(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
・圧電駆動部の構成:
図1(A)は、本発明に用いられる圧電駆動部10の概略構成を示す平面図であり、
図1(B)は、圧電駆動部10を
図1(A)のB−B切断線で切ったときに、その断面から圧電駆動部10を見たときの図である。圧電駆動部10は、振動板200と、振動板200の両面(第1面211(「表面」とも呼ぶ)と第2面212(「裏面」とも呼ぶ))にそれぞれ配置された2つの圧電振動体100とを備える。圧電振動体100は、基板120と、基板120の上に形成された第1電極130と、第1電極130の上に形成された圧電体140と、圧電体140の上に形成された第2電極150と、を備えている。第1電極130と第2電極150は、圧電体140を挟持している。2つの圧電振動体100は、振動板200を中心として対称に配置されている。2つの圧電振動体100は同じ構成を有しているので、以下では特に断らない限り、振動板200の上側にある圧電振動体100の構成を説明する。
【0016】
圧電振動体100の基板120は、第1電極130と圧電体140と第2電極150を成膜プロセスで形成するための基板として使用される。また、基板120は機械的な振動を行う振動板としての機能も有する。基板120は、例えば、Si,Al
2O
3,ZrO
2などで形成することができる。シリコン(以下「Si」とも呼ぶ。)製の基板120として、例えば半導体製造用のSiウェハーを利用することが可能である。この実施形態において、基板120の平面形状は長方形である。基板120の厚みは、例えば10μm以上100μm以下の範囲とすることが好ましい。基板120の厚みを10μm以上とすれば、基板120上の成膜処理の際に基板120を比較的容易に取扱うことができる。また、基板120の厚みを100μm以下とすれば、薄膜で形成された圧電体140の伸縮に応じて、基板120を容易に振動させることができる。
【0017】
第1電極130は、基板120上に形成された1つの連続的な導電体層として形成されている。一方、第2電極150は、
図1(A)に示すように、5つの導電体層150a〜150e(「第2電極150a〜150e」とも呼ぶ)に区分されている。中央にある第2電極150eは、基板120の幅方向の中央において、基板120の長手方向のほぼ全体に亘る長方形形状に形成されている。他の4つの第2電極150a,150b,150c,150dは、同一の平面形状を有しており、基板120の四隅の位置に形成されている。
図1の例では、第1電極130と第2電極150は、いずれも長方形の平面形状を有している。第1電極130や第2電極150は、例えばスパッタリングによって形成される薄膜である。第1電極130や第2電極150の材料としては、例えばAl(アルミニウム)や、Ni(ニッケル)、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)などの導電性の高い任意の材料を利用可能である。なお、第1電極130を1つの連続的な導電体層とする代わりに、第2電極150a〜150eと実質的に同じ平面形状を有する5つの導電体層に区分してもよい。なお、第2電極150a〜150eの間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)と、第1電極130及び第2電極150a〜150eと駆動回路との間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)とは、
図1では図示が省略されている。
【0018】
圧電体140は、第2電極150a〜150eと実質的に同じ平面形状を有する5つの圧電体層として形成されている。この代わりに、圧電体140を、第1電極130と実質的に同じ平面形状を有する1つの連続的な圧電体層として形成してもよい。第1電極130と圧電体140と第2電極150a〜150eとの積層構造によって、5つの圧電素子110a〜110e(
図1(A))が構成される。
【0019】
圧電体140は、例えばゾル−ゲル法やスパッタリング法によって形成される薄膜である。圧電体140の材料としては、ABO
3型のペロブスカイト構造を採るセラミックスなど、圧電効果を示す任意の材料を利用可能である。ABO
3型のペロブスカイト構造を採るセラミックスとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等を用いることが可能である。またセラミック以外の圧電効果を示す材料、例えばポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いることも可能である。圧電体140の厚みは、例えば50nm(0.05μm)以上20μm以下の範囲とすることが好ましい。この範囲の厚みを有する圧電体140の薄膜は、成膜プロセスを利用して容易に形成することができる。圧電体140の厚みを0.05μm以上とすれば、圧電体140の伸縮に応じて十分に大きな力を発生することができる。また、圧電体140の厚みを20μm以下とすれば、圧電駆動部10を十分に小型化することができる。
【0020】
図2は、振動板200の平面図である。振動板200は、長方形形状の振動体部210と、振動体部210の左右の長辺からそれぞれ3本ずつ延びる接続部220とを有しており、また、左右の3本の接続部220にそれぞれ接続された2つの取付部230を有している。なお、
