特許第6439770号(P6439770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439770
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】中子把持方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/10 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   B22C9/10 U
   B22C9/10 T
   B22C9/10 S
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-202324(P2016-202324)
(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公開番号】特開2018-61987(P2018-61987A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳貴
(72)【発明者】
【氏名】菊池 亮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】石倉 光弘
(72)【発明者】
【氏名】小舟 真輝
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−269899(JP,A)
【文献】 特開昭58−125338(JP,A)
【文献】 特開昭47−024699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C9/10,23/00
B25B11/00−11/02
B25J15/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の中心軸を中心に回転モーメントが発生する中子を中子把持装置を用いて把持する中子把持方法であって、
前記中子把持装置は、膨張および収縮可能な第1及び第2の把持部を各々備える第1及び第2のピッカーを備え、
前記中子は、前記中心軸を中心とした水平方向の両側にそれぞれ設けられ、鉛直方向に開口している第1及び第2の孔部を備え、
前記第1及び第2の孔部の少なくとも一方は、前記中子に発生する前記回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を有し、
前記中子を把持する際、
前記第1及び第2のピッカーを降下させて、前記第1及び第2の孔部に前記第1及び第2の把持部をそれぞれ挿入し、
前記第1及び第2の把持部を膨張させて前記中子の前記第1及び第2の孔部の内壁に前記第1及び第2の把持部を当接させて前記中子を把持するとともに、前記回転モーメントを抑制する力を前記中子に印加する、
中子把持方法。
【請求項2】
前記回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状は、前記第1及び第2の孔部の両方に形成されており、
前記中子を把持した際、前記第1及び第2の把持部の各々を前記第1及び第2の孔部の内壁にそれぞれ当接させて、前記回転モーメントを抑制する力を前記第1及び第2の把持部から前記中子に印加する、
請求項1に記載の中子把持方法。
【請求項3】
前記中子は載置台に載置されており、
前記第1の孔部は、前記載置台から離れるにつれて内周径が小さくなる形状であり、
前記第2の孔部は、前記載置台に近づくにつれて内周径が小さくなる形状であり、
前記中子を把持する際、前記第1の把持部よりも先に前記第2の把持部を膨張させて前記中子を把持する、
請求項2に記載の中子把持方法。
【請求項4】
前記中子を把持する際、前記第1の把持部の圧力を前記第2の把持部の圧力よりも小さくする、請求項3に記載の中子把持方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の孔部の少なくとも一方は、孔部の鉛直方向中央部付近から上側の開口部及び下側の開口部のそれぞれに向かって内周径が各々小さくなる形状を有する、請求項1に記載の中子把持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中子把持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造用の中子は、作製される鋳物に中空部を形成するために用いられる鋳型である。従来、中子は人手によって金型に納められていた。しかしながら、近年、鋳物が高精度化するにしたがって、金型に中子を高精度に配置することが重要になってきている。このため、金型に中子を高精度に配置するための技術が重要になってきている。
【0003】
