特許第6439771号(P6439771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439771
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】駆動装置および自動車
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181210BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20181210BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H02M7/48 F
   H02P27/08
   B60L9/18 J
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-205428(P2016-205428)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-68038(P2018-68038A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 堅滋
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏洋
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−112949(JP,A)
【文献】 特開2010−154735(JP,A)
【文献】 特開2013−162660(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/157049(WO,A1)
【文献】 特開2012−111369(JP,A)
【文献】 特開2006−141156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 27/08
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
複数のスイッチング素子のスイッチングによって前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
を備える駆動装置であって、
前記インバータの制御として、前記モータのトルク指令に基づく各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によって前記複数のスイッチング素子の第1PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第1PWM制御と、前記トルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と前記モータの電気角の単位周期当たりのパルス数とに基づいて前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう制御であって前記第1PWM制御に比して前記複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくする第2PWM制御と、を切り替えて実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、静粛性が要求されているときには、前記静粛性が要求されていないときに比して、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を制限する、
駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記制御装置は、前記静粛性が要求されていないときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可し、前記静粛性が要求されているときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を禁止する、
駆動装置。
【請求項3】
請求項2記載の駆動装置であって、
前記制御装置は、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可すると共に前記モータの目標動作点が所定領域内のときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御を実行し、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可すると共に前記目標動作点が前記所定領域外のときおよび前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を禁止するときには、前記インバータの制御として前記第1PWM制御を実行する、
駆動装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置であって、
前記第2PWM制御は、前記第1PWM制御に比して、所望の次数の高調波成分が低減されると共に前記モータの損失と前記インバータの損失との合計損失が低減されるように前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成する制御である、
駆動装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、
前記制御装置は、車速が所定車速以下のときには、前記静粛性が要求されていると判定する、
自動車。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、
走行用の動力を出力するエンジンを備え、
前記制御装置は、前記エンジンの運転を伴わずに走行しているときには、前記静粛性が要求されていると判定する、
自動車。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、
前記制御装置は、車両の現在地の車線数が所定車線数以下のときには、前記静粛性が要求されていると判定する、
自動車。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、
前記制御装置は、夜間には、前記静粛性が要求されていると判定する、
自動車。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、
エンジンと、
前記エンジンからの動力を用いて発電する発電機と、
複数の第2スイッチング素子のスイッチングによって前記発電機を駆動する発電機用インバータと、
を備え、
前記蓄電装置は、前記インバータおよび前記発電機用インバータを介して前記モータおよび前記発電機と電力をやりとりし、
前記制御装置は、停車中に前記蓄電装置の蓄電割合が所定割合以下のときには、前記エンジンからの動力を用いて前記発電機によって発電されて前記蓄電装置が充電されるように前記エンジンと前記発電機用インバータとを制御し、更に、前記発電機用インバータの制御として前記第1PWM制御と前記第2PWM制御とを切り替えて実行し、
前記制御装置は、前記静粛性が要求されているときには、前記静粛性が要求されていないときに比して、前記インバータおよび前記発電機用インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を制限し、更に、停車中には、前記静粛性が要求されていると判定する、
自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および自動車に関し、詳しくは、モータとインバータと蓄電装置とを備える駆動装置および駆動装置を搭載する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駆動装置としては、電動機と、複数のスイッチング素子のスイッチングによって電動機を駆動するインバータ回路を有する電力変換装置と、を備えるものにおいて、電動機の電気1周期のパルス数と、電動機のトルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と、に基づいて複数のスイッチング素子のパルス信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この駆動装置では、パルス数と変調率と電圧位相とに基づいて電力変換装置および電動機の電力損失が最小となるようにパルス信号を生成することにより、駆動装置全体の損失の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−162660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の駆動装置におけるパルス信号を生成して電力変換装置に出力する手法では、電動機の各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によってパルス信号を生成して電力変換装置に出力する手法に比して、複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくすることが考えられる。しかし、複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくする場合、複数のスイッチング素子のスイッチングに起因する騒音(電磁騒音)が大きくなりやすい。このため、静粛性が要求されているときにその要求を満たせなせない可能性がある。
