特許第6440122号(P6440122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6440122-カバー材 図000002
  • 特許6440122-カバー材 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440122
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】カバー材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/34 20060101AFI20181210BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   E06B1/34 A
   E04G23/02 H
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-81555(P2015-81555)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-199939(P2016-199939A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】中野 厚
(72)【発明者】
【氏名】奥村 勝之
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−107877(JP,A)
【文献】 特開2015−010404(JP,A)
【文献】 特開2010−196466(JP,A)
【文献】 特開平10−252353(JP,A)
【文献】 特開平09−137594(JP,A)
【文献】 特開2016−113808(JP,A)
【文献】 国際公開第00/066867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/06−1/10
E06B 1/34
E06B 1/56
E06B 1/62−1/64
E04F 19/04
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象の互いに交差する第1面及び第2面をそれぞれに覆う第1片部と第2片部とを備えており、
これら第1片部及び第2片部の入隅側となる基端側部位よりも少なくとも先側部位の裏面には、入隅から先側に向かう方向に間隔を空けて複数本の切断補助溝が設けられ、
これら第1片部及び第2片部のうちの入隅から先側に向かう方向に沿う寸法が大とされた前記第1片部の厚さ寸法を、前記第2片部よりも大としたことを特徴とするカバー材。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1片部及び前記第2片部のそれぞれの切断補助溝の溝底を構成する部位の厚さ寸法を、同寸法としたことを特徴とするカバー材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに交差する第1面及び第2面を有する取付対象を覆うカバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既設の枠材や、巾木、廻縁等の造作材を模様替えや改装する場合には、既設の造作材等を撤去し、新たな造作材等を設置する改装工事が行われていたが、大掛かりな作業になるという問題があった。
例えば、下記特許文献1には、断面がL字型とされ、巾木や廻縁、窓枠等の造作材を覆うカバーが開示されている。このカバーは、造作材の各面に対応するL字型の各片部のうちの一方の片部の幅が他方の片部の幅よりも大とされ、また、寸法を調節して施工可能なように、各片部の内面に、複数の切り溝を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−107877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなカバーは、既設の造作材の表面側に設けられるものであるため、薄くする必要があり、また、各片部の先端部(切断された端部)が対向する対象に対して突き合わせられて施工される。