特許第6439814号(P6439814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439814
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   A63F5/04 512C
【請求項の数】2
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2017-37845(P2017-37845)
(22)【出願日】2017年3月1日
(62)【分割の表示】特願2013-73983(P2013-73983)の分割
【原出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-99950(P2017-99950A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100155549
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 敏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
【審査官】 岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−151090(JP,A)
【文献】 特開2012−125478(JP,A)
【文献】 特開2005−040413(JP,A)
【文献】 特開2009−112650(JP,A)
【文献】 特開2008−237499(JP,A)
【文献】 特開2008−237305(JP,A)
【文献】 特開2009−285117(JP,A)
【文献】 特開2008−229056(JP,A)
【文献】 特開2009−279025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04、7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って移動可能な複数の動作部材の前面によって形成される所定の表示対象が前面側から視認可能とされた作動状態と、前面側から視認不能とされた待機状態とを切り替え可能に構成された装飾手段を備えた遊技機であって、
前記複数の動作部材は、前記所定の表示対象を表示する表示部として、前記作動状態において前記所定の方向に沿って並ぶ前面を有し、当該前面により略平面状の対象表示面を形成するものであり、
前記複数の動作部材の前面のうち前記所定の方向に沿った前記対象表示面の一部分を形成する第1の動作部材の前面には、前記対象表示面の一部を形成する略平面状の平面部が設けられ、
前記第1の動作部材の前面に並ぶ前面を有する第2の動作部材の前面には、前記第1の動作部材の前面と連続する前記対象表示面を構成する略平面状の平面部が設けられ、
前記第1の動作部材は、
前記待機状態から前記作動状態へ遷移する場合に前記前面を前方側に向けたままで前記所定の方向に沿って移動動作し、
前記第2の動作部材は、当該第2の動作部材の前面とは逆の裏面側に設けられて所定の装飾が施された装飾面を有し、前記第1の動作部材に対して回動可能に連結され、前記第1の動作部材の移動動作に連動して回動動作するものであり、
前記作動状態にて前記第2の動作部材の前面が前方側を向き、前記作動状態から前記待機状態に遷移する場合に前記第2の動作部材が前記第1の動作部材の前方側に重なるように回動し、前記待機状態にて前記第2の動作部材の前面が前記第1の動作部材の前面側を向き、前記装飾面が遊技者から視認可能に前方側を向くように構成され
前記作動状態において、前記第1の動作部材の前面と前記第2の動作部材の前面とによって前記所定の方向に連続する前記略平面状の対象表示面が形成され、前記第1の動作部材の前面と前記第2の動作部材の前面との各々が前記所定の表示対象の一部を形成する構成とされていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技機は、パチンコ遊技機、又は、スロットマシン等の回胴式遊技機であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。この演出の一部として静止状態の装飾体を発光させ、または、モータ等により動作する動作部材によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置して、この動作部材の動作を演出に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出が行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−173166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技者によって視認可能な位置に配置される動作部材によって大きな文字や図形等の表示対象を出現させる演出をする場合に、動作部材の高速移動を実現しつつ表示対象の視認性及び見栄えを良好とすることが難しいという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、動作部材の高速移動及び収容スペースの縮小を可能としつつ、動作部材により視認可能となる表示対象の視認性向上及び見栄え向上を実現可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、
所定の方向に沿って移動可能な複数の動作部材の前面によって形成される所定の表示対象が前面側から視認可能とされた作動状態と、前面側から視認不能とされた待機状態とを切り替え可能に構成された装飾手段を備えた遊技機であって、
前記複数の動作部材は、前記所定の表示対象を表示する表示部として、前記作動状態において前記所定の方向に沿って並ぶ前面を有し、当該前面により略平面状の対象表示面を形成するものであり、
前記複数の動作部材の前面のうち前記所定の方向に沿った前記対象表示面の一部分を形成する第1の動作部材の前面には、前記対象表示面の一部を形成する略平面状の平面部が設けられ、
前記第1の動作部材は、
前記待機状態から前記作動状態へ遷移する場合に前記前面を前方側に向けたままで前記所定の方向に沿って移動動作し、
前記第1の動作部材の前面に並ぶ前面を有する第2の動作部材は、当該前面とは逆の裏面側に設けられて所定の装飾が施された装飾面を有し、前記第1の動作部材に対して回動可能に連結され、前記第1の動作部材の移動動作に連動して回動動作するものであり、
前記作動状態にて前記第2の動作部材の前面が前方側を向き、前記作動状態から前記待機状態に遷移する場合に前記第2の動作部材が前記第1の動作部材の前方側に重なるように回動し、前記待機状態にて前記第2の動作部材の前面が前記第1の動作部材の前面側を向き、前記装飾面が遊技者から視認可能に前方側を向くように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動作部材の高速移動及び収容スペースの縮小を可能としつつ、動作部材により視認可能となる表示対象の視認性向上及び見栄え向上を実現することが可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態におけるスロットマシンの正面図である。
図2】前面扉を閉じた状態におけるスロットマシンの斜視図である。
図3】前面扉を開いた状態におけるスロットマシンの斜視図である。
図4】前面扉を取り除いた状態における筐体の正面図である。
図5】上パネル部を透視した状態を示す正面図であり、(a)は動作ユニットの作動状態を示し、(b)は動作ユニットの待機状態を示している。
図6】前側から見た上側表示ユニットの分解斜視図である。
図7】後側から見た上側表示ユニットの分解斜視図である。
図8】前側から見た動作ユニットの斜視図であり、(a)は動作ユニットの作動状態を示し、(b)は動作ユニットの待機状態を示している。
図9】後側から見た動作ユニットの斜視図であり、(a)は動作ユニットの作動状態を示し、(b)は動作ユニットの待機状態を示している。
図10】前側から見た右側扉ユニット及び周辺部品の分解斜視図である。
図11】後側から見た右側扉ユニット及び周辺部品の分解斜視図である。
図12】右側扉ユニットの駆動状態の説明図である。
図13】駆動ユニットの平面図である。
図14】案内溝部に案内される右側扉ユニットを模式的に示した説明図である。
図15】(a)は4つの扉体の前面形状の説明図であり、(b)は4つの扉体及び前側装飾ユニットを正面側から見た図である。
図16】前側から見た右側扉ユニットの分解斜視図である。
図17】後側から見た右側扉ユニットの分解斜視図である。
図18】右側扉ユニットを水平方向に切断した状態を示した断面図である。
図19】動作ユニットによって表示される文字の形状を表した図であり、(a)は文字の全体を示し、(b)は文字の輪郭線を除いて示している。
図20】は、動作ユニットに表示される文字と発光基板との相対位置を示した図である。
図21】前側から見た右側装飾体の分解斜視図である。
図22】後側から見た右側装飾体の分解斜視図である。
図23】(a)は右側装飾体の前側部分の構成を示す正面図、(b)は右側装飾体の前側部分の構成を示す背面図である。
図24】右側装飾体を水平方向に切断して下側部分を断面視した平面図である。
図25】は、前側から見た上側表示ユニットの斜視図であり、(a)は動作ユニットの作動状態を示し、(b)は動作ユニットの待機状態を示している。
図26図25とは別の角度から見た上側表示ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、遊技機の一種であるスロットマシンに本発明を適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図であり、図2は前面扉21を閉じた状態におけるスロットマシン10の斜視図であり、図3は前面扉21を開いた状態におけるスロットマシン10の斜視図であり、図4は前面扉21を取り除いた状態における筐体11の正面図である。
【0010】
図3に示すように、スロットマシン10は、筐体11を備えている。筐体11は、複数の板部12〜16を組合せることによりスロットマシン10前方に向けて開放された四角箱状に形成されている。詳細には、底板部12、背板部13、左側板部14、右側板部15、及び天板部16を備えており、隣接する各板部12〜16が接着等の固定手段によって固定されていることで、筐体11が形成されている。当該筐体11は、スロットマシン10を遊技ホールに設置する際に、いわゆる島設備に対して釘を打ち付ける等して取り付けられる。
【0011】
筐体11の前面側には、前面扉21が取り付けられている。前面扉21はその左側部を回動軸として、筐体11の内部空間を開閉可能とするように筐体11に支持されている。詳細には、筐体11の左側板部14には筐体側支持部材17が設けられているとともに、前面扉21の左側部には扉側支持部材22が設けられている。これら各支持部材17,22はともに金属製であり、筐体側支持部材17には上下一対の支軸部17aが一体形成されているとともに、扉側支持部材22には各支軸部17aに1対1で対応させて支持孔部22aが形成されている。各支持孔部22aが対応する各支軸部17aに挿通されて下側を支持されることにより、筐体11に前面扉21が開閉可能に支持されている。
【0012】
なお、扉側支持部材22に支軸部が形成され、支持孔部が筐体側支持部材17に形成される構成としてもよく、この場合、各支軸部が対応する各支持孔部に挿通されて下側を支持される。
【0013】
筐体11に対して前面扉21が閉鎖した状態では、当該前面扉21の背面が筐体11の前面開口部の周縁全体に対して前方から当接することとなる。したがって、前面扉21が閉鎖状態である場合には、筐体11の前面開口部の全体が前面扉21により覆われた状態となる。前面扉21の右側部、すなわち開閉先端側には施錠装置23が設けられており、筐体11の右側板部15には、図4に示すように、金属製の施錠受け部材18が設けられている。前面扉21を閉鎖状態とした場合には施錠装置23が施錠受け部材18に対して施錠状態となり、前面扉21の開放操作が阻止される。
【0014】
筐体11内には、図3及び図4に示すように、複数の電気機器が搭載されている。具体的には、筐体11の底板部12上には電源装置31とホッパ装置32とが左右に並設されている。電源装置31は、遊技ホールの電源に接続され、当該電源から供給される電力に基づいて、ホッパ装置32や、後述する各種機器において必要な動作電力を生成して供給する。また、電源装置31には、電源投入時や電源遮断時に操作される電源スイッチ、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのリセットボタン、及びメダルの付与率(例えば内部抽選における当選確率)に変化を与える設定状態を「設定1」(付与率が最も低い状態)から「設定6」(付与率が最も高い状態)までの6段階に変更するために操作される設定キー挿入孔が設けられている。ホッパ装置32は、上方に開放された空間内にメダルを貯留する貯留タンク32aと、当該貯留タンク32aに貯留されたメダルを払い出す払出装置32bとを備えており、スロットマシン10に投入されたメダルの貯留が行われるとともに遊技の結果に応じた遊技者へのメダルの払い出しが実行される。
【0015】
筐体11内において、電源装置31及びホッパ装置32の上方にはリールユニット101が設けられている。リールユニット101は、複数の周回体として、円筒状に形成された左リール102L、中リール102M、及び右リール102Rを備えている。各リール102L〜102Rは、その中心軸線が当該リール102L〜102Rの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール102L〜102Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。これら各リール102L〜102Rは、それぞれがステッピングモータよりなるリール用駆動モータに連結されており、各リール用駆動モータの駆動により各リール102L〜102Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
【0016】
各リール102L〜102Rの外周面には、図3に示すように、帯状のベルト103L,103M,103Rが巻かれている。帯状のベルト103L〜103Rの周面には、それぞれ複数種の図柄が付されており(例えば21個ずつ)、各リール用駆動モータが駆動状態となり各リール102L〜102Rが回転することにより、各図柄の位置が連続的に変化することとなる。
【0017】
これら各リール102L〜102Rに付された図柄は、図1に示すように、前面扉21の上半部に設けられた透明樹脂製の窓パネル部131を通じてスロットマシン10前方から視認可能となっている。この場合、前面扉21の背面部において窓パネル部131と重なる領域には、図3に示すように、下側部分に横長矩形状の表示窓部27を形成し、その上下左右を囲うように表示ユニット111が搭載されており、リールユニット101においてスロットマシン10前方から視認可能な範囲が図1の下側の破線で囲む表示窓部27の範囲内に制限されている。つまり、窓パネル部131と表示ユニット111とを利用して表示窓部27が区画形成されている。この表示窓部27が形成された範囲は、全体を視認可能な図柄の数が各リール102L〜102Rについて縦方向に3個ずつとなるように設定されている。各リール102L〜102Rが正回転した場合には、表示窓部27を通じて図柄が上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。また、各リール102L〜102Rがすべて停止している状態では、縦方向に3個と横方向に3個の合計9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0018】
表示窓部27から視認可能な9個の図柄が配置される範囲には、図1に示すように、所定数の組合せラインL1〜L5が設定されている。具体的には、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、合計5本の組合せラインL1〜L5が設定されている。これら組合せラインL1〜L5は、メダル及び仮想メダルの賭け数に応じた数だけ有効化され、有効化された組合せライン上に内部抽選にて当選となった役に対応した図柄の組合せが停止表示されることにより、遊技者に特典が付与される。この組合せラインの数は6以上としてもよく、5未満としてもよく、遊技の状態などの所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。
【0019】
各リール102L〜102Rには、小役図柄と、再遊技図柄と、特別図柄とが付されている。小役図柄としては、例えば「スイカ」図柄と、「ベル」図柄と、「チェリー」図柄とが存在しており、いずれかの有効ライン上に「スイカ」図柄が左・中・右と揃った場合には15枚のメダルが払い出され、いずれかの有効ライン上に「ベル」図柄が左・中・右と揃った場合には8枚のメダルが払い出され、左リール102L上の「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダルが払い出される。また、いずれかの有効ライン上に再遊技図柄が左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われないが、新たな賭け操作を要することなく新たな遊技を開始させることが可能となる。
【0020】
特別図柄としては、例えば「7」図柄と「BAR」図柄とが存在しており、いずれかの有効ライン上に「7」図柄が左・中・右と揃った場合には第1特別遊技状態としてビッグボーナス状態に移行し、いずれかの有効ライン上に「BAR」図柄が左・中・右と揃った場合には第2特別遊技状態としてレギュラーボーナス状態に移行する。ビッグボーナス状態及びレギュラーボーナス状態は、通常遊技状態よりも各遊技回におけるメダル及び仮想メダルの払出率が向上する状態であり、具体的には内部抽選で当選となった場合には各リール102L〜102Rの停止タイミングに関係なくいずれかの有効ラインL1〜L5上に停止表示される「ベル」役の入賞が通常遊技状態よりも高頻度で発生する状態である。そして、ビッグボーナス状態は、当該状態において遊技者に払い出されたメダル及び仮想メダルの総数が第1所定数(例えば350枚)以上となった場合に終了される状態であり、レギュラーボーナス状態は、当該状態において遊技者に払い出されたメダル及び仮想メダルの総数が第1所定数よりも少ない第2所定数(例えば150枚)以上となった場合に終了される状態である。
【0021】
窓パネル部131における表示窓部27より上側は、図1に示すように、表示ユニット111に設けられた表示装置112の表示面112aをスロットマシン10前方から視認可能とする領域となっている。つまり、窓パネル部131は、表示面112aを視認可能とする上パネル部131aと、各リール102L〜102Rの図柄を視認可能とする下パネル部131bとを有している。また、窓パネル部131は、図1に示すように、これら上パネル部131aと下パネル部131bとを上下に区画するように区画部134が設けられている。
【0022】
前面扉21において窓パネル部131の周囲には、演出用発光部133と、報知用発光部132とが設けられている。演出用発光部133では遊技の状況に応じた光の演出が行われ、報知用発光部132では異常の発生に際してそれに応じた発光制御が行われる。
【0023】
前面扉21において窓パネル部131の下方領域は、図2に示すように、当該窓パネル部131よりもスロットマシン10前方に膨出させて操作領域24が形成されており、当該操作領域24には各種操作部が設けられている。具体的には、操作領域24前面の左側には、図1に示すように、各リール102L〜102Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー151が設けられている。メダル及び仮想メダルの少なくとも一方が賭けられている状況でスタートレバー151が操作されることにより、各リール102L〜102Rが一斉に回転を開始する。
【0024】
スタートレバー151の右側には、図2に示すように、回転している各リール102L〜102Rを個別に停止させるために操作されるストップボタン153L,153M,153Rが設けられている。各ストップボタン153L〜153Rは正面視において停止対象となるリール102L〜102Rの直下にそれぞれ配置されている。各ストップボタン153L〜153Rは、左リール102Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止操作が有効化される。
【0025】
操作領域24上面の右側には、図2に示すように、メダルを投入するためのメダル投入口155aが形成された投入用部材155が設けられている。前面扉21の背面部には、図3に示すようにセレクタ113が設けられており、メダル投入口155aに投入されたメダルは当該セレクタ113によって、投入可能時であればホッパ装置32へ導かれ、投入不可時であれば前面扉21の前面下部に設けられたメダル排出口25aからメダル受け皿25へと導かれる。
【0026】
操作領域24上面の左側には、クレジットされた仮想メダルを投入するために操作されるクレジット投入ボタン152が設けられている。クレジット投入ボタン152が操作されることにより、クレジットされた仮想メダルの数及び最大賭け数の範囲で仮想メダルが投入される。
【0027】
操作領域24前面においてスタートレバー151の下方には、精算ボタン156が設けられている。精算ボタン156が操作されることにより、ホッパ装置32が駆動制御されて、クレジットされている仮想メダルが実際のメダルとしてメダル受け皿25に払い出される。当該メダル受け皿25は、前面扉21の下端においてスロットマシン10前方に突出させて形成されており、上方に開放されたメダルの貯留領域を有している。
【0028】
操作領域24とメダル受け皿25とは縦方向に離間されており、これらの間には装飾パネル部26が設けられている。装飾パネル部26には、スロットマシン10の機種に対応したキャラクタや模様などの装飾が付されている。
【0029】
操作領域24の左右両側とメダル排出口25aの左右両側には、図1に示すように、遊技者に遊技状態等を音声により報知するスピーカが内蔵された左右一対の音声出力部157が上下に離間して設けられ、合計4箇所から音声が出力可能とされている。
【0030】
操作領域24の上面においてメダル投入口155aの左方には、表示装置112における演出の内容を切り替えるべく操作される操作用ボタン154が設けられている。当該操作用ボタン154の操作による演出内容の切り替え態様としては、1ゲームの途中で所定の表示演出が表示装置112にて実行された場合に、操作用ボタン154の操作に伴い表示装置112における表示演出が特定の演出に進行する態様や所定の画像が表示される態様が挙げられる。また、他の態様としては、1ゲームの表示演出として、選択される演出内容が相違する複数のモードが存在している状況下において、操作用ボタン154の操作に伴いモードが切り替えられる態様が挙げられる。また、操作用ボタン154の操作が演出として実行されるのではなく、例えば操作用ボタン154の操作に伴い表示装置112にて本スロットマシン10の遊技内容の説明がなされる構成や、本スロットマシン10の遊技履歴の内容が表示される構成が挙げられる。
【0031】
上記構成のスロットマシン10の遊技の流れについて簡単に説明する。
【0032】
まずメダル投入口155aへのメダルの投入操作及びクレジット投入ボタン152の押圧操作の少なくとも一方に基づいて、メダル及び仮想メダルの少なくとも一方が投入される。この場合、1枚のメダル又は1枚の仮想メダルが投入された場合には、中央ラインL1が有効ラインに設定され、メダル及び仮想メダルの投入総数が2枚となった場合には、中央ラインL1、上ラインL2及び下ラインL3が有効ラインに設定され、メダル及び仮想メダルの投入総数が3枚となった場合には、中央ラインL1、上ラインL2、下ラインL3及び一対の斜めラインL4,L5が有効ラインに設定される。
【0033】
なお、メダル及び仮想メダルの投入総数が既に3枚となっている状況でさらにメダル投
入口155aへのメダルの投入が行われると、その投入されたメダルは仮想メダルとしてクレジットされる。
【0034】
メダル及び仮想メダルの投入総数が所定数(例えば3枚)である状況でスタートレバー151が押下げ操作されることにより、内部抽選が実行されるとともに各リール102L〜102Rの回転が開始される。その後に、各ストップボタン153L〜153Rが順次、押圧操作されることにより、それぞれ対応するリール102L〜102Rの回転が順次停止される。この場合に、内部抽選において当選となっている役に対応した図柄に対して有効ライン上への引き込み制御が実行される。具体的には、所定のストップボタンが押圧操作されたタイミングでは、対象となるリールについて当選役に対応した図柄が有効ライン上に存在していない場合であっても、当該図柄が有効ラインに対して上流側に存在する所定個数(例えば4個)の図柄の中に含まれているのであれば、有効ライン上に引き込んで停止させる構成となっている。当該構成において、「ベル」図柄や再遊技図柄については各リール102L〜102Rにおける配置間隔が、上記引き込み制御の範囲内となるように設定されているのに対して、「スイカ」図柄、「チェリー」図柄、「7」図柄及び「BAR」図柄については各リール102L〜102Rにおける配置間隔が、上記引き込み制御の範囲外となり得るように設定されている。
【0035】
全リール102L〜102Rが停止した場合には、いずれかの有効ラインL1〜L5上に、内部抽選において当選となった役の入賞が成立しているか否かの入賞判定が行われ、入賞が成立していると判定された場合には、その入賞に対応した特典が遊技者に付与される。例えば、所定の小役の入賞が成立している場合には、その小役に対応した数のメダルが遊技者に払い出されるように制御される。この場合、クレジットされた仮想メダルの数が最大数(例えば50枚)未満である場合には、当該最大数の範囲内において仮想メダルとしてクレジットされる。一方、最大数に達している場合には、ホッパ装置32が駆動制御されて、実際のメダルとして遊技者に払い出される。また、再遊技の入賞が成立している場合には、再遊技が遊技者に付与されるように制御され、ビッグボーナスの入賞が成立している場合には遊技状態がビッグボーナス状態に移行するように制御され、レギュラーボーナスの入賞が成立している場合には遊技状態がレギュラーボーナス状態に移行するように制御される。
【0036】
上記内部抽選及び各種制御は、主制御装置41により実行される。主制御装置41は、図4に示すように、筐体11内においてリールユニット101の上方に設けられている。主制御装置41は、上記内部抽選及び各種制御を実行するためのCPU43、ROM44及びRAM45が一方の板面に搭載された主制御基板42と、当該主制御基板42を収容する基板ボックス46と、を備えている。基板ボックス46は一対のケース体47(一方のケース体については図示略)を備えており、主制御基板42を板厚の方向に挟むようにしてこれら一対のケース体47が組み合わされていることにより、主制御基板42が基板ボックス46内に収容されている。各ケース体47は、基板ボックス46の外部からこれらケース体47を通じて主制御基板42を目視確認できるように透明(又は無色透明)な樹脂により形成されている。また、各ケース体47の縁部には、これらケース体47を結合させる結合構造48が複数設けられており、これら結合構造48は結合の解除に際して一部の破壊を要する構成となっている。したがって、基板ボックス46の内部空間が不正に開放された場合には、結合構造48に破壊箇所が残存することにより、当該不正開放の痕跡が残ることとなる。
【0037】
なお、基板ボックス46に開放の痕跡を残すための構成としては、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成や、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に接着剤を塗布する構成としても良いし、これら構成と上記結合構造48とを組み合わせても良い。
【0038】
主制御装置41は、筐体11の背板部13に固定されている。具体的には、主制御装置41は、略長方形状をなす主制御基板42の形状に対応させて、略長方形状をなす表面及び裏面を有し且つ略直方体状に形成されている。また、基板ボックス46において当該表面を生じさせる壁部は、主制御基板42においてCPU43、ROM44及びRAM45が搭載された素子搭載面と対向している。