【0005】
本発明の駆動装置および自動車は、静粛性の要求をより十分に満たすことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置および自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の駆動装置は、
モータと、
複数のスイッチング素子のスイッチングによって前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
を備える駆動装置であって、
前記インバータの制御として、前記モータのトルク指令に基づく各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によって前記複数のスイッチング素子の第1PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第1PWM制御と、前記トルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と前記モータの電気角の単位周期当たりのパルス数とに基づいて前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう制御であって前記第1PWM制御に比して前記複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくする第2PWM制御と、を切り替えて実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、静粛性が要求されているときには、前記静粛性が要求されていないときに比して、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を制限する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の駆動装置では、インバータの制御として、第1PWM制御と第2PWM制御とを切り替えて実行する。ここで、第1PWM制御は、モータのトルク指令に基づく各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によって複数のスイッチング素子の第1PWM信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう制御である。第2PWM制御は、トルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相とモータの電気角の単位周期のパルス数とに基づいて複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう制御であって、第1PWM制御に比して複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくする制御である。そして、静粛性が要求されているときには、静粛性が要求されていないときに比して、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限する。第2PWM制御は、第1PWM制御に比して、複数のスイッチング素子のスイッチング回数を少なくするから、スイッチング素子のスイッチングに起因する騒音(電磁騒音)が大きくなりやすい。したがって、静粛性が要求されているときには、静粛性が要求されていないときに比して、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、静粛性の要求をより十分に満たすことができる。ここで、「第2PWM制御の実行の制限」としては、第2PWM制御の実行領域の縮小や第2PWM制御の実行の禁止などを挙げることができる。
【0009】
こうした本発明の駆動装置において、前記制御装置は、前記静粛性が要求されていないときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可し、前記静粛性が要求されているときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を禁止する、ものとしてもよい。こうすれば、静粛性が要求されているか否かに応じて、第2PWM制御の実行または禁止を判定することができる。この場合、前記制御装置は、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可すると共に前記モータの目標動作点が所定領域内のときには、前記インバータの制御として前記第2PWM制御を実行し、前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を許可すると共に前記目標動作点が前記所定領域外のときおよび前記インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を禁止するときには、前記インバータの制御として前記第1PWM制御を実行する、ものとしてもよい。こうすれば、インバータの制御として、第2PWM制御の実行を許可したか禁止したかおよびモータの目標動作点に応じて第1PWM制御および第2PWM制御のうちの何れを実行するかを決定することができる。
【0010】
また、本発明の駆動装置において、前記第2PWM制御は、前記第1PWM制御に比して、所望の次数の高調波成分が低減されると共に前記モータの損失と前記インバータの損失との合計損失が低減されるように前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成する制御である、ものとしてもよい。こうすれば、第2PWM制御を実行する際には、第1PWM制御を実行する際に比して、所望の次数の高調波成分の低減や合計損失の低減を図ることができる。なお、「所望の次数」は、特定の次数であってもよいし、低次数から高次数までの比較的広範囲の次数であってもよい。
【0011】
本発明の第1の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、前記制御装置は、車速が所定車速以下のときには、前記静粛性が要求されていると判定する、ことを要旨とする。車速が比較的低いときには高いときよりも、ロードノイズが小さく、電磁騒音がロードノイズに紛れにくく、運転者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。したがって、車速が所定車速以下のときには、車内に対する静粛性が要求されていると判定し、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0012】
本発明の第2の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、走行用の動力を出力するエンジンを備え、前記制御装置は、前記エンジンの運転を伴わずに走行しているときには、前記静粛性が要求されていると判定する、ことを要旨とする。エンジンの運転を伴わずに走行しているときには、エンジン音が生じないから、エンジンの運転を伴って走行しているときに比して、運転者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。したがって、エンジンの運転を伴わずに走行しているときには、車内に対する静粛性が要求されていると判定し、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0013】
