【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、を備える。
【0020】
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
【0021】
インバータ34は、モータ32に接続されると共に高電圧系電力ライン42を介して昇圧コンバータ40に接続されている。このインバータ34は、6つのトランジスタT11〜T16と、6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ、高電圧系電力ライン42の正極母線と負極母線とに対して、ソース側とシンク側になるように、2個ずつペアで配置されている。6つのダイオードD11〜D16は、それぞれ、トランジスタT11〜T16に逆方向に並列接続されている。トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。以下、トランジスタT11〜T13を「上アーム」,トランジスタT14〜T16を「下アーム」ということがある。高電圧系電力ライン42の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ46が取り付けられている。
【0022】
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧系電力ライン44を介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧系電力ライン44の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ48が取り付けられている。
【0023】
昇圧コンバータ40は、高電圧系電力ライン42と低電圧系電力ライン44とに接続されている。この昇圧コンバータ40は、2つのトランジスタT31,T32と、2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLと、を有する。トランジスタT31は、高電圧系電力ライン42の正極母線に接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧系電力ライン42および低電圧系電力ライン44の負極母線と、に接続されている。2つのダイオードD31,D32は、それぞれ、トランジスタT31,T32に逆方向に並列接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点と、低電圧系電力ライン44の正極母線と、に接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によって、トランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧系電力ライン44の電力を電圧の昇圧を伴って高電圧系電力ライン42に供給したり、高電圧系電力ライン42の電力を電圧の降圧を伴って低電圧系電力ライン44に供給したりする。
【0024】
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に、処理プログラムを記憶するROM54やデータを一時的に記憶するRAM56,入出力ポートを備える。
【0025】
電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θm,モータ32の各相に流れる電流を検出する電流センサ32u,32vからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧VB,バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流IBも挙げることができる。さらに、コンデンサ46の端子間に取り付けられた電圧センサ46aからのコンデンサ46(高電圧系電力ライン42)の電圧VH,コンデンサ48の端子間に取り付けられた電圧センサ48aからのコンデンサ48(低電圧系電力ライン44)の電圧VLも挙げることができる。加えて、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号,シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBPも挙げることができる。また、車速センサ68からの車速VS,低μ路の走行を指示する低μ路スイッチ69からの低μ路スイッチ信号も挙げることができる。ここで、「低μ路」は、濡れた路面,雪道,凍結路などの駆動輪22a,22bの空転によるスリップが生じやすい走行路を意味する。
【0026】
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号,昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。
【0027】
電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや角速度ωm,回転数Nmを演算している。また、電子制御ユニット50は、電流センサ36bからのバッテリ36の電流IBの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算している。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36から放電可能な電力の容量の割合である。
