特許第6439967号(P6439967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6439967吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439967
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震化方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   E04B9/18 F
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-215168(P2014-215168)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-79769(P2016-79769A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】仙洞田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小前 健太郎
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−177801(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0172907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される天井下地に、天井面を形成する天井材を取り付けてなる吊り天井構造において、
前記天井材の下方に且つ前記天井面に沿って配設される引張材と、前記引張材と前記建物躯体を接続する引張材接続構造とを備え、
前記引張材接続構造が、躯体接続手段によって前記建物躯体に接続して支持され、前記天井下地及び前記天井材からなる天井部に沿って配設される引張材保持部材と、前記引張材保持部材に前記引張材の端部を接続する端部接続部材とを備えて構成され、
前記端部接続部材が、前記引張材保持部材に固着した固着部と、前記固着部に一端を固着して横方向に延設され、前記引張材の端部を接合する接続部とを備えて形成されており、
前記躯体接続手段が、前記上部構造に上端を接続して天井裏空間内に配設される連結吊り材と、前記天井材の下方に下端側を、前記天井裏空間に上端側を配し、上端側に前記連結吊り材の下端をボルト接合し、下端側に前記引張材保持部材をボルト接合する保持部材側連結材とを備えて構成されていることを特徴とする吊り天井構造。
【請求項2】
請求項記載の吊り天井構造において、
前記上部構造に上端を接続し、下端同士を接続して前記天井裏空間内に配設される垂設連結吊り材及び斜設連結吊り材を前記連結吊り材として備えていることを特徴とする吊り天井構造。
【請求項3】
吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される天井下地に、天井面を形成する天井材を取り付けてなる吊り天井構造の耐震化方法であって、
前記天井材の下方に且つ前記天井面に沿って引張材を配設する引張材設置工程と、
前記上部構造に上端を接続して天井裏空間内に連結吊り材を配設する連結吊り材設置工程と、
前記天井材の下方に下端側を、前記天井裏空間に上端側を配し、上端側に前記連結吊り材の下端を接合して保持部材側連結材を配設する保持部材側連結材設置工程と、
前記天井下地及び前記天井材からなる天井部の外周端部に沿って引張材保持部材を配設するとともに、該引張材保持部材を前記保持部材側連結材にボルト接合する引張材保持部材設置工程と、
前記引張材保持部材に固着した端部接続部材と前記引張材の端部を接合する引張材接続工程とを備えることを特徴とする吊り天井構造の耐震化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井の構造及び吊り天井構造の耐震化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば学校、病院、生産施設、体育館、プール、空港ターミナルビル、オフィスビル、劇場、シネコン等の建物の天井として、吊り天井が多用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そして、吊り天井(吊り天井構造)Aには、例えば図7に示すように、水平の一方向T1に所定の間隔をあけて並設される複数の野縁1と、野縁1に直交し、水平の他方向T2に所定の間隔をあけて並設され、複数の野縁1に一体に接続して設けられる複数の野縁受け2と、下端を野縁受け2に接続し、上端を上階の床材等の上部構造(建物躯体)3に固着して配設される複数の吊りボルト(吊り部材)4と、野縁1と野縁受け2からなる格子状の天井下地7(野縁1の下面)にビス留めして一体に取り付けられ、天井面(天井部5)を形成する石膏ボードなどの天井パネル(天井材)6とを備えて構成したものがある。
