【実施例】
【0044】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(プレート状銀ナノ粒子の種粒子の調製)
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液20mLに、0.5g/Lの分子量70,000ポリスチレンスルホン酸水溶液1mLと、10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液1.2mLとを添加し、次いで、20mL/minで攪拌しながら、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に60分間静置し、プレート状銀ナノ粒子の種粒子の水分散液を作製した。調製した水分散液(原液)の光学特性を
図8に示す。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。最大吸収を示す波長は球状銀ナノ粒子のLSPRである396nm(消光度3.3)であった。なお、本発明の消光度とは分散液を分光光度計で測定した際の吸光度の値である。また、SEM写真を
図28に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。粒子径は主に3nm以上、10nm未満のプレート状粒子であった。
【0046】
(プレート状銀ナノ粒子Aの調製)
蒸留水200mlに、10mMのアスコルビン酸水溶液4.5mLを添加し、上述のプレート状銀ナノ粒子の種粒子の分散液(以下、種粒子水分散液という)12mlを添加した。得られた溶液に、0.5mMの硝酸銀水溶液120mLを30mL/minで攪拌しながら添加した。硝酸銀水溶液の添加が終了した4分後に攪拌を停止し、25mMのクエン酸ナトリウム水溶液20mlを添加し、得られた溶液を大気雰囲気下のインキュベーター(30℃)中に100時間静置し、プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図9に示す。最大吸収を示す波長は454nm(消光度1.0)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子AをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Aの平均粒子径は18nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は2.2であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0047】
(プレート状銀ナノ粒子Bの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから4mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Bの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図9に示す。最大吸収を示す波長は526nm(消光度1.1)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子BをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Bの平均粒子径は31nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は3.8であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0048】
(プレート状銀ナノ粒子Cの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから2mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Cの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図9に示す。最大吸収を示す波長は626nm(消光度1.1)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子CをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Cの平均粒子径は50nmであり、平均厚さは10nmでアスペクト比は5.0であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0049】
(プレート状銀ナノ粒子Dの調製)
上記種粒子水分散液の添加量を12mlから1mlに変更した以外は、プレート状銀ナノ粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Dの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図9に示す。最大吸収を示す波長は704nm(消光度1.0)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液中のプレート状銀ナノ粒子DをSEMにより観察したところ、プレート状銀ナノ粒子Dの平均粒子径は74nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は9.2であった。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0050】
(金属微粒子Aの調製)
上記プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに、5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液8mlを添加し、ジエチルアミン1.2mlを添加し、0.5Mのアスコルビン酸水溶液1.6mlを添加した後、0.16mMの塩化金酸水溶液9.6mlを0.5mL/minで攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に24時間静置し、プレート状銀ナノ粒子Aの表面が金で被覆された金属微粒子Aの水分散液(イエロー調)を調製した。この金属微粒子Aの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を
図33に示す。最大吸収を示す波長は464nm(消光度0.8)であり、色度座標はx=0.5070、y=0.4774であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を
図29に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0051】
(金属微粒子Bの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Bの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Bの表面が金で被覆された金属微粒子Bの水分散液(マゼンタ調)を調製した。この金属微粒子Bの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を
図33に示す。最大吸収を示す波長は534nm(消光度0.9)であり、色度座標はx=0.4276、y=0.1751であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を
図30に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0052】
(金属微粒子Cの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Cの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Cの表面が金で被覆された金属微粒子Cの水分散液(シアン調)を調製した。この金属微粒子Cの水分散液を原液とした。原液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図10に示し、CIE1931xy色度図における原液の色度座標を