【0028】
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、以下の走行制御を行なう。走行制御では、アクセル開度Accと車速VSとに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。また、モータ32をトルク指令Tm*で駆動できるように高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*を設定し、高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
【0029】
ここで、インバータ34の制御について説明する。実施例では、インバータ34の制御として、正弦波PWM(パルス幅変調)制御,過変調PWM制御,矩形波制御の何れかを実行する。正弦波PWM制御は、擬似的な三相交流電圧がモータ32に印加(供給)されるようにインバータ34を制御する制御であり、過変調制御は、過変調電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御であり、矩形波制御は、矩形波電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御である。正弦波PWM制御を実行する場合、正弦波電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするときには、変調率Rmは値0〜略0.61となり、正弦波電圧に3n次(例えば3次)高調波電圧を重畳して得られる重畳後電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするときには、変調率Rmは値0〜略0.71となる。変調率Rmは、インバータ34の入力電圧(高電圧系電力ライン42の電圧VH)に対する出力電圧(モータ32の印加電圧)の実効値の割合である。実施例では、正弦波PWM制御を実行できる変調率Rmの領域を大きくするために、重畳後電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするものとした。また、矩形波制御を実行する場合、変調率Rmは略0.78となる。実施例では、これらを踏まえて、変調率Rmに基づいて、正弦波PWM制御,過変調PWM制御,矩形波制御の何れかを実行するものとした。以下、正弦波PWM制御について説明する。
【0030】
正弦波PWM制御として、実施例では、第1PWM制御または第2PWM制御を実行する。第1PWM制御は、モータ32の各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と搬送波電圧(三角波電圧)との比較によってトランジスタT11〜T16の第1PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう制御である。第2PWM制御は、電圧の変調率Rmおよび電圧位相θpと所定周期(例えば、モータ32の電気角θeの半周期や1周期など)のパルス数Npとに基づいてトランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう制御である。なお、第1PWM制御を実行する場合には、搬送波電圧(周波数が3kHz〜5kHz程度の三角波電圧)の半周期や1周期などに相当する間隔Δt1で第1PWM信号を生成し、第2PWM制御を実行する場合には、間隔Δt1よりも長い間隔Δt2で第2PWM信号を生成するものとした。
【0031】
第1PWM制御を実行する場合、第2PWM制御を実行する場合に比して、PWM信号の生成周期を短くすることができるから、モータ32の応答性(目標動作点が変化したときの動作点の追従性)を高くすることができる。また、第2PWM制御を実行する場合、モータ32の鉄損を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成したり電圧や電流の高調波(特に、モータ32の回転6次や回転12次などの低次高調波)を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成したりすることにより、第1PWM制御を実行する場合に比して、モータ32の鉄損を低減したり高調波を低減したりすることができる。
【0032】
過変調制御は、実施例では、第1PWM制御と同様に行なうものとした。過変調制御や矩形波制御については本発明の中核をなさないことから、詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、正弦波PWM制御を実行する際に第1PWM制御または第2PWM制御を実行用制御に設定するときの動作について説明する。
図2〜
図4は、実施例の電子制御ユニット50によって実行される実行用制御設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、上述の間隔Δt1(第1PWM信号の生成周期)と同一またはそれよりも短い間隔で繰り返し実行される。
【0034】