【0039】
主制御装置41は、支持ユニット51を介して背板部13に固定されている。支持ユニット51は、図示による詳細な説明は省略するが、背板部13に固定された支持台座52と、当該支持台座52に対して下端部を回動軸として前後に回動可能に支持された支持部材53と、を備えている。支持台座52には、左右一対の支持フック54が一体形成されており、支持部材53を支持台座52に前方から重ねた状態では当該支持部材53が支持台座52に固定され、当該支持部材53の前方への変位が規制される。支持フック54により固定された状態の解除操作は、前面扉21を開放状態とした場合に筐体11の前面開口部側から当該支持フック54を弾性変形させることにより行うことが可能であり、この解除操作に際しては部材の破壊を要しない。
【0040】
主制御装置41は、その下側領域が支持部材53に対して上側から挿入され、支持部材53に固定されている。当該固定は、その解除に際して所定の部材の破壊を要し、固定解除の痕跡が残る構成となっているが、ネジなどを利用することにより、固定の解除に際して破壊を要しない構成としてもよい。支持部材53に主制御装置41が固定された構成において、基板ボックス46の表面部であって主制御基板42の素子搭載面と対向する領域は支持部材53により覆われていない。したがって、主制御装置41が支持部材53に固定された状態であっても、基板ボックス46の外部からの素子搭載面の視認性は確保されている。主制御装置41が一体化された支持部材53が支持台座52に重ね合わせられ、主制御装置41が初期位置に配置されている状態では、主制御装置41の裏面は筐体11の背板部13に対向することとなり、主制御装置41は起立した状態となる。
【0041】
上記のように主制御装置41が背板部13に固定されていることにより、主制御装置41が筐体11の前面開口部から遠い位置に存在することとなり、当該前面開口部から不正用治具を挿入して主制御装置41に不正を施そうとしてもそれが行いづらくなる。また、主制御基板42の素子搭載面がスロットマシン10前方を向くことにより、前面扉21を開放状態とすれば素子搭載面を容易に目視確認することが可能となり、不正有無の確認の容易化が図られる。
【0042】
一方、主制御装置41が一体化された支持部材53が支持台座52から離間されるように前方に回動された場合には、主制御装置41の上端を筐体11の前面開口部側に引き出すことが可能となる。この状態では、主制御装置41の上端の位置が、各リール102L〜102Rの前後方向の中心よりも前方であって筐体11の前面開口部よりも後方の位置となるように、当該主制御装置41を前方に引き出すことが可能となる。これにより、主制御装置41をより近い位置にて目視確認することが可能となる。
【0043】
(上側表示ユニット200)
次に、上側表示ユニット200の全体的な構成について、図5から図7を主に参照して説明し、その後に各部の詳細について個別に説明する。図5は、上パネル部131aを透視して上側表示ユニット200を示した正面図であり、図5(a)は動作ユニット221の作動状態を示し、図5(b)は動作ユニット221の待機状態を示している。図6は、前側から見た上側表示ユニット200の分解斜視図、図7は、後側から見た上側表示ユニット200の分解斜視図である。
【0044】
上側表示ユニット200は、図3に示すように、表示窓部27の上側に設けられ、表示窓部27の左右両側および下側部分を形成する部材と共に表示ユニット111の一部を構成する部材である。上側表示ユニット200は、表示装置112の前側に設けられ、その背面側に表示装置112と、表示装置112の表示内容を制御する表示制御装置114とが重なるようにして取り付けられている。図1に示すように、上パネル部131aの中央部分には、表示装置112の表示面112aが正面側から視認可能に配置され、その表示面112aの前側に上側表示ユニット200が遊技者から視認可能に設けられて表示装置112の表示面112aで行われる平面的な演出に対して、その前側に立体的な動作部材による演出を付加している。
【0045】
上側表示ユニット200は、図5(a)に示すように、「覇王」の文字が前面側から視認可能な作動状態と、図5(b)に示すように、その文字が視認不能とされた待機状態とを切り替え可能に構成されている。待機状態においては、上パネル部131aの中央部に横長矩形状の表示用開口部211が形成され、この表示用開口部211を通じて表示装置112の表示面112aが遊技者から視認可能とされる。表示装置112の表示面112aと、その前面側を覆う上パネル部131aとは、前後方向に離間して配置され、それらの間に形成される空間部(以下、装飾空間と称す。)に上側表示ユニット200が設けられ、その装飾空間において複数の動作部材が移動可能に配置されている。
【0046】
「覇王」の文字は、左右方向に沿って移動可能な4つの動作部材としての扉体301L,301R,302L,302Rの前面によって形成され、左側の2つの扉体301L,302Lによって「覇」の文字が形成され、右側の2つの扉体301R,302Rによって「王」の文字が形成されている。上側表示ユニット200は、図6及び図7に示すように、4つの扉体301L,301R,302L,302Rを動作可能とする動作ユニット221と、動作ユニット221の後側に設けられて動作ユニット221が取付固定される取付ベース222と、動作ユニット221の前側に設けられて上側表示ユニット200の位置する装飾空間の外周部分を装飾する前側装飾ユニット223とを有している。
【0047】
取付ベース222は、前側が開放された横長箱状の合成樹脂製部材であり、この取付ベース222の開放空間に動作ユニット221を構成する複数の部材が前側より取り付けられて取付ベース222と動作ユニット221とが一体化される。取付ベース222に対しては、動作ユニット221が取り付けられた後に、その前側より前側装飾ユニット223が取り付けられ、取付ベース222により上側表示ユニット200が一体化されている。取付ベース222の外周部分には、外方に突出し、前後に貫通する取付孔が設けられたベース取付部222Aが設けられ、このベース取付部222Aにネジが挿通されて前面扉21に上側表示ユニット200が固定される。
【0048】
次に、動作ユニット221について、動作に関する説明をした後に、「覇王」の文字表示に関する説明をし、その後に前側装飾ユニット223について説明する。
【0049】
(動作ユニット221)
動作ユニット221について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、前側から見た動作ユニット221の斜視図であり、図9は、後側から見た動作ユニット221の斜視図である。また、図8(a)及び図9(a)は、動作ユニット221の作動状態を示し、図8(b)及び図9(b)は、動作ユニット221の待機状態を示している。なお、図8(b)及び図9(b)においては、レール部材226と、装飾板228を省略して示している。
【0050】
動作ユニット221は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rを動作可能とする装置である。動作ユニット221には、図8及び図9に示すように、4つの扉体301L,301R,302L,302Rのうち、左側の2つの扉体301L,302Lと右側の2つの扉体301R,302Rとが、左右方向に分離可能とされ、左右のそれぞれの扉体が2枚一組となって左右方向に沿って移動可能に構成されている。以下においては、4つの扉体301L,301R,302L,302Rについて、正面視左側から、左側の外側扉体301L、左側の内側扉体302L、右側の内側扉体302R、右側の外側扉体301Rと称し、左側の2つの扉体301L,302Lがヒンジ部材303U,303Lにより一体化された状態を左側扉ユニット224Lと称し、右側の2つの扉体301R,302Rがヒンジ部材303U,303Lにより一体化された状態を右側扉ユニット224Rと称す。
【0051】
動作ユニット221は、図8及び図9に示すように、左右方向における中心を基準として、概略左右対称の形状とされ、左右の扉ユニット224L,224Rが左右対称に動作可能に構成されている。動作ユニット221における左右部分は、左右の扉ユニット224L,224Rにおける文字の相違に対応した構成等、一部の構成のみが異なっている。このため、左側扉ユニット224Lと、右側扉ユニット224Rも左右方向における中心を基準として、概略左右対称の形状とされている。
【0052】
4つの扉体301L,301R,302L,302Rは、作動状態において前後方向に厚みを有する縦長略矩形状の板状の本体部を主体に形成されている。詳細には、作動状態において「覇王」の文字を形成する左右方向に延びる横長略矩形状の一枚板を縦方向に沿った切断線で4つに分断し、縦長の4つの帯板状とした各部位を主体として4つの扉体301L,301R,302L,302Rが形成されている。
【0053】
4つの扉体301L,301R,302L,302Rは、図5(a)及び図5(b)に示すように、作動状態において表示装置112の表示面112aを覆い隠すことが可能な上下長さ及び左右幅を有する大きさに設定され、具体的には、4つの扉体301L,301R,302L,302Rにおいて「覇王」の文字が前面に形成された本体部は、表示用開口部211の上下幅より僅かに小さく、それら本体部分が左右に並んだ状態で表示用開口部211の左右幅より広幅に設定されている。
【0054】
2つの内側扉体302L,302Rは、図8(a)に示すように、作動状態において、それらの左右方向における両外側に位置する2つの外側扉体301L,301Rに対して中央側に連続して配置される。そして、作動状態においては、4つの扉体301L,301R,302L,302Rにおいて「覇王」の文字が形成された前面が左右方向に連続し、略平面状の文字表示面330が形成される。
【0055】
文字表示面330は、「覇王」の文字部分と、その文字の周辺において平面状に広がる部分とを含み、この文字部分及び文字周辺部分には、文字及び周辺部を装飾するために前後方向に起伏した装飾が付されている。この起伏は、前後方向において僅か(例えば、2mm以下)に設定されている。この起伏により前後にずれて位置する各面は、文字の文字線に相当する部分、文字の輪郭部分、文字周辺の装飾部分と分類した場合に、その分類される部位毎に同一の前後位置に配置され、各部位毎に左右方向に連続する設定とされている。すなわち、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面の各部が各部位に対応した同一平面上に位置するように設けられている。このように、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面が完全に一平面上に位置するものでない場合であっても、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面のうち文字を表示する前面部分が同一平面に沿って広がるようにして設けられる場合、作動状態において左右方向に文字表示面330が平面的に連続し、かかる場合を含めて略平面状の文字表示面と称す。なお、文字表示面は、本実施形態においては、起伏した面形状により形成したが、文字部分と文字周辺部分とを同一平面において異なる色に設定して文字表示面を形成しても良いし、液晶表示装置等といった画像を表示可能な表示装置を左右方向に複数並んで配置し、それら表示装置を左右方向に動作可能とする等、他の表示形式により略平面状の文字表示面を形成しても良い。
【0056】
左右の内側扉体302L,302Rの各々は、それらの両隣で外側に位置する2つの外側扉体301L,301Rのそれぞれに対して回動可能に連結されている。この連結は、内側扉体302L,302Rと外側扉体301L,301Rの前面に対して僅かに前側で上下方向に沿った軸線(回動軸L)を中心に回動する設定とされている。内側扉体302L,302Rと外側扉体301L,301Rとにおいて回動軸Lの後側にて対向する端面は、内側扉体302L,302Rと外側扉体301L,301Rとの境界を形成し、その端面同士が隙間無く配置可能とされている。内側扉体302L,302Rに対しては、外側扉体301L,301Rによって連結部分を通じて動力が伝達され、外側扉体301L,301Rの左右方向への移動動作に連動して内側扉体302L,302Rが移動及び回動動作をする。
【0057】
4つの扉体301L,301R,302L,302Rは、図8(b)に示すように、待機状態においては外側扉体301L,301Rが左右に離間した両外側に位置し、左右の外側扉体301L,301Rの前側に左右の内側扉体302L,302Rがそれぞれ位置している。内側扉体302L,302Rは、作動状態から待機状態へ遷移する際に、外側扉体301L,301Rと共に外側へ移動動作しつつ、外側扉体301L,301Rの前側に次第に折り畳まれるように回動動作をする。
【0058】
動作ユニット221において4つの扉体301L,301R,302L,302Rによる待機状態と作動状態との切り替えは高速で行われる設定とされ、これらの状態の切り替えに要する時間として略0.5秒以下、例えば、略0.3秒に設定されている。通常の遊技中において動作ユニット221は基本的に待機状態とされ、遊技者にとって有利な状態への当選を期待させる演出として、4つの扉体301L,301R,302L,302Rが動作する。この動作は、遊技者によるスタートレバー151に対する始動操作やストップボタン153L〜153Rに対する停止操作と同時に、又は操作直後のタイミングで遊技者の操作に同期して行われ、瞬時に「覇王」の文字が表示装置112の表示面112aの手前側に重なって出現する。この高速移動により、遊技者に対しては、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面であっても、表面が平面状の一部品で形成されているような一体感のある見栄えの良い装飾として文字を視認させ、4つの扉体301L,301R,302L,302Rに分割されたものでも、大型の動作部材が搭載された機種と同等の文字表示を実現している。
【0059】
以下においては、必要に応じて、左右の扉ユニット224L,224Rが作動状態へ遷移する際に移動する方向(図8等における、右側扉ユニット224Rにおいては矢印y1方向,左側扉ユニット224Lにおいては矢印y1’方向)を進出方向と称し、左右の扉ユニット224L,224Rが待機状態へ遷移する際に移動する方向側(右側扉ユニット224Rにおける矢印y2方向,左側扉ユニット224Lにおける矢印y2’方向)を退避方向と称す。
【0060】
次に、動作ユニット221による左右の扉ユニット224L,224Rを動作させる機構について、右側扉ユニット224Rの動作機構を参照し、図10から図12を参照して説明する。図10は、前側から見た右側扉ユニット224R及び周辺部品の分解斜視図であり、図11は、後側から見た右側扉ユニット224R及び周辺部品の分解斜視図である。図12は、右側扉ユニット224Rの駆動状態の説明図である。なお、左側扉ユニット224Lの動作機構と、右側扉ユニット224Rの動作機構とは、左右対称でほぼ同一の構成であるため、左側扉ユニット224Lの説明は、右側扉ユニット224Rと共通する部分については省略し、異なる部分のみを説明する。
【0061】
動作ユニット221には、図10等に示すように、外側扉体301Rと内側扉体302Rとがヒンジ部材303U,303Lによって回動可能に連結されて構成された右側扉ユニット224Rと、外側扉体301Rを左右にスライド可能に支持するガイド軸225及びレール部材226と、外側扉体301Rに左右方向への動力を伝達する駆動ユニット227と、作動状態における外側扉体301Rの外側部分を装飾する装飾板228とが設けられている。
【0062】
外側扉体301Rは、前後方向に厚みを有する縦長略矩形で板状の本体部311を有し、その本体部311の前面に「王」の文字の右側部分が形成されている。内側扉体302Rの前面には、外側扉体301Rの前面と共に「王」の文字を形成する残り部分が設けられ、作動状態においては、右側扉ユニット224Rの内側扉体302Rと外側扉体301Rとによる連続した前面によって「王」の文字が略平面状に形成可能となっている。
【0063】
本体部311の下側端縁には、本体部311より細幅で前側に突出する外扉接続部312が設けられ、その外扉接続部312の前側端縁より下方に延出して外側扉体301Rをスライド移動に支持するための外扉支持部313が設けられている。外扉支持部313は、左右方向に連続する略円筒形状に対して前側部分を開口させた横長溝状に形成されると共に、左右の両端側にて前側を覆う板状部が設けられることで左右方向に連通した貫通穴が形成されている。
【0064】
ガイド軸225は、断面円形の金属製部材であり、取付ベース222の下側端部に設けられる軸取付部222B(図6参照)に固定される。軸取付部222Bは、左右の動作ユニット221L,221Rのそれぞれに設けられる2つのガイド軸225の両端部を固定可能なように各位置に対応して前側が開口したコ字状に形成される。軸取付部222Bにガイド軸225が嵌め込まれた状態で前側に前側装飾ユニット223が取り付けられると、ガイド軸225は、前側への移動が制限されて取付ベース222に固定される。ガイド軸225には、外扉支持部313により形成される貫通穴が挿通され、外側扉体301Rの下側部分がガイド軸225を介して取付ベース222にスライド移動可能に支持される。
【0065】
外側扉体301Rの本体部311の上面には、上方に突出する外扉上面凸部314が左右方向に離間して複数(本実施形態では2つ)設けられている。この外扉上面凸部314に対応して、本体部311の上側にはレール部材226が設けられる。
【0066】
レール部材226は、横長の合成樹脂製部材であり、下側に開口した断面コ字状で左右方向に連続したレール溝226A(図12参照)と、上面より上方に突出し、更に側方に連続した鉤状のフック部226Bとを有している。フック部226Bが取付ベース222の上面部分に下側から引っ掛けられ、更にレール部材226がネジ止めされることにより、レール部材226が取付ベース222に固定される。
【0067】
レール部材226は、図12に示すように、外側扉体301Rの外扉上面凸部314がレール溝226Aに下側から入り込む高さ位置に設けられている。このため、外側扉体301Rの上側部分の前後の移動が制限され、ガイド軸225を中心とした外側扉体301Rの前後方向の移動が制限される。このようにして、外側扉体301Rが取付ベース222に一体化され、左右方向にスライド移動可能に支持されている。
【0068】
駆動ユニット227は、図10等に示すように、横長で合成樹脂製の駆動ベース231と、駆動ベース231に取り付けられて外側扉体301Rの動力を出力するモータ232とを備えている。駆動ユニット227の前側の大部分は、前後及び左右方向に長い薄板状に形成され、右側扉ユニット224Rに対して下側にて対向しつつ近接して配置されている。
【0069】
駆動ベース231には、上下に厚みを有して下側が開口した箱状の本体部231Aと、本体部231Aの右側後部にて後側に円弧状に膨出したモータ取付部231Bとが設けられている。駆動ベース231の上面は、遊技者から視認可能な位置に配置され、前側装飾ユニット223の一部(後述する内側傾斜部332A)と同一色に設定されると共に上面の一部に装飾用の柄が付されている。
【0070】
モータ232は、例えばステッピングモータにより構成され、モータ取付部231Bの上面側より取り付けられ、モータ取付部231Bに設けられる出力軸用の貫通穴(図示せず)を通じてモータ232の出力軸がモータ取付部231Bの下側に貫通する。モータ232の本体部分は、駆動ベース231の上面より上方に突出し、待機状態における右側扉ユニット224Rの後側に配置されている。
【0071】
モータ232の前側には、装飾板228が配置されている。装飾板228は、前後に厚みを有する薄板で縦長略矩形状の合成樹脂製部材であり、外側扉体301Rの本体部311と略同一の上下長さに設定されている。装飾板228における左右の両端部には、同一の外向きに設けられる突起部228A及びフック部228Bが設けられ、装飾板228は、取付ベース222に開口中央側から外側へ向けて嵌め込み固定される。
【0072】
装飾板228の前面には、右側扉ユニット224Rの一部(後述する外側傾斜部332B)と同一色にて左右方向に連続する突条が上下方向に多数並べて形成され、装飾が付されている。動作ユニット221の作動状態においては、右側扉ユニット224Rの外側(右側)に装飾板228の装飾部分が位置し、右側扉ユニット224Rの見栄えを良いものとしている。
【0073】
駆動ベース231の下側には、図12に示すように、モータ232の出力軸に固定される円盤状の出力ギヤ233と、出力ギヤ233に連動する円盤状の2つの連動ギヤ234,235とが上下方向を回動中心として回動可能に設けられている。2つの連動ギヤ234,235は、駆動ベース231の下面にネジにより取り付けられ、モータ232の出力軸に固定される出力ギヤ233に対して、連動ギヤ234,235が前側であって右側扉ユニット224Rの進出方向側(矢印y1方向側)に連なって配置されている。
【0074】
外側扉体301Rにおける外扉支持部313の上側には、図12に示すように、左右方向に連続する歯形面で構成されたラック形状の動力伝達部315が設けられ、この動力伝達部315に対して駆動ユニット227の連動ギヤ235が噛み合い可能な位置に配置されている。モータ232が制御されて、モータ232の出力軸が回動すると、出力ギヤ233及び連動ギヤ234,235の回動を通じて動力伝達部315に対して動力が伝達される。モータ232の出力軸の回動方向に対応して動力伝達部315は、左右方向に移動することとなり、モータ232の回動方向及び回動量の制御によって外側扉体301Rのスライド動作が制御される。
【0075】
ガイド軸225において外側扉体301Rの退避方向側(矢印y2方向側)の端部の後側には、図12に示すように、非接触式のフォトセンサ236が設けられている。フォトセンサ236は、駆動ベース231に下側よりネジで固定されている。外側扉体301Rには、外扉支持部313の後側に上下方向に厚みを有する板状の被検知部316が設けられ、この被検知部316がフォトセンサ236の検知部内に位置して存否が検知されることで、外側扉体301Rの初期位置が、外側扉体301Rの移動を制御する制御装置(本実施形態においては表示制御装置114)により認識可能とされている。駆動ユニット227に設けられるモータ232及びフォトセンサ236は、表示制御装置114に電気的に接続され、表示制御装置114によりモータ232の回動方向及び回動量が制御されて外側扉体301Rのスライド動作が制御される。
【0076】
内側扉体302Rは、前後方向に厚みを有する縦長略矩形の部材であり、外側扉体301Rの本体部311と略同一の上下長さに設定されている。外側扉体301Rにおいて内側扉体302Rが位置する左側の上端部には、金属製のヒンジ部材303Uがネジ止め固定され、その上端部に対面する板面部から下方に突出する軸部が、対応する内側扉体302Rの軸穴に差し込まれる。同様に、外側扉体301Rにおける左側の下端部には、上方に軸部が突出したヒンジ部材303Lが固定され、対応する内側扉体302Rの軸穴に差し込まれる。これにより、ヒンジ部材303U,303Lは、内側扉体302Rの右上側及び右下側の隅部分に連結され、ヒンジ部材303U,303Lによる連結により外側扉体301Rが内側扉体302Rを回動可能に支持する。
【0077】
内側扉体302Rは、作動状態に達する前から作動状態に達するまで後側に回動し、作動状態に達すると、内側扉体302Rにおける前面右側の端面の一部と外側扉体301Rの前面左側の端面の一部とが当接することで内側扉体302Rの後側への回動が制限される。内側扉体302Rの右側の端面と、外側扉体301Rの左側の端面とは、上下方向に延びる平面状に形成され、作動状態となった場合には、それら端面の一部が隙間無く対面した状態で当接する。これにより、内側扉体302Rと外側扉体301Rの前面は左右方向において隙間無く略平面状に連続することとなる。
【0078】
回動軸Lの位置は、内外の扉体301R,302Rの前面より前側に配置されている。これにより、内側扉体302Rの前面右端と、外側扉体301Rの前面左端とを作動状態において近接させることができ、内外の扉体301R,302Rの前面を隙間無く左右方向に略平面状に連続させることができる。
【0079】
内側扉体302Rは、右側扉ユニット224Rの単体の状態においては、内側扉体302Rの前面と外側扉体301Rの前面とが当接して折り畳まれた状態となるまで外側扉体301Rの前側へ回動可能とされている。この内側扉体302Rの回動動作は、内側扉体302Rの下側に設けられる案内突部321Aにより制限される。
【0080】
内側扉体302Rの裏面下側の端縁部分には、図11に示すように、後側突出部321が設けられている。後側突出部321は、内側扉体302Rの裏面における回動軸Lに近い側の端部より内側扉体302Rの裏面が向く後側に突出し、回動軸Lに対して内側扉体302Rの回動軸Lに近い側の端面を挟んで後方に位置するように内側扉体302Rの裏面に平行に延びて連続している。後側突出部321には、その下面における先端側端部に、回動軸Lの後側において回動軸Lの方向に沿って下方に円柱状に突出した案内突部321Aが一体的に設けられている。案内突部321Aに対応して、駆動ユニット227における駆動ベース231の上面には、案内溝部231Cが設けられている。
【0081】
駆動ベース231の案内溝部231Cは、右側扉ユニット224Rの下側に位置している。案内溝部231Cに対して、案内突部321Aは、上方から入り込み可能な長さに設定され、案内溝部231Cに係合可能とされている。案内溝部231Cは、右側扉ユニット224Rの左右方向への移動に際して案内突部321Aに対して回動力を付加するように係合し、内側扉体302Rの向きを変更する。案内溝部231Cは、案内突部321Aの外形より僅かに大きな幅に設定され、案内溝部231Cの底面に案内突部321Aが当接しない深さに設定されている。なお、案内溝部231Cの底面は、作動状態における案内突部321Aの位置する部分を部分的に高く形成し、案内突部321Aに当接して内側扉体302Rを下側から支持する構成としても良く、この支持により内側扉体302Rが外側扉体301Rに対して重みで下側に下がることなく水平となるようにしても良い。
【0082】
ここで、案内溝部231Cの形状について、図13及び図14を参照して、詳しく説明する。図13は、駆動ユニット227の平面図であり、図14は、案内溝部231Cに案内される右側扉ユニット224Rを模式的に示した説明図である。なお、図13においては、右側扉ユニット224Rの文字表示面330の高さ位置における外形形状を一点鎖線で示し、図14においては、内側扉体302Rの動作の過程における外形形状を一点鎖線で示している。また、図13及び図14には、右側扉ユニット224Rの動作の過程における外側扉体301Rと内側扉体302Rとの連結部分に相当する回動軸Lの位置を黒丸で点P1から点P4として図示し、作動状態に対応した位置を点P1で示し、待機状態に対応した位置を点P4で示している。図14においては、点P1及び点P4の間部分に対応する回動軸Lの位置を点P2及び点P3で示し、各点P1から点P4に対応して案内突部321Aの位置を定める案内溝部231Cの形状を領域R1から領域R4の符号を付すと共に斜線を付して示し、作動状態における左側の内側扉体302Lの先端側部分の形状を併せて示している。
【0083】
案内溝部231Cは、図13に示すように、内側扉体302Rの回動軸Lに沿った方向視に相当する平面視において右側扉ユニット224Rの移動方向(左右方向)に交差する斜め方向に連続する部位を有する形状とされている。また、案内溝部231Cは、平面視において、回動軸Lが直線的に移動する移動軌跡に対して交差する位置に設けられている。かかる構成とすることで、内側扉体302Rの案内突部321Aが、回動軸Lの前側に位置した状態と、後側に位置した状態とが切り替えられ、内側扉体302Rの前面の向きが変更される。
【0084】
内側扉体302Rの向きの変更は、モータ232の動力によって行われる。モータ232の動力により外側扉体301Rが、作動状態に対応した位置(図13(b)に示す位置)と、待機状態に対応した位置(図13(a)に示す位置)との間を左右方向に直線的に動作すると、ヒンジ部材303U,303Lも左右方向に直線的に動作し、ヒンジ部材303U,303Lにより位置が定められる回動軸Lも左右方向に直線的に移動する。このヒンジ部材303U,303Lを介して外側扉体301Rとの連結部分において内側扉体302Rに動力が伝達され、内側扉体302Rが左右方向に移動する。