特許文献1には、鋳造用の中子を搬送するための搬送装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平05−509071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中子を把持する方法の一つとして、先端部に膨張および収縮可能な把持部を備えるピッカーを用いて中子を把持する方法がある。この方法では、中子に形成された孔部にピッカーの把持部を挿入し、把持部を膨張させてピッカーを中子の孔部に固定することで中子を把持する。
【0006】
しかしながら、中子の形状によっては所定の中心軸を中心に回転モーメントが発生する。このため、中子の孔部にピッカーの把持部を挿入して膨張させて中子を把持すると、中子を持ち上げた際に所定の中心軸を中心に回転モーメントが働いて中子が傾き、中子を配置する際の位置精度が悪化するという問題がある。
【0007】
本発明は、中子を配置する際の位置精度を向上させることが可能な中子把持方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる中子把持方法は、所定の中心軸を中心に回転モーメントが発生する中子を中子把持装置を用いて把持する中子把持方法である。前記中子把持装置は、膨張および収縮可能な第1及び第2の把持部を各々備える第1及び第2のピッカーを備え、前記中子は、前記中心軸を中心とした水平方向の両側にそれぞれ設けられ、鉛直方向に開口している第1及び第2の孔部を備え、前記第1及び第2の孔部の少なくとも一方は、前記中子に発生する前記回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を有する。前記中子を把持する際、前記第1及び第2のピッカーを降下させて、前記第1及び第2の孔部に前記第1及び第2の把持部をそれぞれ挿入し、前記第1及び第2の把持部を膨張させて前記中子の前記第1及び第2の孔部の内壁に前記第1及び第2の把持部を当接させて前記中子を把持するとともに、前記回転モーメントを抑制する力を前記中子に印加する。
【0009】
本発明にかかる中子把持方法では、中子に発生する回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を、第1及び第2の孔部の少なくとも一方に形成している。そして、中子を把持する際、第1及び第2の把持部を膨張させて中子の第1及び第2の孔部の内壁に第1及び第2の把持部を当接させて中子を把持するとともに、回転モーメントを抑制する力を中子に印加している。つまり、中子に発生する回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を孔部に形成しているので、中子を把持した際に、回転モーメントを抑制する力を中子に印加することができる。よって、中子を把持した際に中子に働く回転モーメントを抑えることができ、中子を配置する際の位置精度を向上させることができる。
【0010】
本発明にかかる中子把持方法において、前記回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状は、前記第1及び第2の孔部の両方に形成されていてもよく、前記中子を把持した際、前記第1及び第2の把持部の各々を前記第1及び第2の孔部の内壁にそれぞれ当接させて、前記回転モーメントを抑制する力を前記第1及び第2の把持部から前記中子に印加するようにしてもよい。
【0011】
このように、回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を、第1及び第2の孔部の両方に形成する場合は、第1及び第2の孔部のそれぞれを一方向から切り欠いて形成することができるので、第1及び第2の孔部を容易に形成することができる。
【0012】
本発明にかかる中子把持方法において、前記中子は載置台に載置されていてもよく、前記第1の孔部は、前記載置台から離れるにつれて内周径が小さくなる形状であり、前記第2の孔部は、前記載置台に近づくにつれて内周径が小さくなる形状であり、前記中子を把持する際、前記第1の把持部よりも先に前記第2の把持部を膨張させて前記中子を把持してもよい。
【0013】
このように、第2の孔部の形状を、載置台に近づくにつれて内周径が小さくなる形状とし、中子を把持する際に、第1の孔部に挿入されている第1の把持部よりも先に第2の孔部に挿入されている第2の把持部を膨張させることで、中子に下向きの力が働き中子を載置台に押し付けることができる。よって、中子を把持する際の位置精度を向上させることができる。
【0014】
本発明にかかる中子把持方法において、前記中子を把持する際、前記第1の把持部の圧力を前記第2の把持部の圧力よりも小さくするようにしてもよい。
【0015】
このように、中子に上向きの力を発生させる第1の把持部の圧力を、中子に下向きの力を発生させる第2の把持部の圧力よりも小さくすることで、中子が載置台から浮き上がることを抑制することができ、中子把持装置が中子を把持する際の位置精度を向上させることができる。
【0016】
本発明にかかる中子把持方法において、前記第1及び第2の孔部の少なくとも一方は、孔部の鉛直方向中央部付近から上側の開口部及び下側の開口部のそれぞれに向かって内周径が各々小さくなる形状を有していてもよい。
【0017】