【0003】
また、例えば図8に示すように、クリーンルームのようにファンフィルターユニット等の大重量の設備機器を天井部5に設置する必要がある吊り天井(吊り天井構造)Aには、水平の一方向T1に所定の間隔をあけて並設され、一方向T1に直交する他方向T2に延びる複数のTバー(断面逆T型の支持部材)8と、上端を上部構造に固着し、下端側をTバー8に接続して配設された複数の吊りボルト(吊り部材)4と、Tバー8などからなる天井下地7にビス留めして一体に取り付けられて天井面(天井部5)を形成する天井パネル(天井材)6とを備えて構成したものもある。
【0004】
ここで、このように野縁1及び野縁受け2や、Tバー8等の天井下地7と天井パネル6を吊りボルト4で吊り下げ支持してなる吊り天井Aは、その構造上、地震時に作用する水平力によって横揺れしやすい。そして、地震時に横揺れして、天井部5の端部5aが壁や柱、梁などの建物構成部材(建物躯体)9に衝突し、天井パネル6に破損が生じたり、脱落が生じるおそれがあった。
【0005】
このため、従来、上部構造3などに上端側を接続し、下端側を吊りボルト4や、野縁1、野縁受け2、Tバー8などの天井下地7に接続して補強ブレース10を設け、天井下地7及び天井パネル6からなる天井部5の地震時の横揺れを抑えるようにしている(図8参照)。
【0006】
一方、補強ブレース10による耐震補強、耐震改修を行う際には、天井裏空間Hに作業員が入って取付作業を行うことが必要になる。このため、天井裏空間Hに配設された配線、配管、エアコン等の付帯設備などによって、補強できる範囲に制限が生じ、十分に対応できないケースがある。また、天井下地7などにJIS材ではない低強度の一般材が使用され、補強後の性能が不安定で十分な改修精度を確保できないケースや、点付け溶接部などがあることで対応できないケースもある。
【0007】
これに対し、例えば図9に示すように、天井部5の下方に且つ天井部5に沿って横方向に、例えば溝形鋼などの断面略逆U字状で略棒状の引張材(補剛材、サポート材)11を配設し、この引張材11の両端部をそれぞれ建物躯体3、9に接続し、中間部を天井部5の下方から天井材6及び/又は天井下地7にタッピングビス等で接続固定してなる吊り天井構造Bが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
このように溝形鋼などの略棒状の引張材11を天井部5の下方に且つ天井部5に沿って配設してなる吊り天井構造B(グリッドサポート工法)においては、地震時に、引張材11によって天井部5を建物躯体3、9と一体に挙動させることができ、天井部5の揺れを抑制することが可能になる。
【0009】
また、引張材11の中間部をビスなどの接続固定手段を用い、天井部5の下方から天井材6及び/又は天井下地7に固定するようにしたことで、引張材11の設置時に天井裏空間H内での作業をほとんど不要にすることが可能で、施工性を大幅に向上させることができる。
【0010】
これにより、既設の吊り天井構造Aに引張材11を取り付けて耐震性能の向上を図る耐震改修を行う場合であっても、天井裏空間H内での危険作業が不要で、天井裏空間H内に設けられている付帯設備、建物躯体3とのクリアランスの関係で施工できない範囲が生じるという不都合を解消することができ、必要工期の短縮、コストの低減を図ることが可能になる。
【0011】
また、耐震改修後もエアコン、照明などの天井部付帯設備のメンテナンスを容易に行なうことができる。さらに、天井下地7の野縁1、野縁受け2、Tバー8などにJIS材と一般材のどちらが使用されていても、また、新設、既設の吊り天井構造であっても、さらに天井材6がいかなる材質であっても対応可能で、確実に耐震性能の向上を図ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−121371号公報
【特許文献2】特開2005−350950号公報
【特許文献3】特開2013−177801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、溝形鋼などの引張材を設けて吊り天井構造の耐震化を図る場合において、現状では引張材の端部を建物躯体に接続する手法が確立されているとは言えず、施工性、信頼性に優れた引張材の端部の接続構造の開発が強く望まれている。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、天井材や天井下地に固着して設置される略棒状の引張材の端部を建物躯体などに好適に接続することを可能にした吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0016】