【0085】
内側扉体302Rは、作動状態に対応して外側扉体301Rに対して進出方向(矢印y1方向)側に前面が連続した位置と、待機状態に対応して外側扉体301Rの前側に配置された位置との間を移動する。案内溝部231Cは、待機状態及び作動状態に対応した内側扉体302Rの前面の向きとなるように連続する方向が設定されている。
【0086】
詳細には、図14に示すように、作動状態に対応した位置に配置された内側扉体302Rの案内突部321Aが位置する領域R1に対応した箇所に案内溝部231Cの進出方向(矢印y1方向)側端部が位置する設定とされる。案内突部321Aは、内側扉体302Rの前面側に設けられる回動軸Lに対し、その反対側となる内側扉体302Rの裏面側に設けられている。このため、回動軸Lの移動軌跡に相当する線より後側に、領域R1に対応した案内溝部231Cの内壁面が形成される。
【0087】
また、待機状態に対応した位置において内側扉体302Rが前面を右斜め後方に向けて配置された場合に、その内側扉体302Rの案内突部321Aが位置する領域R4に対応した箇所に案内溝部231Cの右側部分(退避方向側部分)が位置する設定とされる。内側扉体302Rにおいて裏面側に設けられる案内突部321Aが回動軸Lより前側に位置するように、回動軸Lの移動軌跡に相当する線(点P1と点P4とを結ぶ直線)より前側において領域R4に対応した案内溝部231Cの内壁面が形成される。
【0088】
案内溝部231Cの内壁面のうち、右後側を向いた左側壁面231C1は、内側扉体302Rの進出方向(矢印y1方向)への移動において案内突部321Aに対面して当接する部位である。内側扉体302Rが進出方向側へ移動すると、案内溝部231Cの左側壁面231C1に案内突部321Aが当接し、左側壁面231C1の連続する方向に沿って案内突部321Aが次第に後側へ誘導される。案内突部321Aは、待機状態においては回動軸Lに対して進出方向側における前側(左斜め前側)に位置し、進出方向側への内側扉体302Rの移動により回動軸Lの進出方向側を経由して後側へ移動する。
【0089】
作動状態に達する手前において、案内突部321Aが領域R1’の位置に到達すると、内側扉体302Rの前面が前側を向き、外側扉体301Rの前面に対して進出方向側に連続した位置に到達する。この位置においては、内側扉体302Rが外側扉体301Rにより回動移動が制限されて、後側へ移動できない展開状態となる。案内溝部231Cにおける領域R1’の先には、進出方向(矢印y1方向)に沿った左右方向に連続する区間(領域R1〜R1’に相当する区間)が連続して設けられ、内側扉体302R及び外側扉体301Rは、展開状態のままで略10mm進出方向側へスライド移動する。すなわち、待機状態から作動状態に遷移する過程において作動状態に達するより前に内側扉体302Rが作動状態に対応した向きに誘導される。このため、内側扉体302Rに対しては、作動状態に近い区間において進出方向に沿った慣性力を作用させることができ、作動状態に達した状態における内側扉体302Rの前後のばたつきを少なくすることができる。
【0090】
作動状態においては、内側扉体302Rに対して内側扉体302Rの進出方向側には、反対側から進出してくる左側の内側扉体302Lが位置し、左右の内側扉体302L,302Rの先端側端部を形成する内扉先端側面322L,322Rが対向して配置される。これら左右の内側扉体302L,302Rの内扉先端側面322L,322Rは、回動軸Lから遠い側にて回動軸Lの方向に沿って連続する外周側の端面によって構成される。
【0091】
左右の内側扉体302L,302Rの内扉先端側面322L,322Rは、図14に示すように、前後方向において内側扉体302Rの移動方向に相当する左右方向に起伏した形状とされている。そして、その起伏の高さは、互いの先端側端部が前後に重なることにより、作動状態において前面側から一対の内側扉体302L,302Rの間部分を通じて裏面側に位置する部材が視認不能とされ、又、裏面側における発光が前側に漏れにくいものとされている。これにより、内側扉体302Rの裏面側に設けられる表示装置112の表示面112aにおいてバックライト等の光が前側に漏れなくなるので、左右の内側扉体302L,302Rの一体感を高めることができる。
【0092】
ここで、作動状態において左右の内側扉体302L,302Rの先端側端部に相当する内扉先端側面322L,322Rが前後に重なる形状とした場合、内側扉体302L,302Rの高速移動により一対の内側扉体302L,302Rの前面が前後にずれた位置に配置される可能性が考えられる。回動軸Lを中心とした回動方向側の慣性力により内扉先端側面322L,322Rが作動状態に達した位置で前後にばたつくように動作し、左右の内側扉体302L,302Rの内扉先端側面322L,322Rが正規位置から外れて前後にずれた状態で噛み合ってしまう場合である。また、コストの制限等によりモータ232の性能が限られている状態で4つの扉体301L,301R,302L,302Rの高速移動を実現するためには、内側扉体302L,302Rを軽量化することが好ましく、その軽量化により内側扉体302L,302Rの剛性が低下すると、内側扉体302L,302Rが制動時に弾性変形してしまう場合も生じ得る。この変形や、ばたつき等により、一対の内側扉体302L,302Rの前面がずれた位置に配置されると、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの一体感が低下して見栄えの悪いものとなる。
【0093】
これに対して、案内溝部231Cには、作動状態に対応した案内突部321Aの配置位置に相当する領域R1を含んで進出方向(矢印y1方向)に沿った左右方向に連続し、案内突部321Aに対して進出方向側に当接しない区間(領域R1〜R1’に相当する区間)が作動状態に達する手前の区間に設けられている。この区間においては進出方向側の慣性力が生じ易く、その後の停止により左右の内側扉体302L,302Rが進出方向側に沿って移動しようとした状態で制動力が加えられる。このため、左右の内側扉体302L,302Rの前後の振れが収まり易く、左右の内側扉体302L,302Rを高速移動するほどに前後の振れが収まり易いものとなる。
【0094】
内側扉体302Rの後側突出部321における突出先端側の端部には、図11等に示すように、案内突部321Aに対して上側において回動軸Lから離間する方向側に突出する縦長の当接突部321Bが後側突出部321と一体的に設けられている。当接突部321Bは、図14に示すように、作動状態における回動軸L(点P1)の後側であって案内溝部231Cの連続する方向に交差する後方側に突出して設けられている。作動状態における内側扉体302Rの当接突部321Bに対して、駆動ベース231の本体部231Aの上面には上方に突出して形成された当接壁部231Dが進出方向側に対面して当接可能に設けられている。当接壁部231Dは、内側扉体302Rモータ232の動力により進出方向側に動作する当接突部321Bに接触し、当接突部321Bを通じて内側扉体302Rを作動状態に対応した位置に停止させる。当接突部321Bは、下側のヒンジ部材303Lが設けられる高さ位置に設けられている。
【0095】
ここで、上下のヒンジ部材303U,303Lが配置される区間から外れた高さ位置に制動力が加えられた場合、例えば、案内突部321Aを案内溝部231Cの端部に当接させて内側扉体302Rを制動する場合、内側扉体302Rの下側部分に進出方向とは逆側となる退避方向側への力が作用し、下側のヒンジ部材303Lを支点として内側扉体302Rと外側扉体301Rとの間部分に上側にいくほど広がる隙間が生じ易い。これを回避するために内側扉体302Rの上下に内側扉体302Rを制動させる部位を設けても良いが、片方側にした方が機能部分を少なくして内側扉体302Rの見栄えを良くすると共にコストも低減し易いために好ましい。このため、本実施形態においては、案内突部321Aと案内溝部231Cとは作動状態において左右方向に僅かに隙間が生じる設定とし、当接突部321Bと当接壁部231Dとの接触により下側のヒンジ部材303Lを中心として制動力が加えられるものとしている。これにより、内側扉体302Rに対して前面に垂直な軸心周りの回転力が生じ難く、また外側扉体301Rに対して内側扉体302Rが傾斜し難いものとしている。従って、作動状態において内側扉体302Rと外側扉体301Rとの間に隙間が生じることを回避し、且つ、見栄え向上及びコスト抑制をしている。
【0096】
後側突出部321において内側扉体302Rの裏面が向く後側を向いた突出後壁面321Cは、図14に示すように、作動状態において回動軸Lに対して後側であって進出方向側(矢印y1方向側)に設けられ、回動軸Lの移動方向に沿って連続した形状とされている。この移動方向に沿った突出後壁面321Cの長さは、内側扉体302Rが展開状態のままで進出方向側へスライド移動する長さより長く設定されている。
【0097】
駆動ベース231の上面には、後側突出部321の突出後壁面321Cに対して内側扉体302Rが作動状態に対応した向きとされる全区間において対面して当接可能なベース側当接部231Eが設けられている。ベース側当接部231Eは、駆動ベース231の本体部231Aの上面より上方に突出し、且つ、内側扉体302Rの移動方向に連続して形成されている。このベース側当接部231Eと後側突出部321の突出後壁面321Cとの当接により、案内溝部231Cにより誘導される内側扉体302Rの回転力が受け止められ、内側扉体302Rと外側扉体301Rとが連続する間部分において過度の圧力が生じず、内側扉体302R及び外側扉体301Rにおいて遊技者から視認可能な範囲で変形や破損が生じ難いものとされている。
【0098】
また、内側扉体302Rの回転力が受け止められた状態において内側扉体302Rが展開状態のままでスライド移動をすることとなるので、内側扉体302Rの回転力によりベース側当接部231Eと突出後壁面321Cとの接触力に比例した摩擦力が生じる。この摩擦力は内側扉体302Rに対して停止直前の区間での制動力となる。ここで、内側扉体302Rの前後の振れが大きいと、ベース側当接部231E又は突出後壁面321Cとの接触力が大きくなり、その分、制動力が大きくなる。このため、製造上の寸法バラツキ等により内側扉体302Rの前後の振れが大きい場合に、内側扉体302Rに対して制動力を大きく作用させることができる。この制動力により作動状態に達するまでの内側扉体302Rの移動に時間がかかり、その間に内側扉体302Rの前後の振れが少なくなって一対の内側扉体302L,302Rの前面のずれを生じ難くすることができる。しかも、作動状態から待機状態への移動に際しては、移動開始直後のために内側扉体302Rに前後の振れが生じ難いため、摩擦力の影響が少なく、少ない動力で内側扉体302Rを待機状態側へ移動することができる。なお、制震性を有するゴム等の材料でベース側当接部231E又は突出後壁面321Cの少なくとも一方を形成しても良く、例えば、ベース側当接部231E又は突出後壁面321Cに対応する位置にゴムシートを貼付して当接面を形成しても良く、これにより、当接した際の音を抑制し、且つ、摩擦力の増大により制動力を大きく発生させて一対の内側扉体302L,302Rの前面のずれを一層生じ難くすることができる。
【0099】
動作ユニット221において4つの扉体301L,301R,302L,302Rを動作させるための機構部は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの下側に多く設けられている。内側扉体302Rにおける下側部分に後側突出部321、当接突部321B及び突出後壁面321Cが設けられ、また、外側扉体301Rの本体部311の下側に動力伝達部315が設けられ、当接壁部231Dやベース側当接部231Eを有する駆動ユニット227も設けられている。本実施形態においては、4つの扉体301L,301R,302L,302Rを含む動作ユニット221は上側表示ユニット200に設けられ、リール102L〜102Rの図柄を視認可能とする下パネル部131bに対して上側に設けられている。このため、遊技者の視点の高さが下パネル部131bの正面側に位置し、4つの扉体301L,301R,302L,302Rは斜め上方に見上げる状態となり易いため、その死角となる側であって図柄に近い側に相当する4つの扉体301L,301R,302L,302Rの下側部分に機能部を集約している。これにより動作ユニット221及びその周辺部の見栄えを向上し、装飾の自由度を高めている。
【0100】
案内溝部231Cの内壁面のうち、左前側を向いた右側壁面231C2は、内側扉体302Rの退避方向(矢印y2の方向)への移動において案内突部321Aに当接する部位である。内側扉体302Rが退避方向側へ移動すると、案内溝部231Cの右側壁面231C2に案内突部321Aが当接し、右側壁面231C2の連続する方向に沿って案内突部321Aが次第に前側へ誘導される。回動軸Lに対して案内突部321Aは、作動状態において後側に位置し、退避方向側への内側扉体302Rの移動により回動軸Lに遅れて移動方向とは逆側となる進出方向側を経由して前側へ移動する。これにより、内側扉体302Rは、その前面が次第に前向きとなるように向きを変更されつつ待機状態に対応した位置まで誘導される。
【0101】
案内溝部231Cは、上記した領域R1から領域R4及び領域R1’を溝形状の一部として含み、各領域を連続させた形状とされている。また、案内溝部231Cにおいて領域R4より前側に連続する区間は、前方側に開口し、組み付け作業時において案内溝部231C内に案内突部321Aを差し込む入口とされる(図10参照)。
【0102】
案内溝部231Cにおける左右の側壁面231C1,231C2は、図14に示すように、内側扉体302Rの回動軸Lの方向視に相当する平面視において、領域R1から領域R1’の区間では内側扉体302Rの移動方向に沿った壁面に連続している。案内突部321Aが領域R1’から領域R1’に達するまでの区間においては、内側扉体302Rが向きを変えること無く移動し、領域R1から領域R1’の距離と同じ量分、回動軸Lは点P1から退避方向側(矢印y2方向側)へ移動して点P1’に達する。
【0103】
案内突部321Aが領域R1’から領域R2に達するまでの区間においては、徐々に内側扉体302Rの移動方向に対して前側に傾斜し、領域R2においては前側に略45度傾斜した角度に設定される。この間に回動軸Lは、点P1’から点P2まで移動し、この間に内側扉体302Rは略45度回動し、内側扉体302Rの前面が斜め前側を向く。
【0104】
案内突部321Aが領域R2から領域R3に達するまでの区間においては、案内溝部231Cの左右の側壁面231C1,231C2は、内側扉体302Rの移動方向に対しての傾斜角度が徐々に減少する。この区間において回動軸Lは点P2から点P3まで移動し、この間に内側扉体302Rは略45度回動して前面が退避方向側を向く。この点P2、点P3間の距離は、点P1’、P2間の距離と一致し、内側扉体302Rは、点P1’から点P3までの区間において回動軸Lを中心として略一定の速度で回動する。
【0105】
案内突部321Aが領域R3から領域R4に達するまでの区間においては、案内溝部231Cの左右の側壁面231C1,231C2は、内側扉体302Rの移動方向に対しての傾斜角度が略30度から徐々に減少し、その後に略20度まで傾斜角度が減少した後は待機状態に対応した領域R4に対応する位置まで直線的に連続する。この区間において回動軸Lは点P3から点P4まで移動し、この間に内側扉体302Rは略20度回動して前面が退避方向側において斜め後側を向く。点P3、点P4間の距離は、点P1’、点P2間及び点P2、点P3間よりも僅かに短く設定され、回動軸Lを中心とした内側扉体302Rの回動速度が低く設定される。
【0106】
以上の案内溝部231Cの形状設定により、内側扉体302Rは、進出方向側へのスライド移動の速度を一定にして右側扉ユニット224Rの動作を制御した場合、待機状態から案内突部321Aが領域R3から領域R4に達するまでの区間より、その後の案内突部321Aが領域R3からR1’に達する区間において内側扉体302Rの回動速度が速い設定とされ、案内突部321Aが領域R1’からR1に達する区間においては内側扉体302Rが向きを変えることなく、すなわち回動速度が零で移動する。このため、作動状態に遷移する場合における初期段階においては、内側扉体302Rの向きの変更に要する力が少なく、内側扉体302Rを含めて右側扉ユニット224Rを動作させ易い。
【0107】
一方、作動状態に近付くと、内側扉体302Rがより高速に向きを変えることとなるため、遊技者から視認され易い表示装置112の表示面112aの中央側における移動速度を高速にすることができる。よって、短時間での「覇王」の文字の形成により一部品で「覇王」の文字表示面330が構成されているかのような一体感のある見栄えとすることができる。更に、作動状態に近い段階において内側扉体302Rが向きを変えずに移動し、内側扉体302Rが板状部分の板面に沿って移動することとなるため、高速に向きが変更されたことによる内側扉体302Rの先端部分の前後方向の勢いを低減し、安定した状態で作動状態に遷移させることができる。
【0108】
また、作動状態から待機状態への復帰する場合の移動開始時において、内側扉体302Rが向きを変えずに移動することとなり、その移動に要する力が少なくて済む。また、その後に移動に要する力が増大させられるものの、向きを変えない区間で加速させられた内側扉体302Rの慣性力を利用して向きの変更も比較的少ない動力で実施することができ、モータ232の性能の低いものを採用可能としてコスト増を抑えつつ中央側に近い位置において高速に内側扉体302Rを待機状態に対応する側に移動することができる。
【0109】
上記した作動状態と待機状態との切り替えの制御は、以下のような状況で行われる。例えば、スタートレバー151が操作されて遊技が開始される前には待機状態(図5(a)参照)とされ、スタートレバー151が操作された後に予め設定した条件が成立すると作動状態とされる。例えば、スタートレバー151が操作された後の抽選にてビッグボーナスに当選した場合に50%の確率で作動状態(図5(b)参照)とされ、ビッグボーナスに落選した場合に0.1%の確率で作動状態とされ、作動状態が一定時間(例えば、1秒又は2秒)継続すると、待機状態に復帰する。このように、所定の役に当選した場合と当選しない場合とで、4つの扉体301L,301R,302L,302Rを移動させる確率を異ならせることで、ビッグボーナスの入賞を遊技者に期待させる演出として表示装置112の表示面112aにおける演出に加えて、又は当該演出に代えて動作ユニット221の4つの扉体301L,301R,302L,302Rの動作による演出を遊技者に視認させることができる。所定の役に当選した場合と当選しない場合とで4つの扉体301L,301R,302L,302Rの移動確率を異ならせて設定することで、所定の役の入賞期待度を変化させることができる。これらの制御については、主制御装置41の抽選結果を表示制御装置114が受信し、表示制御装置114によるモータ232の制御によって実現できるものであり、一般的な制御であるため、制御についての詳細な説明は省略するが、表示制御装置114でのモータ232の制御に代えて、主制御装置41等の他の制御装置で制御するなど、一般的な他の制御でモータ232を制御しても良い。
【0110】
次に、図15を参照して、4つの扉体301L,301R,302L,302Rによる「覇王」の文字表示に関する構成について説明する。ここで、「覇王」の文字表示は作動状態によって形成されるので、特記しない限り、作動状態における位置及び方向を用いて構成を説明する。
【0111】
図15(a)は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面形状の説明図であり、文字の高さ方向における中間部分の前面形状を模式的に示している。図15(b)は、4つの扉体301L,301R,302L,302R及び前側装飾ユニット223を正面側から見た図である。なお、図15(a)においては、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面において前後にずれて位置する各面を一つの面として示し、装飾のために前後に起伏した形状は省略している。また、外側扉体301L,301Rの両外側に位置する装飾板228の前面の一部を併せて示している。図15(b)においては、外側傾斜部332B,332Bの領域と、内側傾斜部332A,332Aの領域とに対して別々の斜線を付して示している。
【0112】
4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面形状は、図15(a)に示すように、前側を向いて左右方向に平面的に連続する文字表示面330と、文字表示面330の左右両側において平面部331の向く前側に突出する前側突出部332,332とを形成し、これら文字表示面330及び前側突出部332,332が連続した面を左右方向に4つに分断した形状とされている。文字表示面330は、左右の内側扉体302L,302Rの前面全体と、左右の外側扉体301L,301Rの前面の一部とにより形成される。
【0113】
外側扉体301L,301Rの前面には、図15(a)に示すように、平面視において内側扉体302L,302Rの前面に対して左右方向に直線状に連続して形成され、文字表示面330の一部を形成する平面部331,331と、平面部331,331の左右両側において前面側に突出した前側突出部332,332とが設けられる。前側突出部332,332は、中央側に傾斜して形成される左右の内側傾斜部332A,332Aと、各内側傾斜部332A,332Aの外側に設けられて外側に傾斜して形成される外側傾斜部332B,332Bとを有している。
【0114】
「覇王」の文字は、内側傾斜部332A,332Aと平面部331,331との境界より内側傾斜部332A,332A側へ大きく突出した大きさに設定され、この文字の内側傾斜部332A,332A側への突出部分は、平面部331,331が延長された位置を前後位置とし、文字表示面330の一部として形成されている。文字の前側突出部332,332側への突出先端部は、内側傾斜部332A,332Aの領域内に収まる設定とされている。このため、文字を大型に形成可能とし、且つ、内側傾斜部332A,332A側へ突出した文字部分の前面側が遊技者側を向き、その外側部分が逆方向となる左右両外側を向く形態となって、左右方向において内側傾斜部332A,332Aが形成される範囲に文字表示部分を限定して、遊技者が文字を注視し易い設定としている。なお、図15(b)においては、内側傾斜部332A,332A側への文字の突出部分が無いとした場合における内側傾斜部332A,332Aと文字表示面330との境界線を一点鎖線で示し、また、図15(a)及び図15(b)において文字表示面330と内側傾斜部332A,332Aと外側傾斜部332B,332Bとの境界に黒丸を付して示している。
【0115】
内側傾斜部332A,332Aは、文字が形成された部分を除いて、平面部331,331の左右方向における両端部から次第に前方側に突出し、中央側に傾斜した面形状とされている。外側傾斜部332B,332Bは、内側傾斜部332A,332Aと最前位置が一致し、その最前位置に対して次第に後側に位置する面形状とされ、内側傾斜部332A,332Aとは逆の外側に傾斜した形状とされている。これら外側傾斜部332B,332Bと内側傾斜部332A,332Aとの間に頂部332C,332Cが位置し、前側に突出した前側突出部332,332が上下方向に連続した形状とされている。
【0116】
前側突出部332,332は、図15(b)に示すように、「覇王」の文字が形成された平面部331,331の左右両端側を囲う円弧形状をした曲線状に前側突出部332,332(詳細には、頂部332C,332C)が連続する形状とされている。この円弧の連続する方向は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの境界に相当する上下方向とは異なる方向に設定されている。この前側突出部332,332は、「覇王」の文字の略中心を中心位置とする略円形状に沿って連続した形状とされている。左側の前側突出部332と、右側の前側突出部332との間隔に相当する文字表示面330の横幅が最大となる部分は、文字表示面330に表示される「覇王」の文字の中央に相当する高さ位置と略一致し、文字表示面330における中央の高さ位置に一致している。
【0117】
前側突出部332,332の左右方向における幅は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの境界部分の隙間幅(例えば0.1〜0.3mm)よりも相当大きな略3cm以上に設定されている。前側突出部332,332における頂部332C,332Cの左右幅は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの境界の隙間よりも相当大きな幅(例えば、略5mm)に設定され、頂部332C,332Cに対応して上下方向に連続する平滑な前向き面を有する形状とされている。
【0118】
前側突出部332,332の表面色は、平面部331,331を含む文字表示面330における文字及び文字周辺の色とは異なる色に設定されている。文字表示面330は、比較的明るい色、例えば、文字周辺が明るい銀色を主体に形成され、文字部分も比較的明るい白色を主体とし文字線が金色で縁取られて形成されている。文字部分については、フルカラーの発光ダイオード(文字用LED356)により、白色及び他の色で発光可能とされている。前側突出部332,332は、文字表示面330に対して異なる色であって暗い色、例えばメッキ処理された黒色に近い光沢を有する色等に設定されている。暗い色にて突出した前側突出部332,332に対して、文字表示面330が明るい色を主体として囲まれることで、文字表示面330が相対的に目立ち易く、文字表示面330に設けた文字部分を遊技者が注視し易いものとすることができる。
【0119】
外側扉体301L,301Rの更に両外側には、前面側が前向きの平面状に形成された装飾板228,228の前面が位置する。装飾板228,228の前面位置は、外側扉体301L,301Rの前面と比べて後側に位置し、詳細には、外側扉体301L,301Rの裏面よりも後側に位置している。装飾板228,228の表面色は、平面部331,331を含む文字表示面330の表面色とは別色に設定され、前側突出部332,332の外側傾斜部332B,332Bと同一色又は一見した場合に同一色と視認できる程度に近似した色に設定されている。これにより、文字表示面330と前側突出部332,332との境界に比して、外側扉体301L,301Rにおいて内側扉体302L,302Rとは逆側となる外側に相当する端面側において暗い色に設定された領域が連続し、外側傾斜部332B,332Bと装飾板228,228との境界に段差があっても目立ち難く、外側扉体301L,301Rと装飾板228,228とによる一体感のある装飾部を形成することができる。
【0120】
前側突出部332,332に対して平面部331,331とは逆側となる外側には、前側突出部332,332の連続する方向に倣った円弧状に内縁側が形成された後側装飾部407,407が設けられている。この後側装飾部407,407は、前側装飾ユニット223の一部により形成されている。後側装飾部407,407の内縁部分の連続する方向は、前側突出部332,332における平面部331,331との境界線の連続する方向、及び、前側突出部332,332の頂部332C,332Cの連続する方向と同方向で同心の円弧状に連続する。これにより、前側装飾ユニット223により形成される後側装飾部407,407と、前側突出部332,332による装飾との一体感を強めることができ、その間部分において4つの扉体301L,301R,302L,302Rにより形成される略平面状の文字表示面330は外側部分とは異なる部位であることが強調される。よって、文字表示面330に形成される「覇王」の文字部分を一層目立ち易い部位とすることができる。
【0121】
内側傾斜部332A,332Aの表面には、左右方向に沿って延びる線状の溝が上下に多数並んで形成され、これに対応して後側装飾部407,407の内縁には、前後方向に延びる多数の溝が上下に多数並んで設けられ、後側装飾部407,407の前面には、「覇王」の文字が設けられる装飾空間の中央部から外方に放射状に延びる帯状の装飾が上下に並んで形成されている(図21参照)。遊技者は、内側扉体302L,302Rの境界に相当する装飾空間の中央付近を視点とし、後側装飾部407,407を斜めに視認することとなる。このため、装飾空間の左右両側において内側傾斜部332A,332Aから後側装飾部407,407に連続する一体感のある装飾を文字の両側に形成し、中央側に表示される「覇王」の文字を一層注目され易いものとすることができる。
