特許第6439498号(P6439498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6439498疲労寿命評価方法、疲労寿命評価システム及び疲労寿命評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439498
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】疲労寿命評価方法、疲労寿命評価システム及び疲労寿命評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/32 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   G01N3/32 E
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-36545(P2015-36545)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-80677(P2016-80677A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-208326(P2014-208326)
(32)【優先日】2014年10月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】千賀 学
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−156650(JP,A)
【文献】 特開2006−329837(JP,A)
【文献】 特開平09−264706(JP,A)
【文献】 特開2014−157022(JP,A)
【文献】 特表2007−501172(JP,A)
【文献】 特開昭54−143285(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02053241(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の前記測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いて評価する疲労寿命評価方法であって、
前記試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成するステップと、
レインフロー法に基づいて、前記m周期の振幅を抽出するステップと、
前記m周期の振幅の数Naと、前記振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求めるステップと、
前記剰余Na%mに基づいて、前記m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求めるステップと、
前記m周期の振幅の頻度と前記m周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度から前記M周期の振幅の頻度を求めるステップと、
前記M周期の振幅の頻度に基づき、前記累積疲労損傷則から前記疲労寿命を評価するステップと、を備えたことを特徴とする疲労寿命評価方法。
【請求項2】
前記試験用負荷波形は、周波数、振幅及び位相の異なる複数の波形パターンが組み合わさって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の疲労寿命評価方法。
【請求項3】
前記m周期の数mは、3≦m<M/2の範囲を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の疲労寿命評価方法。
【請求項4】
予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の前記測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いて評価する疲労寿命評価システムであって、
前記試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成する波形データ作成部と、
レインフロー法に基づいて、前記m周期の振幅を抽出する振幅抽出部と、
前記m周期の振幅の数Naと、前記振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求め、前記剰余Na%mに基づいて、前記m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求める振幅範囲抽出部と、
前記m周期の振幅の頻度と前記m周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度から前記M周期の振幅の頻度を求める振幅頻度演算部と、
前記M周期の振幅の頻度に基づき、前記累積疲労損傷則から前記疲労寿命を評価する寿命評価演算部と、を備えたことを特徴とする疲労寿命評価システム。
【請求項5】
予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の前記測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いてコンピュータに評価させる疲労寿命評価プログラムであって、