本発明の吊り天井構造は、吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される天井下地に、天井面を形成する天井材を取り付けてなる吊り天井構造において、前記天井材の下方に且つ前記天井面に沿って配設される引張材と、前記引張材と前記建物躯体を接続する引張材接続構造とを備え、前記引張材接続構造が、躯体接続手段によって前記建物躯体に接続して支持され、前記天井下地及び前記天井材からなる天井部に沿って配設される引張材保持部材と、前記引張材保持部材に前記引張材の端部を接続する端部接続部材とを備えて構成され、前記端部接続部材が、前記引張材保持部材に固着した固着部と、前記固着部に一端を固着して横方向に延設され、前記引張材の端部を接合する接続部とを備えて形成されており、前記躯体接続手段が、前記上部構造に上端を接続して天井裏空間内に配設される連結吊り材と、前記天井材の下方に下端側を、前記天井裏空間に上端側を配し、上端側に前記連結吊り材の下端をボルト接合し、下端側に前記引張材保持部材をボルト接合する保持部材側連結材とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の吊り天井構造の耐震改修方法は、吊り部材を介して建物躯体の上部構造に吊り下げ支持される天井下地に、天井面を形成する天井材を取り付けてなる吊り天井構造の耐震化方法であって、前記天井材の下方に且つ前記天井面に沿って引張材を配設する引張材設置工程と、前記上部構造に上端を接続して天井裏空間内に連結吊り材を配設する連結吊り材設置工程と、前記天井材の下方に下端側を、前記天井裏空間に上端側を配し、上端側に前記連結吊り材の下端を接合して保持部材側連結材を配設する保持部材側連結材設置工程と、前記天井下地及び前記天井材からなる天井部の外周端部に沿って引張材保持部材を配設するとともに、該引張材保持部材を前記保持部材側連結材にボルト接合する引張材保持部材設置工程と、前記引張材保持部材に固着した端部接続部材と前記引張材の端部を接合する引張材接続工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
これらの発明においては、引張材(補剛材、サポート材)と建物躯体を接続する引張材接続構造として躯体接続手段と引張材保持部材と端部接続部材を備えるようにし、端部接続部材を固着した引張材保持部材を所定位置に配置するとともに躯体接続手段で支持させ、端部接続部材の接続部に引張材を接合することで、施工性、信頼性を確保して好適に引張材の端部を建物躯体に接続することが可能になる。
【0020】
この発明においては、躯体接続手段として連結吊り材と保持部材側連結材を備えるようにし、上部構造に上端を接続して天井裏空間内に連結吊り材を設置し、この連結吊り材の下端側にボルト接合して保持部材側連結材を取り付け、この保持部材側連結材の下端側に引張材保持部材をボルト接合することで、施工性、信頼性を確保して好適に引張材保持部材を天井部の外周端部に沿って設置することが可能になる。
【0021】
さらに、本発明の吊り天井構造においては、前記上部構造に上端を接続し、下端同士を接続して前記天井裏空間内に配設される垂設連結吊り材及び斜設連結吊り材を前記連結吊り材として備えていることがより望ましい。
【0022】
この発明においては、連結吊り材として、上部構造に上端を接続して垂設される垂設連結吊り材と、上部構造に上端を接続して斜設される斜設連結吊り材を備え、これら垂設連結吊り材と斜設連結吊り材の下端同士を接続し、この下端同士の接続部分に保持部材側連結材を介して引張材保持部材を接続する。これにより、地震時に引張材に作用する引張力を垂設連結吊り材と斜設連結吊り材に分散させて支持することができ、引張材によって吊り天井構造の横揺れを効果的に抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の吊り天井構造によれば、天井材や天井下地に固着して設置される略棒状の引張材の端部を建物躯体などに好適に接続することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る吊り天井構造の引張材接続構造を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る引張材接続構造の引張材保持部材を設置する状況を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る引張材接続構造の引張材保持部材を設置する状況を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る引張材接続構造の端部接続部材を示す下方側から見た平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る引張材接続構造の端部接続部材を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る引張材接続構造の引張材保持部材と保持側連結材をボルト接合する際に用いるボルト取付用治具を示す図である。
