(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景において上記オブジェクトの位置および/または上記背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別手段と、
上記ロケーション・ポイントが存在する場合に、上記複数のオブジェクトおよび/または上記背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定手段と、
上記オブジェクト所定部位の位置特定手段によって特定された位置に基づき、上記オブジェクトおよび/または上記背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定手段と、
をさらに備え、
前記第1深さ値付与手段および/または前記第2深さ値付与手段は、上記オブジェクトおよび/または上記背景内領域に対して前記深さ値を付与することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に前記領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理装置であって、
前記第1画像フレームの前記領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段と、
前記第2画像フレームにおいて、前記第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段と、
前記第1特徴点から前記第2特徴点への移動情報に基づいて、前記第2画像フレーム内に、前記第1画像フレームの前記領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段と、
を、さらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記第2特徴点特定手段の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、前記第1特徴点の座標値に対応する前記第2特徴点を探索する第2特徴点探索手段を、さらに備えることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記第1分割ラインで囲まれた領域に前記深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に前記深さ値を生成することを可能とする画像処理装置であって、
前記第1画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、前記第1分割ラインで囲まれた領域に付与された前記深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段と、
前記第1ピクセルが前記第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段と、
前記第2画像フレーム内の領域であって、前記第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、前記ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた前記深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段と、
を、さらに備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記コンピュータに、前記起点を前記領域境界ライン上に複数生成する起点生成手段の機能を、さらに実行させることを特徴とする請求項10に記載の画像処理用コンピュータプログラム。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に前記領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1画像フレームの前記領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段、
前記第2画像フレームにおいて、前記第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段、
前記第1特徴点から前記第2特徴点への移動情報に基づいて、前記第2画像フレーム内に、前記第1画像フレームの前記領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段、
の各機能を実行させることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の画像処理用コンピュータプログラム。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記第1分割ラインで囲まれた領域に前記深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に前記深さ値を生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、前記第1分割ラインで囲まれた領域に付与された前記深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段、
前記第1ピクセルが前記第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段、
前記第2画像フレーム内の領域であって、前記第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、前記ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた前記深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段、
の各機能を実行させることを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか1項に記載の画像処理用コンピュータプログラム。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に前記領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記第1画像フレームの前記領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段、
前記第2画像フレームにおいて、前記第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段、
前記第1特徴点から前記第2特徴点への移動情報に基づいて、前記第2画像フレーム内に、前記第1画像フレームの前記領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段、
の各機能を実行させることを特徴とする請求項18に記載の画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体。
動画を構成する複数の画像フレームの内、前記第1分割ラインで囲まれた領域に前記深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ前記第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に前記深さ値を生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記第1画像フレーム内の前記第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、前記第1分割ラインで囲まれた領域に付与された前記深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段、
前記第1ピクセルが前記第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段、
前記第2画像フレーム内の領域であって、前記第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、前記ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた前記深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段、
の各機能を実行させることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の従来技術には、次のような問題がある。まず、2D映像を構成する画像フレーム内のオブジェクト、さらには各オブジェクト内の領域を特殊技術者の手作業で分割していく方法は、非常に多くの時間を要し、2D映像を3D映像に変換する工程の中で最も時間と労力を要する。このため、デプス・マップの生成工程にかかるコストが大きいという問題がある。加えて、作業者の技術の高低によってデプス・マップの品質も変化するため、最終的な3D映像の品質が変動しやすいという問題がある。
【0009】
一方、分水嶺アルゴリズムを利用した領域分割方法は、ソフトウェアによって各領域を自動的に分割するため、特殊技術者による手作業に比べてコストの面で有利である。しかし、分水嶺アルゴリズムを用いると、3D映像の生成にとって過剰な分割(過分割)が実行されるという問題がある。この過分割を抑制する方法として、例えば、分水嶺アルゴリズムに領域統合の処理を加え、色差がある閾値内であれば同一領域とみなし、分水域に境界を形成しないようにする方法も知られている。また、特許文献2に開示されるように、非等方拡散フィルタを用いて、2D映像の各画像フレーム内のオブジェクト間、あるいはオブジェクトと背景画像間、同一オブジェクト内の領域間のエッジの接線方向とエッジの垂直方向で程度の異なる平滑化処理を行い、エッジの形状を崩さずにノイズを除去し、領域分割に不要な模様を消して過分割を抑制する方法も知られている。しかし、これらの過分割抑制方法を行っても、自然な立体感を感じさせる3D映像用のフレームを生成することは難しい。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決すること、すなわち、簡便に、かつ品質差を少なく、自然な立体感を感じさせる3D映像の生成を可能とする画像処理を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明者は、従来から公知の分水嶺アルゴリズムの一部を利用し、全く新規な過分割抑制方法を開発することに成功した。分水嶺アルゴリズムを用いた場合の領域の過分割は従来から問題視されており、それを抑制する方法も存在する。しかし、かかる従来の過分割抑制方法は、内視鏡などにより撮像された生体器官の静止画像の処理としては適しているが、2D動画を3D動画に変換する処理としては適していない。前者のような静止画像は、過分割を抑制しつつも、生体器官の細部の凹凸をある程度高精度に描画されなければならない。これに対して、後者のような3D画像を構成する各フレームの場合には、動画を見るユーザに画像フレーム中の主としてオブジェクトを立体的に視覚させれば足り、細部の凹凸表現まで描画させる必要は無い。すなわち、後者のような動画の場合、過分割の抑制度合いを高くする必要がある。このような観点から、本発明者は、作業者の手作業にて、画像フレーム内の各オブジェクトをいくつかのブロックに分けると、コンピュータによってそれらブロックの輪郭を正確に切り取ることができる方法を考えた。各ブロックに付与する深さ情報は、作業者の視覚による付与あるいはコンピュータによる自動付与のいずれかで行う。具体的な手段は、以下の通りである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置は、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み手段と、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付手段と、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割手段と、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理手段と、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離手段と、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与手段とを、少なくとも備える。
【0013】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、起点を領域境界ライン上に複数生成する起点生成手段を、さらに備える。
