特許第6439190号(P6439190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本触媒の特許一覧
特許6439190アンモニアを燃料とする発電装置および該発電装置を用いた発電方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439190
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】アンモニアを燃料とする発電装置および該発電装置を用いた発電方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0606 20160101AFI20181210BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20181210BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 23/83 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01M8/0606
   H01M8/12
   C01B3/04 B
   B01J23/89 M
   B01J23/83 M
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-3899(P2015-3899)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-131065(P2016-131065A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年11月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(74)【代理人】
【識別番号】100149021
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 有佳理
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊孝
(72)【発明者】
【氏名】進藤 久和
(72)【発明者】
【氏名】久保 秀人
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥平
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−28269(JP,A)
【文献】 特開2013−229203(JP,A)
【文献】 特開2012−162457(JP,A)
【文献】 特開2010−282755(JP,A)
【文献】 特開2014−67565(JP,A)
【文献】 特開2013−79174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/06− 8/2495
B01J 23/83
B01J 23/89
C01B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア分解用触媒によって、アンモニアの一部を酸素により燃焼させ、その燃焼熱を用いてアンモニアを水素に分解する複数のアンモニア分解装置と、
上記複数のアンモニア分解装置の少なくとも一つによって生成された水素含有ガスを燃料として運転される固体酸化物形燃料電池とを備える発電装置であって、
上記アンモニア分解装置は、上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達するまで上記水素含有ガスを生成する装置として用いられる第一のアンモニア分解装置及び上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達した後に上記水素含有ガスを生成する装置として用いられる第二のアンモニア分解装置を含むことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
上記第一のアンモニア分解装置及び上記第二のアンモニア分解装置に設けられたアンモニア分解用触媒は、それぞれ、鉄、コバルト、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を触媒活性成分として含んでなる請求項に記載の発電装置。
【請求項3】
上記第二のアンモニア分解装置のアンモニア分解用触媒における上記触媒活性成分の含有率は、上記第一のアンモニア分解装置のアンモニア分解用触媒における上記触媒活性成分の含有率よりも高い請求項に記載の発電装置。
【請求項4】
請求項のいずれか1項に記載の発電装置を用いた発電方法であって、
上記第一のアンモニア分解装置に、アンモニアに対する酸素の体積比率が0.19以上である混合ガスを供給する第1工程と、
上記水素含有ガスを生成する装置を上記第一のアンモニア分解装置から上記第二のアンモニア分解装置に切り替える第2工程と、
上記第二のアンモニア分解装置に、アンモニアに対する酸素の体積比率が0.17以下である混合ガスを供給する第3工程とを含み、
上記第2工程は、上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達したときに行われる