そのため、特に、幅が大とされた側の片部において、温度変化等に起因する伸縮等が生じ易くなり、浮きや反り等の変形が生じ易くなることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、模様替えや改装等の作業性の向上が可能でありながらも、変形を抑制し得るカバー材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るカバー材は、取付対象の互いに交差する第1面及び第2面をそれぞれに覆う第1片部と第2片部とを備えており、これら第1片部及び第2片部の入隅側となる基端側部位よりも少なくとも先側部位の裏面には、入隅から先側に向かう方向に間隔を空けて複数本の切断補助溝が設けられ、これら第1片部及び第2片部のうちの入隅から先側に向かう方向に沿う寸法が大とされた前記第1片部の厚さ寸法を、前記第2片部よりも大としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るカバー材は、上述のような構成としたことで、模様替えや改装等の作業性の向上が可能でありながらも、変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るカバー材の一例とともに枠カバーを構成する反開口側カバーの一例を模式的に示す概略平面図、(b)は、同カバー材としての開口側カバーの一例を模式的に示す一部破断概略平面図、(c)は、図2のX部に対応させた一部破断概略拡大横断面図である。
図2】同枠カバーを施工した状態の一例を模式的に示す一部破断概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、本実施形態に係るカバー材を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0010】
図1及び図2は、本実施形態に係るカバー材の一例及びカバー材の施工状態の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係るカバー材10は、図2に示すように、取付対象2の互いに交差する第1面3及び第2面5をそれぞれに覆う第1片部11と第2片部14とを備えている。
本実施形態では、カバー材10を、取付対象としての枠材2を覆う枠カバー1を構成するものとしている。図2では、枠カバー1を、壁体に設けられる出入口等の開口を区画する既設の枠材2としての縦枠2を覆うように設けた例を示している。また、図例では、縦枠2を、開き戸が建て付けられる戸枠を構成するものとした例を示している。
【0011】
縦枠2は、図2に示すように、固定枠とされ、いわゆるちり部が見込方向(壁厚方向に沿う方向)両側に形成されるように、枠材厚さ方向(見付方向)一方面となる反開口側に向く見込面を、適宜の枠下地に沿わせて枠下地に取り付けられる。つまり、縦枠2は、見込寸法(壁厚方向に沿う寸法)が壁体の壁厚よりも大きい寸法とされている。また、図例では、縦枠2の見込方向中心と壁体の壁心(壁体の厚さ方向中心)とを壁厚方向で略一致させて縦枠2を設けた例を示している。つまり、壁体の両側の壁面7,7からの縦枠2の見込方向両端部の各突出寸法(ちり寸法)を、互いに同寸法とした例を示している。
【0012】
また、縦枠2の開口側に向く見込面側に、当該縦枠2の長手方向に沿って長尺な戸当り部材6を設けた例を示している。また、図例では、この戸当り部材6を、縦枠2の開口側に向く見込面側における見込方向中央部位に設けた例を示している。つまり、縦枠2の開口側に向く見込面を等分するように戸当り部材6を設けた例を示している。
この戸当り部材6によって見込方向に分断された開口側に向く開口側面3,3の各見込寸法(戸当り部材6の見込方向一方側面から見込方向一方側の見付面5までの見込方向に沿う寸法)は、見付面5の見付寸法(枠材厚さ寸法)よりも大とされている。また、壁体によって見込方向に分断されたいわゆるちり部の反開口側に向く反開口側面4,4の各見込寸法(壁面7から見込方向一方側の見付面5までの見込方向に沿う寸法)は、見付面5の見付寸法(枠材厚さ寸法)よりも小とされている。
なお、以下の枠カバー1の具体的構成の一例の説明では、枠カバー1が覆う対象を、図2に示す縦枠2としてその参照符号を付して説明しているが、枠カバー1は、後述するように種々の枠材を覆い得る構成とされている。
【0013】
枠カバー1は、本実施形態に係るカバー材10と他のカバー材20とによって縦枠2を覆う構成とされている。本実施形態では、本実施形態に係るカバー材10を、図1(c)及び図2に示すように、第1面としての開口側面3と第2面としての見付面5とを覆う開口側カバー10としている。また、他のカバー材20を、第2面に交差する第3面としての反開口側面4と見付面5とを覆う反開口側カバー20としている。
