特許第6439749号(P6439749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439749
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20181210BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20181210BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20181210BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   F02D43/00 301E
   F02D43/00 301H
   F02D43/00 301W
   F02D43/00 301T
   F02D45/00 314Z
   B01D53/94 400
   B01D53/94 222
   F01N3/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-99629(P2016-99629)
(22)【出願日】2016年5月18日
(65)【公開番号】特開2017-207002(P2017-207002A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 文徳
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 篤史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】中山 茂樹
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−371831(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/118252(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/024640(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B01D 53/94
F02D 43/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられる吸蔵還元型NOx触媒と、
前記排気通路に設けられアンモニアを還元剤としてNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒と、
アンモニアの前駆体またはアンモニアを貯留する貯留部を有し前記選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給するアンモニア供給装置と、
前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量未満の場合には、前記内燃機関の出力を前記吸蔵還元型NOx触媒におけるNOx浄化率が許容範囲内となる所定出力以下に制限する制御である出力制限制御を実施する制御装置と、
を備える内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量未満の場合に、前記出力制限制御を実施すると共に、前記出力制限制御が実施されている場合には前記出力制限制御が実施されていない場合よりも、前記吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比以下にして該吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxを還元するリッチスパイクを実施する間隔を短くする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxの量を推定する推定部を備え、
前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量以上の場合には、前記制御装置は、前記推定部により推定されるNOxの量が第一吸蔵量以上となる毎に前記吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比以下にして該吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxを還元するリッチスパイクを実施し、
前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量未満の場合には、前記制御装置は、前記出力制限制御を実施すると共に、前記推定部により推定されるNOxの量が前記第一吸蔵量よりも少ない量である第二吸蔵量以上となる毎に前記リッチスパイクを実施する、
請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量以上の場合には、前記吸蔵還元型NOx触媒が単位時間で吸蔵可能なNOx量と、前記選択還元型NOx触媒が単位時間で還元可能なNOx量と、の合計量が所定NOx量である内燃機関の排気浄化装置であって、
前記吸蔵還元型NOx触媒が前記単位時間で吸蔵可能な最大NOx量は、前記所定NOx量よりも少なく、
前記所定出力は、前記単位時間に前記内燃機関から排出されるNOx量が、前記最大NOx量以下となる前記内燃機関の出力である、
請求項1から3の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気中に含まれるNOxを、アンモニアを還元剤として浄化する選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒ともいう。)を備えるSCRシステムが知られている。SCR触媒よりも上流側には、排気中に尿素水を供給する添加弁が設置される場合がある。排気中に添加された尿素水は、排気の熱やSCR触媒の熱により加水分解され、アンモニアに転化してSCR触媒に吸着される。尿素水はタンク等に貯留されており有限であるため、ユーザ等によって補給する必要があり、尿素水の補給をせずに尿素水を使い切ってしまうとSCR触媒に還元剤を供給することができなくなるために、大気中にNOxが放出される虞がある。
【0003】
ここで、尿素水の残量が少なくなった場合に警告を発し、その後に内燃機関の出力を尿素水の残量に応じて段階的に制限する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、SCR触媒を備えると共に、排気中のNOxを吸蔵し排気の空燃比が理論空燃比以下のときにNOxを還元する吸蔵還元型NOx触媒(以下、NSR触媒ともいう。)を備え、尿素水の残量が少なくなった場合にはNSR触媒を主に使用する技術が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−160104号公報
【特許文献2】特開2007−321671号公報
【特許文献3】特開2002−371831号公報
【特許文献4】特開2001−123826号公報
【特許文献5】国際公開第2014/108619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
尿素水の残量が少なくなった場合に内燃機関の出力を制限したとしても、尿素水を補給しなければ、いずれは尿素水を使い切ってしまう。尿素水を使い切った状態で内燃機関を運転すると、NOxの浄化が困難となる虞がある。また、国や地域によっては、尿素水を使い切ってしまった場合に、内燃機関の再始動を禁止している場合がある。この場合、尿素水を補給するまでは、内燃機関を停止させた後に該内燃機関を再始動することができなくなる虞がある。また、尿素水の残量が少なくなった場合に、NSR触媒を主に使用する制御を実施したとしても、内燃機関から排出されるNOx量によってはNSR触媒だけでNOxを浄化することが困難となる虞がある。
