特許第6440116号(P6440116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440116
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】電池パック及びアダプタ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20181210BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20181210BHJP
   H01M 10/6235 20140101ALI20181210BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20181210BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20181210BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01M2/10 J
   H01M2/10 E
   B25F5/00 H
   B25F5/00 A
   H01M2/10 U
   H01M10/6235
   H01M10/658
   H01M2/34 A
   H01M10/44 P
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-265465(P2014-265465)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-126871(P2016-126871A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 忠叡
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 直規
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−235812(JP,A)
【文献】 特開2007−087780(JP,A)
【文献】 特開2013−191286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10、2/20−2/34、10/42−10/48、
10/52−10/667
B25F 1/00−5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体に対して着脱可能であり、前記電動工具本体への装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電動工具用の電池パックであって、
前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を含む第1電路と、前記調整用抵抗を迂回する第2電路と、前記第1電路及び前記第2電路の何れかの電路に切り替える電路切替部とを有し、前記電池パック全体の内部抵抗を調整可能な抵抗調整ユニットを備えたことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記調整用抵抗は、金属板材にて作製された抵抗板にて構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、一部に幅狭部が形成され、過電流により溶断可能に構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、断熱材で覆われて構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、温度センサを一体に組付可能に構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体と、前記電動工具本体に対して着脱可能であり装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電池パックとを備える電動工具に対し外付け可能なアダプタであって、
前記アダプタは、前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を含む第1電路と、前記調整用抵抗を迂回する第2電路と、前記第1電路及び前記第2電路の何れかの電路に切り替える電路切替部とを有し、前記電動工具に対する装着・非装着にて前記電池パック側の内部抵抗を調整可能に構成されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項7】
請求項6に記載のアダプタにおいて、
前記電動工具本体と前記電池パックとの間に介装されるものであり、それぞれに着脱可能に構成されていることを特徴とするアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に用いる電池パック、及び電池パックに付帯させるアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手持ち式の電動工具においては、例えば特許文献1に示されるように、モータや制御回路等を備える電動工具本体に対して電池パックが着脱可能に構成されたものが知られている。電池パックは、複数個の電池セルから構成される二次電池を内蔵し、電動工具本体に駆動電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−188803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用者によっては、電動工具本体と対で用意される電池パックの他に、予備として別の電池パックを用意することがあり、また電動工具本体と対で用意される電池パックが古くなり、交換のために新たに別の電池パックを用意したりすることもある。