(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側に脱穀装置(4)と操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の下側後部にエンジン(E)を内装するエンジンルーム(6)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の左側部に備えたサイドパネル(12)の前部にエンジン(E)の出力回転速度を増減速操作するスロットルレバー(17)を設け、該スロットルレバー(17)の後側に、前記エンジン(E)の出力回転を刈取装置(3)に伝動する刈取クラッチと脱穀装置(4)に伝動する脱穀クラッチとを接続及び遮断操作するクラッチレバー(18)を設け、
前記スロットルレバー(17)が前上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が低速になり、前記スロットルレバー(17)が後上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が高速になり、前記スロットルレバー(17)が前記前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が定格回転速度となるよう、前記スロットルレバー(17)とエンジン(E)を連携し、
側面視で前記クラッチレバー(18)が前上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが接続され、前記クラッチレバー(18)が後上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが遮断される構成とし、
前記クラッチレバー(18)にスロットルレバー(17)側に向かって延在する連係部材(32)の後部を取り付け、該連係部材(32)の前部に左右方向に延在する第1支軸(34)を設け、該第1支軸(34)に回転自在に支持されるカム(35)を設け、
前記クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させると、前記カム(35)がスロットルレバー(17)の下部から左右方向に延在するピン(28)に接触しながら前側に移動して、前記スロットルレバー(17)を前上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢に姿勢変更させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
前記クラッチレバー(18)を前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更させた場合には、前記カム(35)がスロットルレバー(17)のピン(28)に接触しながら第1支軸(34)回りに回転して、前記スロットルレバー(17)の前上がり傾斜姿勢が保持される構成とした請求項1記載のコンバイン。
前記サイドパネル(12)の下側に機体フレーム(1)に支持された前後方向に延在するフレーム(20)を設け、前記サイドパネル(12)とフレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて設けられたステー(41,42)で連結して、前記連係部材(32)を該ステー(41,42)に形成された開口部に挿通した請求項1又は2記載のコンバイン。
前記フレーム(20)に左右方向に延在する第2支軸(30)を設け、前記クラッチレバー(18)の下部を第2支軸(30)に回転自在に支持し、前記クラッチレバー(18)の上下方向の中間部に左右方向に延在する第3支軸(31)を設け、前記連係部材(32)の後部を第3支軸(31)に回転自在に支持し、前記クラッチレバー(18)の前側にエンジン(E)を始動するスイッチ(45)を設け、前記クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させる場合には、前記スロットルレバー(17)のピン(28)にカム(35)が接触するよりも前に、前記スイッチ(45)に第3支軸(31)が接触する構成とした請求項3記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、スロットルレバーとクラッチレバーが連係していないことから、エンジンが高速回転時に刈取クラッチと脱穀クラッチが接続された場合は、脱穀クラッチ等を形成する構成部品に短時間に大きな負荷が加わり、構成部品が早期に故障するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、クラッチレバーとスロットルレバーを連係して、クラッチレバーによって刈取・脱穀クラッチの接続後にエンジンの出力回転速度を低速から定格回転速度まで増減速操作するコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後側に脱穀装置(4)と操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の下側後部にエンジン(E)を内装するエンジンルーム(6)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の左側部に備えたサイドパネル(12)の前部にエンジン(E)の出力回転速度を増減速操作するスロットルレバー(17)を設け、該スロットルレバー(17)の後側に、前記エンジン(E)の出力回転を刈取装置(3)に伝動する刈取クラッチと脱穀装置(4)に伝動する脱穀クラッチとを接続及び遮断操作するクラッチレバー(18)を設け、前記スロットルレバー(17)が前上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が低速になり、前記スロットルレバー(17)が後上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が高速になり、前記スロットルレバー(17)が前記前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が定格回転速度となるよう、前記スロットルレバー(17)とエンジン(E)を連携し、 