【0014】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、さらに、領域境界ライン情報受付手段を、背景以外のオブジェクトを対象として指示された領域境界ラインの情報を受け付ける手段とし、画像フレーム内において、背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付手段と、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与手段と、第1深さ値付与手段によって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与手段によって深さ値を付与した背景とを合成するオブジェクト・背景合成手段とを、少なくとも備える。
【0015】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、さらに、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別手段と、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定手段と、オブジェクト所定部位の位置特定手段によって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定手段とを備え、第1深さ値付与手段および/または第2深さ値付与手段によって、オブジェクトおよび/または背景内領域に対して深さ値を付与する。
【0016】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理装置であって、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段と、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段と、第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段と、をさらに備える。
【0017】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、第2特徴点特定手段の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索手段を、さらに備える。
【0018】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、領域境界ライン自動生成手段による処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付手段と、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するフレーム数判別手段と、をさらに備え、フレーム数判別手段によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、第1特徴点受付手段、第2特徴点特定手段および領域境界ライン自動生成手段に各処理を実行させる。
【0019】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理装置は、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする画像処理装置であって、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段と、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段と、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段と、を、さらに備える。
【0020】
本発明の実施の形態に係る画像処理方法は、上述の最も上位概念にある画像処理装置を用いて実行する画像処理方法であって、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込みステップと、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付ステップと、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割ステップと、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理ステップと、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離ステップと、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与ステップと、を少なくとも含む。
【0021】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、さらに、起点を領域境界ライン上に複数生成する起点生成ステップを含む。
【0022】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、さらに、領域境界ライン情報受付ステップを、背景以外のオブジェクトを対象として指示された領域境界ラインの情報を受け付けるステップとし、画像フレーム内において、背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付ステップと、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与ステップと、第1深さ値付与ステップによって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与ステップによって深さ値を付与した背景とを合成するオブジェクト・背景合成ステップとを、少なくとも含む。
【0023】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、さらに、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別ステップと、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定ステップと、オブジェクト所定部位の位置特定ステップによって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定ステップと、を含み、第1深さ値付与ステップおよび/または第2深さ値付与ステップによって、オブジェクトおよび/または背景内領域に対して深さ値を付与する。
【0024】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理方法であって、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付ステップと、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定ステップと、第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成ステップと、をさらに含む。
【0025】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、第2特徴点特定ステップの処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索ステップを、さらに含む。
【0026】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、領域境界ライン自動生成ステップによる処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付ステップと、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するフレーム数判別ステップと、をさらに含み、フレーム数判別ステップによって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、第1特徴点受付ステップ、第2特徴点特定ステップおよび領域境界ライン自動生成ステップを実行する。
【0027】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理方法は、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする画像処理方法であって、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当てステップと、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡ステップと、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当てステップによって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成ステップと、をさらに含む。
【0028】
本発明の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれて実行されるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み手段、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付手段、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割手段、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理手段、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離手段、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与手段、の各手段の機能を、さらに実行させる。
【0029】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに、起点を領域境界ライン上に複数生成する起点生成手段の機能を、さらに実行させる。
【0030】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、領域境界ライン情報受付手段を、背景以外のオブジェクトを対象として指示された領域境界ラインの情報を受け付ける手段とし、コンピュータに、画像フレーム内において、背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付手段、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与手段、第1深さ値付与手段によって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与手段によって深さ値を付与した背景とを合成するオブジェクト・背景合成手段、の各機能を、さらに実行させる。
【0031】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別手段、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定手段、オブジェクト所定部位の位置特定手段によって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定手段の各機能を、さらに実行させ、第1深さ値付与手段および/または第2深さ値付与手段の機能によって、オブジェクトおよび/または背景内領域に対して深さ値を付与させる。
【0032】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムであって、コンピュータに、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段、第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段の各機能を、さらに実行させる。
【0033】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに、第2特徴点特定手段の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索手段の機能を、さらに実行させる。
【0034】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに、領域境界ライン自動生成手段による処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付手段、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するフレーム数判別手段の各機能を、さらに実行させ、フレーム数判別手段によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、第1特徴点受付手段、第2特徴点特定手段および領域境界ライン自動生成手段に各処理を実行させる。
