【実施例1】
【0016】
以下、本発明をガスケットの表面に設けられた溝にシリコンゴム、フッ素ゴム等の塗布剤を塗布するワーク加工処理装置に実施した実施例に従って本発明を説明する。
図1乃至
図5に示すように、ワーク加工処理装置としての塗布加工処理装置1は、ワーク支持装置3、ワーク加工処理ロボットとしての塗布ロボット5及び位置較正装置7から構成される。
【0017】
ワーク支持装置3は、本体フレーム9上に複数本のワーク支持部材11を、支持するワークWに長手方向幅(図示する左右方向)及び長手直交方向幅(図示する前後方向)に対応して上記左右方向及び前後方向へ所定の間隔をおいて立設される。そして各ワーク支持部材11の先端部(上部)には、充填処理されるワークWの裏面を支持して保持する保持部材13が設けられる。
【0018】
上記保持部材13としては、ワークWの裏面に当接し、高い摩擦係数により位置ずれを規制して支持する弾性部材、ワークWの裏面に設けられたリブ(図示せず)を把持するためにエアーシリンダーや電磁ソレノイド及び把持爪(いずれも図示せず)により構成されるクランプ部材、負圧発生装置に接続されてワークWの裏面を吸着して保持する吸着部材(いずれも図示せず)のいずれであってもよい。
【0019】
なお、ワーク支持装置3に支持されて塗布加工処理されるワークWとしては、例えばガスケット等の金属製成形品、車両用の各種パネル、車両用バンパー等の樹脂成形品等で、表面に塗布剤が塗布される複数種類(幅及び深さ)の連続する溝Waが形成されている。
【0020】
また、ワーク支持装置3としては、ワークWの長手方向及び長手直交方向へ移動可能に支持される水平可動体に上下方向へ延出して設けられる上下フレームに支持される上下可動体にワーク支持部材13を設け、水平可動体及び上下可動体に連結された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータの駆動に伴ってワーク支持部材13を左右方向及び前後方向と上下方向へ移動してワークWの形状、大きさ等に対応してワーク支持部材13による支持位置を可変可能にした構成であってもよい。
【0021】
上記塗布ロボット5は、従来公知の多関節型ロボットで、基台15に内蔵された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)に駆動連結された回転盤14に基端部が回動可能に支持されると共に回転盤14に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ17が連結されて回動及び搖動可能な第1アーム19、第1アーム19の先端部に内蔵された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)に連結されたアーム取付け部材(図示せず)に基端部が回動可能に支持されると共にアーム取付け部材に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ23が連結される第2アーム25、第2アーム25の先端部に内蔵された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)に連結されたハンド取付け部材27、該ハンド取付け部材27に取り付けられた加工処理ヘッドとしての塗布ヘッド31から構成される。
【0022】
なお、上記した塗布ロボット5は、回動軸及び搖動軸の数に対応して3本以上のアームを備え、各アームを軸線周り及び軸線と直交する方向へ回動及び搖動するための電動モータを備えた構成としてもよい。
【0023】
上記ハンド取付け部材27に設けられる塗布ヘッド31は、塗布剤タンク(図示せず)から供給されて加圧された接着剤や充填剤等の塗布剤を定量吐出する吐出ノズル31aを備えている。
【0024】
なお、塗布ヘッド31は、ハンド取付け部材27に対して二次元移動手段または三次元移動手段(
図4は、二次元移動手段33を示す。)を設けて取り付けた構造であってもよい。
【0025】
二次元移動手段33としては、例えば第2アーム25の軸線と直交する図示する左右方向へ延出する第1フレーム35に対し、その長手方向へ移動するように支持される第1走行体37と、該第1走行体37を長手方向へ往復移動する第1移動部材39と、上記第1走行体37に対して上記左右方向と直交する方向へ延出して設けられた第2フレーム41に対し、その長手方向へ移動するように支持され、塗布ヘッド31が取り付けられる第2走行体43と、該第2走行体43を左右方向と直交する方向へ往復移動する第2移動部材45により構成される。
