特許第6440121号(P6440121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440121
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20181210BHJP
   H01H 73/06 20060101ALI20181210BHJP
   H01H 71/12 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01H73/20 A
   H01H73/06 B
   H01H71/12
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-73394(P2015-73394)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-194977(P2016-194977A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 国法
(72)【発明者】
【氏名】稲次 崇
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−339909(JP,A)
【文献】 特開2007−012594(JP,A)
【文献】 特開2009−087688(JP,A)
【文献】 特開2000−294108(JP,A)
【文献】 特開2011−119261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H69/00−69/01
H01H71/00−83/22
H02B 1/40− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電圧極と中性極の導電バーを有する分電盤に配設される回路遮断器であって、
器体の一方の端部に配設され、一対の電圧極と中性極の導電バーに接続される3つの接続端子と、
前記器体の他方の端部に前記器体の幅方向に沿って並設され、それぞれに電線が挿入される3つの電線挿入孔と、を有し、
前記器体は、第1の回路ブロックの器体と第2の回路ブロックの器体から構成され、
前記第1の回路ブロックの器体は、前記一対の電圧極のいずれか一方の電圧極と前記中性極とを分岐し、2つの前記電線挿入孔を有し、
前記第2の回路ブロックの器体は、前記一対の電圧極のいずれか他方の電圧極を分岐し、1つの前記電線挿入孔を有し、
並設された3つの前記電線挿入孔のうちの中央の電線挿入孔は、該電線挿入孔に挿入される電線を、前記中性極の導電バーが接続される前記接続端子に電路を介して接続する中性極の電線挿入孔であること、を特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記第1の回路ブロックの開閉機構と前記第2の回路ブロックの開閉機構とを連動する連動部材を有することを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等に設けられた分電盤には、主幹ブレーカと複数の分岐ブレーカが備えられている。近年、住宅等においても使用電力を知り得ることが求められている。このため、分電盤には、電力計測装置が配設される。電力計測装置は、たとえば特許文献1に示す単相3線式の回路遮断器を介して検出した電圧値と、分岐ブレーカに対応して設けられた電流センサによる電流値とに基づいて、使用電力を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4407380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の電力計測装置と回路遮断器は、住宅等の壁面に取着された分電盤に組み付けられ、配線材により電気的に接続される。このため、施工を容易に行うことが求められる。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に施工を行うことが可能な回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の回路遮断器は、一対の電圧極と中性極の導電バーを有する分電盤に配設される回路遮断器であって、器体の一方の端部に配設され、一対の電圧極と中性極の導電バーに接続される3つの接続端子と、前記器体の他方の端部に前記器体の幅方向に沿って並設され、それぞれに電線が挿入される3つの電線挿入孔と、を有し、並設された3つの前記電線挿入孔のうちの中央の電線挿入孔は、該電線挿入孔に挿入される電線を、前記中性極の導電バーが接続される前記接続端子に電路を介して接続する中性極の電線挿入孔である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回路遮断器によれば、容易に施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は回路遮断器の正面図、(b)は回路遮断器の側面図である。
