は回転制限要素を含むか、又は好ましくは回転制限要素から成る。回転は約90度の角度β、例えば80度から100度の角度、までに制限されるのが好ましい。
【0028】
本発明の第3の好ましい側面によると、該回転制限要素は、該回転制限要素の中央穴の遠位セクション内に配置された1つ又はそれ以上のショルダー(肩)を含み、該ショルダーは、カップリング部材の円筒形部分に配置された、半径方向に延びる1つ又はそれ以上のラグ(出張り)と共働する。
【0029】
本発明の第4の好ましい側面によると、本発明の器具は、カップリング部材をバルブ窪みに挿入するのを制御して、該バルブ部材が閉鎖位置でのみ挿入され又は引き抜かれるようにするための手段を含む。該挿入制御手段は、好ましくは上記回転制限要素に含まれる。
【0030】
本発明の第5の好ましい側面によると、上記挿入制御手段は、中央穴の壁内で軸方向に延びる1つ又はそれ以上の溝(groves)を含む。該溝はカップリング部材のラグと共働することができる。カップリング部材を回転制限要素の中央穴に完全に挿入することは、該バルブ部材が閉鎖位置にある時にのみ可能である。該ラグを有する円筒状セクションは、好ましくは遠位末端セクションから近位方向に延びる。
【0031】
本発明の更なる好ましい側面によると、上記回転制限要素は、ハウジングの近位身体外面から取り付け及び取り外しできるカバーに含まれ、該近位身体外面は好ましくは上記インサートの第2面と同一面にある。
【0032】
本発明の更に別の好ましい側面によると、上記カバーは遮蔽体(シールド)と取付け部材を含み、該取付け部材中に上記回転制限要素が一体化される。該遮蔽体は、該取付け部材をハウジングに取り付けると該取付け部材に取り付け可能であるのが好ましい。
【0033】
本発明によると、下記を含む前述の種類の血液透析用のアクセス器具の好ましい態様が更に開示される:
−遠位開口と近位開口とを有する空隙を含むハウジング;
−近位端に取付け用インサートを含む静脈二重内腔カテーテル;
−該取付け用インサートの円筒状窪み内に取り付け可能な円筒状バルブ要素;
ここで、該ハウジングを埋め込むと、該遠位開口は、患者の軟質組織に面するように配置され、一方、近位開口は患者の外側に配置され、そして該二重内腔カテーテルの該取付け用インサートは、該静脈二重内腔カテーテルを最前にして該近位開口に挿入し、そして次ぎに該静脈二重内腔カテーテルを該遠位開口を通過させることにより、該ハウジング内に取り付け可能である。
【0034】
本発明の好ましい観点によると、該バルブ要素を取り付けるための該取付け用インサート内の該円筒状窪みは、患者の身体の外側のその遠位面内にに配置される。
【0035】
本発明の別の好ましい観点によると、該取付け用インサートは、該取付け用インサートの遠位面内に配置された円筒状窪み内に設けられる。
【0036】
本発明の更に別の好ましい観点によると、該インサートの第1導管は二重内腔静脈カテーテルの第1内腔との流体連絡を与え、該インサートの第2導管は二重内腔静脈カテーテルの第2内腔との流体連絡を与える。該第1及び第2導管の遠位開口は、該円筒状窪みの底面で開いているのが更に好ましい。
【0037】
上記アクセス器具は、好ましくは身体外のカップリング部材を含み、該カップリング部材は、上記バルブ要素の近位面内の非円筒状、例えば長方形、の窪み中に取り付け可能な遠位末端部分を含み、該カップリング部材は、結合位置において、第2の窪みに配置された遠位開口で該バルブ要素のそれぞれの導管と流体連絡されるように設計された第1及び第2導管を含む。
【0038】