図7】従来の吊り天井構造を示す斜視図である。
図8】従来の吊り天井構造を示す斜視図である。
図9】引張材を備えた吊り天井構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1から図6図9を参照し、本発明の一実施形態に係る吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震化方法について説明する。ここで、本実施形態は、例えば学校、病院、生産施設、体育館、プール、空港ターミナルビル、オフィスビル、劇場、シネコン等の建物の天井として用いられる吊り天井の構造に関するものである。
【0026】
本実施形態の吊り天井(吊り天井構造)Cは、図9に示すように、野縁1と野縁受け2と吊り部材(吊りボルト)4と天井材6とを備えて構成されている。
【0027】
野縁1は、例えば断面コ字状に形成された溝形鋼であり、水平に延設され、且つ水平の一方向の横方向T1に所定の間隔をあけ、平行に複数配設されている。
【0028】
野縁受け2は、例えば断面コ字状に形成された溝形鋼であり、水平に延設され、且つ水平の他方向の横方向T2に所定の間隔をあけ、平行に複数配設されている。また、このとき、野縁受け2は、野縁1と交差するように配設されるとともに、複数の野縁1上に載置した状態で配設される。そして、各野縁受け2は、野縁1と交差する部分で、野縁接続用金具(クリップ)を使用することにより野縁1に接続されている。
【0029】
吊り部材4は、円柱棒状に形成されるとともに外周面に雄ネジの螺刻を有する吊りボルトであり、建物躯体の鉄骨梁(躯体梁)などの上部構造3に固着、または鋼製の根太等に緊結して垂下され、下端側を、吊り部材接続用金具(ハンガー)を用いることにより野縁受け2に接続して複数配設されている。また、複数の吊り部材4は、所定の間隔をあけて分散配置されている。
【0030】
天井材(天井パネル)6は、2枚のボードを貼り付けて一体に積層形成したものであり、例えば天井付帯設備等の重量と併せて、1mあたり20kg程度の重量で形成されている。そして、この天井材6は、複数の野縁1の下面にビス留めなどして設置されている。なお、天井材6は、1枚および3枚以上のボードで構成されていてもよい。
【0031】
そして、この吊り天井Cでは、吊り部材4を介して建物の上部構造3に、野縁1と野縁受け2と天井材6とが吊り下げ支持されている。また、野縁1と野縁受け2によって天井下地7が形成され、この天井下地7と天井下地7に取り付けた天井材6によって天井部5、この天井部5によって下階の天井面が形成されている。
【0032】
一方、本実施形態の吊り天井Cにおいては、図1図9に示すように、天井部5の下方に、且つ天井部5の下面(天井面)に沿って水平に配設された略棒状の引張材(補剛材、サポート材)11と、引張材11と建物躯体の上部構造3を接続する引張材接続構造15とを備えている。
なお、建物躯体は特に限定する必要はなく、RC梁でも何でも構わない。
【0033】
引張材11は、例えばアルミ押出形鋼、スチール部材などで形成した溝形鋼であり、一対の側壁部11aと一対の側壁部の上端同士を繋ぐ連設部11bとを備えて断面略コ字状(断面略逆U字状)に形成されている(図4図5参照)。
【0034】
また、引張材11は、その中間部を天井部5の下方からタッピングビスなどの接続固定手段で天井材6(天井部5)及び野縁1の天井下地7に固定して設けられている。そして、本実施形態では、このような引張材11が天井部5の下方で例えば900〜2400mmピッチの格子状(グリッド状)に配設されている。
【0035】
引張材接続構造15は、図1から図3に示すように、躯体接続手段16によって建物躯体に接続して支持され、天井下地7及び天井材6からなる天井部5の外周端部5aに沿って配設される引張材保持部材17と、引張材保持部材17に引張材11の端部を接続する端部接続部材18とを備えて構成されている。引張材保持部材17は、例えばH形鋼、I形鋼、溝形鋼などの形鋼が使用されている。
【0036】
また、躯体接続手段16は、図1に示すように、上部構造3に上端を接続して天井裏空間H内に配設される連結吊り材19と、天井材6の下方に下端側を、天井裏空間Hに上端側を配し、上端側に連結吊り材19の下端をボルト接合し、下端側に引張材保持部材17をボルト接合する保持部材側連結材20とを備えて構成されている。
【0037】
また、本実施形態の連結吊り材19は、図1から図3に示すように、天井部5の外周端部5aに沿う方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。さらに、上部構造3に上端を接続し、下端同士を接続して天井裏空間H内に配設される垂設連結吊り材19a及び斜設連結吊り材19bの一対の連結吊り材19を複数備えて構成されている。
【0038】
