特許第6439986号(P6439986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439986
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】燃料電池車
(51)【国際特許分類】
   B60K 8/00 20060101AFI20181210BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20181210BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20181210BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20181210BHJP
【FI】
   B60K8/00
   B60K15/063 B
   H01M8/00 Z
   H01M8/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-31289(P2016-31289)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-149194(P2017-149194A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】大川内 栄治
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009039079(DE,A1)
【文献】 国際公開第2010/140256(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0269624(US,A1)
【文献】 特開2004−187485(JP,A)
【文献】 特開2007−305326(JP,A)
【文献】 特開2003−211982(JP,A)
【文献】 特開2005−212513(JP,A)
【文献】 特開2002−46484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 8/00
B60K 15/063
H01M 8/00 − 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を備えた燃料電池車において、
タンク長手方向が車両前後方向となるように配置されており、ガスが充填される第1のタンクと、
該第1のタンクの車両前後方向の後方に、タンク長手方向が車両左右方向となるように配置される、ガスが充填される第2のタンクと、
前記第1のタンクおよび前記第2のタンクに設けられたガス放出用のバルブと、
前記バルブを経由して前記燃料電池へ供給されるガスを減圧する減圧弁と、
当該燃料電池車の車両の両側に設けられたサイドメンバーと、
前記第2のタンクの後方に配置され、車輪を駆動するモーターと、
をさらに備えており、
ガス流路において、前記第2のタンクの下流には前記第1のタンクがなく、
前記減圧弁は、前記第2のタンクの車両前後方向の後端より後方かつ前記モーターの車両前後方向の後端よりも前方であって、尚かつ、モーターの車両左右方向における側壁の車両前後方向への延長線と前記サイドメンバーとの間の領域であって、前記第2のタンクの前記バルブ側に配置されており、
かつ、前記減圧弁は、前記サイドメンバーに対して固定用部材を介して、当該サイドメンバーから内側に離れた位置に固定されている、燃料電池車。
【請求項2】
前記第1のタンクは、センタートンネル内に配置されている、請求項1に記載の燃料電池車。
【請求項3】
前記第2のタンクは、後席の下に配置されている、請求項1または2に記載の燃料電池車。
【請求項4】
前記モーターによって後輪を駆動させる、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料電池車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池車に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車として、水素燃料を貯蔵した第1のタンクをタンク長手方向が車両前後方向になるように配置し、第1のタンクの後ろに第2のタンクをタンク長手方向が車両左右方向となるように配置し、さらに第2のタンクの後方にモーターを配置したものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、燃料電池車には、タンクから燃料電池に燃料ガスを供給する際にガスを減圧させるべく、減圧弁が設けられている。一般に燃料電池車では、タンクからのガスは高圧であるため減圧弁までの流路は高圧用配管を用いている。高圧用配管は強度が必要なため、体積が大きく、コストが高い。そのため、車両内のスペース確保およびコスト低減のため、減圧弁は、タンクから減圧弁に至る高圧用配管の配管長をできるだけ短くすることを考慮して配置されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第DE102009039079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タンクから減圧弁に至る燃料供給配管の配管長を短くするべく、減圧弁がタンクとタンクの間に配置される場合があり、この場合には、車両の前後方向の衝突時に減圧弁が衝撃を受けて損傷するおそれがあった。特に、タンク長手方向が車両前後方向となるようにタンクが配置されると、タンクからの面圧が高くなるため、減圧弁の損傷の可能性が高くなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、車両の前後方向等の衝突時に減圧弁が損傷するおそれを低減した燃料電池車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明は、燃料電池を備えた燃料電池車において、