ことを特徴とする発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池と複数のアンモニア分解装置とを備えた発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電装置として、一般に、固体酸化物形燃料電池セルと、固体酸化物形燃料電池セルを格納し燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するためのガスラインを備える反応器とを備えたされたものが存在する(例えば、特許文献1、特許文献2)。上記固体酸化物形燃料電池セルは、一般に固体酸化物電解質の一面に形成された燃料極と、上記燃料極と離間して設置される空気極とから構成される。発電時には、空気極側には空気が、燃料極側には水素が供給され、各電極上において800〜1000℃程度で以下の反応が進行する。
燃焼極:H2 + O2- → H2O + 2e-
空気極:O+ 4e-→ 2O2-
【0003】
空気極で生成した酸素イオンは、固体酸化物電解質中を空気極側から燃料極側に移動する。同時に、電子が燃料極側から空気極側へ流れることで発電が達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−211117号公報
【特許文献2】特開2013−211118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体酸化物形燃料電池はある程度高温でなければ効率的な発電を行うことができない。そこで、通常は発電前に固体酸化物形燃料電池をヒーターなどで加熱し、固体酸化物形燃料電池が600〜1000℃程度まで昇温してから発電を開始する。しかし、固体酸化物形燃料電池を600〜1000℃程度まで昇温するまでは発電を開始できないため、装置を起動してから発電を開始するまでに時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも短時間で固体酸化物形燃料電池での発電を開始することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し得た本発明の発電装置は、アンモニア分解用触媒によって、アンモニアの一部を酸素により燃焼させ、その燃焼熱を用いてアンモニアを水素に分解する複数のアンモニア分解装置と、上記複数のアンモニア分解装置の少なくとも一つによって生成された水素含有ガスを燃料として運転される固体酸化物形燃料電池と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記アンモニア分解装置は、上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達するまで上記水素含有ガスを生成する装置として用いられる第一のアンモニア分解装置及び上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達した後に上記水素含有ガスを生成する装置として用いられる第二のアンモニア分解装置を含むことが好ましい。
【0009】
上記第一のアンモニア分解装置及び上記第二のアンモニア分解装置に設けられたアンモニア分解用触媒は、それぞれ、鉄、コバルト、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を触媒活性成分として含んでなることが好ましい。
【0010】
上記第二のアンモニア分解装置のアンモニア分解用触媒における上記触媒活性成分の含有率は、上記第一のアンモニア分解装置のアンモニア分解用触媒における上記触媒活性成分の含有率よりも高いことが好ましい。
【0011】
また、本発明には、上記発電装置を用いた発電方法も包含され、この方法は、上記第一のアンモニア分解装置に、アンモニアに対する酸素の体積比率が0.19以上である混合ガスを供給する第1工程と、上記水素含有ガスを生成する装置を上記第一のアンモニア分解装置から上記第二のアンモニア分解装置に切り替える第2工程と、上記第二のアンモニア分解装置に、アンモニアに対する酸素の体積比率が0.17以下である混合ガスを供給する第3工程とを含み、上記第2工程は、上記固体酸化物形燃料電池が所定の温度に到達したときに行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のアンモニア分解装置を備えた発電装置とし、燃料ガスとしてアンモニア分解装置の出口ガス(アンモニアを分解することによって生成された水素含有ガス)を用いることによって、従来よりも短時間で固体酸化物形燃料電池での発電を開始することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発電装置は、アンモニア分解用触媒によって、アンモニアの一部を酸素により燃焼させ、その燃焼熱を用いてアンモニアを水素に分解する複数のアンモニア分解装置と、上記複数のアンモニア分解装置の少なくとも一つによって生成された水素含有ガスを燃料として運転される固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCという)とを備える。
【0014】