【0035】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムは、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムであって、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段の各機能を、さらに実行させる。
【0036】
本発明の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに読み込まれて実行されるコンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であって、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み手段、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付手段、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割手段、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理手段、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離手段、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与手段、の各手段の機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0037】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに、起点を領域境界ライン上に複数生成する起点生成手段の機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0038】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、領域境界ライン情報受付手段を、背景以外のオブジェクトを対象として指示された領域境界ラインの情報を受け付ける手段とし、コンピュータに、画像フレーム内において、背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付手段、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与手段、第1深さ値付与手段によって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与手段によって深さ値を付与した背景とを合成するオブジェクト・背景合成手段、の各機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0039】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別手段、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定手段、オブジェクト所定部位の位置特定手段によって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定手段の各機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であり、第1深さ値付与手段および/または第2深さ値付与手段の機能によって、オブジェクトおよび/または背景内領域に対して深さ値を付与させる。
【0040】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であって、コンピュータに、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段、第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段の各機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0041】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに、第2特徴点特定手段の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索手段の機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0042】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに、領域境界ライン自動生成手段による処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付手段、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するフレーム数判別手段の各機能を、さらに実行させ、フレーム数判別手段によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、第1特徴点受付手段、第2特徴点特定手段および領域境界ライン自動生成手段に各処理を実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【0043】
本発明の別の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体は、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体であって、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡手段、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段の各機能を、さらに実行させる画像処理用コンピュータプログラムを格納した情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、簡便に、かつ品質差を少なく、自然な立体感を感じさせる3D映像の生成を可能とする画像処理を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
「A 第1の実施の形態」
1.画像処理装置および画像処理方法
【0049】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の模式図を示す。
【0050】
この実施の形態に係る画像処理装置1は、入力部10、記憶部11、外部メモリ装填部12、通信部13、インターフェイス14、画像フレーム読み込み部15、領域境界ライン情報受付部16、領域分割部17、開口処理部18、分離部19、第1深さ値付与部20、起点生成部21、背景境界ライン情報受付部22、第2深さ値付与部23、オブジェクト・背景分離部24、オブジェクト・背景合成部25、ロケーション・ポイント有無判別部26、オブジェクト所定部位の位置特定部27および深さ値決定部28を備える。これらの構成部は、各構成部の機能別に区分けして表示されており、必ずしも物理的に区分けされたハードウェアを意味するものではない。入力部10は、画像処理装置1を操作する操作者が種々の入力を行う部分であり、キーボード、ポインティングデバイス、タッチセンサを用いたタッチ式操作板などで構成される。記憶部11は、この実施の形態を含め全ての実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラム等の各種情報を記憶しておく領域であり、読み取り専用のROM、読み書き可能なRAM、EEPROMあるいはハードディスクなどの各種の記憶手段で構成される。例えば、動画は、記憶部11に記憶される。外部メモリ装填部12は、CD−R、USBメモリ(フラッシュメモリ)、MD、フレキシブルディスクなど、携帯可能な情報記録媒体30を画像処理装置1に対して挿入あるいは接続して、当該情報記録媒体30に格納されている情報の入口となる部位である。情報記録媒体30は、本発明の実施の形態に係る画像処理用コンピュータプログラムを格納し得るものである。また、情報記録媒体30は、動画を記憶していても良い。
【0051】
通信部13は、画像処理装置1の外部と無線あるいは有線による通信を行い、外部から情報を受信しあるいは外部に情報を送信する部位である。通信部13は、無線通信を行う部位である場合には、アンテナなども含まれる。インターフェイス14は、画像処理装置1の外部との接続口となる部位であり、光ファイバに代表される通信線などとの物理的な接続口の他、赤外線の受信部などの受光部も含む。例えば、外部のサーバに動画が保存されている場合、通信部13は、インターネットを経由してインターフェイス14から動画のデータをインストールし、記憶部11に格納しても良い。通信部13、画像フレーム読み込み部15、領域境界ライン情報受付部16、領域分割部17、開口処理部18、分離部19、第1深さ値付与部20、起点生成部21、背景境界ライン情報受付部22、第2深さ値付与部23、オブジェクト・背景分離部24およびオブジェクト・背景合成部25、ロケーション・ポイント有無判別部26、オブジェクト所定部位の位置特定部27および深さ値決定部28の一部若しくは全部は、CPUあるいはMPUなどの処理装置によって構成される。
【0052】
画像フレーム読み込み部15は、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み手段として機能する部位である。画像フレームは、単に「画像」若しくは「フレーム」とも称し、動画を構成する各静止画像を意味する。動画は、この実施の形態では、その一例としての2D映像であるが、3D映像を含むように広義に解釈される。通常、動画は、30msecに1枚のスピードでフレームを連続表示させて構成される。画像フレーム読み込み部15は、例えば、10秒間に表示される分のフレームを一度に読み込むものでも良く、あるいは1枚のみのフレームを読み込むものでも良い。画像フレーム読み込み部15によって読み込まれた1以上のフレームは、画像フレーム読み込み部15に保存される。この意味で、画像フレーム読み込み部15は、CPU等の処理装置と、RAM等の記憶装置とを兼ねる。ただし、画像フレーム読み込み部15によって読み込まれたフレームは、記憶部11内に記憶されても良い。そのような場合には、画像フレーム読み込み部15は、CPU等の処理装置の機能のみを有する。画像フレーム読み込み部15が読み込み処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0053】
領域境界ライン情報受付部16は、画像フレーム読み込み部15によって読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付手段として機能する部位である。ここで、領域境界ラインとは、画像処理装置1を使用して3D映像に用いる画像を作製する操作者が、フレーム内のオブジェクト(例えば、人、物)若しくはオブジェクト内の所定領域および/または背景内に表される所定領域(例えば、背景が空であれば雲など、背景が水中であれば水中に差し込む光など)の輪郭の外側および内側に描くラインである。かかるラインは、ドット(点)の集合である。このため、領域境界ラインの情報は、好適には、領域境界ラインを構成するドットの座標である。操作者がフレーム内の1または複数のオブジェクト、各オブジェクト内の所定領域、背景内の所定領域の各輪郭の外側および内側に領域境界ラインを描くと、領域境界ライン情報受付部16は、当該ラインを構成するドットの座標を受け付ける。領域境界ライン情報受付部16の受け付けは、操作者による特別な操作によって実行され、あるいはライン作成中に一定時間ごとに自動的に実行されても良い。領域境界ライン情報受付部16は、CPU等の処理装置と、RAM等の記憶装置とを兼ねる場合には、受け付けた情報を内部に記憶する。一方、領域境界ライン情報受付部16がCPU等の処理装置の機能のみを有する場合には、受け付けられた情報は、記憶部11内に記憶されるようにしても良い。領域境界ライン情報受付部16が受付処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0054】