本発明の第3の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、前記制御装置は、車両の現在地の車線数が所定車線数以下のときには、前記静粛性が要求されていると判定する、ことを要旨とする。車線数が少ないときには多いときよりも、道路の幅員が狭く、車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。したがって、車両の現在地の車線数が所定車線数以下のときには、車外に対する静粛性が要求されていると判定し、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、車外に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、前記制御装置は、夜間には、前記静粛性が要求されていると判定する、ことを要旨とする。夜間には、夜間でないとき(昼間)よりも運転者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。したがって、夜間には、車外に対する静粛性が要求されていると判定し、インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、車外に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0015】
本発明の第5の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の駆動装置を搭載し、前記モータからの動力を用いて走行する自動車であって、エンジンと、前記エンジンからの動力を用いて発電する発電機と、複数の第2スイッチング素子のスイッチングによって前記発電機を駆動する発電機用インバータと、を備え、前記蓄電装置は、前記インバータおよび前記発電機用インバータを介して前記モータおよび前記発電機と電力をやりとりし、前記制御装置は、停車中に前記蓄電装置の蓄電割合が所定割合以下のときには、前記エンジンからの動力を用いて前記発電機によって発電されて前記蓄電装置が充電されるように前記エンジンと前記発電機用インバータとを制御し、更に、前記発電機用インバータの制御として前記第1PWM制御と前記第2PWM制御とを切り替えて実行し、前記制御装置は、前記静粛性が要求されているときには、前記静粛性が要求されていないときに比して、前記インバータおよび前記発電機用インバータの制御として前記第2PWM制御の実行を制限し、更に、停車中には、前記静粛性が要求されていると判定する、ことを要旨とする。停車中には、ロードノイズが生じないから、走行中に比して、運転者等が電磁騒音をより感じやすいと考えられる。したがって、停車中には、車内に対する静粛性が要求されていると判定し、インバータおよび発電機用インバータの制御として第2PWM制御の実行を制限することにより、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例の駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。
図3】第1PWM制御および第2PWM制御におけるパルス数Np1とモータMG1の損失Lmg1およびインバータ41の損失Linv1および合計損失Lsum1との関係の一例を示す説明図である。
図4】モータECU40により実行される実行用制御設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図5】モータMG1の目標動作点P1と第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域との関係の一例を示す説明図である。
図6】モータECU40により実行される許可フラグ設定ルーチンの一例を示す説明図である。
図7】変形例の許可フラグ設定ルーチンの一例を示す説明図である。
図8】変形例の許可フラグ設定ルーチンの一例を示す説明図である。
図9】変形例の許可フラグ設定ルーチンの一例を示す説明図である。
図10】変形例の許可フラグ設定ルーチンの一例を示す説明図である。
図11】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
図12】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
図13】変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の実施例としての駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、昇圧コンバータ55と、システムメインリレー56と、ナビゲーション装置90と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
【0019】
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
【0020】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートから入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
【0021】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
【0022】
モータMG1は、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、モータMG1と同様に、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。
【0023】
図2に示すように、インバータ41は、高電圧側電力ライン54aに接続されている。このインバータ41は、6つのトランジスタT11〜T16と、トランジスタT11〜T16に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ高電圧側電力ライン54aの正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。また、トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータMG1の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、インバータ41に電圧が作用しているときに、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータMG1が回転駆動される。インバータ42は、インバータ41と同様に、高電圧側電力ライン54aに接続されており、6つのトランジスタT21〜T26と6つのダイオードD21〜D26とを有する。そして、インバータ42に電圧が作用しているときに、モータECU40によって、対となるトランジスタT21〜T26のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータMG2が回転駆動される。
【0024】
昇圧コンバータ55は、インバータ41,42が接続された高電圧側電力ライン54aと、バッテリ50が接続された低電圧側電力ライン54bと、に接続されている。この昇圧コンバータ55は、2つのトランジスタT31,T32と、トランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLと、を有する。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン54aの正極側ラインに接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン54aおよび低電圧側電力ライン54bの負極側ラインと、に接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点と、低電圧側電力ライン54bの正極側ラインと、に接続されている。昇圧コンバータ55は、モータECU40によってトランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン54bの電力を昇圧して高電圧側電力ライン54aに供給したり、高電圧側電力ライン54aの電力を降圧して低電圧側電力ライン54bに供給したりする。高電圧側電力ライン54aの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ57が取り付けられており、低電圧側電力ライン54bの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ58が取り付けられている。
【0025】