図33に示す。最大吸収を示す波長は634nm(消光度0.9)であり、色度座標はx=0.1467、y=0.2090であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。また、SEM写真を
図31に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0053】
(複数種の金属微粒子による混色の調製)
原液である金属微粒子Aの水分散液及び金属微粒子Bの水分散液を等しい質量で混合したところ、赤色調の混合液A(色度座標 x:0.6057、y:0.3317)が得られた。原液である金属微粒子Bの水分散液及び金属微粒子Cの水分散液を等しい質量で混合したところ、青色調の混合液B(色度座標 x:0.1731、y:0.0675)が得られた。原液である金属微粒子Aの水分散液及び金属微粒子Cの水分散液を等しい質量で混合したところ、緑色調の混合液C(色度座標 x:0.2549、y:0.5712)が得られた。CIE1931xy色度図における混合液A、B及びCの色度座標を
図34に示す。色度座標の測定は、同分光光度計を用い、光路長:1cm及び分光光度計操作用ソフトウェア「カラー測定ソフトウェア P/N 206−65207(株式会社島津製作所製)」にて照明:D65、視野:2°と設定した条件下で行われた。
【0054】
(金属微粒子Dの調製)
プレート状銀ナノ粒子Aの水分散液120mlに代えてプレート状銀ナノ粒子Dの水分散液120mlを使用した以外は、金属微粒子Aの調製と同様にして、プレート状銀ナノ粒子Dの表面が金で被覆された金属微粒子Dの水分散液を調製した。調製した分散液を蒸留水で4倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図10に示す。最大吸収を示す波長は714nm(消光度0.8)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。また、SEM写真を
図32に示す。SEM写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0055】
(金属微粒子Bの緩衝液中での安定性試験)
[プレート状銀ナノ粒子の緩衝液中での安定性]
先に調製されたプレート状銀ナノ粒子Bの分散液1mLを蒸留水3mLおよび10mM PBS(+)緩衝液(塩化カルシウム二水和物(関東化学株式会社製)0.133g、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)0.1gを蒸留水800mLで溶解し、市販の200mM PBS(−)溶液(関東化学株式会社製)50mLを添加し、全量を1Lとして調製)3mLにそれぞれ添加し、4倍希釈とした。
調製した溶液の消光度(Extinction)を紫外可視近赤外分光光度計(装置名:紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PC、製造元:株式会社島津製作所)で測定した。プレート状銀ナノ粒子Bの波長542nmの消光度減少率は約90%であり、大幅に低下した。消光度測定結果を
図11に示す。
【0056】
[金被覆プレート状銀ナノ粒子の緩衝液中での安定性]
先に調製された金属微粒子Bの水分散液1mLを蒸留水3mLおよび10mM PBS(+)緩衝液(塩化カルシウム二水和物(関東化学株式会社製)0.133g、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)0.1gを蒸留水800mLで溶解し、市販の200mM PBS(−)溶液(関東化学株式会社製)50mLを添加し、全量を1Lとして調製)3mLにそれぞれ添加し、4倍希釈とした。
調製した溶液の消光度(Extinction)を紫外可視近赤外分光光度計(装置名:紫外可視近赤外分光光度計 MPC3100UV−3100PC、製造元:株式会社島津製作所)で測定した。金属微粒子Bの波長556nmの消光度減少率は約1.4%であり、殆ど変化が無く安定であった。消光度測定結果を
図12に示す。
【0057】
以上のことから、金属微粒子Bは、生化学緩衝液中での安定性に優れることが分かった。
【0058】
[イムノクロマト試験 実施例1]
金属微粒子A〜Dを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験
(コンカナバリンAイムノクロマト試験用展開液A〜Dの調製)
5mMのPBS(+)緩衝液(200mM PBS溶液(製品名:PBS溶液20倍濃縮液、製造元:関東化学株式会社)を40倍容に希釈し5mM PBS(−)緩衝液を1L調製し、塩化カルシウム(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.1mL及び、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.05mLを添加して調製)中における濃度50μg/mLの抗コンカナバリンA抗体(品名:Anti Concanavalin A、製造元:EY Laboratories,Inc.)の溶液0.2mLと、先に調製された金属微粒子Aの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(75000rpm、4℃、1時間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液を除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を純水500μL中に再分散させ、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.55になるように調整し、展開液Aを調製した。同様に、金属微粒子B〜Dの分散液を用いて、展開液B〜Dを調製した。
【0059】
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験1)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗コンカナバリンA抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗コンカナバリンA抗体を直線状に固定する際、抗コンカナバリンA抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で200倍容 希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(+)緩衝液中におけるコンカナバリンA(品名:Canavalia ensiformis(Jack Bean)[Con A],Jack bean(−)、株式会社J−オイルミルズ製)の溶液であり、コンカナバリンAの濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM及び0Mの溶液を用意した(pH7.4)。洗浄用展開液は5mMのPBS(+)緩衝液である(pH7.4)。第2の展開液には、上述の展開液A〜Dを用いた(pH7.0)。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(+)緩衝液30μLを展開させた。最後に、各種第2の展開液60μLを展開させた。展開液A〜Dを用いた全てのイムノクロマト試験において、コンカナバリンAの検出が展開液Aでは6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nMの濃度に亘って目視により確認され、展開液B、C、Dでは6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って目視により確認された。結果を
図13に示す。
【0060】
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験2)
