特許第6440103号(P6440103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6440103電気コネクタ、および、電気コネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440103
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】電気コネクタ、および、電気コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/60 20110101AFI20181210BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20181210BHJP
   H01R 43/24 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01R24/60
   H01R43/00 B
   H01R43/24
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-222819(P2016-222819)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-81802(P2018-81802A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2017年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 直之
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−039051(JP,A)
【文献】 特開2011−175834(JP,A)
【文献】 特開2004−362827(JP,A)
【文献】 特開2015−170528(JP,A)
【文献】 特開2009−066858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00−24/86
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で形成されており、後方壁から前方に延設されて相手側コネクタと嵌合する板状のコンタクト支持部を備える絶縁性のハウジングと、
前記コンタクト支持部の第1の外表面と前記第1の外表面の反対側の第2の外表面とのうち、少なくとも前記第1の外表面に埋設された接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、前記ハウジングに保持された導電性の第1のコンタクトと、
前記コンタクト支持部の板厚方向において前記接続部と離間し、かつ、前記第1の外表面と前記第2の外表面との間に前記樹脂によって離間して設けられて、前記コンタクト支持部に固定される金属板と、
を有し、
前記金属板は、少なくとも一部に絶縁部を備え、
前記コンタクト支持部は、前記板厚方向に延設されると共に、前記板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の前記第1の外表面に開口し、前記板厚方向の他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第1の孔部、および、一方の端部が前記第2の外表面に開口すると共に、他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第2の孔部と、を備え、
前記第1の孔部は、一部が前記接続部の側縁と一致している
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングに保持された導電性の第2のコンタクトをさらに備え、
前記第2のコンタクトは、前記コンタクト支持部の前記第2の外表面に設けられる前記接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、
前記金属板は、前記第1のコンタクトの前記接続部との間、および、前記第2のコンタクトの前記接続部と、の間に、それぞれ前記樹脂によって離間して設けられ、
前記第1の孔部は、一部が前記第1のコンタクトの前記接続部の側縁と一致しており、かつ、前記第2の孔部は、一部が前記第2のコンタクトの前記接続部の側縁と一致している
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記金属板は、前記絶縁部により全体が覆われている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記金属板は、基板のグランドに接続される脚部を備え、シールド部材として機能する、
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
樹脂で形成されており、後方壁から前方に延設されて相手側コネクタと嵌合する板状のコンタクト支持部を備える絶縁性のハウジングと、
前記コンタクト支持部の第1の外表面と前記第1の外表面の反対側の第2の外表面とのうち、少なくとも前記第1の外表面に埋設された接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、前記ハウジングに保持される導電性の第1のコンタクトと、
前記コンタクト支持部の板厚方向において前記接続部と離間し、かつ、前記第1の外表面と前記第2の外表面との間に前記樹脂によって離間して設けられて、前記コンタクト支持部に固定される金属板と、
を有し、
前記金属板は、少なくとも一部に絶縁部を備え、
前記コンタクト支持部は、前記板厚方向に延設されると共に、前記板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の前記第1の外表面に開口し、前記板厚方向の他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第1の孔部、および、一方の端部が前記第2の外表面に開口すると共に、他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第2の孔部と、を備え、
