特許第6439626号(P6439626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439626
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】車両用シートのヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/888 20180101AFI20181210BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20181210BHJP
   B60R 21/055 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B60N2/888
   A47C7/38
   B60R21/055
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-156640(P2015-156640)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2017-35917(P2017-35917A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2017年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】堀内 秀也
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−255862(JP,A)
【文献】 特開2013−116660(JP,A)
【文献】 特開2006−027575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
B60R 21/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの上部に連結され、クッション体を支持する逆U字形のステーを備えた車両用シートのヘッドレストであって
前記ステーの上部に結合されて下方に張り出す平板形状の頭部保持部を備え
前記頭部保持部を結合する前記ステーの上部よりも下方に位置するように、該頭部保持部の下部にて前記頭部保持部と前記ステーの前面との間に弾性体を挟み込ませ
前記弾性体の前記ステーの前面に対するシート幅方向の変位を規制するための弾性体規制部を設け、
前記弾性体規制部は、前記弾性体のシート幅方向両側に沿って配置されるとともに、前記弾性体および前記ステーの左右の側部へ延びるように前記頭部保持部に設けられたヘッドレスト。
【請求項2】
請求項1記載のヘッドレストであって、前記弾性体が前記頭部保持部に一体に成形されたヘッドレスト。
【請求項3】
請求項記載のヘッドレストであって、前記弾性体は、頭部保持部側よりも前記ステー側に至るほど厚さが小さくなる構成としたヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用シートのヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートのヘッドレストは、通常時には乗員が頭部を持たせ掛けて楽な姿勢で着座できるようにするとともに、主として車両後突時に乗員の頭部が受ける衝撃を緩和する機能を有している。このヘッドレストについては、例えば下記の特許文献1に開示されているように従来より車両後突時に効率よく衝撃を吸収するための工夫がなされている。
【0003】
同文献1には、その図1を援用した図11に示すように従来のヘッドレスト50は、シートバック55の上部に支持したステー51の上端部に、U字形に枠組み形成した頭部保持部52の上端部を溶接により結合し、当該頭部保持部52をステー51の前面から離れる方向(図面手前側)に角度を持たせて位置させた構成を備えている。また、同じく同文献1には、その図10を援用した図12に示すようにステー51の上端部に結合した頭部保持部53はステー51の前面から離れる方向に円弧状に曲折されており、かつその下端部にステー51側に突出して設けたボス部54をステー51の前面に突き当てて座屈させることで衝撃エネルギーを吸収する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−27575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の衝撃吸収構造によれば、衝撃が加わった際に頭部保持部52(53)がその上端部(溶接結合部)を中心にして後ろ側へ傾動することにより衝撃を吸収する構成であることから、図10に示すようにヘッドレスト50に対する頭部Hの接触高さによって頭部Hに対する衝撃の反力方向(白抜き矢印R)が変化して保持性能が不安定になる問題があった。