また、本実施形態では、枠カバー1を、上記のように壁体及び戸当り部材6によって見込方向に分断された縦枠2の見込方向両側のうちのいずれか一方の表面3,4,5を覆う構成としている。つまり、図2に示すように、それぞれに開口側カバー10,10と反開口側カバー20,20とを備えた2組の枠カバー1,1によって縦枠2の見込方向両側の表面3,4,5,3,4,5を覆う構成としている。なお、これら見込方向両側の枠カバー1,1は、互いに同様の構成とされており、以下では、一方の枠カバー1を例にとって説明する。
【0014】
開口側カバー10は、図1(b)、(c)に示すように、縦枠2の開口側面3を覆うように配される第1片部としての見込片部11と、縦枠2の一方の見付面5を覆うように配される第2片部としての見付片部14と、を備えている。
反開口側カバー20は、図1(a)、(c)に示すように、縦枠2の反開口側面4を覆うように配される見込片部21と、縦枠2の一方の見付面5を覆うように配される見付片部24と、を備えている。開口側カバー10の見付片部14は、この反開口側カバー20の見付片部24を覆うように配される構成とされている。
【0015】
これら開口側カバー10及び反開口側カバー20は、縦枠2の長手方向(上下方向)に沿って長尺状とされ、全長に亘って一様な断面形状とされている。また、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20は、縦枠2の長さ寸法に応じた長さ寸法とされている。なお、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20は、適宜、施工現場等において縦枠2の長さ寸法に応じた長さに切断等されて長さ調整されるものとしてもよい。
また、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20のそれぞれの見込片部11,21及び見付片部14,24は、薄板状とされ、それぞれの見込片部11,21と見付片部14,24とを略直交状に設けた構成とされている。つまり、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20は、長手方向に見て略L字状とされている。
【0016】
反開口側カバー20の見込片部21は、図1(a)、(c)に示すように、切断によって見込方向に沿う寸法の調整が可能とされている。図例では、見込片部21の反開口側面4に対面される裏面22に、当該見込片部21と見付片部24との入隅から先側に向かう方向となる見込方向(幅方向)に間隔を空けて複数本の切断補助溝23を設けた構成としている。このような構成とすれば、反開口側カバー20の見込片部21を切断補助溝23に沿って切断することで、反開口側カバー20の見込片部21の見込方向に沿う寸法を、容易に調整することができる。
これら切断補助溝23は、反開口側カバー20の長手方向に延びるように、かつ反開口側カバー20の全長に亘って設けられている。また、これら切断補助溝23は、見込片部21の裏面22に、見込方向に等間隔を空けて設けられている。図例では、見込片部21の見付片部24との入隅側となる見付片部24側の端部(基端部)から先端部を除いた裏面12の概ね全体に亘って複数本の切断補助溝23を設けた例を示している。なお、このような態様に代えて、見込片部21の裏面22の先側部位のみに複数本の切断補助溝23を設けるようにしてもよい。
【0017】
これら切断補助溝23を設けるピッチ(隣り合う切断補助溝23同士の溝幅方向中心間寸法)は、成形性や切断する際の作業性、寸法調整の度合等の観点から適宜、設定するようにしてもよい。例えば、上記ピッチを、0.5mm〜5mm程度、好ましくは、0.5mm〜2mm程度としてもよい。また、これら切断補助溝23の溝深さ寸法は、切断する際の作業性や見込片部21の強度上の観点、縦枠2に取り付けた状態における見栄え上の観点等から適宜、設定するようにしてもよい。例えば、切断補助溝23の溝深さ寸法を、0.3mm〜2mm程度、好ましくは、0.5mm〜1mm程度としてもよい。また、上記のような観点等から、見込片部21の切断補助溝23の溝底を構成する部位(切断補助溝23が設けられた部位の溝底側に残存する部位)の厚さ寸法を、0.3mm〜2mm程度、好ましくは、0.5mm〜1mm程度としてもよい。つまり、見込片部21の厚さ寸法(切断補助溝23が形成された部位における切断補助溝23間の部位の厚さ寸法)を、0.6mm〜4mm程度、好ましくは、1mm〜2mm程度としてもよい。