実行用制御設定ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50のCPU52は、まず、モータ32の相電流Iu,Ivや電気角θe,回転数Nm,トルク指令Tm*,高電圧系電力ライン42の電圧VH,バッテリ36の電圧VB,低μ路スイッチ信号などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、モータ32の相電流Iu,Ivは、電流センサ32u,32vによって検出された値を入力するものとした。モータ32の電気角θeや回転数Nmは、回転位置検出センサ32aによって検出されたモータ32の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値を入力するものとした。モータ32のトルク指令Tm*は、上述の駆動制御によって設定された値を入力するものとした。高電圧系電力ライン42の電圧VHは、電圧センサ46aによって検出された値を入力するものとした。バッテリ36の電圧VBは、電圧センサ36aによって検出された値を入力するものとした。低μ路スイッチ信号は、低μ路スイッチ69からの信号(オンまたはオフ)を入力するものとした。
【0035】
こうしてデータを入力すると、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてd軸,q軸の電流指令Id*,Iq*を設定する(ステップS110)。続いて、モータ32の各相(U相,V相,W相)に流れる電流の総和が値0であるとして、モータ32の電気角θeを用いて、U相,V相の相電流Iu,Ivをd軸,q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相−2相変換)する(ステップS112)。そして、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*とd軸,q軸の電流Id,Iqとの差分ΔId,ΔIqに基づくフィードバック項と、d軸,q軸の各軸相互に干渉する項をキャンセルするためのフィードフォワード項と、の和によってd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定する(ステップS114)。
【0036】
こうしてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定すると、設定したd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を用いて電圧の変調率Rmおよび電圧位相θpを設定する(ステップS116)。ここで、変調率Rmは、d軸の電圧指令Vd*の二乗とq軸の電圧指令Vq*の二乗との和の平方根として計算される電圧指令絶対値Vdqを高電圧系電力ライン42の電圧VHで除して得ることができる。電圧位相θpは、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を成分とするベクトルのq軸に対する角度として得ることができる。
【0037】
続いて、第1PWM信号の生成タイミングか否かを判定する(ステップS120)。この判定は、前回に第1PWM信号を生成してから上述の間隔Δt1に相当する時間が経過したか否かによって行なうことができる。そして、第1PWM信号の生成タイミングであると判定されたときには、第1PWM信号の生成処理を実行し(ステップS122,S124)、第1PWM信号の生成タイミングでないと判定されたときには、第1PWM信号の生成処理を実行しない。
【0038】
第1PWM信号の生成処理では、モータ32の電気角θeを用いてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換(2相−3相変換)し(ステップS122)、座標変換後の各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vwと搬送波電圧との比較によってトランジスタT11〜T16の第1PWM信号を生成する(ステップS124)。
【0039】
次に、モータ32の回転数Nmおよびトルク指令Tm*からなる目標動作点が第1,第2PWM制御の領域の何れに属するかを判定する(ステップS130,S132)。ここで、第1,第2PWM制御の領域は、実施例では、モータ32の各目標動作点に対して第1,第2PWM制御を実行した実験結果や解析結果に基づいて、第2PWM制御を実行することによる効果がある程度見込める(変調率Rmによっては見込める)領域については第2PWM制御の領域として定め、その効果があまり見込めない(何れの変調率Rmでも見込めない)領域についてはモータ32の応答性を向上させるために第1PWM制御の領域として定めるものとした。
図5は、モータ32の目標動作点と第1,第2PWM制御の領域との関係の一例を示す説明図である。
図5の例では、以下のように、第1,第2PWM制御の領域を定めるものとした。
【0040】
第1PWM制御の領域としては、モータ32の回転数Nmが1000rpm未満や9000rpm以上の領域,モータ32の回転数Nmが1000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm*が−10Nm〜10Nmか−100Nm未満の領域,モータ32の回転数Nmが6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm*が150Nm以上の領域を定めるものとした。
【0041】