上記カップリング部材は、閉鎖したバルブ位置においてのみ取り外し可能であるのが好ましい。上記器具は、カップリング部材の回転を制限するための手段を含むのが好ましく、該手段は、該カップリング部材の円筒状部分から半径方向に延びる1つ又はそれ以上のラグと共働するように設計されたショルダー又はフランジのような回転制限要素を含むか、又は該回転制限要素から成る。特に、上記挿入制御手段は、該器具に含まれる回転制限要素の中央穴の壁内を軸方向に延びる1つ又はそれ以上の溝を含むのが好ましい。該溝は、該カップリング部材のラグと共働することができる。該カップリング部材の該回転制限要素の該中央穴への完全な挿入は、該バルブ部材が閉鎖位置にある時にのみ可能である。該ラグを有する円筒状部分は、遠位末端セクションから近位方向に延びるのが好ましい。
【0039】
本発明の更なる好ましい観点によると、上記回転制限要素は、ハウジングの近位身体外面から取り付け及び取り外しできるカバーに含まれ、該近位身体外面は好ましくは上記インサートの第2の面と同一面にある。
【0040】
本発明の更に別の好ましい側面によると、上記カバーは遮蔽体(シールド)と取付け部材とを含み、これら中に上記回転制限要素が一体化される。該遮蔽体は、該取付け部材をハウジングに設けると該取付け部材に取り付け可能であるのが好ましい。
【0041】
以下に本発明を、図面に例示された2つの好ましい態様を参照して、更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1b,2a−2f,4c,5a−5c及び6は本発明の器具の第1態様に関する。
図1c,4d,9a−9f,10a−10c及び11は本発明の器具の第2態様に関する。
図1a,1d,3a,3b,4a,4b,5dは、本発明の器具の第1及び第2の態様に共有される。
図7及び
図8は、第1及び第2態様の種々のハウジングに関する。特に、
【0043】
【
図2b】閉鎖状態のバルブ部材を有するインサートのB−B断面図である。
【
図2c】開放状態のバルブ部材を有するインサートのB−B断面図である。
【
図2d】閉鎖状態のバルブ部材を有するインサートのA−A断面図である。
【
図2e】開放状態のバルブ部材を有するインサートのA−A断面図である。
【
図2f】バルブ部材の
図2bと同じ軸方向断面図である。
【
図4a】ロッキング要素と一体化されたカバーのE−E断面図である。
【
図4b】ロッキング要素と一体化されたカバーのM−M断面図である。
【
図4c】
図2fのバルブ要素を有するインサートを含むハウジングに取り付けたカバーの平面図である。
【
図4d】
図9fのバルブ要素を有するインサートを含むハウジングに取り付けたカバーの平面図である。
【
図5a】カップリング部材の軸方向Q−Q断面図である。
【
図5b】カップリング部材の軸方向P−P断面図である。
【
図5d】器具の不使用中にカップリング部材が交換される、回転対称保護キャップの軸方向断面図である。
【
図6】本発明の器具であって、二重内腔静脈カテーテルと、透析装置、腹膜透析溶液貯液槽又は類似物と結合するための入口/出口管とを完備した該器具の、閉鎖状態における
図4cのF−F断面図に対応する近位/遠位断面図である。
【
図7】本発明のさまざまなハウジングの斜視図である。
【
図8】本発明のさまざまなハウジングの斜視図である。
【
図9b】閉鎖状態のバルブ部材を有する代替インサートのB−B断面図である。
【
図9c】開放状態のバルブ部材を有する代替インサートのB−B断面図である。
【
図9d】閉鎖状態のバルブ部材を有する代替インサートのA−A断面図である。
【
図9e】開放状態のバルブ部材を有する代替インサートのA−A断面図である。
【
図9f】代替バルブ部材の
図9bと同じ軸方向断面図である。
【
図10a】カップリング部材の軸方向Q−Q断面図である。
【
図10b】カップリング部材の軸方向P−P断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施例1:本発明の器具の第1態様
本発明の静脈アクセス器具の第1態様は、血液透析用器具(