領域分割部17は、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割手段として機能する部位である。ここで、起点とは、領域境界ラインを構成する全ての点でも良く、あるいは領域境界ライン上の所定間隔おきに設定される点でも良い。領域分割部17は、好適には、分水嶺(Watershed)アルゴリズムに基づいて、起点から領域を拡げながら分割ラインを作製する。領域分割部17は、領域境界ラインで隔てられた両側の領域を分割対象とする。このため、例えば、オブジェクトの輪郭の内外に各領域境界ラインが存在する場合、2本の領域境界ラインで挟まれた領域、外側の領域境界ラインで分けられた2つの領域の内で内側の領域境界ラインと反対側の領域、内側の領域境界ラインで分けられた2つの領域の内で外側の領域境界ラインと反対側の領域において、分割ラインが作製される。領域分割部17は、CPU等の処理装置によって構成される。領域分割部17が分水嶺アルゴリズムに基づいて領域分割を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている分水嶺アルゴリズムを持つ画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0055】
開口処理部18は、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理手段として機能する部位である。開口処理前の分割ラインは、閉鎖状のラインである。開口処理部18は、2本の領域境界ラインの間にある第1分割ラインを残し、それ以外の分割ライン(第2分割ライン)を開口する。この結果、操作者が描いた2本の領域境界ラインの間に存在するオブジェクトのほぼ輪郭上を通る第1分割ラインだけが閉鎖状のまま維持され、残りの分割ラインは開口状態になる。開口処理部18は、CPU等の処理装置によって構成される。開口処理部18が開口処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0056】
分離部19は、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離手段として機能する部位である。すなわち、分離部19は、3D映像を作製するために、各フレーム内のオブジェクトをいくつかの領域に分ける処理を実行する。これによって、1つのオブジェクトは、深さ情報の異なる複数の領域を持つことになる。分離部19は、CPU等の処理装置によって構成される。分離部19が分離処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。また、分離部19は、好ましくは、背景を対象としてその境界に沿ってなぞられた背景境界ライン(詳細は後述する)により分けられた領域を分離する機能を持つ。分離部19が分離処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0057】
第1深さ値付与部20は、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与手段として機能する部位である。深さ値は、明度を基準に付与する場合においては、数値が大きいほど、看者から近くにあることを意味する。深さ値の付与は、操作者がオブジェクトの特性から判断してマニュアルで付与されても良く、あるいは後述するように、背景側に遠近の基準がある場合には自動的に付与されても良い。すなわち、第1深さ値付与部20は、オブジェクトの所定部位の位置に基づき、そのオブジェクトの遠近度合いを表す深さ値が決定されると、そのオブジェクトに対して当該深さ値を付与する機能を有する。第1深さ値付与部20は、CPU等の処理装置によって構成される。第1深さ値付与部20が付与処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0058】
起点生成部21は、領域境界ライン上に起点を複数生成する起点生成手段として機能する部位である。起点は、上述のように、領域分割を開始する出発点である。その起点は、領域境界ライン上の任意の点、当該任意の点から所定距離だけはなれた点であっても良い。当該任意の点は、好ましくは、起点生成部21によって任意に選出される。ただし、起点の生成方法は、上記の方法に限られず、別の方法でも良い。例えば、領域境界ライン上の曲がり角の点を起点としても良い。起点生成部21が起点生成処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。また、起点生成部21は、必須の部位ではなく、無くても良い。その場合には、例えば、領域境界ラインを構成する全ての点を起点に領域分割の処理が行われる。
【0059】
背景境界ライン情報受付部22は、画像フレーム内において、背景を対象として操作者から指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付手段として機能する部位である。背景境界ラインは、背景内をいくつかの領域に分けるために、操作者が背景を構成するいくつかの領域の輪郭上をなぞって描くラインである。かかるラインは、ドット(点)の集合である。このため、背景境界ラインの情報は、例えば、背景境界ラインを構成するドットの座標である。操作者がフレーム中にある背景内の所定領域の各輪郭に沿って背景境界ラインを描くと、背景境界ライン情報受付部22は、当該ラインを構成するドットの座標を受け付ける。背景境界ライン情報受付部22の受け付けは、操作者による特別な操作によって実行され、あるいはライン作成中に一定時間ごとに自動的に実行されても良い。背景境界ライン情報受付部22は、CPU等の処理装置と、RAM等の記憶装置とを兼ねる場合には、受け付けた情報を内部に記憶する。一方、背景境界ライン情報受付部22がCPU等の処理装置の機能のみを有する場合には、受け付けられた情報は、記憶部11内に記憶されるようにしても良い。背景境界ライン情報受付部22が受付処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。また、背景境界ライン情報受付部22は、必須の部位ではなく、無くても良い。例えば、背景を複数の領域に分割する必要の無い場合には、必ずしも背景境界ライン情報受付部22を要しない。
【0060】
第2深さ値付与部23は、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与手段として機能する部位である。深さ値は、明度を基準に付与する場合においては、数値が大きいほど、看者から近くにあることを意味する。深さ値の付与は、操作者が背景内の所定領域の特性から判断してマニュアルで付与されても良く、あるいは後述するように、背景側に遠近の基準がある場合には自動的に付与されても良い。すなわち、第2深さ値付与部23は、背景を構成する背景内領域の所定部位の位置に基づき、その背景内領域の遠近度合いを表す深さ値が決定されると、その背景内領域に対して当該深さ値を付与する機能を有する。第2深さ値付与部23は、CPU等の処理装置によって構成される。第2深さ値付与部23が付与処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。また、第2深さ値付与部23は、必須の部位ではなく、無くても良い。例えば、背景を複数の領域に分割する必要の無い場合には、必ずしも第2深さ値付与部23を要しない。
【0061】
オブジェクト・背景分離部24は、画像フレーム中の背景以外のオブジェクトと、背景とを分離するオブジェクト・背景分離手段として機能する部位である。オブジェクト・背景分離部24は、各オブジェクトおよび各オブジェクト内の複数の領域を分離する手法(手法Aとする)と、背景およびその背景内の複数の領域をオブジェクトとは別の手法(手法Bとする)によって分離する場合に有効である。オブジェクト・背景分離部24は、好適には、手法Aを用いてオブジェクトおよびその内部の領域を分離する処理を行った後に、処理後の画像と背景とを分離する。しかし、オブジェクト・背景分離部24は、手法Aの処理に先立ち、操作者がオブジェクトと背景の境界を指示し、その後、その指示に基づき画像フレームから背景を分離しても良い。オブジェクト・背景分離部24が分離処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0062】
オブジェクト・背景合成部25は、第1深さ値付与部20によって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与部23によって深さ値を付与した背景(背景内の領域を含む)とを合成するオブジェクト・背景合成手段として機能する部位である。オブジェクト・背景合成部25は、各オブジェクトおよび各オブジェクト内の複数の領域を分離する手法(手法Aとする)と、背景およびその背景内の複数の領域をオブジェクトとは別の手法(手法Bとする)によって分離する場合に有効である。オブジェクト・背景合成部25は、例えば、手法Aを用いてオブジェクトおよびその内部の領域を分離する処理を行い、それと併行して、手法Bを用いて背景およびその内部の領域を分離する処理を行い、その後、分離処理後のオブジェクトと、分離処理後の背景とを合成する。オブジェクト・背景合成部25が合成処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0063】
なお、オブジェクト・背景合成部25は、背景に対して何らの3D用の画像処理を必要とせず、背景以外のオブジェクトに対してのみ3D用の画像処理を必要とする場合には、必ずしも要しない。また、オブジェクト・背景分離部24は、その機能をオブジェクト・背景合成部25に統合しても良い。さらには、オブジェクト・背景分離部24を設けず、同一の画像フレームをコピー等により2つ用意し、1つの画像フレーム内のオブジェクトおよびその内部の領域に対して分離処理(手法Aによる分離処理)を行い、もう1つの画像フレーム内の背景およびその内部の領域に対して別の分離処理(手法Bによる分離処理)を行い、オブジェクト・背景合成部25により、それぞれの分離処理したオブジェクトと背景とを合成するようにしても良い。その意味で、オブジェクト・背景分離部24は、オプションとして好適に備える構成部である。
【0064】
ロケーション・ポイント有無判別部26は、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別手段として機能する部位である。背景内領域とは、背景を構成する領域であって、オブジェクトと異なる領域である。ロケーション・ポイントとは、2以上のオブジェクトや背景内領域の遠近度合いの基準となる点、線あるいは面をいう。ロケーション・ポイントは、種々あり得るが、例えば、背景における壁と床の境界線などを好適に例示できる。ロケーション・ポイントの有無については、画像内の明暗から自動的に判別しても良いが、操作者がロケーション・ポイントを指定することにより、ロケーション・ポイント有無判別部26は、ロケーション・ポイントが存在すると決定しても良い。ロケーション・ポイント有無判別部26が判別処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0065】
オブジェクト所定部位の位置特定部27は、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定手段として機能する部位である。ここで、所定部位とは、特に限定されないが、例えば、オブジェクトあるいは背景内領域の上部、下部あるいは側部といった最外部をいう。所定部位は、画像の種類、画像内のオブジェクトや背景内領域の種類などによって変わり得る。このため、好ましくは、画像処理装置1の操作者が、所定部位をマニュアルにて決定する。例えば、ロケーション・ポイントの存在する画像に、複数のオブジェクト(例えば、人間)が存在する場合、操作者は、そのオブジェクトの足先を所定部位として指定する。オブジェクト所定部位の位置特定部27は、ロケーション・ポイントから各オブジェクトの足先までの距離を算出し、足先の位置を特定する。オブジェクト所定部位の位置特定部27が位置特定処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0066】
深さ値決定部28は、オブジェクト所定部位の位置特定部27によって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定手段として機能する部位である。上述の例では、各人間の足先の位置が決定されると、ロケーション・ポイントからの遠近度合いを算出できる。深さ値を0〜255の範囲と設定すると、深さ値決定部28は、各人間の前後関係、ロケーション・ポイントからの位置に基づき、0〜255の範囲内の数値を深さ値として付与する。予め、所定部位の位置と深さ値との関係を、計算式あるいはテーブルを利用した割り振りなどにより設定しておくのが好ましい。深さ値決定部28が深さ値の決定処理を実行する場合、記憶部11あるいは情報記録媒体30に格納されている画像処理用コンピュータプログラムを読み取りながら処理を実行するのが好ましい。
【0067】
図2は、動画を構成する1つの画像フレームの例を示す。
図3は、
図2の画像フレーム上に、
図1の画像処理装置の操作者が領域境界ラインを描いた状態を示す。
図4は、
図3の画像フレームにおいて、領域分割を行った状態を示す。
図5は、
図4の画像フレームにおいて分離処理および第1深さ値付与処理を行った状態を示す。
図6は、
図1の画像処理装置によって動画を構成する画像フレームに対して3D映像用の画像処理を行うフローチャートを示す。
【0068】
以下、