図2に示されるようなイムノクロマト試験を行った。イムノクロマト試験1と同じイムノクロマト試験紙を用いた。展開液には、展開液A〜Dのうち1種の展開液60μLと、5mMのPBS(+)緩衝液中における濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM又は0MのコナカバリンAである溶液15μLとを混合したものを用いた(pH7.0)。具体的には、イムノクロマト試験紙に各種展開液を展開させた。全ての展開液において、コンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って目視により確認できた。
【0061】
(コンカナバリンAのイムノクロマト試験1の輝度解析)
コンカナバリンAのイムノクロマト試験1での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、キヤノン株式会社)し、判定部分(抗コンカナバリンA抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。なお、Image−Jは、アメリカ国立衛生研究所でWayne Rasbandが開発したオープン・ソースで公有の画像処理ソフトウェアである(http://imagej.nih.gov/ij/)。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、金属微粒子A、BではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nMの濃度に亘って確認でき、金属微粒子C、DではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nMの濃度に亘って確認できた。輝度解析の結果を
図14〜17、後述する球状金コロイドとの比較を
図19に示す。
【0062】
[イムノクロマト試験 実施例2]
金属微粒子Bを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験
(B型肝炎ウイルス抗原イムノクマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子Bの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Bの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、展開液Eを調製した。
【0063】
(B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液Eを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って目視により確認された。結果を
図20に示す。
【0064】
(B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験の輝度解析)
B型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を
図21、球状金コロイドとの比較を
図23に示す。
【0065】
[イムノクロマト試験 実施例3]
多色イムノクロマト試験
(多色イムノクロマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子A〜Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子A〜Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去し抗体-金属微粒子複合体の13.3倍濃縮液を調製した。該濃縮液を紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)2.0になるように5mM PBS(−)緩衝液で14倍希釈し、展開液F〜Hを調製した。また、前述の濃縮液を7倍希釈し、2倍濃度の濃縮展開液F〜Hを調製し、これらを
図24に従って調合し、展開液I〜Lを調製した。展開液F〜Lの分光特性測定結果を
図25、26に示す。
図25、26に示すように球状金コロイドを使用した展開液の場合、単色設計しかできないが、本発明のように、金属微粒子A、B、Cを使用した場合は多色設計が可能であった。
【0066】
(多色イムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液F〜Lを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μM、0.06μMの濃度に亘って目視により確認された。また、検出ラインの色が展開液により異なり、展開液F使用時はイエロー調、展開液G使用時はマゼンタ調、展開液H使用時はシアン調、展開液I使用時は赤色調、展開液J使用時は青色調、展開液K使用時は緑色調、展開液L使用時は黒色調の色を呈した。
よって、
図5や
図6に示されるようなイムノクロマト試験を行う場合(クロマトグラフ担体に、複数の異種の分子(b)が異なる位置に直線状に固定化され、判定部分が形成されている場合)、金属微粒子(a)の色調の違いを利用して、それぞれの固定化部分を異なる色を呈する検出ラインとして機能できることが分かる(検出ラインの多色化)。これにより、複数の被験物質を一度に検出できることも分かる。
【0067】
(多色イムノクロマト試験結果の測色)
多色イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を
図27に示す。
【0068】
[イムノクロマト試験 実施例4]
金属微粒子B及びCを使用したB型肝炎ウイルス抗原及びヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用複合体分散液Aの調製)
先に調製された金属微粒子Bの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Bの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。その後、3.26wt% ウシ血清アルブミン(BSA)−5mM PBS(−)溶液100μLを添加し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、複合体分散液Aを調製した。
【0069】
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用複合体分散液Bの調製)
先に調製された金属微粒子Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(品名:MONOCLONAL ANTI−HUMAN CHORIONIC GONADOTROPIN、製造元:Medix Biochemica製)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうし、その後4℃にて24時間静置した。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、抗体−金属微粒子複合体を5mM PBS(−)緩衝液で再分散させ、紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、複合体分散液Bを調製した。
【0070】
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンイムノクマト試験用展開液Mの調製)
先に調製された金属微粒子Aの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。その後、pH7.4に調整した金属微粒子Aの分散液を紫外可視分光光度計 Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)1.0になるように調整し、pH調整分散液Aを調整した。pH調整分散液Aと、複合体分散液Aと、複合体分散液Bとを等しい体積比で混合し、展開液M(色調:黒色調)を調製した。
【0071】
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのイムノクロマト試験)