【0122】
前側突出部332,332の上下の両端部は、外側扉体301L,301Rにおいて正面視で視認可能な上下の端縁まで連続している。文字表示面330及び前側突出部332,332に対して下側には、文字表示面330及び前側突出部332,332の外形形状が連続し、文字表示面330及び前側突出部332,332に付された色が連続する態様とされている。すなわち、前側装飾ユニット223において文字表示面330及び前側突出部332の下側に位置する一部(後述する下側装飾体404の一部)は、文字表示面330における文字周辺部分及び前側突出部332と同一色又は一見した場合に同一色と視認できる程度に近似した色に設定されている。また、文字表示面330の外形の連続する方向に沿った円弧状部分の延長線上には、異なる色及び模様が付された前面部223B,223Cが両側に位置する境界線が連続し、前側突出部332の頂部332C,332Cの連続する方向に沿った延長線上にも異なる色及び模様が付された前面部223C,223Dが両側に位置する境界線が連続する。そして、文字表示面330の下側に位置する前面部223Bに対して、前側突出部332の下側に位置する前面部223C,223Dが前側に突出して位置し、また、内側傾斜部332A,332Aの下側に位置する前面部223Cは、左右方向において文字表示面330の中央側を向くように傾斜している(図6参照)。上記構成により、文字表示面330及び前側突出部332と前側装飾ユニット223の一部とにより一体感のある大型の装飾部分を形成することができる。
【0123】
ここで、上記した動作ユニット221の動作及び文字表示に関する構成による作用及び効果について説明する。
【0124】
複数の扉体301L,301R,302L,302Rの前面が作動状態において並んで「覇王」の文字を表示する略平面状の文字表示面330が形成されるので、文字表示面330を一部品で形成する場合に比べて、待機状態から作動状態へ遷移するまでの扉体301L,301R,302L,302Rの移動量を少なく設定することができる。このため、待機状態から作動状態まで変化させる時間を少なくして遊技者に驚きを与えやすい演出を実現することができる。また、複数の扉体301L,301R,302L,302Rによって文字表示面330が形成されるので、待機状態では、左右両側のそれぞれにおいて外側扉体301L,301Rの前側に内側扉体302L,302Rを重なるように収容することで複数の扉体301L,301R,302L,302Rをコンパクトに収容することができる。これにより、表示装置112の表示面112aを視認可能とする左右の扉ユニット224L,224Rの間隔を広く確保することができる。また、平面状に形成された文字表示面330に「覇王」の文字が表示されるので、曲面に文字が表示されるより文字を遊技者が認識し易いものとすることができる。
【0125】
文字表示面330の両端側部分を形成する外側扉体301L,301Rの前面には、略平面状の平面部331,331が文字表示面330の一部を構成し、その両外側において前面側に突出する前側突出部332,332が設けられている。平面部331,331と、内側扉体302L,302Rとの境界は、対象表示面として略平面状に連続する面内に線状に形成される一方、平面部331,331に対して前側突出部332,332は形状変化を大きく伴う部位となるので遊技者から目立ち易い。よって、作動状態において、複数の扉体301L,301R,302L,302Rにより形成される前面の境界を相対的に目立ち難いものとして一体感のある文字表示とすることができる。特に作動状態を形成した後に数秒間(例えば、1秒又は2秒)以内で待機状態に復帰させることにより遊技者が細かな部分まで注視することが少なくなるので、一体感のある文字表示とすることができ、また作動状態の稀少性を高めて有利な遊技状態への期待感を急激に高めることができる。
【0126】
なお、前側突出部332,332は、平面部331,331と内側扉体302L,302Rとの境界に比して形状変化が目立ち易いようにしておくことが好ましく、内側傾斜部332A,332Aにおける平面部331,331との境界部分は、正面側から見て視認可能となるよう、移動方向に沿った水平方向に切断した断面において折れ線又は曲率半径の小さい円弧(例えば半径5mm以下)でつながれた状態とすることが好ましく、内側傾斜部332A,332A、頂部332C,332C及び外側傾斜部332B,332Bにおける各境界部についても同様に切断面が折れ線又は曲率半径の小さい円弧でつながれた状態として境界線が鮮明となるようにすることが前側突出部332,332を目立たせることができて好ましい。また、平面部331,331、内側傾斜部332A,332A、及び外側傾斜部332B,332Bにおける各部位の間に位置する境界部分については、それらの境界に沿って一定幅(例えば、略5mm)の帯状に突出した部位を形成し、遊技者側から見て境界部分を目立ち易くすることが好ましい。
【0127】
前側突出部332,332は、正面視において扉体301L,301R,302L,302Rの移動方向に沿った文字表示面330に対して、移動方向に交差する方向側に連続した形状とされ、文字表示面330の両端側を囲う曲線状(円弧状)に連続する形状である。このため、統一感のある略平面状の領域が前側突出部332,332に挟まれた形となるので、その領域に表示される文字表示に遊技者の意識が傾注し易い。しかも、文字表示面330の両端側が前側突出部332,332に囲われる形状とされているので、文字表示面330の中央側部分に遊技者の意識が傾注しやすい。よって、「覇王」の文字を遊技者が一層認識し易くすることができる。
【0128】
作動状態とされた左右一対の内側扉体302L,302Rによって、それらの前面が文字表示面330として連続すると共に、それらの間部分を通じては内側扉体302L,302Rの内扉先端側面322L,322Rの起伏により裏面側が視認不能とされている。このため、一対の内側扉体302L,302Rが一枚板により形成された一部品として構成されているような一体感のある文字表示を実現することができる。
【0129】
案内溝部231Cが、待機状態から作動状態に遷移する過程において作動状態に達するより前に内側扉体302L,302Rを作動状態に対応した向きに誘導するので、内側扉体302L,302Rは作動状態に達する前段階から左右方向に沿って向きを変えずに移動する。このため、内側扉体302L,302Rが回動方向においてがたつく等により、内側扉体302L,302Rの先端側端部が前後にずれた状態で当接し、文字表示面330に段差ができて平面状とはならずに傾いた状態で静止するといった不具合を発生し難くし、一対の内側扉体302L,302Rが一部品として構成されているような一体感のある文字表示を実現することができる。
【0130】
次に、動作ユニット221の作動状態により表示される「覇王」の文字の形状及び発光に関する構成について、右側扉ユニット224Rを主に参照しつつ、図16から図20を主に参照して説明する。図16は、前側から見た右側扉ユニット224Rの分解斜視図であり、図17は、後側から見た右側扉ユニット224Rの分解斜視図である。図18は、右側扉ユニット224Rの文字部分を水平方向に切断した状態を示した断面図であり、部分拡大図を併せて図示している。図19(a)及び図19(b)は、動作ユニット221によって表示される文字の形状を表した図であり、図19(a)は、輪郭線も含めて文字全体を示し、図19(b)は、文字の輪郭線を除いて示している。図20は、動作ユニット221に表示される文字と発光基板354,364との相対位置を示した図である。なお、以下の動作ユニット221の文字形状及び発光に関する説明は、作動状態における発光の状態を説明するものであるので、特記しない限り、作動状態に対応して文字を正面視した向きに従って構成を説明する。
【0131】
右側扉ユニット224Rは、上記したように、内側扉体302R及び外側扉体301Rが上下のヒンジ部材303U,303Lにより連結されて構成され、各扉体301R,302Rは、前後に厚みを有する複数の板状の部材を前後に重ね合わせて構成されている。
【0132】
内側扉体302R及び外側扉体301Rは、それぞれ、「王」の文字の外形に沿った開口を形成する前カバー351,361と、前カバー351,361における開口部分を透光性樹脂により覆った状態とする透明カバー352,362と、透明カバー352,362に後側から光を拡散して照射する導光拡散部材353,363と、導光拡散部材353,363に光を入射する文字用LED356が搭載された発光基板354,364を有している。内側扉体302Rは、更に、発光基板354の後側に設けられる後カバー355を有している。
【0133】
内側扉体302Rは、前カバー351に対して後カバー355が固定され、それらの間部分に透明カバー352、導光拡散部材353及び発光基板354が挟まれた状態となって一体化されている。外側扉体301Rは、前カバー361、透明カバー362、導光拡散部材363及び発光基板364が順に後側に重ねられた状態で後側よりネジが挿通されて一体化されている。
【0134】
内側扉体302R及び外側扉体301Rの前カバー351,361は、共に、ABS等の合成樹脂の表面全体にメッキ又は塗装を付して銀色に着色された部材である。各前カバー351,361は、内側扉体302R及び外側扉体301Rの前面側の外形を形成し、前後に厚みを有する薄板状の前面部を主体に、その周縁において部分的に後側に突出した形状とされている。各前カバー351,361の前面には、文字周辺の装飾形状に対応して起伏することで装飾が付されている。
【0135】
内側扉体302Rの前カバー351及び外側扉体301Rの前カバー361には、上下のヒンジ部材303U,303Lによって連結される連結部側であって内外の扉体301R,302Rの境界部分に位置する端側に、対面部351A,361Aが設けられている。対面部351A,361Aは、各前カバー351,361の前面部より後側に延びて左右方向に厚みを有する形状とされ、各前カバー351,361に上下に離間して複数設けられている。内側扉体302Rの対面部351Aと、外側扉体301Rの対面部361Aは、同一の高さ位置に設けられている。対面部351A,361Aの間部分は、「王」の文字の外形に対応して左右方向に凹んだ形状とされ、その凹み部分の内縁351B,361Bにより文字部分が前後に貫通した開口形状とされている。これにより、前カバー351,361は、文字表示面330における文字の周辺部分と、前側突出部332とを形成する(図15参照)。
【0136】
後カバー355は、発光基板354の裏面側を覆う部材であり、不透明な有色の合成樹脂製の本体を主体に構成され、内側扉体302Rの裏面側の外形と略同一の大きさに設定されている。後カバー355の表面側(内側扉体302Rの裏面側)には、動作ユニット221が待機状態とされた場合に前面側を向く平面状の装飾面355Aが設けられ、装飾面355Aは、光を反射可能なシールを本体に貼付して形成される。
【0137】
装飾面355Aは、後カバー355の裏面のほぼ全域にわたる大きさに設定され、装飾面355Aを形成するシールの表面には、文字表示面330側とは異なる態様で、文字表示面330側に設けられない装飾が付されている。例えば、桜等の対象物などが表示され、機種イメージに合致し、表示面112aの表示内容に対応した柄又は模様が付されている。これにより、表示装置112の表示面112aの周囲に対して、その表示内容に対応した装飾を付すことができる。また、作動状態においては、装飾面355Aが裏側を向くことで遊技者から視認し得ず、待機状態に対して見た目を大幅に変更可能としている。
【0138】
後カバー355における外側扉体301Rの位置する側の端縁部355Dには、図17に示すように、装飾面355Aとは別の装飾としての柄(例えば、断面半円状に前側に膨出して左右に連続する細幅の線状部が上下に一定間隔で多数並んだ形態による柄)が付されている。この端縁部355Dは、待機状態において右側扉ユニット224Rと表示装置112の表示面112aとの間に位置し(図5(b)参照)、表示面112aの左右両側の縁部分を装飾する。この端縁部355Dの装飾は、作動状態において4つの扉体301L,301R,302L,302Rの左右両側において視認可能となる装飾板228の装飾と略同一の態様に設定され(図5(a)参照)、色及び表面形状が同一の設定とされている。
【0139】
後カバー355の端縁部355Dは、待機状態にて前後方向において斜めに配置される内側扉体302Rの後側に位置し、内側扉体302Rの後側に配置される装飾板228に対しては前後方向において近い位置に配置される。このため、装飾板228と後カバー355とが一続きの一体品で構成されているかのようにも遊技者側から見える。よって、作動状態と待機状態との切り替えに関する動作の構造を遊技者が理解し難いものとし、動作の構造を理解したいという遊技者にとっては再度の動作確認を目的の一つとして遊技の継続意欲を高めることができる。
【0140】
後カバー355には、前カバー351に対して固定可能なように、装飾面355Aとは反対の面側より突出した鉤状のフック部355Bが複数個所に設けられている。このフック部355Bが後側から前カバー351に嵌め込み固定されることで前カバー351と後カバー355とが一体化される。
【0141】
後カバー355の装飾面355Aに対しては、前側装飾ユニット223に設けられる発光手段としての発光ダイオード(LED)の光が照射され、装飾面355Aが外側からの照明により発光する構成とされている。すなわち、装飾面355Aに対しての発光手段は、右側扉ユニット224Rに設けられない設定とされており、内側扉体302Rを軽量化して、右側扉ユニット224Rの高速移動を実現している。
【0142】
後カバー355における外側扉体301Rから遠い側の上下方向に連続する端部には、図17及び図18に示すように、装飾面355Aに対して前カバー351側に縦長の板状に突出した後カバー先端側板部355Cが後カバー355の一部として設けられている。この後カバー先端側板部355Cの表面により動作ユニット221の作動状態において左右の内側扉体302L,302Rの間の隙間を塞ぐ内扉先端側面322Rが形成される。
【0143】
透明カバー352,362は、ポリカーボネート等の合成樹脂により無色透明な板状に形成され、前カバー351,361の内縁351B,361Bにより前後に貫通形成される開口部分より一回り大きな外形形状に形成されて、その開口部分を、透光性を有する合成樹脂により覆った状態とする。この透明カバー352,362は、透光性を有する材料で形成されていれば良く、必ずしも無色透明でなく、半透明な材料により形成されても良い。
【0144】
各透明カバー352,362は、「王」の文字を縦方向に切断し、左右に分断された外形形状とされている。各透明カバー352,362は、「王」の文字の中央側に相当する端縁部分が正面視で直線状に構成されると共に、文字中央側から離間する方向側(内側扉体302Rにおける透明カバー352の正面視左側、外側扉体301Rにおける透明カバー362の正面視右側)に平面状に延びるように広がる形状とされている。これにより、透明カバー352,362は、その前面により文字表示面330における文字部分を構成する(図15参照)。
【0145】
ここで、透明カバー352,362によって形成される「覇王」の文字表示の構成について説明する。「覇王」の文字表示は、図19(a)に示すように、「覇王」の文字の線部分に対応した文字線371と、文字線371を囲う輪郭線372,373により構成されている。輪郭線372,373としては、文字線371を囲う略一定幅の文字輪郭線372と、文字輪郭線372の外側を囲う細幅の外周輪郭線373とが設けられている。「覇王」の文字表示は、文字線371及び外周輪郭線373が透明カバー352、362の後側からの光を前側に通過して白色及び他の色で発光し、文字輪郭線372が不透明で発光しない設定とされている。文字輪郭線372の表面部分は、文字線371及び文字輪郭線372とは異なる色(例えば、金色)に設定され、また、文字周辺部分を形成する前カバー351,361と異なる色に設定されて、文字の視認性を向上し、また装飾効果を高めている。
【0146】
文字線371の外周部分には、図19(a)及び図19(b)に示すように、装飾凹部374及び装飾起伏部375が複数個所に設けられている。装飾凹部374は、文字の識別において不必要な部位であり、文字線371の中央側に凹んで形成された部位である。装飾起伏部375は、文字の識別において不必要に、文字線371の外形部分が文字の外側に突出し、外形が内外に起伏して連続した部位である。この装飾凹部374及び装飾起伏部375を設けることにより、文字が単調にならずに機種特有の装飾を付すことができる。
【0147】
装飾凹部374は、図19(a)に示すように、文字線371の線幅内にて文字線371の外形の連続する方向に沿って略一定幅で連続し、その連続する方向に沿った両端側部分が略円弧状に形成された線状溝部376と、線状溝部376より短い長さ範囲で線状溝部376と文字輪郭線372とを接続する輪郭接続部377とにより構成されている。線状溝部376の幅は、文字線371の幅に対しては半分以下の細幅に設定されている。
【0148】
また、線状溝部376と文字線371の外形との間部分には、形成される文字線371の一部であって輪郭接続部377に向けて突出した突出線状部378が設けられる。突出線状部378は、文字線371の外形に沿って連続し、輪郭接続部377に対して文字線371の外形に沿った両側から向かう形に形成されている。文字線371の外形として、互いに向かい合う突出線状部378,378の先端部分が離間し、輪郭接続部377により文字線371の外形線が断続した形とされている。線状溝部376の幅は、突出線状部378に対して太幅に、詳細には略5倍から略10倍程度の太幅に形成されている。また、装飾凹部374は、文字輪郭線372に連続し、文字輪郭線372と同一色(例えば、金色)で発光しない設定とされ、文字線371及び外周輪郭線373が発光しても、その近傍で発光しない部位を形成する。
【0149】
線状溝部376は、装飾凹部374における輪郭接続部377の長さ範囲に比して、文字の外形線の連続する方向に沿って長く形成されている。このため、装飾凹部374により文字線内に入り込む凹み領域が大きく設けられ、文字の外形部分から中央側に入り込んだ物体が文字線の連続する方向に沿って滲んでいくかのような斬新な字体の装飾を付すことができる。また、輪郭接続部377の長さ範囲は、線状溝部376より短く設定され、突出線状部378が輪郭接続部377に向かって両側から突出し、突出線状部378及び線状溝部376が連続する方向と文字の外形線とが一致する設定であるので、文字としての識別性を高めることができる。
【0150】
装飾起伏部375は、図19(b)に示すように、文字線の基端となる部分、終端となる部分、及び、文字線の折れ曲がる角部において文字線よりも相当細幅(詳細には略10分の1以下の幅)で文字の外側に向けて先を尖らせて突出した部位により形成される。装飾起伏部375としては、単独で突出した部分と、複数の突出部分が近接して並んで配置された部分とが設けられている。文字線の内側に凹んだ装飾凹部374は、両端を丸く形成された柔らかな印象を遊技者に付与する一方、装飾起伏部375は先の尖った複数の部分により刺激的な印象を遊技者に付与する。この文字形状により、遊技の状況に応じて遊技者に癒しを付与したり、高揚感を付与したりして、異なった感情を抱かせることが可能とされている。
【0151】
外周輪郭線373は、文字線371に対して概ね外周形状に沿って文字線371を囲う枠線状に形成され、文字線371の外形形状に対して外側に一定距離移動させる(オフセットする)ことで得られる形に概ね形成されている。ただし、そのオフセットで得られるはずの線に対して、文字線371における装飾凹部374(輪郭接続部377)により断続した外形形状に対応した外側部分においては、装飾凹部374に対応するほどの凹みが設けられずに、文字線371によって表示される文字の本来の外形に近い形状とされている。すなわち、装飾凹部374に対して外周輪郭線373は、装飾凹部374の輪郭接続部377が位置する側に僅かに凹んだ形状にして装飾凹部374より凹み量が少なく設定され(例えば、「王」の文字の上側の横線部分)、又は装飾凹部374の輪郭接続部377が位置する部位においても輪郭接続部377側に凹むことなく連続する形状(例えば、「王」の文字の下側の横線における左側部分)とされている。言い換えれば、文字線371における装飾凹部374の開口に対応した外周輪郭線373の一部分は、その開口の両側部分に対応した外周輪郭線373を延長した形とされ、文字線371に装飾凹部374を付加した外形形状に対応した形とされている。なお、図19(a)においては、「王」の文字の下側の横線における左側の装飾凹部374に対して、装飾凹部374が無い場合の文字の外形線を点線で例示している。
【0152】
装飾起伏部375に対して外周輪郭線373は、複数の突出部分が並んだ箇所においては、その先端部分に沿って連続することで装飾起伏部375に比べて起伏量が少なく設定され(「王」の文字の上側の横線右側端部)、或いは装飾起伏部375に対応した箇所が設けられずに文字の外形に従って連続する形状(「覇」の文字の一番上の横線右上側端部)とされている。
【0153】
外周輪郭線373は、文字側に一定距離移動させる(オフセットする)ことで文字線371の外形に大部分が一致する形状であるが、装飾凹部374による装飾を有さない本来の文字形状に近い文字の輪郭を形成する。このため、遊技者は、外周輪郭線373を通じて文字の外周形状の中で輪郭接続部377により分断された部位を補完して文字を識別することができ、装飾凹部374により外形が識別し難くされた字体の文字であっても比較的容易に識別することができる。
【0154】
透明カバー352,362には、「王」の文字線371に対応した文字表示部352A,362Aと、「王」の文字表示の文字輪郭線372に対応した文字輪郭部352B,362Bとが設けられている。文字輪郭部352B,362Bは、文字表示部352A,362Aに対して文字の外周部分を囲うようにして隣接して設けられている。文字表示部352A,362A及び文字輪郭部352B,362Bの前面は、図18に示すように、共に前方を向く平面により形成され、文字表示部352A,362Aの前面が、文字輪郭部352B,362Bの前面に対して後側に位置するように段差が設けられている。
【0155】
文字輪郭部352B,362Bの前面は、図18に示すように、文字表示部352A,362Aに対して前面側に一段高く突出されることで表面に着色し易い設定とされ、メッキ又は塗装を付して銀色に着色され、裏面側からの光が透過しない、又は文字表示部352A,362Aより光が透過し難く構成されている。文字輪郭部352B,362Bは、「王」の文字表示の文字輪郭線372に対応して文字表示部352A,362Aの外縁を囲う略一定幅の枠状に形成されている。
【0156】
前カバー351,361の内縁351B,361Bに対しては、その内側に略一定幅で文字輪郭部352B,362Bが設けられ、その文字輪郭部352B,362Bの幅に相当する分だけ更に内側に外形線が位置するようにして文字表示部352A,362Aが設けられている。なお、文字表示部352A,362Aにおいて、「覇」の文字における文字線により囲われた島部分は、文字表示部352A,362Aよりも前面側に突出して文字輪郭部352B,362Bと前面が同一位置に設定され、文字輪郭部352B,362Bと同一色(例えば、金色)で裏面側からの光が透過しない、又は文字表示部352A,362Aよりも光が透過し難い設定とされている。
【0157】
文字輪郭部352B,362Bと、前カバー351,361の内縁351B,361Bとの間には、図18に示すように、文字輪郭部352B,362Bの幅より細幅で、且つ、透明カバー352,362の裏面側から照射される光が前側に透過可能な隙間に対応した溝状の外周輪郭部352C,362Cが設けられている。この外周輪郭部352C,362Cは、文字表示の外周輪郭線373に対応する。外周輪郭線373は、文字の輪郭部分として透光性を有しない文字輪郭部352B,362Bと、文字輪郭部352B,362Bの外側において透光性を有しない前カバー351,361との間に形成される溝により正面視線状に形成され、その線状部分が発光する構成とされている。
【0158】
透明カバー352,362の外周部分には、文字輪郭部352B,362Bに対して後側に突出した後側壁部352D,362Dと、その後側壁部352D,362Dの突出側端部から外方側に突出した鍔状の外縁部352E,362Eとが設けられている。外縁部352E,362Eは、前カバー351,361の内縁351B,361Bより後側において外方側に突出し、前カバー351,361の裏面に対して重なりつつ接触している。透明カバー352,362の裏面側から照射される光は、外周輪郭部352C,362Cの後側において透光性を有する外縁部352E,362Eと後側壁部352D,362Dとを透過し、外周輪郭部352C,362Cが発光する。
【0159】
導光拡散部材353,363は、透明カバー352,362の裏面側において透明カバー352,362と略同一の外形形状に形成され、透明カバー352,362に対して光を照射する部材である。発光基板354,364には、導光拡散部材353,363の外縁部分に対して外周側から板面内に光を照射する光源としての文字用LED356が多数設けられ、この文字用LED356の発光が導光拡散部材353,363を通じて透明カバー352,362側に照射される。
【0160】
導光拡散部材353,363は、透明な合成樹脂により薄板シート状に形成され、光を分散させる光拡散シート353A,363Aと、透明な合成樹脂を成形して形成された板状の導光板353B,363Bとを前後に重ね合わせて構成され、光拡散シート353A,363Aと板状の導光板353B,363Bとは、内外の扉体301R,302Rにおいてそれぞれ略同一の外形に形成されている。
【0161】
光拡散シート353A,363Aは、表面が粗くざらついた形状とされ、導光板353B,363Bにより導かれた光を拡散して透明カバー352,362側に照射する。導光板353B,363Bの裏面には、後側に膨出した凸部が縦横に多数並んで設けられ、文字用LED356によって導光板353B,363Bの外周側すなわち前後方向に直交する方向側より照射された光を前側に反射可能とされている。この導光板353B,363Bの裏面の凸部は、小径の半球状に形成され、文字用LED356からの光として上下左右及び斜め方向のいずれの方向側から照射された光でも前側へ反射可能とされている。また、導光板353B,363Bの裏面は、塗装等により白色に着色され、光が後側へ漏れることなく前側へ照射され易くされている。文字表示部352A,362Aは、光拡散シート353A,363Aの裏面が白色に設定され、光拡散シート353A,363Aの表面が粗くざらついて形成されることで正面側から白色に見える設定とされ、文字用LED356から照射された光の色で発光し易く設定されている。外周輪郭部352C,362Cは、細幅で溝状に構成されるため、正面側から見た場合に黒い線として視認可能であり、文字用LED356から照射された光の色で線部分が発光する設定とされている。
【0162】
発光基板354,364は、内側扉体302R及び外側扉体301Rの外形より上下長さ及び横幅が僅かに小さく形成され、中央側部分が開口した内縁354A,364Aを有する形状とされ、前カバー351,361に対しては僅かに小さな大きさとされている。すなわち、発光基板354,364は、上下方向に連続する縦長の基部に対し、その上下の端部より横方向に突出部が連続して文字の周りを囲う形状とされている。
【0163】
発光基板354,364の大部分は、図18に示すように、導光拡散部材353,363に対して前後に重なることなく、また、透明カバー352,362に重なることなく、文字表示部352A,362Aに対して外側にずれて位置している。発光基板354,364と前カバー351,361との間部分には、電子部品を配置可能な隙間が設けられ、発光基板354,364の前面であって導光拡散部材353,363に重ならない位置に文字用LED356を含む電子部品(一部図示省略)が搭載される。このため、導光拡散部材353,363の裏面に対しては発光基板354,364の前面が近接して設置され、内側扉体302R及び外側扉体301Rとしての前後の厚みを薄くして設計自由度を高めることができる。