前記試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成するステップと、
レインフロー法に基づいて、前記m周期の振幅を求めるステップと、
前記m周期の振幅の数Naと、前記振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求めるステップと、
前記剰余Na%mに基づいて、前記m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求めるステップと、
前記m周期の振幅の頻度と前記m周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度から前記M周期の振幅の頻度を求めるステップと、
前記M周期の振幅の頻度に基づき、前記累積疲労損傷則から前記疲労寿命を評価するステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする疲労寿命評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に対して所定の負荷波形を規則的に繰り返し付与した際の測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いて評価する疲労寿命評価方法、疲労寿命評価システム及び疲労寿命評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、測定対象物の疲労寿命を評価する方法として、累積疲労損傷則(修正マイナー則)が用いられている。累積疲労損傷則では、様々な振幅の応力等の負荷がランダムに発生している状態を、異なる振幅の負荷が単独に繰り返されたものの和とみなし、この和から疲労寿命を推定する。具体的には、負荷波形を分析した結果、σ1,σ2,・・・,σiの振幅が発生していたとして、これら振幅の負荷を測定対象物に与えた場合に、測定対象物が破断するまでの繰り返し回数をそれぞれS−N曲線から読み取り、N1,N2,・・・,Niとする。これらの振幅が、それぞれn1,n2,・・・,ni回繰り返されたとき、その損傷度をn1/N1,n2/N2,・・・,ni/Niと考え、数1に示すように、これら個々の損傷度の和を全体の損傷度Dとする。そして、全体の損傷度Dが1よりも大きくなったときに疲労破壊が起こるものとする。
【0003】
【数1】
【0004】
累積疲労損傷則では、損傷度Dを求める際に、振幅の繰り返し回数n1,n2,・・・(以下、頻度という)を算出する必要がある。このため、従来、振幅の頻度を算出する方法として、レインフロー法を用いた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の構成では、ピーク値とバレイ値との差に対してレインフロー法を用いて、振幅の頻度のみを記録するものであり、記録されるデータ量を減少することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−264706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、測定対象物の疲労試験では、予め定められた試験用負荷波形を多周期に亘って繰り返し与えることが行われる。レインフロー法は、ランダムな波形において振幅を求めることができる利点がある。しかし、疲労試験のように、負荷波形が周期的に繰り返される規則性のある波形では、一の周期の負荷波形の終点と次の周期の負荷波形の始点とを繋げた境界に振幅の発生と消失とが生じる場合があるため、その規則性を利用することができない欠点もある。特に、負荷波形の繰り返し数が多い場合には、上記した境界の影響が強く現れる可能性がある。このため、負荷波形の1周期分の振幅の頻度を、該負荷波形が繰り返される数で乗じることで全周期分の振幅の頻度を算出する構成では、実際の値と誤差が生じる問題がある。
【0007】
このため、上記した規則性のある波形の場合には、全周期分の振幅の頻度を正確に算出するために、試験期間となる全周期のデータに対してレインフロー法による算出を行なう必要があり、算出する作業が多大及び煩雑になる問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷波形を規則的に繰り返し付与した場合の測定対象物の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価できる疲労寿命評価方法、疲労寿命評価システム及び疲労寿命評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いて評価する疲労寿命評価方法であって、試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成するステップと、レインフロー法に基づいて、m周期の振幅を抽出するステップと、m周期の振幅の数Naと、振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求めるステップと、剰余Na%mに基づいて、m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求めるステップと、m周期の振幅の頻度とm周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度からM周期の振幅の頻度を求めるステップと、M周期の振幅の頻度に基づき、累積疲労損傷則から疲労寿命を評価するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、1周期分の試験用負荷波形のデータから、試験期間となるM周期の振幅の頻度を簡単、かつ、正確に算出することができ、このM周期の振幅の頻度に基づいて、測定対象物の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価することができる。