前記第1の孔部は、一部が前記接続部の側縁と一致している電気コネクタの製造方法において、
前記金属板の少なくとも一部に絶縁部を形成する工程と、
前記金属板と前記第1のコンタクトとを上金型と前記下金型とからなる金型のキャビティ内の所定の位置にセットする工程と、
前記上金型と前記下金型のそれぞれに配設された押さえピンであって、前記上金型と前記下金型のうちの少なくとも前記第1の外表面に対応する一方に配設された前記押さえピンの一部が前記接続部の側縁に当接するように配設された前記押さえピンによって、前記金属板における前記絶縁部が形成されている範囲内を上下より挟持して、前記金型内に保持する工程と、
前記金型に樹脂を充填して前記金属板と前記第1のコンタクトとを一体成形することでハウジングを形成する工程と、
前記押さえピンを抜き取ることに伴って、前記コンタクト支持部に前記第1の孔部と前記第2の孔部が形成される工程と、
を含むことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【請求項6】
樹脂で形成されており、後方壁から前方に延設されて相手側コネクタと嵌合する板状のコンタクト支持部を備える絶縁性のハウジングと、
前記コンタクト支持部の第1の外表面と前記第1の外表面の反対側の第2の外表面とのうち、少なくとも前記第1の外表面に外表面に埋設された接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、前記ハウジングに保持される第1の導電性のコンタクトと、
前記コンタクト支持部の板厚方向において前記接続部と離間し、かつ、前記第1の外表面と前記第2の外表面との間に前記樹脂によって離間して設けられて、前記コンタクト支持部に固定される金属板と、
を有し、
前記金属板は、少なくとも一部に絶縁部を備え、
前記コンタクト支持部は、前記板厚方向に延設されると共に、前記板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の前記第1の外表面に開口し、前記板厚方向の他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第1の孔部、および、一方の端部が前記第2の外表面に開口すると共に、他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第2の孔部と、を備え、
前記第1の孔部は、一部が前記接続部の側縁と一致している電気コネクタの製造方法において、
前記金属板の少なくとも一部に絶縁部を形成する工程と、
前記金属板と同一形状の金型部品と前記第1のコンタクトとを上金型と下金型とからなる金型のキャビティ内の所定の位置にセットする工程と、
前記上金型と前記下金型のそれぞれに配設された押さえピンであって、前記上金型と前記下金型のうちの少なくとも前記第1の外表面に対応する一方に配設された前記押さえピンの一部が前記接続部の側縁に当接するように配設された押さえピンによって、前記金型部品における前記金属板に前記絶縁部が形成されている部分に対応する範囲内を上下より挟持して前記金型内に保持する工程と、
前記金型に樹脂を充填して前記第1のコンタクトを一体成形することでハウジングを形成する工程と、
前記押さえピンを抜き取ることに伴って、前記コンタクト支持部の前記第1の外表面、および、前記第2の外表面から前記金型部品に至る孔部が形成される工程と、
前記金型部品を抜き取る工程と、
前記金型部品を抜き取って形成された抜き跡に前記金属板を挿入して、前記孔部に前記絶縁部を臨ませて、前記孔部を、前記第1の孔部と前記第2の孔部とする工程と、
を含むことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトを支持すると共に相手側コネクタと挿抜される板状のコンタクト支持部を絶縁性のハウジングに備える電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気コネクタとしては、コンタクトを支持すると共に相手側コネクタと挿抜される板状のコンタクト支持部を絶縁性のハウジングに設けて、このコンタクト支持部の上下の両面にコンタクトを配列させて多極化させたものが知られている。かかる電気コネクタは、板状で強度の低いコンタクト支持部を補強するために、コンタクト支持部に金属板を保持させている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような金属板は、ハウジングに一体成形することによりコンタクト支持部に埋設されて固定されている。具体的には、上金型と下金型とにより形成したキャビティ内に金属板を所定の位置にセットした上で、溶融した樹脂をキャビティへと充填することで形成される。このとき、樹脂を充填する際の圧力で、金型にセットした金属板が所定位置からずれてしまうことのないように、押さえピンで金属板を上下から挟持した状態で、溶融した樹脂をキャビティ内に充填する。樹脂の温度が下がって樹脂が硬化した後に押さえピンを抜き取ることにより、金属板をハウジングのコンタクト支持部に一体成形により固定する。そして、ハウジングにコンタクトを圧入して固定することにより、ハウジングのコンタクト支持部の外表面にコンタクトの一部を露出させて配列させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−202656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電気コネクタにおいては、金属板をハウジングのコンタクト支持部に一体成形により固定する際に、金属板を押さえピンで上下から挟持する必要があるので、押さえピンを抜き取った後に、コンタクト支持部に固定された金属板と、コンタクト支持部の表面に露出して設けられるコンタクトと、の間に空間を生じ、この空間に異物又は液体が介在することにより電気的不具合を生じるという課題を有する。特に、電気コネクタを使用する周囲の温度変化により、金属板とコンタクトとの間の空間の空気中の水分が凝縮して、金属板とコンタクトとの間の空間に水滴を生じて電気的不具合を生じる恐れがあるという課題を有する。また、金属板とコンタクトとの間の距離を長くすることにより、上記の電気的不具合を低減することも考えられるが、この場合には電気コネクタを小型化及び高密度化することが困難であるという課題を有する。