【0164】
発光基板354,364は、図20に示すように、文字表示部352A,362Aに対して上下及び左右方向に相当する周辺部分において前カバー351,361に対する固定に用いられる貫通穴を中心とする固定部354B,364Bが複数設けられている。この固定部354B,364Bには、ネジ又は後カバー355に設けられる位置決め用の軸部が嵌め合わされ、前カバー351,361と発光基板354,364との組合せにより、右側扉ユニット224Rの外周部分の剛性が高められ、特に回動しつつ移動する内側扉体302Rの剛性が高められることにより、右側扉ユニット224Rを高速に移動可能としつつ変形や破損が生じ難いものとされている。
【0165】
発光基板354,364には、図20に示すように、「覇王」の文字の外周に沿って多数の文字用LED356が点在して設けられている。文字用LED356は、発光基板354,364の板面と平行に、すなわち、前後方向に垂直な方向に光を照射するLEDで構成され、例えば、RGBの3色の発光によりフルカラーの発光が可能なLEDにより構成されている。文字用LED356は、外周輪郭線373に対して文字線371側とは反対側となる外側に配置され、正面視で文字用LED356の長手方向に垂直な方向に光を照射する仕様であって、文字線371側に光を照射する向きに設置されている。
【0166】
文字用LED356の一部は、文字線371における装飾凹部374(特に輪郭接続部377)に対応した外側に配置され、装飾凹部374により文字の外形とは異なる外形とされた箇所近傍において外周輪郭線373が高輝度で発光し、文字の外形の連続する方向を示唆する設定とされている。
【0167】
文字表示部352A,362Aの中央側に相当する文字用LED356から離間した箇所は、文字用LED356により照射された光が広範囲に分散し、面状に発光しやすい設定とされている。このため、前後幅の薄い内側扉体302R及び外側扉体301Rにより、文字の線幅が太く設定された領域全体を一様に発光させることができる。よって、限られた前後幅内で文字の裏面側に光源を重ねて配置することで文字の一部が局所的に高輝度に点発光してしまうという見栄えの低下を好適に回避できる。
【0168】
発光基板354,364に設けられる文字用LED356は、「覇王」の文字に対して外周側から中央側に向けて光を照射する向きに設けられている。このため、「覇王」の文字の中央側を含む全域に光を照射することができ、「覇王」の文字の中央側部分に重なる部位に文字用LED356を設けなくても良い。よって、「覇王」の文字の外形に沿って発光基板354,364の内縁部分を形成し、文字の中央側部分に重なる領域を基板で構成しなくても十分に文字用LED356を搭載することができ、その内縁側部分において開口形成された部位に相当する分、発光基板354,364を軽量化することができる。
【0169】
この場合において「覇王」の文字が大型化しても、その分発光基板354,364の開口部分を大型化するため、発光基板354,364を軽量に形成することができる。よって、外側扉体301R及び前記内側扉体302Rの移動速度に対してモータ等の動力源の性能を抑えてコスト増を抑えつつ、回動動作を伴う内側扉体302Rの高速移動を実現することができる。
【0170】
なお、発光基板354,364の内縁354A,364Aの形状は、文字用LED356の配置位置によって決定することができ、文字用LED356が搭載可能であれば、文字の外形に沿って形成されても良いし、文字の外形を簡略化した形、例えば文字の外形を縦線と横線とにより近似した形で形成されても良い。また、発光基板354,364の内縁354A,364Aは、文字の外形に対して必ずしも一致させる必要はなく、文字の外形より部分的に又は全体的に小さくても良いし、部分的に又は全体的に大きく形成されても良い。
【0171】
ここで、透明カバー352,362及び導光拡散部材353,363において「王」の文字が左右に連続する文字中央側部分について説明する。内側扉体302R及び外側扉体301Rの透明カバー352,362は、図18に拡大視して示すように、文字表示部352A,362Aにおける前後厚みが文字の切断箇所を通じて左右に連続して一定とされている。すなわち、透明カバー352,362において文字の切断箇所に対応して形成される中央側端部352F,362Fには補強リブ等が設けられず、この中央側端部352F,362Fの前後幅W1は、各文字表示部352A,362Aにおいて中央側端部352F,362Fから離間した部分における板面の厚みと同一の設定とされている。この中央側端部352F,362Fの前後幅W1は、図16及び図17に示すように、文字表示部352A,362Aに相当する上下の高さ区間の全域において一定とされている。
【0172】
同様に、内側扉体302R及び外側扉体301Rの導光拡散部材353,363は、文字表示部352A,362Aの裏面側において前後厚みが文字の切断箇所を通じて左右に連続して一定とされている。すなわち、導光拡散部材353,363において文字の切断箇所の裏面側に対応する中央側端部353C,363Cには補強リブ等が設けられず、この中央側端部353C,363Cの前後幅W2は、各文字表示部352A,362Aにおいて中央側端部353C,363Cから離間した部分における板面の厚みと同一の設定とされている。この中央側端部353C,363Cの前後幅W2は、図16及び図17に示すように、文字表示部352A,362Aにおける上下の高さ区間の全域において一定とされている。
【0173】
透明カバー352,362及び導光拡散部材353,363において、文字表示部352A,362Aが設けられる領域に対して、補強等の目的でリブを設けると、そのリブの突出部分が遊技者から直視されたり、又は、突出部分において光の拡散状態が他の部位と異なったりして、文字表示部352A,362Aの文字の見栄えを損ねてしまう。このため、本実施形態においては、透明カバー352,362及び導光拡散部材353,363における文字表示部352A,362Aに対応した部位は文字の切断箇所を含めて一定の厚みに設定し、左右に分断された内側扉体302R及び外側扉体301Rにて形成した文字表示部352A,362Aであっても、遊技者から見た場合に一体感のある文字装飾を可能としている。
【0174】
ここで、「覇」の文字のように、島状の部位が文字線371の外形内に存在する文字を文字表示部352A,362Aによって表示する場合には、この島状部分の裏面側に補強等の目的でのリブを設けても良く、これにより、見栄えを低下させることもない。文字表示部352A,362Aにより表示する文字として、「覇」の文字以外にも、例えば、「日」、「激」といった文字線371の外形内に島状の部位が存在する文字を設定し、その島状の部分が左右に切断される位置に文字を配置することが好ましい。
【0175】
透明カバー352,362の中央側端部352F,362Fは、図18に示すように、その前後の角部が略直角に尖った形状とされている。また、導光拡散部材353,363における中央側端部353C,363Cについても、その導光拡散部材353,363を構成する光拡散シート353A,363Aにおける前後の角部及び導光板353B,363Bにおける前側の角部は、略直角に尖った形状とされている。導光拡散部材353,363の中央側端部353C,363Cにおける裏面側は、端面に対して裏面が略直角方向側に連続するようにされ、その角部が尖った形状とされている。透明カバー352,362の中央側端部352F,362F及び導光拡散部材353,363の中央側端部353C,363Cは、作動状態において、僅かの隙間を隔てて、ほぼ面接触するように隙間無く対面し、また、その対面部分の直前で近い位置に回動軸Lが位置するために、透明カバー352,362及び導光拡散部材353,363において、それら中央側端部353C,363Cに前後のずれがほぼ生じない設定とされている。
【0176】
透明カバー352,362の中央側端部352F,362F及び導光拡散部材353,363の中央側端部353C,363Cは、尖った角部が変形や破損をしたり、対面する部位に傷がついたりすると文字の一体感を損ねてしまうため、作動状態において互いに当接しないように僅かな隙間が設けられる。これら中央側端部352F,362F,353C,363Cに対し、それらの上側及び下側に、図16及び図17に示すように、中央側端部352F,362F,353C,363Cの中央側端面と同一方向側を向くようにして、前カバー351,361の対面部351A,361Aが設けられ、作動状態となった場合に外側扉体301Rに当接する位置決め面として機能する。
【0177】
中央側端部352F,362F,353C,363Cに対して対面部351A,361Aは、上下に近接して設けられている。また、上下の対面部351A,361Aに対して中央側端部352F,362F,353C,363Cが設けられる内側とは逆側となる上下両側に、内側扉体302Rと外側扉体301Rとを連結するヒンジ部材303U,303Lが設けられている。よって、作動状態への移動が高速で行われて内側扉体302R及び外側扉体301Rの端面が勢い良く当接しても、上下の対面部351A,361Aによって中央側端部352F,362F,353C,363Cの上下両側を確実に支持し、中央側端部352F,362F,353C,363Cの隙間が少なく設定されても、それらの接触を防止することができる。従って、遊技者側から見た場合に一体感のある文字装飾を長期にわたって維持することができる。
【0178】
待機状態においては、内側扉体302Rは、その装飾面355Aが斜め前側を向いた状態まで回動し、透明カバー352,362の中央側端部352F,362F及び導光拡散部材353,363の中央側端部353C,363Cは、遊技者側からは装飾面355Aの裏側に位置して内側扉体302Rによって視認し得ない配置とされる(図5(b)参照)。このため、透明カバー352,362及び導光拡散部材353,363を中央部分で切断した形状として一体感のある装飾機能を保持しつつ、その切断された端面が待機状態においても遊技者から視認されることがなく、待機状態における見栄えも良いものとすることができる。
【0179】
上記した構成の他、右側扉ユニット224Rには、内側扉体302Rには、前カバー351の下側にネジ止めされて後側突出部321を形成する後側突出部材357と、内側扉体302Rに設けられる発光基板354を外側扉体301Rの発光基板364に電気的に接続する平板帯状のフラットケーブル358が設けられている。表示制御装置114には、フラットケーブル358及び外側扉体301Rの発光基板364を介して内側扉体302Rの発光基板354が電気的に接続される。また、外側扉体301Rには、前カバー361の下側にネジ止めされて外扉支持部313及び動力伝達部315を形成する外扉下側部材365と、外側扉体301Rの前カバー361に対して後側よりネジ止めされて配線を外側扉体301Rに固定するための配線固定具366が設けられている。後側突出部材357及び外扉下側部材365は、メッキ等の装飾を施す前カバー351,361とは別部品として成形され、摺動性及び耐摩耗性に優れたポリアセタール等の合成樹脂製とされている。
【0180】
上記した動作ユニット221の文字形状及び発光に関する構成による作用及び効果について説明する。表示制御装置114がモータ232を制御して動作ユニット221が待機状態から作動状態とされると、4つの扉体301L,301R,302L,302Rによって略平面状の文字表示面330が形成され、文字表示面330に表示される「覇王」の文字が遊技者の位置する前側より視認可能となる。作動状態においては、表示制御装置114が文字用LED356を制御し、その制御による文字用LED356の発光に対応して「覇王」の文字が発光する。遊技者は、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの動作と「覇王」の文字表示により通常の遊技状態とは異なる有利な遊技状態への遷移を期待する。
【0181】
「覇王」の文字表示が短時間継続すると、表示制御装置114がモータ232を制御し、動作ユニット221が待機状態へと遷移し、「覇王」の文字が遊技者から視認不能とされる。作動状態とされる時間は、数秒間に設定され、遊技者は、その短時間の間だけ、「覇王」の文字表示を視認する。
【0182】
「覇王」の文字には、文字線371と、文字線371を囲う輪郭線372,373とが設けられ、文字線371の外周形状には、所定の表示対象の識別に不必要な内側に凹んだ装飾凹部374及び内外に起伏した装飾起伏部375が設けられている。この装飾凹部374及び装飾起伏部375が設けられた「覇王」の文字は、一定幅で文字線が連続した単純な字体に比べて外周形状が複雑であるので、装飾効果の高い文字として遊技者に視認させることができる。
【0183】
文字線371の装飾凹部374の外側部分に外周輪郭線373が設けられ、外周輪郭線373は、文字線371における装飾凹部374に対応した部位が設けられることなく連続し、又は装飾凹部374に対応した装飾凹部374側への凹み量が少なく設定されている。この外周輪郭線373(外周輪郭部352C,362C)が、文字線371(文字表示部352A,362A)の外周形状に沿って文字線371を囲う枠状に形成されているため、遊技者は、外周輪郭線373を視認することで文字の外周形状としては文字線371の外周形状でなく外周輪郭線373に沿った形であることを無意識に感じ取り、文字の外周形状を補完して文字を識別することとなり、文字を容易に識別することができる。よって、動作ユニット221の作動状態を短時間に設定し、遊技者が短時間しか視認し得ない高速で動作する4つの扉体301L,301R,302L,302Rであっても、また、文字のサイズが大型化されて遊技者の視点から文字が大きさの割に近すぎることで識別し難い場合であっても、複雑な外周形状の文字を設定可能としつつ、遊技者が文字を識別できずに不快感を覚えることを防止することができる。
【0184】
これにより、遊技者が遊技中にストレスを感じてしまい、遊技の継続意欲が減衰して別の遊技機に移動し、又は一回遊技を止めた後の次回以降の遊技において他の機種を選定してしまうといった状況を回避できる。このため、遊技の面白みを理解するまでに時間を要する複雑な仕様の機種であっても、その機種に対して遊技者が興味を削がれる事態を少しでも回避することができ、より長期間にわたって遊技場で使用可能な遊技機を提供することができる。
【0185】
なお、外周輪郭部352C,362Cを形成する枠の線幅は、文字表示部における線幅に対して、相当細幅に設定することが好ましく、例えば、略10分の1以下の細幅に設定されていることが好ましい。これにより、文字表示部352A,362Aの形成領域を大きく確保して文字の装飾効果が発揮され易いものとすることができる。
【0186】
文字用LED356の発光により文字表示部352A,362Aと外周輪郭部352C,362Cとが発光し、その間部分の文字輪郭部352B,362Bは、裏面側からの光が透過しないか、又は文字表示部352A,362Aより光が透過し難い設定であるので相対的に暗くなる。よって、文字表示部352A,362Aから離間して設けられる外周輪郭部352C,362Cが細幅であっても形状が認識し易い目立った態様とすることができる。なお、文字輪郭部352B,362Bの幅は、文字表示部352A,362Aの線幅以下に設定され、且つ、外周輪郭部352C,362Cの枠の線幅に対して10倍以上に太く設定することが、外周輪郭部352C,362Cの形を認識し易くするために好ましい。
【0187】
文字表示部352A,362Aに対応する文字線371には、装飾凹部374として、線状溝部376と輪郭接続部377とが設けられ、輪郭接続部377を通じて「覇王」の文字の外周の内側に線状溝部376が大きく形成される。このため、文字の形状として斬新さが加えられて装飾効果の高い文字表示面330を形成することができる。また、線状溝部376の長さより短い幅範囲で外周部分と線状溝部376とが輪郭接続部377により接続され、この輪郭接続部377に対して外側に外周輪郭部352C,362Cに対応する外周輪郭線373が位置して、「覇王」の文字の外周形状を補完する形となる。このため、文字表示部352A,362Aにより表現された「覇王」の文字は、遊技者が識別し易いものとすることができる。
【0188】
なお、線状溝部376は、「覇王」の文字を形成する線幅の中央より外側位置にて連続する溝部を形成するものとすることが、文字の識別し易さを高く維持しつつ、装飾効果としても文字の外周部分に光沢があるような形状とすることができて好ましい。この場合において、文字輪郭部352B,362Bは、光を反射可能な表面処理として、例えば、メッキ加工、アルミ蒸着の他、金色若しくは銀色等の塗装や印刷等の処理が付されて線状溝部376及び輪郭接続部377の範囲まで同一色で連続することが好ましく、線状溝部376を設けた部分が実際に光を反射することとなって、質感の高い装飾を付すことができる。
【0189】
外周輪郭部352C,362Cの裏面側における複数の箇所から文字表示部352A,362Aの中央側に向けて光を照射する複数の文字用LED356と、文字用LED356により照射された光を導光して文字表示部352A,362A及び外周輪郭部352C,362Cの前側に向けて照射する導光板353B,363Bとを有するので、複数の発光部が外周輪郭部352C,362C近くに設けられることとなる。よって、外周輪郭部352C,362Cの輝度を高く設定し易く、細幅の外周輪郭部352C,362Cであっても文字の外周形状を遊技者に認識し易くすることができる。
【0190】
複数の文字用LED356のうち一部の文字用LED356は、外周輪郭部352C,362Cの裏面側であって装飾凹部374が設けられた部位に対応して文字の外側に相当する外側位置に設けられている。このため、装飾凹部374が設けられた部位に対応した外側位置において外周輪郭部352C,362Cを高輝度で発光させることができる。よって、文字表示部352A,362Aの外形線が装飾凹部374の輪郭接続部377により分断されることで識別し難くなった箇所の外周形状が外周輪郭部352C,362Cの中でも目立ち易く、「覇王」の文字を識別し易いものとすることができる。
【0191】
(前側装飾ユニット)
次に、前側装飾ユニット223について説明する。
【0192】
前側装飾ユニット223は、図5から図7に示すように、横長略矩形状で前後方向に貫通する貫通穴が大きく開口した枠状の部材である。前側装飾ユニット223は、動作ユニット221及び表示装置112の表示面112aといった装飾対象の外周部分を装飾する機能を有し、前側装飾ユニット223により囲われた貫通穴部分を装飾空間とし、装飾空間により遊技者が位置する前側から装飾対象を視認可能に構成されている。
【0193】
前側装飾ユニット223は、大別して上側において左右方向に連続する上側装飾体401と、左右の両側部分において上下方向に連続する左側装飾体402及び右側装飾体403と、下側において左右方向に連続する下側装飾体404とを有している。上下左右の装飾体401〜404は、分離可能に構成され、各装飾体401〜404を組み合わせて枠状の前側装飾ユニット223の形態とした後に、取付ベース222に取り付けられる。取付ベース222に対しては、前側装飾ユニット223の後端側に突出して設けられる爪部223Aが係合し、また複数個所にてネジにより固定される。
【0194】
以下においては、左右の装飾体402,403について説明をした後に、上下の装飾体401,404について説明する。
【0195】
左右の装飾体402,403は、図6等に示すように、ほぼ左右対称の形状とされ、上述した4つの扉体301L,301R,302L,302Rに対して左右両側において対称形状を成す装飾部を形成する。以下、右側装飾体403を参照して説明し、左側装飾体402の構成については右側装飾体403と同一の構成のために説明を省略する。
【0196】
図21は、前側から見た右側装飾体403の分解斜視図、図22は、後側から見た右側装飾体403の分解斜視図、図23(a)は、右側装飾体403の前側部分の構成を示す正面図、図23(b)は、右側装飾体403の前側部分の構成を示す背面図、図24は、右側装飾体403を水平方向に切断して下側部分を断面視した平面図である。なお、図23(a)においては、前側カバー体411の縁部分を他の外形線に比べて太く表示し、正面視し得る透光体412の前面に模様を付している。
【0197】
右側装飾体403は、図21に示すように、前後に重ねて配置される複数の部材で構成され、前側カバー体411と、透光体412と、導光体413と、後部ユニット414とを備えている。前側カバー体411と透光体412と導光体413とは、前後に重ねられた状態でネジ415により一体化される。この一体化された前側カバー体411等に対して後部ユニット414が後側からネジ416により固定されることで右側装飾体403が形成される。
【0198】
前側カバー体411及び透光体412は、図23(a)に示すように、上下方向を長手方向として左右方向における幅が変動する装飾部405を形成する。以下、この装飾部405を前側装飾部405と称す。前側装飾部405は、上側表示ユニット200の右側端部の外形に沿って外周部分を装飾する部位である。この前側装飾部405には、正面視において裏側を透視可能な複数の視認窓406(図23(a)における前側装飾部405の外形内の白色部分)が前後に貫通して設けられ、透かし彫りをした彫刻状に複数の視認窓406を通じて裏面側が視認可能とされている。
【0199】
前側カバー体411は、不透明な合成樹脂により形成され、また、表面部分にはメッキ処理が付されて前面側を向く面が光沢のある色(例えば、金色又は銀色)とされている。前側カバー体411は、前側装飾部405の外形を形成し、上下に連続すると共に、下側において上側表示ユニット200の外形に沿って左右方向における中央側に連続する形状とされている。
【0200】
前側カバー体411は、前後に貫通する視認窓406を囲いつつ線幅が次第に変化する曲線により形成された窓枠部421を有し、窓枠部421が前後に厚みを有して上下方向及び左右方向に広がる平面に沿って連続することで複数の貫通穴411Aが形成されている。窓枠部421の表面には、幅方向おける中央側の一部分が突出するように起伏した形状にして装飾が付されている。
【0201】
前側カバー体411の背面側には、図22に示すように、窓枠部421より後側に円柱状に突出した複数の取付軸部422A〜Cが設けられている。これら取付軸部422A〜Cは、前側カバー体411を他の部材に連結するために使用される部位であり、上下方向に離間して複数設けられ、先端部分には後側からネジを挿入させるためのネジ孔が設けられている。複数の取付軸部422A〜Cは、前側装飾部405と後部ユニット414とを連結して固定するための取付軸部422Aと、前側装飾部405と導光体413とを一体化するための取付軸部422Bと、右側装飾体403と下側装飾体404とを固定するための取付軸部422Cとに分類される。
【0202】
取付軸部422Aは、図22に示すように、前側カバー体411の背面左側において上下に離間して2カ所に設けられている。これら取付軸部422Aに対応して、図21に示すように、後部ユニット414の前面右側端部には取付孔431が設けられ、取付軸部422Aが取付孔431に差し込まれた状態で後部ユニット414の後側からネジ416により固定される。これにより、前側装飾部405は、前後方向に交差する一方側に相当する右側を基端側とし、その逆側となる左側に突出して設けられた状態となる。また、取付軸部422Aにより、前側装飾部405の前面と後部ユニット414の前面とが前後方向において重なりつつ離間して配置され、これらの前面に設けた装飾によって前後に離間して設けられる立体的な装飾を形成することができる。
【0203】
取付軸部422Bは、図22に示すように、前側カバー体411の背面左側において2つの取付軸部422Aの間にて上下方向に近接して2つ設けられている。取付軸部422Bに対応して透光体412には前後に長く形成された円筒状の取付筒部412Aが設けられ、導光体413には前後に貫通した取付孔413Aが設けられている。取付軸部422Bに対して透光体412の取付筒部412Aが外側を囲うように嵌め合わされ、導光体413の取付孔413Aが位置合わせされた状態とされてから、後側より導光体413が前側カバー体411にネジ415で固定される。これにより、前側カバー体411と透光体412と導光体413とが一体化され、それらの前面部により前側装飾部405が形成される。
【0204】
取付軸部422Cは、図22に示すように、前側カバー体411の下側端部に設けられ、上側表示ユニット200を構成する下側装飾体404にネジ止めされる。これにより、右側装飾体403と下側装飾体404とが一体化されて前側装飾ユニット223の一部が形成される。
【0205】
前側装飾部405の後側には、図5(b)及び図24に示すように、待機状態における内側扉体302L,302Rの一部が前側装飾部405に対して後側に部分的に重なった状態で収容される。図24には、待機状態における右側の扉体301R,302Rの外形概略を一点鎖線で示すと共に、回動軸Lの位置を黒丸で示している。動作ユニット221の待機状態においては、上側表示ユニット200の外側部分において、内側扉体302Rの前側端部と前側装飾部405の突出端側の端縁部分とが前後方向において近い位置に配置される。図5(b)に示すように、表示装置112の表示面112aと中心とし、その左右両側に後カバー355が装飾面355Aを中央側に向くようにして連続し、その両側に前側装飾部405による前向きの装飾部分が連続した左右方向に連なる装飾部が形成される。
【0206】
一方、動作ユニット221の作動状態においては、図5(a)及び図15に示すように、4つの扉体301L,301R,302L,302Rが前側装飾部405の後側に重なることなく上側表示ユニット200の中央側に位置する。前側装飾部405と後部ユニット414との前後の隙間から斜めに後部ユニット414が視認可能となり、前側装飾部405より後部ユニット414の前面が扉体301L,301R,302L,302Rの前面と近い位置に配置され、前側装飾部405に対して後側位置に、後部ユニット414と扉体301L,301R,302L,302Rとを組み合わせた装飾部が形成される。
【0207】
透光体412は、透光性を有する透明又は半透明な合成樹脂製部材であり、複数のレンズ部412Bと、レンズ後側突部412Cと、レンズ接続部412Dとを有し、上下及び左右に広がる形状に形成されている。透光体412は、前側カバー体411より上下の長さと左右の幅とが共に小さく設定され、前側カバー体411の裏面側に配置されることで前側から見て前側カバー体411の外周に対して収まる大きさとされている。
【0208】
レンズ部412Bは、正面視において外形略円形の板状(円盤状)に形成されている。レンズ部412Bは、上下方向に位置がずれて複数(例えば、5カ所)設けられている。レンズ部412Bの前面は、隣に位置する窓枠部421の前面に対して延長方向に連続した面を形成する前後位置に設定されている。レンズ部412Bの前面は、部分球面状に前側に凸状に膨出し、レンズ部412Bの裏面は、中央側の一部において部分球面状で前面と略同一の曲率半径で後側に膨出した形状に設定されている。このレンズ部412Bの形状設定により、レンズ部412Bは、後側装飾部407の表面を拡大視可能な拡大表示部としての機能を有し、後側より照射される光をレンズ部412Bの表面において広範囲で発光する設定とされている。
【0209】
レンズ部412Bは、前側カバー体411の窓枠部421により形成される複数の貫通穴411Aに対して、一部の貫通穴411Aの内側に設けられている。前側カバー体411の窓枠部421の貫通穴411Aは、レンズ部412Bの外形に対応した形状とされ、詳細には、窓枠部421の貫通穴411Aは、少なくとも一部分が円弧状に形成され、レンズ部412Bの外形に対して、その外形に沿って近接する形状に窓枠部421が形成されている。
【0210】
窓枠部421においてレンズ部412Bの外形に沿った円弧状の部位は、レンズ部412Bの中心部に対して前側装飾部405の突出基端側に相当する右側に少なくとも位置するように設けられている。例えば、上側から数えて計3つのレンズ部412Bのそれぞれに対して窓枠部421の貫通穴411Aは、上方で時計の針の12時に対応した位置から下方の6時に対応した位置まで、レンズ部412Bを中心とした略180度の区間において正面視右側部分に沿った円弧状に形成されている。このため、窓枠部421の貫通穴411Aは、レンズ部412Bに対して正面視左側に大きく広がる形状とされ、レンズ部412Bより大きく開口している。