図6)に関する。該器具は、ハウジング2、ハウジング2の空隙11に配置されたインサート3、及び該インサートの円筒状窪み16に配置された円筒状バルブ部材4を含む。ハウジング2はほぼスカート2’の形態を有し、該スカートは半径方向断面又は平面図(
図1d)がほぼ楕円形である。該ハウジング2は、平行な平面に配置されたほぼ楕円形の上部10"(近位)及び下部10'(遠位)周辺縁の間で延びる。破線D−Dはおおよそ、身体外/身体内境界を示す。該スカート2’及び該平面により規定されるハウジング2の内部は、インサート保持壁2”により分割され、該インサート保持壁は、スカート2”のセクション(2'''の内側面)と共に、インサート3が配置される空隙11を規定する。上部縁10”から、スカート2’の近位/遠位高さhの約1/4から1/3に亙って下方に延びる楕円形上部/近位部分2'''の壁厚は、スカート2’の主要部の厚さよりも実質的に大きい。増大した壁厚は、上部縁10”から内部に延びるハウジング2の近位面35内に、カバー7を頑丈に取り付けるためのねじ穴(図示なし)の設置を可能にする。
【0045】
インサート3は、インサートされた位置で、上部及び下部スカート縁10",10'楕円体の長軸で規定される平面(C−C、
図1d)に対して実質的に対称である。側面図で、インサート3は約90度の円形セグメントの一般的形状を有する。インサート保持壁2”は、楕円形の近位(上部)スカート縁10”の長軸の一端から楕円形の遠位(下部)スカート縁10'の長軸の反対側の端の近くに延びる。インサート保持壁2”は、横断垂直(近位/遠位)断面、即ち、上部及び下部スカート10",10'の短軸と一致するか又は平行な遠位/近位断面、でほぼU字形である。空隙11の形状はインサート3の側面壁及び底面壁の形状と密接に対応する。インサート3を空隙11に挿入すると、インサート3の側面/底面壁はハウジング2の対応する壁セクションにぴったり接する。空隙11は、ハウジング2の近位内側周辺端部10'''で規定される近位(上部)開口11”と、下部スカート縁10'の長軸に対して中心を合わせた遠位(下部)開口11’とを有する。遠位開口11’は、楕円形の近位内側周辺縁10'''の長軸の端部の反対側の楕円形下部スカート軸の端部近くに配置され、該近位内側周辺縁10'''からインサート保持壁2”が斜め下方向に延びる。ハウジング2は
図1a,1cに、長手方向遠位/近位断面(
図1a)及び平面図(
図1c)で示される。
図1bにおいて、空隙11に位置されたインサート3を有するハウジング2が正面図で示され、そこでは、インサート3の遠位面14及び導管12、13の遠位開口が示されている。破線D−Dは、身体内(遠位)/身体外(近位)境界のレベルを示す。従って、D−D(皮膚のレベル)から下方に位置するハウジング2の部分は、軟質組織内に配置される。
【0046】
図2a−2cにおいて、インサート3は垂直断面B−Bで示される。水平断面A−A(
図2d,2e)において、インサート3はほぼ楕円形である。
図2b−2eは、インサート3の近位窪み16に取り付けられたバルブ部材4を有するインサート3を示す。インサート3は、近位/遠位方向に該インサートを切断する面B−Bに関して実質的に対称であり、該面はハウジング2の面C−C(
図1d)と同じである。インサート3は2つの面、遠位面14及び近位面15、を含む。インサート3を取り付けた位置で、近位面15はハウジング2の上部近位面35と同一面である、即ち、ハウジング2の第2開口15内に配置され、他方、その遠位面14はハウジング2の第1開口11’の内側端部に配置される。一般に、平らな面14,15は、面B−Bに垂直な軸により互いに分断される平面内に配置されるか、又は該平面により規定される。第1及び第2面14、15は約90度である角度αを含む。
【0047】