本実施形態の保持部材側連結材20は、上下方向T3に延びる上側接続部20aと、横方向に延びる下側接続部20bとを備えて逆T字状に形成されている。また、下側接続部20bは、平板状に形成され、上下方向T3に板面を向けて配設されており、上側接続部20aを挟んで横方向の両側にそれぞれ、上面から下面に貫通する複数のボルト挿通孔21が形成されている。
【0039】
この保持部材側連結材20は、天井材6に貫通形成した挿通孔22に上側接続部20aを下方から挿通することにより、上端側を天井裏空間Hに、下端側の下側接続部20bを所定の間隔をあけて天井材6の下方にそれぞれ配して設けられている。
【0040】
また、本実施形態では、保持部材側連結材20の下側接続部20bにウェブが重なるように、且つ下側接続部20bのボルト挿通孔21と、ウェブに貫通形成されたボルト挿通孔23が連通するようにして、H形鋼、I形鋼、溝形鋼などの引張材保持部材17が配設されている。そして、互いのボルト挿通孔21、23にボルト(高力ボルト)24を挿通しナット25を締結することにより、引張材保持部材17が連結吊り材19、保持部材側連結材20を介して建物躯体の上部構造3に接続支持され、天井部5の外周に沿って配設されている。
【0041】
さらに、引張材保持部材17には、図2から図5に示すように、所定位置に、フランジに溶接などして固着され、天井部5の内側に突設し、引張材11の端部を引張材保持部材17に接続するための端部接続部材18が一体に取り付けられている。
【0042】
また、本実施形態の端部接続部材18は、平板状に形成され、一端を引張材保持部材17のフランジに固着し、上下方向T3に板面を向けて配設された固着部26と、固着部26に一端を固着して横方向に延設され、引張材11の端部をボルト接合する接続部27とを備えて形成されている。また、本実施形態では、接続部27が一対の側壁部27aと一対の側壁部27aの上端同士を繋ぐ連設部27bとを備えて断面コ字状(逆U字状)に形成され、連設部27bを固着部26の下面に溶接などして固着されている。さらに、接続部27は、延出方向先端側の側壁部27aに複数のボルト挿通孔が貫通形成されている。
【0043】
この接続部27の先端側に引張材11の端部を重ねるように配置し、互いのボルト挿通孔を連通させ、ボルト28を挿通するとともにナット29を締結することによって、引張材11の端部が端部接続部材18にボルト接合されている。
【0044】
上記のように構成した引張材11と引張材接続構造15を設置して吊り天井Cを耐震化する場合には(本実施形態の吊り天井構造の耐震化方法では)、天井材6の下方に且つ天井面に沿って引張材11を配設する(引張材設置工程)。
【0045】
また、これとともに、上部構造3に上端を接続して天井裏空間H内に連結吊り材19を配設し(連結吊り材設置工程)、天井材6の下方に下端側を、天井裏空間Hに上端側を配し、上端側に連結吊り材19の下端をボルト接合して保持部材側連結材20を配設する(保持部材側連結材設置工程)。
【0046】
さらに、天井下地7及び天井材6からなる天井部5の外周端部5aに沿って引張材保持部材17を配設するとともに、この引張材保持部材17を保持部材側連結材20にボルト接合する(引張材保持部材設置工程)。そして、引張材保持部材17に固着した端部接続部材18と引張材11の端部をボルト接合する(引張材接続工程)。
【0047】
ここで、保持部材側連結材20の下側接続部20bに引張材保持部材17のウェブをボルト接合する際には、下側接続部20b及びウェブと天井材6との間の隙間が非常に小さくなる。このため、作業者の手が入らず、このボルト接合作業が困難になることも考えられる。
【0048】
これに対し、本実施形態では、図3図6に示すように、ボルト取付用治具30を用いる。このボルト取付用治具30は、ワイヤー、チェーンなどのフレキシブルな索体や鎖体などの線状体31の先端に、シリコンパイプなどの弾性を有する管材32を取り付けて構成されている。そして、線状体31を保持部材側連結材20の下側接続部20b及び引張材保持部材17のウェブと天井材6との間の隙間に通し、ボルト挿通孔21、23に挿通させる。また、管材32の先端にボルト24の軸部を差し込んで保持させる。この状態で、線状体31を引っぱって管材32及びボルト24の軸部をボルト挿通孔21、23に挿通させ、管材32からボルトを取り外す。
【0049】
これにより、保持部材側連結材20の下側接続部20b及び引張材保持部材17のウェブと天井材6との間の隙間が非常に小さく、作業者の手が入らない場合であっても、容易にボルト24をボルト挿通孔21、23に挿通させ、ナット25を締結することができる。
【0050】
したがって、本実施形態の吊り天井構造Cにおいては、引張材11と建物躯体を接続する引張材接続構造15として躯体接続手段16と引張材保持部材17と端部接続部材18を備えるようにし、端部接続部材18を固着した引張材保持部材17を所定位置に配置するとともに躯体接続手段16で支持させ、端部接続部材18の接続部27に引張材11をボルト接合することで、施工性、信頼性を確保して好適に引張材11の端部を建物躯体に接続することが可能になる。