その際、別途用意した電池パック内の二次電池の内部抵抗が元々電動工具本体と対で用意される電池パックの内部抵抗より低い場合があるため、電動工具本体のモータや制御回路等に対して過電流が生じ得ることが懸念される。つまり、このような状況では、電池パックが使用できない虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、汎用性を高めることができる電池パック、及び電池パックに付帯させるアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池パックは、モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体に対して着脱可能であり、前記電動工具本体への装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電動工具用の電池パックであって、前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を有し、前記電池パック全体の内部抵抗を調整可能な抵抗調整部を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するアダプタは、モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体と、前記電動工具本体に対して着脱可能であり装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電池パックとを備える電動工具に対し外付け可能なアダプタであって、前記アダプタは、前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を有し、前記電動工具に対する装着・非装着にて前記電池パック側の内部抵抗を調整可能に構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記した電池パックによれば、汎用性を高めることができる。また、上記したアダプタによれば、電池パックの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における電動工具の電池パック部分を中心に示す斜視図である。
図2】同実施形態における電動工具の電気的構成図である。
図3】別例における抵抗板の斜視図である。
図4】別例における電動工具の電池パック部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、電動工具に用いる電池パックの一実施形態について説明する。
図1に示すように、電動工具1は、作業者が片手で把持可能な手持ち式で充電式の電動工具である。電動工具1は、電動工具本体10と、電動工具本体10の把持部11の下端に設けられる電池パック装着部12に対して着脱可能な電池パック20とを備えてなる。
【0011】
電動工具本体10は、図2に示すように、駆動源としてモータ13、モータ13の駆動制御を行う制御回路14、及びトリガスイッチ15等を備えている。また、電動工具本体10(電池パック装着部12)は、電池パック20側と電気的接続を図る電源端子16a,16bを備えている。電動工具本体10は、電源端子16a,16bを介して電池パック20から電力供給がなされることで、トリガスイッチ15の操作による制御回路14の制御に基づきモータ13の駆動が制御される。
【0012】
電池パック20は、ケース21と、ケース21に収容される二次電池22と、二次電池22とともに収容される抵抗調整ユニット23とを有している。二次電池22は、リチウム電池等の複数個の電池セル22aにて構成されている。
【0013】
抵抗調整ユニット23は、図1に示すように、例えば金属板材から作製され平面方向に蛇行形状をなす抵抗板24と、抵抗板24を覆う断熱材25とを備えている。また、図2に示すように、抵抗調整ユニット23は、抵抗板24を含む第1電路26aと、抵抗板24を迂回する第2電路26bと、第1及び第2電路26a,26bの何れかの電路に切り替える電路切替部27とを備えている。電路切替部27は、スイッチや断路部等よりなり第2電路26b上に設けられる。
【0014】
また、電池パック20は、電動工具本体10側に設けた電源端子16a,16bと電気的接続を図る電源端子28a,28bを備えている。そして、二次電池22のプラス側端子は、抵抗調整ユニット23を介して電源端子28aに接続され、マイナス側端子は、二次電池22の内部抵抗29を介して電源端子28bに接続されている。
【0015】
次に、電池パック20の電動工具本体10に対する装着態様を説明する。
電動工具本体10と電池パック20との相互関係において、二次電池22の本来の内部抵抗29のみの電池パック20を用いても電動工具本体10側で支障を来さない場合、電池パック20内の抵抗調整ユニット23では、抵抗板24を迂回する第2電路26b側が選択されるように電路切替部27を機能させる。例えば電路切替部27がスイッチであれば閉、断路部であれば断路しない。つまり、二次電池22と電源端子28aとの間に抵抗板24が介在しないようにする。
【0016】
一方、電動工具本体10と電池パック20との相互関係において、二次電池22の本来の内部抵抗29のみの電池パック20を用いることで内部抵抗不足となって電動工具本体10側で支障を来す懸念がある場合、電池パック20内の抵抗調整ユニット23では、抵抗板24を含む第1電路26a側が選択されるように電路切替部27を機能させる。例えば電路切替部27がスイッチであれば開、断路部であれば断路させる。つまり、二次電池22と電源端子28aとの間に抵抗板24を介在(付加)させて電池パック20の内部抵抗が高められ、電動工具本体10側に過電流が供給されることが未然に防止されるようになっている。
【0017】
本実施形態では、このような抵抗調整ユニット23を電池パック20内に備えることで、電池パック20の汎用性が高いものとなり、電池パック20の使用範囲(電動工具本体10の適用機種)を広げることが可能である。