【0026】
上記第1及び第2移動部材39・45としては、第1及び第2フレーム35・41に対してそれぞれの長手方向と一致する方向に軸線を有し、一端部に数値制御可能なサーボモータ等の電動モータが連結されて回転可能に軸支されると共に一部が対応する第1及び第2走行体37・43に設けられたナットに噛合わされる送りねじ(いずれも図示せず)の回転に伴って対応する第1及び第2走行体37・43をそれぞれの方向へ移動する送りねじ移動機構としてもよい。
【0027】
また、上記第1及び第2移動部材39・45としては、上記第1及び第2フレーム35・41の長手方向端部に回転可能に軸支されると共に一方に数値制御可能なサーボモータ等の電動モータが連結されて回転可能に軸支される回転体に掛渡され、一部が対応する第1及び第2走行体37・43に固定される走行部材(ベルト、いずれも図示せず)をそれぞれの電動モータの駆動に伴って対応する第1及び第2走行体37・43をそれぞれの方向へ移動するベルト移動機構等のいずれであってもよい。
【0028】
上記第2走行体43には、取付け板47が設けられ、該取付け板47には、溝検査処理装置49が設けられる。該溝検査処理装置49は、溝Waが設けられたワークWの表面上にて収斂し、溝Waの長手方向と直交する方向へ延出する複数本のレーザスリット光を出力するレーザ光投射部材51及びワークWの表面に照射された複数本のレーザスリット光を含むワークWの表面を撮像する検査用ビデオカメラ53により構成される。上記レーザ光投射部材51は、ワークWにおける溝Waに対する塗布ヘッド31の移動走査に伴って所定時限毎(所定の間隔毎)にレーザスリット光を出力する。また、検査用ビデオカメラ53は、レーザスリット光の出力タイミングに同期して溝Waを含むワークW表面の画像を撮像する。
【0029】
ワーク支持装置3の上方には、位置較正装置7が設けられる取付けフレーム55が配置され、該取付けフレーム55には、較正用撮像手段としての較正用カメラ57及び較正用投射手段としてのプロジェクター59が、ワークWの表面から所定の間隔をおき、かつ例えば左右方向へ所要の間隔をおいて取り付けられる。上記プロジェクター59は、ワークWにおける上記所定箇所周辺に、例えばスリット模様や格子模様、ドットマトリックス模様等の各種の基準パターンを投射する。上記較正用カメラ57は、ワークWにおける上記所定箇所周辺及び該箇所に投射された基準パターンを撮像して撮像データを出力する。
【0030】
図6及び
図7に示すように塗布加工処理装置1を制御する制御手段61のCPU63には、プログラム記憶領域65及び作業データ記憶領域67が設けられる。上記プログラム記憶領域65には、塗布ロボット5を移動制御するためのロボット制御
プログラムデータ、塗布ロボット5を駆動制御してワークWの表面に設けられた溝Waの深さ及び幅を確認して塗布ヘッド31の移動経路を修正するための経路修正プログラムデータ、溝Wa内に塗布された塗布剤の塗布量を確認処理するための塗布量確認プログラムデータ、ワーク支持装置3に支持されたワークWの被塗布原点位置と塗布ロボット5の塗布原点位置を較正処理するための位置較正プログラムデータ等の各種プログラムデータが記憶される。
【0031】
上記作業データ記憶領域67には、移動データ記憶領域69、基準溝画像データ記憶領域71、基準塗布画像データ記憶領域73、基準ワークデータ記憶領域75、溝撮像データ記憶領域77、三次元溝撮像データ記憶領域79、較正用撮像データ記憶領域81、較正用三次元撮像データ記憶領域83、オフセットデータ記憶領域85、較正データ記憶領域87、パターンデータ記憶領域89等が設けられる。
【0032】
上記移動データ記憶領域69には、塗布ロボット5の塗布ヘッド31を予め設定された移動経路に従って移動するための三次元移動データが記憶される。該三次元移動データは、塗布ロボット5を駆動して塗布ヘッド31をそれぞれの塗布位置へ移動して教示入力する方法、または各塗布位置の三次元位置データを直接数値入力して設定する方法のいずれであってもよい。
【0033】
基準溝データ記憶領域71には、ワークWに設けられた正規の幅及び深さの溝Waに関する三次元基準データが記憶される。ワークWに溝幅及び深さが異なる複数種類の溝Waが設けられる場合には、基準溝データ記憶領域71には、各溝Waに対応する三次元基準溝データが記憶される。
【0034】
基準塗布画像データ記憶領域73には、ワークWの溝Waに対して塗布剤が正規の塗布量で塗布された際における盛高さに関する三次元基準データが記憶される。ワークWに上記した複数種類の溝Waが設けられている場合には、塗布基準データ記憶領域73には、各溝Waに対応する盛高さに関する三次元基準データが記憶される。
