特許第6440003号(P6440003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6440003
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】食品用ラップ箱の補強具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/52 20060101AFI20181210BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B65D25/52 C
   B65D25/20 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-42394(P2018-42394)
(22)【出願日】2018年2月20日
【審査請求日】2018年2月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517263000
【氏名又は名称】金丸 正
(74)【代理人】
【識別番号】100070057
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100158713
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 眞紀子
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3169465(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3141123(JP,U)
【文献】 特開2010−100310(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158113(JP,U)
【文献】 特開2013−139293(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3100950(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3183769(JP,U)
【文献】 特開2015−193421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品用ラップ箱長手方向のさ60%以下の長さの長方形で下部に面取りを設けた前面板及び前面板の短辺の片側に前面板に対して直角に、食品用ラップ箱の蓋前面板から該箱の蓋側面板の後端までの長さより長く設けられた側面板と、前面板側面板両方の上辺をつなぐ上面板を有し、かつ、該側面板の後端内側に、側面板に対し直角方向の部材と平行方向の部材とからなるL字形で食品用ラップ箱側面板が挿入出来る爪部が設けられた、全体プラスチック製または金属製の硬質材料で一体成型した食品用ラップ箱の補強具。
【請求項2】
食品用ラップ箱の補強具前面板が、前面板の内側に、両面テープを設けてある請求項1の食品用ラップ箱の補強具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用ラップ箱の変形を防止し、食品用ラップの切断を容易にする為に用いる食品用ラップ箱の補強具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来製品の食品用ラップ箱の一例である。紙製の箱に食品用ラップ切断用の薄い金属刃10が取り付けられている。食品用ラップの切断を繰り返すと切断時に最初に力を受ける箱の角2a、2bが変形し、食品用ラップが切断しにくくなる問題がある。
【0003】
上述の問題に対し、特許文献1では、食品用ラップ箱の上からプラスチックなどの材料で出来た保護具を吸着シートで箱と結合し、箱の変形を防ぐ提案がされている。提案されている保護具には、収納箱の異なる形状に対応する為に、屈曲自在の連結部が設けられているが、食品用ラップ切断時は、矢印12に示すように食品用ラップ箱に対して斜め上方向に力がかかるが、屈曲自在の連結部がある保護具には箱の上方向にかかる力を受ける機能がなく、食品用ラップ箱の変形を防止するのは難しい。また部品点数が多く製造が煩雑になる。
【0004】
特許文献2の箱入りラップフィルム・アルミホイルなどの切断補助具でも特許文献1と同様に食品用ラップ箱の上から密着させるプラスチックなどの材料で出来た切断補助を提案している。特許文献2の実施例0011によると、食品用ラップ箱の蓋板と歯支持板に切断補助具の上面版と前面板の内角を密着させる記載されているが、切断補助具の内角から前面板下面の高さが一定であるのに対して食品用ラップ箱の蓋板から切断刃までの高さ11は食品用ラップの製造会社により異なるので、各々の製造会社の高さに合わせた専用の製品が必要となり、製造が煩雑になる。また、食品用ラップ箱に密着させる具体的手法についての記載がなく、実現には十分な内容とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−139293号公報