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、選択還元型NOx触媒に十分な量の還元剤を供給することができない場合であっても大気中へのNOxの放出を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、内燃機関の排気通路に設けられる吸蔵還元型NOx触媒と、前記排気通路に設けられアンモニアを還元剤としてNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒と、アンモニアの前駆体またはアンモニアを貯留する貯留部を有し前記選択還元
型NOx触媒にアンモニアを供給するアンモニア供給装置と、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量未満の場合には、前記内燃機関の出力を前記吸蔵還元型NOx触媒におけるNOx浄化率が許容範囲内となる所定出力以下に制限する制御である出力制限制御を実施する制御装置と、を備える。
【0008】
アンモニアによりNOxを浄化する選択還元型NOx触媒(SCR触媒)を備えているSCRシステムであっても、SCR触媒以外の触媒として、さらに吸蔵還元型NOx触媒(NSR触媒)を備えることができる。SCR触媒の他にさらにNSR触媒を備えている場合には、SCR触媒及びNSR触媒にてNOxを浄化することができるため、一方の触媒においてNOx浄化率が低下しても、他方の触媒でNOx浄化率の低下を補うことができる。ここで、SCR触媒とNSR触媒とではNOxを還元するための還元剤が異なるため、SCR触媒へ供給する還元剤が不足しても、NSR触媒へは還元剤を供給することができる場合もある。例えば、内燃機関の空燃比を理論空燃比以下とすることによりNSR触媒へ還元剤を供給する場合には、内燃機関が作動している限りはNSR触媒へ還元剤を供給することができる。また、内燃機関の燃料を排気中に添加することによりNSR触媒へ還元剤を供給する場合には、内燃機関の燃料が存在する限りはNSR触媒へ還元剤を供給することができる。
【0009】
しかし、SCRシステムに備わるNSR触媒にも容量に限りがある。このため、NSR触媒でNOxを浄化しようとした場合に、NSR触媒にて浄化可能なNOx量よりも多くのNOxがNSR触媒に流入し得る。この場合、NSR触媒にてNOxを浄化し切れなくなる。これに対して、内燃機関から排出されるNOx量を減少させることにより、NSR触媒において浄化し切れないNOxの量を減少させることができる。これにより、内燃機関を停止させることなく、大気中に放出されるNOx量を減少させることができる。ここで、内燃機関の出力を低下させることにより、燃焼ガス温度を低下させることができるので、NOxの発生量を低減することができる。すなわち、内燃機関の出力を低下させることにより、NSR触媒から流出するNOx量を減少させることができる。また、所定貯留量は、出力制限制御を実施しない場合であってもSCR触媒においてNOxを十分に浄化することができるアンモニアの前駆体又はアンモニアの量の下限値である。なお、所定貯留量は、SCR触媒のNOx浄化率が許容範囲内になるアンモニアの前駆体又はアンモニアの量の下限値としてもよい。NSR触媒におけるNOx浄化率の許容範囲は、例えば法規に基づいて決定してもよい。
【0010】
また、前記制御装置は、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量未満の場合に、前記出力制限制御を実施すると共に、前記出力制限制御が実施されている場合には前記出力制限制御が実施されていない場合よりも、前記吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比以下にして該吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxを還元するリッチスパイクを実施する間隔を短くすることができる。
【0011】
ここでいうリッチスパイクを実施する間隔は、リッチスパイクを開始した時点から次のリッチスパイクを開始する時点までの期間としてもよいし、リッチスパイクを終了した時点から次のリッチスパイクを開始する時点までの期間としてもよい。リッチスパイクは、NSR触媒に吸蔵されているNOxを還元するために実施される。このリッチスパイクを実施する間隔を短くすることにより、NSR触媒ではNOxの吸蔵量が比較的少ない状態となり、これにより、NSR触媒におけるNOxの吸蔵率(NSR触媒に流入するNOx量に対する、NSR触媒に吸蔵されるNOx量の比)が高くなる。したがって、NSR触媒からNOxが流出することを抑制できるため、SCR触媒に十分な量のアンモニアを供給することができない場合であっても、大気中にNOxが放出されることをより確実に抑制できる。また、リッチスパイクを実施する間隔を短くすることにより、出力制限制御を
実施したとしても、出力をより高くすることができるため、ドライバビリティの低下を抑制できる。
【0012】
また、前記吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxの量を推定する推定部を備え、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量以上の場合には、前記制御装置は、前記推定部により推定されるNOxの量が第一吸蔵量以上となる毎に前記吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比以下にして該吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されているNOxを還元するリッチスパイクを実施し、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が前記所定貯留量未満の場合には、前記制御装置は、前記出力制限制御を実施すると共に、前記推定部により推定されるNOxの量が前記第一吸蔵量よりも少ない量である第二吸蔵量以上となる毎に前記リッチスパイクを実施することができる。
【0013】
推定部により推定されるNOxの量が第一吸蔵量以上となる毎にリッチスパイクを実施するよりも、第二吸蔵量以上となる毎にリッチスパイクを実施するほうが、NSR触媒のNOx吸蔵量が比較的少ない状態となりNOxの吸蔵率が高くなるため、NSR触媒におけるNOx吸蔵率が高くなる。したがって、SCR触媒に十分な量のアンモニアを供給することができない場合であっても、NSR触媒からNOxが流出することをより確実に抑制できる。
【0014】
また、前記貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量以上の場合には、前記吸蔵還元型NOx触媒が単位時間で吸蔵可能なNOx量と、前記選択還元型NOx触媒が単位時間に還元可能なNOx量と、の合計量が所定NOx量である内燃機関の排気浄化装置であって、前記吸蔵還元型NOx触媒が前記単位時間で吸蔵可能な最大NOx量は、前記所定NOx量よりも少なく、前記所定出力は、前記単位時間に前記内燃機関から排出されるNOx量が、前記最大NOx量以下となる前記内燃機関の出力であってもよい。
【0015】
貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量以上の場合には、SCR触媒に十分な量の還元剤を供給することができるため、SCR触媒及びNSR触媒の両触媒でNOxを浄化することができる。この場合には、単位時間に内燃機関から排出されるNOx量が所定NOx量であったとしても、NOxを十分に浄化することができる。ここで、所定NOx量は、貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量以上の場合に、SCR触媒及びNSR触媒で処理可能なNOx量といえる。しかし、NSR触媒が単位時間に吸蔵可能なNOx量には限りがある。すなわち、貯留部に貯留されているアンモニアの前駆体またはアンモニアの量が所定貯留量未満の場合には、NSR触媒だけでは単位時間に所定NOx量を吸蔵することはできない。このため、単位時間に内燃機関から排出されるNOx量が、NSR触媒で単位時間に吸蔵可能な最大NOx量を超えると、NSR触媒からNOxが流出してしまう。これに対して、内燃機関から排出されるNOx量が、NSR触媒が単位時間に吸蔵可能な最大NOx量以下であれば、SCR触媒に十分な量のアンモニアを供給することができない場合であっても、NSR触媒で十分にNOxを浄化することができる。すなわち、出力制限制御を実施するときに、所定出力を、NSR触媒において単位時間に吸蔵可能な最大NOx量以下となるような出力とすることで、NSR触媒からNOxが流出することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、選択還元型NOx触媒に十分な量の還元剤を供給することができない場合であっても大気中へのNOxの放出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例に係る内燃機関と、その吸気系及び排気系との概略構成を示す図である。
図2】NSR触媒及びSCR触媒の温度と、各触媒が処理可能なNOx量との関係を示した図である。
図3】実施例に係る出力制限制御のフローを示したフローチャートである。
図4】実施例に係る再始動許可判定処理のフローを示したフローチャートである。
図5】実施例に係る出力制限制御を実施したときのタイムチャートである。
図6】NSR触媒におけるNOx吸蔵量と、NOx吸蔵率との関係を示した図である。
図7】内燃機関からの排気通路上の距離と、排気の単位体積当たりのNOx量との関係を示した図である。
図8】実施例2に係るリッチスパイクの制御フローを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
<実施例1>
図1は、本実施例に係る内燃機関と、その吸気系及び排気系との概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、ディーゼル機関である。内燃機関1には、排気通路2が接続されている。この排気通路2の途中には、上流側から順に、燃料添加弁3、吸蔵還元型NOx触媒4(以下、NSR触媒4という。)、尿素水添加弁52、選択還元型NOx触媒6(以下、SCR触媒6という。)が備えられている。
【0020】
NSR触媒4は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低下し且つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを放出及び還元する。なお、「吸蔵」とは、一時的なNOxの吸着をも含む用語として使用している。
【0021】
燃料添加弁3は、排気中に内燃機関1の燃料(HC)を添加する。この燃料は、NSR触媒4においてNOxを還元する還元剤として利用される。なお、NSR触媒4に供給する還元剤には、内燃機関1から排出される未燃燃料であるHCまたはCOを利用することもできる。すなわち、内燃機関1をリッチ空燃比で運転することにより、NSR触媒4へ還元剤を供給することもできる。この場合には、燃料添加弁3を備える必要はない。
【0022】
SCR触媒6は、予め吸着しておいたアンモニアによりNOxを選択還元する。尿素水添加弁52は、尿素水を添加することで、SCR触媒6に還元剤(アンモニア)を供給する。尿素水添加弁52から添加された尿素水は、排気の熱またはSCR触媒6からの熱により加水分解されてアンモニアとなり、SCR触媒6に吸着する。なお、尿素水添加弁52に代えて、アンモニアを添加する添加弁を備えていてもよい。すなわち、SCR触媒6よりも上流の排気中には、アンモニアの前駆体、または、アンモニアを添加すればよい。
【0023】
尿素水添加弁52は、還元剤供給装置5の一部である。還元剤供給装置5は、タンク51、尿素水添加弁52、尿素水通路53、ポンプ54、残量センサ55を備えている。
【0024】
タンク51は、尿素水を貯留している。尿素水添加弁52はSCR触媒6よりも上流の
排気通路2に取り付けられている。尿素水通路53は、タンク51と尿素水添加弁52とを接続して尿素水を流通させる。なお、本実施例においてはタンク51が、本発明における貯留部に相当する。また、本実施例においては、還元剤供給装置5が、本発明におけるアンモニア供給装置に相当する。
【0025】
ポンプ54は、タンク51内に設けられており、タンク51側から尿素水添加弁52側に尿素水を吐出する。なお、ポンプ54は、タンク51内に代えて、尿素水通路53に設けてもよい。ポンプ54は、電動ポンプであり、電力を供給することで回転する。ポンプ54を作動させ且つ尿素水添加弁52を開くことにより、尿素水通路53を尿素水が圧送されて、排気中に尿素水が添加される。また、残量センサ55は、タンク51に取り付けられており、タンク51内の尿素水の残量を検出する。
【0026】
また、NSR触媒4よりも下流で且つ尿素水添加弁52よりも上流の排気通路2には、排気の温度を検出する温度センサ11、及び、排気中のNOx濃度を検出する第一NOxセンサ12が取り付けられている。温度センサ11の検出値に基づいて、NSR触媒4の温度又はSCR触媒6の温度を算出することができる。また、温度センサ11の検出値をNSR触媒4又はSCR触媒6の温度としてもよい。さらに、SCR触媒6よりも下流の排気通路には、排気中のNOx濃度を検出する第二NOxセンサ13が取り付けられている。第二NOxセンサ13により、SCR触媒6から流出する排気中のNOx濃度が検出される。なお、NSR触媒4に流入する排気中のNOx濃度は、内燃機関1の運転状態と関連しているため、内燃機関1の運転状態に基づいてNSR触媒4に流入する排気中のNOx濃度を推定することができる。ただし、NSR触媒4よりも上流側にNOxセンサを設けることにより、NSR触媒4に流入する排気中のNOx濃度を検出することもできる。
【0027】
また、内燃機関1には、内燃機関1へ燃料を供給する燃料噴射弁7が取り付けられている。さらに、内燃機関1には、吸気通路8が接続されている。吸気通路8の途中には、内燃機関1の吸入空気量を調整するスロットル9が設けられている。また、スロットル9よりも上流の吸気通路8には、内燃機関1の吸入空気量を検出するエアフローメータ15が取り付けられている。
【0028】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU10が併設されている。このECU10は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1を制御する。ECU10には、上記センサの他、運転者がアクセルペダル16を踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検知するアクセル開度センサ17、および機関回転速度を検知するクランクポジションセンサ18が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU10に入力される。一方、ECU10には、燃料添加弁3、尿素水添加弁52、燃料噴射弁7及びスロットル9が電気配線を介して接続されており、該ECU10によりこれらの機器が制御される。また、ECU10にはディスプレイ20が接続されており、該ディスプレイ20はECU10からの指示により後述する警告等を表示する。なお、本実施例では、ディスプレイ20に警告等を表示しているが、これに代えて、音により警告を発してもよいし、警告ランプを点灯させてもよい。