第2PWM制御の領域としては、モータ32の回転数Nmが1000rpm〜6000rpmでトルク指令Tm*が10Nm以上か−100Nm〜−10Nmの領域,モータ32の回転数Nmが6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm*が10Nm〜150Nmか−100Nm〜−10Nmの領域を定めるものとした。第2PWM制御の領域については、以下のように、エリア1〜5を定めるものとした。
【0042】
エリア1としては、モータ32の回転数Nmが1000rpm〜3500rpmでトルク指令Tm*が10Nm以上か−100Nm〜−10Nmの領域を定めるものとした。エリア2としては、モータ32の回転数Nmが3500rpm〜6000rpmでトルク指令Tm*が10Nm〜150Nmか−100Nm〜−10Nmの領域を定めるものとした。エリア3としては、モータ32の回転数Nmが3500rpm〜6000rpmでトルク指令Tm*が150Nm以上の領域を定めるものとした。エリア4としては、モータ32の回転数Nmが6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm*が10Nm〜100Nmか−50Nm〜−10Nmの領域を定めるものとした。エリア5としては、モータ32の回転数Nmが6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm*が100Nm〜150Nmか−100Nm〜−50Nmの領域を定めるものとした。
【0043】
なお、
図5において、モータ32の回転数Nmやトルク指令Tm*についての各値,第1PWM制御の領域と第2PWM制御の領域との区分,第2PWM制御の領域におけるエリアの区分(エリアの数を含む)については、例示しただけであり、モータ32やインバータ34などの仕様に応じて適宜設定することができる。
【0044】
ステップS130,S132でモータ32の目標動作点が第1PWM制御の領域に属すると判定されたときには、第1PWM制御を実行用制御に設定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。この場合、第1PWM信号を用いてインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう。これにより、モータ32の応答性を高くすることができる。
【0045】
ステップS130,S132でモータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域(エリア1〜5)に属すると判定されたときには、エリア1〜5のうち属するエリアと変調率Rmとに基づいて、第1,第2PWM制御の何れかを実行用制御に設定すると共に第2PWM制御を実行用制御に設定した場合にはパルスパターンPPを設定する(ステップS150)。ここで、パルスパターンPPは、第2PWM制御におけるパルスタイプPTとパルス数Npとの組み合わせである。実施例では、パルスタイプPTとして、モータ32の鉄損を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMa)と、電圧や電流の高調波(特に、低次高調波)を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMb)と、を用いるものとした。
【0046】
実行用制御およびパルスパターンPPは、実施例では、エリア1〜5および変調率Rmと実行用制御およびパルスパターンPPとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、エリアおよび変調率Rmが与えられると、このマップに適用して、実行用制御およびパルスパターンPPを設定するものとした。エリア1〜5および変調率Rmと実行用制御およびパルスパターンPPとの関係の一例を
図6に示す。なお、
図6では、参考のために、矩形波制御や過変調制御の領域(変調率Rmが略0.71〜0.78の領域)についても図示した。
【0047】
図示するように、エリア1〜5の何れでも、変調率Rmが0.20未満の領域では第1PWM制御を実行用制御に設定し、変調率Rmが0.20〜略0.71の領域では第2PWM制御を実行用制御に設定するものとした。これは、発明者が、変調率Rmが所定変調率Rmref(
図6の例では0.20)未満の領域では、第2PWM制御を実行することによる効果が比較的小さいことを見出したためである。また、変調率Rmが0.20〜略0.71の領域において、エリア1,2,4,5ではパルスタイプPTとして第2PWMaを選択し、エリア3ではパルスタイプPTとして第2PWMbを選択するものとした。さらに、変調率Rmが0.20〜略0.71の領域において、変調率Rmが大きいほどパルス数Npを少なくするものとした。これは、パルス数Npが少ないほどリプル電流が大きくなってモータ32の損失が大きくなりやすいことと、パルス数Npが多いほどトランジスタT11〜T16のスイッチング回数が多くなってインバータ34の損失が大きくなりやすいことと、を踏まえて変調率Rmに応じてモータ32およびインバータ34のトータル損失が小さくなる(例えば最小となる)ように定めたものである。実施例では、変調率Rmが比較的大きい領域では、変調率Rmが比較的小さい領域に比して、パルス数Npが比較的小さいときにモータ32の損失が大きくなりにくくモータ32およびインバータ34のトータル損失が大きくなりにくいことを踏まえて、パルス数Npを比較的少なくするものとした。