【0011】
この構成において、試験用負荷波形は、周波数、振幅及び位相の異なる複数の波形パターンが組み合わさって形成されていても良い。この構成によれば、複雑な波形パターンであっても、測定対象物の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価することができる。
【0012】
また、m周期の数mは、3≦m<M/2の範囲を満たすことが好ましい。この構成によれば、試験期間となる全M周期のデータに対してレインフロー法による算出を行なうものに比べて、算出するための処理を行うデータ量を低減することができる。特に、m=3とした場合に、データ量を最少とすることができる。
【0013】
また、本発明は、予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の前記測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いて評価する疲労寿命評価システムであって、試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成する波形データ作成部と、レインフロー法に基づいて、m周期の振幅を抽出する振幅抽出部と、m周期の振幅の数Naと、振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求め、剰余Na%mに基づいて、m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求める振幅範囲抽出部と、m周期の振幅の頻度とm周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度からM周期の振幅の頻度を求める振幅頻度算出部と、M周期の振幅の頻度に基づき、累積疲労損傷則から疲労寿命を評価する寿命評価算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、予め定められた試験用負荷波形を測定対象物に対し、M周期に亘って繰り返し付与した際の測定対象物の疲労寿命を、累積疲労損傷則を用いてコンピュータに評価させる疲労寿命評価プログラムであって、試験用負荷波形のデータから所定のm周期(3≦m<M)の波形データを作成するステップと、レインフロー法に基づいて、m周期の振幅を求めるステップと、m周期の振幅の数Naと、振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求めるステップと、剰余Na%mに基づいて、m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求めるステップと、m周期の振幅の頻度とm周期のうち周期性のある振幅の頻度とを求め、それらの各頻度からM周期の振幅の頻度を求めるステップと、M周期の振幅の頻度に基づき、累積疲労損傷則から疲労寿命を評価するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1周期分の試験用負荷波形のデータから、試験期間となるM周期の振幅の頻度を簡単、かつ、正確に算出することができ、このM周期の振幅の頻度に基づいて、測定対象物の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態にかかる疲労寿命評価システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、疲労寿命を評価する動作手順を示すフローチャートである。
図3図3は、レインフロー法を説明するための図である。
図4図4は、試験用負荷波形の特徴と余りとの関係を示したものである。
図5図5は、余りと周期性のある振幅との関係を示したものである。
図6図6(A)〜図6(F)は、本実施形態によるM周期の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。
図7図7(A)〜図7(D)は、参考例1によるM周期の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。
図8図8(A)〜図8(D)は、参考例2によるM周期の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。
図9図9は、最初の番号Nb及び最後の番号Neと数式との関係を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組合せることが可能である。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる疲労寿命評価システムの機能構成を示すブロック図である。疲労寿命評価システム10は、試験対象部品(測定対象物)の疲労寿命をコンピュータ上で仮想的に評価するものである。例えば、試験対象部品に予め定められた試験用負荷波形をM周期(例えば20万周期)に亘って、繰り返し付与した場合に、試験対象部品が疲労破壊するか否かを評価したり、試験対象部品に予め定められた試験用負荷波形を繰り返し付与し、試験対象部品が疲労破壊するまでの時間(回数)を評価する。