このように、孔部の鉛直方向中央部付近から上側の開口部及び下側の開口部のそれぞれに向かって内周径が各々小さくなる形状を第1及び第2の孔部の少なくとも一方に形成することで、中子の孔部の内壁に上下方向の力を印加することができるので、中子の回転モーメントを抑えると共に、中子をより強固に且つ安定的に把持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、中子を配置する際の位置精度を向上させることが可能な中子把持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態にかかる中子把持装置を示す正面図である。
図2】実施の形態にかかる中子把持装置を用いて把持される中子の一例を示す平面図である。
図3図2に示す中子の側面図である。
図4】実施の形態にかかる中子把持装置が中子を把持している状態を示す断面図である。
図5A】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図5B】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図5C】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図5D】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図5E】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図5F】実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作を説明するための断面図である。
図6】比較例にかかる中子把持方法を用いて中子を把持している状態を示す断面図である。
図7】実施の形態にかかる中子把持装置が把持する中子の他の構成例を示す断面図である。
図8A】実施の形態にかかる中子把持方法の他の例を説明するための断面図である。
図8B】実施の形態にかかる中子把持方法の他の例を説明するための断面図である。
図9】実施の形態にかかる中子把持装置が把持する中子の他の構成例を示す断面図である。
図10】中子把持装置が中子を把持する動作を説明するための正面図である。
図11】中子と把持部との間のクリアランスと最大把持荷重との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる中子把持装置を示す正面図である。図1に示すように、中子把持装置1は、支持部10、制御部11、駆動部12、及びピッカー13a、13bを備える。各々のピッカー13a、13bは、支持部10の下面から下方向(z軸マイナス方向)に伸びるように、支持部10に固定されている。支持部10およびピッカー13a、13bは、中子を把持して支持する必要があるため、ある程度の強度が必要である。例えば、支持部10およびピッカー13a、13bは、金属材料を用いて構成することができる。
【0021】
ピッカー13a、13bの各々の先端には把持部14a、14bがそれぞれ設けられている。把持部14a、14bは、気体や液体などの流体(以下では気体を用いた場合を例として説明する)を用いて膨張および収縮可能に構成されており、例えばゴムなどの弾性部材を用いて構成することができる。例えば、把持部14a、14bはゴム風船を用いて構成することができる。
【0022】
駆動部12は、支持部10を移動可能に構成されている。支持部10にはピッカー13a、13bが固定されているので、駆動部12が支持部10を移動させることで、支持部10に固定されているピッカー13a、13bが移動する。例えば、駆動部12は、x軸、y軸、及びz軸に沿って支持部10を移動させることができる。例えば、駆動部12にはロボットアームを用いることができる。
【0023】
制御部11は、駆動部12を制御する。具体的には、制御部11は、駆動部12を用いて支持部10を移動させることで、ピッカー13a、13bを所定の位置に移動させる。また、制御部11は、各々のピッカー13a、13bが備える把持部14a、14bの膨張および収縮を制御する。例えば、制御部11は、制御部11に供給された圧縮ガス(1次側)を、把持部14a、14bに繋がる配管16に供給する場合と、配管16と排気口(ベント)とを接続する場合とを切り替える電磁弁(不図示)を備えており、この電磁弁を切り替えることで各々のピッカー13a、13bが備える把持部14a、14bの膨張および収縮を制御する。
【0024】
具体的には、制御部11は、制御部11に供給された圧縮ガス(1次側)を配管16に供給することで、把持部14a、14bを膨張させることができる。また、制御部11は、配管16を排気口(ベント)に接続することで、把持部14a、14bを収縮させることができる。本実施の形態では、各々の把持部14a、14bが各々独立したタイミングで膨張・収縮するように構成されている。例えば、各々の把持部14a、14bに接続される配管16を各々別系統とすることで、各々の把持部14a、14bを独立したタイミングで膨張・収縮させることができる。
【0025】