【0029】
本実施例に係る排気浄化装置は、SCR触媒6によりNOxを浄化するSCRシステムを採用しており、SCR触媒6の他にNSR触媒4をさらに備えている。SCRシステムでは、SCR触媒6を通過する排気中のNOxを還元するために、SCR触媒6にアンモニアを吸着させておく。ECU10は、尿素水添加弁52から尿素水を添加させることで、SCR触媒6にアンモニアを吸着させる。
【0030】
尿素水添加弁52からの尿素水の添加は、通常、SCR触媒6におけるアンモニアの吸着量が所定吸着量となるように実施される。この場合、尿素水添加弁52からの尿素水の添加量は、以下のようにSCR触媒6に流入するNOx量に応じて決定される。なお、ここでいう通常とは、タンク51内の尿素水の残量が十分のときといえる。SCR触媒6に流入するNOx量は、NSR触媒4から流出するNOx量に等しい。SCR触媒6に流入するNOx量は、第一NOxセンサ12及びエアフローメータ15の検出値に基づいて算出することができる。上述のように尿素水添加弁52からの尿素水の添加は、SCR触媒6におけるアンモニアの吸着量が所定吸着量となるように実施される。この所定吸着量は、SCR触媒6におけるNOx浄化率が許容範囲内となり、且つ、SCR触媒6から流出するアンモニア量が許容範囲内となるような量である。SCR触媒6におけるNOx浄化率は、SCR触媒6に流入するNOx量に対してSCR触媒6で還元されるNOx量の比である。SCR触媒6に流入するNOx量に基づいて、SCR触媒6におけるアンモニアの吸着量の減少量を算出することができるため、このアンモニアの吸着量の減少量を補うように、尿素水添加弁52から尿素水を添加する。SCR触媒6におけるアンモニアの吸着量の減少量と、尿素水添加弁52からの尿素水の添加量と、の関係は予め実験またはシミュレーション等により求めることができる。
【0031】
図2は、NSR触媒4及びSCR触媒6の温度と、各触媒が処理可能なNOx量との関係を示した図である。「SCR」で示される領域がSCR触媒6で処理可能なNOx量の範囲であり、「NSR」で示される領域がNSR触媒4で処理可能なNOx量の範囲である。本実施例においては、主にSCR触媒6でNOxを浄化するSCRシステムを採用しているため、NSR触媒4の容量はSCR触媒6と比較して小さく、NSR触媒4は補助的にNOxを浄化する。このため、NSR触媒4が処理可能なNOx量は、SCR触媒6と比較して少ない。
【0032】
また、例えばECU10は、気筒内の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射弁7を制御する。この目標空燃比は、内燃機関1の運転状態に応じて設定される空燃比である。なお、本実施例に係る内燃機関1は、リーン空燃比で運転されている。したがって、気筒内の目標空燃比はリーン空燃比に設定されている。ただし、NSR触媒4に吸蔵されているNOxの還元時には、燃料添加弁3から燃料を添加することにより、NSR触媒4に流入する排気の空燃比を一時的に理論空燃比以下まで低下させてNSR触媒4に吸蔵されているNOxを還元する処理である所謂リッチスパイクを実施する。なお、燃料添加弁3から燃料を添加することに代えて、燃料噴射弁7から噴射する燃料の量を調整することにより気筒内の目標空燃比を一時的に理論空燃比以下まで低下させることでリッチスパイクを実施してもよい。
【0033】
リッチスパイクは、通常、NSR触媒4におけるNOx吸蔵量が第一吸蔵量となったときに、その第一吸蔵量のNOxを還元するように実施される。ここでいう通常とは、上述のようにタンク51内の尿素水の残量が十分のとき、すなわち、SCR触媒6でも十分にNOxが浄化されるときといえる。NSR触媒4におけるNOx吸蔵量は、たとえば、NSR触媒4に流入するNOx量から、NSR触媒4から流出するNOx量と、NSR触媒4で還元されるNOx量と、を減算することにより求まる値を積算することにより求めることができる。NSR触媒4に流入するNOx量は、内燃機関1の運転状態に基づいて推定される。NSR触媒4から流出するNOx量は、第一NOxセンサ12及びエアフローメータ15の検出値に基づいて求めることができる。NSR触媒4で還元されるNOx量、すなわち、リッチスパイクにより減少するNOx吸蔵量は、NSR触媒4の温度、エアフローメータ15の検出値、排気の空燃比と関連している。したがって、これらの関係を予め実験またはシミュレーション等により求めておくことにより、NSR触媒4の温度、エアフローメータ15の検出値、排気の空燃比に基づいて、NSR触媒4で還元されるNOx量を算出することができる。なお、NSR触媒4のNOx吸蔵量は、上記方法に限ら
ず、他の周知の方法により算出してもよい。本実施例においては、ECU10がNSR触媒4のNOx吸蔵量を算出することで、本発明に係る推定部として機能する。以下、ECU10により算出されるNOx吸蔵量を、推定NOx吸蔵量ともいう。
【0034】
ところで、タンク51に貯留されている尿素水には限りがある。このため、タンク51に尿素水を補給しない限りは、尿素水添加弁52から尿素水を添加する度に尿素水の残量が減少していく。そして、タンク51における尿素水の残量が少なくなって、尿素水添加弁52から十分な量の尿素水を添加することができなくなると、SCR触媒6へ十分な量のアンモニアを供給することができなくなる。尿素水の残量が少ないときに内燃機関1を始動したとしても、その稼働中にSCR触媒6においてNOxを浄化することが困難なため、NOxがSCR触媒6を通り抜けて大気中へNOxが放出される虞がある。例えば、尿素水の残量が十分に多いときには、NSR触媒4及びSCR触媒6で単位時間に浄化可能なNOx量が所定NOx量であったとしても、尿素水の残量が少ないときにはNSR触媒4だけでNOxを浄化するために単位時間に浄化可能なNOx量が所定NOx量よりも少なくなる。すなわち、尿素水の残量が十分でないときには、NSR触媒4だけでNOxを処理することになるため、リッチスパイクが実施されていないときに単位時間で処理可能なNOx量は、NSR触媒4が単位時間で吸蔵可能な最大NOx量になる。この最大NOx量は、前述の所定NOx量よりも少ない。また、仮に、SCR触媒6に十分な量のアンモニアを供給することができずNOx浄化率が低下する状態では、内燃機関1を始動することができないようにECU10が構成されている場合には、タンク51に尿素水を補給するまでは、内燃機関1を始動することができない虞がある。したがって、車両の走行が困難となる。
【0035】
そこで本実施例では、尿素水の残量が所定貯留量未満の場合には、後述する内燃機関1の出力制限制御を実施することにより、内燃機関1から排出されるNOx量をECU10が調整する。この所定貯留量は、後述する内燃機関1の出力制限制御を実施しない場合であってもSCR触媒6においてNOxを十分に浄化することができる尿素水量の下限値、または、SCR触媒6におけるNOx浄化率が許容範囲内になる尿素水量の下限値である。したがって、尿素水の残量が所定貯留量未満の場合には、後述する内燃機関1の出力制限制御を実施しなければ、内燃機関1から排出されるNOxを十分に浄化することが困難となる。そこで、内燃機関1から排出されるNOx量を制限するために、ECU10は、内燃機関1の出力を所定出力以下に制限する出力制限制御を実施する。所定出力は、NSR触媒4におけるNOx浄化率が許容範囲内になる出力である。なお、単位時間に内燃機関1から排出されるNOx量が、NSR触媒4にて単位時間で吸蔵可能な最大NOx量以下となるように、内燃機関1の出力を制限してもよい。NSR触媒4におけるNOx浄化率は、リッチスパイクを実施する間隔、すなわち、リッチスパイクを開始した時点から次のリッチスパイクを開始する時点までの期間、または、リッチスパイクを終了した時点から次のリッチスパイクを開始する時点までの期間における、NSR触媒4に流入するNOx量に対するNSR触媒4で還元されるNOx量の比である。NOx浄化率の許容範囲は、例えば法規に基づいて決定される。