【0019】
疲労寿命評価システム10は、図1に示すように、演算装置11を備える。この演算装置11は、コンピュータのCPUからなるもので、この演算装置11には、キーボードやマウス等の入力装置21及びプリンターやディスプレイ等の出力装置22が接続されている。また、演算装置11には、ハードディスクや半導体メモリ等からなる記憶装置31が接続されている。この記憶装置31には、疲労寿命評価システム10に疲労寿命を評価する手順を実行させるコンピュータプログラム(疲労寿命評価プログラム)32が格納されている。また、記憶装置31には、図示は省絡するが、各種の試験対象部品に対応するS−N曲線のデータや、各種の試験用負荷波形のデータ等、疲労寿命評価試験を行う際に必要な各種データが格納されている。試験用負荷波形は、周波数、振幅及び位相の異なる複数の波形パターンが組み合わさって形成されるものが好ましい。
【0020】
演算装置11は、波形データ作成部12、振幅抽出部13、振幅範囲抽出部14、振幅頻度演算部15及び寿命評価演算部16を有している。
【0021】
波形データ作成部12は、記憶装置31から読み出した試験用負荷波形のデータから、該試験用負荷波形をm周期繰り返す波形データを作成する。このm周期は、3≦m<Mの範囲で任意に設定することが可能であるが、演算処理を早くする観点からより小さい範囲(3≦m<M/2)が好ましく、本実施形態では3周期としている。
【0022】
振幅抽出部13は、レインフロー法に基づいて、波形データ作成部12が作成したm周期の波形データの振幅を抽出する。振幅範囲抽出部14は、振幅抽出部13が抽出したm周期の波形データの振幅から、この振幅の数Naと、該振幅の数Naを周期の数mで除した際の余り(剰余)Na%mとを求める。ここで、「%」は、Naをmで除した際の余りを求める演算子である。また、振幅範囲抽出部14は、余りNa%mに基づき、m周期の波形データの振幅のうち、周期性のある振幅の範囲を求める。
【0023】
振幅頻度演算部15は、m周期の波形データの振幅の頻度(繰り返し回数)と、周期性のある振幅の頻度(繰り返し回数)とを求め、それらの各頻度から試験用負荷波形をM周期に亘って繰り返した際の振幅の頻度を求める。寿命評価演算部16は、M周期の振幅の頻度に基づき、累積疲労損傷則を用いて試験対象部品の疲労寿命を評価する。
【0024】
次に、本実施形態にかかる疲労寿命評価の手順について説明する。図2は、疲労寿命を評価する動作手順を示すフローチャートであり、図6は、本実施形態によるM周期の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。疲労寿命を評価する動作は、疲労寿命評価システム10の演算装置11がコンピュータプログラム32に基づいて実行する。なお、通常、疲労寿命評価試験を行う際に、試験用負荷波形を繰り返し与える周期(回数)Mは、多大(例えば20万周期)であるが、本実施形態では、説明の便宜上、Mを5周期とした場合について説明する。
【0025】
まず、波形データ作成部12は、記憶装置31から読み出した試験用負荷波形のデータから、該試験用負荷波形を3(m=3)周期繰り返す波形データを作成する(ステップS1)。具体的には、図6(A)に示すように、時間経過と共に応力(負荷)が変動する1周期分の試験用負荷波形を、単純に3倍して3周期繰り返す波形データを作成する。本実施形態では、説明の便宜上、応力の時間的変化を5点で示すものを試験用負荷波形としているが、周期が決まるものであれば、時間的変化する応力の点数はいくつでも良い。
【0026】
次に、振幅抽出部13は、レインフロー法に基づいて、波形データ作成部12が作成した3周期の波形データの左右の流れの振幅データ(単に振幅ともいう)をそれぞれ抽出する(ステップS2)。ここで、レインフロー法について簡単に説明する。図3は、レインフロー法を説明するための図である。この図3は時間と応力との関係を示している。レインフロー法は、ランダムな波形から出来る限り大きな振幅を見つけて振幅の頻度を数える手法である。
【0027】
図3に示すように、レインフロー法では、縦軸に時間、横軸に応力をとり、この応力の時間的な変化を波形グラフとして表す。そして、この波形を屋根に見立て、水滴を屋根の付根から軒先に向けて流す。水滴は、以下の停止条件を満たした場合に停止し、水滴が停止するまでに流れた横座標(付根から軒先までの距離)を振幅とする。レインフロー法では、1つの振幅の回数(頻度)を0.5回とし、往復で1回と計測する。
【0028】
停止条件として、(1)水滴を屋根の付根から軒先に向けて流れる際に、既に上方に位置する水滴が流れていた場合、(2)水滴が最後の屋根から落下した場合、(3)水滴の流れ開始時と同じ、または、開始時よりも深い付根が現れた場合、のいずれかの条件が整うと、水滴は停止する。以上の停止条件に従い、図3から左右の流れを求めると、左側の流れについては、時間1(第1周期の始点ST1)から流れた水滴L1は、時間2で落下して、時間4で停止する。この場合、応力が−1から−2に変化したので、振幅は−1となる。ここで、振幅の符号は、本来、正(プラス)であるが、流れの方向(図3の左右方向)を区別するための記号として左側の流れの振幅には負(マイナス)の符号を用いている。振幅の頻度を求める時には振幅の絶対値を用いる。また、時間4から流れた水滴L2は、時間5(第1周期の終点EN1)で落下して時間9で停止する。この場合、応力が0から−3に変化したので、振幅は−3となる。右側の流れについては、時間3から流れた水滴R1は、時間4で落下して時間5で停止する。この場合、応力が−2から0に変化したので、振幅は2となる。同様にして、図3及び図6(B)に示すように、3周期の波形データの左右の流れについて、それぞれ水滴が停止する位置を求め、左右の流れの振幅をそれぞれ抽出する。図6(C)は、水滴に対応する各振幅を左右の流れに分けてまとめたものである。