図2】回路遮断器の斜視図である。
図3】回路遮断器の斜視図である。
図4】回路遮断器の分解斜視図である。
図5】オフ状態の回路遮断器を示す概略側面図である。
図6】中性極をオンした回路遮断器を示す概略側面図である。
図7】オン状態の回路遮断器を示す概略側面図である。
図8】分電盤のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を説明する。
先ず、分電盤の概略を説明する。
図8に示す分電盤10は、たとえば住宅にあって台所の壁面上部に取着されている。分電盤10には、主幹ブレーカ11が設けられている。主幹ブレーカ11は、商用電力が供給される単相3線式の電圧線L1,L2及び中性線Nに接続されている。主幹ブレーカ11は、電圧線L1D,L2D及び中性線NDに対して、電圧線L1,L2及び中性線Nを接離する。電圧線L1D,L2D及び中性線NDは、分電盤10内に配設された導電バーである。以下の説明において、導電バーL1D,L2D,NDを用いる場合がある。
【0010】
導電バーL1D,ND,L2Dには回路遮断器としての複数(図では3つ)の分岐ブレーカ12a,12b,12cが接続される。各分岐ブレーカ12a〜12cは、たとえばプラグインブレーカである。各分岐ブレーカ12a〜12cは、導電バーL1D,L2D,NDに対して接離可能な一次側端子(プラグイン端子)を有している。また、各分岐ブレーカ12a〜12cは、照明器具等の負荷機器や、負荷機器を接続するコンセント等へ電力を供給する電線が接続される二次側端子を有している。
【0011】
また、分電盤10には、電力量計13、回路遮断器としてのブレーカ14、複数(図では3つ)の電流センサ15a,15b,15cが配設されている。
電力量計13は、ブレーカ14を介して導電バーL1D,L2D,NDに接続される。ブレーカ14は、例えばプラグインブレーカであり、導電バーL1D,L2D,NDに対して接離可能な一次側端子と、電線が接続される二次側端子を有し、電線を介して電力量計13に接続されている。
【0012】
電力量計13は、各電流センサ15a,15b,15cに接続されている。電流センサ15a〜15cは、たとえばホール素子である。なお、電流センサとして、変流器(CT:Current Transformer)、磁気抵抗素子、GMR(Giant magnetic resistances)素子、シャント抵抗などのセンサを用いても良い。なお、電流センサは、分電盤において、分岐ブレーカが接続される電圧極、分岐ブレーカが取着される場所に応じて設けられている。
【0013】
電力量計13は、各電流センサ15a〜15cの出力信号に基づいて、各分岐ブレーカ12a〜12cに流れる電流の値を算出する。電力量計13は、ブレーカ14を介して、線間の電圧値を算出する。そして、電力量計13は、電流値と電圧値とに基づいて、各電路の電力量を算出する。電力量計13により測定された電力量は、たとえば、無線通信により送信され、表示装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)に表示される。
【0014】
次に、ブレーカ14について説明する。
なお、以下の説明において、矢印にて示した方向を用いる。これらの方向は、ブレーカ14を分電盤に収容した状態における方向の一例を示すものである。また、一部の図においては矢印付きで各方向を示している。また、各図にかかる説明において示されない部材について符号を省略することがある。
【0015】
図1(a)及び図1(b)に示すように、ブレーカ14は、2つの回路ブロック20,40を有している。ブレーカ14は、単相3線式の配線路における一対の電圧極(L1相,L2相)と中性極(N相)を分岐する。第1の回路ブロック20は、一対の電圧極のうちの一方の電圧極(たとえばL2相の電圧極)と、中性極を分岐する。第2の回路ブロック40は、一対の電圧極のうちの他方の電圧極(たとえばL1相の電圧極)を分岐する。
【0016】