側面視で前記クラッチレバー(18)が前上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが接続され、前記クラッチレバー(18)が後上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが遮断される構成とし、前記クラッチレバー(18)にスロットルレバー(17)側に向かって延在する連係部材(32)の後部を取り付け、該連係部材(32)の前部に左右方向に延在する第1支軸(34)を設け、該第1支軸(34)に回転自在に支持されるカム(35)を設け、前記クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させると、前記カム(35)がスロットルレバー(17)の下部から左右方向に延在するピン(28)に接触しながら前側に移動して、前記スロットルレバー(17)を前上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢に姿勢変更させる構成としたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
【0008】
請求項
2記載の発明は、前記クラッチレバー(18)を前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更させた場合には、前記カム(35)がスロットルレバー(17)のピン(28)に接触しながら第1支軸(34)回りに回転して、前記スロットルレバー(17)
の前上がり傾斜姿勢
が保持される構成とした請求項
1記載のコンバインである。
【0009】
【0010】
請求項
3記載の発明は、前記サイドパネル(12)の下側に機体フレーム(1)に支持された前後方向に延在するフレーム(20)を設け、前記サイドパネル(12)とフレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて設けられたステー(41,42)で連結して、前記連係部材(32)を該ステー(41,42)に形成された開口部に挿通した請求項
1又は2記載のコンバインである。
【0011】
請求項
4記載の発明は、前記フレーム(20)に左右方向に延在する第2支軸(30)を設け、前記クラッチレバー(18)の下部を第2支軸(30)に回転自在に支持し、前記クラッチレバー(18)の上下方向の中間部に左右方向に延在する第3支軸(31)を設け、前記連係部材(32)の後部を第3支軸(31)に回転自在に支持し、前記クラッチレバー(18)の前側にエンジン(E)を始動するスイッチ(45)を設け、前記クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させる場合には、前記スロットルレバー(17)のピン(28)にカム(35)が接触するよりも前に、前記スイッチ(45)に第3支軸(31)が接触する構成とした請求項
3記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)の左側部に備えたサイドパネル(12)の前部にエンジン(E)の出力回転速度を増減速操作するスロットルレバー(17)を設け、スロットルレバー(17)の後側に、エンジン(E)の出力回転を刈取装置(3)に伝動する刈取クラッチと脱穀装置(4)に伝動する脱穀クラッチとを接続及び遮断操作するクラッチレバー(18)を設け、スロットルレバー(17)が前上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が低速になり、スロットルレバー(17)が後上がり傾斜姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が高速になり、スロットルレバー(17)が前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢になるとエンジン(E)の出力回転速度が定格回転速度となるよう、スロットルレバー(17)とエンジン(E)を連携し、側面視でクラッチレバー(18)が前上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが接続され、クラッチレバー(18)が後上がり傾斜姿勢になると刈取クラッチと脱穀クラッチが遮断される構成とし、クラッチレバー(18)にスロットルレバー(17)側に向かって延在する連係部材(32)の後部を取り付け、連係部材(32)の前部に左右方向に延在する第1支軸(34)を設け、第1支軸(34)に回転自在に支持されるカム(35)を設け、クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させると、カム(35)がスロットルレバー(17)の下部から左右方向に延在するピン(28)に接触しながら前側に移動して、スロットルレバー(17)を前上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢に姿勢変更させる構成としたので、クラッチレバー(18)によって刈取クラッチと脱穀クラッチが接続された後に、エンジン(E)の出力回転速度が低速度から定格回転速度に増速されて刈取脱穀作業を容易に開始することができ、また、刈取クラッチと脱穀クラッチを形成する構成部品に急激な負荷が掛かるのを防止して、構成部品の耐久性を向上させることができる。