【0211】
下側の2つのレンズ部412Bのそれぞれに対して窓枠部421の貫通穴411Aは、右側3時に対応した位置から上方の12時に対応した位置まで、レンズ部412Bを中心とした略270度の区間において正面視右側部分を含んだ円弧状に形成されている。このため、下側の2つの窓枠部421は、レンズ部412Bに対して正面視右上側に連続することでレンズ部412Bより大きく開口している。
【0212】
レンズ後側突部412Cは、図22及び図24に示すように、レンズ部412Bに対してその外形に沿った形状で後側に筒状に突出して形成されている。レンズ後側突部412Cは、窓枠部421の貫通穴411Aより一部又は全周において後側に突出する長さに設定され、レンズ部412Bに対して窓枠部421の後側においてレンズ部412B同士を接続可能としている。また、レンズ後側突部412Cは、レンズ部412Bの外形に沿った形状で後側に筒状に突出し、レンズ部412Bに対して後側から照射される光をレンズ部412Bの前面全体に効率良く導光可能としている。
【0213】
レンズ後側突部412Cの内径は、開口端側に相当する後側に向けて次第に広がる形状とされ、レンズ後側突部412Cの内面が後側を向いた設定とされている。レンズ後側突部412Cの外形は、略一定の大きさで前後に連続した形状とされている。レンズ後側突部412Cの後側端縁に対しては、図24に示すように、導光体413の先端部413Bが前後に重なるように後側から延びて設けられている。導光体413の先端部413Bの高さ位置は、図23(b)に示すように、レンズ部412Bの中央部と略同一に設定されている。レンズ部412Bに対しては、導光体413を通じて光が照射され、レンズ部412Bの中央側に光が照射されると共に、レンズ後側突部412Cにおいて光がレンズ部412B側に反射することでレンズ部412Bが高輝度に発光する。また、レンズ後側突部412C内に進入した光が板面内を通過して前側に導光されることで、レンズ部412Bの外縁が円形に縁取られて発光し、レンズ部412Bによる装飾効果を高めている。更に、レンズ部412Bの裏面において反射した光は、レンズ後側突部412Cの内面に照射され、その内面で更に反射して後側に向かうことで、後部ユニット414の前面側に照射される設定とされている。
【0214】
レンズ後側突部412Cの外周の一部には、図21及び図22に示すように、複数のレンズ部412Bを接続するためのレンズ接続部412Dが設けられる。レンズ接続部412Dは、前側装飾部405の広がる上下及び左右の平面に沿って連なった線状であり、レンズ接続部412Dが、上下5つのレンズ後側突部412Cに接続されている。レンズ接続部412Dには、前側カバー体411の裏面側に重なる部位と、重ならない部位とがあり、図23(a)に示すように、窓枠部421の貫通穴411Aを通じてレンズ接続部412Dの一部が前面側から視認可能とされている。レンズ接続部412Dにおいて前側カバー体411の裏面側に重なる部位は、前側カバー体411が不透明なので、前側から視認し得ない設定とされている。
【0215】
レンズ接続部412Dにおいて前側カバー体411と重ならない部位は、前側カバー体411と同様、線幅が次第に変化する曲線状に形成され、その表面には、前側カバー体411の前面と同様の装飾を付した形態とされ、線幅の中央側部分において線の連続方向に沿って稜線が形成されるように前側に突出した形状とされている。前側カバー体411は不透明に設定される一方、レンズ接続部412Dが透光性材料により形成されることで、前側装飾部405は複数色で構成された一体感のある装飾とすることができる。
【0216】
レンズ接続部412Dは、レンズ後側突部412Cに対して一体成形されており、レンズ後側突部412Cから連続した形状とされている。このため、レンズ後側突部412Cの板面内に入射された光の一部はレンズ接続部412Dに導光され、レンズ部412Bの前面に比して低輝度でレンズ接続部412Dが窓枠部421の貫通穴411A内において発光可能とされている。
【0217】
ここで、前側装飾部405においては、正面視において、窓枠部421の貫通穴411A内にレンズ部412Bとレンズ接続部412Dの一部とが配置され、それらを除いた領域が視認窓406を形成している。また、窓枠部421の貫通穴411A内に視認窓406とレンズ部412Bとが隣に位置するようにして設けられ、レンズ部412Bの外形の一部により視認窓406の外形が形成される。また、レンズ部412Bとレンズ接続部412Dとは、透光性材料で形成されているので、空間としての視認窓406に加えてレンズ部412Bとレンズ接続部412Dとにおいても後部ユニット414の前面が歪んだ状態で視認可能となり、視認窓406のみで後側が視認可能とされる場合に比して後部ユニット414の見栄えに変化が生じて立体的な装飾の効果が高められている。
【0218】
導光体413は、透光性を有する合成樹脂、例えばアクリル樹脂により形成され、レンズ部412Bの裏面に光を導光して照射するための部材である。導光体413は、レンズ部412Bの略中心に対して後側に先端部413Bが位置し、前側装飾部405の突出基端側に相当する右側へ連続する断面略円形状の複数の導光軸部413Cと、複数の導光軸部413Cの間を接続する導光接続部413Dとを有している。導光軸部413Cは、レンズ部412Bの数及び高さ位置に対応して上下に離間して複数(例えば、5つ)設けられている。
【0219】
各導光軸部413Cは、図24に示すように、前側装飾部405の突出基端側に相当する右側端部からレンズ部412Bの裏面に達する位置まで直線的に延びた線状部413Eと、左側端部において前方側に向かって曲線状に屈曲した屈曲部413Fと、屈曲部413Fの先において左斜め前側に向けて突出した先端部413Bとを有する。ただし、導光軸部413Cのうち、一番上のレンズ部412Bと下から2番目のレンズ部412Bに対応した2つの導光軸部413Cは、レンズ部412Bの裏面側に重なるように位置しているために線状部413Eに相当する部位が設けられず、屈曲部413Fと先端部413Bとにより構成される。
【0220】
導光軸部413Cは、図23(a)に示すように、正面視において少なくとも一部がレンズ部412Bの後側に位置し、正面視においてレンズ部412Bの右側に位置する部分は前側カバー体411の窓枠部421に重なる設定とされている。このため、導光軸部413Cは、視認窓406の開口領域内に位置させることなく、その開口領域に対する裏面側を避けて配置され、レンズ部412B及び窓枠部421の裏面側を経由してレンズ部412Bの後側に連続する形状とされている。窓枠部421は不透明なので、前面側から導光軸部413Cは直視できず、導光軸部413Cから光が外方に出力されても、それが遊技者に直視されることが無い。よって、導光軸部413Cの存在による装飾部の見栄えの低下を防止することができる。なお、導光軸部413Cを構成する導光体413に比して透光体412を、濃色に設定する、例えば、導光体413を無色透明とし、透光体412を有色(青色)の透光体で構成することが、透光体412の後側に重なって位置する導光軸部413Cの存在を遊技者から視認し難くすることができて好ましい。
【0221】
ここで、導光体413の線状部413Eは、レンズ部412Bに対しての導光を主としつつも後側に光が出力される程度に表面に起伏を設けておくことが好ましい。また、導光体413の屈曲部413Fは、その外周側に相当する左斜め後側にも一部の光が出力される曲率半径に設定されることが好ましい。これにより、後部ユニット414の前面を、専用の照明部品を設けることなく導光体413を用いて発光させることができる。
【0222】
導光体413の先端部413Bは、図24に示すように、略半球状に形成され、レンズ部412Bの裏面に対して中心より前側装飾部405の突出基端側に相当する右側にずれた位置に配置されている。また、導光体413の先端部413Bは、屈曲部413Fより左斜め前側に連続した形状とされ、レンズ部412Bに対しては右斜め後側からレンズ部412Bの中央側に向かって先端部413Bが突出している。このため、導光体413の先端部413Bから照射された光は、レンズ部412Bの裏面中央側に向かい易く、レンズ部412Bの全体を明るく光らせることができる。また、レンズ部412Bの裏面中央部分において反射する一部の光は、先端部413Bより左側を通過して後部ユニット414に反射し易いので、後部ユニット414の前面も効率良く発光させることができる。
【0223】
導光軸部413Cの基端側に相当する右側の端面は平面状に形成され、その先に設けられる装飾用LED417に近接して対面している。このため、装飾用LED417の光が効率良く導光軸部413Cに入射され、レンズ部412B等を高輝度で発光可能としている。
【0224】
導光接続部413Dは、前後方向に厚みを有する板状を成し、上下に離間して設けられる導光軸部413Cの間に位置して上端及び下端が導光軸部413Cに接続された形状とされている。導光接続部413Dは、透光体412及び前側カバー体411により前面側が覆われる領域内に設けられ、導光軸部413Cと同様、視認窓406の開口領域に対して裏面側に重ならない形状に形成されている。
【0225】
導光接続部413Dの厚みは、導光軸部413Cの外径より小さく設定され、導光軸部413Cの線状部413Eの前端より導光接続部413Dの前面が後側に位置し、線状部413Eの後端より導光接続部413Dの後面が前側に位置している。導光接続部413D内には、導光軸部413Cに入射した光の一部が入り込み、導光接続部413Dの前後及び左側の端面から光が漏れ出すことで後部ユニット414の前面が発光する。
【0226】
導光接続部413Dの前面側には、透光体412の取付筒部412Aの後側端面が対面する。導光接続部413Dの前面及び透光体412の取付筒部412Aの後側端面は、共に前後方向に垂直な平面状に形成され、いずれも透光性を有している。このため、導光接続部413Dの板面内を通過する光が取付筒部412A側に出力されて取付筒部412A内に入り込み、取付筒部412Aが発光可能とされ、取付筒部412Aの外周面からも後部ユニット414の前面を発光させることができる。また、取付筒部412Aは、前側カバー体411と透光体412と導光体413とを一体化させるための部位であり、この部位に後部ユニット414を発光させる他の機能を付加することができる。
【0227】
ここで、導光体413に設けられる取付孔413Aは、導光接続部413Dに設けられており、その後側縁部分が面取りされた形状とされている。この面取り部分は、前後方向に対して略45度傾斜し、取付孔413Aの後側全周に形成され、ネジ416の頭部が入り込む設定とされている。このため、導光接続部413Dからの光が取付孔413Aの後側縁部分及びネジ415の表面により反射して取付筒部412A側に導光され易く、後部ユニット414の前面が高輝度で発光し易い設定とされている。なお、透光体412と導光体413とは、共に同一の材料で形成され、導光接続部413Dの前面及び透光体412の取付筒部412Aの後側端面が隙間無く密着した状態で固定されることが好ましい。これにより、取付筒部412Aを一層高輝度で発光させることができる。また、前側カバー体411の裏面は、反射し易い色に設定されることが好ましく、光沢のある色(例えば銀色)又は明るい色(例えば白色)に設定されることが好ましい。これにより、導光接続部413D、導光軸部413C及び取付筒部412Aから前側に向けて出力された光が前側カバー体411の裏面によって後側に反射し易くなり、後部ユニット414の前面を一層高輝度に発光させることができる。
【0228】
後部ユニット414は、後部ベース部材432と、後部ベース部材432に取り付けられる発光基板433と後部装飾部材434とを有している。後部ベース部材432は、ABS等の合成樹脂の表面全体にメッキ又は塗装を付して銀色に着色された部材である。後部ベース部材432は、後部ユニット414の外形とほぼ同一の上下長さ及び横幅を有する大きさに形成され、後部ユニット414の主体を成す。後部ベース部材432の前面及び左側面は、表面形状が起伏することで装飾の模様が付されている。
【0229】
後部ベース部材432の前面には、右側に向かって放射状に連続する銀色帯状の装飾部が上下に間隔を隔てて多数設けられ、その間部分が横長の開口を有する形状とされている。この開口に対しては、後側から後部ベース部材432に重ねて取り付けられる後部装飾部材434の前側部分が入り込むようにして配置される。この後部装飾部材434と後部ベース部材432とにより、作動状態における動作ユニット221の外側を装飾する後側装飾部407が形成される。
【0230】
後部装飾部材434は、着色された透光性を有する合成樹脂製部材であり、後部ベース部材432の開口部を通じて後側装飾部407の一部を構成する。後部装飾部材434は例えば青色に着色されると共に表面に微細な網状の模様が起伏して設けられ、この着色された網状模様の装飾部と、メッキ処理が付された後部ベース部材432による銀色の装飾部とにより異なる色が上下に並んだ装飾を形成する。
【0231】
ここで、窓枠部421の貫通穴411Aの開口領域及び視認窓406の開口領域は、後側装飾部407のうち後部装飾部材434による青色の装飾部と後部ベース部材432による銀色の装飾部との両方に対して前後に重なる位置に設けられる。このため、窓枠部421の貫通穴411A及び視認窓406により前側装飾部405を透かして後側の装飾部が複数の色味で視認可能とされている。窓枠部421の貫通穴411Aの開口領域のうち透光体412が位置する領域についても、後部装飾部材434による青色の装飾部と後部ベース部材432による銀色の装飾部との両方に対して前後に重なる位置に設けられても良く、これにより、色味の変化が更に増大して立体感のある装飾効果を簡単な構成で高めることができる。この場合において、複数のレンズ部412Bは、後部装飾部材434による青色の装飾部と後部ベース部材432による銀色の装飾部とのうち一方に重なる位置に配置しても良く、これにより、レンズ部412Bの色味は統一することができる。この場合において、両面側に凸形状としたレンズ部412Bのレンズ効果により、色味を統一するためにレンズ部412Bと色味の異なる一方の装飾部とを重ならせる領域は少なくて済み、デザイン設計の制約は少なくして容易に複数のレンズ部412Bの色味の統一を行うことができる。
【0232】
後側装飾部407は、図24に示すように、前側装飾部405の突出基端側に相当する右側から突出先端側に相当する左側へ連続した形状に設定されている。後側装飾部407の左側端部は、図24に示すように、待機状態における内側扉体302Rと外側扉体301Rとに対しては、それらの間の空間に先端部が入り込むように左右方向に連続し、内側扉体302Rの先端部に相当する右前側部分の後側に重なって前面側から視認不能とされている。
【0233】
後部ユニット414の前面は、図24に示すように、左側端部が最も後側に位置し、右側へ行くに従い、次第に前側に位置するように傾斜して形成され、その傾斜した前面を右側へ延長した位置付近に、導光体413に光を照射する装飾用LED417が配置されている。この装飾用LED417の位置からは、後部ユニット414の前面に光が直接照射できないものの、導光体413の屈曲部413Fまで導光軸部413Cにより光を導光し、導光軸部413Cの周り部分と屈曲部413Fから出力される光とにより後部ユニット414の前面が発光する。このため、後部ユニット414の前面における右側端部の前後位置を前側装飾部405に近づけて遊技者側に向かって前面が傾斜した設定としつつ、その前面を装飾用LED417により発光させることができる。よって、作動状態における右側の扉体301R,302Rと後部ユニット414の前面とにより遊技者を中心として囲うように連続した装飾面を形成し、しかも少ない数の装飾用LED417で発光可能とすることができる。
【0234】
後部ベース部材432における右側端部には、図24に示すように、後側が開口し、板面を横向きにして発光基板433を収容可能な箱状の基板取付部432Aが設けられる。発光基板433は、板面が前後方向に連続する向きで基板取付部432Aに収容され、後側には後部装飾部材434の一部が重なって配置される。後部ベース部材432に対して後部装飾部材434は、ネジ416により前側カバー体411等と共に一体化され、これにより、発光基板433が基板取付部432Aに収容された状態で後部ベース部材432に固定される。
【0235】
発光基板433は、前側装飾部405に対しては、その裏側における突出基端側に設けられ、前側装飾部405の突出先端側に相当する左側を向いた面がLED搭載面とされている。LED搭載面には、導光体413に光を照射する装飾用LED417が複数(例えば、5つ)設けられている。複数の装飾用LED417は、発光基板433に垂直な方向に光を照射する仕様で、例えば、フルカラーで発光可能とされる。
【0236】
後部ベース部材432における基板取付部432Aの前側部分には、図21に示すように、左側に向けて開口した開口部432Bが設けられている。この開口部432B内に導光軸部413Cの基端側端部が入り込み、装飾用LED417と、導光体413の導光軸部413Cとが対面し、導光軸部413Cに装飾用LED417の光が入射される。装飾用LED417は、複数設けられた導光軸部413Cのそれぞれに対応して1つずつ設けられ、各導光軸部413Cに対して異なる色の光を照射可能であり、レンズ部412Bのそれぞれを異なる色で発光させることができる。
【0237】
発光基板433の後端側端部には、図22に示すように、上下方向において断続的に後側に突出する基板後側突端部433Aが設けられている。基板後側突端部433Aは、後部ベース部材432及び後部装飾部材434の後面より後側に突出し、その片面に発光基板433と表示制御装置114とを電気的に接続するためのコネクタ418が設けられる。このため、前側装飾ユニット223とした後の配線取り回し作業を容易に行うことができる。ここで、前側装飾ユニット223の状態においては、発光基板433の基板後側突端部433Aに対して更に後側に複数の爪部223Aが突出して設けられる(図7参照)。複数の爪部223Aは、前側装飾ユニット223において基板後側突端部433Aが間部分に位置するように上下に離間し、また、左右に離間して前側装飾ユニット223の後側の四隅に設けられ、発光基板433のコネクタ418の周辺部が製造過程において破損し難くされている。
【0238】
上記した文字用LED356及び装飾用LED417を含む上側表示ユニット200に対しての発光制御は、動作ユニット221の待機状態および作動状態において、また、表示装置112の表示面112aにおける演出に対応して行われ、各LEDを点灯および点滅させ、並びに発光色を変化させることで多様な光の演出を実行するものである。この発光制御は、上記したモータ232と同じく、表示制御装置114によって実行するものであり、一般的な制御であるため、制御についての詳細な説明は省略するが、表示制御装置114でのLED356,417等の制御に代えて、主制御装置41等の他の制御装置で制御するなど、一般的な他の制御によりLED356,417の制御をしても良い。
【0239】
次に、右側装飾体403と、右側装飾体403の構成と同一の構成とされた左側装飾体402を設けたことによる作用及び効果について説明する。
【0240】
図5に示すように、動作ユニット221を構成する複数の扉体301L,301R,302L,302R及び表示装置112の表示面112aが視認可能となる前側装飾ユニット223の中央側部分に対し、左右の装飾体402,403が左右両外側に位置している。左右の装飾体402,403においては、前側装飾部405として、裏側を透視可能な複数の視認窓406と、表面に装飾が付された窓枠部421と、発光するレンズ部412Bとが設けられ、窓枠部421による枠状の装飾部と、発光するレンズ部412Bとを組み合せた装飾に対して、奥側にずれた位置に後側装飾部407の一部が付加された立体的な装飾を複数の扉体301L,301R,302L,302R及び表示装置112の表示面112aの周りに形成することができる。よって、前面側から見て小さな領域内に一部が発光可能な立体的な装飾を形成することができる。
【0241】
レンズ部412Bを発光させるための装飾用LED417が搭載された発光基板433は、前側装飾部405の突出基端側に設けられて前後方向に板面が連続し、突出先端側を一面が向いて配置されるので、前側装飾部405と後側装飾部407との間に発光基板を配置する必要が無い。このため、透明な基板を用いたり、複数個所を発光させるために複数の基板を用いたりする必要がなく、立体的な装飾に対して低コストで前側装飾部405の一部を発光させることができる。
【0242】
導光軸部413Cの連続した経路に沿って装飾用LED417の光がレンズ部412Bの裏面側に重なる位置まで導光されるので、装飾用LED417の発光に対応してレンズ部412Bを発光させることができる。この場合において、導光軸部413Cは、窓枠部421及びレンズ部412Bの裏面側に配置されているので、導光軸部413Cの途中で光が漏れて導光軸部413Cの周りが発光しても、窓枠部421においては裏面側が視認不能に構成されているため導光軸部413Cの光漏れが目立たず、レンズ部412Bにおいては導光軸部413Cから漏れた光も考慮して設計しておくことで光漏れによる問題も生じ難い。よって、前側装飾部405と後側装飾部407とによる立体的な装飾に対して見栄えの良い発光による装飾を付加することができる。
【0243】
レンズ部412Bの外周の一部であってレンズ部412Bの裏面側に位置する導光軸部413Cが連続する方向側の外形に沿った円弧形状を含む外形に窓枠部421が形成されている。このため、窓枠部421の裏面側を経由してレンズ部412Bに連続する導光軸部413Cからの光が窓枠部421に遮断される。よって、導光軸部413Cから前側装飾部405の前側へ光が漏れることを防止し、見栄えの低下を抑制することができる。また、レンズ部412Bの外形とは異なる非円形状の貫通穴411Aが窓枠部421により形成され、視認窓406とレンズ部412Bとが連続した装飾とすることで、レンズ部412Bに対応した単調な窓枠部421の形状とはならずにデザイン自由度の高い装飾を付すことができる。
【0244】
導光軸部413Cの外面として線状部413E及び屈曲部413Fから出力した光が後側装飾部407の前面に照射され、後側装飾部407の前面が発光する。このため、前側装飾部405により視認性が低下した後側装飾部407に対しては専用の発光体を設けないようにしてコスト増を抑えつつ、左右の装飾体402,403の見栄えを向上することができる。また、後側装飾部407の前面側から光を照射して前面全体を発光させることができ、遊技者の視線方向が変化しても視認窓406を通じて視認された後側装飾部407の一部を発光し易くすることができる。
【0245】
複数の導光軸部413Cが導光接続部413Dにより接続されている。このため、組み付け等の作業時において、作業者は、複数の導光軸部413Cを一体的に取り扱うことができ、容易に作業を行うことができる。また、板状の導光接続部413Dにより後側装飾部407の前面側を覆う領域が広範囲となり、導光接続部413Dから出力される光により後側装飾部に照射される光の照射範囲が拡張される。このため、後側装飾部407に対する発光による装飾効果も高めることができる。
【0246】
導光接続部413Dが窓枠部421の裏面側に固定されることにより導光軸部413Cが取り付けられている。このため、窓枠部421と導光体413とを近づけて配置することができ、前側装飾部405と後側装飾部407との間部分に対して前側装飾部405の突出端側に相当する上側表示ユニット200の中央側から前側装飾部405の裏面側が斜めに覗き込まれても、導光接続部413D及び導光軸部413Cを有する導光体413の存在が遊技者側から視認し難い。このため、低コストで見栄えの良い装飾表示を実現することができる。
【0247】
次に、図6及び図7並びに図25及び図26を参照して、上下の装飾体401,404について説明する。図25は、前側から見た上側表示ユニット200の斜視図であり、図25(a)は、動作ユニット221の作動状態を示し、図25(b)は、動作ユニット221の待機状態を示している。図26は、図25とは別の角度から見た上側表示ユニット200の斜視図である。
【0248】
上側装飾体401は、図6図7、及び図26に示すように、横長の合成樹脂製部材であり、上下方向に厚みを有し、略鉛直下側を向く下向き面には左右方向に離間して上下方向に起伏する断面鋸刃形状の起伏面401Aが設けられている。起伏面401Aは、上側表示ユニット200の左右方向における中心を基準として左右対称形状をなし、下側装飾体404における上面に対向して設けられる。詳細には、起伏面401Aは、前後に細長く延びて形成された傾斜面が下側から見て中央側を中心とする円弧状に形成され、下側から起伏面401Aに照射された光が下側装飾体404に向けて反射し易い設定とされている。上側装飾体401の表面には、光沢のある金色又は銀色のメッキ処理が付され、下側から照射された光を起伏面401Aで反射して下側装飾体404の上面、特に上面中央部を明るく発光させる機能を有する。
【0249】
下側装飾体404は、図6図7及び図25に示すように、横長で合成樹脂により構成された下側装飾ベース451と、下側装飾ベース451に取り付けられて下側装飾体404の上面の一部を形成する透光性材料で構成された発光部452〜454と、下側装飾ベース451の下側に重ねて設けられた発光基板(図示せず)とを主体に構成されている。下側装飾体404の発光基板には、複数のLED(図示せず)が搭載され、発光部452〜454を通じて下側装飾体404の上面を発光させる。下側装飾体404の発光基板は、表示制御装置114に電気的に接続され、表示制御装置114の制御により、LEDが制御されて発光部452〜454の発光が制御される。
【0250】
発光部452は、下側装飾体404の上面における左右方向中央部に設けられている。発光部452は、下側装飾ベース451の上面として後側が高く位置する段差部分において、後側の前端部より斜め下側に連続する細幅の傾斜面を一辺とした略三角形状に突出して形成され、その傾斜面に横方向に延びる溝が多数設けられている。この発光部452からの光により表示装置112の表示面112aに対応して上側表示ユニット200の下側部分から上方へ光が照射され、表示面112aの前面周辺が発光する。また、動作ユニット221の作動状態においては、「覇王」の文字の周辺部に発光部452からの光が照射され、「覇王」の文字周りが装飾される。
【0251】
発光部453は、下側装飾体404の上面において発光部452の左右両側に1つずつ設けられている。発光部453は、下側装飾体404の上面において上方に開口した形状をなし、その開口内に上下方向に厚みを有する凸レンズ形のカバーが設けられ、カバーの下側に内蔵されるLEDの光が発光部453より上方に出力されて上側装飾体401の起伏面401Aに照射される設定とされている。発光部453から、図26に示すように、上側装飾体401の起伏面401Aに照射された光は、起伏面401Aにより反射する。この反射光は、下側装飾体404の上面中央部付近に対して照射され、その部位を発光させる。
【0252】
発光部454は、図25(b)に示すように、下側装飾体404の上面において発光部453に対して更に両外側に位置するように左右両側に1つずつ設けられている。発光部454は、下側装飾体404の上面において上方に開口した形状をなし、待機状態において斜め前側を向く内側扉体302L,302Rの下側端縁に対して後カバー355の向く斜め前側に近接して設けられている。発光部454を形成する開口の奥底側には、待機状態において斜め前側を向く内側扉体302L,302Rの後カバー355の表面に向けて光を照射する向き(図25(b)の矢印方向)にLEDが設けられている(図25(b)における矢印方向)。内側扉体302Lの後カバー355には、発光体が内蔵されていないため、発光部454からの照明により待機状態において上側表示ユニット200の左右両側における装飾効果が高められている。
【0253】