図2では、図示の便宜上、振動体部210にハッチングを付している。取付部230は、ネジ240によって他の部材に圧電駆動部10を取り付けるために用いられる。振動板200は、例えば、シリコン、シリコン化合物、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄−ニッケル合金などの金属、金属酸化物、またはダイヤモンド等の材料で形成することが可能である。
【0021】
振動体部210の上面(第1面)及び下面(第2面)には、圧電振動体100(
図1)がそれぞれ接着剤を用いて接着される。振動体部210の長さLと幅Wの比は、L:W=約7:2とすることが好ましい。この比は、振動体部210がその平面に沿って左右に屈曲する超音波振動(後述)を行うために好ましい値である。振動体部210の長さLは、例えば0.1mm以上30mm以下の範囲とすることができ、幅Wは、例えば0.05mm以上8mm以下の範囲とすることができる。なお、振動体部210が超音波振動を行うために、長さLは50mm以下とすることが好ましい。振動体部210の厚み(振動板200の厚み)は、例えば20μm以上700μm以下の範囲とすることができる。振動体部210の厚みを20μm以上とすれば、圧電振動体100を支持するために十分な剛性を有するものとなる。また、振動体部210の厚みを700μm以下とすれば、圧電振動体100の変形に応じて十分に大きな変形を発生することができる。
【0022】
振動板200の一方の短辺には、接触部材20が設けられている。接触部材20は、被駆動体と接触可能な、被駆動体に力を与えるための部材である。接触部材20は、セラミックス(例えばAl
2O
3)などの耐久性がある材料で形成することが好ましい。
【0023】
図3は、圧電駆動部10と駆動回路300の電気的接続状態を示す説明図である。5つの第2電極150a〜150eのうちで、対角にある一対の第2電極150a,150dが配線151を介して互いに電気的に接続され、他の対角の一対の第2電極150b,150cも配線152を介して互いに電気的に接続されている。これらの配線151,152は成膜処理によって形成しても良く、或いは、ワイヤ状の配線によって実現してもよい。
図3の右側にある3つの第2電極150b,150e,150dと、第1電極130(
図1)は、配線310,312,314,320を介して駆動回路300に電気的に接続されている。駆動回路300は、一対の第2電極150a,150dと第1電極130との間に周期的に変化する交流電圧又は脈流電圧を印加することにより、圧電駆動部10を超音波振動させて、接触部材20に接触するローター(被駆動体)を所定の回転方向に回転させることが可能である。ここで、「脈流電圧」とは、交流電圧にDCオフセットを付加した電圧を意味し、その電圧(電界)の向きは、一方の電極から他方の電極に向かう一方向である。また、他の一対の第2電極150b,150cと第1電極130との間に交流電圧又は脈流電圧を印加することにより、接触部材20に接触するローターを逆方向に回転させることが可能である。このような電圧の印加は、振動板200の両面に設けられた2つの圧電振動体100に同時に行われる。なお、
図3に示した配線151,152,310,312,314,320を構成する配線(又は配線層及び絶縁層)は、
図1では図示が省略されている。
【0024】
図4は、圧電駆動部10の屈曲振動の例を示す説明図である。圧電駆動部10の接触部材20は、被駆動体としてのローター50の外周に接触している。
図4に示す例では、駆動回路300(
図3)は、第1の対角に配置された一対の第2電極150a,150dと第1電極130との間に交流電圧又は脈流電圧を印加しており、圧電素子110a,110dは
図4の矢印xの方向に伸縮する。これに応じて、圧電駆動部10の振動体部210は、
図4(A)に示す蛇行していないまっすぐな形状と、
図4(B)に示す振動体部210の平面内で屈曲して蛇行形状(S字形状)に交互に変形し、接触部材20の先端が矢印yの向きに楕円運動する。その結果、ローター50は、その中心51の周りに第1の方向z(
図4では時計回り方向)に回転する。本実施形態では、振動体部210は、
図4(A)に示すような蛇行していないまっすぐな形状と、
図4(B)に示すような振動体部210の平面内で屈曲して蛇行形状(S字形状)と、に交互に変形することを屈曲振動と呼ぶ。
図2で説明した振動板200の3つの接続部220(
図2)は、このような振動体部210の振動の節(ふし)の位置に設けられている。なお、駆動回路300が、第1の対角とは異なる第2の対角に配置された他の一対の第2電極150b,150cと第1電極130との間に交流電圧又は脈流電圧を印加する場合には、ローター50は逆方向(第2の方向あるいは、反時計回り方向)に回転する。なお、屈曲振動では、時計回り時に駆動される2つの圧電素子110a,110dは、振動体部210(あるいは圧電振動体100)の中心205に対して点対称位置にあり、反時計回り時に駆動される2つの圧電素子110b,110cは、振動体部210(あるいは圧電振動体100)の中心205に対して点対称位置にある。中央の第2電極150eに、一対の第2電極150a,150d(又は他の一対の第2電極150b,150c)と同じ電圧を印加すれば、圧電駆動部10が長手方向に伸縮するので、接触部材20からローター50に与える力をより大きくすることが可能である。なお、駆動回路300が屈曲振動時に駆動する圧電素子は、点対称位置になくてもよく、例えば、中心205に対して偏った位置にあっても良い。なお、圧電駆動部10(又は圧電振動体100)のこのような動作については、上記先行技術文献1(特開2004−320979号公報、又は、対応する米国特許第7224102号)に記載されており、その開示内容は参照により組み込まれる。