【特許文献2】実用新案登録第3169465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、食品用ラップ箱の変形を防止する物品(以下この物品を補強具と言う)について提案はあるが、多種類の大きさの食品用ラップ箱に使用できる補強具の形状、及び箱と補強具の固定方法について確立されていない。
【0007】
本発明は、複数の部品を使うことなく多種類の大きさの食品用ラップ箱に使用可能で繰り返し使える補強具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図2が本発明品である。上記の問題点を解決するために、長さが従来製品の食品用ラップ箱(以下言う。)の長手方向の長さである図3での長さ21の60%以下の長方形で下部に面取り7を設けた前面板4及び前面板の短辺の片側に前面板に対してに直角に、箱の蓋前面板から箱の蓋側面板の後端までの長さより長く設けられた側面板5と、前面板、側面板両方の上辺をつなぐ上面版6、及び側面板の後端内側に、側面板に対し直角方向の部材と平行方向の部材とからなるL字形で箱の側面板が挿入出来る爪部8が設けられた、全体がプラスチック製または金属製の硬質材料で一体成型したことを特徴とする食品用ラップ箱の補強具を発明した。
【0009】
図4に箱と補強具の取り付け方法を示す。箱の側面板14を補強具の側面板の爪部8に挿入すると共に、補強具前面板4の内側と箱の前面板13の表面を両面テープ16で貼り付ける方法としたことで、補強が必要な箱の角2aと補強具の前面板と側面板の内角17を密着させることが可能である。
【0010】
図5は大きさの違う箱に取り付けた補強具の使用例の側面図である。例で用いた補強具は、箱の側面板14を挿入する爪の高さ18を上面版から金属刃の距離11の短い製品(ホ)に合わせ、補強具の前板版の内側高さ20箱の上面板から金属刃の距離11の長い製品(ヘ)に合わせたものである
【0011】
上述の補強具及び固定方法は以下の実験結果から発明されたものである。食品用ラップ箱の変形を防止するには、切断時に最初に力を受ける作業者から離れた方の角を補強すれば可能である。図1に示す左手で箱を持つ人の場合は、最初に力を受けるのは角2aである。角2aにかかる力を補強具を介して箱を支える手で受けることで箱の変形は防げる。食品用ラップ切断時は箱のバランスを保つため必然的に箱の中心付近で箱を支えており、切断時の力を受けるのは箱の前面板か上面板、もしくは箱の上面板と前面板の角を抑えている親指である。補強具をこの親指で支える為には、最初に力を受ける角2aから箱の中心付近1までの長さが最低限必要な補強具の長さである。
また、切断の初期に問題が生じなければ食品用ラップの切断は容易である。
【0012】
右手で箱を持つ人の場合、補強が必要なのは角2bであり、補強具は箱の長手方向に対して左右対称の形になる。
【0013】
補強具自体の変形を感じずに食品用ラップを切断する為には、補強具の材料がプラスチックの場合、前面板、側面板、上面板の肉厚が2mm以上必要である。また、食品用ラップ箱に付属の金属刃と補強具の重なり幅3は3mm以上設けることにより安定してラップの切断ができる。
【0014】
補強具の前面板の肉厚と金属刃との重なり幅を上述の条件に合わせると、引き出した食品用ラップが補強具の前面板4の下部に当たり、切断に必要な角度が取れない場合があるので、補強具前面板下部には面取り7が必要である。
【0015】
補強具の固定には一般的な事務用両面テープを用いれば、必要な密着力が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の補強具を箱に取り付けることにより、箱の変形を防止でき、ラップの切断が容易になる。
【0017】
多種類の大きさの食品用ラップ箱に使用可能である。
【0018】
補強具は繰り返し使用が可能である。また、両面テープで貼り付いている面が一面だけなので、取り付け取り外しを容易にできる。
【0019】
補強具が大きくても上述の効果を損なうことはない為、食品用ラップ箱長手方向の長さ21の大きいものに合わせた補強具を用いれば、箱の長さの短い食品用ラップにも使用可能である。
【0020】
本発明の補強具は、一体成型が可能であり製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明品である補強具の使用例を示す斜視図。