インサート窪み16は円筒形である。同じ長さの平行な導管12,13が該インサートの遠位面14からインサート窪み16の底面16’まで延びる。インサート窪み16に取り付けられたバルブ部材4もまた円筒形であり、該窪み16と同じ寸法である。バルブ部材4は平らな下部(遠位)面19及び上部(近位)面20を有する。バルブ部材4の上部(近位)面19は長方形の窪み21を含む。2つの平行な導管17,18がバルブ部材窪み21の遠位面19とその底面21’との間で延びる。インサート窪み16の底面16’での導管12,13の開口と、バルブ部材導管17,18の遠位面19の開口とは等距離だけ離れている。バルブ部材4がインサート窪み16に挿入されると、バルブ部材4の近位面20はインサート3の近位面15と同一平面にある。
【0048】
インサート3は、
図4a,4bに側面断面図(E−E)及び底面断面図(M−M)で示されるカバー7の取付けフレーム8により、所定の位置に保持される。カバー7はハウジング2の上部(近位)面15に、ネジ(図示なし)により取り付けられ、そしてハウジング2の周縁ショルダー35’により支持される。平面図(
図4c)において、カバー7はハウジング2上に取り付けられて示され、その周縁はハウジング2の上部縁10”と実質的に同じ形状及びサイズである。カバー7は、中央穴34を有する円筒形状の回転制限要素6を含む。回転制限要素6を有するカバー7は、回転制限要素6とその中央穴34の共通軸がバルブ部材4の円筒軸と一致するようにハウジング2に取り付けられる。中央穴34の直径がバルブ部材4の直径よりも幾分小さいことにより、後者(バルブ部材4)はインサート窪み16内にロックされる。
【0049】
静脈二重内腔カテーテル43,44は、インサート2の遠位面14で取り付けられる。カテーテル43,44はハウジング2の遠位開口11’を通過して突き出て、ハウジング2からスカート2”の下部縁10’とほぼ平行な方向に延びる。カテーテル43,44は、インサート3の遠位面14と接する近位端において、円筒状基部43を含み、該基部の近位面はインサート3の遠位面14に取り付けられる。基部43は第1及び第2導管を含み、該導管はインサート3の導管12,13と流体連絡する。基部43の他の面から、外側導管45及び内側導管47を含む可撓性二重導管カテーテルチューブ44が突き出る。外側導管45の遠位端の近くで、外側導管45は多くの半径方向入口オリフィス46を備える。内側導管47は更なる距離だけ延長し、そしてその遠位端で単一のオリフィス48を含む。静脈カテーテル43、44は主静脈(図示なし)に、外側導管45のオリフィス46が内側導管47のオリフィス48の上流に配置されるように挿入される。静脈カテーテル43、44を有するインサート3はハウジング2の空隙11に近位開口11”を通って挿入でき、カテーテル43、44は、挿入中、ハウジング2の遠位開口11’を通過し、そこから軟質組織に挿入され、最終的には静脈(図示なし)に挿入される。対応する方法で、カテーテル43,44及びインサート3は静脈/軟質組織/空隙11から除去できる。
【0050】
インサート窪み16とバルブ部材4との組み合わせにより形成されたバルブは、バルブ部材4の回転により開閉できる。開放位置で、バルブ部材4の導管17,18はインサート2の導管12,13と連絡する、即ち、それらの対面する開口は重ねられた位置にある。この開放位置から、バルブ4,16は,バルブ部材4を約90度回転することにより閉鎖位置にされる。回転は、長方形の回転手段を長方形のバルブ部材窪み21に挿入し、そして回転手段を所望の角度にわたって回すことによりなされる。適した回転手段は、2つの二者択一的に使用される道具、即ちカップリング部材5と保護キャップ39、により与えられる。
【0051】
カップリング部材5は、バルブ部材4の導管17、18と透析装置又は同様な装置との間の流体連絡を与えるために使用される。
【0052】