【0048】
なお、
図6において、パルス数Npの境界などについては、例示しただけであり、モータ32やインバータ34などの仕様に応じて適宜設定することができる。
【0049】
次に、実行用制御が第1PWM制御であるか第2PWM制御であるかを判定し(ステップS160)、実行用制御が第1PWM制御であると判定されたときには、そのまま本ルーチンを終了する。この場合、第1PWM制御の第1PWM信号を用いてインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう。このように、モータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域に属するときでも、変調率Rmが所定変調率Rmref未満のとき(第2PWM制御を実行することによる効果が比較的小さいとき)には、第1PWM制御を実行して、モータ32の応答性を高くすることにより、モータ32をより好適に駆動することができる。
【0050】
ステップS160で実行用制御が第2PWM制御であると判定されたときには、第2PWM信号の生成タイミングか否かを判定する(ステップS170)。この判定は、前回に第1PWM信号を生成してから間隔Δt2に相当する時間が経過したか否かによって行なうことができる。なお、間隔Δt2は、例えば、前回の電気角(前回θe)と角速度(前回ωm)と後述のスイッチング角(前回θs[ns+Ns−1])とに基づいて式(1)によって計算される値などとすることができる。そして、第2PWM信号の生成タイミングであると判定されたときには、第2PWM信号の生成処理を実行し(ステップS172〜S182)、第2PWM信号の生成タイミングでないと判定されたときには、第2PWM信号の生成処理を実行しない。
Δt2=(前回θs[ns+Ns-1]-前回θe)/前回ωm (1)
【0051】
第2PWM信号の生成処理では、まず、モータ32の回転数Nmに基づいて作成数Nsを設定する(ステップS172)。ここで、作成数Nsは、後述のスイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs,スイッチングパターンVをいくつ作成(設定)するかを示す値である。この作成数Nsは、実施例では、モータ32の回転数Nmが大きいときには小さいときに比して多くなるように、詳細には、モータ32の回転数Nmが大きいほど多くなるように設定するものとした。これは、間隔Δt2を所定範囲内の時間としたときに、モータ32の回転数Nmが大きいときには小さいときに比して、間隔Δt2の間のスイッチング回数を多くすることができるためである。なお、この作成数Nsは、一定値を用いるものとしてもよい。この場合、間隔Δt2は、モータ32の回転数Nm(角速度ωm)が大きいときには小さいときに比して短くなる。
【0052】
続いて、モータ32の電気角θeに基づいてスイッチング番号nsを作成(設定)する(ステップS174)。ここで、スイッチング番号nsは、後述のスイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs,スイッチングパターンVの設定に用いる番号であり、値1〜値Nの範囲内で作成される。値Nは、モータ32の電気角θeの1周期におけるスイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs,スイッチングパターンVの個数であり、パルスパターンPPのパルス数Npと値2(各パルスの立ち上がりおよび立ち下がり)と値3(U相,V相,W相)との積となる。
【0053】
そして、パルスパターンPPと変調率Rmとスイッチング番号nsと作成数Nsとに基づいて、スイッチング番号ns〜(ns+Ns−1)のスイッチング基準角θstmp[ns]〜θstmp[ns+Ns−1]を作成(設定)する(ステップS176)。ここで、スイッチング基準角θstmpは、スイッチング角θsの基準角度である。スイッチング角θsは、モータ32の各相の相電圧(トランジスタT11〜T16のうち対応する相のトランジスタのオンオフ、例えばU相についてはトランジスタT11,T14のオンオフ)を切り替える角度である。スイッチング基準角θstmp[ns]〜θstmp[ns+Ns−1]は、実施例では、パルスパターンPPおよび変調率Rmとスイッチング番号1〜Nのスイッチング基準角θstmpとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、パルスパターンPPと変調率Rmとスイッチング番号nsと作成数Nsとが与えられると、このマップに適用して、スイッチング番号ns〜(ns+Ns−1)のスイッチング基準角θstmp[ns]〜θstmp[ns+Ns−1]を導出して設定するものとした。パルスパターンPPおよび変調率Rmとスイッチング番号1〜Nのスイッチング基準角θstmpとの関係の一例を
図7に示す。
図7では、スイッチング基準角θstmpの各値を値θ[PP,Rm,n](n:1〜N)として図示した。
図7において、パルスパターンPPがパターンP1で変調率Rmが値R1でスイッチング番号nsが値5で作成数Nsが値4のときには、スイッチング番号5〜8の値θ[P1,R1,5]〜θ[P1,R1,8]をスイッチング基準角θstmp[5]〜θstmp[8]に設定する。