【0013】
【0014】
請求項
2記載の発明によれば、請求項
1記載の発明による効果に加えて、クラッチレバー(18)を前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更させた場合には、カム(35)がスロットルレバー(17)のピン(28)に接触しながら第1支軸(34)回りに回転して、スロットルレバー(17)
の前上がり傾斜姿勢
が保持される構成としたので、刈取装置(3)と脱穀装置(4)が停止中にエンジン(E)の出力回転数を低速度にしてエンジン(E)の発熱を防止することができる。
【0015】
【0016】
請求項
3記載の発明によれば、請求項
1又は2記載の発明による効果に加えて、サイドパネル(12)の下側に機体フレーム(1)に支持された前後方向に延在するフレーム(20)を設け、サイドパネル(12)とフレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて設けられたステー(41,42)で連結して、連係部材(32)をステー(41,42)に形成された開口部に挿通したので、クラッチレバー(18)の移動に応じて連係部材(32)を前後にスムーズに移動させてクラッチレバー(18)とスロットルレバー(17)を連係することができる。
【0017】
請求項
4記載の発明によれば、請求項
3記載の発明による効果に加えて、フレーム(20)に左右方向に延在する第2支軸(30)を設け、クラッチレバー(18)の下部を第2支軸(30)に回転自在に支持し、クラッチレバー(18)の上下方向の中間部に左右方向に延在する第3支軸(31)を設け、連係部材(32)の後部を第3支軸(31)に回転自在に支持し、クラッチレバー(18)の前側にエンジン(E)を始動するスイッチ(45)を設け、クラッチレバー(18)を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させる場合には、スロットルレバー(17)のピン(28)にカム(35)が接触するよりも前に、スイッチ(45)に第3支軸(31)が接触する構成としたので、刈取クラッチと脱穀クラッチを形成する構成部品に急激な負荷が掛かるのをより防止して、構成部品の耐久性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】クラッチレバーとスロットルレバーを説明する右側面図である。
【
図9】クラッチレバーとスロットルレバーを説明する平面図である。
【
図10】クラッチレバーを後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが後上がり傾斜姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図11】クラッチレバーを後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが後上がり傾斜姿勢と前上がり傾斜姿勢の間の後側の中間の姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図12】クラッチレバーを後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが後上がり傾斜姿勢と前上がり傾斜姿勢の間の前側の中間の姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図13】クラッチレバーを後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが前上がり傾斜姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図14】クラッチレバーを前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが前上がり傾斜姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図15】クラッチレバーを前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の間の前側の中間の姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図16】クラッチレバーを前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の間の後側の中間の姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【
図17】クラッチレバーを前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更する場合におけるクラッチレバーが後上がり傾斜姿勢でのカムとピンの連係状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明する。
【0020】