ブレーカ14の器体14aは、概略矩形箱状に形成されている。第1の回路ブロック20と第2の回路ブロック40は、互いに概略同形状である。ブレーカ14の器体14aは、2つの回路ブロック20,40の器体21,41により構成される。そして、ブレーカ14は、器体14aを覆うカバー14bを有している。
【0017】
第1の回路ブロック20の器体21は、絶縁性を有する合成樹脂材料よりなり、扁平な矩形箱状に形成されている。
図1(b)に示すように、器体21の長手方向(上下方向)の一端(上端)には、中性極及び2つの電圧側極の3本の導電バーND,L1D,L2Dが各々差し込まれる3つの差込溝22a,22b,22cが形成されている。各差込溝22a〜22cは、器体21の長手方向に直交した前後方向に沿って一列に並設されている。
【0018】
図1(a)に示すように、器体21の長手方向の他端(下端)には、接続線が挿入可能な2つの電線挿入孔23a,23bが、器体21の短手方向(左右方向)に沿って並設されている。器体21内には、端子板24a,24bが器体21の短手方向(左右方向)に沿って配設されている。電線挿入孔23a,23bに挿入された電線(芯線)は、端子板24a,24bとそれぞれ電気的に接続される。
【0019】
第2の回路ブロック40の器体41は、絶縁性を有する合成樹脂材料よりなり、第1の回路ブロック20の器体21と概略同形であり、扁平な矩形箱状に形成されている。
図3に示すように、第2の回路ブロック40の器体41の上端には、3つの差込溝42a,42b,42cが、器体41の長手方向に直交した前後方向に沿って一列に並設されている。
【0020】
図1(a)及び図2に示すように、器体41の長手方向の他端(下端)には、2つの電線挿入孔43a,43bが、器体41の短手方向(左右方向)に沿って並設されている。器体41内には、電線挿入孔43aに対応する位置に、端子板44aが配設されている。電線挿入孔43aに挿入された電線(芯線)は、端子板44aと電気的に接続される。
【0021】
そして、この器体41の2つの電線挿入孔43a,43bの一方(本実施形態では右側の電線挿入孔43b)は、孔塞ぎ部材45により閉塞されている。したがって、ブレーカ14は、実質的に器体14aの短手方向に沿って一列に並設された3つの電線挿入孔23a,23b,43aを有している。
【0022】
図3に示すように、第1の回路ブロック20には、差込溝22a,22cに対応するプラグイン端子26a,26cが収容されている。第2の回路ブロック40には、差込溝42bに対応するプラグイン端子46bが収容されている。
【0023】
図1(b)に示すように、各プラグイン端子26a,26c,46bは、分電盤10の導電バーに接続される。差込溝22aに対応するプラグイン端子26aは、中性極の導電バーNDに接続される。たとえば、差込溝42bに対応するプラグイン端子46bは、電圧極(L1相)の導電バーL1Dに接続され、差込溝22cに対応するプラグイン端子26cは、電圧極(L2相)の導電バーL2Dに接続される。
【0024】
図2に示すように、器体21,41の前面中央には、ハンドル27,47が回動自在に設けられている。ハンドル27は、第1の回路ブロック20の器体21に収容された開閉機構と連結されている。開閉機構は、プラグイン端子26a,26c(図1(b)参照)と電線挿入孔23a,23bに挿入される2本の接続線との間に接続された接点を、ハンドル27の回動に基づいて電気的に接離する。また、開閉機構は、1つの電圧極(例えばL2相)において過負荷電流のような過電流が流れる場合に、接点を強制的に開極する。
【0025】
同様に、ハンドル47は、第2の回路ブロック40の器体41に収容された開閉機構と連結されている。開閉機構は、プラグイン端子46b(図1(b)参照)と電線挿入孔43aに挿入される1本の接続線との間に接続された接点を、ハンドル47の回動に基づいて電気的に接離する。また、開閉機構は、電圧極(たとえばL1相)において、過負荷電流のような過電流が流れる場合に、接点を強制的に開極する。
【0026】
ブレーカ14に並設された3つの電線挿入孔23a,23b,43aのうち、中央の電線挿入孔23bに挿入される電線は、図1(b)に示すプラグイン端子26aに対して電気的に接離される。そして、このプラグイン端子26aは、ブレーカ14を分電盤に配設することで、中性極の導電バーNDに接続される。つまり、この中央の電線挿入孔23bは、中性極の電線を挿入する電線挿入孔である。
【0027】
電線挿入孔23aに挿入される電線は、図1(b)に示すプラグイン端子26cに対して電気的に接離される。そして、このプラグイン端子26cは、一対の電圧極の一方の電圧極(本実施形態ではL2相)の導電バーL2Dに接続される。同様に、電線挿入孔43aに挿入される電線は、図1(b)に示すプラグイン端子46bに対して電気的に接離される。そして、このプラグイン端子46bは、一対の電圧極の他方の電圧極(本実施形態ではL1相)の導電バーL1Dに接続される。