【0054】
こうしてスイッチング基準角θstmp[ns]〜θstmp[ns+Ns−1]を設定すると、設定したスイッチング基準角θstmp[ns]〜θstmp[ns+Ns−1]のそれぞれに電圧位相θpを加えて、スイッチング角θs[ns]〜θs[ns+Ns−1]を設定する(ステップS178)。
【0055】
続いて、パルスパターンPPとスイッチング番号nsと作成数Nsとに基づいて、スイッチング番号ns〜(ns+Ns−1)のスイッチングパターンV[ns]〜V[ns+Ns−1]を設定する(ステップS180)。ここで、スイッチングパターンVは、トランジスタT11〜T13のオンオフの組み合わせを示すパターンであり、パターンV0〜V7を用いるものとした。なお、トランジスタT11〜T16のオンオフの組み合わせでなくトランジスタT11〜T13のオンオフの組み合わせを用いるのは、通常、トランジスタT11〜T16のうち対応する上アームと下アームとを同時にオンとすることはなく、トランジスタT14〜T16のオンオフの組み合わせを省略しても差し支えないためである。パターンV0〜V7は以下の通りである。
パターンV0:トランジスタT11〜T13の全てがオフ
パターンV1:トランジスタT11,T12がオフでトランジスタT13がオン
パターンV2:トランジスタT11,T13がオフでトランジスタT12がオン
パターンV3:トランジスタT11がオフでトランジスタT12,T13がオン
パターンV4:トランジスタT11がオンでトランジスタT12,T13がオフ
パターンV5:トランジスタT11,T13がオンでトランジスタT12がオフ
パターンV6:トランジスタT11,T12がオンでトランジスタT13がオフ
パターンV7:トランジスタT11〜T13が全てオン
【0056】
スイッチングパターンV[ns]〜V[ns+Ns−1]は、実施例では、パルスパターンPPとスイッチング番号1〜NのスイッチングパターンVとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、パルスパターンPPとスイッチング番号nsと作成数Nsとが与えられると、このマップに適用して、スイッチング番号ns〜(ns+Ns−1)のスイッチングパターンV[ns]〜V[ns+Ns−1]を導出して設定するものとした。パルスパターンPPとスイッチング番号1〜NのスイッチングパターンVとの関係の一例を
図8に示す。
図8では、スイッチング角θsの各値を値θ[PP,n](n:1〜N)として図示した。
図8において、パルスパターンPPがパターンP1でスイッチング番号nsが値5で作成数Nsが値4のときには、スイッチング番号5〜8のスイッチングパターンV[P1,5]〜V[P1,8]をスイッチングパターンV[5]〜V[8]に設定する。
【0057】
こうしてスイッチング番号ns〜(ns+Ns−1)のスイッチング角θs[ns]〜θs[ns+Ns−1]およびスイッチングパターンV[ns]〜V[ns+Ns−1]を設定すると、設定したスイッチング角θs[ns]〜θs[ns+Ns−1]およびスイッチングパターンV[ns]〜V[ns+Ns−1]に基づいて、トランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成する(ステップS182)。スイッチング番号nsが値5で作成数Nsが値4のときの、スイッチング番号5〜8とスイッチング角θs[5]〜θs[8]とスイッチングパターンV[5]〜V[8]とトランジスタT11〜T13の第2PWM信号との関係の一例を
図9に示す。
【0058】
次に、モータ32のトルク指令Tm*,モータ32の回転数Nm,高電圧系電力ライン42の電圧VH,バッテリ36の電圧VBの単位時間当たりの変化量ΔTm*,ΔNm,ΔVH,ΔVBを計算する(ステップS190)。続いて、変化量ΔTm*の絶対値を閾値ΔTmrefと比較し(ステップS200)、変化量ΔNmの絶対値を閾値ΔNmrefと比較し(ステップS202)、変化量ΔVHの絶対値を閾値ΔVHrefと比較し(ステップS204)、変化量ΔVBの絶対値を閾値ΔVBrefと比較し(ステップS206)、走行路が低μ路か否かを判定する(ステップS210)。
【0059】
ここで、閾値ΔTmref,ΔNmref,ΔVHref,ΔVBrefは、それぞれ、モータ32のトルク指令Tm*,モータ32の回転数Nm,高電圧系電力ライン42の電圧VH,バッテリ36の電圧VBが急変したか否かを判定するために用いられる閾値である。走行路が低μ路か否かの判定は、低μ路スイッチ89からの低μ路スイッチ信号がオンか否かを調べたり、駆動軸26の回転加速度に基づいて推定した走行路の摩擦係数を閾値と比較したり、駆動輪22a,22bの回転加速度に基づいて推定した走行路の摩擦係数を閾値と比較したりする、ことによって行なうことができる。ステップS200〜S206の処理は、モータ32とインバータ34とバッテリ36と昇圧コンバータ40とを有する駆動システムの状態が急変したか否かを判定する処理であり、ステップS210の処理は、駆動システムの状態の急変が予測されるか否かを判定する処理である。
【0060】