アンモニア分解装置では、アンモニアの一部を酸素により燃焼させる燃焼反応(発熱反応)と、その燃焼熱を用いてアンモニアを水素に分解する分解反応(吸熱反応)とが行われる。アンモニア分解装置は、2機以上であれば、何機備えていてもよいが、SOFCが所定の温度に到達するまで水素含有ガスを生成する装置として用いる第一のアンモニア分解装置(以下、昇温用装置という)と上記SOFCが所定の温度に到達した後に上記水素含有ガスを生成する装置として用いる第二のアンモニア分解装置(以下、運転用装置という)との少なくとも2機のアンモニア分解装置を備えていることが好ましい。
【0015】
昇温用装置で生成された水素含有ガスをSOFCに供給し続けることによってSOFCは昇温する。より短時間で固体酸化物形燃料電池を昇温させるために、さらにヒーターなどによってSOFCの加熱を行ってもよい。
【0016】
SOFCが所定の温度に到達したときに、水素含有ガスを生成する装置を昇温用装置から運転用装置に切り替えるのが好ましい。上記所定の温度は、SOFCを用いて発電が可能となる温度であればよく、例えば、600〜1000℃である。SOFCが所定の温度に到達した後であれば、昇温用装置から運転用装置に切り替えなくても発電は開始されるが、SOFCセルが作動温度に昇温するまで用いるアンモニア分解装置と、昇温後にSOFCで発電する際に用いるアンモニア分解装置とを別の装置にすることによって、アンモニア分解用触媒が失活して、発電効率が低下するのを防ぐことができる。昇温用装置から運転用装置に切り替えるのは、SOFCが所定の温度に到達した後であればいつでも構わないが、上記失活を防ぐという観点からは、SOFCが所定の温度に到達したときに、速やかに切り替えるのが好ましい。昇温用装置と運転用装置との切替手段は、特に限定されないが、例えば、手動バルブ、自動バルブなどを用いて行うことができる。
【0017】
昇温用装置は、1機に限定されるものではなく、2機以上の複数の昇温用装置を用いてもよい。運転用装置も、1機に限定されるものではなく、2機以上の複数の運転用装置を用いてもよい。アンモニア分解装置を3機以上備えている場合も、SOFCが所定の温度に到達するまでは、水素含有ガスを生成する装置として昇温用装置を用いることが好ましく、SOFCが所定の温度に到達した後は、水素含有ガスを生成する装置として運転用装置を用いるのが好ましい。そして、複数の昇温用装置を備えている場合、SOFCが所定の温度に到達するまでの間に、ある昇温用装置から別の昇温用装置へと切り替えてもよく、複数の運転用装置を備えている場合、SOFCが所定の温度に到達した後の発電中に、ある運転用装置から別の運転用装置へと切り替えてもよい。
【0018】
また、SOFCが所定の温度に到達するまでの間、複数の昇温用装置を同時に用いて水素含有ガスを生成してもよく、SOFCが所定の温度に到達した後の発電中に、複数の運転用装置を同時に用いて水素含有ガスを生成してもよい。
【0019】
<昇温用装置>
昇温用装置にはアンモニア分解用触媒が設けられており、この昇温用装置にアンモニアと酸素とを含有するガスを供給することで、アンモニアの一部を酸素により燃焼させ、その燃焼熱を用いてアンモニアを水素及び窒素に分解するオートサーマルリフォーミング反応が進行する。アンモニア分解用触媒の形態としては、ペレット状やリング状の触媒を充填して用いることもできるが、圧力損失が少ないという観点からハニカム状触媒が好ましい。
【0020】
昇温用装置で生成される水素含有ガスは、SOFCの昇温のために用いられる。そのため、昇温用装置の出口において、水素含有ガスは600〜800℃と比較的高温となるのが好ましい。アンモニア分解用触媒は高温の条件下で用いられると失活しやすくなるので、SOFCが所定の温度に到達したときに、水素含有ガスを生成する装置を昇温用装置から運転用装置に切り替えるのが好ましい。SOFCが所定の温度に昇温するまで用いるアンモニア分解装置と、昇温後にSOFCで発電するために用いるアンモニア分解装置とを別にすることによって、アンモニア分解用触媒が失活して、発電効率が低下するのを防ぐことができる。
【0021】
(アンモニア分解用触媒)
昇温用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒は、触媒活性成分と耐熱性酸化物を含むものが好ましいが、触媒活性成分の単位質量当たりの体積が大きい場合には触媒活性成分単独でもよい。触媒活性成分の単位質量当たりの体積が小さい触媒活性成分については耐熱性酸化物に担持及び/又は希釈して用いることが好ましい。耐熱性酸化物と併用することで触媒成分の耐熱性の向上、耐熱性酸化物上に分散されることで触媒成分の活性に関与する表面積の増加を見込まれるからである。
【0022】
昇温用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒は、触媒活性成分として鉄、コバルト、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれているのが好ましい。触媒中の触媒活性成分の含有量が5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。触媒活性成分の含有量が5質量%より少ないと、触媒活性成分量が不十分であり、SOFCに供給される水素量が不十分となるおそれがある。また、80質量%より多いと触媒活性成分の凝集が進行し、触媒が劣化するおそれがある。