【0051】
また、躯体接続手段16として連結吊り材19と保持部材側連結材20を備えるようにし、上部構造3に上端を接続して天井裏空間H内に連結吊り材19を設置し、この連結吊り材19の下端側にボルト接合して保持部材側連結材20を取り付け、この保持部材側連結材20の下端側に引張材保持部材17をボルト接合することで、施工性、信頼性を確保して好適に引張材保持部材17を天井部5の外周端部5aに沿って設置することが可能になる。
【0052】
さらに、連結吊り材19として、上部構造3に上端を接続して垂設される垂設連結吊り材19aと、上部構造3に上端を接続して斜設される斜設連結吊り材19bを備え、これら垂設連結吊り材19aと斜設連結吊り材19bの下端同士を接続し、この下端同士の接続部分に保持部材側連結材20を介して引張材保持部材17を接続する。これにより、地震時に引張材11に作用する引張力を垂設連結吊り材19aと斜設連結吊り材19bに分散させて支持することができ、引張材11によって吊り天井構造Cの横揺れを効果的に抑えることが可能になる。
【0053】
また、本実施形態の吊り天井構造の耐震改修方法においては、索体又は鎖体の線状体31の先端に弾性を有する管体32を取り付けてなるボルト取付用治具30を用い、このボルト取付用治具30の管体32の先端に軸部を嵌合させて着脱可能にボルト24を取り付け、引張材保持部材17と保持部材側連結材20にそれぞれ形成されて互いに連通するボルト挿通孔21、23に線状体31を挿通させ、線状体31を引っぱって管体32及びボルト24の軸部をボルト挿通孔21、23に挿通させる。
これにより、ボルト24の軸部から管体32を取り外し、ボルト24の軸部にナット25を締結することで引張材保持部材17と保持部材側連結材20をボルト接合することができ、引張材保持部材17と天井材6の間の隙間が小さくても好適にボルト接合作業を行うことが可能になる。
【0054】
よって、本実施形態の吊り天井構造C及び吊り天井構造の耐震改修方法によれば、天井材6や天井下地7に固着して設置される略棒状の引張材11の端部を建物躯体に好適に接続することが可能になる。
【0055】
以上、本発明に係る吊り天井構造及び吊り天井構造の耐震改修方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
例えば、本実施形態では、天井下地7が野縁1と野縁受け2を備えて構成されているものとしたが、本発明に係る天井下地は、必ずしも本実施形態のように限定しなくてもよく、例えば、吊りボルト(吊り部材)4に吊り下げ支持されて水平の一方向T1に所定の間隔をあけて並設されるとともに一方向T1に直交する他方向T2に延びる複数のTバー(断面逆T型の支持部材)を備えて構成した天井下地7であってもよい。すなわち、本発明は、特に天井下地の構成を限定する必要はない。
【0057】
また、本実施形態では、端部接続部材18の接続部27が一対の側壁部27aと連設部27bを備えて断面コ字状に形成され、引張材11の端部を接続部27の一対の側壁部27aにボルト接合するものとして説明を行った。
これに対し、本発明においては、端部接続部材18が引張材保持部材17に固着した固着部26と、固着部26に一端を固着して横方向に延設され、引張材11の端部を接合する接続部27とを備えて形成されていればよい。このため、引張材11と接続部27の接合構造(接合方法)は特に本実施形態のように限定する必要はない。
【0058】
さらに、本実施形態では、引張材保持部材17が天井部5の外周端部5aに沿って(外周端部5a側に)配設されるものとして説明を行ったが、引張材保持部材17は天井部5に沿って配設されていればよく、必ずしも天井部5の外周端部5a側に配設されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 野縁
2 野縁受け
3 上部構造(建物躯体)
4 吊り部材(吊りボルト)
5 天井部
5a 端部
6 天井材(天井パネル)
7 天井下地
8 Tバー
9 建物構成部材(建物躯体)
10 補強ブレース
11 引張材
11a 側壁部
11b 連設部
15 引張材接続構造
16 躯体接続手段
17 引張材保持部材
18 端部接続部材
19 連結吊り材
19a 垂設連結吊り材
19b 斜設連結吊り材
20 保持部材側連結材
20a 上側接続部
20b 下側接続部
21 ボルト挿通孔
22 挿通孔
23 ボルト挿通孔
24 ボルト
25 ナット
26 固着部
27 接続部
27a 側壁部
27b 連設部
28 ボルト
29 ナット
30 ボルト取付用治具
31 線状体
32 管体
A 従来の吊り天井構造
B 従来の吊り天井構造
C 吊り天井構造
H 天井裏空間
T1 横方向(一方向)
T2 横方向(他方向)
T3 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9