図6のフローチャートに基づき、
図2〜
図5の画像フレームを例に、
図1の画像処理装置による処理を説明する。
【0069】
(ステップ101: 画像フレーム読み込みステップ)
画像処理装置1は、画像フレーム読み込み部15の機能により、動画を構成する1または2以上の画像フレームを記憶部11から読み込む。画像フレームは、例えば、
図2に示すような画像40である。画像40には、主に、背景41、歌手42、その他の人物43,44,45が存在する。背景41には、画像40の看者側に最も近い位置から順に、歌手42、人物43,44,45(人物43,44,45間の遠近関係は不明であっても良い)が存在する。
【0070】
(ステップ102: 領域境界ライン情報受付ステップ)
この例では、画像処理装置1の操作者は、歌手42、人物43,44,45を背景41に対して遠近感を持たせ、かつ歌手42というオブジェクト内においてさらに複数の部位に対して遠近感を持たせる処理を行うものとする。この趣旨から、操作者は、歌手42を頭部A、腕B、胸部Cの3つの領域に分け、人物43,44,45に対しては、それぞれ1つの領域D,E,Fとするべく、領域境界ライン51,52,53,54,55,56,57,58,59を描く(
図3を参照)。操作者が画像40上にこれら領域境界ライン51〜59を描くと、画像処理装置1の領域境界ライン情報受付部16は、これら領域境界ライン51〜59を構成するドットの座標データを受け付ける。領域境界ライン51は、歌手42および人物44の輪郭50の外側をなぞったラインである。領域境界ライン51は、同時に、胸部Cの輪郭の外側の一部もなぞったラインとなっている。領域境界ライン52は、歌手42の頭部から肩にいたる頭部Aの輪郭の内側をなぞったラインである。領域境界ライン52は、同時に、腕Bの輪郭の外側の一部および人物44の輪郭の外側の一部もなぞったラインとなっている。領域境界ライン53は、腕Bの輪郭の内側をなぞったラインである。領域境界ライン54は、胸部Cの輪郭の内側をなぞったラインである。領域境界ライン55は、人物44の輪郭の内側をなぞったラインである。領域境界ライン56は、人物43の輪郭50の外側をなぞったラインである。領域境界ライン57は、人物43の輪郭50の内側をなぞったラインである。領域境界ライン58は、人物45の輪郭50の外側をなぞったラインである。領域境界ライン59は、人物45の輪郭50の内側をなぞったラインである。
【0071】
(ステップ103: 起点生成ステップ)
画像処理装置1の起点生成部21は、領域境界ライン51〜59上に、所定間隔で、領域分割の処理を開始する起点60を生成する。ここで、所定間隔とは、一定の距離を隔てる意味のみならず、異なる距離を隔てる意味も含むように広義に解釈される。
図3では、理解しやすいように、起点60を領域境界ライン51,52の各一部分のみに表示しているが、起点60は、全ての領域境界ライン51〜59の全長に亘って生成される。起点60の生成は、起点生成部21により各領域境界ライン51等上の任意の点を選出し、当該任意の点を基準に、他の起点60を次々と生成していくようにしても良い。また、操作者が各領域境界ライン51等の上の任意の点を選び、起点生成部21が、当該任意の点を基準に、他の起点60を次々と生成していくようにしても良い。このように、起点60の生成方法は、1種類に限られず、種々の方法を採用できる。
【0072】
(ステップ104: 領域分割ステップ)
画像処理装置1の領域分割部17は、起点60から各領域境界ライン51等の内側および外側に向かって分割領域を拡張していくように、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する。
図4は、画像40に、多くの閉鎖状の分割ライン(白色の細線)70,75が形成された状態を示している。領域境界ライン51等は、分割ライン70,75と混同しないように、
図4では、背景色と略同一の黒色で示されている。分割ライン70,75は、分水嶺アルゴリズムによって好適に形成できる。分割ライン70,75は、地形で例えると、等高線に相当し、明度の同一なピクセルを繋いだラインである。
図4から明らかなように、分割ライン70,75は、非常に高精度に形成されているため、画面の凹凸を細かく表現している。しかし、このような分割は、3D映像を作製するという観点では、過分割である。このため、次の処理以降、操作者の描いた領域境界ライン51〜59に基づく処理を行い、過分割を補正する。
【0073】
(ステップ105: 開口処理ステップ)
画像処理装置1の開口処理部18は、2本の領域境界ライン51,52等に挟まれた領域を除くその他の領域にある閉鎖状の分割ライン75(第2分割ライン75ともいう)を開口する処理を行う。この結果、2本の領域境界ライン51,52等に挟まれた領域、すなわち、歌手42の頭部A、腕Bおよび胸部Cの各輪郭50、さらには人物43,44,45の輪郭50の存在する領域にある分割ライン70(第1分割ラインともいう)のみが閉鎖状態で残る。この開口処理は、閉鎖状の分割ライン70によって囲まれた領域のみを3D映像用に用い、その他の領域(分割ライン75で囲まれた領域)については3D映像用の処理対象から除外するための処理である。
【0074】
(ステップ106: 閉鎖ラインによる分離ステップ)
画像処理装置1の分離部19は、第1分割ライン70で囲まれた領域ごとにオブジェクトを分離する。この結果、歌手42は、頭部A(領域Aともいう)、腕B(領域Bともいう)および胸部C(領域Cともいう)の3つの領域に分離される。人物43,44,45は、それぞれ、領域D、領域Eおよび領域Fとなり、背景41から分離される。
図5は、分離された領域A〜Fの内、領域A,Bのみを白塗りで示す。
【0075】
(ステップ107: 第1深さ値付与ステップ)
画像処理装置1の第1深さ値付与部20は、第1分割ライン70で囲まれた領域A〜Fに、各領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する。深さ値は、画像40の画面の奥行き方向に対する遠近度合いを定量化する数値であれば、特に制限されない。例えば、深さ値(デプス・バリュー)は、グレースケール情報(好適には、明度)を基準として、0〜255の数値で表すことができる。領域A〜Fのそれぞれに対して、画像40の奥から手前に向かって深さ値が大きくなるように深さ値を付与するのが好ましい。
図5は、領域A〜Fに深さ値を付与した状態を示す。領域Bの深さ値が最も大きいことから、画像40では、腕Bが最も手前にある。一方、領域E,Fの深さ値が最も小さいことから、人物44,45が最も奥にある。この実施の形態では、これら深さ値は、操作者が画像40を見て、マニュアルにて入力し、その入力を受けた画像処理装置1の第1深さ値付与部20が付与する。ただし、深さ値は、操作者によるマニュアル入力によらず、後述するように自動付与するようにしても良い。その詳細は、後述する。
【0076】
図7は、
図1の画像処理装置により実行される応用例のフローを示す。
【0077】
図7に示すフローは、画像フレーム中の背景と、背景以外のオブジェクトとを分けて画像処理を行う例を示す。
図7中のステップ101(S101)から107(S107)までの処理は、前述と同様である。ただし、
図7中のステップ102A(S102A)は、背景以外のオブジェクト(人物など)を対象とした領域境界ラインのデータを受け付ける処理である点で、前述のステップ102(S102)よりも限定された処理となっている。ステップ107の処理が完了すると、画像処理装置1中のオブジェクト・背景分離部24は、ステップ107までの処理を行ったオブジェクトと、その周囲の背景とを分離し、背景を除去する(ステップ108)。
【0078】
(ステップ201: 画像フレーム読み込みステップ)
画像処理装置1は、上記ステップ101〜108と併行して、画像フレーム読み込み部15の機能により、ステップ101にて読み込んだ画像フレームと同じ画像フレームを記憶部11から読み込む。
【0079】
(ステップ202: 背景境界ライン情報受付ステップ)
次に、画像処理装置1中の背景境界ライン情報受付部22は、読み込まれた画像フレーム内において、操作者から背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける。背景境界ラインは、操作者が背景およびその背景と同一視できる領域(背景内領域)の周囲をなぞったラインである。例えば、背景中に、雲が存在し、その背景に飛行機が存在する例で説明すると、飛行機をオブジェクトとすると、雲は、背景と同一視することができる背景内領域に相当する。操作者は、雲の周囲に、背景境界ラインを描くと、背景境界ライン情報受付部22は、その背景境界ラインの情報を受け付ける。
【0080】
(ステップ203: 閉鎖状の背景境界ラインによる分離ステップ)
分離部19は、閉鎖状の背景境界ラインによって分けられた複数の領域を認識し、分離する。背景は、この後の処理によって複数の深度の異なる領域になる。
【0081】
(ステップ204: 第2深さ値付与ステップ)
第2深さ値付与部23は、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する。深さ値は、画面の奥行き方向に対する遠近度合いを定量化する数値であれば、特に制限されない。例えば、深さ値(デプス・バリュー)は、グレースケール情報(好適には、明度)を基準として、0〜255の数値で表すことができる。例えば、画面の奥から手前に向かって深さ値が大きくなるように深さ値を付与するのが好ましい。この実施の形態では、深さ値は、操作者が背景の状況を見て、マニュアルにて入力し、その入力を受けた画像処理装置1の第2深さ値付与部23が付与する。ただし、深さ値は、操作者によるマニュアル入力によらず、自動付与するようにしても良い。
【0082】
(ステップ205: オブジェクトの分離除去ステップ)
ステップ204の処理が完了すると、画像処理装置1中のオブジェクト・背景分離部24は、ステップ204までの処理を行った背景と、その背景以外のオブジェクトとを分離し、オブジェクトを除去する。
【0083】
(ステップ206: オブジェクト・背景合成ステップ)
最後に、オブジェクト・背景合成部25は、ステップ108後のオブジェクトと、ステップ205後の背景とを合成して、1つの画像フレームを再形成する。
【0084】
図8は、
図1の画像処理装置により実行される深さ値の自動付与を説明するための好適な画像フレームの例を示す。
図9は、
図1の画像処理装置により深さ値を自動付与する好適な処理のフローチャートを示す。
【0085】
以下、
図9のフローチャートに基づき、
図8の画像フレームを例に、
図1の画像処理装置による処理を説明する。
【0086】
(ステップ301: ロケーション・ポイント有無判別ステップ)
ロケーション・ポイント有無判別部26は、例えば、背景内に明度が急激に変化している部分があるか否かという基準から、ロケーション・ポイントの有無を判別する。また、変形例として、操作者がロケーション・ポイントを指定後、ロケーション・ポイント有無判別部26が指定されたロケーション・ポイントの有無を判別することもできる。
図8に示す画像80において、背景81とオブジェクト(この例では、人間)82〜86とが存在する例で説明する。背景81は、床と壁から構成されている。この例では、床と壁との境界に明度の段差が存在する。ロケーション・ポイント有無判別部26は、この段差をロケーション・ポイント87として認定し、ロケーション・ポイント87が存在すると判別する。この変形例として、操作者が画像80を見て、床と壁との境界をロケーション・ポイント87として指定し、この指定に基づき、ロケーション・ポイント有無判別部26は、ロケーション・ポイント87が存在すると判別することもできる。
【0087】
(ステップ302: オブジェクト所定部位の位置特定ステップ)
ステップ301において、ロケーション・ポイント87が存在する場合、続いて、オブジェクト所定部位の位置特定部27は、オブジェクト82〜86の足先(=所定部位)82a〜86aとロケーション・ポイント87との間の距離L1〜L5を算出し、所定部位の位置を特定する。
【0088】
(ステップ303: 深さ値決定ステップ)
続いて、深さ値決定部28は、ステップ302によって特定された位置に基づいて深さ値を決定する。
図8に示す例では、ロケーション・ポイント87から各オブジェクト82〜86の足先82a〜86aまでの距離が短いほど、画面から奥方向に位置するものとして、深さ値を決定する。
【0089】
(ステップ304: 深さ値付与ステップ)
続いて、第1深さ値付与部20は、ステップ303によって決定された各深さ値を各オブジェクト82〜86に付与する。オブジェクト82〜86に代えて、複数の背景内領域に対して深さ値を付与する必要のある場合には、第2深さ値付与部23が各背景内領域に対して深さ値を付与する。
【0090】
(ステップ305: マニュアルによる深さ値の受付判別ステップ)