【0025】
・第1の実施形態:
図5は、第1の実施形態の圧電駆動装置1000における圧電駆動部の配置を示す説明図である。
図5(A)は、ローター50の法線方向から見た図を示し、
図5(B)は、圧電駆動装置1000を
図5(A)に記載のBの方向から見た図を示している。なお、
図5(B)では、図面が見づらくなるため、圧電振動部10s3、10t2及びそれらの接触部材20を省略している。圧電駆動装置1000は、6個の圧電駆動部10s1〜10s3、10t1〜10t3を備える。圧電駆動部10s1〜10s3、10t1〜10t3は2つの群、第1の圧電駆動部群と第2の圧電駆動部群に分類される。第1の圧電駆動部群は、圧電駆動部10s1〜10s3を含み、第2の圧電駆動部群は、圧電駆動部10t1〜10t3を含んでいる。第1の圧電駆動部群の3個の圧電駆動部10s1〜10s3の接触部材20は、ローター50(被駆動部材50)の円板形状の外周に沿って、ローター50の中心51を中心とする3回回転対称位置に配置されている。3個の圧電駆動部10s1〜10s3の3個の接触部材20とローター50との3つの接触点の幾何学的な重心は、ローター50の中心51と一致する。第2の圧電駆動部群の3個の圧電駆動部10t1〜10t3の接触部材20も、ローター50の外周に沿って、ローター50の中心51を中心とする3回回転対称位置に配置されており、3個の圧電駆動部10t1〜10t3の3個の接触部材20とローター50との3つの接触点の幾何学的な重心は、ローター50の中心51と一致する。なお、「幾何学的な重心」とは、3つ以上の接触点で構成される凸多角形(本実施形態では三角形)の重心を意味する。
【0026】
圧電駆動部10s1〜10s3、10t1〜10t3の接触部材20は、ローター50の厚みの中央で、ローター50の外周面52(「接触面52」とも呼ぶ。)と接触する。接触点の軌跡TR(「移動軌跡TR」とも呼ぶ。)は、外周面52に沿った円となる。ローター50の中心51は、外周面52の移動軌跡TRの中心にある「移動中心軸」に相当する。換言すれば、ローター50の中心51は、複数の圧電駆動部10s1〜10s3、10t1〜10t3の複数の接触部材20が接触するローター50の接触面52上の移動軌跡TRを想定するときに、その移動軌跡TRの中心にある移動中心軸と言える。
【0027】
圧電駆動装置1000では、第1の圧電駆動部群の3つの圧電駆動部10s1〜10s3は、同一のタイミングでローター50を押圧する。ただし、各圧電駆動部10s1〜10s3の押圧のタイミングは、押圧の周期の長さを100%としたときに、互いに±5%程度の差があってもよい。この程度の差であれば、ローター50の振動やガタツキを十分に抑制し、小さく出来る。また、第2の圧電駆動部群の3つの圧電駆動部10t1〜10t3も、同一のタイミングでローター50を押圧する。各圧電駆動部10t1〜10t3の押圧タイミングについても、同様に押圧の周期の長さを100%としたときに、互いに±5%程度の差があってもよい。第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1〜10s3によるローター50の押圧のタイミングと、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1〜10t3によるローター50の押圧のタイミングが互いに異なり、交互に押圧が行われる。
【0028】
図5(C)は、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1〜10s3からローター50に掛かる押圧力F10s1〜F10s3を示す説明図である。押圧力F10s1〜F10s3は、大きさが同じであり、ローター50と接触部材20との接点における接線の方向を向いている。このように、回転対称な位置にある接触点から、回転対称な力を掛けると、回転以外の力が掛からない。第1の圧電駆動部群の圧電駆動部からローター50に掛かる押圧力F10s1〜F10s3は、ローター50を回転させるだけであり、ローター50に並進方向の力を掛けない。その結果、ローター50の振動やガタツキを抑えることができる。
【0029】
図5(D)は、押圧力F10s1〜F10s3がローター50の外周面52の接線方向以外の方向を向いている場合を示す説明図である。押圧力F10s1は、円周面52の接線方向の力F10s1aと、ローター50の中心方向(放射方向)の力F10s1bに分けることが出来る。押圧力F10s2とF10s3についても同様に、それぞれ、接線方向の力F10s2a、F10s3aと、中心方向の力F10s2b、F10s3bに分けることができる。中心方向の力F10s1b、F10s2b、F10s3bは作用線がローター50の中心51を通り、F10s1b、F10s2b、F10s3bの和はゼロとなるので、ローター50に並進方向の力を掛けない。接線方向の力F10s1a、F10s2a、F10s3aについては、
図5(C)で説明したように、ローター50を回転させるだけであり、ローター50に並進方向の力を掛けない。従って、押圧力F10s1〜F10s3がローター50の外周面52の接線方向以外の方向を向いている場合であっても、押圧力F10s1〜F10s3は、ローター50を回転させるだけであり、ローター50に並進方向の力を掛けない。その結果、ローター50の振動やガタツキを抑えることができる。