【0029】
再び図2のフローチャートに戻る。左右の流れの振幅がそれぞれ抽出されると、次に、左右の流れごとにデータの処理が行われる(ステップS3)。このステップS3は、ステップSa11〜Sa14のサブルーチンを有し、ステップSa11〜Sa14を左右の流れについてそれぞれ実行する。
【0030】
振幅範囲抽出部14は、振幅抽出部13が抽出した3周期の波形データの振幅から、該振幅の数Naを求める(ステップSa11)と共に、該振幅の数Naを周期の数で除した際の余りNa%3を求める(ステップSa12)。本実施形態のように、試験用負荷波形が周期的に繰り返される規則性のある波形では、図3に示すように、一の周期(第1周期)の負荷波形の終点EN1と次の周期(第2周期)の負荷波形の始点ST2との間の境界40に振幅が発生する場合がある。出願人は、レインフロー法における境界40での振幅の影響を考察し、境界40で発生/消失する振幅による波形データの特徴と、振幅の数Na及び余りNa%mの関係性を見出した。図4は、試験用負荷波形の特徴と余りとの関係を示したものであり、図5は、余りと周期性のある振幅との関係を示したものである。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、始点ST1から終点EN1までの第1周期においては存在しない振幅が境界40において発生している。本実施形態では生じていないが、境界40において振幅が消失する場合も有り得る。また、境界40において、振幅が発生も消失もしない場合もある。図4に示すように、振幅が発生した場合における境界40での振幅の特徴を調べると以下のような特徴がある。
【0032】
(1)境界40に接する流れの向きは、例えば、水滴L2,L3が示すとおり、いずれも左向きであり一致している。(2)各周期の終点と始点(例えば終点EN1と始点ST2)とは、応力が−3,−1であるため不一致となっている。(3)境界40に生じる流れの向きは、例えば、水滴R2が示す通り右向きであり、(1)に示す境界40に接する流れの向き(左向き)とは不一致となっている。振幅の発生/消失を調べるにあたり、このような波形の特徴を調べることは煩雑な作業である。そこで、振幅の発生/消失と波形データを調べ、振幅の発生/消失と、振幅の数Naを周期の数(例えば3)で除した際の余りNa%3とに関連があることを見出した。すなわち、図4に示すように、余りNa%3を求めるだけで、どのような特徴を持った波形であっても振幅の発生/消失を求めることができる。このことは、余りNa%3を元に、3周期のうち周期性のある振幅の範囲を求めることができることを意味する。余りの値は、周期の数mの値に寄らず、図4に示す0,1,m−1(本実施形態では2)の3つの値となる。このため、図4を参照することにより、余りの値から振幅の発生/消失が分かるようになっている。
【0033】
本実施形態では、左側の流れにおける振幅の数Naは、図6(C)に示すように6であり、余りNa%3は、6%3=0である。同様に、右側の流れにおける振幅の数Naは、図6(C)に示すように5であり、余りNa%3は、5%3=2である。
【0034】
再び図2のフローチャートに戻る。次に、振幅範囲抽出部14は、余りNa%3に基づき、3周期の波形データの振幅のうち、周期性のある振幅の範囲を求める。具体的には、図5を参照して、余りNa%3の値をもとに、周期性のある振幅の最初の番号Nbを求める(ステップSa13)と共に、余りNa%3の値をもとに、周期性のある振幅の最後の番号Neを求める(ステップSa14)。そして、この最初の番号Nbと最後の番号Neとの間が周期性のある振幅の範囲となる。
【0035】
本実施形態では、左側の流れでは余りが0であるため、図5に示すように、最初の番号Nbは、
Nb=Na/m+1 (a)
の式(a)で表され、6/3+1=3となる。また、最後の番号Neは、
Ne=Na/m×2 (b)
の式(b)で表され、6/3×2=4となる。このように、左側の流れでは、周期性のある振幅の範囲は、番号が図6(C)のL3〜L4の間となる。
【0036】
同様に、右側の流れでは余りが2である。ここで、データの扱いとして、最初を1減らす場合と、最後を1減らす場合とに分けている。これは、各周期をまたぐデータ(例えば、水滴L2,L4)を先の周期のデータとして取り扱うか、後のデータとして取り扱うかの取り決めである。この取り決めに従う限り、どちらとしても良い。本実施形態では、周期をまたぐデータは、先の周期のデータとして取り扱うので、最後を1減らす場合に該当する。このため、最初の番号Nbは、
Nb=Int(Na/m)+2 (c)
の式(c)で表される。ここで、Intは、小数点以下を切り捨てる演算子である。この式(c)により、Int(5/3)+2=3となる。また、最後の番号Neは、
Ne=Int(Na/m)×2+2 (d)
の式(d)で表され、Int(5/3)×2+2=4となる。このように、右側の流れでは、周期性のある振幅の範囲は、番号が図6(C)のR3〜R4の間となる。