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。図1に示すように、モータECU40には、モータMG1,MG2や昇圧コンバータ55を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2を挙げることができる。また、コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(高電圧側電力ライン54aの電圧)VHやコンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧(低電圧側電力ライン54bの電圧)VL,リアクトルLの端子に取り付けられた電流センサ55aからのリアクトルLに流れる電流ILも挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26へのスイッチング制御信号や昇圧コンバータ55のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や回転数Nm1,Nm2を演算している。
【0026】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン54bに接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
【0027】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからの電池電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。
【0028】
システムメインリレー56は、低電圧側電力ライン54bにおけるコンデンサ58よりもバッテリ50側に設けられている。このシステムメインリレー56は、HVECU70によってオンオフ制御されることにより、バッテリ50と昇圧コンバータ55との接続および接続の解除を行なう。
【0029】
ナビゲーション装置90は、地図情報などが記憶されたハードディスクなどの記憶媒体や入出力ポート,通信ポートなどを有する制御部を内蔵する本体と、車両の現在地に関する情報を受信するGPSアンテナと、車両の現在地に関する情報や目的地までの走行ルートなどの各種情報を表示すると共に操作者による各種指示を入力可能なタッチパネル式のディスプレイと、を備える。ここで、地図情報には、サービス情報(例えば観光情報や駐車場、充電ステーションなど)や予め定められている走行区間(例えば信号機間や交差点間など)毎の道路情報などがデータベース化して記憶されており、道路情報には、距離情報や幅員情報,車線数情報,地域情報(市街地,郊外),種別情報(一般道路,高速道路),勾配情報,法定速度情報,信号機の数などが含まれる。ナビゲーション装置90は、操作者により目的地が設定されたときには、地図情報と車両の現在地と目的地とに基づいて車両の現在地から目的地までの走行ルートを検索すると共に検索した走行ルートをディスプレイに出力してルート案内を行なう。このナビゲーション装置90は、走行ルートにおけるルート情報(例えば、目的地までの残距離Lnや目的地の方角Dnなど)も演算している。ナビゲーション装置90は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
【0030】
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。なお、シフトポジションSPとしては、駐車ポジション(Pポジション)、後進ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進ポジション(Dポジション)などがある。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52,ナビゲーション装置90と通信ポートを介して接続されている。
【0031】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行(HV走行)モードや、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行(EV走行)モードで走行する。
【0032】
HV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に要求される)要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて走行に要求される(駆動軸36に要求される)要求パワーPd*を計算する。続いて、要求パワーPd*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づく充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じて車両に要求される(エンジン22に要求される)要求パワーPe*を設定する。次に、要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。続いて、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や回転数Nm1,Nm2に基づいて高電圧側電力ライン54a(コンデンサ57)の目標電圧VH*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチング制御を行なうと共に高電圧側電力ライン54aの電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ55のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
【0033】
EV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や回転数Nm1,Nm2に基づいて高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*を設定する。そして、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*をモータECU40に送信する。モータECU40によるインバータ41,42や昇圧コンバータ55の制御については上述した。
【0034】
ここで、インバータ41,42の制御について説明する。インバータ41,42は、実施例では、それぞれ第1PWM制御と第2PWM制御とを切り替えて(何れかを実行用制御に設定して)実行するものとした。第1PWM制御は、モータMG1,MG2の各相の電圧指令と搬送波電圧(三角波電圧)との比較によってトランジスタT11〜T16,T21〜T26の第1PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチングを行なう制御である。第2PWM制御は、電圧の変調率Rm1,Rm2および電圧位相θp1,θp2と単位周期(例えば、モータMG1,MG2の電気角の半周期や1周期など)のパルス数Np1,Np2とに基づいてトランジスタT11〜T16,T21〜T26の第2PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチングを行なう制御である。ここで、第2PWM制御では、第1PWM制御に比してトランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチング回数が少なくなるようにパルス数Np1,Np2を設定するものとした。また、第1PWM制御では、搬送波電圧(周波数が3kHz〜5kHz程度の三角波電圧)の半周期や1周期などに相当する間隔Δt1で第1PWM信号を生成し、第2PWM制御では、間隔Δt1よりも長い間隔Δt2で第2PWM信号を生成するものとした。
【0035】
ここで、インバータ41についての第2PWM制御におけるトランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成方法について説明する。第2PWM信号の生成方法としては、例えば、以下の第1手法や第2手法,第3手法を挙げることができる。なお、インバータ42についての第2PWM制御におけるトランジスタT21〜T26の第2PWM信号を生成方法については、これと同様に考えることができる。
【0036】
第1手法としては、第1PWM制御に比して、低次高調波成分が低減されるように第2PWM信号を生成する手法を挙げることができる。この手法では、低次高調波成分を考慮して、半波対称性[f(ωm1・t)=−f(ωm1・t+π)]および奇対称性[f(ωm1・t)=f(π−ωm1・t)]を有するパルス波形(スイッチングパターン)の第2PWM信号を生成する。ここで、「ωm1」は、モータMG1の回転角速度であり、「t」は時刻である。これにより、低次高調波成分を低減しつつ、モータMG1の損失を低減することができる。なお、第1手法では、モータMG1が低回転で低負荷(低トルク)のときには、低次高調波成分の抑制によるモータMG1の損失の低減効果が小さく、さらに、低次高調波成分を抑制することによって対象外の高調波成分が大きくなってモータの鉄損が大きくなることがある。