図10中(A)は、頭部保持部52(53)に対して高さ方向ほぼ中央に頭部Hが接触した状態であり、頭部保持部52(53)の上部側と下部側でほぼ均等に衝撃を受ける場合を示し、(B)は頭部保持部52(53)の上部側に頭部Hが接触した状態を示し、(C)は頭部保持部52(53)の下部側に頭部Hが接触した状態を示している。図10中(A)では反力方向Rがほぼ水平方向となるのに対して、(B)では下向きになり、逆に(C)では上向になって接触高さの違いにより頭部保持部52(53)から受ける反力方向Rが変化する。
【0006】
また、図12に示す従来の衝撃吸収構造の場合、ステー51の上部に対して頭部保持部53を溶接により結合し、この溶接部の曲げ変形を利用して頭部保持部53を後方へ傾動させてボス部54をステー51に突き当て構成であるので、当該ボス部54の座屈荷重をコントロールすることが困難であるとともに、座屈後には荷重が下がるため衝撃エネルギーの吸収効率が悪い問題があった。
【0007】
さらに、頭部Hの接触方向が斜めになった場合等にはボス部54がステー51の前面から外れて衝撃吸収機能を発揮しないおそれがあった。さらに、頭部保持部53の下部に別体のボス部54を設ける場合には構成部品が多くなる問題があった。
【0008】
本発明は、車両後突時等における頭部保持性能(衝撃吸収能)について従来よりも優れた衝撃吸収能を有するヘッドレストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は以下の各発明により解決される。第1の発明は、シートバックの上部に連結され、クッション体を支持する逆U字形のステーを備えた車両用シートのヘッドレストであって、ステーの上部に結合されて下方に張り出す平板形状の頭部保持部を備えたヘッドレストである。第1の発明では、頭部保持部を結合するステーの上部よりも下方に位置するように、頭部保持部とステーの前面との間に弾性体が挟み込まれているほか、弾性体のステーの前面に対するシート幅方向の変位を規制するための弾性体規制部を設け、弾性体規制部は、弾性体のシート幅方向両側に沿って配置されるとともに、弾性体およびステーの左右の側部へ延びるように頭部保持部に設けられている
【0010】
第1の発明によれば、頭部保持部が平板形状を有していることから、当該頭部保持部に対する頭部の接触高さが変化しても反力方向が一定方向になり、これにより、頭部の保持性能を安定化することができる。また、弾性体は、その形状や材質(硬度)等について自由度が高く、これらを適切に設定することにより衝撃吸収能のコントロールを比較的容易に行うことができる。
【0012】
また、の発明によれば、弾性体規制部により弾性体のステーの前面に対するシート幅方向の変位が規制されることにより、頭部からの荷重入力方向が斜め方向であっても頭部保持部とステーの前面との間に弾性体を確実に挟み込ませて予定した衝撃吸収能を確実に発揮させることができる。弾性体規制部は、弾性体およびステーの左右の側部へ延びるように頭部保持部に設けられる
【0014】
また、の発明によれば、弾性体規制部により、弾性体のシート幅方向の両側への変位が規制されて、当該弾性体の頭部保持部とステーの前面との間での確実な挟み込みが実現される。
【0015】
の発明は、第1の発明において、弾性体が頭部保持部に一体に成形されたヘッドレストである。
【0016】
の発明によれば、組み付け工程の簡略化を図ることができる。
【0017】
の発明は、第1の発明において、弾性体は、ステー側に至るほど厚さが小さくなる構成としたヘッドレストである。
【0018】
の発明によれば、弾性体の厚さ及び厚さの変化を適切に設定することにより、車両後突時等における衝撃を効率よく吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るヘッドレストの側面図である。
図2】本実施形態に係るヘッドレストにおけるクッション体を外した状態を前側から見た前面図である。
図3図2の(III)-(III)線断面矢視図である。
図4】ヘッドレストの頭部保持部に対する頭部の接触高さの違いを比較して示す図である。本図において、(A)は高さ方向ほぼ中央、(B)は上部、(C)は下部に接触した場合を示している。
図5】頭部保持部の変位と衝撃荷重の変化の関係を示す折れ線グラフを示す図である。本図は、従来構成による場合を示している。
図6】頭部保持部の変位と衝撃荷重の変化の関係を示す折れ線グラフを示す図である。本図は、本実施形態による場合を示している。