【0035】
基準ワークデータ記憶領域75には、ワーク支持装置3にワークWが、ワークWの被塗布原点位置と塗布ロボット5による塗布原点位置が一致した正規状態で支持されたワークWの三次元基準ワークデータが記憶される。
【0036】
溝撮像データ記憶領域77には、検査用ビデオカメラ53により撮像された溝Wa、照射されたレーザスリット光、溝Waに塗布された充填剤の盛高さに関する撮像データが記憶される。また、三次元溝撮像データ記憶領域79には、溝撮像データ記憶領域77に記憶された撮像データを三次元データへ変換した溝検査三次元撮像データが記憶される。
【0037】
較正用撮像データ記憶領域81には、較正用カメラ57により撮像されたワークWにおける投射されたスリット模様や格子模様、ドットマトリックス模様等の各種の基準パターンを含む所定箇所の撮像データが記憶される。また、較正用三次元撮像データ記憶領域83には、較正用撮像データ記憶領域81に記憶された撮像データに基づいて三次元データへ変換された較正用三次元撮像データが記憶される。
【0038】
オフセットデータ記憶領域85には、基準溝データ記憶領域71に記憶された三次元基準溝データと検査用ビデオカメラ53により撮像されたワークWにおける溝Waの三次元溝撮像データに基づいて判別される基準溝幅に対するオフセットデータが記憶される。
【0039】
較正データ記憶領域87には、較正用三次元撮像データ記憶領域83に記憶された較正用三次元撮像データとワーク基準データ記憶領域75に記憶された三次元基準ワークデータの比較により演算されたワークWの被充填処理原点位置と塗布ロボット5による充填加工原点位置の三次元方向に対する位置ずれ量を較正データとして記憶される。
【0040】
パターンデータ記憶領域89には、プロジェクター59によりワークWへ投射するスリット模様や格子模様、ドットマトリックス模様等の各種の基準パターンデータが記憶される。
【0041】
なお、較正用カメラ57により撮像されるワークWにおける所定箇所としては、二次元方向への位置ずれを判別するのに基準になる、例えば開口部や段差部、突部等(図は開口部を示す。)の基準部Wbを含む箇所が望ましい。ワークWに上記した基準部Waがない場合には、ワークWにおける所定箇所の長手方向又は長手直交方向の両側に応じたおけるワーク支持装置3に基準部を設け、較正用カメラ57によりワーク支持装置3の基準部を含めたワークWの所定箇所を撮像すればよい。
【0042】
CPU63には、比較手段91が設けられる。該比較手段91は、較正用三次元撮像データ記憶領域83に記憶された三次元撮像データとワーク基準データ記憶領域75に記憶された三次元基準ワークデータを比較し、三次元方向に対する位置ずれ量を演算し、その演算結果を較正データとして較正データ記憶領域85に記憶させる。
【0043】
CPU63には、判別手段93が設けられる。該判別手段93は、三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶された溝Waの三次元データと基準溝データ記憶領域71に記憶された溝Waの三次元基準データに基づいて基準溝幅に対するオフセット値(方向を含む。)を、また三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶された溝Wa内に塗布された塗布剤の盛高さに関する三次元データと基準溝データ記憶領域71に記憶された塗布剤の盛高さに関する三次元基準データに基づいて塗布剤の塗布量が所定量であるか否かをそれぞれ判別する。
【0044】
CPU63には、ロボット制御手段95が接続される。該ロボット制御手段95は、移動データ記憶領域69に記憶された三次元移動データに基づいて図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を回動及び搖動して塗布ヘッド31をワークWの溝Waに沿って移動することにより溝Wa内に充填剤を塗布する。
【0045】
CPU63には、二次元移動制御手段97が接続される。該二次元移動制御手段97は、ワークWの被塗布原点位置と塗布ロボット5による塗布原点位置が不一致の場合、較正データ記憶領域85に記憶された較正データに基づいて第1及び第2移動部材39,45をそれぞれ駆動制御して塗布ヘッド31を被塗布原点位置に一致させる。
【0046】