【0028】
図1(a)に示すように、ブレーカ14の器体14aを覆うカバー14bは、電線挿入孔23a,23b,43aの上方に配置された表示片14cを有している。この表示片14cには、中性極の電線挿入孔23bに対応する位置に、中性極を示すマーク14dが形成されている。このマーク14dは、たとえば「N」の文字である。また、表示片14cには、電線挿入孔23a,43aに対応する位置に電圧極を示すマーク14e,14fが形成されている。マーク14eは、たとえばL2相の電圧極に対応する色(たとえば赤色)の丸印である。マーク14fは、たとえばL1相の電圧極に対応する色(たとえば黒色)の丸印である。
【0029】
図4に示すように、連動部材60は、機構連動部材61とハンドル連動部材62を含む。機構連動部材61は、第1の回路ブロック20の器体21と第2の回路ブロック40の器体41の間に配設されている。ハンドル連動部材62は、第1の回路ブロック20のハンドル27と第2の回路ブロック40のハンドル47の間に配設されている。第1の回路ブロック20と第2の回路ブロック40は、連結ピン71,72と連結バー73とにより互いに連結される。機構連動部材61とハンドル連動部材62は、第1の回路ブロック20と第2の回路ブロック40とを互いに連動する。
【0030】
機構連動部材61は、第1の回路ブロック20に含まれる開閉機構と、第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構とを互いに連動する。たとえば、L2相の電圧極において過電流が流れた場合、第1の回路ブロック20に含まれる開閉機構は、その回路ブロック20に含まれる電圧極の接点と中性極の接点を強制的に開極する。この開閉機構の動きは、機構連動部材61を介して第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構に伝達される。第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構は、機構連動部材61の動きに基づいて電圧極の接点を強制的に開極する。
【0031】
ハンドル連動部材62は、ハンドル27,47間に配設された連結部材62aと、連結部材62aを貫通し、両端がハンドル27,47に嵌挿された連結ピン62bとを有している。これにより、両ハンドル27,47は互いに連結され、一体的に回動する。このように一体的に回動するハンドル27,47により、第1の回路ブロック20に含まれる開閉機構と、第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構とが作動し、一対の電圧極の接点と中性極との接点を接離する。
【0032】
図5は、第1の回路ブロック20に含まれる開閉機構の一例を示す。
なお、図5において重なる部材については括弧内に符号を記載している。なお、以下の説明についても同様とする。
【0033】
第1の回路ブロック20の器体21には、端子板24b(24a)と一体的に形成された固定接触子31b,31aが固定されている。固定接触子31b,31aの先端(上端)には固定接点32b,32aが固定されている。
【0034】
この開閉機構35は、器体21に回動可能に支持されたクロスバー36を有している。クロスバー36には、プラグイン端子26c,26aに電気的に接続された可動接触子33b,33aが嵌め込まれている。可動接触子33aは、剛体の導電金属板から構成され、先端(下端)に可動接点34aが固着されている。可動接触子33bは、導電性ばね薄板材から構成されている。可動接触子33bの基端は器体21に固定されている。可動接触子33bの先端に可動接点34bが固着されている。
【0035】
開閉機構35は、ハンドル27の回動に基づいて、クロスバー36を回動する。このクロスバー36の回動に応じて可動接触子33b,33aが変位し、固定接点32b,32aに対して可動接点34b,34aを接離する。また、開閉機構35は、第1の回路ブロックの電圧極(L2相)の電路に流れる電流に基づいて、過電流等の発生時にクロスバー36を回動(図5において時計回りの回動)する。このクロスバー36の回動に基づいて可動接点34b,34aが固定接点32b,32aから離間する。
【0036】