【0037】
第2手法としては、第1PWM制御に比して、モータMG1の渦電流損失が低減されるように第2PWM信号を生成する手法を挙げることができる。この手法では、低次高調波成分だけでなく高次高調波成分も考慮して、半波対称性[f(ωm1・t)=−f(ωm1・t+π)]を有するパルス波形(スイッチングパターン)の第2PWM信号を生成する。このようなパルス波形を採用する利点は、第1手法で用いられるパルス波形よりもパルス波形の選択幅が広く、第2PWM信号に含まれる周波数成分の振幅および位相の両者の制御性の向上が見込めるためである。
【0038】
この第2手法における第2PWM信号のパルス波形は、フーリエ級数展開を用いると、式(1)として表すことができる。式(1)中、「θe1,m」は、モータMG1のm回目のスイッチング位置であり、「a0」は、直流成分であり、「n」は、1,5,7,11,13,・・・(奇数の整数)であり、「M」は、モータMG1の電気角θe1の単位周期におけるトランジスタT11〜T16のスイッチング回数であり、スイッチング回数Mとパルス数Np1との関係は「M=Np1−1」となる。この式(1)における係数anおよび係数bnを用いて、各次数の振幅Cnおよび位相αnを式(2)により求めることができる。第2手法では、この各次数の振幅Cnや位相αnなどを用いて、モータMG1の渦電流損失が低減されるように第2PWM信号を生成する。ところで、モータMG1の鉄損Wiは、スタインメッツの実験式として式(3)により表すことができる。式(3)中、「Wh」はモータMG1のヒステリシス損失であり、「We」はモータMG1の渦電流損失であり、「Kh」はヒステリシス損失係数であり、「Bm」は磁束密度であり、「fm1」はモータMG1の回転磁束周波数であり、「Ke」はモータMG1の渦電流損失係数である。これを踏まえて、第2手法では、より詳細には、モータMG1の鉄損において割合の大きい渦電流損失について着目し、渦電流損失を評価関数としてこの評価関数が最小となるように(モータMG1の鉄損における渦電流損失が最小となるように)第2PWM信号を生成する。これにより、低次高調波から高次高調波までの各高調波成分を低減しつつ、モータMG1の損失をより低減することができる。
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】
【数3】
【0042】
第3手法としては、モータMG1の損失Lmg1とインバータ41の損失Linv1との合計損失Lsum1が低減されるように第2PWM信号を生成する手法を挙げることができる。図3は、第1PWM制御および第2PWM制御におけるパルス数Np1とモータMG1の損失Lmg1およびインバータ41の損失Linv1および合計損失Lsum1との関係の一例を示す説明図である。図中、点Aは、第1PWM制御における合計損失Lsum1が最小となるパルス数Np1であり、点Bは、第2PWM制御における合計損失Lsum1が最小となるパルス数Np1である。発明者らは、実験や解析により、第1手法や第2手法に比して合計損失Lsum1をより低減するためには、図3に示すように、第1PWM制御の場合よりもインバータ41のトランジスタT11〜T16のスイッチング回数が少なくなるようなパルス数Np1を用いればよいことを見出した。したがって、第3手法では、このように定めたパルス数Np1を用いて、第1PWM制御に比して、低次高調波から高次高調波までの各高調波成分が低減されると共に合計損失Lsum1が低減されるように第2PWM信号を生成する。これにより、低次高調波から高次高調波までの各高調波成分を低減しつつ、合計損失Lsum1をより低減することができる。
【0043】
実施例では、インバータ41についての第2PWM制御におけるトランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成方法として、上述の第1手法や第2手法,第3手法のうち第3手法を用いるものとした。なお、第1手法や第2手法を用いるものとしてもよい。
【0044】
第1PWM制御を実行する場合、第2PWM制御を実行する場合に比して、トランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチング回数が多くなるようにすると共にPWM信号の生成周期を短くするから、トランジスタT21〜T26のスイッチングに起因する騒音(電磁騒音)が大きくなるのを抑制したりモータMG1,MG2の制御性を高くしたりすることができる。また、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなったりモータMG1,MG2の制御性が低くなったりしやすいものの、低次高調波から高次高調波までの各高調波成分を低減しつつ、合計損失Lsum1をより低減することができる。
【0045】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、停車中(駐車中)にバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Slo(例えば、35%や40%など)以下になると、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、モータMG1によってエンジン22をクランキングして始動する。そして、エンジン22を始動すると、HVECU70は、エンジン22がバッテリ50の充電用の運転ポイントで運転されるようにエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定し、エンジン22からの動力を用いてモータMG1によって発電されるようにモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し、モータMG1から出力されてプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクがキャンセルされるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。続いて、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や回転数Nm1,Nm2に基づいて高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*をモータECU40に送信する。エンジンECU24によるエンジン22の制御や、モータECU40によるインバータ41,42や昇圧コンバータ55の制御については上述した。こうしてエンジン22からの動力を用いたモータMG1による発電電力をバッテリ50に充電し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sloよりも大きい閾値Shi(例えば、45%や50%など)に至ると、エンジン22の運転を停止して、バッテリ50の充電を終了する。
【0046】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、インバータ41,42の実行用制御をそれぞれ第1PWM制御または第2PWM制御から設定する際の動作について説明する。図4は、モータECU40により実行される実行用制御設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
【0047】
実行用制御設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、まず、許可フラグF,モータMG1の目標動作点(回転数Nm1およびトルク指令Tm1*)P1,モータMG2の目標動作点(回転数Nm2およびトルク指令Tm2*)P2などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、許可フラグFは、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可するときには値1が設定されると共に禁止するときには値0が設定されるフラグであり、本ルーチンと並行して繰り返し実行される図6の許可フラグ設定ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm2に基づいて演算された値を入力するものとした。モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*は、上述の駆動制御で設定された値を入力するものとした。