【0023】
耐熱性酸化物としては、一般的に触媒担体として用いられる多孔質酸化物を用いることができ、例えば、α−アルミナ、活性アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、これらの複合酸化物であるシリカアルミナ、シリカチタニア、チタニアジルコニア等を用いることでき、触媒活性成分の残余質量を当該ハニカムに被覆することができる。
【0024】
また、触媒中に助触媒成分として、銀、銅、パラジウム、プラチナから選ばれる少なくとも1種の金属を含有することが好ましい。触媒中における助触媒活性成分の含有量は0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。助触媒成分の含有量が0.1質量%より少ないと、助触媒として十分な機能を果たすことができないおそれがある。一方、5質量%より多いと触媒の燃焼活性が上がりすぎてしまうおそれがある。
【0025】
(触媒調製方法)
触媒の調製は公知の方法を用いることができ、例えば、(1)触媒成分を湿式粉砕して得られるスラリーに当該ハニカムを浸し、余剰のスラリーを除き、乾燥、焼成することで触媒を調製する方法、(2)耐熱性酸化物を湿式粉砕して得られるスラリーに当該ハニカムを浸し、余剰のスラリーを除き、乾燥または焼成した後、触媒活性成分の水性液に浸し、余剰の液を除き、乾燥または焼成する方法、(3)耐熱性酸化物前駆体であるゾル状物、場合によっては触媒活性成分の水性液を含む液状物に当該ハニカムを浸し、余剰の液状物を除き、乾燥、焼成することで触媒を調製する方法である。乾燥温度は50〜300℃、焼成温度は300〜700℃であることが好ましい。
【0026】
当該湿式粉砕してスラリーを得るとき、二次粒子径が10μm以上の触媒成分粒子の個数分率が10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下である水性スラリーを調製し、当該セラミックス成形体に塗布し、乾燥及び/又は焼成することが好ましい。10%を超えると触媒成分層の厚みが厚くなり、触媒成分層全体へのガスの拡散が遅くなるため、触媒成分層全体が有効に使われなくなり、十分な触媒活性を得ることができなくなるおそれがある。
【0027】
また、該スラリーの算術平均径は5μm以下、好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下に調製することが好ましい。5μmを超えると触媒成分層の厚みが厚くなり、触媒成分層全体へのガスの拡散が遅くなるため、触媒成分層全体が有効に使われなくなり、十分な触媒活性を得ることができなくなるおそれがある。
【0028】
スラリーの粒度分布は、通常のスラリー粒度分布測定に用いられる方法を用いることができ、例えば、レーザー回折法を用いた粒度分布測定装置を用いて、スラリーの粒度分布を測定することができる。スラリーの粒度分布測定結果から、触媒成分スラリー中の粒子径に対する個数分率や、算術平均径を算出することができる。
【0029】
上記手順により触媒成分を被覆するとき、被覆される量はスラリーの組成、粘度、固体成分濃度(液量に対する固体成分濃度)により異なるものとなるので、事前に上記調製方法をテストし、目標となる厚みとなることを確認することが好ましい。一回の操作で触媒成分が目標とする平均厚みよりも薄いときは、上記調製方法を複数回繰り返すことで目標となる厚みにすることができる。
【0030】
また、スラリー粘度が高い場合には界面活性剤の添加、pH調整することで被覆するに好ましいスラリーに調整した後にハニカム成形体に被覆することもできる。
【0031】
(昇温用装置に供給されるガス)
昇温用装置では、昇温用装置の出口でのガス温度を高温とすることによって、SOFCの昇温を促進するのが好ましいため、アンモニアの燃焼反応(発熱反応)に用いられる(昇温用装置に供給される)ガスは、アンモニアに対する酸素の体積比率(以下、酸素/アンモニアという)が比較的高い比率であることが好ましく、具体的には、酸素/アンモニアが0.19〜0.25であることが好ましく、より好ましくは0.195〜0.23である。酸素/アンモニアが0.19より低いと、昇温用装置から高温の出口ガスを得ることができず、SOFCの昇温を十分に促進できないおそれがある。また、酸素/アンモニアが0.25より高いと、アンモニアの燃焼反応が過剰となり、無駄にアンモニアを消費してしまうばかりでなく、アンモニア分解用触媒がより高温に曝されて失活してしまうおそれがある。
【0032】
<運転用装置>
昇温用装置と同様に、運転用装置にはアンモニア分解用触媒が設けられている。運転用装置で生成される水素含有ガスは、SOFCの発電のために用いられる。そのため、運転用装置の出口において、水素含有ガスは昇温用装置と比べ500℃程度と比較的低温で構わない。そうすると、運転用装置での反応温度は500〜600℃と比較的低温で十分であるため、運転用装置で用いられるアンモニア分解用触媒を長時間用いたとしても失活は緩やかである。
【0033】
(アンモニア分解用触媒)
運転用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒としては、昇温用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒と同じ触媒を用いてもよいが、上述のとおり、運転用装置の出口でのガス温度が比較的低温で抑えられていることが好ましいため、500〜600℃程度の比較的低温での分解活性に優れるアンモニア分解用触媒とすることが好ましい。