図1〜5に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後側左部に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後側右部に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0021】
操縦部5の操縦席10の下側にエンジンEを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7の後下部に連結された排出オーガ8によって外部に排出される。なお、排出オーガ8は、グレンタンク7の後側に上下方向に延在する縦オーガ8Aと脱穀装置4の上側に前後方向に延在する横オーガ8Bから形成されている。
【0022】
図6に示すように、操縦部5には、操縦者が着席する操縦席10の前側にフロントパネル11が形成され、操縦席10の左側にサイドパネル12が形成されている。フロントパネル11には、走行装置2の走行速度等を表示するモニタ等が設けられている。サイドパネル12の前部には、走行装置2の走行速度の増減を行う主変速レバー15と、主変速レバー15の左側にエンジンEの出力回転速度の増減速を行うスロットルレバー17が設けられ、サイドパネル12の後部には、主変速レバー15の略後側に位置する部位に走行装置2のトランスミッションのギヤの切換えを行う副変速レバー16と、副変速レバー16の左側に刈取装置3と脱穀装置4を駆動するクラッチレバー18が設けられている。
【0023】
図7に示すように、サイドパネル12の下側には、所定の間隔を隔てて前後方向に延在するフレーム20が設けられている。フレーム20は、機体フレーム1から上側に向かって延在するフレーム21等で支持されている。また、サイドパネル12の前部とフレーム20の前端部はステー40を介して連結され、サイドパネル12の前側中間部とフレーム20の前側中間部はステー41を介して連結され、サイドパネル12の後側中間部とフレーム20の後側中間部はステー42を介して連結され、サイドパネル12の後端部とフレーム20の後端部はステー43を介して連結されている。
【0024】
フレーム20の前部には、スロットルレバー17を回転自在に支持する支持部材22が設けられている。支持部材22は、フレーム20の上面に固定される底板22Aと、底板22Aの右端部から上側に向かって延在する右板22Bから形成されている。
【0025】
右板22Bの前側下部には、スロットルレバー17の傾斜姿勢を検出するポテンションメータ等の角度検出器25が設けられ、右板22Bの後側上部には、スロットルレバー17の上下方向の中間部を回転自在に支持する左右方向に延在する支軸26が設けられている。角度検出器25の検出値は、操縦部5に設けられたコントローラに入力され、コントローラは、入力された検出値に応じてエンジンEの出力回転速度の増減速を行う。なお、角度検出器25は、右板22Bに右側から着脱自在に装着されている。これにより、操作席10側から角度検出器25を容易に交換等することができる。
【0026】
スロットルレバー17は、中間部よりも上側に延在する上側部と中間部から下側に延在する下側部が略逆く字形状に形成されている。また、角度検出器25の回転軸25Aには、回転軸25Aから下側部の下端部に向けて延在する連結アーム27が固定されている。連結アーム27は、回転軸25Aに支持される基部27Aから下側部の下端部に向けて延在する先端部27Bから形成され、先端部27Bは、回転方向に所定の間隔を隔て径方向に延在する2本のアームから形成されている。また、先端部27Bの2本のアームに形成された嵌合部には、下側部の下端部に設けられた左右方向に延在するピン28が緩嵌されている。これにより、スロットルレバー17を前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更させてエンジンEの出力回転速度を増速させ、スロットルレバー17を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させてエンジンEの出力回転速度を減速させることができる。なお、スロットルレバー17を最も前上がり傾斜姿勢させた場合は、エンジンEはアイドリング状態となりエンジンEの出力回転速度は最低速度となり、スロットルレバー17を前上がり傾斜姿勢と後上がり傾斜姿勢の中間の姿勢に姿勢変更させた場合には、エンジンEの出力回転速度は定格回転速度となる。
【0027】
クラッチレバー18は、ハンドル19を固定する前後方向の幅が狭い上側部と、前後方向の幅が広い下側部から形成されている。クラッチレバー18の下側部の下部は、フレーム20の後部に左右方向に延在する支軸(請求項における「第2支軸」)30に回転自在に支持され、クラッチレバー18の下側部の上部には、左右方向に延在する支軸(請求項における「第3支軸」)31が設けられている。
【0028】
支軸31のクラッチレバー18の下側部から右側に延在した部位には、クラッチレバー18の傾斜姿勢に応じてスロットルレバー17の傾斜姿勢を操作する前後方向に延在する連係部材32の後部
が回転自在に支持されている。また、支軸31のクラッチレバー18の下側部から左側に延在した部位には、クラッチレバー18の傾斜姿勢に応じてテンションアーム38の前進又は後退回を操作する後下がり傾斜して延在する連係部材33の上部が回転自在に支持されている。
【0029】
連係部材32の前部は、ステー41に形成された開口部を挿通され、連係部材32の中間部は、ステー42に形成された開口部を挿通されている。これにより、クラッチレバー18の傾斜姿勢に応じて連係部材32を前後方向にスムーズに移動させることができる。
【0030】