【0030】
以上、第1の実施形態によれば、第1の圧電駆動部群が有する3つの圧電駆動部10s1〜10s3の各接触部材20は、ローター50の中心51(移動中心軸)に対して、3回回転対称位置に配置されており、第2の圧電駆動部群が有する3つの圧電駆動部10s1〜10s3の各接触部材20は、ローター50の中心51(移動中心軸)に対して、3回回転対称位置に配置されており、第1の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧した後に、第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するので、ローター50の振動やガタツキを小さくできる。
【0031】
・第2の実施形態:
図6は、第2の実施形態の圧電駆動装置1000sにおける圧電駆動部の配置を示す説明図である。
図6(A)は、ローター50の法線方向から見た図を示し、
図6(B)は、圧電駆動装置1000sを
図6(A)に記載のBの方向から見た図を示している。なお、
図6(B)では、図面が見づらくなるため、圧電振動部10t1及びその接触部材20を省略している。圧電駆動装置1000sは、4個の圧電駆動部10s1、10s2、10t1、10t2を備える。第1の圧電駆動部群は、圧電駆動部10s1、10s2を含み、2の圧電駆動部群は、圧電駆動部10t1、10t2を含んでいる。第1の圧電駆動部群の2個の圧電駆動部10s1、10s2の接触部材20は、ローター50の外周に沿って、ローター50の中心51(ローター50の回転中心であり、請求項における「移動中心軸」に対応する。)を中心とする点対称位置に配置されている。2個の圧電駆動部10s1、10s2の重心は、ローター50の中心51と一致する。第2の圧電駆動部群の2個の圧電駆動部10t1、10t2の接触部材20も、ローター50の外周に沿って、ローター50の中心51を中心とする点対称位置に配置されており、2個の圧電駆動部10t1、10t2の重心は、ローター50の中心51と一致する。
【0032】
圧電駆動部10s1、10s2、10t1、10t2の接触部材20は、ローター50の厚みの中央で、ローター50の外周面52(「接触面52」とも呼ぶ。)と接触する。接触点の軌跡TR(「移動軌跡TR」とも呼ぶ。)は、外周面52に沿った円となる。
【0033】
第1の圧電駆動部群の2つの圧電駆動部10s1、10s2は、ローター50を押圧し、第2の圧電駆動部群の2つの圧電駆動部10t1、10t2は、ローター50を押圧する。第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1、10s2によるローター50の押圧と、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1、10t2によるローター50の押圧とは、交互に行われる。
【0034】
図6(C)は、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1、10s2からローター50に掛かる押圧力F10s1、F10s2を示す説明図である。押圧力F10s1、F10s2は大きさが同じである。押圧力F10s1、F10s2は、それぞれローター50と接触部材20との接点における接線の方向を向いており、向きが逆である。また、押圧力F10s1、F10s2は、同一直線上にない。したがって、押圧力F10s1、F10s2は、偶力を構成する。したがって、押圧力F10s1、F10s2はローター50を回転させるだけであり、ローター50に並進方向の力は掛からない。その結果、ローター50の振動やガタツキを小さくできる。第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1、10t2からローター50に掛かる押圧力についても同様である。
【0035】
以上、第2の実施形態によれば、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1、10s2の各接触部材は、ローター50の外周に沿って、ローター50の中心51を中心とする点対称位置に配置されており、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1、10t2の各接触部材は、ローター50の外周に沿って、ローター50の中心51を中心とする点対称位置に配置されており、第1の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧した後に、第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するので、ローター50の振動やガタツキを小さくできる。
【0036】
・第3の実施形態:
図7は、第3の実施形態の圧電駆動装置1000tにおける圧電駆動部の配置を示す説明図である。
図7(A)は、圧電駆動装置1000tをローター50と平行な方向から見た状態を示し、
図7(B)は、圧電駆動装置1000tをローター50の法線方向から見た状態を示す。圧電駆動装置1000tは、12個の圧電駆動部10s1u〜10s3u、10s1d〜10s3d、10t1u〜10t3u、10t1d〜10t3dを備える。第1の圧電駆動部群は、圧電駆動部は、10s1u〜10s3u、10s1d〜10s3dを含み、第2の圧電駆動部群は、圧電駆動部10t1u〜10t3u、10t1d〜10t3dを含んでいる。