【0034】
運転用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒にも、触媒活性成分として鉄、コバルト、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれているのが好ましい。上述のとおり、運転用装置の出口において、水素含有ガスは比較的低温で構わないため、アンモニアの分解反応(吸熱反応)に用いられるアンモニアの比率が比較的高い(アンモニアの燃焼反応(発熱反応)に用いられるアンモニアの比率が比較的低い)のが好ましく、運転用装置で分解反応を促進するためには、運転用装置のアンモニア分解用触媒における触媒活性成分の含有率が、昇温用装置のアンモニア分解用触媒における上記触媒活性成分の含有率よりも高いことが好ましい。上記触媒活性成分の含有率が高いほど触媒粒子が凝集しやすくなるが、運転用装置の出口における水素含有ガスの温度は、昇温用装置の出口における水素含有ガスの温度と比べると低温で構わないため、上記触媒活性成分の含有率が高い場合であっても、触媒粒子の凝集を抑えることができる。運転用装置のアンモニア分解用触媒における触媒中の触媒活性成分の含有量が30〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは45〜85質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。
【0035】
運転用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒には、助触媒成分として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属が含まれていることが好ましい。これらの金属は触媒の分解反応活性を向上させることから、水素生成量の増加や触媒の高寿命化に有効である。助触媒成分の含有量は、触媒全体の1〜5質量%程度で、少なすぎると分解反応活性化の効果が得られず、多すぎると燃焼活性が落ちてしまうおそれがある。
【0036】
(触媒調製方法)
運転用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒とは、昇温用装置に搭載されるアンモニア分解用触媒と同様の方法で調製することができる。
【0037】
(運転用装置に供給されるガス)
運転用装置で生成される水素含有ガスは、SOFCの発電のために用いられるので、運転用装置の出口での水素濃度が比較的高いのが好ましい。そのため、アンモニアの分解反応(吸熱反応)に用いられるアンモニアの比率が比較的高い(アンモニアの燃焼反応(発熱反応)に用いられるアンモニアの比率が比較的低い)のが好ましい。すなわち、運転用装置に供給されるガスは、酸素/アンモニアが比較的低い比率であることが好ましく、具体的には、酸素/アンモニアが0.08〜0.17であることが好ましく、より好ましくは0.09〜0.165である。酸素/アンモニアが0.08より低いと、オートサーマルリフォーミングに必要な熱量を十分に得ることができないおそれがあり、酸素/アンモニアが0.17より高いとアンモニアの燃焼反応が増加し、SOFCに供給する水素含有ガスにおける水素の比率が少なくなる上に、アンモニア分解用触媒が失活するおそれがある。
【0038】
<SOFC>
本発明に用いるSOFCの形態について説明する。通常、SOFCのセルは、固体酸化物電解質と当該電解質の一方の面に燃料極を配し他方の面に空気極を配する。
【0039】
(燃料極)
燃料極は、燃料ガスと、空気極で生じて固体酸化物電解質を介して燃料極へ移動してきた酸素イオンとを反応させる極であり、反応後には燃料排ガスを排出する。当該燃料極は、燃料ガスに用いるSOFCで通常使用される燃料極材料を用いることができ、一般的には、燃料極電極触媒及び固体電解質粒子により形成される。
【0040】
燃料極電極触媒の材料は、本発明の実施において特に限定されるものではなく、SOFCに一般的に使用されている燃料極用の電極触媒を、使用する燃料ガスに応じて選択でき、具体的には、コバルト、ニッケルといった金属、あるいはそれらの合金が選択される。
【0041】
固体電解質粒子は、固体酸化物電解質中を移動してきた酸素イオンを燃料極中に拡散させるものである。その材質は、特に限定されるものではなく、例えば、固体酸化物電解質で用いることができる材料(後述)が使用される。固体電解質粒子は、必要ならば、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0042】
固体電解質粒子は、その比表面積が1〜20m2/gの範囲のものが燃料極の気孔形成に好ましく、3〜15m2/gの範囲のものが特に好ましい。比表面積が1m2/gを下回ると燃料極中に大きな気孔が局所的にできやすくなり、燃料ガスの流配が不均一になる不具合が発生しやすく、反対に比表面積が20m2/gを上回ると焼結性が大きくなるため気孔量が少なくなり、燃料ガスの流配が不十分になる不具合が発生しやすくなる。
【0043】