【0036】
ここで、内燃機関1の出力を制限することにより、1サイクル当たりに燃料噴射弁7から噴射される燃料量を減少させることができるため、気筒内での燃焼温度を低下させることができる。これにより、NOxの発生を抑制することができるため、内燃機関1から排出されるNOx量を減少させることができる。なお、内燃機関1の出力を制限することには、内燃機関1の最大トルクを低減させること、及び、車両の最大速度を減少させることを含むことができる。例えば、1サイクル当たりに燃料噴射弁7から噴射される燃料量に上限を設けることにより、内燃機関1の出力を所定出力以下に制限してもよい。
【0037】
このように、内燃機関1から排出されるNOx量がNSR触媒4において十分に浄化可
能な量となるように内燃機関1の出力を制限することにより、尿素水の残量が少なくなりSCR触媒6においてアンモニアが不足する状態であっても、大気中にNOxが放出されることを抑制できる。したがって、タンク51に尿素水を補給するまでの間に大気中へのNOxの放出を抑制しつつ車両の走行が可能となる。
【0038】
図3は、本実施例に係る出力制限制御のフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、ECU10により所定の時間毎に実行される。
【0039】
ステップS101では、ECU10は、再始動禁止フラグが0であるか否か判定する。再始動禁止フラグは、内燃機関1が停止された後に、再始動を許可できない状態のときに1となり、再始動を許可できる状態のときに0となるフラグである。再始動禁止フラグが1の間は、内燃機関1の再始動が禁止される。したがって、ステップS101では、内燃機関1が再始動可能であるか否か判定される。ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS112へ進む。ステップS112では再始動許可判定処理が実施されるが、これについては後述する。
【0040】
ステップS102では、ECU10は、尿素水残量が第一閾値未満であるか否か判定する。尿素水残量は、残量センサ55により検出されるタンク51内の尿素水の残量である。第一閾値は、ユーザへ尿素水の補給を促すために設定される尿素水残量である。この第一閾値は、尿素水の補給が必要となる尿素水残量であるが、出力制限制御を実施するほどではない尿素水残量といえる。したがって、本ステップS102では、タンク51へ尿素水の補給が必要であるか否か判定しているといえる。ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS113へ進む。
【0041】
ステップS103では、ECU10は、残量警告を実施する。本ステップS103では、尿素水の残量が少ないために尿素水の補給が必要であることをディスプレイ20に表示する。ステップS103の処理が終了するとステップS104へ進む。
【0042】
ステップS104では、ECU10は、NSR触媒4が正常であるか否か判定する。本ステップS104では、NSR触媒4にてNOxを浄化することが可能であるか否か判定している。NSR触媒4が正常であるか否かは、周知の技術により判定することができる。例えば、NSR触媒4におけるNOx浄化率を算出し、該NOx浄化率が所定浄化率以上であればNSR触媒4が正常であると判定し、該NOx浄化率が所定浄化率未満であればNSR触媒4が異常であると判定する。なお、NSR触媒4が取り外された場合には、ECU10は、NSR触媒4が異常であると判定する。ステップS104で肯定判定がなされた場合にはステップS105へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS109へ進む。
【0043】
ステップS105では、ECU10は、尿素水残量が第二閾値未満であるか否か判定する。第二閾値は、第一閾値よりも小さな値であって、SCR触媒6においてNOxを十分に浄化することができる尿素水量の下限値、または、SCR触媒6のNOx浄化率が許容範囲内になる尿素水量の下限値である。尿素水残量が第二閾値未満の場合には、尿素水の残量が0に近いためにSCR触媒6においてNOxを十分に浄化することができない。すなわち、本ステップS105では、SCR触媒6においてNOxを浄化することができない状態であるか否か判定している。ステップS105で肯定判定がなされた場合にはステップS106へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0044】
ステップS106では、ECU10は、内燃機関1の出力を所定出力以下に制限する。
すなわち、本ステップS106では、内燃機関1から排出されるNOx量がNSR触媒4で十分に浄化可能な量となるように、出力制限制御を実施する。この内燃機関1の出力の制限は、本ステップS106が終了した後も継続される。このときには、燃料噴射弁7からの燃料噴射量に上限が設定され、該上限を超えないように燃料噴射を実施する。燃料噴射量の上限は、NSR触媒4でのNOx浄化率が許容範囲内となるように設定される。そして、所定出力は、燃料噴射量を上限に設定したときの内燃機関1の出力といえる。この燃料噴射量の上限は、予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。また、このときには、出力制限制御が実施されていることをディスプレイ20に表示する。ステップS106の処理が終了するとステップS107へ進む。なお、本実施例においてはECU10がステップS106を処理することにより、本発明における制御装置として機能する。また、本実施例においては第二閾値が、本発明における所定貯留量に相当する。
【0045】
ステップS107では、ECU10は、再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、本ステップS107では、内燃機関1の再始動を許可できる状態としている。ステップS106により出力制限制御が実施されている場合には、内燃機関1を再始動させたとしても、NSR触媒4においてNOxを浄化することができる。このため、内燃機関1が停止された後に内燃機関1の再始動を行ってもNOxを浄化することができるので、再始動が許可されるように再始動禁止フラグが0に設定される。ステップS107の処理が終了すると、本フローチャートを終了させる。
【0046】
一方、ステップS105で否定判定がなされるとステップS108へ進み、ECU10は、出力制限制御が実施されるまでに残された走行距離(出力制限までの残走行距離)をディスプレイ20に表示する。出力制限までの残走行距離は、尿水残量が第二閾値未満となるまでの走行距離を推定した値である。尿素水残量と出力制限までの残走行距離との関係は予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。また、本ステップS108が処理される時点では、SCR触媒6においてNOxを浄化することができるため、本ステップS108では、出力制限制御を実施しない。また、すでに出力制限制御が実施されている場合(例えば出力制限制御が実施されているときに少量の尿素水を補給した場合)には、出力制限制御を終了させる。ステップS108の処理が終了するとステップS107へ進んでECU10が再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、尿素水残量が第二閾値以上でありSCR触媒6によってNOxを浄化することが可能であるため、内燃機関1の再始動が許可される。