ステップ301の判別の結果、ロケーション・ポイントが存在しない場合には、第1深さ値付与部20および/または第2深さ値付与部23は、操作者のマニュアルにより深さ値を受け付けたか否かを判別する。その結果、受け付けた場合には、引き続き、第1深さ値付与部20および/または第2深さ値付与部23は、ステップ304に進み、深さ値を各オブジェクトおよび/または各背景内領域に対して付与する。一方、受け付けていない場合には、ステップ301に戻る。
【0091】
2.画像処理用コンピュータプログラムおよびそれを格納した情報記録媒体
【0092】
本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、画像処理装置1(コンピュータと称する)に読み込まれて実行されるプログラムであって、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み部15、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付部16、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割部17、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理部18、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離部19、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与部20の各機能を実行させるプログラムである。当該コンピュータプログラムは、情報記録媒体30に格納され、コンピュータとは独立して流通可能である。また、サーバ内に当該コンピュータプログラムを格納しておき、コンピュータからインターネット等の回線を経由してサーバにアクセスし、サーバから当該コンピュータプログラムをダウンロードして、コンピュータにより当該コンピュータプログラムを実行して、コンピュータを画像処理装置1として機能させてもよい。以後のコンピュータプログラムについても同様である。
【0093】
また、本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、コンピュータに、起点を領域境界ライン上に複数生成する起点生成部21の機能をさらに実行させるプログラムであってもよい。
【0094】
また、本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、領域境界ライン情報受付部16を、背景以外のオブジェクトを対象として指示された領域境界ラインの情報を受け付ける構成とし、コンピュータに、画像フレーム内において、背景を対象として指示された背景境界ラインの情報を受け付ける背景境界ライン情報受付部16、背景境界ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第2深さ値付与部23、第1深さ値付与部20によって深さ値を付与したオブジェクトと、第2深さ値付与部23によって深さ値を付与した背景とを合成するオブジェクト・背景合成部25の各機能を実行させるプログラムであってもよい。
【0095】
また、本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、さらに、コンピュータに、画像フレーム内に複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域があり、かつ背景においてオブジェクトの位置および/または背景内領域の位置を示すロケーション・ポイントが存在することを判別するロケーション・ポイント有無判別部26、ロケーション・ポイントが存在する場合に、複数のオブジェクトおよび/または背景を構成する背景内領域の所定部位の位置を特定するオブジェクト所定部位の位置特定部27、そのオブジェクト所定部位の位置特定部27によって特定された位置に基づき、オブジェクトおよび/または背景内領域の遠近度合いを表す深さ値を決定する深さ値決定部28の各機能を実行させ、第1深さ値付与部20および/または第2深さ値付与部23により、オブジェクトおよび/または背景内領域に対して深さ値を付与させるプログラムであってもよい。
【0096】
3.その他の実施の形態
本発明は、上述の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理用コンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを格納した情報記録媒体に限定されず、種々変更して実施可能である。
【0097】
例えば、背景境界ライン情報受付部22、第2深さ値付与部23、オブジェクト・背景分離部24およびオブジェクト・背景合成部25は、画像処理装置1にとって必須の構成ではなく、画像処理装置1に備えられていなくても良い。その場合、背景および背景内領域についても3D処理を必要とするときには、オブジェクトと同様の画像処理を行うことができる。また、ロケーション・ポイント有無判別部26、オブジェクト所定部位の位置特定部27および深さ値決定部28も、画像処理装置1にとって必須の構成ではなく、画像処理装置1に備えられていなくても良い。その場合、オブジェクトや背景内領域に付与される深さ値は、操作者のマニュアルにて行うことができる。また、各構成部16〜28およびそれら構成部16〜28によって実行される各ステップは、動画を構成する一部の静止画(キーフレームともいう)に対してのみ、操作者のマニュアルによる入力に基づいて機能を実行し、全ての静止画に対する機能を持つ必要はない。
【0098】
「B 第2の実施の形態」
次に、本発明に係る第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0100】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置の模式図を示す。
【0101】
この実施の形態に係る画像処理装置100は、第1の実施の形態に備えられる入力部10、記憶部11、外部メモリ装填部12、通信部13、インターフェイス14、画像フレーム読み込み部15、領域境界ライン情報受付部16、領域分割部17、開口処理部18、分離部19、第1深さ値付与部20、起点生成部21、背景境界ライン情報受付部22、第2深さ値付与部23、オブジェクト・背景分離部24、オブジェクト・背景合成部25、ロケーション・ポイント有無判別部26、オブジェクト所定部位の位置特定部27および深さ値決定部28を備える。また、画像処理装置100は、上記各構成部に加え、さらに、選択データ受付部150、第1特徴点受付部151、第2特徴点探索部152、第2特徴点特定部153、移動位置抽出部154、領域境界ライン座標値算出部155、領域境界ライン自動生成部156および第1フレーム数判別部157を備える。ただし、第2特徴点探索部152は必須の構成ではなく、備えられなくとも良い。さらに、第1フレーム数判別部157も必須の構成ではなく、備えられなくとも良い。上記の各構成部は、第1の実施の形態にて説明したように、それを機能別に区分けして表示されており、必ずしも物理的に区分けされたハードウェアを意味するものではない。
【0102】
画像処理装置100は、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする装置である。
【0103】
選択データ受付部150は、第1画像フレーム内のオブジェクト(例えば、人、腕などの人の一部)に領海境界ライン(「ロトブラシ」ともいう)を生成後、ユーザによりその領域境界ラインで囲まれた部分を特定した信号を受け付ける部分である。選択データ受付部150は、オプションとして、領域境界ラインの自動生成機能を実行するフレーム数の指定を受け付ける部分を兼ねる。
【0104】
第1特徴点受付部151は、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付手段として機能する部分である。
【0105】
第2特徴点探索部152は、後述の第2特徴点特定部153の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索手段として機能する部分である。第2特徴点の探索は、第1特徴点の範囲内にある1若しくは2以上のピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つが最も近いピクセルを探す観点で行われる。色と明度の両方の観点で最も近いピクセルを探す方が正確であるが、状況によっては、探索の迅速化のため、色のみ、あるいは明度のみの観点で第2特徴点を探索することもできる。第1特徴点が複数のピクセルから成る場合には、それら複数のピクセルの情報を総合して、最も近似する第2特徴点を探す。
【0106】
第2特徴点特定部153は、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定手段として機能する部分である。第2特徴点特定部153は、上記第2特徴点探索部152の探索に基づいて、第2特徴点を決定する。
【0107】
移動位置抽出部154は、第2特徴点を構成する1または2以上のピクセルの位置情報(好適には座標であるが、座標以外に距離と方向を採用しても良い)を抽出する構成部である。なお、移動位置抽出部154の機能を第2特徴点特定部153に持たせて、移動位置抽出部154を別途備えないようにしても良い。
【0108】
領域境界ライン座標値算出部155は、第1画像フレーム内の領域境界ラインを構成する複数のピクセルの座標に、上記移動位置抽出部154によって抽出された位置情報を加算して、第2画像フレーム内の新たな領域境界ライン(すなわち、第1画像フレーム内の領域境界ラインからわずかに変化した領域境界ライン)を構成する複数のピクセルの座標を算出する部分である。なお、領域境界ライン座標値算出部155の機能を、領域境界ライン自動生成部156に持たせて、領域境界ライン座標値算出部155を別途備えないようにしても良い。
【0109】
領域境界ライン自動生成部156は、上記の第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成手段として機能する部分である。
【0110】
第1フレーム数判別部157は、選択データ受付部150に、領域境界ラインの自動生成機能を実行するフレーム数の指定が受け付けられた場合に、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するフレーム数判別手段として機能する部分である。第1フレーム数判別部157によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、少なくとも第1特徴点受付部151、第2特徴点特定部153および領域境界ライン自動生成部156は、各処理を実行する。
【0112】
図11の11Aは、1つの画面例160において、化学の教師(オブジェクトの1つ)161に領海境界ライン(ロトブラシ)を生成する前の状態を示す。同図の11Bは、ロトブラシを実行した後の状態を示す。ロトブラシを行う場合、ユーザは、画面例160内のチェックボックス162にチェックする操作を行う。次に、ユーザは、化学の教師161の外周囲に、マニュアルにて、ロトブラシ163を描く。
【0113】
次に、画面例160において、ユーザがトラッキングウィンドウ165のキーを指示すると、
図12に示す別の画面170が表示される。画面170には、ロトブラシを自動生成する画像フレームの数を指定する領域171が存在する。領域171に、例えば、「3」を入力すると、現在操作している画面例160を含めて3枚目の画像フレームまで、ロトブラシの自動生成を実行できる。次に、画面170において、ユーザが第1特徴点(「関心領域」ともいう)171を指定する。この結果、画像処理装置100は、第1特徴点171と近似する第2特徴点を探索する。この機能につき、次に、詳細に説明する。
【0114】
図13は、
図10の画像処理装置を用いた画像処理方法を詳細に説明する図を示す。
図14は、
図10の画像処理装置を用いた画像処理方法の処理の流れを説明するためのフローチャートを示す。
【0115】
この実施の形態の画像処理方法は、動画を構成する複数の画像フレームの内、領域境界ラインを生成済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内に自動的に領域境界ラインを生成することを可能とする方法であり、
図14では、
図6のステップ102(S102)とステップ103(S103)の間に行う複数のステップとして示されている。
【0116】
(ステップ1020: 画像フレーム数指定受付ステップ)
このステップは、この実施の形態では、ターゲット・トラッキング・フレームの選択データを受け付けるステップである。より具体的には、このステップは、これ以降に詳述する領域境界ライン自動生成ステップによる処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付ステップを含み、
図12中の領域171に入力した数値を受け付けるステップに相当する。
【0117】
(ステップ1021: 第1特徴点受付ステップ)