図7】別形態の弾性体を示す斜視図である。
図8】さらに別形態の弾性体を示す斜視図である。
図9】さらに別形態の弾性体を示す斜視図である。
図10図は、従来構成によるヘッドレストの頭部保持部に対する頭部の接触高さの違いを比較して示す図である。本図において、(A)は高さ方向ほぼ中央、(B)は上部、(C)は下部に接触した場合を示している。
図11】従来のヘッドレストを示す図である。本図は、特許文献1の図1を援用している。
図12】従来のヘッドレストを示す図である。本図は、特許文献1の図10を援用している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図1図9に基づいて説明する。図1及び図2に示すように本実施形態のヘッドレスト10は、車両用シート1のシートバック2の上部に連結されたステー11と、ステー11に取り付けた頭部保持部12と、ステー11の上部と頭部保持部12の全体を覆うクッション体3を備えている。
【0021】
ステー11は、断面円形の丸パイプ材を逆U字形に枠組み形成したフレームで、シートバック2の上部に上下方向に位置調整可能に支持されている。ステー11は、横方向に延びる横枠部11aと、横枠部11aの左右両端から下方に延びる側枠部11bを有している。頭部保持部12は、概ね平板形状を有しており、樹脂の成形により形成されている。頭部保持部12の上部には、円弧形状の結合部12aが一体に設けられている。この結合部12aが、ステー11の横枠部11aに対して上側から弾性的に嵌め付けられて当該頭部保持部12の上部がステー11に対して支持されている。
【0022】
頭部保持部12の後面には、左右一対の側枠係合部12bが一体に設けられている。左右の側枠係合部12bは、ステー11の左右の側枠部11bに向けて延びている。図2に示すように右側の側枠係合部12bが右側の側枠部11bの右側部に当接され、左側の側枠合部12bが左側の側枠部11bの左側部に当接されている。左右の側枠合部12bにより、頭部保持部12のステー11に対する前後方向の回動動作を許容しつつ左右方向の変位が規制されるようになっている。なお、図では省略されているが、両側枠係合部12bの先端には係合爪部が設けられており、この係合爪部が側枠部11bに係合されることにより、頭部保持部12のステー11に対する前後回動範囲が規制されるようになっている。
【0023】
上記左右の側枠係合部12bの下方において、頭部保持部12と左右の側枠部11bとの間にはそれぞれ弾性体14が挟み込まれている。図3には弾性体14の挟み込み状態が示されている。弾性体14は、ポリプロピレン等の適度な弾性を有する素材でブロック体形に成形されている。この弾性体14も後方へ張り出して、ステー11の側枠部11bの前面にほぼ当接した状態に設けられている。左右2つの弾性体14は、頭部保持部12とは別体で製作されて当該頭部保持部12の後面に接着等されて一体化されている。図示するように左右の弾性体14の先端部は半円弧形状に形成されて凹み部14aが設けられている。この凹み部14aがステー11の側枠部11bに当接されている。凹み部14aが当接されることにより、当該弾性体14の側枠部11bに対する左右方向(シート幅方向)の位置ずれが防止される。
【0024】
弾性体14の側枠部11bに対する左右方向の位置ずれは、上記の凹み部14aに加えて弾性体規制部13により一層確実に防止されるようになっている。図3に示すように左右の弾性体14のそれぞれの左右側方に弾性体規制部13が配置されている。左右の弾性体規制部13は、頭部保持部12に一体に設けられている。左右の弾性体規制部13は、頭部保持部12の後面から弾性体14の左右側部を経て後方へ延びている。左右の弾性体規制部13の先端部は、ステー11の側枠部11bの左右側部に至っており、それぞれ側枠部11bの側部に接触する状態に設けられている。この左右の弾性体規制部13により弾性体14の左右方向(シート幅方向)への変位が規制され、ひいては当該弾性体14の側枠部11bに対する左右方向への位置ずれが防止される。
【0025】
以上のように構成した本実施形態のヘッドレスト10によれば、頭部保持部12とステー11の側枠部11bとの間にはそれぞれ弾性体14が挟み込まれている。弾性体14のシート幅方向両側には弾性体規制部13が配置されている。この弾性体規制部13により、弾性体14のステー11の側枠部11bに対するシート幅方向の位置ずれが防止される。このため、頭部保持部12に対して斜め方向から衝撃が加わった場合であっても、弾性体14をステー11の側枠部11bとの間に確実に挟み込むことができ、これにより当該弾性体14の衝撃吸収能を確実に発揮させることができる。