【0047】
また、ステップS104で否定判定がなされてステップS109へ進むと、ECU10は、尿素水残量が第二閾値未満であるか否か判定する。本ステップS109では、NSR触媒4が異常であり該NSR触媒4でNOxを浄化することが困難であるため、SCR触媒6でNOxを浄化することになる。したがって、本ステップS109では、SCR触媒6でNOxを浄化することが可能であるか否か判定している。ステップS109で肯定判定がなされた場合にはステップS110へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS111へ進む。
【0048】
ステップS110では、ECU10は、再始動禁止フラグを1に設定して内燃機関1の再始動を禁止する。本ステップS110が処理される時点では、NSR触媒4及びSCR触媒6の両方ともNOxを浄化することができない状態であるため、本ステップS110では、内燃機関1の再始動を禁止して大気中へのNOxの放出を抑制する。なお、内燃機関1が停止するまでは退避走行を行うことができる。
【0049】
一方、ステップS111では、ECU10は、内燃機関1の再始動が禁止されるまでに残された走行距離(再始動禁止までの残走行距離)をディスプレイ20に表示する。再始
動禁止までの残走行距離は、尿水残量が第二閾値未満となるまでの走行距離を推定した値である。尿素水残量と、再始動禁止までの残走行距離との関係は予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。本ステップS111が処理される時点では、NSR触媒4が異常であるが、尿素水残量が第二閾値以上であるためSCR触媒6でNOxを浄化可能であるため、本ステップS111では、出力制限制御を実施していない。ステップS111の処理が終了するとステップS107へ進んでECU10が再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、尿素水残量が第二閾値以上でありSCR触媒6でNOxを浄化することができるため、内燃機関1の再始動が許可される。
【0050】
また、ステップS102で否定判定がなされてステップS113へ進むと、ECU10は、出力制限制御が実施されている場合には該出力制限制御を終了し、ディスプレイ20に警告等が表示されている場合には該警告等を消す。本ステップS113が処理される時点では、尿素水残量が第一閾値以上であり、十分な量のアンモニアをSCR触媒6へ供給することができるため、ステップS113では、出力制限制御を実施しない。また、ステップS103における残量警告、ステップS106における出力制限制御、ステップS108における出力制限までの残走行距離、ステップS111及び後述するステップS122における再始動禁止までの残走行距離の何れもディスプレイ20に表示する必要がないため、これらが表示されている場合には、表示を消す。ステップS113の処理が終了するとステップS107へ進んでECU10は再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、尿素水残量が第一閾値以上であり尿素水残量が十分に多いため、内燃機関1の再始動が許可される。
【0051】
図4は、本実施例に係る再始動許可判定処理のフローを示したフローチャートである。本フローチャートは、図3に示したステップS110において再始動禁止フラグが1に設定され、その後にステップS101において否定判定がなされてステップS112へ進んだときに、該ステップS112においてECU10により実行される。
【0052】
ステップS120では、ECU10は、尿素水残量が第一閾値未満であるか否か判定する。第一閾値は、ステップS102における第一閾値と同じ値である。本ステップS120では、尿素水残量が第二閾値未満となった後に、タンク51へ尿素水の補給が行われていない、または、タンク51への尿素水の補給が行われているが尿素水残量が第一閾値未満の状態までしか補給が行われていない、の何れかに該当するか否か判定している。ステップS120で肯定判定がなされた場合にはステップS121へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS124へ進む。
【0053】
ステップS121では、ECU10は、尿素水残量が第三閾値未満であるか否か判定する。本ステップS121では、内燃機関1の再始動が禁止される状態を維持するべきか否か判定している。第三閾値は、第一閾値よりも小さく且つ第二閾値よりも大きな値である。本実施例では、尿素水残量が一旦第二閾値未満となった場合には、その後に尿素水残量が第三閾値以上になるまで尿素水を補給しなければ、内燃機関1の再始動が許可されないようにしている。このようにして、内燃機関1の再始動が許可されている状態と禁止されている状態とが頻繁に切り替わることを抑制している。すなわち、尿素水残量が第二閾値未満となった後に少量の尿素水が補給された場合に、仮に、内燃機関1の再始動を許可したとしても、その後に尿素水残量がすぐに第二閾値未満になると、再度、内燃機関1の再始動を禁止しなくてはならない。このため、尿素水を補給したとしても、すぐに尿素水残量が第二閾値未満となり得る場合には、内燃機関1の再始動を禁止したままにしている。したがって、第三閾値は、尿素水を添加すると尿素水残量がすぐに第二閾値未満となり得る値として設定される。ステップS121で肯定判定がなされた場合には内燃機関1の再始動が禁止される状態を維持したまま本フローチャートを終了させる。本フローチャートが終了されると、図3におけるステップS112の処理も終了するため、図3におけるフ
ローチャートも終了する。一方、ステップS121で否定判定がなされた場合にはステップS122へ進む。
【0054】
ステップS122では、ECU10は、内燃機関1の再始動が禁止されるまでに残された走行距離(再始動禁止までの残走行距離)をディスプレイ20に表示する。尿素水残量と、再始動禁止までの残走行距離との関係は予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。ステップS122は、尿素水残量が一旦第二閾値未満まで減少した後に尿素水が補給されて、尿素水残量が第三閾値以上となった場合に処理される。本ステップS122を処理する時点では、NSR触媒4は異常であるが、SCR触媒6でNOxを浄化可能であるため、ステップS122では出力制限制御を実施していない。ステップS122の処理が終了するとステップS123へ進んでECU10が再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、尿素水残量が第三閾値以上であるためSCR触媒6でNOxを浄化することができるので、内燃機関1の再始動が許可される。ステップS123の処理が終了した場合にはECU10が本フローチャートを終了する。本フローチャートが終了されると、図3におけるステップS112の処理も終了するため、図3に示したフローチャートも終了する。
【0055】
一方、ステップS120で否定判定がなされてステップS124へ進むと、ECU10は、ディスプレイ20に表示されている警告等を消す。すなわち、ステップS103で表示された残量警告及びステップS111及びステップS122で表示された再始動禁止までの残走行距離をディスプレイ20から消す。本ステップS124を処理する時点では、尿素水残量が第一閾値以上になるまで尿素水が補給されており、十分な量のアンモニアをSCR触媒6へ供給することができるため、ステップS124では、ディスプレイ20に警告等を表示する必要はない。また、本ステップS124を処理する時点では、SCR触媒6でNOxを浄化可能であり、且つ、出力制限をしたとしてもNSR触媒4においてNOxを浄化することが困難なため、ステップS124では出力制限制御を実施しない。ステップS124の処理が終了するとステップS123へ進んで、ECU10は再始動禁止フラグを0に設定する。すなわち、尿素水残量が第一閾値以上であるため、内燃機関1の再始動が許可される。