なお、ワークWの被塗布位置に対して面直方向(Z軸方向)の位置ずれに対しては、較正データのZ軸データに基づいて図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して位置補正する。
【0047】
CPU63には、第1投射制御手段99が設けられる。該第1投射制御手段99は、ワーク支持装置3に支持されたワークWの溝Waに対する塗布剤の塗布加工処理に先立ってレーザ光投射部材51を駆動してワークWにおける溝Wa周縁に対し、複数本のレーザスリット光を投射させる。
【0048】
CPU63には、第2投射制御手段101が設けられる。該第2投射制御手段101は、ワーク支持装置3に支持されたワークWの溝Waに対する塗布剤の塗布加工処理に先立ってパターンデータ記憶領域89から読み出された単一、または複数のパターンデータに基づいてプロジェクター59を駆動してワークWの所定箇所表面に基準パターンを投射させる。
【0049】
なお、ワークWに対して複数の基準パターンを投射する場合にあっては、投射制御手段97は、パターンデータ記憶領域89から予め設定された順序に従って読み出されたパターンデータに基づいてプロジェクター59を、後述する較正用カメラ53の撮像時間毎に駆動して基準パターンを投射させる。
【0050】
CPU63には、第1撮像制御手段103が設けられる。該第1撮像制御手段103は、溝Waが設けられたワークWの表面に対して複数本のレーザスリット光が投射されたタイミングで検査用ビデオカメラ53を撮像駆動して複数本のレーザスリット光を含むワークWの溝Wa箇所周縁を撮像し、撮像データを検査用撮像データ記憶領域77に記憶させる。
【0051】
CPU63には、第2撮像制御手段105が設けられる。該第2撮像制御手段105は、ワーク支持装置3に支持されたワークWに対して基準パターンが投射されたタイミングで較正用カメラ57を撮像駆動して基準パターンを含むワークWにおける所定箇所周辺の表面を撮像し、撮像データを較正用撮像データ記憶領域81に記憶させる。
【0052】
なお、ワークWに対してプロジェクター55から複数の基準パターンを投射する場合にあっては、第2撮像制御手段105は、投射される基準パターンが切換えられる毎に較正用カメラ57を撮像駆動してそれぞれの基準パターンを含むワークWにおける所定箇所周辺の撮像データを較正用撮像データ記憶領域81に記憶させる。
【0053】
CPU63には、ワーク支持装置3にワークWが支持されたことを検知するリミットスイッチ等の複数の検知器107がインターフェース109を介して接続される。そしてCPU63は、全ての検知器107がワーク検知状態へ遷移した際に、ワーク支持装置3にワークWが支持されたと判断し、較正処理動作、溝検査動作を実行する。
【0054】
上記のように構成された塗布加工処理装置1による塗布処理作用、較正処理作用、溝検査処理作用及び塗布検査処理作用を説明する。
先ず、塗布加工処理装置1による塗布処理作用の概略を説明すると、
図9に示すようにステップ121においてワーク支持装置3にワークWをセットした際(
図8参照)に、すべての検知器105がワーク検知状態に遷移したか否かを判定する。該ステップ121がNOの場合には、スタートに戻る。
【0055】
反対にステップ121がYESの場合には、ステップ123において較正処理を実行して塗布ロボット5の塗布原点位置とワークWにおける溝Waの被塗布原点位置を一致させる。
【0056】
次に、ステップ125において塗布ロボット5の塗布原点位置とワークWにおける溝Waの被塗布原点位置が一致しているか否かを判定し、該ステップ125がNOの場合には、ステップ123に戻る。反対に、上記ステップ125がYESの場合には、ステップ127において溝検査処理を実行して移動データ記憶領域69に記憶された三次元位置データをオフセットデータ記憶領域85に記憶されたオフセットデータにより修正して書換える。
【0057】
次に、ステップ129において移動データ記憶領域69に記憶された修正後の塗布開始位置に関する三次元位置データに基づいて図示しない電動モータ及び図示する各電動モータ17、23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を搖動及び回動して塗布ヘッド31が溝Waの塗布開始位置で、吐出ノズル31aの軸線が塗布開始位置の法線に一致するように移動させる。
【0058】