【0037】
第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u〜10s3uの接触部材20は、ローター50の一方の面50u側に、3回回転対称位置に配置され、圧電駆動部10s1d〜10s3dの接触部材20は、ローター50の他方の面50d側に、3回回転対称位置に配置されている。圧電駆動部10s1uと10s1dとは、ペアを組み、ローター50を挟んで対向位置に分かれて配置されている。圧電駆動部10s2uと10s2d、圧電駆動部10s3uと10s3dについても同様である。第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u〜10t3uについても、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u〜10s3uと同様に配置されている。
【0038】
第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u〜10s3uの接触部材20は、ローター50の一方の面50uに接触する。接触点の移動軌跡TRは、ローター50の中心51を中心とする円となる。ローター50の中心51は、外周面52上の移動軌跡TRの中心にある「移動中心軸」に相当する。換言すれば、ローター50の中心51は、複数の圧電駆動部10s1〜10s3、10t1〜10t3の複数の接触部材20が接触するローター50の外周面52上の移動軌跡TRを想定するときに、その移動軌跡TRの中心にある移動中心軸と言える。なお、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u〜10t3uの接触部材20も同様に面50uに接触し、同様に、ローター50の中心51を中心とする円形の移動軌跡を形成する。なお、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u〜10s3uの接触部材20による移動軌跡TRと、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u〜10stuの接触部材20による移動軌跡は、重なっても良く、重なっていなくてもよい。第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1d〜10s3d及び第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1d〜10t3dの接触部材20についても同様にローター50の他方の面50dに接触する。これらの移動軌跡についても、同様である。なお、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u〜10s3uの接触部材20の移動軌跡TRと、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1d〜10s3dの接触部材20の移動軌跡は、対向し、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u〜10t3uの接触部材20の移動軌跡と、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1d〜10t3dの接触部材20の移動軌跡は、対向している。
【0039】
図8は、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2d、10s3u、10s3dによりローター50に掛かる力F10s1、F10s3、F10s5を示す説明図である。圧電駆動部10s1uによる力と10s1dによる力は、同じ向きで大きさが同じであるので、
図8では、合わせて、力F10s1としている。F10s2、F10s3についても同様である。力F10s1、F10s2、F10s3は、大きさが同じで、移動軌跡TRの接線方向に掛かる。したがって、第1の実施形態と同様に、ローター50を回転させるだけであり、ローター50に並進方向の力を掛けない。その結果、ローター50の振動やガタツキを抑えることができる。
【0040】
圧電駆動部10s1uと10s1d、10s2uと10s2d、10s3uと10s3dは、それぞれ、ローター50挟んで対向しており、ローター50を押圧するため、ローター50の法線方向(ローター50の回転軸に沿った方向)の力が相殺され、ローター50の回転軸を揺動させる力が掛からない。したがって、ローター50の振動やガタツキを小さくできる。第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u〜10t3u、10t1d〜10t3dについても同様である。
【0041】
以上、第3の実施形態によれば、第1の圧電駆動部群が有する6つの圧電駆動部10s1u〜10s3u、10s1d〜10s3dの各接触部材20は、ローター50の中心51(移動中心軸)に対して、3回回転対称位置に配置されており、第2の圧電駆動部群が有する6つの圧電駆動部10t1u〜10t3u、10t1d〜10t3dの各接触部材20は、ローター50の中心51(移動中心軸)に対して、3回回転対称位置に配置されており、第1の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングと、第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングと、が互いに異なり、交互に押圧が行われるので、ローター50の振動やガタツキを小さくできる。