【0037】
次に、振幅頻度演算部15は、3周期分におけるi番目の振幅の頻度Fmiを求める(ステップS4)。具体的には、図6(D)に示すように、振幅の大きさ(絶対値)の頻度を左側、右側でそれぞれ求め、左右の頻度を加算する。振幅の大きさが1の場合には、左側の頻度が3、右側の頻度が2であるため、合計5となる。同様に、振幅の大きさが2の場合には、左側の頻度が0、右側の頻度が1であるため、合計1となり、振幅の大きさが3の場合には、左側の頻度が3、右側の頻度が2であるため、合計5となる。
【0038】
次に、振幅頻度演算部15は、3周期のうち周期性のある範囲のi番目の振幅の頻度Fciを求める(ステップS5)。具体的には、図6(E)に示すように、周期性のある範囲の振幅の大きさ(絶対値)の頻度を左側、右側でそれぞれ求め、左右の頻度を加算する。振幅の大きさが1の場合には、左側の頻度が1、右側の頻度が1であるため、合計2となる。同様に、振幅の大きさが2の場合には、左側の頻度が0、右側の頻度が0であるため、合計0となり、振幅の大きさが3の場合には、左側の頻度が1、右側の頻度が1であるため、合計2となる。
【0039】
続いて、振幅頻度演算部15は、i番目の振幅の頻度Fmiと、周期性のある範囲のi番目の振幅の頻度Fciとから、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを求める(ステップS6)。具体的には、頻度FMiは、
FMi=Fmi+Fci×(M−m) (e)
の式(e)で表され、振幅の大きさ(絶対値)ごとに演算される。振幅の大きさが1の場合には、5+2×(5−3)=9となる。同様に、振幅の大きさが2の場合には、1+0×(5−3)=1となり、振幅の大きさが3の場合には、5+2×(5−3)=9となる。このように、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを簡単に求めることができる。ここで、上述したように、レインフロー法では、一般に、1つの振幅の回数(頻度)を0.5回とし、往復で1回と計測するため、演算した頻度FMiについても最終的には1/2倍されて次のステップに移行する。
【0040】
続いて、寿命評価演算部16は、求めたM周期のi番目の振幅の頻度FMiに基づき、累積疲労損傷則(例えば、修正マイナー則)から疲労寿命を評価する(ステップS7)。累積疲労損傷則では、求めたM周期のi番目の振幅の頻度FMiを数1のn1,n2,・・・,niに入れ、全体の損傷度Dが1よりも大きくなるか否かを判定する。
【0041】
次に、参考例1として、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを、全周期のデータに対してレインフロー法による算出を行なう方法について説明する。図7(A)〜図7(D)は、参考例1によるM周期のi番目の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。
【0042】
この参考例1においてもMは5とする。図7(A)に示すように、試験用負荷波形を5周期繰り返す波形データを作成し、レインフロー法に基づいて、波形データの左右の流れの振幅をそれぞれ抽出する。この参考例1では、図7(B)に示すように、左側には水滴L1〜L10が流れ、右側には水滴R1〜R9が流れる。
【0043】
次に、図7(C)に示すように、水滴に対応する各振幅を左右の流れに分け、振幅の頻度を求める。具体的には、図7(D)に示すように、振幅の大きさ(絶対値)の頻度を左側、右側でそれぞれ求め、左右の頻度を加算する。振幅の大きさが1の場合には、左側の頻度が5、右側の頻度が4であるため、合計9となる。同様に、振幅の大きさが2の場合には、左側の頻度が0、右側の頻度が1であるため、合計1となり、振幅の大きさが3の場合には、左側の頻度が5、右側の頻度が4であるため、合計9となる。この場合においても、演算した頻度FMiは、最終的に1/2倍される。
【0044】
本実施形態の手法では、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを、全周期のデータに対してレインフロー法による算出を行なった場合と同一の算出結果を得ることができる。さらに、本実施形態では、M=5の場合を説明したが、このMは通常、多大な数(例えば、20万)に設定されるため、Mが大きくなればなるほど、本実施形態での算出は簡単に行うことができ、参考例1に係る手法と比べて、振幅を求めるために処理するデータ量は、m/M倍に低減され、頻度を求めるために処理するデータ量は、およそ(m+1)/M倍に低減されるといった非常に大きな効果を奏する。
【0045】
次に、参考例2として、1周期の波形データをM倍することで、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを算出する手法を説明する。図8(A)〜図8(D)は、参考例2によるM周期の振幅の頻度を求める一連の手順を説明するための図である。
【0046】
この参考例2においてもMは5とする。図8(A)に示すように、試験用負荷波形を1周期とする波形データを作成し、レインフロー法に基づいて、波形データの左右の流れの振幅をそれぞれ抽出する。この参考例2では、図8(B)に示すように、左側には水滴L1〜L2が流れ、右側には水滴R1が流れる。
【0047】