ステップS200〜S206で変化量ΔTm*の絶対値が閾値ΔTmref未満で且つ変化量ΔNmの絶対値が閾値ΔNmref未満で且つ変化量ΔVHの絶対値が閾値ΔVHref未満で且つ変化量ΔVBの絶対値が閾値ΔVBref未満で、さらに、ステップS210で走行路が低μ路でないと判定されたときには、駆動システムの状態は急変していないと判断すると共に駆動システムの状態の急変も予測されないと判断し、そのまま本ルーチンを終了する。いま、ステップS160で実行用制御が第2PWM制御であると判定されたときを考えているから、第2PWM信号を用いてインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう。これにより、パルスタイプPT(第2PWMaまたは第2PWMb)およびパルス数NpからなるパルスパターンPPに応じて、モータ32の鉄損を低減したり電圧や電流の高調波を低減したりすることができる。この結果、モータ32をより好適に駆動することができる。
【0061】
ステップS200で変化量ΔTm*の絶対値が閾値ΔTmref以上のとき,ステップS202で変化量ΔNmの絶対値が閾値ΔNmref以上のとき,ステップS204で変化量ΔVHの絶対値が閾値ΔVHref以上のとき,ステップS206で変化量ΔVBの絶対値が閾値ΔVBref以上のときには、駆動システムの状態が急変したと判断し、第1PWM制御を実行用制御に再設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。また、ステップS210で走行路が低μ路であると判定されたときには、駆動システムの状態の急変が予測されると判断し、第1PWM制御を実行用制御に再設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。上述したように、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比してモータ32の応答性が低くなる。実施例では、これを考慮して、駆動システムの状態が急変したときや駆動システムの状態の急変が予測されるときには、第1PWM制御を実行するものとした。これにより、モータ32の応答性を高くすることができ、モータ32をより好適に駆動することができる。
【0062】
以上説明した実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、モータ32の目標動作点(回転数Nmおよびトルク指令Tm*)が第1PWM制御の領域に属するときには、第1PWM制御を実行し、モータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域に属するときには、基本的には、第2PWM制御を実行する。これにより、第1PWM制御を実行する場合には、モータ32の応答性を高くすることができ、第2PWM制御を実行する場合には、モータ32の鉄損を低減したり電圧や電流の高調波を低減したりすることができる。また、第2PWM制御を実行することによる効果がある程度見込める領域については第2PWM制御の領域として定め、その効果があまり見込めない領域についてはモータ32の応答性の向上のために第1PWM制御の領域として定めるから、目標駆動点に応じてモータをより好適に駆動することができる。
【0063】
また、実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、モータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域に属するときでも、変調率Rmが所定変調率Rmref未満のときには、第1PWM制御を実行する。これにより、第2PWM制御を実行することによる効果が比較的小さいときに、モータ32の応答性を高くすることができ、モータ32をより好適に駆動することができる。
【0064】
さらに、実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、モータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域に属するときでも、駆動システムの状態が急変したときや駆動システムの状態の急変が予測されるときには、第1PWM制御を実行する。第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比してモータ32の応答性が低くなるから、第1PWM制御を実行してモータ32の応答性を高くすることにより、モータ32をより好適に駆動することができる。
【0065】
実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、
図3のステップS130,S132でモータ32の目標動作点が第2PWM制御の領域に属するときに、ステップS150で、変調率Rmが所定変調率Rmref以上のときには第2PWM制御を実行用制御に設定し、変調率Rmが所定変調率Rmref未満のときには、第1PWM制御を実行用制御に設定するものとした。しかし、ステップS150で変調率Rmが所定変調率Rmref以上か未満かに拘わらずに第2PWM制御を実行用制御に設定するものとしてもよい。この場合、変調率Rmが所定変調率Rmref未満の領域についても、エリア(モータ32の目標動作点)と変調率Rmとに基づいてパルスパターンPPを設定すればよい。
【0066】
実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、