【0042】
第1〜3の実施形態をまとめれば、第1の圧電駆動部群が有する複数(n個、nは2以上の整数)の圧電駆動部の各接触部材20は、ローター50の中心51(移動中心軸)に対して対称な位置(一般にn回回転対称位置あるいは点対称位置)に配置されており、第2の圧電駆動部群が有する複数(n個)の圧電駆動部の各接触部材20は、ローター50の中心51に対して対称な位置(n回回転対称位置あるいは点対称位置)に配置されており、第1の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングと、第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧タイミングと、が互いに異なり、交互に押圧が行われるので、ローター50の振動やガタツキを小さくできると言える。
【0043】
なお、上記第1〜3の実施形態において、第1の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングが同一であり、第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングが同一であることが好ましい。ローター50の振動やガタツキをより抑えることができる。但し、第1の圧電駆動部群や第2の圧電駆動部群の各接触部材20がローター50を押圧するタイミングについては、少なくともペアを組む2つの圧電駆動部、例えば電駆動部10s1uと10s1dとが同時にローターを押圧すればよく、電駆動部10s1uと10s1dのペアと、電駆動部10s2uと10s2dのペアとは、必ずしも同時でなくてもよい。
【0044】
・第4の実施形態:
図9は、第4の実施形態の圧電駆動装置1000uにおける圧電駆動部の配置を示す説明図である。
図9(A)は、圧電駆動装置1000uの側面図であり、
図9(B)は、圧電駆動装置1000uの上面図であり、
図9(B)は、圧電駆動装置1000uの下面図を示す。第1〜3の実施形態では、被駆動部材としてローター50を用いているが、第4の実施形態の被駆動部材53は、長方形の平板である。
【0045】
圧電駆動装置1000uは、8個の圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2d、10t1u、10t1d、10t2u、10t2dを備える。圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2dは、第1の圧電駆動部群を構成し、圧電駆動部10t1u、10t1d、10t2u、10t2dは、第2の圧電駆動部群を構成している。
【0046】
第1の圧電駆動部群について、圧電駆動部10s1uと10s2uは、被駆動部材53の一方の面53u側に配置され、圧電駆動部10s1dと10s2dは、被駆動部材53の他方の面53d側に配置されている。圧電駆動部10s1uと10s1dとは、ペアを組み、被駆動部材53を挟んで対向して配置され、圧電駆動部10s1uと10s1dも同様にペアを組み、被駆動部材53を挟んで対向して分かれて配置されている。第2の圧電駆動部群の圧電駆動部10t1u、10t1d、10t2u、10t2dについても同様に配置されている。本実施形態では、被駆動部材53の面53u側では、図面の左側から圧電駆動部10s1u、10t1u、10s2u、10t2uというように、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部と、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部とが交互に配置されている。
【0047】
圧電駆動部10s1u、10s2u、10t1u、10t2uの接触部材20は、被駆動部材53の一方の面53uと接触する。接触点の移動軌跡TRuは、被駆動部材53の一方の面53uの被駆動部材53の移動方向に沿った直線となる。圧電駆動部10s1d、10s2d、10t1d、10t2dの接触部材20は、被駆動部材53の他方の面53dと接触する。接触点の移動軌跡TRdは、被駆動部材53の他方の面53dの被駆動部材53の移動方向に沿った直線となる。被駆動部材53は、移動軌跡TRuとTrdに沿って移動する。移動軌跡TRuとTrdの中間線を移動中心線54と呼ぶと、圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2d、10t1u、10t1d、10t2u、10t2dの各接触部材20は、移動中心線54に対して対称な位置に配置されていると言える。換言すれば、被駆動部材53の中心線は、複数の圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2d、10t1u、10t1d、10t2u、10t2dの複数の接触部材20が接触する被駆動部材53の面53u、53d上の移動軌跡TRu、TRdを想定するときに、その移動軌跡TRu、TRdの中心(中間)にある移動中心線54と言える。
【0048】