燃料極電極触媒と固体電解質粒子の混合比は、通常SOFCで使用される範囲であればよく、例えば燃料極電極触媒/固体電解質粒子の割合が質量比で20/80〜60/40のものを用いることができる。
【0044】
燃料極の厚さは、いろいろに変更することができるが、通常、電解質支持型セル(ESC)や空気極支持型セル(CSC)および単室型の場合は約20〜200μmであり、好ましくは約30〜120μmである。一方、燃料極支持型セル(ASC)の場合のように燃料極支持基板と燃料極活性層とを1つの燃料極と見なす場合は、通常その厚さは200〜2000μmであり、好ましくは300〜1000μmである。燃料極が薄すぎると、燃料極本来の機能を得ることができなくなる。また、燃料極が厚すぎると、ガスの拡散が不十分となりセルの性能が低下する。
【0045】
燃料極は、燃料排ガス中に含まれる未使用の燃料ガスを減少させるために、さらに改質触媒を含んでもよい。改質触媒には公知のものを使用することができる。
【0046】
(燃料極の形成方法)
燃料極は、薄膜、フィルム等の形成に慣用されている任意の技法を使用して形成することができる。例えば、すでに形成してある固体酸化物電解質の表面に電極の材料を含むペーストを所定のパターンで塗布し、乾燥後に焼成することによって容易に形成することができる。ペーストの塗布には、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を有利に使用することができる。焼成温度は、使用する材料の特徴などに応じて広い範囲で変更することができるが、通常、約900〜1500℃の範囲である。もちろん、必要ならば、その他の手法を使用して形成してもよい。
【0047】
(空気極)
空気極は、空気の他、酸素を含むガスなどが導入される極であり、当該極において酸素は酸素イオンとなり、固体酸化物電解質を介して燃料極に移動する。その材料としては、通常SOFCに用いられる空気極材料を用いることができ、一般的には空気極電極触媒と固体電解質粒子により形成される。
【0048】
空気極電極触媒としては公知のものを用いることができ、例えばマンガン系、フェライト系、コバルト系やニッケル系ペロブスカイト型構造の酸化物が好ましく、例えば、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第2族元素が添加されたランタンストロンチウムマンガナイト(LaXSr1-XMnO3)、ランタンストロンチウムコバルタイト(LaXSr1-XCoO3)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LaXSr1-XCoYFe1-Y3)、ランタンニッケルフェライト(LaNiYFe1-Y3)などが挙げられる。
【0049】
空気極中に含有される固体電解質粒子は、燃料極で用いることのできる固体電解質粒子と同様の材料を使用できる。
【0050】
空気極の厚さは、いろいろに変更することができるが、通常、約20〜200μmであり、好ましくは約30〜120μmである。空気極が薄すぎると、空気極本来の機能を得ることができなくなり、空気極反応が不十分となり出力が低下する。
【0051】
空気極は、燃料極と同様の形成方法で形成できる。燃料極と空気極の形成方法は同一でもよいし異なっていてもよい。
【0052】
(固体酸化物電解質)
固体酸化物電解質の一方の面に燃料極が設置されており、他方の面に空気極が設置されている場合、空気極で生成した酸素イオンが燃料極に移動する際に固体酸化物電解質中を通過する。
【0053】
固体酸化物電解質の材料としては、SOFCの固体酸化物電解質として公知のものを使用することができ、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、これらのジルコニアにさらにCe、Al等をドープしたジルコニア系粉末、SDC(サマリアドープドセリア)、GDC(ガドリアドープドセリア)等のドープセリア系粉末、LSGM(ランタンガレート)系粉末、酸化ビスマス系粉末などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。これらの固体酸化物電解質は、必要ならば、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0054】
固体酸化物電解質の形状はセルの形状に依存するが、特に規定されない。セルの形状は、一般に平板型セル、円筒型セル、セグメント型セルなどが挙げられ、固体酸化物電解質は各々の形状に合わせて直接形成されるか、支持体上にスクリーン印刷法、スピンコート法などのシート、薄膜、フィルム等の形成に慣用されている任意の技法を用いて形成される。例えばグリーンシートプロセスを使用して形成する場合、上記固体酸化物電解質の材料のペーストを所定のパターンで塗布し、乾燥してグリーンシートを形成した後、そのグリーンシートを高温で焼成することによって平板型の固体酸化物電解質を容易に形成することができる。ペーストの塗布には、例えば、スクリーン印刷法などの印刷法を有利に使用することができる。具体的には、平板状の仮支持体の片面に固体酸化物電解質材料のペーストを所定のパターンで印刷し、乾燥及び焼成することによって膜状の固体酸化物電解質を形成することができる。焼成温度は、使用する固体酸化物電解質材料の特徴などに応じて広い範囲で変更することができるが、通常、約1200〜1500℃の範囲である。