図2】本発明品。(イ)本発明品の上面図。(ロ)本発明品の斜視図。
図3】従来の食品用ラップ箱
図4】本発明品の取り付け方法を示す斜視図。(ハ)を開いた状態の食品用ラップ箱。(ニ)本発明品の斜視図(斜め下から見た図)。
図5】大きさの違う食品用ラップ箱に付けた本発明品の使用例の側面図。(ホ)食品用ラップ箱が小さく、箱の上面板から金属刃の距離が短い場合の使用例。(ヘ)食品用ラップ箱が大きく、箱の上面板から金属刃の距離が長い場合の使用例。(ト)食品用ラップ箱側面板の奥行が補強具の爪部の位置より大きい場合の使用例。(チ)食品用ラップ箱の蓋上面板から金属刃までの距離が極端に短く、補強具の爪部と箱の蓋上面板が干渉する場合の使用例。
【実施例】
【0022】
この発明の食品用ラップ箱の補強具の一例は、図1図2に図示されるのように、食品用ラップ箱の長手方向の長さ60%以下の長さの長方形で下部に面取り部7を設けた前面板4の短辺の片側に前面板に対して直角に、食品用ラップ箱の蓋前面板から該箱の蓋側面板の後端までの長さより長く側面板5を連続して設けるとともに、前面板と側面板の両方の上辺をつなぐ上面板6を連続して設け、かつ、該側面板の後端内側に、側面板に対して直角方向の部材を側面板に連続して設け、更に、この直角方向の部材の先端に、側面板に対して平行方向の部材を連続して設けてなる、L字形で食品用ラップ箱側面板が挿入出来る爪部8を設けた、全体がプラスチックの硬質材料で一体成型した食品用ラップ箱の補強具である。
そして、図5補強具の使用例の側面図である。(ホ)箱が小さい場合の使用例、(ヘ)箱が大きい場合の使用例に示すように、多種類の大きさの箱に対して補強具を固定し使用することが可能であり、(ト)に示す箱の奥行きが補強具より長い箱であっても、補強具の爪が入るように二点鎖線19の位置で箱の側面板を切断することで使用可能である。また、(チ)は、箱の上面板から金属刃までの距離が極端に短く、補強具の8と箱の上面が干渉する場合の使用例である。爪が入るように二点鎖線22の位置で箱の上面板と側面板の角を切断すれば使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の補強具は食品用ラップに限らず、箱の角を補強する必要のあるものに応用できるので、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0024】
1 食品用ラップ箱の中心部分で、補強具を手で支える場所。
2a 左手で箱を持つ人がラップの切断時に最初に力をかける箱の角。
2b 右手で箱を持つ人がラップの切断時に最初に力をかける箱の角。
3 補強具と食品用ラップ箱に付属の金属刃の重なり幅。
4 本発明品の前面板。
5 本発明品の側面板。
6 本発明品の上面板。
7 本発明品の前面板の面取り部。
8 本発明品の食品用ラップ箱側面板を挿入する爪部。
9 本発明品の爪部のR面取り部。
10 食品用ラップに付属の金属刃。
11 食品用ラップ箱上面板から金属刃までの距離。
12 ラップ切断時にかかる力の方向。
13 食品用ラップ箱前面板。
14 食品用ラップ箱側面板。
15 食品用ラップ箱上面板。
16 両面テープ。
17 本発明品の前面板と側面板の内角。
18 本発明品の上面から爪部までの高さ。
19 食品用ラップ箱側面板が補強具の爪部位置より大きい場合の切断線。
20 本発明品の上面板内側から前面板下部までの高さ。
21 食品用ラップ箱長手方向の長さ。
22 食品用ラップ箱上面板から金属刃までの距離が短く、補強具のと箱の上 面板が干渉する場合の切断線。
【要約】      (修正有)
【課題】食品用ラップの箱の変形を防ぎ、食品用ラップの切断性を向上させると共に、異なる大きさの食品用ラップの箱に使用可能で繰り返し使える補強具を提供する。
【解決手段】補強具は下部に面取りを設けた長方形の前面板及び前面板の短辺に略直角に設けられた側面板と、前面板、側面板両方の上辺をつなぐ上面板、および側面板の内側に食品用ラップの箱の側面板が挿入出来る爪部で構成され、食品用ラップの箱の変形を防ぎ、切断性が向上する。異なる大きさの食品用ラップの箱に使用可能であり、食品用ラップの箱と補強具の固定には、食品用ラップの箱の側面板を補強具の爪部で、食品用ラップの箱の前面板と補強具の前面板内側を両面テープで貼り付ける方法で取り付け、取り外しが容易な固定方法とした。前面板の長辺を食品用ラップの箱の60%以下とし、全体を小さく、かつ上面板の余分な肉を落としたことで材料費を抑えた上で、一体成型可能な形状とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5