発光部453,454が形成される下側装飾体404の上面は、図25(a)に示すように、作動状態における4つの扉体301L,301R,302L,302Rにより「覇王」の文字が表示される前面の下側端縁に対して僅かに下側に位置し、前方側に連続して略鉛直上方を向いた上向き面を一部分として形成している。この上向き面は、図25(b)に示すように、待機状態における内側扉体302L,302Rの前側に位置する端部付近まで前側に連続し、待機状態における内側扉体302L,302Rに対して隙間無く近接する。また、上側装飾体401における下向き面は、下側装飾体404の上面と略同一の前後長さを有して形成されている。このため、作動状態における4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面と、待機状態における内側扉体302L,302Rの裏面との各面に対して、その上側及び下側に、上下の装飾体401,404が隙間無く位置し、各状態において扉体301L,301R,302L,302Rと上下の装飾体401,404の装飾部分が連続した見栄えの良い装飾を形成することができる。
【0254】
発光部453,454は、図25(b)に示すように、下側装飾体404の上面における略鉛直上方を向いた上向き面に設けられている。発光部453,454は、待機状態から作動状態へ遷移する内側扉体302L,302Rに対して上下に重なる位置に配置されている。動作ユニット221の待機状態と作動状態との切り替えは上記したように高速で行われるので、内側扉体302Rの動作により発光部453及び発光部454の表面周辺の空気に流れが生じ、発光部453及び発光部454の表面にゴミや埃が付着し難い設定とされている。動作ユニット221の動作が高速な分、ヒンジ部材303U,303L周りや、案内突部321Aと案内溝部231Cとの係合部分等に摩耗粉等が生じ易いものの、内側扉体302Rの動作により生じる空気の流れを利用して発光部453,454の光量低下は抑制することができる。
【0255】
なお、待機状態の内側扉体302L,302Rに光を照射する発光部454に対して、光の照射状態を変化させる照射状態変化部材を設けても良い。照射状態変化部材としては、例えば、図25(a)に二点鎖線で示すように、カバー体501を設けても良い。このカバー体501は、左右対称形状をなす左右の発光部454に対応して設けることができ、左側の発光部454を参照して構成を説明する。
【0256】
カバー体501は、発光部454による光の照射状態を変化させる部材である。カバー体501は、透光性材料で板状に形成され、外側扉体301Lにおける矩形状の扉部分の下端部から前方側に突出するように設けられ、動作ユニット221の作動状態においてカバー体が発光部454の上面側に位置し、動作ユニット221の待機状態においては外側扉体301Lと共に移動して発光部454の上面側から外れた位置に移動する大きさに設定されている。カバー体501には、動作ユニット221の作動状態において「覇王」の文字側へ発光部454の光を曲折させて出力するための起伏部(図示省略)を表面又は裏面の少なくとも一方に設ける。例えば、カバー体501に設ける起伏部は、図25(a)における発光部454に示した矢印方向に発光部454の光を曲折させる形状とする。
【0257】
カバー体501は、外側扉体301Lに対しての動力により外側扉体301Lの動作に連動し、外側扉体301Lが作動状態に対応した位置に配置された場合に発光部454の照射方向側に重なる位置に配置される。
【0258】
発光部454による光の照射状態は、外側扉体301L,301Rの動作に対応して変化し、外側扉体301Lが待機状態にある場合に、発光部454は、後カバー355に光を照射して表示装置112の表示面112aの外周側の一部を装飾する。外側扉体301L,301Rが動作して作動状態に対応した位置に移動すると、カバー体501が発光部454の上面側に重なり、発光部454からの光が「覇王」の文字側に照射される。このため、内側扉体302L,302R自体に設ける発光手段としてのLED等は少なく設定して内側扉体302L,302Rを軽量化し、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの高速移動を実現しつつ、扉体301L,301R,302L,302Rの状態に対応して光の照射状態を変化させることができる。また、発光部454の数を少なく設定しても多様な光の照射状態に対応可能であるため、発光による装飾の設計自由度を高めることができる。更に、照射状態を変化させるためのカバー体501は外側扉体301L,301Rに対する動力によって動作するため、動力源も余分に設ける必要がなく低コストで多様な光の照射状態に対応させることができる。
【0259】
カバー体501による照射状態の変化は、光の照射方向の変化に限らず、光の通過量の変化、色の変化、拡散又は集光状態の変化のいずれか又は2つ以上の組合せにて構成しても良い。このカバー体501は、内側扉体302L,302Rと一体的に設けても良く、或いは、扉体301L,301R,302L,302Rとは別に設けても良く、例えば、下側装飾体404にカバー体を左右方向にスライド移動可能に取り付け、外側扉体301L,301R又は内側扉体302L,302Rの一部にカバー体の一部が当接して動作するものとしても良い。
【0260】
(他の実施の形態)
本発明は、上記した実施の形態の記載内容に限られることはなく、種々の変形改良が可能である。例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
【0261】
(1)4つの扉体301L,301R,302L,302Rの外形形状として左右両側部分が縦方向に直線的に形成された構成に代えて、回動可能に連結された部位とは異なる両端側の外形形状については、直線的でなく、部分的に又は全体的に曲線や円弧状の部位を含む形状としても良いし、回動可能に連結された部位側についても回動可能な範囲内において部分的に又は全体的に曲線や円弧状の部位を含む形状としても良い。
【0262】
(2)文字表示面330を、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面により形成する構成に代えて、片側の2つの扉体の組合せだけで文字表示面を形成しても良い。また、片側の扉体として3つ以上の扉体を組み合わせて構成し、展開した作動状態において略平面状の前面を形成する扉体となり、待機状態においては扉体が重なりつつ折り畳まれるように隣り合う扉体の端部をヒンジ部材で連結して構成しても良い。
【0263】
(3)モータ232を動力源とし、複数のギヤ233〜235と、ラック状の動力伝達部315とを動力伝達機構とした駆動ユニット227を設けた構成に代えて、動力源をソレノイド等の他の構成としても良いし、動力伝達機構を、ベルト等の他の機構により構成しても良い。
【0264】
(4)案内突部321Aと案内溝部231Cとの組合せにより内側扉体302L,302Rの向きを変更させる構成に代えて、内側扉体302L,302Rの回動軸Lを中心としたギヤを設けてピニオンとし、駆動ベース231等の取付ベース222に固定される部位にピニオンに噛み合い可能なラック状の歯部を設ける等、他の機構により内側扉体302L,302Rを回動するようにしても良い。
【0265】
(5)案内突部321Aと案内溝部231Cとの組合せを、内側扉体302L,302Rに対して下側に位置するようにした構成に代えて、案内突部321Aと案内溝部231Cとの組合せを内側扉体302L,302Rの上側に位置するようにしても良いし、上下両側に位置するようにしても良い。内側扉体302L,302Rに対して上下両側に案内突部321Aと案内溝部231Cとの組合せを設ける場合には、一方側のみの場合に比して、内側扉体302L,302Rの向きの変更動作において上下両側で移動が制限されるため、より安定して、その向きの変更動作を行わせることができる。
【0266】
また、案内突部321Aを、内側扉体302L,302Rに対して上下両側に同軸上で突出するように設け、案内溝部231Cを構成していた左側壁面231C1及び右側壁面231C2の一方を内側扉体302L,302Rにおける上下の一方側に、他方を上下の反対側に設けても良い。
【0267】
また、案内突部321Aを、内側扉体302L,302Rに対して上下両側に設けるなど複数個所に離間させて設ける構成とする場合には、内側扉体302L,302Rの向きの変更において案内突部321Aに係合する部位は、必ずしも溝形状とする必要はない。すなわち、案内溝部231Cを構成する各面が別々の位置に設けられても良く、例えば、駆動ベース231の本体部231Aの上面には、案内溝部231Cにおける左側壁面231C1の形状に沿った板状部分を上側に突出して形成し、内側扉体302L,302Rの上側に対面する上側装飾体401の下面には、案内溝部231Cを上方に投影した場合における右側壁面231C2の形状に沿った板状部分を下側に突出させた形状とする。これらの板状部分に対して当接可能に案内突部321Aを設けることで溝状の部位を設けること無く、作動状態と待機状態とに対応した向きに内側扉体302L,302Rの前面を誘導することができる。
【0268】
(6)案内溝部231Cの形状を変更することで内側扉体302L,302Rの移動軌跡及び回動量を変更しても良い。例えば、待機状態における内側扉体302L,302Rの位置を外側扉体301L,301Rの前面に近付くように回動量を大きく設定しても良い。この場合に、外側扉体301L,301Rの前面は、文字表示面330の中央側に相当する内側扉体302L,302Rとの連結部(ヒンジ部材303U,303L)に近い位置においては平面部331,331により略平面状とされ、文字表示面330の外側に相当する内側扉体302L,302Rとの連結部から離れた位置においては前側突出部332,332により前面側に突出する。このため、前側突出部332,332の突出高さを高く設定しても、内側扉体302L,302Rの回動を制限することにならず、回動量を大きく設定することができる。この場合には、後側装飾部407の後側に内側扉体302L,302Rを収容するか、又は後側装飾部407を省略しても良い。
【0269】
外側扉体301L,301Rの本体部311,311の前面には、平面部を上下の全域に亘って設け、その平面部を外側扉体301L,301Rの前面における内側扉体302L,302Rから離れた中央側より端側まで連続するようにしても良い。かかる構成により、平面部を大きく形成して文字表示面を拡大し、大型の文字等を表示可能としつつ、その周りを囲う前側突出部の突出高さを高く設定して、その表示される文字等へ遊技者の意識が傾注し易く、一体感のある文字表示を実現することができる。
【0270】
(7)4つの扉体301L,301R,302L,302Rが左右方向に連続するようにして文字表示面330を形成した構成に代えて、上下方向あるいは斜め方向に4つの扉体301L,301R,302L,302Rが連続するように動作可能としても良く、例えば、上側表示ユニット200の向きを変更すると共に、表示される文字の向きを変更してスロットマシン10に配置しても良い。4つの扉体301L,301R,302L,302Rの大きさや配置位置についても、上記実施形態に限らず、他の大きさに設定しても良いし、待機状態及び作動状態における一方又は両方とも他の位置に配置しても良い。
【0271】
(8)文字表示面330に「覇王」の文字を表示した構成に代えて、文字表示面330に異なる文字を表示しても良いし、文字の数は2つに限らず1又は3以上としても良いし、文字に限らず、図形、記号、又はキャラクタ等の象形物を1又は2以上組み合わせて文字表示面330に表示しても良い。文字の位置についても4つの扉体301L,301R,302L,302Rの左右2つに対して一文字ずつとしないで、上下に2つ並べて形成しても良い。4つの扉体301L,301R,302L,302R全体に1つの文字を形成しても良い。
【0272】
(9)正面視において前側突出部332,332が文字表示面330の両端側を囲う曲線状に形成された構成に代えて、上下方向における中間を含む部分が上下に連続し、その上下の両端側が文字表示面330側に斜め方向に連続する折れ線状、又は直線及び曲線を組み合せた線により文字表示面330の左右両側を囲う形としても良いし、4つの扉体301L,301R,302L,302Rの境界に相当する上下方向と平行に、又は斜め方向に直線的に連続する形としても良い。すなわち、正面視において4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面が並ぶ方向に交差する方向に前側突出部332,332が連続するものであれば良く、文字表示面330に対して前側に突出した前側突出部が平面状をした部位の左右両端側に位置するので、文字表示面330を注目させることができる。
【0273】
(10)前側突出部332,332が外側扉体301L,301Rのみに設けられる構成に代えて、前側突出部が外側扉体301L,301Rの前面から内側扉体302L,302Rの前面まで連続し、前側突出部の一部が内側扉体302L,302Rの前面に形成しても良く、前側突出部により平面状の文字表示面330の外周全体が囲われる形としても良い。
【0274】
(11)必ずしも前側突出部332,332を設ける必要はなく、作動状態における4つの扉体301L,301R,302L,302Rの前面全体を平面状に形成しても良い。
【0275】
(12)左右の前側突出部332,332(頂部332C,332C)の間隔が最大となる高さ位置、即ち、文字表示面330の横幅が最大となる高さ位置を、「覇王」の文字の中央に相当する高さ位置と略一致させる構成に代えて、それらが上下にずれて配置されても良いし、左右の前側突出部332,332(頂部332C,332C)の中心に対して「覇王」の文字中心が左右方向においてずれて配置されて良い。
【0276】
(13)文字用LED356の光が透明カバー352,362を通過することで「覇王」の文字が発光する構成に代えて、各部分を塗装等により着色して構成し、前側装飾ユニット223等の別部材に設けたLED等による前側からの照明により発光する構成としても良い。すなわち、文字線371及び外周輪郭線373が、文字輪郭線372及び文字周辺部分と異なる別色で表示され、遊技者から文字線371及び外周輪郭線373の形状が認識できれば良い。
【0277】
(14)外周輪郭線373が、溝状の外周輪郭部352C,362Cにおいて発光する構成に代えて、文字輪郭部352B,362Bと同一の前後位置で表面処理をしない透明な部位を外周輪郭部として外周輪郭線373を発光させても良いし、透明カバーにおいて文字線371と外周輪郭線373との間に別部材として文字輪郭線372に対応した部材を取り付けて各線371,372,373を形成しても良い。すなわち、文字輪郭線372及び文字周辺部分に対して外周輪郭線373の外形が認識できれば良い。
【0278】
(15)透明カバー352,362に対して拡散部材353,363により文字用LED356の光を拡散して前面側に照射する構成に代えて、透明カバー352,362の裏面側に光を拡散させる部位を設けて文字用LED356の光の導光及び拡散を可能とし、拡散部材353,363を省略しても良い。
【0279】
(16)文字用LED356が発光基板354,364上であって正面視で「覇王」の各文字に対して外周側から光を照射する向きに設けられる構成に代えて、文字用LED356を、各文字の後側から前側に光を照射する向きに設け、拡散部材を後側からの光を拡散するように構成し、その位置に文字用LED356を搭載可能なように、発光基板は、拡散部材353,363の後側に重なる位置に配置しても良い。また、文字用LED356の位置及び数は上記実施形態に限らず他の位置に配置しても良いし、発光基板354,364も各扉体301L,301R,302L,302Rに1つずつとする必要はなく、2以上の発光基板354,364を1の扉体に設けても良い。
【0280】
(17)文字線371に上記した装飾凹部374及び装飾起伏部375を設ける構成に代えて、装飾凹部374及び装飾起伏部375の一方又は両方を省略しても良く、この場合には外周輪郭線373を省略しても良い。また、装飾凹部374及び装飾起伏部375の形状についても、他の形状に形成しても良く、装飾凹部として、文字線371側に単に凹んだ形状であって開口部分が最大長さとなる形状としても良い。
【0281】
(18)文字線371、文字輪郭線372及び外周輪郭線373の線幅として、上記実施形態とは異なる線幅に設定しても良い。
【0282】
(19)文字用LED356の数及び位置は上記実施形態に限定されるものでなく、その数を減少させ、又位置を移動しても良い。ただし、文字用LED356の数を減少させる場合には、装飾凹部374が設けられた部位に対応した外側位置を優先し、装飾凹部374の中では輪郭接続部377の長さが長い箇所に対して優先的に文字用LED356を配置することが好ましい。例えば、装飾凹部374に対応し、輪郭接続部377の長さが長い箇所に対応した外側位置(図20において(A)を付した箇所)には文字用LED356を優先して配置し、他の部位の文字用LED356を省略し、又は移動することが文字の外形を認識し易くする点において好ましい。
【0283】
一方、装飾起伏部375が設けられた部位に対応した文字用LED356は、必ずしも配置する必要は無く、細幅に突出した部分で発光部分が少なく、又、文字線371において文字の識別に不必要な部位であり、しかも文字線371の中央部分から離間した部位であるため、優先的に文字用LED356を省略しても良く、装飾起伏部375の突出量が大きい箇所に対応した外側位置の文字用LED356(図20に示す(B)を付したもの)は優先して省略しても良い。また、装飾起伏部375が設けられた部位に対応した文字用LED356は、外周輪郭線373よりも内側位置、即ち、文字輪郭線372に重なる後側位置に配置しても良いし、又は装飾起伏部375に重なる後側位置に配置しても良い。装飾起伏部375によって文字の認識に不必要に外方に突出した部分の輝度を低下させ、文字の認識を一層容易にすると共に、文字線371を中央側まで高輝度に発光し易いものとすることができる。
【0284】
(20)視認窓406を前後に貫通して設ける構成に代えて、透光性を有する部材の一部で視認窓を形成しても良く、例えば、透光体412の一部により形成しても良い。この場合には、光の屈折を抑えて裏側を透視可能なように、透光体に対して、視認窓に対応した部位を前後に厚みを有する板状で前後の面が平行に形成された板状部を一体成形することが好ましく、この板状部は、前後の面が平面により構成されることが好ましく、板状部の前後の面は、前側装飾部405の前面側を覆う窓パネル部131の板面と平行に設定することが光の屈折を抑える上で好ましい。
【0285】
(21)前側カバー体411の窓枠部421を不透明とする構成に代えて、窓枠部421を半透明とする構成としても良い。後側に重なる透光体412及び導光体413が前側から視認困難となる程度に光の透過率が低く設定されていれば良く、例えば、略90%以上の可視光線透過率とすることが好適である。この場合には、前側カバー体411は透光性を有する材料で形成し、透光体412と一体的に形成しても良く、窓枠部421に対応する箇所に塗装或いはメッキ処理をすることで着色し、窓枠部421の裏面側が視認困難となるようにしても良い。透光体412についても必ずしも半透明なものとする必要はなく、透明な透光体412としても良い。なお、透光体412の可視光線透過率は、例えば、略30%以下とすることが好ましい。
【0286】
(22)前側装飾部405における発光装飾部として透光体412に、外形略円形状で前後に部分球面状に突出するレンズ部412Bを設ける構成に代えて、異なる外形を有する発光装飾部としても良いし、前後に部分球面状に突出させることなく、光を拡散可能な微細な網目状の凹凸を設ける等、他の態様とした装飾部としても良い。
【0287】
(23)導光体413の導光軸部413Cより後部ユニット414の前面に光を照射する構成として、後部ユニット414側に更に光が照射されるように、屈曲部413Fにおける斜め後側を向いた外面に微細な起伏を設けて表面を粗く形成しても良いし、屈曲部413Fより左斜め後側に突出する後側突部を設けて後側に光が照射される設定としても良い。この後側突部は、屈曲部413Fの連続する方向に垂直な断面形状よりも小面積の断面形状にて突出する形状とし、線状部413Eよりも前側に位置した箇所から後側に突出させることがレンズ部412Bに光を十分に照射できて好ましい。
【0288】
(24)導光体413の導光軸部413Cより後部ユニット414の前面に光を照射する構成に代えて、後部ユニット414側に導光軸部413Cからは直接的に光が照射されないようにしても良く、導光軸部413Cを表面に起伏のない滑らかな形状としても良く、屈曲部413Fの曲率半径を光が後側に漏れない程度に大きく設定しても良く、又は、導光軸部413Cの一部である線状部413E及び屈曲部413Fに光を透過しない表面層を塗装やメッキ等により形成しても良い。
【0289】
(25)導光軸部413Cの断面を略円形状とした構成に代えて、導光軸部413Cの断面形状を他の形状としても良いし、導光接続部413Dと同一の厚みに導光軸部が形成され、導光軸部が左右方向に連続する軸形状とはならないものであっても良い。
【0290】
(26)前側カバー体411の貫通穴411Aの開口領域のうち透光体412のレンズ接続部412Dが位置する領域に対して、導光体の少なくとも一部を後側に重なる大きさに形成し、導光体から前側に光を出力して透光体412におけるレンズ部412B以外の部位(レンズ接続部412D)が発光する構成としても良い。
【0291】
(27)後部ベース部材432に開口部432Bを設けて装飾用LED417からの光を導光体413に導く構成に代えて、後部ベース部材432を透明樹脂で形成し、開口部432Bを設けることなく、後部ベース部材432の壁面を通じて装飾用LED417からの光を導光体413に導くこととしても良い。
【0292】
(28)発光基板433は、前後方向に板面が連続し、突出先端側を一面が向いて配置されたが、前側装飾部405と後側装飾部407との間に発光基板として透明な基板を前向きに配置し、レンズ部412Bの後側に重なる位置に前向きに装飾用LEDを設けても良く、レンズ部412Bの後側に重なる複数個所に別々に複数の発光基板を前向きに配置しても良い。
【0293】
(29)前側装飾部405を構成する視認窓406と、レンズ部412Bと、前側カバー体411の貫通穴411Aとの相対位置は、貫通穴411Aによる開口領域の一部にレンズ部412Bが位置し、視認窓406としての部位を有するものであれば良く、上記実施形態とは別の位置に設けられても良いし、その数も上記実施形態とは異ならせても良く、その形及び大きさも異ならせても良い。
【0294】
(30)導光接続部413Dにより複数の導光軸部413Cを接続した構成に代えて、導光接続部を省略し、各導光軸部413Cが個別に前側カバー体411に固定されても良い。また、上記実施形態においては、導光体413を前側カバー体411の裏面側にネジ415で固定したが、導光体413を後部カバー体の前側にネジ等で固定しても良い。
【0295】
(31)上側表示ユニット200の前側を覆うカバー部材としての窓パネル部131を透明樹脂により形成した構成に代えて、窓パネル部131を有色透明の樹脂により形成しても良いし、表面又は裏面にアルミのハーフ蒸着等の表面処理が付されることで、表示装置112や表示用開口部211が明るく発光した場合に限って上側表示ユニット200が前側から視認可能とされる構成としても良い。
【0296】
(32)上記実施形態のように、表示ユニット111(上側表示ユニット200)を形成する構成は、スロットマシン10に限定されることはなく、パチンコ機に適用してもよく、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式の遊技機に適用してもよい。
【0297】
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0298】
<特徴A群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。この演出の一部として静止状態の装飾体を発光させ、または、モータ等により動作する動作部材によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置して、この動作部材の動作を演出に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出が行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
【0299】
しかしながら、遊技者によって視認可能な位置に配置される動作部材によって大きな文字や図形等の表示対象を出現させる演出をする場合に、動作部材の高速移動を実現しつつ表示対象の視認性及び見栄えを良好とすることが難しいという問題点がある。
【0300】
すなわち、動作部材が一部品で構成される方が表示対象の一体感が増して見栄えが向上するものの、表示対象が視認し得ない待機状態から視認し得る作動状態まで変化させる際の移動量が大きくなる分、状態の切り替えに時間がかかるし、待機状態における収容スペースも大きく必要となって部品を配置するスペースの制約が大きくなるという問題点があった。また、ロール状に巻き回したシートを動作部材として設けて表示対象を形成する場合には、表示対象が平面的になって装飾体としての立体感を欠いてしまう。一方、表示対象が複数の動作部材の組合せにより構成される場合には、表示対象の視認性が低下する可能性があり、また、表示対象の一体感が出し難いために見栄えが低下する可能性があるという問題点があった。
【0301】
<特徴A1>
所定の方向に沿って移動可能な複数の動作部材(扉体301L,301R,302L,302R)の前面によって形成される所定の表示対象が前面側から視認可能とされた作動状態と、前面側から視認不能とされた待機状態とを切り替え可能に構成された装飾手段(動作ユニット221)を備えた遊技機であって、
前記複数の動作部材は、前記所定の表示対象を表示する表示部として、前記作動状態において前記所定の方向に沿って並ぶ前面を有し、当該前面により略平面状の対象表示面(文字表示面330)を形成するものであり、
前記複数の動作部材の前面のうち前記所定の方向に沿った前記対象表示面の両端側部分を形成する外側の動作部材の前面には、前記対象表示面の中央側に設けられて前記対象表示面の一部を形成する略平面状の平面部(平面部331,331)と、前記対象表示面の外側において前面側に突出する前側突出部(前側突出部332,332)とが設けられ、
前記前側突出部は、前記前面側視において前記所定の方向に沿った前記対象表示面の両端側において前記所定の方向に交差する方向側に連続した形状とされていることを特徴とする遊技機。
【0302】
特徴A1記載の遊技機によれば、動作部材の高速移動及び収容スペースの縮小を可能としつつ、動作部材により視認可能となる表示対象の視認性向上及び見栄え向上を実現可能な遊技機を提供することができる。すなわち、複数の動作部材の前面が作動状態において並んで対象表示面が形成されるので、対象表示面を一部品で形成する場合に比べて、待機状態から作動状態へ遷移するまでの動作部材の移動量を少なく設定することができる。このため、待機状態から作動状態まで変化させる時間を少なくして遊技者に驚きを与えやすい演出を実現することができる。また、複数の動作部材によって対象表示面が形成されるので、待機状態において複数の動作部材を重なるように収容することで複数の動作部材をコンパクトに収容することができる。また、略平面状に形成された対象表示面に所定の表示対象が表示されるので、前後に段差のある平面や曲面に所定の表示対象が表示されるより所定の表示対象を遊技者が認識し易いものとすることができる。
【0303】
また、対象表示面の両端側部分を形成する外側の動作部材の前面には、略平面状の平面部が対象表示面の一部を構成し、その両外側において前面側に突出する前側突出部が設けられている。平面部と、隣に位置する動作部材の前面との境界は、対象表示面として略平面状に連続する面内に線状に形成される一方、平面部に対して前側突出部は形状変化を大きく伴う部位となるので遊技者から目立ち易い。よって、作動状態において、複数の動作部材により形成される前面の境界を相対的に目立ち難いものとすることができ、一体感のある装飾表示を実現することができる。
【0304】
更に、前側突出部は、前面側視において所定の方向に沿った対象表示面の両端側において所定の方向に交差する方向側に連続する形状である。このため、統一感のある略平面状の領域が前側突出部に挟まれた形となるので、その領域に表示される所定の表示対象に遊技者の意識が傾注し易い。よって、所定の表示対象を遊技者が一層認識し易くすることができる。
【0305】
なお、特徴A1における複数の動作部材は、それぞれが作動状態において所定の方向に沿って略一定幅で前記所定の方向に交差する方向側に長く形成された前面を有するものとしても良く、前記複数の動作部材のうち少なくとも一部の動作部材は、隣に位置する動作部材に回動可能に連結され、前記所定の方向に沿った移動動作において回動動作を伴う構成とされるものとしても良い。すなわち、移動方向に交差する方向に長手方向を有する板状の部材が重なるように動作可能としても良く、これにより、高速移動とコンパクトな収容とを実現することができる。