【0006】
また、上述したような、金属板が埋設されたコンタクト支持部の外表面にコンタクトの一部を露出させて配列させたものを成形する別の方法として、コンタクト支持部を形成する際に、金属板に加えてコンタクトをも含めて一体成形する方法が挙げられる。このようにコンタクトも含めて一体成形する方法は、コンタクトを圧入する方法に比べて生産性の観点で好適である。しかしながら、コンタクトを一体成形する場合は、樹脂を充填する際の圧力や樹脂の流れの影響で、金型にセットしたコンタクトが所定の位置からずれてしまい、その結果、コンタクトの配設位置精度が低下する虞がある。
【0007】
本発明の目的は、金属板とコンタクトとの間の空間に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができると共に、小型化及び高密度化することができる電気コネクタを提供することである。また、もう一つの観点によれば、金属板に加えてコンタクトをも一体成形することでこのような電気コネクタを形成する場合において、コンタクトの配設位置精度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタは、樹脂で形成されており、後方壁から前方に延設されて相手側コネクタと嵌合する板状のコンタクト支持部を備える絶縁性のハウジングと、前記コンタクト支持部の第1の外表面と前記第1の外表面の反対側の第2の外表面とのうち、少なくとも前記第1の外表面に埋設された接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、前記ハウジングに保持された導電性の第1のコンタクトと、前記コンタクト支持部の板厚方向において前記接続部と離間し、かつ、前記第1の外表面と前記第2の外表面との間に前記樹脂によって離間して設けられて、前記コンタクト支持部に固定される金属板と、を有し、前記金属板は、少なくとも一部に絶縁部を備え、前記コンタクト支持部は、前記板厚方向に延設されると共に、前記板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の前記第1の外表面に開口し、前記板厚方向の他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第1の孔部、および、一方の端部が前記第2の外表面に開口すると共に、他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第2の孔部と、を備え、前記第1の孔部は、一部が前記接続部の側縁と一致しているを特徴とする。
【0009】
孔部の板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の外表面に開口すると共に、孔部の板厚方向の他方の端部に絶縁部を露出させる一方で金属板を露出させないことにより、コンタクト支持部の孔部の空気中の水分が凝縮等して孔部に液体が溜まった場合、又はコンタクト支持部の孔部に異物が混入等した場合に、孔部における金属板と接続部との距離が短い場合であっても、金属板と接続部とが液体や異物を介して電気的に短絡することを防ぐ。
【0010】
本発明に係る電気コネクタの製造方法は、樹脂で形成されており、後方壁から前方に延設されて相手側コネクタと嵌合する板状のコンタクト支持部を備える絶縁性のハウジングと、前記コンタクト支持部の第1の外表面と前記第1の外表面の反対側の第2の外表面とのうち、少なくとも前記第1の外表面に埋設された接続部と、基板の導電部に接続する端子部と、を備え、前記ハウジングに保持される導電性の第1のコンタクトと、前記コンタクト支持部の板厚方向において前記接続部と離間し、かつ、前記第1の外表面と前記第2の外表面との間に前記樹脂によって離間して設けられて、前記コンタクト支持部に固定される金属板と、を有し、前記金属板は、少なくとも一部に絶縁部を備え、前記コンタクト支持部は、前記板厚方向に延設されると共に、前記板厚方向の一方の端部が前記コンタクト支持部の前記第1の外表面に開口し、前記板厚方向の他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第1の孔部、および、一方の端部が前記第2の外表面に開口すると共に、他方の端部に前記絶縁部を露出させる一方で前記金属板を露出させない第2の孔部と、を備え、前記第1の孔部は、一部が前記接続部の側縁と一致している電気コネクタの製造方法において、前記金属板の少なくとも一部に絶縁部を形成する工程と、前記金属板と前記第1のコンタクトとを上金型と下金型とからなる金型のキャビティ内の所定の位置にセットする工程と、前記上金型と前記下金型のそれぞれに配設された押さえピンであって、前記上金型と前記下金型のうちの少なくとも前記第1の外表面に対応する一方に配設された前記押さえピンの一部が前記接続部の側縁と当接するように配設された押さえピンによって、前記金属板における前記絶縁部が形成されている範囲内を上下より挟持して前記金型内に保持する工程と、前記金型に樹脂を充填して前記金属板と前記第1のコンタクトとを一体成形することでハウジングを形成する工程と、前記押さえピンを抜き取ることに伴って、前記コンタクト支持部に前記第1の孔部と前記第2の孔部が形成される工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