次に、ステップ131において塗布ヘッド31がワークWにおける溝Waの塗布開始位置に移動したか否かを判定し、該ステップ131がNOの場合には、ステップ125に戻る。反対に、ステップ131がYESの場合には、ステップ133において移動データ記憶領域69に記憶された修正後の移動データに基づいて第1及び第2アーム19,25をそれぞれ回動及び搖動しながら塗布ヘッド31を溝Waに沿って移動しながら吐出ノズル31aから塗布剤を吐出して溝Waの加工処理を行う。なお、溝Wa内に塗布された塗布剤が所定量の場合には、ワークWの表面に対して塗布剤の盛高さが一定になる。
【0059】
次に、ステップ135において塗布ヘッド31が溝Waの塗布終了位置に移動して塗布作業が終了したか否かを判定し、該ステップ135がNOの場合には、ステップ133に戻って溝Waに対する塗布剤の塗布を継続する。反対に、上記ステップ135がYESの場合には、ステップ137によりワークWに設けられたすべての溝Waに対する塗布剤の塗布作業が終了したか否かを判定する。
【0060】
上記ステップ137がNOの場合には、ステップ129に戻って次位の溝Waに対する塗布剤の塗布作業を継続する。反対に上記ステップ137がYESの場合には、ステップ139により第1及び第2アーム19,25をそれぞれ回動及び搖動して塗布ヘッド31を塗布ロボット5の待機位置に戻した後、ステップ141において塗布検査処理を実行する。
【0061】
次に、ステップ143において溝Waに塗布された塗布剤が所定量であるか否かを判定し、該ステップ143がNOの場合には、ステップ145において報知処理、ワークWの排出処理等のエラー処理した後に終了する。反対にステップ143がYESの場合には、終了する。
【0062】
次に、ステップ123による位置較正処理を説明すると、
図10に示すようにステップ151においてパターンデータ記憶領域89に記憶されたパターンデータに基づいてプロジェクター59を駆動してワーク支持装置3に支持されたワークWの所定箇所に基準パターンを投射した後、ステップ153において較正用カメラ57を駆動して投射された基準パターンを含むワークWの所定箇所表面を撮像してその撮像データを較正用撮像データ記憶領域81に記憶する。
【0063】
ステップ155において較正用撮像データ記憶領域81に記憶された撮像データを三次元撮像データへ変換して較正用三次元撮像データ記憶領域83に記憶した後、ステップ157において比較手段91により較正用三次元撮像データ記憶領域83に記憶された三次元撮像データとワーク基準データ記憶領域75に記憶された撮像箇所に対応する三次元ワーク基準データを比較する。
【0064】
上記比較手段91により両データを比較する際には、開口部Wbの較正用三次元撮像データと三次元ワーク基準データにより二次元方向に対する位置ずれを比較すると共に較正用三次元撮像データにおける投射された基準パターンのスリット間隔とパターンデータ記憶領域89に記憶されたパターンデータのスリット間隔により高さ方向に対する位置ずれを比較する。
【0065】
次に、ステップ159において較正用三次元撮像データと三次元ワーク基準データ及びパターンデータに差があるか否かを判定し、該ステップ159がNOの場合には、
図11に示すようにワーク支持装置3に対してワークWが正規状態、即ち、ワークWの被塗布原点位置と塗布ヘッド31の塗布原点位置が一致していると判断して終了する。
【0066】
反対に、上記ステップ159がYESの場合には、
図12に示すようにワーク支持装置3に支持されたワークWの被塗布原点位置と塗布ヘッド31の塗布原点位置が位置ずれしていると判断し、ステップ161において三次元方向に対する差を演算し、演算された三次元方向(X−Y−Z)への位置ずれ量を較正データとして較正データ記憶領域87に記憶させる。
【0067】
次に、ステップ163において較正データ記憶領域87から読み出された較正データの内、X−Y軸の二次元方向較正データに基づいて第1及び第2移動部材39,45をそれぞれ駆動制御して塗布ヘッド31がワークWの被塗布原点位置に一致するように移動する。(
図13参照)
【0068】
また、ステップ165において較正データ記憶領域87から読み出された較正データの内、Z軸の較正データにより移動データ記憶領域69に記憶された塗布位置に関する三次元位置データの内、Z軸方向データを書き換えて較正動作を終了する。
【0069】
次に、ステップ127による溝検査処理作用を説明すると、
図14に示すようにステップ171において図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を回動及び搖動して塗布ヘッド31をワークWにおける溝Waの予め設定された複数個所の第1番目の検査箇所に対し、軸線が法線に対して所要の角度となるように移動した後、ステップ173においてレーザ光投射部材51を駆動して上記溝Wa箇所に対し、複数本のレーザスリット光を溝Waの長手方向と直交する方向へ延出するように投射する。