静脈と透析装置又は同様の器具との間の流体連絡は、中間アクセス器具1、詳しくは静脈カテーテル43、44の導管、インサート2、バルブ部材4、カップリング部材5及び該カップリング部材5を該装置と結合する可撓性チューブ、により与えられる。カップリング部材5は、その遠位端からその近位端に軸方向に延びる導管23、24を含む。それらの遠位開口では、カップリング部材導管23、24はバルブ導管17、18と等距離の間隔である。カップリング部材5は、
図5cの面P−PとQ−Qとの交差点に対応する中心軸R−R(
図5a,5b)に関して二回転対称(two-fold symmetry)により回転対称である。カップリング部材5は、遠位端から延びそしてバルブ部材窪み21と同じであるが陽型形状のバルブ操作部分22を備える。バルブ操作部分22をバルブ部材窪み21に挿入すると(
図6)、バルブ部材4は、カップリング部材5を回転することにより回転できる。回転を容易にするために、カップリング部材5は回転翼30,31を備える。回転制限要素6の穴34の壁中の半径方向に反対側の溝28,29は、カップリング部材5の円筒状部分27上に配置された半径方向に反対側のラグ25,25’と共働して、該カップリング部材5の挿入を一つの回転位置に制限する。該一つの回転位置では、バルブ部材4は、カップリング部材5の末端部分22がバルブ部材4の長方形窪み21に挿入できるように配置される。カップリング部材5は、その末端部分22の遠位面がバルブ部材窪み21の底面21’と接する。カップリング部材5が完全に挿入された位置に回転するのを許すために、穴34は、溝28,29から一つの周辺方向に約90度だけ延びる、直径方向に反対側に配置された幅広い部分32,33を含む。幅広い部分32,33はラグ25,25’を、半径方向に狭くなりそして穴34の幅広い部分32、33を制限するショルダー26,26’と接するまで、約90度の角度βに亙って回転変位できるようにする。ショルダー26,26’は、バルブ4,16の開放位置にあるカップリング部材5の回転を止めるように配置される。バルブ4,16の開放位置において、カップリング部材5は穴34から引き抜くことができない。何故なら、ラグ25,25’は、穴34の幅広い部分32,33の上部面と接することにより引き抜きを妨害するからである。ここで、該上部面はバルブ部材4の近位端面20と平行な面内で延びる。カップリング部材導管23,24の遠位端は、それらに取り付けられた可撓性チューブ37,38と、コネクター36を介して連絡している。該コネクター36は
図6に図式的にのみ示される。チューブ37,38はそれらの近位端で透析装置又は類似の設備(図示なし)に結合される。
【0053】
人の循環器の透析装置への連結は一時的に過ぎない。何故なら、本発明1のアクセス器具は、2〜3日の間隔で2〜3時間使用されるに過ぎないからである。透析期間の終わりに、カップリング部材5は、カップリング部材5の遠位部分22,27のデザインを反映しそして対応するラグ40,40’を含む保護キャップ39に交換される。閉鎖位置でバルブ4、16を有するカップリング部材5を除去すると、ラグ40,40’を溝28,29に配置して、保護キャップ39を回転制限要素6の穴34に挿入する。挿入位置で、キャップ39の遠位面39’は第2窪み21の底面16’と接し、これによりインサート導管12,13の近位開口を閉鎖する。キャップ39の90度の回転は、キャップ39の遠位面内の横断スロット42に挿入したねじ回し又は同様のギアを回すことにより行われる。この回転により、キャップ39は、引き抜くことができず且つバルブ4,16が閉鎖された位置に配置される。追加の封鎖は、バルブ部材4の近位端面20に接するキャップ39の円周半径方向フランジ41により与えられる。
【0054】