【0018】
また、図例では、切断補助溝23を、溝長手方向に見て、略V字溝形状としているが、このような態様に限られず、略U字溝形状や略コ字溝形状、略逆台形状等としてもよい。また、図例では、切断補助溝23が形成された部位における切断補助溝23間の裏面22を、平坦面としている。このような構成とすれば、当該反開口側カバー20を縦枠2に固定(仮固定)する粘着テープ等の粘着材を裏面22に安定的に貼着することができる。この平坦面の幅寸法(溝幅方向に沿う寸法)は、切断補助溝23の溝形状やピッチに応じて、また、取付対象面への取付安定性の観点等から適宜、設定するようにしてもよく、例えば、0.2mm〜1.5mm程度としてもよい。なお、このような態様に代えて、切断補助溝23間の裏面側部位を、尖頭形状としたり、突湾曲面形状としたりしてもよい。
また、見込片部21の見込方向に沿う寸法(幅寸法)は、一般的に施工される縦枠2のうちの比較的にちり寸法が大きい寸法とされたものの反開口側面4を覆い得る寸法としてもよい。
この見込片部21は、縦枠2のちり寸法に応じた見込寸法となるように切断補助溝23に沿ってカッター等の切断具8によって切断され(図1(a)参照)、その先端部を壁面7に当接または近接させ、裏面22を反開口側面4に沿わせて配される。
【0019】
反開口側カバー20の見付片部24は、見付面5に対面される裏面25が平坦面とされた薄平板状とされている。この見付片部24の厚さ寸法は、見込片部21の厚さ寸法と略同寸法とされている。また、この見付片部24の枠材厚さ方向(入隅から先側に向かう方向)に沿う寸法(幅寸法)は、種々の厚さ寸法とされた縦枠2に適用可能なように、一般的に施工される縦枠2のうちの比較的に厚さ寸法が小さい寸法とされたものよりも小さい寸法とされている。つまり、見付片部24は、見付面5の反開口側面4側から途中部位までを覆う構成とされている。なお、このような態様に代えて、見付片部24の枠材厚さ方向に沿う寸法を比較的に大きくし、この見付片部24の裏面25に、上記同様の切断補助溝を設けた構成としてもよい。
【0020】
また、図例では、反開口側カバー20における見込片部21と見付片部24との出隅部に、開口側カバー10の見付片部14の先端部が突き合わせられる突出部26を見込方向に突出するように設けた例を示している。この突出部26は、壁厚方向外方側に向けて突出するように設けられており、当該反開口側カバー20の全長に亘って設けられている。このような構成とすれば、開口側カバー10の見付片部14の先端部を反開口側カバー20の突出部26に突き合わせることで、開口側カバー10の見付片部14への引っ掛かり等に起因する剥がれ等を抑制することができ、脱離を抑制することができる。また、反開口側カバー20の突出部26を、反開口側カバー20における見込片部21と見付片部24との出隅部に設けているので、見付方向途中部位において段差が形成されるようなものと比べて、カバー同士の継目を目立ち難くすることができ、見栄えを向上させることができる。なお、この突出部26の突出寸法は、後記する開口側カバー10の見付片部14の厚さ寸法T2以上の寸法としてもよい。
【0021】
開口側カバー10の見付片部14は、図1(b)、(c)に示すように、見込片部11との入隅側となる基端側部位よりも少なくとも先側部位の裏面15に、入隅から先側に向かう方向(枠材厚さ方向)に間隔を空けて複数本の切断補助溝16を設けた構成とされている。つまり、この見付片部14は、切断によって枠材厚さ方向に沿う寸法(幅寸法)の調整が可能とされている。図例では、見付片部14の基端側部位を除いた裏面15の概ね全体に亘って複数本の切断補助溝16を設けた例を示している。
これら切断補助溝16は、反開口側カバー20の見込片部21の切断補助溝23と同様の構成とされ、開口側カバー10の長手方向に延びるように、かつ開口側カバー10の全長に亘って設けられている。また、上記と同様、切断補助溝16が形成された部位(先側部位)における切断補助溝16間の裏面15を、平坦面としている。なお、図例では、見付片部14の裏面15の基端側部位に切断補助溝16を設けていない例を示しているが、見付片部14の裏面15の全体に亘って複数本の切断補助溝16を設けるようにしてもよい。また、例えば、見付片部14の裏面15の先端部に切断補助溝16を設けないようにしてもよい。
【0022】