次に、図8(C)に示すように、水滴に対応する各振幅を左右の流れに分け、振幅の頻度を求める。具体的には、図8(D)に示すように、1周期における振幅の大きさ(絶対値)の頻度を左側、右側でそれぞれ求め、これらを5倍することでM周期のi番目の振幅の頻度FMiを求める。振幅の大きさが1の場合には、左側の頻度が1、右側の頻度が0であるため、(1+0)×5=5となる。同様に、振幅の大きさが2の場合には、左側の頻度が1、右側の頻度が0であるため、(1+0)×5=5となり、振幅の大きさが3の場合には、左側の頻度が1、右側の頻度が0であるため、(1+0)×5=5となる。この場合においても、演算した頻度FMiは、最終的に1/2倍される。このように、1周期の波形データをM倍することで、M周期のi番目の振幅の頻度FMiを算出する手法では、各周期の間に発生しうる境界の影響を考慮していないため、実際の頻度FMiとは異なる誤った演算結果となる。このため、1周期の波形データを単にM倍することでは、正確なM周期のi番目の振幅の頻度FMiを算出ことはできない。
【0048】
このように、本実施形態によれば、試験用負荷波形データからm周期分の波形データを作成し(S1)、レインフロー法に基づいて、m周期の振幅を抽出し(S2)、m周期の振幅の数Naと、振幅の数Naを周期の数mで除した際の剰余Na%mとを求め(Sa11、Sa12)、剰余Na%mに基づいて、m周期のうち周期性のある振幅の範囲を求め(Sa13、Sa14)と、m周期のi番目の振幅の頻度Fmiとm周期のうち周期性のあるi番目の振幅の頻度Fciとを求め(S4、S5)、それらの各頻度からM周期のi番目の振幅の頻度FMiを求める(S6)ため、1周期分の試験用負荷波形のデータから、試験期間となるM周期のi番目の振幅の頻度FMiを簡単、かつ、正確に算出することができ、このM周期のi番目の振幅の頻度FMiに基づいて、試験対象部品の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、試験用負荷波形は、周波数、振幅及び位相の異なる複数の波形パターンが組み合わさって形成されているため、複雑な波形パターンであっても、試験対象部品の疲労寿命を簡単、かつ、正確に評価することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、m周期の数mは、3≦m<M/2の範囲を満たすことが好ましい。この構成によれば、試験期間となる全M周期のデータに対してレインフロー法による算出を行なうものに比べて、算出するための処理を行うデータ量を低減することができる。特に、m=3とした場合に、データ量を最少とすることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、余りNa%m(m=3)の値が0,1,m−1のいずれになるかを判定し、この余りNa%mの値に基づき、周期性のある振幅の最初の番号Nbと最後の番号Neとを求めているが、余りNa%mの値を所定の数式に当てはめることで最初の番号Nbと最後の番号Neとを求めることもできる。この場合には、余りNa%mの値を判定する処理を省略することができるため、処理速度を速めることができる。
【0052】
次に、余りNa%mの値を数式に当てはめて最初の番号Nbと最後の番号Neを算出する手法について説明する。上記実施形態では、図5に示すように、最初の番号Nbと最後の番号Neは、周期をまたぐデータの扱い(先の周期のデータとして取り扱うか、後の周期のデータとして取り扱うか)、及び、余りNa%mの値に応じて、定義式が異なっている。発明者は、図9に示すように、余りNa%mの値が0,1,m−1のいずれになるかを判定することなく、最初の番号Nbと最後の番号Neを求めることができる式を導き出した。
【0053】
ここでは、周期をまたぐデータを先の周期として取り扱う(先の周期に組み入れる)場合について、最初の番号Nbと最後の番号Neをそれぞれ求める式を導出する過程を説明する。まず、図5に示すように、最初の番号Nbの定義式は、余りNa%mの値によって異なり、周期をまたぐデータを先の周期として取り扱う(先の周期に組み入れる)場合には、以下の式(A)〜(C)となっている。
余りNa%m=0の場合 Nb=Na/m+1 (A)
余りNa%m=1の場合 Nb=Int(Na/m)+1 (B)
余りNa%m=m−1の場合 Nb=Int(Na/m)+2 (C)
ここで、Intは、上述したように、小数点以下を切り捨てる演算子である。
【0054】
式(A)について、余りNa%mが0ということは、数Naを周期の数mで除した場合に割り切れる。すなわち、Na/mは、整数のみで表され、小数点以下の数字が無いため、小数点以下を切り捨てても結果は変わらない。また、余りNa%mは0であるため、この余りNa%mを加算しても結果は変わらない。
【0055】
このため、式(A)を変形していくと、式(D)のようになる。
Nb=(Na/m)+1 (A)
={Int(Na/m)}+1
={Int(Na/m)+Na%m}+1
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}+1 (D)
ここで、Sgnは、負の値の場合に−1、0の場合には0、正の値の場合には+1を得る符号関数(演算子)である。この場合には、余りNa%mは0であり、周期の数mは、3≦m<M(m=3)であることから、Sgn(Na%m−(m−1))+1の値は0となる。従って、式(D)は式(A)と等価であることがわかる。
【0056】