【0048】
こうしてデータを入力すると、入力した許可フラグFの値を調べる(ステップS110)。そして、許可フラグFが値1のとき、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可するときには、モータMG1の目標動作点P1が第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域の何れに属するかを判定する(ステップS120)。図5は、モータMG1の目標動作点P1と第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域との関係の一例を示す説明図である。モータMG1の目標動作点P1についての第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域は、実施例では、モータMG1の各目標動作点P1に対して第1PWM制御や第2PWM制御を実行した実験結果や解析結果に基づいて、第2PWM制御を実行することによる効果がある程度見込める領域については第2PWM制御の領域として定め、その効果があまり見込めない領域については第1PWM制御の領域として定めるものとした。図5の例では、モータMG1の目標動作点P1について、以下のエリア1〜5が第2PWM制御の領域として設定されており、第2PWM制御の領域以外の領域が第1PWM制御の領域として設定されている。エリア1としては、モータMG1の回転数Nm1が1000rpm〜3500rpmでトルク指令Tm1*が10Nm以上の領域および回転数Nm1が1000rpm〜3500rpmでトルク指令Tm1*が−100Nm〜−10Nmの領域が設定されている。エリア2としては、モータMG1の回転数Nm1が3500rpm〜6000rpmでトルク指令Tm1*が10Nm〜150Nmの領域および回転数Nm1が3500rpm〜6000rpmでトルク指令Tm1*が−100Nm〜−10Nmの領域が設定されている。エリア3としては、モータMG1の回転数Nm1が3500rpm〜6000rpmでトルク指令Tm1*が150Nm以上の領域が設定されている。エリア4としては、モータMG1の回転数Nm1が6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm1*が10Nm〜100Nmの領域および回転数Nm1が6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm1*が−50Nm〜−10Nmの領域が設定されている。エリア5としては、モータMG1の回転数Nm1が6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm1*が100Nm〜150Nmの領域および回転数Nm1が6000rpm〜9000rpmでトルク指令Tm1*が−100Nm〜−50Nmの領域が設定されている。なお、図5において、モータMG1の回転数Nm1やトルク指令Tm1*についての各値,第1PWM制御の領域と第2PWM制御の領域との区分,第2PWM制御の領域におけるエリアの区分(エリアの数を含む)については、例示しただけであり、モータMG1やインバータ41などの仕様に応じて適宜設定される。
【0049】
ステップS120でモータMG1の目標動作点P1が第1PWM制御の領域に属するときには、インバータ41の実行用制御に第1PWM制御を設定する(ステップS130)。一方、モータMG1の目標動作点P1が第2PWM制御の領域に属するときには、インバータ41の実行用制御に第2PWM制御を設定する(ステップ140)。
【0050】
続いて、モータMG2の目標動作点P2が第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域の何れに属するかを判定する(ステップS150)。モータMG2の目標動作点P2についての第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域は、モータMG1の目標動作点P1についての第1PWM制御の領域および第2PWM制御の領域と同様に設定される。モータMG2の目標動作点P2が第1PWM制御の領域に属するときには、インバータ42の実行用制御に第1PWM制御を設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。一方、モータMG2の目標動作点P2が第2PWM制御の領域に属するときには、インバータ42の実行用制御に第2PWM制御を設定して(ステップ170)、本ルーチンを終了する。
【0051】
ステップS110で許可フラグFが値0のとき、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止するときには、モータMG1,MG2の目標動作点P1,P2に拘わらずに、インバータ41,42の実行用制御に第1PWM制御を設定して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。
【0052】
次に、図6の許可フラグ設定ルーチンについて説明する。このルーチンは、モータECU40により、図4の実行用制御設定ルーチンと並行して繰り返し実行される。許可フラグ設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、車速センサ88からHVECU70を介して車速Vを入力し(ステップS200)、入力した車速Vが閾値Vref以下であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210の処理は、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断する処理である。閾値Vrefは、例えば、20km/hや25km/h,30km/hなどを用いることができる。車速Vが低いときには高いときよりも、ロードノイズが小さく、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26のスイッチングに起因する騒音(電磁騒音)がロードノイズに紛れにくく、運転者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。実施例では、これを踏まえて、車速Vが閾値Vref以下であるか否かを判定することにより、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断するものとした。
【0053】
ステップS210で車速Vが閾値Vrefよりも大きいときには、車内に対する静粛性が要求されていない(運転者等が電磁騒音を感じにくい)と判断し、許可フラグFに値1を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。この場合、図4の実行用制御設定ルーチンで、モータMG1,MG2の目標動作点P1,P2に応じて、インバータ41,42の実行用制御にそれぞれ第1PWM制御または第2PWM制御を設定する。
【0054】
一方、車速Vが閾値Vref以下のときには、車内に対する静粛性が要求されている(運転者等が電磁騒音を感じやすい)と判断し、許可フラグFに値0を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。この場合、図4の実行用制御設定ルーチンで、モータMG1,MG2の目標動作点P1,P2に拘わらずに、インバータ41,42の実行用制御に共に第1PWM制御を設定する。
【0055】
上述したように、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなりやすい。このため、車速Vが比較的低いときにインバータ41,42の制御として第2PWM制御を実行すると、電磁騒音を運転者等に感じさせる可能性がある。実施例では、車速Vが閾値Vref以下のときには、車内に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行することにより、少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0056】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、車速Vが閾値Vref以下のときには、車内に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行する。これにより、インバータ41,42の制御として少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0057】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータECU40は、図6の許可フラグ設定ルーチンにより許可フラグFを設定するものとしたが、これに代えて、図7図10の許可フラグ設定ルーチンの何れかにより許可フラグFを設定するものとしてもよい。以下、順に説明する。