第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構は、第1の回路ブロック20に含まれる開閉機構35と同様に構成されている。このため、第2の回路ブロック40の開閉機構等の図面を省略する。第2の回路ブロック40は、図3に示すプラグイン端子46bに接続され、先端に可動接点が固定された可動接触子を有している。また、第2の回路ブロック40は、図1(a)に示す端子板44aと一体的に形成された固定接触子の先端に固定された固定接点とを有している。この可動接触子は、図5に示す可動接触子33aと同様に、剛体の導電金属板から構成され、クロスバーに嵌め込まれている。したがって、第2の回路ブロック40に含まれる開閉機構は、第1の回路ブロック20の開閉機構35と同様に、クロスバーの回動により可動接触子の先端の可動接点を固定接点に対して接離する。
【0037】
次に、上記のブレーカ14の作用を説明する。
図5は、開放状態(オフ状態)の第1の回路ブロック20を示す。この開放状態では、ハンドル27が器体21の前面に対して起立している。このとき、可動接点34b、34aは固定接点32b,32aから離間している。
【0038】
この状態でハンドル27を時計回りに回動操作すると、開閉機構35は、クロスバー36を反時計回りに回動させる。クロスバー36の回動により、可動接触子33bが撓み、先端が後方(図5において下方)に移動する。
【0039】
すると、図6に示すように、可動接点34bが固定接点32bに接触する。これにより、中性極の電路が閉路する。このとき、可動接点34aは、固定接点32aから離間している。したがって、電圧極(L2相)の電路は開路している。
【0040】
ハンドル27をさらに時計回りに回動操作すると、クロスバー36が回動する。すると、図7に示すように、可動接点34aが固定接点32aに接触する。
このように、第1の回路ブロック20では、ハンドル27の回動操作により、先ず中性極の可動接点34bが固定接点32bに接触する。その後、電圧極(L2相)の可動接点34aが固定接点32aに接触する。
【0041】
ハンドル27を反時計回りに回動操作した場合、上記とは逆の順番で動作する。つまり、電圧極(L2相)の可動接点34aが固定接点32aから離間した後、中性極の可動接点34bが固定接点32bから離間する。
【0042】
なお、開閉機構35は、L2相の過電流によりクロスバー36を時計回りに回動する。したがって、ハンドル27を回動操作したときと同様に、電圧極(L2相)の可動接点34aが固定接点32aから離間した後、中性極の可動接点34bが固定接点32bから離間する。
【0043】
第2の回路ブロック40の開閉機構は、図4に示す機構連動部材61により、第1の回路ブロック20の開閉機構35と連動する。したがって、第2の回路ブロック40に含まれる可動接点は、第1の回路ブロック20の可動接点34aと同様のタイミングで固定接点に対して接離する。このため、第2の回路ブロック40において、電圧極(L1相)の電路は、中性極の電路よりも先に開路し、中性極の電路よりも後に閉路する。
【0044】
たとえば、中性極の可動接点が電圧極の可動接点よりも先に固定接点から離間する。この場合、電圧極の可動接点が固定接点から離間するとき、可動接点と固定接点との間に発生するアークは、中性極の可動接点が固定接点に接触しているときよりも大きくなる。本実施形態のブレーカ14は、電圧極の可動接点が固定接点から離間した後に、中性極の可動接点を固定接点から離間する。したがって、本実施形態のブレーカ14は、電圧極の可動接点と固定接点との間に生じるアークを抑制することができる。
【0045】
図1(a)に示すように、ブレーカ14の電線挿入孔23a,23b,43aは、ブレーカ14の幅方向(左右方向)に沿って並設されている。そして、3つの電線挿入孔23a,23b,43aのうちの真ん中の電線挿入孔23bは、中性極に対応する電線挿入孔である。したがって、このブレーカ14に図8に示す電力量計13を接続する場合、中性極に対応する電線をこの電線挿入孔23bに挿入する。
【0046】
電力量計13をブレーカ14に接続する電線の被覆は、一つの電圧極と中性極に応じて色付けされている。たとえば、中性極に対応する電線の被覆の色は白である。したがって、施工者は、白色の電線を電線挿入孔23bに挿入する。これにより、確実の中性極の電線が、ブレーカ14の電線挿入孔23bに確実に挿入される。このため、中性極の電線を電圧極の電線挿入孔に挿入するといった施工ミスを抑制することが可能となる。