金属板とコンタクトとをキャビティ内の所定の位置にセットして一体成形する際、押さえピンの一部がコンタクトの接続部の側縁と当接していることで、樹脂を充填する際の圧力や樹脂の流れの影響によって、コンタクトの接続部が所定の位置からずれることを防ぐ。この結果、特にコンタクトの幅方向に沿う方向における配設位置精度を高めることができる。なお、このように押さえピンの一部をコンタクトの接続部の側縁と当接させて一体成形した後に押さえピンを抜き取って形成される孔部は、その外周のうち、接続部の側縁と当接していた部分において、前記接続部の側縁と一致したものとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属板とコンタクトとの間の空間に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができると共に、小型化及び高密度化することができる。また、コンタクトとを一体成形する際のコンタクトの配設位置精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの下方の斜め前方から見た斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの要部を示す図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの製造方法を示す図である。
図5図2のB−B断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの製造方法の変形例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの下方の斜め前方から見た斜視図である。
図8図7のC−C断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係るフレキブル基板接続用コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、図1ないし図3を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0016】
電気コネクタ1は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、を備えている。
【0017】
ハウジング10は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング10は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部12を有している。コンタクト支持部12は、図示しない相手側コネクタと嵌合する。
【0018】
コンタクト支持部12は、板厚方向である上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口され、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13と、上下方向に延設されると共に、下端が外表面18に開口され、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部14と、を備えている。孔部13と孔部14の配置については、後に詳述する。
【0019】
シールドカバー20は、前方に開口して相手側コネクタを挿入可能な挿入孔21と、基板70のグランド71に接続する端子部22と、を有している。シールドカバー20は、金属製の板材を折り曲げて、板材の折り曲げ方向の一方の端部の凹凸形状と他方の端部の凹凸形状とを係合することによりハウジング10に固定されている。
【0020】
上側コンタクト30は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、後述するように、一体成形法によってハウジング10に固定されている。上側コンタクト30は、コンタクト支持部12の上側の外表面17に露出してコンタクト支持部12に埋設されて支持される接続部31と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部73に接続する端子部32と、を備える。接続部31は、コンタクト支持部12の突出方向に沿って配置されている。
【0021】
下側コンタクト40は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、後述するように、一体成形法によってハウジング10に固定されている。下側コンタクト40は、コンタクト支持部12の下側の外表面18に露出してコンタクト支持部12に埋設されて支持される接続部41と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部72に接続する端子部42と、を備える。接続部41は、コンタクト支持部12の突出方向に沿って配置されている。
【0022】
金属板50は、コンタクト支持部12の内部に固定され、上側コンタクト30と下側コンタクト40との間に配置されると共に、上側コンタクト30及び下側コンタクト40に対してコンタクト支持部12の板厚方向に離間して配置されている。金属板50は、孔部13の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部14の上端に露出する絶縁部60bを有している。金属板50に設ける絶縁部60a及び絶縁部60bは、絶縁性の接着テープを金属板50に貼り付ける方法、金属板50に絶縁体をコーティングする方法、又は金属板50に絶縁体を印刷する方法等を用いて形成する。絶縁部60a及び絶縁部60bは、典型的にはエポキシ樹脂又はポリイミド等により形成されている。
【0023】
上記構成を有する電気コネクタ1では、金属板50によりコンタクト支持部12を補強するので、相手側コネクタと挿抜する際等のコンタクト支持部12に外部から負荷が加わった場合であっても、コンタクト支持部12の破損等を防止してコンタクト支持部12の強度を向上させることができる。
【0024】