図5に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体がそれぞれ直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙(展開液が展開する方向から見て下流側に抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体が固定され、展開液が展開する方向から見て上流側に抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が固定される)を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体を直線状に固定する際、各抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(品名:hCG Human(−)、製造元:Meridian Life Science, Inc.製)の混合溶液であり、両抗原濃度が0.3μM、0.03μM、0.003M、0M(Blank)である混合溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、展開液Mを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液30μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液120μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.3μM、0.030μM、0.003μMの濃度に亘って目視により確認され、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの0.3μM、0.03μMの濃度に亘って確認された。結果を
図35に示す。また、検出ラインの色調は、抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体の固定化部分がシアン調、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分がマゼンタ調であった。
【0072】
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験結果の測色)
二検体二色検出イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を
図36に示す。
【0073】
(B型肝炎ウイルス抗原およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの二検体二色検出イムノクロマト試験の輝度解析)
二検体二色検出イムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体および抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.3μM、0.03μM、0.003μMの濃度に亘って確認され、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの0.3μM、0.03μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を
図37に示す。
【0074】
[イムノクロマト試験 実施例5]
高精彩多色イムノクロマト試験
(高精彩多色イムノクロマト試験用展開液の調製)
先に調製された金属微粒子A〜Cの分散液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金属微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金属微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を40倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金属微粒子A〜Cの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。その後、3.26wt% ウシ血清アルブミン(BSA)−5mM PBS(−)溶液100μLを該混合物に添加し、得られた混合物を室温にて60分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金属微粒子複合体を沈殿させ、上澄み液1.75mLを除去し、その後、沈殿物に0.16wt% BSA−5mM PBS(−)緩衝液0.75mLを添加し、抗体−金属微粒子複合体の2倍濃縮液を調製した。該濃縮液を0.16wt% BSA−5mM PBS(−)緩衝液で3.0倍希釈し、展開液N〜Pを調製した。また、前述の濃縮液を
図38に従って調合し、展開液Q〜Tを調製した。
【0075】
(高精彩多色イムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を5mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で40倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が0.60μM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、上述の展開液N〜Tを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が0.6μMの濃度で目視により確認され、0μM(Blank)の濃度では確認されず、非特異検出が無いことが確認された。また、検出ラインの色が展開液により異なり、展開液N使用時はイエロー調、展開液O使用時はマゼンタ調、展開液P使用時はシアン調、展開液Q使用時は赤色調、展開液R使用時は青色調、展開液S使用時は緑色調、展開液T使用時は黒色調の色を呈した。
【0076】
(高精彩多色イムノクロマト試験結果の測色)
高精彩多色イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE220、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。測色の結果を
図39に示す。
【0077】
[イムノクロマト試験 比較例1]
球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験
(球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクマト試験用展開液の調製)
市販の球状金コロイド分散液(品名:Auコロイド溶液−SC、粒径:40nm、製造元:田中貴金属株式会社)10mLに5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液3.5mLを添加、攪拌後、一晩静置し、金コロイド調整液を作製した。
上記の金コロイド調整液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金微粒子を5mMのPBS(+)緩衝液(200mM PBS溶液(製品名:PBS溶液20倍濃縮液、製造元:関東化学株式会社)を40倍容に希釈し5mM PBS(−)緩衝液を1L調製し、塩化カルシウム(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.1mL及び、塩化マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)の1g/mL水溶液0.05mLを添加して調製)1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(+)緩衝液中における濃度50μg/mLの抗コンカナバリンA抗体(品名:Anti Concanavalin A、製造元:EY Laboratories,Inc.)の溶液0.2mLと、先に調製された金コロイドの分散液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(75000rpm、4℃、1時間)を行い、抗体−金コロイド複合体を沈殿させ、上澄み液を除去した。その後、抗体−金コロイド複合体を純水500μL中に再分散させ、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、抗体−金コロイド展開液Iを調製した。