【0056】
次に、図5は、本実施例に係る出力制限制御を実施したときのタイムチャートである。図5における「尿素水残量」は、タンク51内の尿素水の残量を示している。尿素水残量における第一閾値及び第二閾値は、上記の第一閾値及び第二閾値と同じ値である。また、SCR作動状態は、SCR触媒6のNOx浄化の状態を示しており、A1はSCR触媒6によりNOxが浄化可能な状態を示し、A2はSCR触媒6によりNOxを浄化することができない状態を示している。図5における「警告状態」は、ディスプレイ20に表示されている警告の状態を示しており、B1は警告がない状態であり、B2は残量が少ないことを警告している状態(ステップS103)であり、B3は出力制限制御が実施されていることを警告している状態(ステップS106)である。図5における「運転状態」は、内燃機関1の運転状態を示しており、C1は出力制限が行われていない通常の運転状態を示しており、C2は内燃機関1の出力制限が行われている運転状態を示しており、C3は内燃機関1の再始動が禁止されている状態を示している。また、図5の「NOx排出量」における実線は内燃機関1から排出される単位時間当たりのNOxの量を示しており、一点鎖線はSCR触媒6から流出する単位時間当たりのNOxの量を示している。また「NOx排出量」における「NSR触媒処理可能NOx量」は、NSR触媒4において処理可能なNOx量の下限値を示している。ここで、NSR触媒4が処理可能なNOx量は、NSR触媒4のNOx吸蔵量によって変化し得る。しかし、NSR触媒4が処理可能なNOx量に応じて内燃機関1の出力を変化させると制御が煩雑になる。このため、本実施例では、NSR触媒4が処理可能なNOx量が最も少なくなった状態であっても、NSR触媒4においてNOxが処理可能なように、NSR触媒4において処理可能なNOx量の下限
値をNSR触媒処理可能NOx量として設定している。NSR触媒処理可能NOx量は予め実験またはシミュレーション等により求めることができる。
【0057】
T1において尿素水残量が第一閾値よりも少なくなっている(ステップS102でYES)。すなわち、T1においてタンク51に尿素水の補給が必要な状態となる。これにより、警告状態がB1からB2に変化して、尿素水の残量が少ないために尿素水の補給が必要であることをディスプレイ20に表示する(ステップS103)。このときには、尿素水はまだ存在しており、SCR触媒6においてNOxを浄化可能な状態であるため、SCR作動状態は、A1のままであり、内燃機関1の運転状態も通常のまま、すなわち、C1のままである。
【0058】
T2において尿素水残量が第二閾値未満となる(ステップS105でYES)。なお、T1からT2までの期間では、尿素水の補給が必要であることに加えて、出力制限までの残走行距離がディスプレイ20に表示される(ステップS108)。T2において尿素水残量が第二閾値未満になると、SCR触媒6においてNOxを浄化することができなくなるため、SCR作動状態は、A1からA2へと変化する。同時に、NSR触媒4によってNOxを浄化するために、内燃機関1の出力が制限されるので、運転状態がC1からC2に変化する(ステップS106)。そして、出力制限制御が実施されていることをディスプレイ20で表示するので、警告状態がB2からB3へと変化する(ステップS106)。
【0059】
ここで、従来では、例えばT2において内燃機関1の再始動が禁止される状態となる(運転状態の破線で示したC3の状態)。したがって、従来では、T1からT2までの間に尿素水を補給しなければ、T2以降で内燃機関1を一旦停止させると、再始動することができなくなった。なお、T2以降ではSCR触媒6にてNOxを浄化することができないが、車両が移動できなくなると尿素水の補給も困難となることから、所定の走行距離に達するまでの間は退避走行が可能なようにしてもよい。
【0060】
一方、本実施例では、T2から後の期間であっても、内燃機関1からのNOx排出量が「NSR触媒処理可能NOx量」以下に抑えられている。すなわち、T2以降でNSR触媒4にてNOxを処理可能なように、内燃機関1の出力制限を実施している。このため、内燃機関1の再始動を禁止しなくても済む。そして、T3において尿素水が補給されることによって(ステップS102でNO)、SCR触媒6によるNOxの浄化が可能となるため、出力制限制御が終了する(ステップS113)。このように、従来ではT2からT3までの期間において内燃機関1の再始動が禁止される場合であっても、本実施例では内燃機関1の再始動は禁止されない。
【0061】
なお、本実施例においては内燃機関1から排出されるNOx量を減少させるために、内燃機関1の出力を制限しているが、内燃機関1から排出されるNOx量を減少させるその他の手段を併用することもできる。例えば、EGR装置を備えている場合には、EGRガスの量を増加させることにより内燃機関1から排出されるNOx量を減少させることができる。また、燃料噴射弁7からの燃料噴射時期を遅角させることにより燃焼温度が低下するため、内燃機関1から排出されるNOx量を減少させることができる。したがって、内燃機関1の出力を制限することに併せて、EGRガス量を増加させたり、または、燃料噴射時期を遅角させたりしてもよい。
【0062】
以上説明したように本実施例によれば、SCR触媒6に十分な量のアンモニアを供給することができない状態であっても、NSR触媒4によってNOxが浄化可能なように出力制限制御を実施するため、内燃機関1を作動させつつ大気中にNOxが放出されることを抑制できる。
【0063】
<実施例2>
図6は、NSR触媒4におけるNOx吸蔵量と、NOx吸蔵率との関係を示した図である。NOx吸蔵率は、NSR触媒4に流入するNOx量に対する、NSR触媒4に吸蔵されるNOx量の比である。図6に示されるように、NOx吸蔵量が多くなるほど、NOx吸蔵率は低下する。したがって、NOx吸蔵量が少ない状態のほうが、NOx吸蔵率は高くなる。図6に示されるように、NSR触媒4ではNOx吸蔵率が低い場合もあるため、実施例1で説明した出力制限制御を実施したとしても、NSR触媒4においてNOxの一部が吸蔵されない場合もある。
【0064】
ここで、NSR触媒4において吸蔵されなかったNOxは、SCR触媒6に流入することになる。しかし、SCR触媒6に十分な量のアンモニアを供給することができないときには、SCR触媒6においてNOxを浄化することができない。このため、SCR触媒6に流入したNOxは、そのままSCR触媒6から流出する。したがって、SCR触媒6に十分な量のアンモニアを供給することができないときには、NSR触媒4から流出するNOxを減少させることが好ましい。すなわち、NSR触媒4におけるNOx吸蔵率を高い状態にすることが好ましい。
【0065】
図6に示されるように、NOx吸蔵率を高い状態にするためには、NOx吸蔵量が少ない状態にすればよい。ここで、リッチスパイクの頻度を高めることにより、NOx吸蔵量が比較的少ない状態になる。実施例1で説明したように、リッチスパイクは、通常、NSR触媒4におけるNOx吸蔵量が第一吸蔵量となったときに、その第一吸蔵量のNOxを還元するように実施される。一方、本実施例では、実施例1に係る出力制限制御を実施しているときに、第一吸蔵量よりも少ないNOx吸蔵量でリッチスパイクを実施する。すなわち、通常ではNOx吸蔵量が第一吸蔵量に達するとリッチスパイクを実施するが、出力制限制御を実施している場合には、第一吸蔵量よりも少ない第二吸蔵量に達するとリッチスパイクを実施する。このときには、第二吸蔵量のNOxを還元できるようにリッチスパイクを実施する。このように、本実施例では、リッチスパイクを実施する閾値となるNSR触媒4のNOx吸蔵量を、出力制限制御を実施しているときと実施していないときとで変えている。