図2を参照しながら、孔部13と孔部14の配置について説明する。図2は、電気コネクタ1のコンタクト支持部12部分を上方向から見た平面図であって、コンタクト支持部12の外表面17における接続部31と孔部13の配置を示す図である。外表面17上には、4つの接続部31が均一なピッチで配設されている。図示しない相手側コネクタには、接続部31と対向するように相手側接続部が配設されており、嵌合した状態において、各接続部31と相手側接続部とが接触することで、双方の間が電気的に導通する。このような態様においては、隣接する接続部31の間で電気的な短絡が生じることがないように、接続部31は、相手側接続部の配設位置の精度を考慮した所定の精度をもって配設される必要がある。
【0025】
それぞれの接続部31の間には、矩形をなす3つの孔部13が配設されている。3つの孔部13は、いずれも、その全ての範囲が外表面17へ向けて開口していると共に、孔部13における接続部31の延在方向(Y軸方向)に沿う辺部(矩形の長辺)が、接続部31の側縁と一致するように形成されている。孔部13がこのように形成されるに至る工程ついては、後述する。
【0026】
孔部13の下端には絶縁部60aが露出している。このような構成を有する電気コネクタ1では、孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、絶縁部60aによって、接続部31と金属板50との間の電気的不具合が生じることが防がれる。なお、説明の便宜上、図2には、上方向から見た場合の外表面17における接続部31と孔部13の配置のみを示したが、下方向から見た場合の外表面18における接続部41と孔部14の配置も同様となっている。
【0027】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0028】
まず、金属板50の上面の所定の位置に、上述したような方法によって、絶縁部60aを形成すると共に、金属板50の下面の絶縁部60aを形成した箇所の反対側に絶縁部60bを形成する(図4(a))。
【0029】
次に、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に、押さえピン81及び押さえピン82により、金属板50の絶縁部60a及び絶縁部60bを形成した範囲内を上下より挟持して強固に保持した状態で、金属板50を、所定の位置にセットする(図4(b))。
【0030】
ここで、図5を参照して、この工程についてさらに詳述する。図5は、図4(b)に示す工程を前方側から見た断面図である。キャビティ85内には、上述した金属板50の他に、4つの上側コンタクト30の接続部31と、4つの下側コンタクト40の接続部41とが、それぞれ、上金型83と下金型84に当接した状態で、所定の位置にセットされている。
【0031】
上側コンタクト30に着目して説明する。4つの上側コンタクト30の接続部31のうち、両端に位置する2つの接続部31は、その一方の側縁が隣接する押さえピン81に当接しており、内側に位置する残りの2つの接続部31は、その両方の側縁が隣接する押さえピン81に当接している。このように、押さえピンの一部がコンタクトの接続部の側縁と当接していることで、キャビティ85内に溶融した樹脂を充填する際に、樹脂を充填する際の圧力や樹脂の流れの影響によって、接続部31が所定の位置からずれることが防がれる。この結果、特に接続部31の幅方向に沿う方向における配設位置精度を高めることができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る接続部31と押さえピン81の配置は、その一例を示しているに過ぎない。例えば、両端に位置する接続部31のさらに外側に押さえピン81を配置すれば、両端の接続部31の両方の側縁を押さえピン81に当接させることができるため、配設位置精度をさらに高めることができる点で好ましい。また、内側に位置する2つの接続部31について、その一方の側縁のみを押さえピン81に当接させる態様であっても、本願発明に係る効果を得られる。接続部31の両方の側縁を押さえピン81に当接させるか、一方の側縁のみを押さえピン81に当接させるか、については、キャビティ85内へ溶融樹脂を充填するゲートの位置や、想定される溶融樹脂の流れなどに応じて、適宜決定されてよい。
【0033】
このように押さえピン81の一部と接続部31の側縁とを当接させて一体成形した後に押さえピン81を抜き取って形成される孔部13は、その外周のうち、接続部31の側縁と当接していた部分において、前記接続部31の側縁と一致したものとなる。
【0034】
以上、上側コンタクト30に着目して述べたが、下側コンタクト40についても全く同様であるので、その説明を省略する。
【0035】
上述したように、キャビティ85内において、金属板50と、4つの上側コンタクト30の接続部31と、4つの下側コンタクト40の接続部41とを所定の位置にセットした状態で、溶融した樹脂をキャビティ85内に充填して、金属板50と接続部31,41とを一体成形することで、ハウジング10を成形する。
【0036】
次に、キャビティ85内に充填した樹脂が硬化した後に、押さえピン81を上金型83より抜き取ると共に押さえピン82を下金型84より抜き取って、成形品を取り出す(図4(c))。取り出した成形品には、押さえピン81の抜き跡である孔部13が形成されると共に、押さえピン82の抜き跡である孔部14が形成される。金属板50に設けた絶縁部60aによって孔部13の下端が塞がれ、金属板50に設けた絶縁部60bによって孔部14の上端が塞がれており、金属板50の表面は露出していない。すなわち、孔部13は外表面17から絶縁部60aに至って形成されており、孔部14は外表面18から絶縁部60bに至って形成されている。
【0037】
<電気コネクタの製造方法の変形例>
次に、本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法の変形例につき、図6を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0038】
本願発明において、上側コンタクト30の接続部31と下側コンタクト40の接続部41は、一体成形によってコンタクト支持部12に埋設されていることを前提としているが、金属板50は、ハウジング10に一体成形により固定する場合に限らず、ハウジング10に圧入して固定することも可能である。
【0039】