また、この見付片部14は、厚さ寸法(切断補助溝16が形成された部位においては、切断補助溝16間の部位の厚さ寸法)T2が全体に亘って略同寸法とされている。また、この見付片部14の厚さ寸法T2は、上記した反開口側カバー20の各片部21,24の厚さ寸法と略同寸法とされている。
また、この見付片部14の幅寸法は、一般的に施工される縦枠2のうちの比較的に厚さ寸法が大きい寸法とされたものの見付面5を覆うように配された反開口側カバー20の見付片部24を覆い得る寸法としてもよい。例えば、この見付片部14の幅寸法を、一般的に施工される縦枠2のうちの比較的に大とされたものの厚さ寸法に応じた寸法としてもよい。
この見付片部14は、縦枠2の開口側面3から反開口側カバー20の突出部26の開口側に向く面までの枠材厚さ方向に沿う寸法に応じた幅寸法となるように切断補助溝16に沿ってカッター等の切断具8によって切断される。また、このように寸法調整された見付片部14は、その先端部を突出部26に当接または近接させ、裏面15を反開口側カバー20の見付片部24の表面に沿わせて配される。
【0023】
開口側カバー10の見込片部11は、図1(b)、(c)に示すように、見付片部14との入隅側となる基端側部位よりも少なくとも先側部位の裏面12に、入隅から先側に向かう方向(見込方向)に間隔を空けて複数本の切断補助溝13を設けた構成とされている。つまり、この見込片部11は、切断によって見込方向に沿う寸法(幅寸法)の調整が可能とされている。図例では、見込片部11の基端側部位及び先端部を除いた裏面12の概ね全体に亘って複数本の切断補助溝13を設けた例を示している。
この見込片部11の入隅から先側に向かう方向に沿う寸法となる幅寸法は、見付片部14の幅寸法よりも大とされている。この見込片部11の幅寸法は、一般的に施工される縦枠2のうちの比較的に見込寸法が大きい寸法とされたものの開口側面3を覆い得る寸法としてもよい。
この見込片部11は、縦枠2の開口側面3の見込寸法(戸当り部材6の見込方向一方側面から見込方向一方側の見付面5までの見込方向に沿う寸法)に応じた見込寸法となるように切断補助溝13に沿ってカッター等の切断具8によって切断される(図1(b)参照)。また、見込片部11は、裏面12を開口側面3に沿わせて配される。また、図例では、寸法調整された見込片部11の先端部を戸当り部材6に当接または近接させて配されるものとした例を示している。
【0024】
また、この見込片部11の厚さ寸法(切断補助溝13が形成された部位においては、切断補助溝13間の部位の厚さ寸法)T1は、見付片部14の厚さ寸法T2よりも大とされている。この見込片部11の厚さ寸法T1は、見栄え上の観点や、見込片部11の変形を抑制する観点等から適宜、設定するようにしてもよい。例えば、この見込片部11の厚さ寸法T1を見付片部14の厚さ寸法T2の1.1倍〜3倍程度の寸法としてもよく、好ましくは、1.2倍〜2倍程度の寸法としてもよい。図例では、見込片部11の厚さ寸法T1を見付片部14の厚さ寸法T2の1.5倍程度の寸法とした例を示している。
【0025】
この見込片部11の切断補助溝13は、見付片部14の切断補助溝16と同様、開口側カバー10の長手方向に延びるように、かつ開口側カバー10の全長に亘って設けられている。また、上記と同様、切断補助溝13が形成された部位(先側部位)における切断補助溝13間の裏面12を、平坦面としている。なお、図例では、見付片部14と同様、見込片部11の裏面12の基端側部位に切断補助溝13を設けていない例を示しているが、見込片部11の裏面12の概ね全体に亘って複数本の切断補助溝13を設けるようにしてもよい。また、見込片部11の裏面12の先端部にも切断補助溝13を設けるようにしてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、この見込片部11の切断補助溝13の溝底を構成する部位(溝底構成部位)の厚さ寸法T3と、見付片部14の切断補助溝16の溝底を構成する部位(溝底構成部位)の厚さ寸法T4と、を互いに同寸法としている。つまり、見込片部11の表面から切断補助溝13の溝底までの当該見込片部11の厚さ方向に沿う寸法T3と、見付片部14の表面から切断補助溝16の溝底までの当該見付片部14の厚さ方向に沿う寸法T4と、を互いに同寸法としている。つまりは、本実施形態では、見込片部11の切断補助溝13の溝深さ寸法を、見付片部14の切断補助溝16の溝深さ寸法よりも大としている。