第1特徴点受付ステップは、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点(「関心領域」とも称する)の座標値を受け付けるステップである。
図13中の13Aでは、キーフレームとなるフレーム1に、オブジェクト(人)181が存在する。ここで、第1特徴点として鼻182を例示する。フレーム1は、ユーザがロトブラシをマニュアルで行ったフレームであり、すでに、オブジェクト181の輪郭の外側および内側に、ロトブラシ183,184(すなわち、領域境界ライン183および領域境界ライン184)が描かれている。
図13中の13Bでは、フレーム1の時系列的に直後に表示されるフレーム2が表示されている。フレーム2では、フレーム1内のオブジェクト181(13B中のフレーム2において点線で示す)が右にわずかに動いたオブジェクト181a(13B中のフレーム2において細い実線で示す)が存在する。
【0118】
(ステップ1022: 第2特徴点探索ステップ)
第2特徴点探索ステップは、後述の第2特徴点特定ステップの処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点(
図13では、鼻182)の座標値に対応する第2特徴点を探索するステップである。
【0119】
(ステップ1023: 第2特徴点特定ステップ)
第2特徴点探索ステップは、第2画像フレーム(
図13の13Bでは、フレーム2に相当)において、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定するステップである。第1特徴点としての鼻182は、フレーム2では、矢印Aの方向に移動している。このため、第2特徴点特定部153は、フレーム2中の鼻182aを第2特徴点として特定することになる。
【0120】
(ステップ1024: 移動位置抽出ステップ)
移動位置抽出ステップは、移動位置抽出部154によって、第2特徴点(鼻182a)を構成する1または2以上のピクセルの座標を抽出するステップである。
【0121】
(ステップ1025: 新たな領域境界ライン座標値算出ステップ)
新たな領域境界ライン座標値算出ステップは、第1画像フレーム(キーフレームとしてのフレーム1)内の領域境界ライン183,184を構成する複数のピクセルの座標に、上記移動位置抽出ステップによって抽出された位置情報を加算して、第2画像フレーム(次のフレームとなるフレーム2)内の新たな領域境界ライン183a,184aを構成する複数のピクセルの座標値を算出するステップである。このステップでは、領域境界ライン183,184を構成する各ピクセルの座標に対して、鼻182が鼻182aに移動する方向と距離を加算し、新たな領域境界ライン183a,184aを構成する各ピクセルの座標値を算出する。
【0122】
(ステップ1026: 領域境界ライン自動生成ステップ)
領域境界ライン自動生成ステップは、第1特徴点(鼻182)から第2特徴点(鼻182a)への移動情報に基づいて、第2画像フレーム(フレーム2)内に、第1画像フレーム(フレーム1)の領域境界ライン183,184に対応する新たな領域境界ライン183a,184aを自動生成するステップであり、新たな領域境界ライン座標値算出ステップによって算出して求めた新しい座標を持つ各ピクセルを結ぶ処理を行うステップである。
【0123】
(ステップ1027: フレーム数判別ステップ)
フレーム数判別ステップは、新たな領域境界ライン183,184を自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するステップである。指定したフレーム数に達していなければ、ステップ1021(S1021)に移行し、キーフレームをフレーム2に切り替え、ステップ1021(S1021)以降の同様の処理を行う。この場合、ステップ1021(S1021)における第1特徴点の指定は、すでに第2特徴点としての鼻182aの座標が特定されているため、第1特徴点受付部151は、ユーザからの新たな指定を待つことなく、鼻182aを第1特徴点として受け付ける。ステップ1022(S1022)〜ステップ1027(S1027)の処理は、次のフレーム(
図13の13Cにおいて、フレーム3)に対して実行される。
【0124】
その結果、オブジェクト(人)181bの外側および内側に、新たな領域境界ライン183b,184bが自動生成される。このような一連の処理は、指定のフレーム数の処理が完了するまで、自動で行われる。ここで、第2特徴点が探索するまでもなく明確であれば、ユーザが第2特徴点を指定することによって、第2特徴点探索ステップ(S1022)を行わなくても良い。また、ステップS1024をステップS1023に含め、かつステップS1025をステップ1026に含める場合には、ステップ1023(S1023)の次にステップ1026(S1026)に移行することもできる。したがって、フレーム数判別ステップによって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、少なくとも第1特徴点受付ステップ、第2特徴点特定ステップおよび領域境界ライン自動生成ステップを実行することができる。ステップ1027(S1027)において、指定のフレーム数の処理が完了すると、ステップ103(S103)に移行する。
【0125】
2.画像処理用コンピュータプログラムおよびそれを格納した情報記録媒体
【0126】
本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、画像処理装置100(コンピュータと称する)に読み込まれて実行されるプログラムであって、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み部15、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付部16、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割部17、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理部18、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離部19、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与部20、さらに加えて、第1画像フレームの領域境界ライン内に存在する第1特徴点の座標値を受け付ける第1特徴点受付部151、第2画像フレームにおいて、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点の座標値を特定する第2特徴点特定部153、第1特徴点から第2特徴点への移動情報に基づいて、第2画像フレーム内に、第1画像フレームの領域境界ラインに対応する新たな領域境界ラインを自動生成する領域境界ライン自動生成部156、の各機能を実行させるプログラムである。当該コンピュータプログラムは、情報記録媒体30に格納され、コンピュータとは独立して流通可能である。また、サーバ内に当該コンピュータプログラムを格納しておき、コンピュータからインターネット等の回線を経由してサーバにアクセスし、サーバから当該コンピュータプログラムをダウンロードして、コンピュータにより当該コンピュータプログラムを実行して、コンピュータを画像処理装置100として機能させてもよい。以後のコンピュータプログラムについても同様である。
【0127】
また、本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、コンピュータ(画像処理装置100)に、第2特徴点特定部153の処理に先立ち、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索する第2特徴点探索部152の機能を、さらに実行させるプログラムである。
【0128】
また、本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、コンピュータ(画像処理装置100)に、領域境界ライン自動生成部156による処理を実行する画像フレームの数の指定を受け付ける画像フレーム数指定受付手段としての選択データ受付部150、新たな領域境界ラインを自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別する第1フレーム数判別部157、の各機能をさらに実行させるプログラムであり、第1フレーム数判別部157によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、少なくとも第1特徴点受付部151、第2特徴点特定部153および領域境界ライン自動生成部156に各処理を実行させる。
【0129】
3.その他の実施の形態
本発明は、上述の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理用コンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを格納した情報記録媒体に限定されず、種々変更して実施可能である。
【0130】
例えば、第2特徴点探索手段としての第2特徴点探索部152は、ピクセルの色および明度の少なくともいずれか1つの近似度合いに基づかずに、色の濃淡などの他のピクセルの情報に基づき、第1特徴点の座標値に対応する第2特徴点を探索しても良い。また、選択データ受付部150は、画像フレーム数指定受付手段として機能していなくても良い。その場合、フレーム数判別手段として機能する第1フレーム数判別部157を設けなくても良い。ただし、選択データ受付部150が画像フレーム数指定受付手段として機能していない場合であっても、第1フレーム数判別部157を備え、予め決められた数の画像フレームで処理を終了するようにしても良い。
【0131】
「C 第3の実施の形態」
次に、本発明に係る第3の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0133】
図15は、本発明の第3の実施の形態に係る画像処理装置の模式図を示す。
【0134】
この実施の形態に係る画像処理装置200は、第1の実施の形態に備えられる入力部10、記憶部11、外部メモリ装填部12、通信部13、インターフェイス14、画像フレーム読み込み部15、領域境界ライン情報受付部16、領域分割部17、開口処理部18、分離部19、第1深さ値付与部20、起点生成部21、背景境界ライン情報受付部22、第2深さ値付与部23、オブジェクト・背景分離部24、オブジェクト・背景合成部25、ロケーション・ポイント有無判別部26、オブジェクト所定部位の位置特定部27および深さ値決定部28を備える。また、画像処理装置200は、上記各構成部に加え、さらに、条件受付部191、ピクセル深さ値割り当て部192、ピクセル移動位置追跡部193、深さ値自動生成部194、第2フレーム数判別部195を備える。なお、オプションとして、ロトブラシの自動生成をも行う場合には、第2の実施の形態に係る画像処理装置100に備える選択データ受付部150、第1特徴点受付部151、第2特徴点探索部152、第2特徴点特定部153、移動位置抽出部154、領域境界ライン座標値算出部155、領域境界ライン自動生成部156および第1フレーム数判別部157を備えるようにしても良い。このため、
図15では、第2の実施の形態特有の構成部150〜157を点線で囲う領域で示している。また、上記の各構成部は、第1の実施の形態および第2の実施の形態にて説明したように、それを機能別に区分けして表示されており、必ずしも物理的に区分けされたハードウェアを意味するものではない。
【0135】
画像処理装置200は、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする装置である。
【0136】
条件受付部191は、深さ値を自動生成するための条件を受け付ける部分であり、深さ値の自動生成機能を実行するフレーム数の指定を受け付ける部分をも兼ねる。
【0137】
ピクセル深さ値割り当て部192は、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て手段として機能する部分である。例えば、第1分割ラインで囲まれた領域に100個のピクセルが存在する場合、ピクセル深さ値割り当て部192は、当該100個のピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てる。
【0138】