図2は、中子把持装置1を用いて把持される中子の一例を示す平面図である。図3は、図2に示す中子の側面図であり、中子20をy軸方向マイナス側からみた側面図である。図2に示すように、中子20は、中子本体部21および巾木部24、25を有する。中子本体部21には、鋳物に中空部を形成するための型22a〜22cが形成されている。各々の型22a〜22cは同一形状を有しており、各々の鋳物の金型に各々の型22a〜22cを納めて鋳造することで、鋳物に各々の型22a〜22cに対応する中空部を形成することができる。
【0026】
巾木部24、25は、中子20を金型に納めた際に中子20が安定するように設けた部分であり、図2に示す例では中子本体部21の両側端部を延長して形成している。例えば、中子20を金型に納めた際、巾木部24、25が金型で支持される。また、巾木部24、25には、中子20を把持するための孔部26a、26b、27a、27bが形成されている。孔部26a、26b、27a、27bは鉛直方向(z軸方向)に開口しており、鉛直方向(z軸方向)に伸びるように形成されている。例えば、中子20は砂を用いて形成されている。
【0027】
図3に示すように、中子20の中子本体部21(型23a)の形状が、y軸と平行な中心軸29を中心として、xz平面において左右非対称である場合、中子20には、中心軸29を中心とした回転モーメントMが働く。このため、このような中子20を中子把持装置1を用いて把持すると、中子20には中心軸29を中心とした回転モーメントMが働き、把持している中子20が回転する恐れがある。しかし、以下で説明する本実施の形態にかかる中子把持方法を用いることで、中子20に回転モーメントMが働く場合であっても、中子20を持ち上げた際に中子20が傾くことを抑制することができ、中子20を配置する際の位置精度を向上させることができる。
【0028】
図4は、本実施の形態にかかる中子把持装置が中子を把持している状態を示す断面図である。図4の中子20(巾木部24)の断面図は、図2に示す中子20の巾木部24を孔部26a、26bを通るxz平面で切断した断面を示している。図4に示すように、中子20の巾木部24は、中心軸29を中心とした水平方向(x軸方向)の両側(つまり、中心軸29の左右両側)にそれぞれ、孔部26a、26bが設けられている。孔部26a、26bは、鉛直方向に開口している。また、中子20の巾木部24に形成されている孔部26a、26bは、中子20に発生する回転モーメントMの方向(図4では左回り)と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を有する。
【0029】
つまり、中子20の巾木部24に形成されている孔部26aは、z軸方向プラス側(上側)に向かうにしたがって孔部26aの内周径(開口径)が徐々に小さくなるテーパー形状である。ここで、孔部26aにおいて、z軸方向プラス側(上側)は、回転軸29を中心に中子20に発生する回転モーメントMの方向と逆方向である。
【0030】
また、中子20の巾木部24に形成されている孔部26bは、z軸方向マイナス側(下側)に向かうにしたがって孔部26bの内周径(開口径)が徐々に小さくなるテーパー形状である。ここで、孔部26bにおいて、z軸方向マイナス側(下側)は、回転軸29を中心に中子20に発生する回転モーメントMの方向と逆方向である。
【0031】
このように、回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状(例えば、テーパー形状)を、孔部46a、46bの両方に形成する場合は、孔部46a、46bのそれぞれを一方向から切り欠いて形成することができるので、孔部46a、46bを容易に形成することができる。つまり、孔部46aを形成する場合はz軸方向マイナス側(下側)から巾木部24を切り欠き、孔部46bを形成する場合はz軸方向プラス側(上側)から巾木部24を切り欠くことで、テーパー形状の孔部46a、46bを形成することができる。
【0032】
本実施の形態では、各々のピッカー13a、13bを中子20の巾木部24に形成された孔部26a、26bに各々挿入し、各々のピッカー13a、13bの先端に設けられた把持部14a、14bを膨張させて巾木部24を把持している。つまり、孔部26a、26bの内部で把持部14a、14bを膨張させることで、ピッカー13a、13bと中子20の巾木部24とが固定される。
【0033】
ここで、巾木部24の孔部26aの形状は、z軸方向プラス側(上側)に向かうにしたがって孔部26aの内周径が徐々に小さくなるテーパー形状であるので、孔部26aに把持部14aを挿入して膨張させると、把持部14aの上側側面が孔部26aの側面と当接して、把持部14aから孔部26aの内壁にz軸方向プラス側(上側)の力が印加される。また、巾木部24の孔部26bの形状は、z軸方向マイナス側(下側)に向かうにしたがって孔部26bの開口径が徐々に小さくなるテーパー形状であるので、孔部26bに把持部14bを挿入して膨張させると、把持部14bの下側側面が孔部26bの側面と当接して、把持部14bから孔部26bの内壁にz軸方向マイナス側(下側)の力が印加される。