【0306】
<特徴A2>
前記平面部及び前記前側突出部を有し、前記待機状態に対応して前記所定の方向に沿った外側に位置し、前記作動状態に対応して中央側に移動可能に設けられた外側動作部材(外側扉体301L,301R)と、
該外側動作部材に動力を伝達する駆動手段(駆動ユニット227)と、
前記外側動作部材の平面部に略平面状に連続して前記所定の表示対象の中央側部分を構成する前面を有し、前記外側動作部材に対して前記所定の方向に沿った中央側に連結され、前記外側動作部材の中央側に前面が連続した位置と該外側動作部材の前面側に配置された位置との間を回動可能に構成され、前記外側動作部材との連結部分を通じて前記駆動手段の動力が伝達されることにより前記作動状態と前記待機状態とに対応した向きに前面の向きを変更しつつ移動可能とされた内側動作部材(内側扉体302L,302R)と
該内側動作部材の一部(案内突部321A)に当接し、前記作動状態と前記待機状態とに対応した向きに前記内側動作部材の前面を誘導する誘導手段(案内溝部231C)とを備え、
該内側動作部材と前記外側動作部材との組合せが、前記待機状態において前記所定の方向に沿って離間して一対に設けられ、
前記作動状態とされた一対の前記内側動作部材は、前記所定の方向に沿った中央側に位置する先端側端部の形状として、いずれも前記所定の方向側において起伏した形状に形成され、互いの先端側端部が前後に重なることにより前記作動状態においては前記前面側から一対の内側動作部材の間部分を通じては裏面側が視認不能に設定され、
前記誘導手段は、前記待機状態から前記作動状態に遷移する過程において前記作動状態に達するより前に前記内側動作部材を前記作動状態に対応した向きに誘導することを特徴とする特徴A1記載の遊技機。
【0307】
特徴A2記載の遊技機によれば、駆動手段の動力により一対の外側動作部材に動力が作用すると、外側動作部材が待機状態から作動状態に対応した位置側に移動する。内側動作部材には外側動作部材を通じて動力が伝達され、連結部分を回動軸として誘導手段に誘導されて内側動作部材の前面の向きが変わりつつ内側動作部材が移動する。一対の外側動作部材に対して駆動手段により動力が付与されることにより、待機状態から作動状態へ、また、作動状態から待機状態へと外側動作部材及び内側動作部材が遷移する。
【0308】
作動状態への遷移に際しては、所定の方向に沿った両側から外側動作部材が中央側に近づきつつ移動する。内側動作部材の先端側端部は外側動作部材の移動速度に回動速度を加えた速度で高速に移動して略平面状の対象表示面が形成される。よって、両側から近付いて配置される動作部材において先端側部分が高速に移動可能な構成によって所定の表示対象が表示される略平面状の対象表示面を高速に形成することができる。
【0309】
また、内側動作部材は外側動作部材に対して所定の方向に沿った中央側に連結され、待機状態に対応した位置においては外側動作部材の前側に位置する。外側動作部材の前面は、対象表示面の中央側に相当する内側動作部材の連結部に近い位置において平面部により略平面状とされ、対象表示面の外側に相当する内側動作部材の連結部から離れた位置において前側突出部により前面側に突出する。このため、前側突出部の突出高さを高く設定しつつ、内側動作部材の回動量を設定することで回動量を大きく設定可能とすることができる。よって、前側突出部により対象表示面の平面形状を際立たせつつ、外側動作部材の前面に内側動作部材の前面が対面するようにして対象表示面を前面側から視認不能とすることができる。従って、動作部材を完全に覆うような別部材を設けることなく待機状態において対象表示面を遊技者から視認不能とすることができ、自身で対象表示面を隠すこととなるために待機状態までの移動量も少なく設定することができ、内側動作部材の裏面には文字表示面とは異なる態様の装飾等を設けて作動状態と待機状態とを異なった態様とすることもできる。
【0310】
また、作動状態とされた一対の内側動作部材によって、それらの前面が対象表示面として連続すると共に、それらの間部分を通じては先端側端部の起伏により裏面側が視認不能とされている。このため、一体感のある装飾表示を実現することができる。
【0311】
更に、誘導手段が、待機状態から作動状態に遷移する過程において作動状態に達するより前に内側動作部材を作動状態に対応した向きに誘導するので、内側動作部材は作動状態に達する前段階から所定の方向に沿って向きを変えずに移動する。このため、内側動作部材が回動方向においてがたつく等により、内側動作部材の先端側端部が前後にずれた状態で当接し、対象表示面に段差ができた状態で静止するといった不具合を発生し難くすることができる。よって、動作部材の移動速度を高速に設定可能としつつ、がたつき等の発生の許容範囲が広げられることにより部品寸法の公差範囲を拡大し、部品コストを低減することができる。
【0312】
<特徴A3>
前記内側動作部材は、前記誘導手段に当接する部位として前記内側動作部材の回動中心から離間した位置にて前記内側動作部材の回動軸方向に沿って外方に突出した案内突部(案内突部321A)を有し、
前記誘導手段として、前記案内突部が入り込み可能であって、前記内側動作部材の回動軸方向視において前記所定の方向と交差する方向側を含んで連続する形状の案内溝部(案内溝部231C)が設けられ、
該案内溝部は、前記待機状態から前記作動状態に遷移する過程において前記案内突部を案内する溝部として、
前記待機状態に近い過程に対応し、前記所定の方向に対して傾斜する方向側に連続した第1溝部(領域R4と領域R3との間の区間に相当する溝部)と、
該第1溝部より前記作動状態に近い過程に対応し、前記第1溝部より所定の方向に対して大きく傾斜する方向側に連続し、且つ、前記作動状態に近付く過程に対応するほど次第に傾斜角度が大きく設定された曲線状の第2溝部(領域R3と領域R2との間の区間に相当する溝部)と、
該第2溝部に対して前記作動状態に近い過程及び前記作動状態に対応し、前記所定の方向に沿って連続した第3溝部(領域R1’と領域R1との間の区間に相当する溝部)とを有する形状とされていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0313】
特徴A3に記載の遊技機によれば、第1溝部と第2溝部とにより内側動作部材が待機状態から作動状態に近付くように向きが変えられる。この場合に、第2溝部においては、第1溝部より所定の方向に対しての傾斜角度が次第に大きく設定されるため、所定の方向側への案内突部の移動に対して案内突部が所定の方向に交差する方向側に次第に相対的に加速して案内される。このため、内側動作部材は、作動状態に遷移する場合における初期段階においては、内側動作部材の向きの変更に要する力が少なく、内側動作部材を動作させ易い。一方、作動状態に近付くと、第2溝部により内側動作部材がより高速に向きを変えることとなるため、遊技者から視認され易い中央側における移動速度を高速にして、短時間での対象表示面の形成により一部品で対象表示面が構成されているかのような見栄えとすることができる。更に、第3溝部によって内側動作部材が向きを変えずに移動するため、第2溝部において向きを高速に移動したことによる内側動作部材の先端部分の前後方向の勢いを低減して安定させることができる。
【0314】
また、作動状態から待機状態への復帰する場合の移動開始時には、第3溝部によって内側動作部材が向きを変えずに移動することとなり、移動に要する力が少なくて済む。また、その後に第2溝部により移動に要する力が増大させられるものの、第3溝部において加速させられた内側動作部材の慣性力を利用して向きの変更も比較的少ない動力で実施することができ、コスト増を抑えつつ中央側に近い位置において高速に内側動作部材を待機状態に対応する側に移動することができる。
【0315】
<特徴A4>
前記外側動作部材の前面には、所定の表示対象の一部が表示され、前記内側動作部材の前面には、前記外側動作部材の前面に一部が表示された所定の表示対象に対して前記所定の方向に沿って連続する他の部分が表示され、
前記外側動作部材及び前記内側動作部材は、前記作動状態において前記外側動作部材の前面と前記内側動作部材の前面とが並んで配置されることにより所定の表示対象が前記前面側より視認可能とされるものであり、
前記外側動作部材及び前記内側動作部材には、透光性を有し、前記所定の表示対象を形成する装飾表示部材(透明カバー352,362)と、該装飾表示部材を発光させる発光手段(文字用LED356)が搭載された発光基板(発光基板354,364)とがそれぞれ設けられ、
前記発光手段は、前記発光基板上で前記所定の表示対象に対して外周側から光を照射する向きに設けられ、
該発光基板は、前記所定の表示対象に重なる部分が前記所定の表示対象の外形に対応して開口した内縁(内縁354A,364A)を有する形状とされていることを特徴とする特徴A1から特徴A3のいずれかに記載の遊技機。
【0316】
特徴A4記載の遊技機によれば、発光基板に設けられる発光手段は、所定の表示対象に対して外周側から光を照射する向きに設けられている。このため、所定の表示対象の中央側を含む全域に光を照射することができ、所定の表示対象の中央側部分に重なる部位に発光手段を設けなくても良い。よって、所定の表示対象の外形に対応して開口した内縁を有する形状に発光基板を形成することができ、その内縁により開口形成された部位に相当する分、発光基板を軽量化することができる。従って、所定の表示対象を大型化しても発光基板の重量の増加を抑えることができ、外側動作部材及び前記内側動作部材の動作速度に対してモータ等の動力源の性能を抑えてコスト増を抑えつつ、回動動作を伴う動作部材の高速移動を実現することができる。
【0317】
<特徴A5>
前記待機状態における前記内側動作部材に対して前記前面側視において交差する側方側より光を照射可能な側方発光手段(発光部454)と、
前記駆動手段の動力により前記外側動作部材の動作に連動し(外側動作部材又は内側動作部材と一体的に又はいずれかに対して相対的に動作可能に支持されて)、前記外側動作部材が前記待機状態又は前記作動状態の少なくとも一方に対応した位置に配置された場合に前記側方発光手段の照射方向側に重なる所定位置に配置され、前記内側動作部材の前面又は裏面に対して前記側方より照射される光の照射状態を変化させる照射状態変化部材(カバー体501)とを備えていることを特徴とする特徴A1からA4記載の遊技機。
【0318】
特徴A5記載の遊技機によれば、内側動作部材の表面又は裏面に対しての側方側発光手段による光の照射状態が照射状態変化部材により外側動作部材の動作に対応して変化させられる。このため、内側動作部材自体に設ける発光手段を少なく設定することで内側動作部材を軽量化して動作部材の高速移動を実現しつつ、動作部材の視認状態に対応して光の照射状態を大きく変化させることができる。また、側方発光手段の数を少なく設定しても多様な光の照射状態に対応可能であるため、発光による装飾の設計自由度を高めることができる。更に、照射状態を変化させるための照射状態変化部材の動作は外側動作部材の駆動手段によるものとされて動力源も余分に設ける必要がないので、低コストで多様な光の照射状態に対応させることができる。
【0319】
なお、照射状態の変化とは、光の照射方向の変化、光の通過量の変化、色の変化、拡散又は集光状態の変化又はこれらの2つ以上の組合せを意味している。
【0320】
<特徴B群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。この演出の一部として静止状態の装飾体を発光させ、または、モータ等により動作する動作部材によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置して、この動作部材の動作を演出に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出が行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
【0321】
しかしながら、遊技者によって視認可能な位置に配置される動作部材等に対して文字や図形等の表示対象による装飾を付す場合、表示対象を形成する外周形状を単調にすることで文字や図形の識別が容易化されるものの装飾としての効果が低下する。一方、文字の形とは別の複雑な装飾部分を外周形状の一部として表示対象に付加してしまうと表示対象が識別し難くなり、遊技者に表示対象の識別に負担を強いてしまう等の不具合が生じてしまうという問題点があった。
【0322】
<特徴B1>
遊技者が位置する前側より視認可能であって少なくとも1の文字、図形、記号若しくは象形物によって構成される所定の表示対象(「覇」及び「王」の各文字)が表示される対象表示面(文字表示面330)を有する装飾手段(動作ユニット221)を備えた遊技機において、
前記所定の表示対象の表示部として、該所定の表示対象を形成する外周形状の少なくとも一部において当該所定の表示対象の識別に不必要な内側に凹んだ凹部(装飾凹部374)により外周部分が形成された装飾表示部(文字線371に対応した文字表示部352A,362A)と、
該装飾表示部に対して外側位置にて当該装飾表示部の外周形状に沿って当該装飾表示部を囲う枠線状であって、当該装飾表示部の凹部の外側部分において当該凹部に対応した部位が設けられることなく連続し、又は当該凹部に対して凹み量が少なく設定された外周輪郭部(外周輪郭線373に対応した外周輪郭部352C,362C)とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【0323】
特徴B1記載の遊技機によれば、文字等の外周形状を複雑化しつつも表示対象の識別が容易な装飾部を有する遊技機を提供することができる。すなわち、装飾表示部には、所定の表示対象の識別に不必要な内側に凹んだ凹部が設けられるので、所定の表示対象の外周形状を複雑にして装飾効果の高い表示対象を遊技者に視認させることができる。また、装飾表示部の凹部の外側部分においては、装飾表示部における凹部に対応した部位が設けられることなく連続した外周輪郭部が設けられ、この外周輪郭部が装飾表示部の外周形状に沿って装飾表示部を囲う枠状に形成されている。このため、遊技者は、外周輪郭部を視認することで表示対象の外周形状を補完して識別することができ、外周輪郭部を設けない場合に比べて所定の表示対象を容易に識別することができる。よって、例えば、遊技者が短時間しか視認し得ない高速で動作する動作部材であっても、複雑な外周形状の表示対象を設定可能としつつ、遊技者が演出の一部として所定の表示対象を識別し易いものとすることができる。
【0324】
なお、特徴B1における対象表示面は、必ずしも遊技者が位置する前側より常時視認可能とされるものとする必要はなく、装飾手段の少なくとも一部が動作可能に設けられて所定の表示対象が視認不能とされる場合があっても良く、又は、装飾手段に対して相対移動可能な動作部材により所定の表示対象が視認不能とされる場合があっても良い。
【0325】
<特徴B2>
前記所定の表示対象は、連続又は断続した線状の部位により形成される文字又は図形等の表示対象であり、
前記外周輪郭部を形成する枠の線幅は、前記装飾表示部における線幅に対して、略10分の1以下の細幅に設定されていることを特徴とする特徴B1記載の遊技機。
【0326】
特徴B2記載の遊技機によれば、外周輪郭部は、装飾表示部に比べて相当小さく形成することで、装飾表示部の形成領域を大きく確保し、文字又は図形等の表示対象の装飾効果が発揮され易いものとすることができる。
【0327】
<特徴B3>
前記装飾表示部及び前記外周輪郭部の裏面側には、前記装飾表示部と前記外周輪郭部とを発光させる発光手段(文字用LED356)が設けられ、
前記装飾表示部と前記外周輪郭部との間部分には、前記発光手段による光が透過しない又は前記装飾表示部及び前記外周輪郭部より前記発光手段による光が透過し難い枠状に構成された内側輪郭部(文字輪郭線372に対応した文字輪郭部352B,362B)が設けられ、
前記装飾表示部と前記外周輪郭部との間隔に相当する前記内側輪郭部の幅は、前記装飾表示部の線幅以下に設定され、且つ、前記外周輪郭部の枠の線幅に対して太く設定されていることを特徴とする特徴B1又はB2記載の遊技機。
【0328】
特徴B3記載の遊技機によれば、発光手段の発光により装飾表示部と外周輪郭部とが発光する一方で、その間部分の内側輪郭部が相対的に暗くなるので、装飾表示部から離間して設けられる外周輪郭部が細幅であっても形状が認識し易い目立った態様とすることができる。
【0329】
また、内側輪郭部の幅は、装飾表示部の線幅以下に設定されているので装飾表示部の形成領域を大きく確保することができ、また、外周輪郭部の枠の線幅に対しては太く設定されているので、装飾表示部に設けた凹部による外周形状の変化部分が外周輪郭線によって接続されてしまうことが抑制され、所定の表示対象の装飾効果が発揮され易いものとすることができる。
【0330】
<特徴B4>
前記装飾表示部には、前記凹部として、前記所定の表示対象の外周形状の一部に対して略一定距離離間した内側位置にて前記所定の表示対象の外形に沿って略一定幅で連続し、その連続する方向に沿った両端側部分が略円弧状に膨出して形成された線状溝部(線状溝部376)と、該線状溝部より短い長さ範囲で前記線状溝部と前記所定の表示対象の外周部分とを接続する接続部(輪郭接続部377)とが設けられていることを特徴とする特徴B1からB3のいずれかに記載の遊技機。
【0331】
特徴B4記載の遊技機によれば、接続部を通じて所定の表示対象の外周の内側に線状溝部が大きく形成されることとなり、表示対象の形状として斬新さが加えられて装飾効果の高い対象表示面を形成することができる。また、線状溝部の長さより短い幅範囲で外周部分と線状部とが接続部により接続され、この接続部に対して外側に外周輪郭部が位置して、所定の表示対象の外周形状を補完する形となる。このため、装飾表示部により表現された所定の表示対象は、遊技者が識別し易いものとすることができる。
【0332】
<特徴B5>
前記装飾表示部及び前記外周輪郭部の裏面側には、前記装飾表示部及び前記外周輪郭部を発光させる発光手段が設けられ、
該発光手段は、前記外周輪郭部の裏面側における複数の箇所から前記装飾表示部の中央側に向けて光を照射する複数の発光部(文字用LED356)と、当該複数の発光部により照射された光を導光して装飾表示部及び前記外周輪郭部の前側に照射する導光部(導光板353B,363B)とを有するものであることを特徴とする特徴とする特徴B1からB4のいずれかに記載の遊技機。
【0333】
特徴B5記載の遊技機によれば、装飾表示部と外周輪郭部とを同一の発光手段を利用して発光させることができるので、装飾表示部と外周輪郭部との近接した部分を同一の態様で発光可能としつつ、発光手段を共通化して装飾表示部と外周輪郭部とを低コストで発光させることができる。また、複数の発光部が外周輪郭部近くに設けられることで、外周輪郭部の輝度を高く設定し易く、細幅の外周輪郭部であっても外周輪郭部の形状を認識し易いものとすることができる。
【0334】
<特徴B6>
前記複数の発光部のうち少なくとも一部の発光部は、前記外周輪郭部の裏面側であって前記凹部が設けられた部位に対応した外側位置に設けられていることを特徴とする特徴B5記載の遊技機。
【0335】
特徴B6記載の遊技機によれば、装飾表示部の凹部が設けられた部位に対応した外側位置において外周輪郭部を高輝度で発光させることができる。よって、装飾表示部の凹部の設定により識別し難くなった箇所の外周形状が外周輪郭部の中でも目立ち易く、所定の表示対象を識別し易いものとすることができる。
【0336】
<特徴C群>
遊技機の一種として、例えば、スロットマシンにおいては、始動操作が行われることにより入賞する役の抽選等、各種の抽選が制御装置により行われ、抽選結果に応じた停止図柄が停止する。そして、この停止図柄に応じた特典が遊技者に付与されるため、遊技者は高価値の抽選結果を期待して遊技を行うこととなる。始動操作が行われてから図柄が停止するまでの間には、抽選結果に応じた色でリールの周りが発光したり、液晶表示装置に停止図柄の内容に対応した絵柄を表示したりして遊技者に抽選結果を期待させる演出が行われる。この演出の一部として静止状態の装飾体を発光させ、または、モータ等により動作する動作部材によって構成される装飾体を遊技者から視認可能な位置に配置して、この動作部材の動作を演出に付加することで遊技者を驚かせ、その後の結果に対する期待感を高揚させる演出が行われている(例えば、特開2008−173166号公報参照)。
【0337】
しかしながら、設置領域及び製品コストが限られている中で、見栄えの良い装飾を遊技機に付加することが難しいという問題点があった。
【0338】
<特徴C1>
裏側を透視可能な複数の視認部(視認窓406)が設けられ、前後方向に交差する一方側を基端側として突出先端側に突出して設けられた前側装飾部(前側装飾部405)と、
該前側装飾部の裏面に対して後側に離間して設けられ、前記視認部を通じて前記前面側から視認可能とされた後側装飾部(後側装飾部407)と、
前記前側装飾部の一部を発光させるための発光手段とを備えた遊技機であって、
前記前側装飾部には、前記視認部の隣に、又は前記視認部と離間した少なくとも1カ所以上に設けられ、前記発光手段によって裏面側から光を入射して前面が発光可能とされた透光性を有する発光装飾部(レンズ部412B)と、
該発光装飾部及び前記視認部を囲う形状であって、前記視認部及び前記発光装飾部に比して裏面側が視認困難に、又は裏面側が視認不能に構成された窓枠部(窓枠部421)とが設けられ、
前記発光手段は、前記前側装飾部の裏側における前記基端側において前記突出先端側に一面が向けられた状態で前後方向に板面が連続して配置される発光基板(発光基板433)と、
該発光基板における前記突出先端側を向いた一面に搭載された発光体(装飾用LED417)と、
一端側が前記発光体に対面し、他端側が前記発光装飾部の裏面側に重なる位置まで連続して形成された透光性を有する導光部(導光軸部413C)とを有し、
該導光部は、前記視認部の裏面側を避けて、前記窓枠部及び前記発光装飾部の裏面側に配置されていることを特徴とする遊技機。
【0339】
特徴C1記載の遊技機によれば、設置領域及び製品コストが限られている中で、見栄えの良い装飾を付加することが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、前側装飾部としての窓枠部と発光する発光装飾部との組合せによる装飾に加えて、視認部から後側装飾部の一部が視認可能とされることで、枠状の部位及び発光する部位に対して奥側にずれた位置に装飾部が視認可能とされた立体的な装飾を形成することができる。よって、前面側から見て小さな領域内に一部が発光可能な立体的な装飾を形成することができる。
【0340】
また、発光体が搭載された発光基板は、前側装飾部の基端側に設けられて前後方向に板面が連続し、突出先端側を一面が向いて配置されるので、前側装飾部と後側装飾部との間に発光基板を配置する必要が無い。このため、透明な基板を用いたり、複数個所を発光させるために複数の基板を用いたりする必要がなく、立体的な装飾に対して低コストで前側装飾部の一部を発光させることができる。
【0341】
更に、導光部の連続した経路に沿って発光体の光が発光装飾部の裏面側に重なる位置まで導光されるので、発光体の発光に対応して発光装飾部を発光させることができる。この場合において、導光部は、窓枠部及び発光装飾部の裏面側に配置されているので、導光部の途中で光が漏れて導光部の周りが発光しても、窓枠部においては裏面側が視認困難又は視認不能に構成されているため導光部の光漏れが目立たず、発光装飾部においては導光部から漏れた光も考慮して設計しておくことで光漏れによる問題も生じ難い。よって、前側装飾部と後側装飾部とによる立体的な装飾に対して見栄えの良い発光による装飾を付加することができる。
【0342】
<特徴C2>
前記発光装飾部は、前面側視において外形略円形状に形成され、
前記窓枠部は、前記発光装飾部の外周の一部であって前記発光装飾部の裏面側に位置する前記導光部が連続する側の外形に沿った円弧形状を含む外形とされ、
前記窓枠部には、前記発光装飾部と前記視認部との双方を囲う部位であって、前記発光装飾部の外形に対して前記基端側以外の方向側に前記視認部が連続した非円形状とされた貫通部(貫通穴411A)が設けられていることを特徴とする特徴C1記載の遊技機。
【0343】
特徴C2記載の遊技機によれば、発光装飾部の外周の一部であって発光装飾部の裏面側に位置する導光部が連続する側の外形に沿った円弧形状を含む外形に窓枠部が形成されているので、窓枠部の裏面側を経由して発光装飾部に連続する導光部からの光が窓枠部に遮断され、導光部から前側装飾部の前側に光が漏れることを防止し、見栄えの低下を抑制することができる。また、発光装飾部の外形とは異なる非円形状の貫通部が窓枠部に設けられるので、視認部と発光装飾部とが連続した装飾とすることで、発光装飾部に対応した単調な窓枠部の形状とはならずにデザイン自由度の高い装飾を付すことができる。
【0344】
<特徴C3>
前記導光部は、前記前側装飾部の前記基端側から前記中央側に連続し、断面略円形で連続して形成されると共に、前記発光装飾部の裏面側に近い側の端部において該裏面に近づく方向側に屈曲して形成され、
該導光部の外面から光が出力されて前記後側装飾部の前面に照射されることを特徴とする特徴C1又はC2に記載の遊技機。
【0345】
特徴C3記載の遊技機によれば、導光部の外面から出力した光が後側装飾部の前面に照射され、後側装飾部の前面が発光する。このため、前側装飾部により視認性が低下した後側装飾部に対してコスト増を抑えつつ見栄えを向上することができる。また、後側装飾部の前面側から光を照射して前面全体を発光させることができ、遊技者の視線方向が変化しても視認部を通じて視認された部位を発光し易くすることができる。
【0346】
<特徴C4>
前記発光装飾部及び前記導光部は、前記発光基板の板面が連続する方向に沿って複数設けられ、
前記窓枠部の裏面側には、前後方向に厚みを有する板状であって隣り合う複数の導光部を前記窓枠部の裏面側にて接続する導光接続部(導光接続部413D)が前記導光部と一体成形により形成され、
該導光接続部の一部が前記窓枠部の裏面側に固定されることにより前記導光部が取り付けられていることを特徴とする特徴C1からC3のいずれかに記載の遊技機。
【0347】
特徴C4記載の遊技機によれば、複数の導光部が導光接続部により接続されているため、複数の導光部を一体的に取り扱うことができて、組み付け等の作業性を向上することができる。また、板状の導光接続部により後側装飾部の前面側を覆う領域が広範囲となり、導光接続部から出力される光により後側装飾部に照射される光の照射範囲を拡張することができ、後側装飾部に対する装飾効果も高めることができる。更に、導光接続部が窓枠部の裏面側に固定されることにより導光部が取り付けられているので、前側装飾部と後側装飾部との間部分に対して前側装飾部の突出端側から前側装飾部の裏面側が覗き込まれても、導光接続部及び導光部の存在が視認し難く、低コストで見栄えの良い装飾表示を実現することができる。
【0348】
なお、特徴A1〜A5、特徴B1〜B6および特徴C1〜C4に記載のいずれか1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0349】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0350】
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【産業上の利用可能性】
【0351】
以上のように、この発明は、スロットマシン等の遊技機に適している。
【符号の説明】
【0352】
10…スロットマシン、221…動作ユニット、227…駆動ユニット、231C…案内溝部、301L,301R,302L,302R…扉体、321A…案内突部、330…文字表示面、331…平面部、332…前側突出部、352,362…透明カバー、352A,362A…文字表示部、352B,362B…文字輪郭部、352C,362C…外周輪郭部、353B,363B…導光板、354,364…発光基板、354A,364A…内縁、356…文字用LED、374…装飾凹部、376…線状溝部、377…輪郭接続部、406…視認窓、407…後側装飾部、412B…レンズ部、413C…導光軸部、413D…導光接続部、417…装飾用LED、421…窓枠部、433…発光基板、454…発光部、501…カバー体
図1
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