ピクセル移動位置追跡部193は、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡(トラッキング)するピクセル移動位置追跡手段として機能する部分である。第1分割ラインで囲まれた領域に100個のピクセル(第1ピクセル)が存在する場合、ピクセル移動位置追跡部193は、当該100個の第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセル(第2ピクセル)に対応するかを個々に探索する。探索は、第1ピクセルそれぞれに対して、色および明度の少なくともいずれか1つが最も近い第2ピクセルを探す観点で行われる。第1ピクセルと色および明度の両方の観点で最も近い第2ピクセルを探す方が正確であるが、状況によっては、探索の迅速化のため、色のみ、あるいは明度のみの観点で第2ピクセルを探索することもできる。この探索によって、第1ピクセルに対応する第2ピクセルが存在せず、100個の第1ピクセルに対応する第2ピクセルの数が99個になっている場合もある。しかし、時系列的に直近のフレーム間でのピクセルの移動を調べることから、フレーム間のピクセル数の変化は極めて小さいので、支障はない。
【0139】
深さ値自動生成部194は、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当て手段によって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成手段として機能する部分である。これによって、例えば、第1画像フレーム中の100個のピクセルに対応する第2ピクセルが99個である場合、その99個の第2ピクセルに、第1ピクセルと同じ深さ値が生成される。これは、99個の第2ピクセルによって構成される領域に当該同じ深さ値が付与されたことになる。このため、キーフレーム(例えば、一番最初の画像フレーム)において、オブジェクト内あるいはオブジェクト間を分割ラインで分けた領域を作成し、各領域に深さ値を付与すれば、キーフレームの時系列的に次にくるフレームについては、領域境界ラインおよび深さ値の内の少なくとも深さ値を付与する作業をマニュアルにて行わなくとも、自動的に深さ値を付与できる。
【0140】
第2フレーム数判別部195は、条件受付部191に、深さ値の自動生成機能を実行するフレーム数の指定が受け付けられた場合に、深さ値を自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別する部分である。第2フレーム数判別部195によって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、少なくともピクセル深さ値割り当て部192、ピクセル移動位置追跡部193および深さ値自動生成部194は、各処理を実行する。
【0141】
図16は、
図15の画像処理装置を用いた処理の一例を説明する図を示す。
図17は、
図15の画像処理装置を用いた画像処理方法の処理の流れを説明するためのフローチャートを示す。
【0142】
この実施の形態の画像処理方法は、動画を構成する複数の画像フレームの内、第1分割ラインで囲まれた領域に深さ値を付与済みの第1画像フレームが存在し、かつ第1画像フレームよりも時系列的に後に存在する第2画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に対応する領域に自動的に深さ値を生成することを可能とする画像処理方法であって、
図17では、
図6のステップ106(S106)の次に行う複数のステップとして示されている。なお、
図6のステップ106(S106)までの処理および
図17のステップ107(S107)の処理は、動画を構成する全画像フレームではなく、1または2以上の画像フレーム(「キーフレーム」という)についてのみ行い、キーフレーム以後、あるいはキーフレーム間の画像フレームについて、
図17のステップ1070以後の処理を行うことができる。
【0143】
図16の16Aは、握った手201を示す画像フレーム202であって、時系列的に次の画像フレームでは、握った手201がドットで示す領域203に移動している様子を示す(枠204内の動きを参照)。握った手201の画像を構成するピクセルのそれぞれが、次の画像フレームにおいてどのピクセルに移動したかを追跡し、領域203に移動したことを特定できる。
【0144】
16Bは、フレーム1に描かれた円柱205が次のフレーム(フレーム2)において、円柱206の位置(右斜め下)に移動している状況を示す。人は、目で判断すれば、円柱205が円柱206に移動したことを容易に推測できる。しかし、コンピュータは、何の手がかりもなければ、その推測をすることはできない。そこで、オプチカル・フロー・アルゴリズムを用いて、フレーム1内の円柱205を構成する各ピクセルがフレーム2において、どのピクセルに移動しているかを判断するようにしている。このアルゴリズムは、円柱205を構成する個々のピクセルの色あるいは明度というピクセル情報を基に、フレーム2内の全ピクセルと照合して、そのピクセル情報に最も近似するピクセルを選択するプログラムである。このプログラムにより、円柱205がフレーム2においてどこに移動したかを把握することができる。16Bの例では、円柱205の移動後の領域が円柱206であることが把握できる。円柱205を構成する各ピクセルには深さ値が付与されているので、円柱206を構成する各ピクセルにも同じ深さ値を付与することができる。この結果、円柱206に自動的に深さ値を付与することができる。例えば、円柱205が10個の分割領域で構成されているなら、円柱206にも10個の分割領域があり、円柱206の各分割領域に、円柱206の各分割領域と同じ深さ値を付与することができる。
【0145】
また、第3の実施の形態に係る画像処理装置200を用いた画像処理方法の利点は、キーフレーム以後の画像フレームに対して、オブジェクト内あるいはオブジェクト間の領域分割の処理を行わなくとも良い点にある、キーフレームさえ領域分割および深さ値の付与を行っておけば、キーフレーム以後の画像フレームでは、ピクセル単位で移動後の位置を探索できる。このため、16Bの例では、円柱206内の領域を必ずしも縁取りしておく必要はない。ただし、動画を構成する静止画の場合、画像フレーム間で大きく画像が切り替わることがあるので、時系列的に所々の画像フレームについては、キーフレームと位置付け、領域分割と深さ値の付与を行うことが望ましい。
【0146】
ここで、
図17に基づいて、好適な画像処理方法のフローを説明する。
【0147】
(ステップ107: 第1深さ値付与ステップ)
このステップは、この実施の形態では、キーフレームとなるフレーム1中の各領域(オブジェクトの分割領域)に深さ値を付与するステップである。このステップでは、第1の実施の形態で説明した要領で、人の目で判断して深さ値が付与される。
【0148】
(ステップ1070: 条件受付ステップ)
このステップは、条件受付部191によって実行される前述の処理である。
【0149】
(ステップ1071: ピクセル深さ値割り当てステップ)
このステップは、ピクセル深さ値割り当て部192によって実行され、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるステップである。
【0150】
(ステップ1072: ピクセル移動位置追跡ステップ)
このステップは、ピクセル移動位置追跡部193によって実行され、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するステップである。
【0151】
(ステップ1073: 移動後ピクセル深さ値付与ステップ)
このステップは、第2画像フレーム内において探索できた新たなピクセルに、これに対応する第1画像フレーム内のピクセルの深さ値を付与するステップである。このステップは、深さ値自動生成部194によって実行可能であるが、深さ値自動生成部194とは別の構成部(移動後ピクセル深さ値付与部)を設け、移動後ピクセル深さ値付与部によって実行されても良い。
【0152】
(ステップ1074: 深さ値自動生成ステップ)
このステップは、深さ値自動生成部194によって実行され、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、前述のピクセル深さ値割り当てステップによって割り当てられた深さ値を自動生成するステップである。また、このステップにおいて、前述の移動後ピクセル深さ値付与ステップを経て付与された第2ピクセルの深さ値に基づき、第2ピクセルで構成される領域に同じ深さ値を付与することもできる。すなわち、深さ値自動生成部194およびそれによって実行される深さ値自動生成ステップは、第1ピクセルに割り当てられた深さ値に基づいて行われるか、それとも第2ピクセルに付与された深さ値に基づいて行われるかは、問わない。
【0153】
(ステップ1075: 第2フレーム数判別ステップ)
第2フレーム数判別ステップは、深さ値を自動生成する処理を実行した画像フレームの数が、指定された画像フレーム数に到達したか否かを判別するステップである。指定したフレーム数に達していなければ、ステップ1071(S1071)に移行し、キーフレームを先の画像フレームから時系列的に次の画像フレームに切り替え、ステップ1071(S1071)以降の同様の処理を行う。この場合、ステップ1071(S1071)におけるピクセル深さ値の割り当ては、すでに前の処理で行われているため、ピクセル深さ値割り当て部192は、前の処理で特定された深さ値をそのまま受け付ける。その後、ステップ1072(S1072)〜ステップ1075(S1075)の処理は、当該次の画像フレームに対して実行される。
【0154】
このような一連の処理は、指定のフレーム数の処理が完了するまで、自動で行われる。したがって、第2フレーム数判別ステップによって、指定された画像フレーム数に到達したと判別されるまで、少なくともピクセル深さ値割り当てステップ、ピクセル移動位置追跡ステップ、移動後ピクセル深さ値付与ステップ(次の深さ値自動生成ステップに含まれる場合もある)、深さ値自動生成ステップを実行することができる。ステップ1075(S1075)において、指定のフレーム数の処理が完了すると、終了となる。
【0155】
2.画像処理用コンピュータプログラムおよびそれを格納した情報記録媒体
【0156】
本発明に係る画像処理用コンピュータプログラムの実施の形態は、画像処理装置200(コンピュータと称する)に読み込まれて実行されるプログラムであって、コンピュータに、動画を構成する複数の画像フレームの内の1若しくは2以上の画像フレームを読み込む画像フレーム読み込み部15、読み込まれた画像フレーム内において、領域境界ラインの情報を受け付ける領域境界ライン情報受付部16、領域境界ライン上の所定の点を起点として分割領域を拡張し、明度の近似点をつなぐ分割ラインにより領域境界ラインの内外を分割する領域分割部17、分割ラインの内、2本の領域境界ラインの間に存在する第1分割ラインを残し、分割ラインの内の第1分割ライン以外の第2分割ラインを開口させる開口処理部18、第1分割ラインで囲まれた領域の単位に分離する分離部19、第1分割ラインで囲まれた領域に、その領域の遠近度合いを表す深さ値を付与する第1深さ値付与部20、さらに加えて、第1画像フレーム内の第1分割ラインで囲まれた領域に存在する1以上の第1ピクセルに、第1分割ラインで囲まれた領域に付与された深さ値を割り当てるピクセル深さ値割り当て部192、第1ピクセルが第2画像フレーム内のどのピクセルに移動したかを追跡するピクセル移動位置追跡部193、第2画像フレーム内の領域であって、第1ピクセルの移動後の第2ピクセルで構成される領域に、ピクセル深さ値割り当て部192によって割り当てられた深さ値を自動生成する深さ値自動生成部194、の各機能を実行させるプログラムである。
【0157】
この画像処理用コンピュータプログラムは、さらに、コンピュータに、条件受付部191、第2フレーム数判別部195、移動後ピクセル深さ値付与ステップを実行するための移動後ピクセル深さ値付与部の各機能を実行させることもできる。当該コンピュータプログラムは、情報記録媒体30に格納され、コンピュータとは独立して流通可能である。また、サーバ内に当該コンピュータプログラムを格納しておき、コンピュータからインターネット等の回線を経由してサーバにアクセスし、サーバから当該コンピュータプログラムをダウンロードして、コンピュータにより当該コンピュータプログラムを実行して、コンピュータを画像処理装置200として機能させてもよい。
【0158】
3.その他の実施の形態
本発明は、上述の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理用コンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを格納した情報記録媒体に限定されず、種々変更して実施可能である。
【0159】
例えば、ピクセル移動位置追跡手段としてのピクセル移動位置追跡部193およびそれによって実行されるピクセル移動位置追跡ステップは、ピクセルの色、明度ではなく、ピクセルの色の濃淡等の他のピクセル情報に基づいて追跡しても良い。また、この実施の形態を含めた全ての実施の形態における画像処理装置1,100,200内の各構成部は、不可能な場合を除き、どのように組み合わせても良い。さらに各構成部により実行される各ステップについても、不可能である場合を除き、どのように順番を入れ替えても良い。例えば、第2の実施の形態において、ステップS1027(
図14を参照)をステップS107の後に移動して、フレーム単位に深さ値の付与まで完了してから、次のステップS1021に戻ってもよい。