静脈カテーテル43,44の交換のために、キャップ39をバルブ4,16の閉鎖状態に戻し、そして引き抜く。次ぎにカバー7を取り外す。最後に、バルブ部材4と静脈カテーテル43,44とを有するインサート3を、ハウジング2の近位開口11’を通して引き出し、そしてバルブ部材及び静脈カテーテル3,4,43,44を有する新しいインサート3で置き換える。カバー7を汚染及び損傷から保護するために、遮蔽体(図示なし)をその上に取り付けてもよい。
【0055】
実施例2:本発明の器具の第2態様
本発明の静脈又は腹膜アクセス器具の第2態様(
図11)は、静脈注入又は腹膜注入、並びに腹膜透析における順次的腹膜注入及び排出に関する。静脈注入又は腹膜注入若しくは注入/排出用の器具101は実施例1の血液透析用器具1と、そのカテーテルが単一内腔静脈若しくは腹膜カテーテル147、148であること、及び血液透析用カテーテル47,48とカップリング部材5との間に延びる2つの流体通路12,17,23及び13,18,24の一方の13,18,24が省略されていること以外は、全ての機能的要素を共有する。実施例1の二重チャンネル態様とは対象的に、実施例3の器具は単一チャンネル静脈アクセス器具である。それは例えば、薬品及び/又は栄養物及び/又は塩類を含む水溶液又は水性懸濁液の注入に使用できる。実施例1の二重流体通路血液透析アクセス器具1における要素と同じ機能の実施例3の単一流体通路静脈又は腹膜アクセス器具101の要素は、後者1の参照番号に”10”が先行する。実施例3の器具において、修正されない要素2,6,7,39及びそれらの下部構造体は実施例1の器具と共有し、従ってそれらの参照番号を保持する。腹膜透析に使用された場合、本発明の器具のカテーテルは、血管に挿入する必要がないので、腹膜アクセス用に詳細に設計された丸まった先端(図示なし)を有するカテーテルである。
【0056】
図面の対応(第1態様/第2態様):1a/1a;1b/1d;1c/1c;2a/9a;2b/9b;2c/9c;2d/9d;2e/9e;2e/9e;2f/9f;3a/3a;3b/3b;4a/4a;4b/4b;4c/4d;5a/10a;5b/10b;5c/10c;5d/5d;6/11。
【0057】
実施例3:本発明の器具のハウジングの変形
本発明の第3態様は、ハウジング102’変形,
図7、であり、本発明の第1及び第2態様のハウジング2、102を置き換えることができる。ハウジング102’の下方部分は、周辺方向に延びる多くのスリット150を備える。ハウジング102’の遠位スカート近くに配置された多くの貫通孔151もまた備える。該貫通孔151は、ハウジング102’を周囲の組織に縫合により取り付けるのを可能にするために設けられる。周辺近位平面上に、カバー107’(
図8)をネジによる設けるために4つの糸きり穴152が配置される。カバー107’は、第1及び第3態様の要素6,106のデザインに対応するデザインの一体的回転制限要素106’を含む。参照番号は、135:中央孔;128,129:穴135の壁内に、直径方向に反対側の、軸方向に延びる溝;126:穴135に挿入されるカップリング部材(図示なし)の回転を制限するショルダーを示す。カバー107’の平らな遠位周辺面に4つの周辺に配置された貫通穴153もまた、ネジを取り付けるために設けられる。該穴153はハウジング102’の糸きり穴152に重ね合わせることができる。
【0058】
材料
本発明の器具1,101のハウジング2;102;102’は、好ましくは硬い材料、特に、組織との一体化に適した金属又はセラミック生体適合性材料、例えば酸化チタン又は酸化ジルコニウムから作られる。カテーテルの可撓性配管及び器具(1,101)を透析装置に結合するチューブを除いて、器具1,101の他の成分は、好ましくは硬い生体適合性材料、例えば高分子量のポリラクチド又はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)又はポリウレタン/ポリウレア材料から作られる。血液と接触する器具(1,101)の表面は、好ましくは化学処理、例えばヘパリン化、により抗凝固性にされる。