【0047】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ブレーカ14の電線挿入孔23a,23b,43aは、ブレーカ14の幅方向(左右方向)に沿って並設されている。そして、3つの電線挿入孔23a,23b,43aのうちの真ん中の電線挿入孔23bは、中性極に対応する電線挿入孔である。したがって、このブレーカ14に図8に示す電力量計13を接続する場合、中性極に対応する電線をこの電線挿入孔23bに挿入する。
【0048】
電力量計13をブレーカ14に接続する電線の被覆は、一つの電圧極と中性極に応じて色付けされている。たとえば、中性極に対応する電線の被覆の色は白である。したがって、施工者は、白色の電線を電線挿入孔23bに挿入する。これにより、確実の中性極の電線が、ブレーカ14の電線挿入孔23bに確実に挿入される。このため、中性極の電線を電圧極の電線挿入孔に挿入するといった施工ミスを抑制することができる。
【0049】
(2)第1の回路ブロック20の開閉機構35は、電圧極(L2相)の可動接点34aを固定接点32aから離間させた後、中性極の可動接点34bを固定接点32bから離間させる。また、開閉機構35は、中性極の可動接点34bを固定接点32bに接触させた後、電圧極(L2相)の可動接点34aを固定接点32aに接触させる。第2の回路ブロック40の開閉機構は、電圧極(L1相)の電路は、中性極の電路よりも先に開路し、中性極の電路よりも後に閉路する。したがって、電圧極の可動接点と固定接点との間に生じるアークを抑制することができる。
【0050】
(3)第1の回路ブロック20の器体21に、電圧極(L2相)の固定接点32aと可動接点34aとを収容し、第2の回路ブロック40の器体41に、電圧極(L1相)の固定接点と可動接点とを収容した。したがって、各接点の離間時に発生するアークによる局所的な空気の熱膨張の影響を分散化することができ、器体21,41におけるヒビ等の発生を防止することができる。
【0051】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し第1の回路ブロックにおいて電圧極(L1相)を分岐し、第2の回路ブロックにおいて電圧極(L2相)を分岐するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態は、第1の回路ブロック20において中性極(N相)を分岐したが、第2の回路ブロック40において中性極を分岐するようにしてもよい。この場合、中性極の電線を図2に示す電線挿入孔43aに挿入するようにブロック内の電路を形成する。そして、第1の回路ブロック20において、孔塞ぎ部材45により電線挿入孔23a,23bの一方を閉塞する。
【0053】
・上記実施形態では、第2の回路ブロック40において、電線挿入孔43aに電線を挿入するようにしたが、電線挿入孔43bを利用するようにしてもよい。
・上記実施形態は、第1の回路ブロック20の器体21と第2の回路ブロック40の器体41によりブレーカ14の器体14aを構成したが、第1の回路ブロック20と第2の回路ブロック40を1つの回路ブロックとしてもよい。
【0054】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)一対の電圧極と中性極の導電バーを有する分電盤に配設される回路遮断器であって、
器体の一方の端部に配設され、一対の電圧極と中性極の導電バーに接続される3つの接続端子と、
前記器体の他方の端部に前記器体の幅方向に沿って並設され、それぞれに電線が挿入される3つの電線挿入孔と、
を有し、
並設された3つの前記電線挿入孔のうちの中央の電線挿入孔は、該電線挿入孔に挿入される電線を、前記中性極の導電バーが接続される前記接続端子に電路を介して接続する中性極の電線挿入孔であること、
を特徴とする回路遮断器。
【0055】
(付記2)前記一対の電圧極のいずれか一方の電圧極と前記中性極とを分岐する第1の回路ブロックと、
前記一対の電圧極のいずれか他方の電圧極を分岐する第2の回路ブロックと、
前記第1の回路ブロックの開閉機構と前記第2の回路ブロックの開閉機構部とを連動する連動部材と、
を有し、
前記器体は、第1の回路ブロックの器体と第2の回路ブロックの器体から構成されることを特徴とする付記1に記載の回路遮断器。
【符号の説明】
【0056】
10…分電盤、11…ブレーカ(回路遮断器)、20…第1の回路ブロック、40…第2の回路ブロック、21,41…器体、23a,23b,43a…電線挿入孔、26a,26c,46b…プラグイン端子(接続端子)、35…開閉機構、60…連動部材、ND.L1D,L2D…導電バー。
図1
図2
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図8