また、本実施形態では、見込片部11の切断補助溝13のピッチ(隣り合う切断補助溝13同士の溝幅方向中心間寸法)と、見付片部14の切断補助溝16のピッチと、を互いに同寸法としている。つまり、見込片部11の切断補助溝13の溝幅方向両内側面同士のなす角が、見付片部14の切断補助溝16の溝幅方向両内側面同士のなす角よりも鋭角状とされている。この見込片部11の切断補助溝13の溝幅方向両内側面同士のなす角は、切断具8によって切断する際の作業性等の観点から適宜の角度としてもよい。
【0027】
なお、縦枠2の開口側面3と見付面5との出隅部に面取り部が設けられている場合には、この面取り部に対応させて、これら見込片部11と見付片部14との出隅部にも面取り部を設けるようにしてもよい。
また、開口側カバー10及び反開口側カバー20は、合成樹脂系材料や、木質系材料、金属系材料等から形成されたものとしてもよい。また、開口側カバー10及び反開口側カバー20は、例えば、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉(木質)・プラスチック複合材(WPC)から形成されたものとしてもよい。
また、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20における少なくとも縦枠2に取り付けられた状態で露出する表面を、突板や合成樹脂シート等の貼着や、塗装等によって表面化粧処理が施された化粧面としてもよい。
【0028】
また、上記構成とされた開口側カバー10及び反開口側カバー20を備えた枠カバー1は、例えば、以下のようにして施工するようにしてもよい。なお、これら開口側カバー10及び反開口側カバー20は、粘着テープ等の粘着材や接着剤等によって縦枠2に固定されるものとしてもよい。
まず、反開口側カバー20の見込片部21の見込寸法を、縦枠2のちり寸法に応じた寸法となるように切断して調整する。そして、この反開口側カバー20の見込片部21と見付片部24との入隅部を、縦枠2の反開口側面4と見付面5との出隅部に沿わせるようにして反開口側カバー20を縦枠2に固定する。
また、開口側カバー10の見込片部11の見込寸法を、縦枠2の開口側面3の見込寸法に応じた寸法となるように切断して調整する。また、開口側カバー10の見付片部14の枠材厚さ方向に沿う寸法を、縦枠2の開口側面3から反開口側カバー20の突出部26の開口側に向く面までの枠材厚さ方向に沿う寸法に応じた寸法となるように切断して調整する。そして、この開口側カバー10の見込片部11と見付片部14との入隅部を、縦枠2の開口面3と見付面5との出隅部に沿わせるようにして開口側カバー10を縦枠2(及び反開口側カバー20)に固定し、当該枠カバー1を施工するようにしてもよい。
【0029】
なお、縦枠2に、蝶番等の回動連結部材や、ラッチ受け、錠装置等が取り付けられている場合には、これらに枠カバー1が干渉しないように、枠カバー1に、適宜、切欠きや開口等を設けるようにしてもよい。
また、上記した例では、開口側カバー10の見込片部11の先端部を、戸当り部材6に近接または当接させた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、戸当り部材6も模様替えや改装等の対象とする場合には、既設の戸当り部材6を覆う略コ字状のカバーを設け、このカバーの一片部によって開口側カバー10の見込片部11の先端部を押さえるように納めるような態様等としてもよい。または、既設の戸当り部材6を除去する場合には、新たに設置される戸当り部材の一側部によって開口側カバー10の見込片部11の先端部を押さえるように納めるような態様等としてもよい。
【0030】
本実施形態に係るカバー材(開口側カバー)10は、上述のような構成としたことで、模様替えや改装等の作業性の向上が可能でありながらも、変形を抑制することができる。
つまり、取付対象(縦枠)2の第1面(開口側面)3及び第2面(見付面)5をそれぞれに覆う第1片部(見込片部)11及び第2片部(見付片部)14の少なくとも先側部位の裏面12,15に、複数本の切断補助溝13,16を設けた構成としている。従って、開口側カバー10によって既設の造作材等の表面3,5を覆うことができ、例えば、既設の造作材を撤去して改装工事等をする場合と比べて、模様替えや改装等の作業性を向上させることができる。また、各片部11,14を切断補助溝13,16に沿って切断することで、各片部11,14の入隅から先側に向かう方向に沿う寸法を、容易に調整することができる。これにより、種々の寸法とされた既設の造作材等に対して容易に適用することができ、汎用性を向上させることができる。