先ず、金属板50の上面の所定の位置に絶縁部60aを形成すると共に、金属板50の下面の絶縁部60aを形成した箇所の反対側に絶縁部60bを形成する(図6(a))。なお、説明の便宜上、この工程を最初に記述したが、この工程は必ずしも最初に行われる必要はなく、後述する金属板50を圧入する工程よりも前に完了されていれば、その順序は不問である。
【0040】
次に、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に、金属板50と同一の板厚及び板幅を有する同一形状の金型部品90を上金型83及び下金型84にセットし、押さえピン81及び押さえピン82により、金型部品90における金属板50に絶縁部60a及び絶縁部60bが形成されている部分に対応する範囲内を上下より挟持して、金型部品90を強固に保持した状態で、所定の位置にセットすると共に、上述した図5に係る態様と同様に、4つの上側コンタクト30の接続部31と、4つの下側コンタクト40の接続部41とを、それぞれ、所定の位置にセットする。
【0041】
次に、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に溶融した樹脂を充填してハウジング10を成形する。(図6(b))。
【0042】
次に、キャビティ85内に充填した樹脂が硬化した後に、押さえピン81を上金型83より抜き取ると共に押さえピン82をした下金型84より抜き取る。これに伴って、押さえピン81の抜き跡である孔部13が形成されると共に、押さえピン82の抜き跡である孔部14が形成される。この状態において、孔部13は、成形されたハウジング10のコンタクト支持部12における外表面17から金型部品90に至って形成され、孔部14は、コンタクト支持部12における外表面18から金型部品90に至って形成されている。
【0043】
次に、金型部品90をキャビティ85から抜き取って、成形品を取り出す(図6(c))。金型部品90を抜き取った後には、後端から前方に向けて金型部品90の抜き跡である保持孔19が形成される。保持孔19は、後端が外部に開放されていると共に、後端から前方に延設されてコンタクト支持部12の前端の手前まで形成されている。孔部13及び孔部14は、保持孔19を介して連通する。
【0044】
次に、保持孔19に後方より金属板50を圧入してコンタクト支持部12に固定する(図6(d))。この状態において、金属板50に設けた絶縁部60aによって孔部13の下端が塞がれ、金属板50に設けた絶縁部60bによって孔部14の上端が塞がれており、金属板50の表面は露出していない。すなわち、孔部13の下端には絶縁部60aが臨み、孔部14の上端には絶縁部60bが臨んでいる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、絶縁部60a及び絶縁部60bを備える金属板50と、コンタクト支持部12の板厚方向に延設されると共に、上端がコンタクト支持部12の外表面17へ開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13と、コンタクト支持部12の板厚方向に延設されると共に、下端がコンタクト支持部12の外表面18へ開口し、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部14と、を備えるコンタクト支持部12と、を有することにより、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、金属板50を一体成形によりコンタクト支持部12に固定する場合と、金属板50を圧入してコンタクト支持部12に固定する場合と、の両方において、押さえピン81及び押さえピン82の抜き跡である孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができると共に、上側コンタクト30の接続部31と下側コンタクト40の接続部41の配設位置精度を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、コンタクト支持部12の外表面17に接続部31を露出させると共に外表面18に接続部41を露出させて多極化させた電気コネクタ1において、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合に電気的不具合を生じることを防ぐことができると共に、上側コンタクト30の接続部31と下側コンタクト40の接続部41の配設位置精度を高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の構成につき、図7及び図8を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0049】
なお、図7及び図8において、図1ないし図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
電気コネクタ2は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板100と、を備えている。
【0051】
金属板100は、コンタクト支持部12の内部に固定され、孔部13の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部14の上端に露出する絶縁部60bを有している。金属板100は、コンタクト支持部12に固定される固定部101と、後端の左右両端より後方に延設されて下方に折り曲げられて基板70のグランド74に接続する脚部102と、を備え、上側コンタクト30の接続部31と下側コンタクト40の接続部41との間を遮蔽するシールド部材として機能する。
【0052】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ2の製造方法は上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0053】