【0058】
まず、図7の許可フラグ設定ルーチンについて説明する。図7の許可フラグ設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、走行モード(HV走行モードまたはEV走行モード)を入力し(ステップS300)、入力した走行モードがEV走行モードであるか否かを判定する(ステップS310)。ステップS310の処理は、ステップS210の処理と同様に、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断する処理である。EV走行モードのときには、エンジン22を運転停止している(エンジン音が生じない)から、HV走行モードのときに比して、運転者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。この変形例では、これを踏まえて、走行モードがEV走行モードであるか否かを判定することにより、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断するものとした。
【0059】
ステップS310で走行モードがEV走行モードでない(HV走行モードである)ときには、車内に対する静粛性が要求されていない(運転者等が電磁騒音を感じにくい)と判断し、許可フラグFに値1を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可して(ステップS320)、本ルーチンを終了する。一方、走行モードがEV走行モードのときには、車内に対する静粛性が要求されている(運転者等が電磁騒音を感じやすい)と判断し、許可フラグFに値0を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。
【0060】
上述したように、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなりやすい。このため、走行モードがEV走行モードのときにインバータ41,42の制御として第2PWM制御を実行すると、電磁騒音を運転者等に感じさせる可能性がある。この変形例では、走行モードがEV走行モードのときには、車内に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行することにより、少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0061】
次に、図8の許可フラグ設定ルーチンについて説明する。図8の許可フラグ設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、ナビゲーション装置90からHVECU70を介して車両の現在地の車線数nlを入力し(ステップS400)、入力した車線数nlが閾値nlref以下であるか否かを判定する(ステップS410)。ステップS410の処理は、車外に対する静粛性が要求されているか否かを判断する処理である。閾値nlrefは、例えば、片側1車線に相当する値を用いることができる。車線数が少ないときには多いときよりも、道路の幅員が狭く、車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じやすいと考えられる。この変形例では、これを踏まえて、車線数nlが閾値nlref以下であるか否かを判定することにより、車外に対する静粛性が要求されているか否かを判断するものとした。
【0062】
ステップS410で車線数nlが閾値nlrefよりも多いときには、車外に対する静粛性が要求されていない(車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じにくい)と判断し、許可フラグFに値1を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可して(ステップS420)、本ルーチンを終了する。一方、車線数nlが閾値nlref以下のときには、車外に対する静粛性が要求されている(車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じやすい)と判断し、許可フラグFに値0を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。
【0063】
上述したように、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなりやすい。このため、車線数nlが少ないときにインバータ41,42の制御として第2PWM制御を実行すると、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせる可能性がある。この変形例では、車線数nlが閾値nlref以下のときには、車外に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行することにより、少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車外に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0064】
この図8の許可フラグ設定ルーチンでは、車両の現在地の車線数nlに基づいて許可フラグFを設定するものとしたが、車線数nlに代えてまたは加えて、車両の現在地の幅員や地域(市街地,郊外),法定速度などに基づいて許可フラグFを設定するものとしてもよい。例えば、車線数nlが閾値nlref以下である条件と、幅員が所定幅以下である条件と、地域が市街地である条件と、法定速度が所定速度以下である条件と、の全ての条件が成立していないときには、車外に対する静粛性が要求されていないと判断して許可フラグFに値1を設定し(インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止し)、少なくとも1つの条件が成立しているときには、車外に対する静粛性が要求されていると判断して許可フラグFに値0を設定する(インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可する)ものとしてもよい。
【0065】
次に、図9の許可フラグ設定ルーチンについて説明する。図9の許可フラグ設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、図示しない時計からHVECU70を介して現在時刻tnowを入力し(ステップS500)、入力した現在時刻tnowを用いて夜間であるか否かを判定する(ステップS510)。ここで、「夜間」は、第1時刻(例えば、午後9時や10時,11時など)から第2時刻(翌日の午前5時や6時,7時など)までの時刻範囲として一律に定められるものとしてもよいし、日没から日の出までなどの時刻範囲として季節や日付に応じて定められるものとしてもよい。ステップS510の処理は、ステップS410の処理と同様に、車外に対する静粛性が要求されているか否かを判断する処理である。一般に、夜間には、夜間でないとき(昼間)よりも車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じやすい。また、法律等において、夜間の許容騒音レベルは、夜間でないとき(昼間)の許容騒音レベルよりも低く設定されることが多い。この変形例では、これらを踏まえて、夜間であるか否かを判定することにより、車外に対する静粛性が要求されているか否かを判断するものとした。
【0066】
ステップS510で夜間でないとき(昼間のとき)には、車外に対する静粛性が要求されていない(車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じにくい)と判断し、許可フラグFに値1を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可して(ステップS520)、本ルーチンを終了する。一方、夜間のときには、車外に対する静粛性が要求されている(車両周辺の歩行者等が電磁騒音を感じやすい)と判断し、許可フラグFに値0を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止して(ステップS530)、本ルーチンを終了する。