【0034】
このように、巾木部24の孔部26aの内壁にはz軸方向プラス側(上側)の力が印加され、巾木部24の孔部26bの内壁にはz軸方向マイナス側(下側)の力が印加されるので、巾木部24に働く回転軸29(y軸と平行な軸)を中心とした回転モーメントMを抑えることができる。
【0035】
なお、図4では、中子把持装置1が、図2に示す中子20の一方の巾木部24を把持している状態を示しているが、中子把持装置が中子20を持ち上げる際は、中子20の他方の巾木部25も把持し、中子20の両側の巾木部24、25を把持した状態で中子20を持ち上げる。中子把持装置が中子20の他方の巾木部25を把持する場合も同様に、巾木部25の孔部27a、27bにピッカーの把持部を挿入して膨張させて中子を把持する。このとき、巾木部25の孔部27a、27bの形状は円筒形状としてもよく、また、巾木部24の孔部26a、26bと同様にテーパー形状としてもよい。つまり、中子20に働く回転モーメントMは中子20の巾木部24側において抑えることができるので、巾木部25の孔部27a、27bの形状はテーパー形状としなくてもよい。しかし、中子20に働く回転モーメントMをより確実に抑えるためには、巾木部25の孔部27a、27bの形状をテーパー形状とし、巾木部24、25の両方において回転モーメントMを抑えるようにすることが好ましい。
【0036】
次に、本実施の形態にかかる中子把持方法を用いて中子を把持する動作について、図5A図5Fに示す断面図を用いて詳細に説明する。以下では、載置台31に置かれている中子20(巾木部24)を中子把持装置1を用いて金型32(図5F参照)に配置するまでの動作について説明する。
【0037】
まず、図5Aに示すように、中子把持装置1を中子20(巾木部24)が置かれている場所に移動する。具体的には、中子把持装置1の支持部10を駆動部12を用いて移動し、中子把持装置1のxy平面での座標を合わせて、巾木部24の上に中子把持装置1が配置されるようにする。このとき、巾木部24に形成された各々の孔部26a、26bの上に各々のピッカー13a、13bが配置されるようにする。
【0038】
次に、中子把持装置1の支持部10を駆動部12を用いて下方向(z軸マイナス方向)に移動させる。これにより、各々のピッカー13a、13bが降下して、図5Bに示すように、巾木部24に形成された各々の孔部26a、26bの内部にピッカー13a、13bの把持部14a、14bがそれぞれ挿入される。
【0039】
次に、図5Cに示すように、巾木部24の孔部26bに挿入されている把持部14bを膨張させる。つまり、巾木部24の孔部26aに挿入されている把持部14aよりも先に、孔部26bに挿入されている把持部14bを膨張させる。これにより、把持部14bが巾木部24の孔部26bの内壁(側壁)に当接し、ピッカー13bが巾木部24に固定される。
【0040】
ここで、孔部26bはz軸方向マイナス側(下側)に向かうにしたがって孔部26bの開口径が徐々に小さくなるテーパー形状、換言すると、載置台31に近づくにつれて内周径が小さくなる形状を有するので、巾木部24の孔部26bの内壁には把持部14bからz軸方向マイナス側(下側)の力が印加される。これにより、巾木部24の孔部26b付近には、載置台31に押し付けられる力が働くので、中子把持装置1が中子20を把持する際の位置精度を向上させることができる。
【0041】
次に、図5Dに示すように、巾木部24の孔部26aに挿入されている把持部14aを膨張させる。これにより、把持部14aが巾木部24の孔部26aの内壁に当接し、ピッカー13aが巾木部24に固定される。ここで、孔部26aはz軸方向プラス側(上側)に向かうにしたがって孔部26aの開口径が徐々に小さくなるテーパー形状、換言すると、載置台31から離れるにつれて内周径が小さくなる形状を有するので、巾木部24の孔部26aの内壁には把持部14aからz軸方向プラス側(上側)の力が印加される。
【0042】
このとき、把持部14aを膨張させ過ぎると、巾木部24の孔部26aに加わる上向きの力が大きくなり、巾木部24が載置台31から浮き上がる恐れがある。よって、本実施の形態では、中子20を把持する際、把持部14aの圧力を把持部14bの圧力よりも小さくする。これにより、巾木部24が載置台31から浮き上がることを抑制することができ、中子把持装置1が中子20を把持する際の位置精度を向上させることができる。
【0043】
このような動作により、把持部14a、14bが巾木部24の孔部26a、26bの内壁に当接し、ピッカー13a、13bと巾木部24とが固定される。その後、ピッカー13a、13bが巾木部24を把持した状態で、中子把持装置1の支持部10を駆動部12を用いて上方向(z軸プラス方向)に移動させる。これにより、各々のピッカー13a、13bが上昇して、中子20(巾木部24)が持ち上げられる。
【0044】
このとき、巾木部24の孔部26aの内壁にはz軸方向プラス側(上側)の力が印加され、巾木部24の孔部26bの内壁にはz軸方向マイナス側(下側)の力が印加されるので、巾木部24に働く回転軸29(y軸と平行な軸)を中心とした回転モーメントMを抑えることができる。よって、中子20を持ち上げた際に中子20が傾くことを抑制することができる。