【0026】
また、例示した実施形態によれば、頭部保持部12が従来のような枠組み形成された構成ではなく、樹脂成形によりほぼ平坦な平板形状を有していることから、図4に示すように当該頭部保持部12に対する頭部Hの接触高さが変化しても反力方向Rが概ね一定方向になり、これにより、頭部Hの保持性能を安定化することができる。図4中(A)は、頭部Hが頭部保持部12の高さ方向ほぼ中央に接触した場合を示し、(B)は頭部保持部12の上部に頭部Hが接触した場合を示し、(C)は頭部保持部12の下部に頭部Hが接触した場合を示している。何れの場合にも、頭部Hが受ける反力方向Rはほぼ水平方向となり、頭部Hの接触高さが異なる場合であっても常に安定した頭部保持機能を持たせることができる。
【0027】
また、頭部保持部12の後面に左右一対の側枠係合部12bが設けられている。この側枠係合部12bによれば、頭部保持部12のステー11に対する左右方向(シート幅方向)の変位が規制される。このため、頭部Hからの荷重入力方向が斜め方向であっても、ステー11に対して頭部保持部12が左右方向に位置ずれすることが規制され、これにより弾性体14をステー11の側枠部11bの前面に確実に押圧させて衝撃吸収能を確実に発揮させることができる。
【0028】
さらに、例示した実施形態によれば、弾性体14は、その形状や材質(硬度)等について自由度が高く、これらを適切に設定することにより衝撃吸収能のコントロールを比較的容易に行うことができる。
【0029】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、平板形状の弾性体14を例示したが、弾性体の形状、素材、取り付け部位及び個数等については吸収する衝撃の大きさや吸収する態様に応じて以下のように様々に変更することができる。例えば、図7には、ステー11側に向けて厚さtが徐々に小さくなるくさび形の弾性体15が示されている。この弾性体15の左右両側に弾性体規制部13が配置されている。弾性体15及び左右の弾性体規制部13は、頭部保持部12の後面に一体に設けられている。左右の弾性体規制部13により弾性体15の側枠部11bに対する左右方向(シート幅方向)の位置ずれが防止されて、当該側枠部11bに対する挟み込み状態が確実に維持される。
【0030】
弾性体15の先端部は半円弧形状に凹んでおり、この凹み部15aがステー11の側枠部11bに当接されている。この凹み部15aが当接されることによっても当該弾性体15の側枠部11bに対する左右方向の位置ずれが防止される。
【0031】
図8には、厚さtと厚さtが二段階で不連続的に変化する2段くさび形の弾性体16が示されている。より厚さが小さい範囲で変化する厚さtの先端部16aが先端側(ステー11側)に配置され、より厚さが大きな範囲で徐々に変化する厚さtの基部16bが基部側(頭部保持部12側)に配置されている。
【0032】
弾性体16の左右両側に弾性体規制部13が配置されている。弾性体16及び弾性体規制部13は、頭部保持部12の後面に一体に設けられている。この弾性体規制13により弾性体16の側枠部11bに対するシート幅方向の位置ずれが防止される。これにより、側枠部11bに対する当該弾性体16の挟み込みが確実になされてその弾性吸収能が確実に発揮される。この弾性体16の先端部(先端部16aの先端部)にも半円弧形状に凹んだ凹み部16cが設けられいる。この凹み部16cにより、当該弾性体16の側枠部11bに対する左右方向の位置ずれが防止されている。
【0033】
図9には、左右方向2枚の板材17aと上下方向2枚の板材17bを格子状に結合した格子型の弾性体17が示されている。図示するようにこの弾性体17は、各板材17a,17bの板厚方向ではなく、面方向に座屈荷重が付加される向きで頭部保持部12と側枠部11bとの間に介装されている。この弾性体17の場合も、その左右側部に配置された弾性体規制部13により左右方向の位置ずれが防止され、これにより側枠部11bに対して確実に挟み込まれるようになっている。
【0034】
弾性体17及び弾性体規制部13は頭部保持部12の後面に一体に設けられている。また、図示するように弾性体17の先端部は半円弧形状に凹んでおり、側枠部11bの周面に沿って当接されている。これによっても当該弾性体17の側枠部11bに対する左右方向の位置ずれが防止されている。
【0035】