本実施形態では、第1の圧電駆動部群が有する複数の圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2dの各接触部材20は、被駆動部材53の移動中心線54に対して対称な位置に配置されており、第2の圧電駆動部群が有する複数の圧電駆動部10t1u、10t1d、10t2u、10t2dの各接触部材20は、被駆動部材53の移動中心線54に対して対称な位置に配置されており、第1の圧電駆動部群の4個の圧電駆動部10s1u、10s1d、10s2u、10s2dが被駆動部材53を押圧するタイミングと、第2の圧電駆動部群の4個の圧電駆動部10t1u、10t1d、10t2u、10t2dが被駆動部材53を押圧するタイミングとは異なっており、交互に押圧が行われるので、被駆動部材53の振動やガタツキを抑えることができる。
【0049】
なお、被駆動部材53の移動中心線54を挟んで対向して配置されているペアを組んでいる圧電駆動部、例えば、圧電駆動部10s1uと10s1dとは、同時に被駆動部材を押圧することが好ましい。被駆動部材53の振動やガタツキをより抑えることができる。
【0050】
図10は、第4の実施形態の変形例である圧電駆動装置1000vを示す説明図である。第4の実施形態の圧電駆動装置1000uでは、図面の左側から圧電駆動部10s1u、10t1u、10s2u、10t2uというように、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部と、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部とが交互に配置されているのに対し、変形例の圧電駆動装置1000vでは、移動中心線54と垂直な面55を対称面として、第1の圧電駆動部群の圧電駆動部と、第2の圧電駆動部群の圧電駆動部とが、面対称位置に配置されている点が異なる。第3の実施形態の変形例である圧電駆動装置1000vについても、第3の実施形態と同様に、被駆動部材53の振動やガタツキをより抑えることができる。
【0051】
上記各実施形態では、圧電駆動部群が2つの場合を例にとって説明したが、圧電駆動部群の数は、3以上であり、3つの圧電駆動部群の圧電駆動部が被駆動部材を押圧するタイミングが互いに異なっており、順番に交互に押圧が行われる構成であっても良い。被駆動部材の振動やガタツキを抑えることができる。
【0052】
・圧電駆動装置の他の実施形態:
図11は、本発明の他の実施形態としての圧電駆動部10aの断面図であり、第1実施形態の
図1(B)に対応する図である。この圧電駆動部10aでは、圧電振動体100が、
図1(B)とは上下を逆にした状態で振動板200に配置されている。すなわち、ここでは、第2電極150が振動板200に近く、基板120が振動板200から最も遠くなるように配置されている。なお、
図11においても、
図1(B)と同様に、第2電極150a〜150eの間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)と、第1電極130及び第2電極150a〜150eと駆動回路との間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)とは、図示が省略されている。この圧電駆動部10aも、第1実施形態と同様な効果を達成することができる。第2の実施形態と同様に、圧電振動体100の基板120を振動板200より突出させても良く、接触部材の形状を第3の実施形態と同様の形状としても良い。
【0053】
図12(A)、(B)は、本発明の更に他の実施形態としての圧電駆動部10bの平面図であり、第1実施形態の
図1(A)に対応する図である。
図12(A)、(B)では、図示の便宜上、振動板200の接続部220や取付部230は図示が省略されている。
図12(A)の圧電駆動部10bでは、一対の第2電極150b,150cが省略されている。この圧電駆動部10bも、
図4に示すような1つの方向zにローター50を回転させることが可能である。なお、
図12(A)の3つの第2電極150a,150e,150dには同じ電圧が印加されるので、これらの3つの第2電極150a,150e,150dを、連続する1つの電極層として形成してもよい。
【0054】
図12(B)は、本発明の更に他の実施形態としての圧電駆動部10cの平面図である。この圧電駆動部10cでは、
図1(A)の中央の第2電極150eが省略されており、他の4つの第2電極150a,150b,150c,150dが
図1(A)よりも大きな面積に形成されている。この圧電駆動部10cも、第1実施形態とほぼ同様な効果を達成することができる。
【0055】
図1及び
図12(A)、(B)から理解できるように、圧電振動体100の第2電極150としては、少なくとも1つの電極層を設けることができる。但し、
図1及び
図12(A),(B)に示す実施形態のように、長方形の圧電振動体100の対角の位置に第2電極150を設けるようにすれば、圧電振動体100及び振動板200を、その平面内で屈曲する蛇行形状に変形させることが可能である点で好ましい。
【0056】
・圧電駆動装置を用いた装置の実施形態:
上述した圧電駆動部10は、共振を利用することで被駆動体に対して大きな力を与えることができるものであり、各種の装置に適用可能である。圧電駆動部10は、例えば、ロボット(電子部品搬送装置(ICハンドラー)も含む)、投薬用ポンプ、時計のカレンダー送り装置、印刷装置(例えば紙送り機構。ただし、ヘッドに利用される圧電駆動装置では、振動板を共振させないので、ヘッドには適用不可である。)等の各種の機器における駆動装置として用いることが出来る。以下、代表的な実施の形態について説明する。