【0067】
上述したように、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなりやすい。このため、夜間にインバータ41,42の制御として第2PWM制御を実行すると、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせる可能性がある。この変形例では、夜間には、車外に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行することにより、少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車外に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を車両周辺の歩行者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0068】
次に、図10の許可フラグ設定ルーチンについて説明する。図10の許可フラグ設定ルーチンが実行されると、モータECU40は、車速センサ88からHVECU70を介して車速Vを入力し(ステップS600)、入力した車速Vを用いて停車中であるか否かを判定する(ステップS610)。ステップS610の処理は、ステップS210の処理と同様に、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断する処理である。停車中には、ロードノイズが生じないから、走行中に比して、運転者等が電磁騒音をより感じやすいと考えられる。この変形例では、これを踏まえて、停車中であるか否かを判定することにより、車内に対する静粛性が要求されているか否かを判断するものとした。
【0069】
ステップS610で停車中でないときには、車内に対する静粛性が要求されていない(運転者等が電磁騒音を感じにくい)と判断し、許可フラグFに値1を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を許可して(ステップS620)、本ルーチンを終了する。一方、停車中であるときには、車内に対する静粛性が要求されている(運転者等が電磁騒音を感じやすい)と判断し、許可フラグFに値0を設定して、即ち、インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止して(ステップS630)、本ルーチンを終了する。
【0070】
上述したように、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御を実行する場合、第1PWM制御を実行する場合に比して、電磁騒音が大きくなりやすい。このため、停車中にインバータ41,42の制御として第2PWM制御を実行すると、電磁騒音を運転者等に感じさせる可能性がある。この変形例では、停車中には、車内に対する静粛性が要求されていると判断し、インバータ41,42の制御として、共に(第2PWM制御の実行を禁止して)第1PWM制御を実行することにより、少なくとも一方で第2PWM制御を実行するものに比して、車内に対する静粛性の要求をより十分に満たすことができる。具体的には、電磁騒音を運転者等に感じさせるのをより十分に抑制することができる。
【0071】
実施例や変形例のハイブリッド自動車20では、図6図10のルーチンで説明したように、許可フラグFに値0を設定する(インバータ41,42の制御として第2PWM制御の実行を禁止する)条件として、以下の条件を用いるものとした。図6のルーチンでは、(A)車速Vが閾値Vref以下である条件を用いるものとした。図7のルーチンでは、(B)走行モードがEV走行モードである条件を用いるものとした。図8のルーチンでは、(C)車線数nlが閾値nlref以下である条件を用いるものとした。図9のルーチンでは、(D)夜間である条件を用いるものとした。図10のルーチンでは、(E)停車中である条件を用いるものとした。しかし、(A)〜(E)のうちのいくつかまたは全てを組み合わせて用いるものとしてもよい。例えば、(A)〜(E)の全てを組み合わせて用いる場合、(A)〜(E)のうちの少なくとも1つが成立したときに、許可フラグF1に値0を設定するものとしてもよい。
【0072】
実施例のハイブリッド自動車20では、静粛性が要求されているときには、インバータ41,42の制御として、共に、モータMG1,MG2の目標動作点P1,P2に拘わらずに第2PWM制御の実行を禁止する(第1PWM制御を実行する)ものとしたが、第2PWM制御の実行を制限するものとしてもよい。例えば、インバータ41,42の制御として、第2PWM制御の領域のうちエリア1(図5参照)以外の第2PWM制御の実行を禁止したり、第2PWM制御の領域で巡航走行している場合以外の第2PWM制御の実行を禁止したりするものとしてもよい。
【0073】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちのいくつかまたは全てが単一の電子制御ユニットとして構成されるものとしてもよい。
【0074】
実施例のハイブリッド自動車20では、インバータ41,42とバッテリ50との間に昇圧コンバータ55を設けるものとしたが、この昇圧コンバータを設けないものとしてもよい。
【0075】
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、キャパシタを用いるものとしてもよい。
【0076】
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続する構成とした。しかし、図11の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機130を介してモータMGを接続すると共にモータMGの回転軸にクラッチ129を介してエンジン22を接続する構成としてもよい。また、図12の変形例のハイブリッド自動車220に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に走行用のモータMG2を接続すると共にエンジン22の出力軸に発電用モータMG1を接続するいわゆるシリーズハイブリッド自動車の構成としてもよい。さらに、図13の変形例の電気自動車320に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に走行用のモータMGを接続する電気自動車の構成としてもよい。なお、電気自動車320の構成とした場合、モータECU40は、図6図10の許可フラグ設定ルーチンのうち図6図8図10の許可フラグ設定ルーチンを実行することができる。
【0077】
また、こうした自動車の形態に限定されるものではなく、自動車などの移動体に搭載される駆動装置の形態としたり、建設設備などの移動体でない設備に組み込まれる駆動装置の形態としたりしてもよい。
【0078】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「モータ」に相当し、インバータ42が「インバータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、モータECU40が「制御装置」に相当する。
【0079】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0080】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、駆動装置や自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45u,45v,46u,46v 電流センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54a 高電圧側電力ライン、54b 低電圧側電力ライン、55 昇圧コンバータ、55a 電流センサ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ナビゲーション装置、129 クラッチ、130 変速機、320 電気自動車、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード、L リアクトル、MG,MG1,MG2 モータ、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ。
図1
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