次に、式(B)について考える。式(B)では、余りNa%mは1であり、周期の数mは、3≦m<M(m=3)である。このため、Sgn(Na%m−(m−1))+1の値は0であり、この値を加算しても結果は変わらない。従って、式(B)は下記のように式(D)に変形できる。
Nb=Int(Na/m)+1 (B)
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}+1 (D)
【0057】
式(C)の場合、まず2を1+1に分割する。また、余りNa%mはm−1であることから、Sgn(Na%m−(m−1))の値は0となる。このため、この値を加算しても結果は変わらない。従って、式(C)は下記のように式(D)に変形できる。
Nb=Int(Na/m)+2 (C)
={Int(Na/m)+1}+1
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}+1 (D)
【0058】
このように、上記した式(A)〜(C)は、いずれも同一の式(D)に変形することができる。従って、余りNa%mの値がどのような場合であっても、最初の番号Nbは一つの式(D)より求めることができる。
【0059】
一方、最後の番号Neの定義式についても、余りNa%mの値によって異なり、周期をまたぐデータを先の周期として取り扱う(先の周期に組み入れる)場合には、以下の式(E)〜(G)となっている。
余りNa%m=0の場合 Ne=Na/m×2 (E)
余りNa%m=1の場合 Ne=Int(Na/m)×2+0 (F)
余りNa%m=m−1の場合 Ne=Int(Na/m)×2+2 (G)
【0060】
式(E)式ついて、余りNa%mが0であること、周期の数mは、3≦m<M(m=3)であることから、Sgn(Na%m−(m−1))+1の値は0となる。従って、式(E)は下記のように式(H)に変形できる。
Ne=(Na/m)×2 (E)
={Int(Na/m)}×2
={Int(Na/m)+Na%m}×2
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m)}×2
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}×2 (H)
【0061】
同様に、式(F)については、余りNa%mが1であること、周期の数mは、3≦m<M(m=3)であることから、Sgn(Na%m−(m−1))+1の値は0となる。従って、式(F)は下記のように式(H)に変形できる。
Ne=Int(Na/m)×2+0 (F)
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}×2 (H)
【0062】
同様に、式(G)については、余りNa%mがm−1であることから、Sgn(Na%m−(m−1))の値は0となる。従って、式(G)は下記のように式(H)に変形できる。
Ne=Int(Na/m)×2+2 (G)
={Int(Na/m)+1}×2
={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}×2 (H)
【0063】
このように、上記した式(E)〜(G)は、いずれも同一の式(H)に変形することができる。従って、余りNa%mの値がどのような場合であっても、最後の番号Neは一つの式(H)より求めることができる。このため、振幅の数Na、周期の数m、余りNa%mの値を、これら式(D)及び式(H)にそれぞれ代入する(当てはめる)ことにより、最初の番号Nb、最後の番号Neの値を求めることができる。これにより、余りNa%mの結果を判定する処理を省略することができ、その分、演算処理の速度を向上させることができる。
【0064】
上述した説明では、周期をまたぐデータを先の周期として取り扱う(先の周期に組み入れる)場合について説明したが、周期をまたぐデータを後の周期として取り扱う(後の周期に組み入れる)ことも可能である。この場合、詳細は省略するが、最初の番号Nbの値は式(I)により、最後の番号Neの値は式(J)によって、求めることができる。この場合にも、余りNa%mの結果を判定する処理を省略することができ、その分、演算処理の速度を向上させることができる。
Nb={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}+((Na+1)%m−1)+1 (I)
Ne={Int(Na/m)+Sgn(Na%m−(m−1))+1}×2+((Na+1)%m−1) (J)
【0065】
なお、上記した式(D)、(H)及び式(I)、(J)は、最初の番号Nb及び最後の番号Neの値を求める数式の一例であり、入力(余りNa%m)に対する出力(Nb,Ne)が図5に示したものと一致するのであれば他の式を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
10 疲労寿命評価システム
11 演算装置
12 波形データ作成部
13 振幅抽出部
14 振幅範囲抽出部
15 振幅頻度演算部
16 寿命評価演算部
21 入力装置
22 出力装置
31 記憶装置
32 コンピュータプログラム
40 境界
D 損傷度
FMi M周期のi番目の振幅
Fci 周期性のある範囲のi番目の振幅の頻度
Fmi i番目の振幅の頻度
ST1〜ST3 始点
EN1〜EN3 終点
L1〜L10 水滴
R1〜R9 水滴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9