【0018】
次に、本実施形態の効果を記載する。
(1)電池パック20には、電池パック20内の二次電池22の本来の内部抵抗29に付加可能な調整用抵抗(抵抗板24)を有する抵抗調整ユニット23が備えられる。電動工具本体10側との兼ね合いで、不要時には調整用抵抗(抵抗板24)を迂回する第2電路26bが選択され、必要時には調整用抵抗(抵抗板24)を含む第1電路26aが選択され、電池パック20全体の内部抵抗が調整可能となっている。これにより、種々の電動工具本体10に応じて内部抵抗の調整を行うことで電池パック20の汎用性が高くなり、電池パック20の使用範囲(電動工具本体10の適用機種)を広げることができる。
【0019】
(2)抵抗調整ユニット23に備えられる調整用抵抗として、金属板材にて作製された抵抗板24が用いられる。つまり、調整用抵抗(抵抗板24)を簡易に構成することができる。
【0020】
(3)抵抗調整ユニット23の抵抗板24は、断熱材25で覆われて構成される。これにより、抵抗板24での発熱の周囲への伝達(例えば二次電池22側への伝達)を抑制でき、周囲の熱による影響を抑制することができる。
【0021】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
図3に示すように、抵抗板24の一部に側方から切り欠くことで形成される幅狭部30aや、孔を開けることで形成される幅狭部30bを設け、所定電流値以上の過電流にて溶断するように構成してもよい。つまり、幅狭部30a,幅狭部30bを設けることで、抵抗板24をヒューズとして機能させることもできる。
【0022】
・また同図3に示すように、抵抗板24にサーミスタ等の温度センサ31を一体に組み付けて構成してもよい。例えば温度センサ31による抵抗板24の温度検出を行うことで、抵抗板24を流れる電流が過電流となっているか、つまりモータ13が過負荷な状態かを判定するようにしてもよい。また、抵抗板24を流れる電流と抵抗板24の温度との相関関係から、温度センサ31による電流検出も可能である。抵抗板24に温度センサ31を一体に組み付ける構成とすることで、電池パック20の組立性の向上等が期待できる。
【0023】
・抵抗調整ユニット23(抵抗板24)を電池パック20に一体に組み込むのではなく、図4に示すように、抵抗板24を有するアダプタ40として電池パック20aとは別体で構成し、電動工具1aに対して外付けする構成としてもよい。図4のアダプタ40は、電動工具本体10と電池パック20aとの間に介装されるものであり、それぞれに着脱可能に構成される。アダプタ40は、電池パック20a内の二次電池22の本来の内部抵抗29(図2参照)に付加可能な調整用抵抗(抵抗板24)を有しており、電動工具1aに対する装着・非装着にて電池パック20a側全体としての内部抵抗を調整する。すなわち、アダプタ40を用いず内部抵抗29のみとするか、アダプタ40を用いて内部抵抗29に調整用抵抗(抵抗板24)を付加するかの調整が行われる。つまり、必要時にのみアダプタ40を用いて対応することができる。アダプタ40を用意することで、電池パック20aの汎用性を高めることができる。なお、アダプタは、電動工具本体10側のみに外付け可能、又は電池パック20a側のみに外付け可能であってもよい。
【0024】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(付記1)モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体に対して着脱可能であり、前記電動工具本体への装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電動工具用の電池パックであって、
前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を有し、前記電池パック全体の内部抵抗を調整可能な抵抗調整部を備えたことを特徴とする電池パック。
【0025】
(付記2)付記1に記載の電池パックにおいて、
前記調整用抵抗は、金属板材にて作製された抵抗板にて構成されていることを特徴とする電池パック。
【0026】
(付記3)付記2に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、一部に幅狭部が形成され、過電流により溶断可能に構成されていることを特徴とする電池パック。
【0027】
(付記4)付記2又は3に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、断熱材で覆われて構成されていることを特徴とする電池パック。
(付記5)付記2〜4の何れか一項に記載の電池パックにおいて、
前記抵抗板は、温度センサを一体に組付可能に構成されていることを特徴とする電池パック。
【0028】
(付記6)モータ及び制御回路を含んで構成される電動工具本体と、前記電動工具本体に対して着脱可能であり装着により前記電動工具本体側に電力供給を行う電池パックとを備える電動工具に対し外付け可能なアダプタであって、
前記アダプタは、前記電池パック内の二次電池本来の内部抵抗に付加可能な調整用抵抗を有し、前記電動工具に対する装着・非装着にて前記電池パック側の内部抵抗を調整可能に構成されていることを特徴とするアダプタ。
【0029】
(付記7)付記6に記載のアダプタにおいて、
前記電動工具本体と前記電池パックとの間に介装されるものであり、それぞれに着脱可能に構成されていることを特徴とするアダプタ。
【符号の説明】
【0030】
1,1a…電動工具、10…電動工具本体、13…モータ、14…制御回路、20,20a…電池パック、23…抵抗調整ユニット、24…抵抗板(調整用抵抗)、25…断熱材、29…内部抵抗、30a,30b…幅狭部、31…温度センサ、40…アダプタ。
図1
図2
図3
図4