【0045】
その後、図5Eに示すように、中子把持装置1が中子20(巾木部24)を把持している状態で、中子把持装置1を金型32が配置されている場所まで移動する。そして、中子把持装置1の支持部10を駆動部12を用いて下方向(z軸マイナス方向)に移動させる。これにより、巾木部24が金型32の凹部33に収容される(図5F参照)。
【0046】
図5Fに示すように巾木部24が金型32の正常な位置に収容された後、各々のピッカー13a、13bの把持部14a、14bを収縮させ、各々のピッカー13a、13bを上昇させる。これにより、巾木部24の各々の孔部26a、26bから各々のピッカー13a、13bが抜かれる。
【0047】
以上で説明した動作により、中子把持装置1を用いて、載置台31に置かれている中子20(巾木部24)を金型32(図5F参照)に配置することができる。
【0048】
本実施の形態では、巾木部24の孔部26a、26bの形状をテーパー形状、換言すると、中子20に発生する回転モーメントMの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状としている。よって、把持部14a、14bを膨張させた際に、巾木部24の孔部26aの内壁にはz軸方向プラス側(上側)の力が印加され、巾木部24の孔部26bの内壁にはz軸方向マイナス側(下側)の力が印加される。したがって、中子を把持した際に巾木部24に働く回転モーメントM(図4参照)を抑えることができる。
【0049】
すなわち、図6に示す比較例のように、中子120の巾木部124に形成する孔部126a、126bの形状を円筒形状とした場合は、把持部14a、14bを膨張させた際に、把持部14a、14bの各々が孔部126a、126bの内壁と当接し、把持部14a、14bが中子120の巾木部124に固定される。しかしこの場合は、把持部14a、14bと孔部126a、126bとが当接する当接面は、鉛直方向(z軸方向)と平行な面である。このため、把持部14a、14bから巾木部124(中子120)には、回転モーメントMを抑えるための力が十分には印加されない。
【0050】
これに対して本実施の形態にかかる中子把持方法では、巾木部24の孔部26a、26bの形状をテーパー形状、換言すると、中子20に発生する回転モーメントMの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状としているので、巾木部24の孔部26aの内壁にはz軸方向プラス側(上側)の力が印加され、巾木部24の孔部26bの内壁にはz軸方向マイナス側(下側)の力が印加される。よって、中子を把持した際に巾木部24に働く回転モーメントM(図4参照)を抑えることができる。
【0051】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、中子を配置する際の位置精度を向上させることが可能な中子把持方法を提供することができる。
【0052】
図7は、本実施の形態にかかる中子把持装置が把持する中子の他の構成例を示す断面図である。本実施の形態では、中子40の巾木部44に形成された孔部46a、46bの形状を、各々の孔部46a、46bの鉛直方向(z軸方向)中央部付近から上側の開口部及び下側の開口部のそれぞれに向かって内周径が各々小さくなる形状としてもよい。図7に示す例では、孔部46a、46bの形状を回転楕円体としている。
【0053】
図7に示す中子40を把持する場合も、図8Aに示すように、巾木部44に形成された各々の孔部46a、46bの内部にピッカー13a、13bの把持部14a、14bをそれぞれ挿入する。そして、図8Bに示すように、巾木部44の孔部46a、46bに挿入されている把持部14a、14bを膨張させる。これにより、把持部14a、14bが巾木部44の孔部46a、46bの内壁に当接し、ピッカー13a、13bが巾木部44に固定される。
【0054】
このとき、巾木部44の孔部46aの上側の内壁には、把持部14aから上向きの力が印加され、巾木部44の孔部46aの下側の内壁には、把持部14aから下向きの力が印加される。同様に、巾木部44の孔部46bの上側の内壁には、把持部14bから上向きの力が印加され、巾木部44の孔部46bの下側の内壁には、把持部14bから下向きの力が印加される。
【0055】
図8Bに示す場合も、中子40には中心軸49を中心に回転モーメントMが働くが、巾木部44の孔部46a、46bに、中子40に発生する回転モーメントMの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を形成しているので、巾木部44の孔部46a、46bの内壁には回転モーメントMを抑える力が働く。具体的には、巾木部44の孔部46aの上側の内壁には、把持部14aから上向きの力が印加され、この力が回転モーメントMを抑える力として働く。また、巾木部44の孔部46bの下側の内壁には、把持部14bから下向きの力が印加され、この力が回転モーメントMを抑える力として働く。