【0055】
固体酸化物電解質の厚さは一般的に5〜500μmの範囲であり、電解質支持型セル(ESC)の場合は50〜500μm、好ましくは100〜400μm、燃料極支持型セル(ASC)や空気極支持型セル(CSC)の場合は5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0056】
(SOFCセルの形成)
SOFCセルは、従来の燃料電池と同様、例えば、固体酸化物電解質と、固体酸化物電解質の一方の面に形成された燃料極と、固体酸化物電解質を挟んで燃料極と反対の面に形成された空気極とを含むセルとして構成される。
【0057】
SOFCのセルの形状は、平板型セル、円筒型セル、セグメント型セルなど一般的に用いられる形状であればよい。例えば、平板型セルとしてはESC、ASC、CSCが挙げられる。また、燃料極と空気極が固体酸化物電解質を挟んで形成される二室型燃料電池であることが好ましいが、燃料極と空気極のどちらもが固体酸化物電解質の一方の面に形成されている単室型燃料電池であってもよい。単室型のセルとして構成する場合には、固体酸化物電解質の少なくとも一方の面に燃料極と空気極の組が1組以上形成されたセルとして構成される。円筒型セルとしては、円筒縦縞型セルと円筒横縞型セルが挙げられ、さらにその中に円筒平板型セルを含むことができる。要するに、本発明の実施において、SOFCは、刊行物等で公知な構造及び現在実施されている構造を含めた様々な構造を有することができる。
【0058】
燃料極および空気極は、内部に燃料ガスが充分に拡散でき、かつ充分な電気伝導性を維持できる程度に、多孔質に形成される。その気孔率は、いろいろに変更することができるが、通常、約10〜60%であることが好ましい。
【0059】
また、本発明において、燃料極および/または空気極と固体酸化物電解質との間には、バリア層などの中間層を設置してもよい。
【0060】
<燃料ガス>
燃料ガスには、アンモニア分解装置の出口ガス(アンモニアを分解することによって生成された水素含有ガス)を用いる。そのため、燃料ガスには、装置内でアンモニア分解反応により発生した窒素及び水素の他に、アンモニア分解装置において、反応せずに残存しているアンモニアや水蒸気等が含まれていてもよい。また、発電効率が落ちない程度に希ガスなどの不活性ガスが含まれていてもよい。
【0061】
<酸化剤ガス>
酸化剤ガスとしては、燃料ガスを酸化する能力を有するものであれば特に問わないが、酸素を主に含有するガスのほか、空気などを用いることができる。
【0062】
<各電極の反応>
燃料極に燃料ガスを導入し、空気極に酸化剤ガスを導入することで発電を行うことができる。燃料電池としての発電自体は、各電極上において800〜1000℃程度で、以下の反応式で進行する。
燃焼極:H2 + O2- → H2O + 2e-
空気極:O2 + 4e-→ 2O2-
【0063】
<発電方法>
本発明の発電装置を用いた発電方法の一例を以下に記載する。ここでは、1機の昇温用装置と、1機の運転用装置と、昇温用装置又は運転用装置のいずれか一方で生成された水素含有ガスを燃料として運転されるSOFCとを備えた発電装置を用いて発電を行うものとする。
【0064】
発電方法は、昇温用装置にアンモニアに対する酸素の体積比率(以下、酸素/アンモニアという)が0.19以上である混合ガスを供給する第1工程と、水素含有ガスを生成する装置を昇温用装置から運転用装置に切り替える第2工程と、運転用装置に酸素/アンモニアが0.17以下である混合ガスを供給する第3工程とを含んでおり、第2工程は、SOFCが上記所定の温度に到達したときに行われる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0066】
<アンモニア分解装置1>
(アンモニア分解用触媒Aの作製)
硝酸コバルト六水和物131.0g、硝酸マンガン六水和物34.1gおよび硝酸銀7.56gを秤量し、純水200mLに溶解した。得られた金属硝酸塩溶液中にγ−アルミナ51.6gを投入し、ウォーターバスで100℃に加熱して蒸発乾固させた。得られた固体を空気雰囲気下、500℃で3時間焼成することで、触媒成分を得た。触媒成分をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、触媒成分粉末100g、純水100g、およびコロイダルシリカゾル10gを混合し、ボールミルで6時間、湿式粉砕した。1平方インチ辺り600セルを有する六角セルコージェライトハニカム成形体に、得られた触媒成分のスラリーをウォッシュコート法によってコートし、余分なスラリーをエアブローによって吹き飛ばし、120℃で乾燥させる工程を6回繰り返し行い、その後500℃で1時間焼成を行うことによって、触媒成分をコートしたハニカム状のアンモニア分解用触媒Aを得た。得られたアンモニア分解用触媒Aの触媒担持量はハニカム成形体1L当たり300gであった。また、触媒活性成分含有率は35質量%、助触媒成分含有率は5質量%であった。
【0067】
(アンモニア分解装置1の作製)
アンモニア分解用触媒Aの体積が20mLとなるようにして、アンモニア分解装置1を作製した。
【0068】
<アンモニア分解装置2>
(アンモニア分解用触媒Bの作製)