タンク長手方向が車両前後方向となるように配置されており、ガスが充填される第1のタンクと、
該第1のタンクの車両前後方向の後方に、タンク長手方向が車両左右方向となるように配置される、ガスが充填される第2のタンクと、
前記第1のタンクおよび前記第2のタンクに設けられたガス放出用のバルブと、
前記バルブを経由して前記燃料電池へ供給されるガスを減圧する減圧弁と、
当該車両の両側に設けられたサイドメンバーと、
前記第2のタンクの後方に配置され、車輪を駆動するモーターと、
を備えており、
ガス流路において、前記第2のタンクの下流には前記第1のタンクがなく、
前記減圧弁は、前記第2のタンクの車両前後方向の後端より後方かつ前記モーターの車両前後方向の後端よりも前方であって、尚かつ、モーターの車両左右方向における側壁の車両前後方向への延長線と前記サイドメンバーとの間の領域であって、前記第2のタンクの前記バルブ側に配置されている、というものである。
【0008】
この燃料電池車によると、車両前後方向の衝突が生じた際、減圧弁がモーターと第2のタンクとの間に挟まれにくい。また、後突時に直接減圧弁が衝撃を受けずにモーターが衝撃を吸収できる。したがって、減圧弁が直接衝撃を受けることを回避することが可能となることから、当該減圧弁が損傷するおそれが低減する。また、衝突からの損傷を抑制しつつ、第2のタンクと減圧弁とを結ぶ配管をできるだけ短くすることができる。
【0009】
前記減圧弁は、前記サイドメンバーに固定されていてもよい。
【0010】
このように減圧弁をサイドメンバーに固定することによりサイドメンバーの変形に伴って減圧弁を移動させることができるので、減圧弁が側突物にあたることを抑制できる。
【0011】
この場合、前記減圧弁は、前記サイドメンバーに、固定用部材を介して固定されていてもよい。
【0012】
これにより、衝突物がサイドメンバーに当たった際の衝撃が減圧弁に直接伝わることを抑制できる。
【0013】
また、前記減圧弁は、前記固定用部材により、前記サイドメンバーから内側に離れた位置に固定されていてもよい。
【0014】
これにより、減圧弁が側突物に当たることをより抑制できる。
【0015】
前記第1のタンクは、センタートンネル内に配置されていてもよい。
【0016】
これにより、車内スペースを効率よく利用できる。
【0017】
前記第2のタンクは、後席の下に配置されていてもよい。
【0018】
これにより、モーターを搭載する後方部分のスペースをより確保できる。
【0019】
燃料電池車は、前記モーターによって後輪を駆動させるものであってもよい。
【0020】
これにより、モーターから駆動輪への伝達距離を短くすることができるため、駆動機構を小型化できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両の前後方向等の衝突時に減圧弁が損傷するおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態における燃料電池車の構成の概略を示す側面図である。
図2】燃料電池車の構成の概略を示す平面図である。
図3図2のIII-III線における断面構造の概略を示す図である。
図4】減圧弁およびその周辺の構成を拡大して示す平面図である。
図5図4のV-V線における断面図である。
図6】リアタンクの下流に3ウェイ(way)バルブを配置した構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本実施形態の燃料電池車100は後輪駆動車であり、フロントタンク1、リアタンク2、減圧弁3、サイドメンバー4、モーター5、車輪(前輪6F、後輪6R)、燃料電池10などを備える。
【0025】
フロントタンク1およびリアタンク2は燃料となる水素ガスが充填される容器である。本実施形態の燃料電池車100において、フロントタンク1は、フロアパネルFPの下のセンタートンネルCT内に縦置きされ、タンク長手方向が車両前後方向(進行・後退方向)となっている(図2図3参照)。リアタンク2は、フロントタンク1の後方に、タンク長手方向が車両左右方向となるように横置きされている(図2参照)。フロントタンク1とリアタンク2をこのようにT字形にした配列は、車両内のスペース効率等の点で好適である。
【0026】
フロントタンク1およびリアタンク2には、それぞれ、ガス放出用のバルブ1V,2Vが設けられている(図2等参照)。フロントタンク1とリアタンク2とは、第1の高圧配管8H1によって接続されている。また、リアタンク2は、減圧弁3と、第2の高圧配管8H2によって接続されている。さらに、フロントタンク1には、水素ガスの充填口11と繋がるガス充填用配管14が接続されている。このような構造にすると、比較的大型になりがちなフロントタンク1に対して先に冷却された水素ガスを導入できることから、大型なために温度上昇しがちなフロントタンク1の温度上昇を抑制することができる。
【0027】
減圧弁3は、フロントタンク1からバルブ1Vを通じて燃料電池10へ供給される水素ガス、およびリアタンク2からバルブ2Vを通じて燃料電池10へ供給される水素ガスを減圧する。減圧された水素ガスは、中圧配管8Mを通じて燃料電池10へ供給される(図1図2参照)。
【0028】
サイドメンバー4は、当該燃料電池車100の両側に設けられる、車両前後方向へ延びる部材である(図1図2参照)。本実施形態のサイドメンバー4は、燃料電池車100の前部および後部が車幅方向に窄まる形状となるように曲折した形状である(図2参照)。
【0029】
モーター5は、車輪を駆動する駆動源である。本実施形態における燃料電池車100は、該モーター5によって後輪6Rを駆動する後輪駆動車である(図1等参照)。また、本実施形態のモーター5は、リアタンク2の後方に配置されている(図1図2参照)。なお、本明細書でいう「モーター」には、当該モーターのカバーやケーシング、筐体なども含まれる。
【0030】