【0078】
(金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗コンカナバリンA抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗コンカナバリンA抗体を直線状に固定する際、抗コンカナバリンA抗体溶液を5mM PBS(+)緩衝液で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、5mMのPBS(+)緩衝液中におけるコンカナバリンA(品名:Canavalia ensiformis(Jack Bean)[Con A],Jack bean(−)、株式会社J−オイルミルズ製)の溶液であり、コンカナバリンAの濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0.6nM、0.06nM及び0Mの溶液を用意した。洗浄用展開液は5mMのPBS(+)緩衝液である。第2の展開液には、上述の抗体−金コロイド展開液Iを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である5mMのPBS(+)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液である抗体−金コロイド展開液I60μLを展開させた。イムノクロマト試験の結果、コンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nMの濃度に亘って目視により確認された。結果を
図13に示す。
【0079】
(球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験の輝度解析)
球状金コロイドを使用したコンカナバリンAのイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、キヤノン株式会社)し、判定部分(抗コンカナバリンA抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、球状金コロイドではコンカナバリンAの検出が6μM、0.60μM、0.06μM、6nMの濃度に亘って確認できた。輝度解析の結果を
図18、金属微粒子A〜Dとの比較を
図19に示す。
【0080】
[イムノクロマト試験 比較例2]
球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験
(球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクマト試験用展開液の調製)
市販の球状金コロイド分散液(品名:Auコロイド溶液−SC、粒径:40nm、製造元:田中貴金属株式会社)10mLに5質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液3.5mLを添加、攪拌後、一晩静置し、金コロイド調整液を作製した。
上記の金コロイド調整液2.0mLの遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、金微粒子を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去した。その後、金微粒子を5mM PBS(−)緩衝液1.85mLで再分散した。この作業を二回繰り返し、分散液のpHを7.4に調整した。
5mMのPBS(−)緩衝液(市販の200mM PBS溶液を200倍希釈して調製)中における濃度50μg/mLの抗B型肝炎ウイルス抗原抗体(品名:Goat anti HBsAg、製造元:Arista Biologicals,Inc.)の溶液0.2mLと、先に遠心分離によりpHを7.4に調整された金コロイド調整液1.8mLを混合し、得られた混合物を室温にて30分間振とうした。次いで、遠心分離(25000rpm、4℃、10分間)を行い、抗体−金コロイド複合体を沈殿させ、上澄み液1.85mLを除去し、抗体−金コロイド複合体の13.3倍濃縮液を調製した。その後、該濃縮液を5mM PBS(−)緩衝液で希釈、紫外可視分光光度計Agilent 8453(アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して消光度(Extinction)0.35になるように調整し、抗体−金コロイド展開液IIを調製した。また、該濃縮液を3倍希釈し消光度2.0の抗体−金コロイド展開液IIIを調製し、後述するB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験結果の測色に使用するイムノクロマト試験に使用した。
【0081】
(金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験)
図1に示されるようなイムノクロマト試験を行った。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体が直線状に固定化されたイムノクロマト試験紙を用いた。イムノクロマト試験紙はイムノクロマト試験紙の受託作製会社(有限会社バイオデバイステクノロジー)より購入したものを使用した。抗B型肝炎ウイルス抗原抗体を直線状に固定する際、抗B型肝炎ウイルス抗原抗体溶液を1mM PBS(−)緩衝液(上記の市販品の200mM PBS溶液を蒸留水で200倍希釈して作製)で濃度1g/mLに調整したものを使用した。第1の展開液は、1mMのPBS(−)緩衝液中におけるB型肝炎ウイルス抗原(品名:HBsAg Protein(Subtype adr)、製造元:Fitzgerald Industries International Inc.)の溶液であり、B型肝炎ウイルス抗原の濃度が6μM、0.60μM、0.06μM、6nM、0M(Blank)の溶液を用意した。洗浄用展開液は1mMのPBS(−)緩衝液である。第2の展開液には、先に調製された消光度0.35に調整した抗体−金コロイド展開液IIを用いた。具体的には、イムノクロマト試験紙に、各濃度の第1の展開液15μLをそれぞれ展開させた。次いで、洗浄用展開液である1mMのPBS(−)緩衝液30μLを展開させた。最後に、第2の展開液60μLを展開させた。本イムノクロマト試験において、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μMの濃度に亘って目視により確認できた。結果を
図20に示す。また、検出ラインの色は赤紫色であった。
【0082】
(球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験の輝度解析)
球状金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原のイムノクロマト試験での試験後のイムノクロマト試験紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、判定部分(抗B型肝炎ウイルス抗原抗体の固定化部分)と、判定部分以外の部分の最低輝度を画像解析ソフト(Image−J)で測定することにより、検出感度を数値化することができる。検出感度は各部分をそれぞれ5回測定し、得られた数値の中央値の差とすることができる。輝度差解析の結果、B型肝炎ウイルス抗原の検出が6μM、0.60μMの濃度に亘って確認された。輝度解析の結果を
図22、金属微粒子Bとの比較を
図23に示す。
【0083】
[イムノクロマト試験 比較例3]
(金コロイドを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験結果の測色)
先に調製された消光度2.0に調整した抗体−金コロイド展開液IIIを使用したB型肝炎ウイルス抗原イムノクロマト試験により得られたイムノクロマト紙をスキャニング(装置名:Cano Scan LiDE500F、製造元:キヤノン株式会社)し、得られた画像をビットマップ画像編集ソフトウェアのAdobe Photoshopで取り込み、検出ラインのCIELAB D50を測定した。抗体−金コロイド展開液IIIの分光特性を
図25、測色の結果を
図27に示す。