図16に示すように、連係部材32の前部には、左右方向に延在する支軸(請求項における「第1支軸」)34が設けられている。また、支軸34には、カム35の後側上部が回転自在に支持され、カム35の前側上部には、左側方向に延在するピン36が設けられている。
【0031】
カム35の上側部は、フレーム20と略平行に前後方向に水平に形成され、カム35の前側部は、上側部の前側端部から前下がり傾斜に形成され、カム35の下側部は、前側部の下側端部から後下がり傾斜に形成され、カム35の後側部は、下側部の後側端部から後上がり傾斜に形成されている。また、支軸34とピン36には、カム35を支軸34を中心として時計方向に付勢するトルクスプリング等の付勢手段(図示省略)が設けられている。これにより、クラッチレバー18の傾斜姿勢に連携させてスロットルレバー17の傾斜姿勢を変更してエンジンEの出力回転速度を変更することができる。
【0032】
次に、クラッチレバー18を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させる場合における連係部材32の前部に回転自在に支持されたカム35とスロットルレバー17のピン28の連係状態について説明する。
【0033】
図10に示すように、クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35の下側部とピン28における連結アーム27から左側に延在した部位は前後方向に所定の間隔を隔てて離間している。クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、エンジンEと刈取装置3の間の伝動経路に設けられた刈取クラッチの接続が遮断されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動されず、エンジンEと脱穀装置4の間の伝動経路に設けられた脱穀クラッチの接続が遮断されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されていない。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0034】
図11に示すように、クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢と前上がり傾斜姿勢の間の後側の中間の姿勢(以下、「第1中間の姿勢」と言う。)にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35の下側部がピン28における連結アーム27から左側に延在した部位の後部に接触する。クラッチレバー18が第1中間の姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0035】
図12に示すように、クラッチレバー18が第1中間の姿勢と前上がり傾斜姿勢の間の前側の中間の姿勢(以下、「第2中間の姿勢」と言う。)にある場合は、スロットルレバー17は中間の姿勢にあり、カム35の下側部がピン28における連結アーム27から左側に延在した部位に当接しながらピン28を前側上部に移動させる。クラッチレバー18が第2中間の姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEの出力回転速度は定格回転速度になっている。
【0036】
図13に示すように、クラッチレバー18が前上がり傾斜姿勢にある場合は、スロットルレバー17は中間の姿勢にあり、カム35の前側部とピン28における連結アーム27から左側に延在した部位は前後方向に所定の間隔を隔てて離間している。クラッチレバー18が前上がり傾斜姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEの出力回転速度は定格回転速度になっている。
【0037】
次に、クラッチレバー18を前上がり傾斜姿勢から後上がり傾斜姿勢に姿勢変更させる場合における連係部材32の前部に回転自在に支持されたカム35とスロットルレバー17のピン28の連係状態について説明する。なお、この場合には、スロットルレバー17は手動で前上がり傾斜姿勢に姿勢変更されている。
【0038】
図14に示すように、クラッチレバー18が前上がり傾斜姿勢にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35の前側部とピン28における連結アーム27から左側に延在した部位は前後方向に所定の間隔を隔てて離間している。クラッチレバー18が前上がり傾斜姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0039】
図15に示すように、クラッチレバー18が第2中間の姿勢にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35の前側部がピン28における連結アーム27から左側に延在した部位の前部に接触する。クラッチレバー18が第2中間の姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0040】
図16に示すように、クラッチレバー18が第1中間の姿勢にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35が支軸34を中心として反時計方向に回転してカム35の上側部がピン28における連結アーム27から左側に延在した部位の下部に接触しなから後側に移動する。クラッチレバー18が第1中間の姿勢にある場合は、刈取クラッチが接続されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動され、脱穀クラッチが接続されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されている。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0041】