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、金属板100をシールド部材とするので、高いシールド性能を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、コンタクト支持部12の強度の補強用の補強材と、シールド部材と、を金属板100で兼用させることにより、部品点数を減少させることができるので、製造コストを低減することができると共に小型化することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ3の構成につき、図9を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0056】
なお、図9において、図1ないし図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
電気コネクタ3は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、を備えている。
【0058】
金属板50は、絶縁部61により全体が覆われている。これにより、金属板50は、孔部13の下端に露出すると共に孔部14の上端に露出する絶縁部61を有している。なお、金属板50における上記以外の構成は上記第1の実施形態の金属板50と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0059】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ3の製造方法は、上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法に対して、絶縁部61により金属板50の全体を覆う以外は同一であるので、その説明を省略する。
【0060】
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、絶縁部61により金属板50の全体を覆うので、コンタクト支持部12に金属板50を固定する際に、孔部13に絶縁部が位置するように位置決めすると共に、孔部14に絶縁部が位置するように位置決めする面倒な位置合わせを不要にすることができるので、容易に製造することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、金属板50に絶縁部61を設ける際に、金属板50に対する絶縁部61の位置決めを行う必要がないので、容易に製造することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、絶縁部61により金属板50の全体を覆うので、製造過程等において金属板50に液体等が付着する状態を防ぐことができ、金属板50の腐蝕を軽減することができる。
【0063】
なお、本実施形態において、絶縁部61により金属板50を覆ったが、金属製の板材の全体を予め絶縁部61により覆い、絶縁部61によって全体を覆った板材を切断して金属板50を形成してもよい。この場合、金属板50の破断面には絶縁部61を有さないが、少なくとも金属板50の絶縁部により孔部13の下端及び孔部14の上端を塞ぐことができるので、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0064】
また、上記の方法により金属板50に絶縁部61を設ける場合において、絶縁部61を設けた板材を切断して形成した金属板50の破断面に、更に絶縁部を形成してもよい。この場合には、製造過程等において金属板50に液体等が付着する状態を防ぐことができ、金属板50の腐蝕を軽減することができる。
【0065】
(第4の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタ4の構成につき、図10を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0066】
なお、図10において、図1ないし図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
電気コネクタ4は、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、金属板50と、ハウジング110と、を備えている。
【0068】
ハウジング110は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング110は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部112を有している。コンタクト支持部112は、上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13を備えている。
【0069】
金属板50は、コンタクト支持部112の外表面18に露出して設けられている。金属板50は、孔部13の下端に露出する絶縁部62を有している。金属板50に絶縁部62を形成する方法及び絶縁部62の材料は、上記第1の実施形態の絶縁部60a及び絶縁部60bと同一であるので、その説明を省略する。
【0070】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ4の製造方法は、上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法に対して、下側コンタクト40を有さないこと、及びコンタクト支持部12に下側コンタクト40を保持する部分を形成しないこと以外は同一であるので、その説明を省略する。
【0071】
本実施形態によれば、上側コンタクト30と、上側コンタクト30を露出させているコンタクト支持部12の外表面17と反対側の外表面18に金属板50を露出させているような形状の電気コネクタにおいて、孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、金属板50を一体成形によりハウジング110に固定する場合と、金属板50を圧入してハウジング110に固定する場合と、の両方において、押さえピン81の抜き跡である孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0073】