硝酸コバルト六水和物291.0g、硝酸セリウム六水和物43.4gおよびジルコニアゾル(ZrO2換算25質量%濃度)懸濁液49.3gを秤量し、純水1Lに溶解して、金属硝酸塩水溶液を調製した。水酸化カリウム147.6gを純水2Lに溶解し、水酸化カリウム水溶液を調製した。水酸化カリウム水溶液を撹拌しながら、金属硝酸塩水溶液を滴下した。滴下終了後、得られた懸濁液を吸引ろ過して、純水で5回水洗を行い、沈殿物を得た。得られた沈殿物を120℃の乾燥機で一晩乾燥させた後、空気雰囲気下、450℃で3時間焼成することで、触媒成分を得た。触媒成分をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、触媒成分粉100g、純水100g、水酸化セシウム5.0g、およびコロイダルシリカゾル10gを混合し、ボールミルで6時間、湿式粉砕した。1平方インチ辺り600セルを有する六角セルコージェライトハニカム成形体に、得られた触媒成分のスラリーをウォッシュコート法によってコートし、余分なスラリーをエアブローによって吹き飛ばし、120℃で乾燥させる工程を6回繰り返し行い、その後500℃で1時間焼成を行うことによって、触媒成分をコートしたハニカム状のアンモニア分解用触媒Bを得た。得られたアンモニア分解用触媒Bの触媒担持量はハニカム成形体1L当たり280gであった。また、触媒活性成分含有率は73%であった。
【0069】
(アンモニア分解装置2の作製)
アンモニア分解用触媒Bの体積が20mLとなるようにして、アンモニア分解装置2を作製した。
【0070】
<アンモニア分解装置2’>
アンモニア分解装置2と全く同じ方法で作製した。
【0071】
<実施例1>
(アンモニア分解反応)
アンモニア分解装置1に、アンモニアを毎分3.32Lの流量、空気を毎分3.66Lの流量で供給した。供給ガスを電気ヒーターで200℃に加熱し、アンモニア分解用触媒上でのオートサーマルリフォーミング反応を開始した。このときの供給ガス中の酸素/アンモニアは0.23であった。また、アンモニア分解装置1の出口ガス(水素含有ガス)は毎分9.54Lの流量で、温度は750℃であった。
【0072】
(SOFC起動昇温時)
アンモニア分解装置1の出口ガスを直接、SOFC(セルサイズ:50mm×50mm)に供給しつつ、同時にSOFC加熱用ヒーターでSOFCセルを作動温度(650℃)まで加熱した。室温から作動温度への昇温には8分を要した。
【0073】
(SOFC定常運転時)
SOFCセルを作動温度(650℃)まで昇温した後、アンモニア分解装置1からアンモニア分解装置2に切り替えた。同時に、供給ガスについては、アンモニアを毎分3.32Lの流量、空気を毎分2.49Lの流量に変更した。このときの酸素/アンモニアは0.16であった。また、分解触媒反応によるアンモニア転化率は83%であった。
【0074】
<実施例2>
アンモニア分解装置2に、アンモニアを毎分3.32Lの流量、空気を毎分3.36Lの流量で供給した。供給ガスを電気ヒーターで200℃に加熱し、アンモニア分解用触媒上でのオートサーマルリフォーミング反応を開始した。このときの供給ガス中の酸素/アンモニアは0.21であった。また、アンモニア分解装置2の出口ガス(水素含有ガス)は毎分9.28Lの流量で、温度は650℃であった。
【0075】
(SOFC起動昇温時)
アンモニア分解装置2の出口ガスを直接、SOFC(セルサイズ:50mm×50mm)に供給しつつ、SOFC加熱用ヒーターでSOFCセルを作動温度(650℃)まで加熱した。室温から作動温度への昇温には10分を要した。
【0076】
(SOFC定常運転時)
SOFCセルを作動温度(650℃)まで昇温した後、アンモニア分解装置2からアンモニア分解装置2’に切り替えた。同時に、供給ガスについては、アンモニアを毎分3.32Lの流量、空気を毎分2.49Lの流量に変更した。このときの酸素/アンモニアは0.16であった。また、分解触媒反応によるアンモニア転化率は83%であった。
【0077】
<比較例1>
実施例2において、SOFCセルを作動温度(650℃)まで昇温した後もそのままアンモニア分解装置2を使い続けたこと以外は実施例2と同様に発電を行った。室温から作動温度650℃への昇温に要した時間は10分、分解触媒反応によるアンモニア転化率は78%であった。
【0078】
<比較例2>
実施例2において、アンモニア分解装置2に空気を毎分2.49Lの流量(供給ガス中の酸素/アンモニアは0.16)で供給したこと以外は実施例2と同様に発電を行った。その結果、SOFCの昇温中における出口ガスの流量は毎分8.06Lで、その温度は480℃であった。また、室温から作動温度650℃への昇温に要した時間は14分であった。
【0079】
<比較例3>
SOFCセルをSOFC加熱用ヒーターのみで昇温させたところ、室温から作動温度650℃への昇温には20分を要した。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の発電装置は、発電効率に優れ、また、短時間で固体酸化物形燃料電池での発電を開始することができるため、低コストでの運転が可能となる。そのため、本発明の燃料電池は、自動車用発電、業務用発電、家庭用発電などの様々な分野で有利に利用することができる。また、小型化することで、例えばLEDの点灯、LCDの表示、携帯ラジオ、携帯情報機器などの駆動にも有利に利用することができる。