また、見込片部11及び見付片部14のうちの入隅から先側に向かう方向に沿う寸法が大とされた見込片部11の厚さ寸法T1を、見付片部14の厚さ寸法T2よりも大としている。従って、見付片部14の薄型化を図りながらも、この見付片部14よりも大判状で変形し易くなる側となる見込片部11の変形を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、見込片部11及び見付片部14のそれぞれの切断補助溝13,16の溝底を構成する部位(溝底構成部位)の厚さ寸法T3,T4を、同寸法としている。従って、見込片部11の厚さを大としながらも、見込片部11の切断性を阻害するようなことがなく、両片部11,14をそれぞれの切断補助溝13,16に沿って容易に切断することができる。なお、このような態様に代えて、見込片部11の溝底構成部位の厚さ寸法T3を、見付片部14の溝底構成部位の厚さ寸法T4よりも大としてもよい。この場合は、見込片部11の切断補助溝13の溝深さ寸法と見付片部14の切断補助溝16の溝深さ寸法とを同寸法としてもよい。
【0032】
また、上記した例では、枠カバー1(開口側カバー10)を、左右方向一方の縦枠2に取り付けたような例を示しているが、左右一対のそれぞれの縦枠2に取り付けるようにしてもよい。また、枠カバー1(開口側カバー10)によって覆われる枠材としては、縦枠2に限られず、縦枠2に代えて、または加えて、上枠や下枠等の横枠としてもよい。この場合は、縦枠を覆う枠カバー1(開口側カバー10)の長手方向端部と横枠を覆う枠カバー1(開口側カバー10)の長手方向端部とを、例えば、留め継ぎ状や平継ぎ状に突き合わせるようにして納めるようにしてもよい。また、これらの場合は、適宜、枠カバー1(開口側カバー10)の長手方向端部を切断等によって変形するようにしてもよい。
【0033】
また、上記した例では、戸当り部材6を、縦枠2の見込方向中央部位に設け、見込方向両側の開口側面3,3の見込寸法を同寸法とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、戸当り部材6を、縦枠2の見込方向一方側に寄った部位に設けるようにしてもよい。この場合は、開口側面3,3を覆う開口側カバー10,10の見込片部11,11の見込寸法等を、適宜、変形したり、切断等によって調整したりするようにしてもよい。
また、上記した例では、縦枠(枠材)2を、開き戸が建て付けられる戸枠を構成するものとした例を示しているが、このような態様に限られず、折戸や引戸等の他の建具が建て付けられる戸枠を構成するものとしてもよい。また、枠材2としては、戸枠を構成するものに限られず、窓枠や無目枠等を構成するものとしてもよい。例えば、既設の枠材2を、窓枠を構成するものとした場合は、枠カバー1(開口側カバー10)を、窓枠の見込方向一方側のみに設けるようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、枠カバー1を、本実施形態に係る開口側カバー(カバー材)10に加え、枠材2の反開口側面4を覆う反開口側カバー20を備えた構成としているが、このような態様に限られない。例えば、枠材2の開口側面3、見付面5及び反開口側面4のそれぞれを、2つのカバー材10,10によって覆う態様としてもよく、または、反開口側面4を覆わずに、単一のカバー材10によって枠材2の開口側面3及び見付面5を覆う態様としてもよい。
また、本実施形態では、カバー材10を、枠カバー1を構成するものとした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、カバー材10を、巾木や廻縁等の造作材や、その他、種々の取付対象2における互いに交差する第1面3及び第2面5を覆う構成とされたものとしてもよい。この場合は、カバー材10の第1片部11及び第2片部14の各寸法を、適宜、必要に応じて変形するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 開口側カバー(カバー材)
11 見込片部(第1片部)
12 裏面
13 切断補助溝
14 見付片部(第2片部)
15 裏面
16 切断補助溝
2 縦枠(取付対象)
3 開口側面(第1面)
5 見付面(第2面)
T1 見込片部の厚さ寸法
T2 見付片部の厚さ寸法
T3 見込片部の溝底構成部位(切断補助溝の溝底を構成する部位)の厚さ寸法
T4 見付片部の溝底構成部位(切断補助溝の溝底を構成する部位)の厚さ寸法
図1
図2