なお、本実施形態において、上側コンタクト30の接続部31をコンタクト支持部12の外表面17に露出させると共に金属板50をコンタクト支持部12の外表面18に露出させたが、金属板50をコンタクト支持部12の外表面17に露出させると共に下側コンタクト40の接続部41をコンタクト支持部12の外表面18に露出させるようにしてもよい。
【0074】
(第5の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第5の実施形態に係る電気コネクタ5の構成につき、図11を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0075】
なお、図11において、図1ないし図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
電気コネクタ5は、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、ハウジング210と、を備えている。
【0077】
ハウジング210は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング210は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部212を有している。コンタクト支持部212は、図示しない相手側コネクタと嵌合する。コンタクト支持部212は、上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部213と、上下方向に延設されると共に、下端が外表面18に開口し、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部214と、を備えている。孔部214は、孔部213に対してずれた位置に設けられている。
【0078】
これは、第1の実施形態に係る孔部13と孔部14の幅(X方向に沿う方向)を細くして、接続部31や接続部41の一方の側縁のみと一致した状態とした上で、孔部13と孔部14の位置を互いにずれた位置に設けた場合(製造方法の観点から換言すると、押さえピン81,82の幅を細くして、押さえピン81,82を接続部31や接続部41の一方の側縁のみと当接させた上で、押さえピン81,82の位置を互いにずれた位置に設けた場合)、に当たる。
【0079】
上側コンタクト30は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング210に固定されている。上側コンタクト30は、コンタクト支持部212の外表面17に露出してコンタクト支持部212に埋設される接続部31と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部73に接続する端子部32と、を備える。接続部31は、コンタクト支持部212の突出方向に沿って配置されている。
【0080】
下側コンタクト40は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング210に固定されている。下側コンタクト40は、コンタクト支持部212の下側の外表面18に露出してコンタクト支持部212に埋設される接続部41と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部72に接続する端子部42と、を備える。接続部41は、コンタクト支持部212の突出方向に沿って配置されている。
【0081】
金属板50は、コンタクト支持部212の内部に固定され、上側コンタクト30と下側コンタクト40との間に配置されると共に、上側コンタクト30及び下側コンタクト40に対してコンタクト支持部212の板厚方向に離間して配置されている。金属板50は、孔部213の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部214の上端に露出する絶縁部60bを有している。
【0082】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0083】
例えば、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、シールドカバーを設けたが、シールドカバーを設けずに、コンタクト支持部の周囲をハウジングで囲んで相手側コネクタを挿入可能な挿入孔を形成してもよい。
【0084】
また、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、金属板の前端をコンタクト支持部の内部に配置するようにしたが、金属板の前端をコンタクト支持部の前端から前方に突出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、コンタクトを支持すると共に相手側コネクタと挿抜される板状のコンタクト支持部を絶縁性のハウジングに備える電気コネクタに好適である。
【符号の説明】
【0086】
1 電気コネクタ
2 電気コネクタ
3 電気コネクタ
4 電気コネクタ
5 電気コネクタ
10 ハウジング
11 後方壁
12 コンタクト支持部
13 孔部
14 孔部
17 外表面
18 外表面
19 保持孔
20 シールドカバー
21 挿入孔
22 端子部
30 上側コンタクト
31 接続部
32 端子部
40 下側コンタクト
41 接続部
42 端子部
50 金属板
60a 絶縁部
60b 絶縁部
70 基板
71 グランド
72 導電部
73 導電部
81 押さえピン
82 押さえピン
83 上金型
84 下金型
85 キャビティ
90 金型部品
100 金属板
101 固定部
102 端子部
110 ハウジング
112 コンタクト支持部
113 孔部
210 ハウジング
212 コンタクト支持部
213 孔部
214 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11