【0056】
更に図8Bに示す場合は、巾木部44の孔部46a、46bの内壁に上下方向の力を印加することができるので、中子把持装置1を用いて中子40(巾木部44)をより強固に且つ安定的に把持することができる。
【0057】
また、孔部の形状を回転楕円体とする場合は、図9に示すように、中子60の巾木部64に1つの孔部66を設け、この孔部66の形状を回転楕円体としてもよい。図9に示す場合も、中子60には中心軸69を中心に回転モーメントMが働くが、巾木部64の孔部66の形状を回転楕円体としているので、巾木部64の孔部66の内壁には回転モーメントMを抑える力が働く。具体的には、巾木部64の孔部66の左上側の内壁には、把持部14から上向きの力が印加され、この力が回転モーメントMを抑える力として働く。また、巾木部64の孔部66の右下側の内壁には、把持部14から下向きの力が印加され、この力が回転モーメントMを抑える力として働く。
【0058】
なお、以上で説明した本実施の形態(図9の構成を除く)では、中子の2つの孔部のそれぞれに、中子に発生する回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状(図4に示したテーパー形状や図7に示した回転楕円体)を形成した場合について説明した。しかし本実施の形態では、中子に発生する回転モーメントの方向と逆方向に向かって内周径が小さくなる形状を、中子の2つの孔部のうちの少なくとも一方に形成すればよい。
【0059】
例えば、図4に示す一方の孔部26aの形状をテーパー形状とし、他方の孔部26bの形状を円筒形状(図6参照)としてもよい。また、例えば、図7に示す一方の孔部46aの形状を回転楕円体とし、他方の孔部46bの形状を円筒形状(図6参照)としてもよい。
【0060】
図10は、中子把持装置が中子を把持する動作を説明するための正面図である。図11は、中子と把持部との間のクリアランスと最大把持荷重との関係を示すグラフである。図10に示すようにピッカー13を用いて中子70の巾木部74を把持する際は、巾木部74に形成された孔部76に把持部14を挿入し、その後、把持部14を膨張させる。これにより、把持部14と孔部76の内壁とが当接し、把持部14と孔部76の内壁との間に摩擦力が働く。よって、ピッカー13を用いて中子70を持ち上げることができる。
【0061】
このとき、把持部14が巾木部74を把持して持ち上げる際の最大把持荷重(つまり、中子全体の荷重)は、収縮している状態の把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)(図10の左図参照)に応じて変化する。ここで、Xは収縮時における把持部14の幅であり、Yは孔部76の開口径(直径)である。よって、把持部14と巾木部74との間のクリアランス(両側の合計)は、Y−Xで表すことができる。
【0062】
すなわち、図11のグラフの膨張時の圧力が「a(MPa)」のデータに示すように、収縮している状態の把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)が大きくなるにつれて、最大把持荷重は小さくなる。よって、図10に示す把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)を小さくすることで、最大把持荷重を大きくすることができる。
【0063】
一方、図10に示す把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)を小さくし過ぎると、巾木部74の両端に把持部14を配置する際の位置精度が必要になる。つまり、把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)が小さいため、把持部14を配置する際に、把持部14が巾木部74に衝突しないように、把持部14の位置を高精度に制御する必要がある。
【0064】
よって、本実施の形態では、把持部14の位置を制御する際の精度と、最大把持荷重(つまり、中子全体の荷重)とを考慮して、把持部14と巾木部74との間のクリアランス(Y−X)を決定する必要がある。なお、図11のグラフに示すように、把持部14の膨張時の圧力が「b(MPa)」の場合は、把持部14の膨張時の圧力が「a(MPa)」の場合(b>aである)よりも最大把持荷重が大きくなる。よって、把持部14の膨張時の圧力を高くすることで、中子の最大把持荷重を大きくすることができる。
【0065】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 中子把持装置
10 支持部
11 制御部
12 駆動部
13a、13b ピッカー
14a、14b 把持部
16 配管
20 中子
21 中子本体部
22a〜22c 型
24、25 巾木部
26a、26b、27a、27b 孔部
29 中心軸
31 載置台
32 金型
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11