【0066】
このようにして、NSR触媒4のNOx吸蔵量が第二吸蔵量に達する毎にリッチスパイクを実施することにより、NOx吸蔵量が比較的少ない状態になる。これにより、NOx吸蔵率を高くすることができるため、NSR触媒4で吸蔵されずに該NSR触媒4から流出するNOx量が減少する。このため、出力制限制御を実施しているときにNSR触媒4及びSCR触媒6を通り抜けて大気中に放出されるNOx量をより確実に減少させることができる。
【0067】
図7は、内燃機関1からの排気通路2上の距離と、排気の単位体積当たりのNOx量との関係を示した図である。図7は、SCR触媒6から流出する排気の単位体積当たりのNOx量(SCR触媒6の下流端の排気の単位体積当たりのNOx量)が同一量となるように、内燃機関1から排出されるガスの単位体積当たりのNOx量を調整した場合を示している。「NSR」で示される範囲は、NSR触媒4の上流端から下流端までの範囲を示し、「SCR」で示される範囲は、SCR触媒6の上流端から下流端までの範囲を示している。「正常」は、NSR触媒4及びSCR触媒6においてNOxを浄化可能な場合を示している。この場合、NSR触媒4及びSCR触媒6の夫々においてNOxを浄化可能であるため、内燃機関1から排出されるガスの単位体積当たりのNOx量が比較的多くても、SCR触媒6の下流端に至るまでの間においてNOx量が十分に減少する。
【0068】
一方、図7において「ケース1」は、実施例1に係る出力制限制御のみを実施した場合
を示しており、「ケース2」は、実施例1に係る出力制限制御の実施に加えて、本実施例2に係るリッチスパイクの頻度を高くした場合を示している。「ケース1」及び「ケース2」を比較すると、NSR触媒4から流出するNOx量に差はないが、「ケース2」のほうがリッチスパイクの頻度を高くした分、内燃機関1から排出されるガスの単位体積当たりのNOx量がより多くても、NSR触媒4からNOxが流出することを抑制できる。したがって、出力制限制御を実施したとしても、実施例1よりも実施例2の方が出力をより高くすることができるため、ドライバビリティの低下を抑制できる。そこで本実施例では、内燃機関1の出力を制限するときには、内燃機関1の出力を制限しないときよりも、リッチスパイクの間隔が短くなるように(すなわち、リッチスパイクの頻度が高くなるように)、リッチスパイクを実施する閾値となるNOx吸蔵量を小さくする。
【0069】
図8は、本実施例に係るリッチスパイクの制御フローを示したフローチャートである。本フローチャートは、ECU10により所定の時間毎に実行される。なお、実施例1で説明した図3に示したフローチャートは、図8に示したフローチャートとは別々に実行される。
【0070】
ステップS201では、ECU10は、NSR触媒4のNOx吸蔵量を算出する。ECU10は、実施例1で説明したように推定NOx吸蔵量を随時算出しているため、この値が読み込まれる。ステップS201の処理が終了するとステップS202へ進む。
【0071】
ステップS202では、ECU10は、出力制限制御が実施されているか否か判定する。本ステップS202では、リッチスパイクの間隔を短くする必要があるか否か判定している。ステップS202で肯定判定がなされた場合にはステップS203へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS205へ進む。
【0072】
ステップS203では、ECU10は、ステップS201で読み込まれた推定NOx吸蔵量が第二吸蔵量以上であるか否か判定する。出力制限制御を実施している場合にはSCR触媒6によるNOxの浄化が困難なために、NSR触媒4のNOx吸蔵率を高めるようにリッチスパイクの間隔を短くする。このため、推定NOx吸蔵量が第二吸蔵量以上になるとステップS204へ進んでリッチスパイクが実施される。すなわち、ステップS203で肯定判定がなされた場合には、ステップS204へ進んでECU10がリッチスパイクを実施する。一方、ステップS203で否定判定がなされた場合には、リッチスパイクを実施する時期ではないため、本フローチャートが終了される。
【0073】
一方、ステップS202で否定判定がなされた場合にはステップS205へ進み、ECU10は、NSR触媒4が正常であるか否か判定する。ステップS205における判定は、ステップS104と同様にして行われる。NSR触媒4が異常であればリッチスパイクを実施してもNSR触媒4でNOxを浄化することができないため、リッチスパイクを実施しない。すなわち、ステップS205で否定判定がなされると、リッチスパイクを実施せずに本フローチャートを終了させる。一方、ステップS205で肯定判定がなされた場合には、ステップS206へ進む。
【0074】
ステップS206では、ECU10は、推定NOx吸蔵量が第一吸蔵量以上であるか否か判定する。NSR触媒4が正常であり且つ出力制限制御を実施していない場合には、尿素水の残量が十分に多い状態であるため、SCR触媒6によりNOxを十分に浄化することができる。このため、リッチスパイクの間隔を長くして推定NOx吸蔵量が第一吸蔵量以上となることによりNSR触媒4のNOx吸蔵率が低くなったとしても、SCR触媒6においてNOxを浄化することができる。したがって、推定NOx吸蔵量が第一吸蔵量以上になった場合にステップS207へ進んで、リッチスパイクが実施される。すなわち、ステップS206で肯定判定がなされた場合には、ステップS207へ進んでECU10
がリッチスパイクを実施する。一方、ステップS206で否定判定がなされた場合には、リッチスパイクを実施する時期ではないため、本フローチャートが終了される。
【0075】
以上説明したように本実施例によれば、SCR触媒6に還元剤を供給することができない場合には、内燃機関1の出力を制限し、さらに、リッチスパイクの間隔を短くすることでNSR触媒4から流出するNOxを減少させる。したがって、SCR触媒6に流入するNOxが少なくなることにより、例えSCR触媒6に還元剤を供給することができない状態であったとしても、大気中にNOxを放出することをより確実に抑制しつつ車両を移動させることができる。また、リッチスパイクの間隔を短くすることにより、NSR触媒4からのNOxの流出が抑制されるため、出力制限制御を実施しているときの出力の最大値である所定出力をより大きな値に設定することができる。
【0076】
なお、本実施例では、推定NOx吸蔵量の閾値を小さくすることによりリッチスパイクの間隔を短くしているが、所定期間毎または所定走行距離毎にリッチスパイクを実施している場合には、この所定期間または所定走行距離を短くすることによりリッチスパイクの間隔を短くしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 内燃機関
2 排気通路
3 燃料添加弁
4 吸蔵還元型NOx触媒(NSR触媒)
5 還元剤供給装置
6 選択還元型NOx触媒(SCR触媒)
7 燃料噴射弁
8 吸気通路
9 スロットル
10 ECU
11 温度センサ
12 第一NOxセンサ
13 第二NOxセンサ
15 エアフローメータ
16 アクセルペダル
17 アクセル開度センサ
18 クランクポジションセンサ
20 ディスプレイ
51 タンク
52 尿素水添加弁
53 尿素水通路
54 ポンプ
55 残量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8