ここで、本実施形態の減圧弁3は、所定の領域、すなわち、リアタンク2の後端2rよりも後方かつモーター5の後端5rよりも前方であって、尚かつ、モーター5の側壁5sの車両前後方向への延長線5Eとサイドメンバー4との間である領域Aの中に配置されている(図2図4参照)。こうした配置とすることで、例えば後突(当該燃料電池車100の後ろから追突される、等)が生じたとしても、モーター5とリアタンク2との間に減圧弁3が挟まれることがない。例えば、モーター5としては筐体が硬かったり重量が嵩んだりするものが用いられることがあるが、そのような場合でも、モーター5がぶつかって減圧弁3が大きく損傷するといった事態を回避することができる。
【0031】
しかも、本実施形態では上述のように減圧弁3をリアタンク2の後方へ配置するので、リアタンク2の前方側に、乗車時のフットスペース確保といった形で、乗降性や居住性を向上させるための空間を得やすい。
【0032】
また、本実施形態の減圧弁3は、サイドメンバー4に固定され、モーター5の側壁5sの車両前後方向への延長線5Eとサイドメンバー4との間の領域内に位置している(図2等参照)。これによれば、例えば側突(当該燃料電池車100の側方から追突される、等)時、サイドメンバー4が変形したとしても、該変形に伴って減圧弁3自体もサイドメンバー4とともに移動することで、減圧弁3が側突物などの他部材に当たることが抑止される。
【0033】
減圧弁3をサイドメンバー4に固定する方法や形態は特に限定されないが、一例を示すと、本実施形態では、ブラケット(固定用部材)7を介して減圧弁3をサイドメンバー4に固定している(図4図5等参照)。これにより、衝突時の衝撃が減圧弁3に直接伝わることを抑制することができる。このブラケット7は、その一端側を、ボルト12によってサイドメンバー4の例えば底面に締結され、その他端側に、減圧弁3が例えばボルト13によって締結されている。それぞれの締結点は1箇所でもよい。なお、ブラケット7は減圧弁3を固定するための部材の一例にすぎず、この他、板状の部材、あるいはその他の形状の片持ち部材など、各種形状の部材をブラケット7の代わりに利用することができる。
【0034】
なお、長めのブラケット7を採用する等により、減圧弁3をサイドメンバー4から内側へさらに離れた位置に固定することも好適である。こうした場合には、側突等が生じたときに減圧弁3が側突物などの他部材に当たることをさらに抑止することが可能となる。
【0035】
また、減圧弁3は、燃料電池車100の左右方向(幅方向)において、左右のどちらにも配置可能だが、リアタンク2のバルブ2Vのある側に配置されていることが好ましい。こうした場合には、配管の引き回し方にもよるが、第2の高圧配管8H2など、水素ガス用の配管の長さをより短くすることが可能となる。また、バルブ1V(またはバルブ2V)から減圧弁3を経由して燃料電池10に至る構造である場合の配管(第1の高圧配管8H1、第2の高圧配管8H2および中圧配管8M)の経路長(合計長さ)が最短となる位置に減圧弁3を配置することも好適である。
【0036】
また、特に詳しい説明はしないが、リアタンク2の下流に3ウェイ(way)バルブ9を配置する構造とすることもできる(図6参照)。なお、図6中では高圧配線を符号8Hで示している。
【0037】
ここまで説明したように、本実施形態の燃料電池車100によると、車両前後方向の衝突が生じた際、減圧弁3がモーター5とリアタンク2との間に挟まれにくい。したがって、減圧弁3が直接衝撃を受けることを回避可能であることから、当該減圧弁3が損傷するおそれが低減する。
【0038】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態においては、モーター5によって後輪を駆動させる燃料電池車100について説明したがこれは一例にすぎず、この他、例えば前輪駆動(AWD)などにおいても本発明を適用することができることはいうまでもない。
【0039】
また、上述した実施形態では、2本のタンク(フロントタンク1、リアタンク2)がT字形に配列された燃料電池車100を例に説明したが、これは、車両スペースを有効活用するための配列の一例にすぎない。すなわち、上述した燃料電池車100は、フロントタンク1をフロア下に縦置きしてスペース効率を向上させ、リアタンク2を後席下に横置きして車両後方部分のスペースをより確保できるようにしたものであるが(図1等参照)、これはタンク配列の好適な一例にすぎず、これ以外の配列とした燃料電池車100においても本発明を適用することは当然に可能である。
【0040】
また、上述した実施形態では、フロントタンク1を車両前後方向に向けて縦置きし、リアタンク2を車両左右方向に向けて横置きした例を示したが、ここでいう車両前後方向が、厳密な意味での前後方向のみならず、設計等に応じて僅かに左右方向に傾けたような場合にも、本発明の適用が妨げられないことはいうまでもない。したがって、フロントタンク1の配置は、タンク長手方向が厳密な意味で前後方向に一致している場合には限られない。車両左右方向に向けて横置きしたリアタンク2についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、燃料電池を備えた燃料電池車に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0042】
1…フロントタンク(第1のタンク)
1V…バルブ
2…リアタンク(第2のタンク)
2r…リアタンクの後端
2V…バルブ
3…減圧弁
4…サイドメンバー
5…モーター
5r…モーターの後端
5s…モーターの側壁
5E…モーターの側壁の車両前後方向への延長線
6F…前輪(車輪)
6R…後輪(車輪)
7…ブラケット(固定用部材)
8H1…第1の高圧配管(配管)
8H2…第2の高圧配管(配管)
8M…中圧配管(配管)
10…燃料電池
100…燃料電池車
A…減圧弁の設置領域
CT…センタートンネル
E…モーターの側壁5sの車両前後方向への延長線
図1
図2
図3
図4
図5
図6