図17に示すように、クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、スロットルレバー17は前上がり傾斜姿勢にあり、カム35の下側部とピン28における連結アーム27から左側に延在した部位は前後方向に所定の間隔を隔てて離間している。クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、刈取クラッチの接続が遮断されエンジンEの回転が刈取装置3に伝動されず、脱穀クラッチの接続が遮断されエンジンEの回転が脱穀装置4に伝動されていない。また、エンジンEはアイドリング状態でありエンジンEの出力回転速度は最低速度になっている。
【0042】
次に、エンジンEと脱穀装置4の間の伝動経路に設けられた脱穀クラッチとエンジンEと刈取装置3の間の伝動経路に設けられた刈取クラッチについて説明する。
【0043】
図8に示すように、連係部材33の下部には、ロッドとスプリングからなる連結部材37を介してテンションアーム38の上部が連結されている。テンションアーム38は、エンジンEと脱穀装置4の間の伝動経路に設けられた上流側プーリと下流側プーリに巻回されたベルト39のテンションを切換える脱穀クラッチとして機能している。これにより、クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、連係部材33が上側に移動してテンションアーム38をベルト39の下側に後退させ、ベルト39のテンションを弛緩させエンジンEの回転を脱穀装置4に伝動させないようにする。一方、クラッチレバー18を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させた場合には、連係部材33が下側に移動してテンションアーム38をベルト39の上側に前進させ、ベルト39のテンションを緊張させエンジンEの回転を脱穀装置4に伝動させる。
【0044】
フレーム20に設けられた支軸30の近傍には、クラッチレバー18の傾斜姿勢を検出するポテンションメータ等の角度検出器(図示省略)が設けられている。角度検出器の検出値は、操縦部5に設けられたコントローラに入力され、コントローラは入力された検出値に応じてモータ(図示省略)を回転させてエンジンEと刈取装置3の間の伝動経路に設けられた刈取クラッチの接続と遮断操作する。これにより、クラッチレバー18が後上がり傾斜姿勢にある場合は、モータを一方向に回転させて刈取クラッチの接続を遮断させ、エンジンEの回転を刈取装置3に伝動させないようにする。一方、クラッチレバー18を後上がり傾斜姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更させた場合には、モータを逆方向に回転させて刈取クラッチを接続させ、エンジンEの回転を刈取装置3に伝動させる。
【0045】
図9に示すように、フレーム20における支軸30の前側右面には、クラッチレバー18の傾斜姿勢を検出してエンジンEの始動を規制するスイッチ45を支持するブラケット46が固定されている。クラッチレバー18の支軸31とスイッチ45が離間している場合は、スイッチ45の出力値はOFFとなり、クラッチレバー18の支軸31とスイッチ45が接触している場合には、スイッチ45の出力値はONとなる。スイッチ45の出力値がOFFの場合は、スロットルレバー17の傾斜姿勢に関わりなくエンジンEはアイドリング状態にしてエンジンEの出力回転速度を最低速度に維持する。一方、スイッチ45の出力値がONの場合には、スロットルレバー17を操作してエンジンEの出力回転速度を増減速することができる。なお、スイッチ45の出力値は、操縦部5に設けられたコントローラに入力され、コントローラは入力された出力値に応じてエンジンEの出力回転速度の規制を行う。
【0046】
クラッチレバー18を後上がり傾斜姿勢から第1中間の姿勢に姿勢変更するとエンジンEの回転が刈取装置3と脱穀装置4に伝動される。さらに、クラッチレバー18を第1中間の姿勢から第2中間の姿勢に姿勢変更するとクラッチレバー18の支軸31とスイッチ45が接触してスイッチ45の出力値がONになる。
【0047】
クラッチレバー18を第2中間の姿勢から前上がり傾斜姿勢に姿勢変更するとカム35の下側部がスロットルレバー17のピン28を前側上部に移動させてスロットルレバー17を中間の姿勢に姿勢変更させてエンジンEの出力回転速度が定格回転速度になる。さらに、クラッチレバー18を前上がり傾斜姿勢よりも前側に姿勢変更させていくと、クラッチレバー18の支軸31がブラケット46の後部に接触してクラッチレバー18の姿勢変更を規制する。これにより、脱穀クラッチを形成するベルト39等に発生する急激なテンションの変動を抑制してベルト39等を長期間使用することができる。
【0048】
刈り脱レバー18の右側に所定の間隔を隔てて連係部材32を配置し、クラッチレバー18の左側に所定の間隔を隔てて連係部材33を配置している。これにより、刈り脱レバー18が連係部材32と連係部材33に接触することなく刈り脱レバー18をスムーズに操作することができる。また、スイッチ45は、ブラケット46に右側から着脱自在に装着されている。これにより、操作席10側からスイッチ45を容易に交換等することができる。