図6には、上記弾性体15又は16又は17を頭部保持部12とステー11の側枠部11bとの間に介在させた場合における頭部保持部12が受ける衝撃荷重Pと、頭部Hの後方への変位Lとの関係(衝撃吸収能)が示されている。折れ線(I)は、図7に示す弾性体15を用いた場合を示している。この弾性体15を用いた場合には、先ず頭部Hがクッション体3を潰しながら衝撃荷重Pが上昇していく。頭部HがL1だけ変位して衝撃荷重Pがある荷重P1に達すると弾性体15が座屈を始め、その後は弾性体15による衝撃吸収能が発揮される。弾性体15の板厚tが徐々に厚くなっているため、座屈位置がステー11の側枠部11bに対する接触部(凹み部15a)から頭部保持部12側の根元(基部)に向けて徐々に移行していくことで衝撃現象の終了である変位L2まで衝撃荷重を維持(吸収)する。
【0036】
折れ線(II)は、図8に示す弾性体16を用いた場合を示している。この弾性体16を用いた場合には、上記と同様クッション体3により荷重が上昇していき、荷重P2に至った時点(変位L1)で二段くさび形の板厚t1部分が座屈を開始し、弾性体16の衝撃吸収能が発揮される。その後、板厚t1部分が全て座屈する変位L3に至ると、再び衝撃荷重Pは板厚t2が座屈するP3まで上昇し、衝撃現象の終了である変位L4まで衝撃荷重を維持する。このように、弾性体16の形状が複雑になる反面、座屈荷重を二段階に設定することができ、大衝撃P3と小衝撃P2に対する衝撃吸収能を両立することができ、より適した荷重設定が可能となる。
【0037】
折れ線(III)は、図9に示す弾性体17を用いた場合を示している。この弾性体17を用いた場合には、上記と同様クッション体3により荷重が上昇していき、荷重P4に至った時点(変位L1)で弾性体17が座屈を始め、弾性体17の衝撃吸収能が発揮される。その後、緩やかに荷重を低下させながら、衝撃現象の終了である変位L5まで到達する。格子型の弾性体17の場合、くさび型のように荷重を維持させることは困難である反面、座屈荷重P4の値は格子間隔や板厚を変更することにより、より容易に制御することができる。
【0038】
図5には、従来の衝撃吸収構造による衝撃吸収能が示されている。従来構成では、クッション体により荷重が上昇していき、荷重P5に至った時点(変位L6)で、頭部保持部53とステー51の溶接結合部の曲げ変形が開始される。この際、荷重Pは急激に低下する(L6〜L7)。変位L7に至るとボス部54がステー51に突き当てられ、変位L8に至ると再び荷重が上昇して衝撃現象が終了する変位L9(荷重P6)に至る。このように従来構成では、頭部保持部53の溶接結合部の曲げ変形により衝撃吸収がなされ、その後ボス部54の座屈による衝撃吸収までの間(L7〜L8)で、十分な衝撃吸収能が発揮されない構成となっていた。
【0039】
この点、例示した弾性体14,15,16,17は、頭部保持部12とステー11の側枠部11bとの間に挟み込まれた状態で配置されていることから、頭部保持部12の変位当初より衝撃吸収能を発揮し、上記従来構成による場合のように十分な衝撃吸収機能が発揮されない段階を生じない構成となっている。この点で、例示したヘッドレスト10によれば、車両後突時等における頭部Hの衝撃が従来よりも効率よく緩和される。
【0040】
しかも、例示した各弾性体14,15,16,17は、その両側部に沿って配置した弾性体規制部13によりシート幅方向への位置ずれが規制されていることにより、例えば斜め方向から荷重が入力された場合であっても、弾性体14,15,16,17を確実にステー11の側枠部11bとの間に挟みこんで衝撃を吸収することができ、これにより従来よりも確実な衝撃吸収能を発揮させることができる。
【0041】
以上説明した実施形態にはさらに変更を加えることができる。例えば、側枠係合部12bは頭部保持部12の成形時に一体に成形して設ける構成とする他、頭部保持部12とは別部材として製作した側枠係合部をビス止め等により結合して一体化する構成としてもよい。
【0042】
また、頭部保持部12とは別体で製作された左右2つの弾性体14,15,16,17を接着等により一体化した構成を例示したが、弾性体は頭部保持部12と同じ素材で一体成形することもでき、また異なる素材であっても2色成形により一体に成形する構成としてもよい。さらに、弾性体はステー11の側枠部11bの前面に接着等により一体に設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…車両用シート
2…シートバック
3…クッション体
10…ヘッドレスト
11…ステー、11a…横枠部、11b…側枠部
12…頭部保持部、12a…横枠係合部、12b…側枠係合部
13…弾性体規制部
14,15,16,17…弾性体
50…ヘッドレスト(従来)
51…ステー
52,53…頭部保持部
54…ボス部
55…シートバック
H…頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12