図3のステップS150で第2PWM制御を実行用制御に設定したときには、ステップS200〜S206で、モータ32のトルク指令Tm*,モータ32の回転数Nm,高電圧系電力ライン42の電圧VH,バッテリ36の電圧VBの単位時間当たりの変化量ΔTm*,ΔNm,ΔVH,ΔVBを用いて駆動システムの状態が急変したか否かを判定するものとした。しかし、モータ32のトルク指令Tm*,モータ32の回転数Nm,高電圧系電力ライン42の電圧VH,バッテリ36の電圧VBの単位時間当たりの変化量ΔTm*,ΔNm,ΔVH,ΔVBの一部を用いて駆動システムの状態が急変したか否かを判定するものとしてもよい。また、これら以外のパラメータ、例えば、モータ32の要求パワーPm*(=Tm*・Nm),モータ32の相電流Iu,Ivの実効値,昇圧コンバータ40のリアクトルLに流れる電流IL,低電圧系電力ライン44の電圧VLなどの単位時間当たりの変化量を用いて駆動システムの状態が急変したか否かを判定するものとしてもよい。
【0067】
実施例の電気自動車20では、正弦波PWM制御を実行する際において、
図3のステップS150で第2PWM制御を実行用制御に設定したときには、ステップS200〜S206で駆動システムの状態が急変したか否かを判定すると共にステップS210で駆動システムの状態の急変が予測されるか否かを判定するものとした。しかし、駆動システムの状態が急変したか否かについては判定するが、駆動システムの状態の急変が予測されるか否かについては判定しないものとしてもよい。また、駆動システムの状態の急変が予測されるか否かについては判定するが、駆動システムの状態が急変したか否かについては判定しないものとしてもよい。さらに、駆動システムの状態が急変したか否かについても駆動システムの状態の急変が予測されるか否かについても判定しないものとしてもよい。
【0068】
実施例の電気自動車20では、第2PWM信号を生成する際に用いるパルスパターンPPのパルスタイプPTとして、モータ32の鉄損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMa)と、電圧や電流の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMb)と、の2つのタイプを用いるものとした。しかし、パルスタイプPTとして、3つ以上のパルスタイプPTを用いるものとしてもよい。この場合、例えば、モータ32の鉄損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32の銅損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32のトルクリプルを低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,インバータ34の損失を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32およびインバータ34のトータル損失を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,電圧の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,電流の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプなどを用いるものとしてもよい。また、パルスタイプPTとして、1つのタイプだけを用いるものとしてもよい。この場合、パルスパターンPPとしては、パルス数Npだけに応じたパターンを設定すればよい。
【0069】
実施例の電気自動車20では、第2PWM信号を生成する際には、パルスパターンPP(パルスタイプPTおよびパルス数Np)と変調率Rmとに基づいてスイッチング基準角θstmpを設定し、このスイッチング基準角θstmpを電圧位相θpを用いて補正してスイッチング角θsを設定するものとした。しかし、パルスパターンPPと変調率Rmと電圧位相θpとに基づいてスイッチング角θsを直接設定するものとしてもよい。
【0070】
実施例の電気自動車20では、バッテリ36とインバータ34との間に昇圧コンバータ40を設けるものとしたが、昇圧コンバータ40を設けないものとしてもよい。
【0071】
実施例の電気自動車20では、モータ32とインバータ34とバッテリ36とを備える構成とした。しかし、
図10の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、モータ32とインバータ34とに加えて、エンジン122とプラネタリギヤ124とモータ132とインバータ134とを備える構成としてもよい。ここで、プラネタリギヤ124のサンギヤにはモータ132が接続され、キャリヤにはエンジン122が接続され、リングギヤには駆動軸26およびモータ32が接続されている。インバータ134は、モータ132に接続されると共に高電圧系電力ライン42に接続されている。
【0072】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、バッテリ36が「バッテリ」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
【0073】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0074】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。