【0057】
図13は、上述の圧電駆動部10を利用したロボット2050の一例を示す説明図である。ロボット2050は、複数本のリンク部2012(「リンク部材」とも呼ぶ)と、それらリンク部2012の間を回動又は屈曲可能な状態で接続する複数の関節部2020とを備えたアーム2010(「腕部」とも呼ぶ)を有している。それぞれの関節部2020には、上述した圧電駆動部10が内蔵されており、圧電駆動部10を用いて関節部2020を任意の角度だけ回動又は屈曲させることが可能である。アーム2010の先端には、ロボットハンド2000が接続されている。ロボットハンド2000は、一対の把持部2003を備えている。ロボットハンド2000にも圧電駆動部10が内蔵されており、圧電駆動部10を用いて把持部2003を開閉して物を把持することが可能である。また、ロボットハンド2000とアーム2010との間にも圧電駆動部10が設けられており、圧電駆動部10を用いてロボットハンド2000をアーム2010に対して回転させることも可能である。
【0058】
図14は、
図12に示したロボット2050の手首部分の説明図である。手首の関節部2020は、手首回動部2022を挟持しており、手首回動部2022に手首のリンク部2012が、手首回動部2022の中心軸O周りに回動可能に取り付けられている。手首回動部2022は、圧電駆動部10を備えており、圧電駆動部10は、手首のリンク部2012及びロボットハンド2000を中心軸O周りに回動させる。ロボットハンド2000には、複数の把持部2003が立設されている。把持部2003の基端部はロボットハンド2000内で移動可能となっており、この把持部2003の根元の部分に圧電駆動部10が搭載されている。このため、圧電駆動部10を動作させることで、把持部2003を移動させて対象物を把持することができる。
【0059】
なお、ロボットとしては、単腕のロボットに限らず、腕の数が2以上の多腕ロボットにも圧電駆動部10を適用可能である。ここで、手首の関節部2020やロボットハンド2000の内部には、圧電駆動部10の他に、力覚センサーやジャイロセンサー等の各種装置に電力を供給する電力線や、信号を伝達する信号線等が含まれ、非常に多くの配線が必要になる。従って、関節部2020やロボットハンド2000の内部に配線を配置することは非常に困難だった。しかしながら、上述した実施形態の圧電駆動部10は、通常の電動モーターや、従来の圧電駆動装置よりも駆動電流を小さくできるので、関節部2020(特に、アーム2010の先端の関節部)やロボットハンド2000のような小さな空間でも配線を配置することが可能になる。
【0060】
図15は、上述の圧電駆動部10を利用した送液ポンプ2200の一例を示す説明図である。送液ポンプ2200は、ケース2230内に、リザーバー2211と、チューブ2212と、圧電駆動部10と、ローター2222と、減速伝達機構2223と、カム2202と、複数のフィンガー2213、2214、2215、2216、2217、2218、2219と、が設けられている。リザーバー2211は、輸送対象である液体を収容するための収容部である。チューブ2212は、リザーバー2211から送り出される液体を輸送するための管である。圧電駆動部10の接触部材20は、ローター2222の側面に押し付けた状態で設けられており、圧電駆動部10がローター2222を回転駆動する。ローター2222の回転力は減速伝達機構2223を介してカム2202に伝達される。フィンガー2213から2219はチューブ2212を閉塞させるための部材である。カム2202が回転すると、カム2202の突起部2202Aによってフィンガー2213から2219が順番に放射方向外側に押される。フィンガー2213から2219は、輸送方向上流側(リザーバー2211側)から順にチューブ2212を閉塞する。これにより、チューブ2212内の液体が順に下流側に輸送される。こうすれば、極く僅かな量を精度良く送液可能で、しかも小型な送液ポンプ2200を実現することができる。なお、各部材の配置は図示されたものには限られない。また、フィンガーなどの部材を備えず、ローター2222に設けられたボールなどがチューブ2212を閉塞する構成であってもよい。上記のような送液ポンプ2200は、インシュリンなどの薬液を人体に投与する投薬装置などに活用できる。ここで、上述した実施形態の圧電駆動部10を用いることにより、従来の圧電駆動装置よりも駆動電流が小さくなるので、投薬装置の消費電力を抑制することができる。従って、投薬装置を電池駆動する場合は、特に有効である。
【0061】
・変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
・変形例1:
上記実施形態では、基板120の上に第1電極130と圧電体140と第2電極150とが形成されていたが、基板120を省略して、振動板200の上に第1電極130と圧電体140と第2電極150とを形成するようにしてもよい。
【0063】
・変形例2:
上記実施形態では、振動板200の両面にそれぞれ1つの圧電振動体100を設けていたが、圧電振動体100の一方を省略することも可能である。但し、振動板200の両面にそれぞれ圧電振動体100を設けるようにすれば、振動板200をその平面内で屈曲した蛇行形状に変形させることがより容易である点で好ましい。
【0064】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。