【0070】
次に、ステップ175において検査用ビデオカメラ53を駆動して投射されたレーザスリット光を含む溝Wa箇所表面を撮像して溝撮像データ記憶領域77に記憶した後、ステップ177において溝撮像データ記憶領域77に記憶された溝Waの撮像データを三次元溝撮像データへ変換し、三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶する。
【0071】
次に、ステップ179において判別手段93により三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶された三次元溝撮像データと基準溝データ記憶領域71に記憶された撮像箇所の三次元基準溝データを比較して基準溝幅に対するオフセット値及びオフセット方向をオフセットデータとしてオフセットデータ記憶領域85に記憶する。
【0072】
例えば基準溝幅が5mmに対して溝幅が幅広(例えば7mm)の画像を
図15に、溝幅が幅狭(例えば3mm)の画像を
図16にそれぞれ示す。そして例えば確認された実際の溝幅が7mmで塗布ヘッド31の移動方向に対して右側へ広くなっている場合、正規状態の溝Waに対して溝中心が右側へ1mm、オフセット状態になっている。この場合、基準溝幅に対応する移動経路に従って塗布ヘッド31を移動しながら溝Waに塗布剤を塗布すると、塗布剤が溝Wa内において偏った状態で塗布されたり、塗布剤が溝Waからはみ出したりして塗布されることになる。
【0073】
次に、ステップ181において予め設定された溝Waにおける全ての検査箇所の溝検査処理が終了したか否かを判定し、該ステップ181がNOの場合には、ステップ183において図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を回動及び搖動して塗布ヘッド31を予め設定された溝Waにおける次位の検査箇所へ移動した後、ステップ173に戻って溝Waにおける次位の検査箇所の検査処理を実行する。
【0074】
一方、上記ステップ181がYESの場合には、ステップ185において移動データ記憶領域69に記憶された移動データの内、溝Waに対して塗布剤を塗布する際における塗布ヘッド31の移動データをオフセットデータ記憶領域85に記憶されたオフセットデータに基づいて修正して書換えた後に終了する。
【0075】
これにより溝Waにおける長手方向の複数箇所に予め設定された溝検査箇所において検査された溝幅に基づいて判別されたオフセット値により塗布ヘッド31の移動データを修正することにより溝Waに対して塗布剤が偏った状態で塗布されるのを回避することができる。(
図20参照)
【0076】
次に、ステップ141による塗布検査処理を説明すると、
図17に示すようにステップ191において図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を回動及び搖動して塗布ヘッド31を塗布剤が塗布された溝Waの予め設定された複数個所の第1番目の検査箇所に対し、軸線が法線に対して所要の角度となるように移動した後、ステップ193においてレーザ光投射部材51を駆動して上記検査箇所に対し、複数本のレーザスリット光を溝Waの長手方向と直交する方向へ延出するように投射する。
【0077】
次に、ステップ195において検査用ビデオカメラ53を駆動して投射されたレーザスリット光を含む検査箇所の表面を撮像して溝撮像データ記憶領域77に記憶した後、ステップ197において溝撮像データ記憶領域77に記憶された検査箇所の撮像データを三次元塗布撮像データへ変換し、三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶する。
【0078】
次に、ステップ199において判別手段93により三次元溝撮像データ記憶領域79に記憶された三次元塗布撮像データと基準塗布画像データ記憶領域73に記憶された撮像箇所の三次元塗布基準データを比較して検査箇所における塗布剤の盛高さを判別する。塗布剤が正規の量で塗布された場合を
図18に、塗布剤の塗布量が少ない場合を
図19に示す。
【0079】
次に、ステップ201において溝Waに塗布された塗布剤の盛高さが三次元塗布基準データにおける盛高さ以上であるか否かを判定し、該ステップ201がNOの場合には、上記ステップ145に移ってエラー処理する。反対に、上記ステップ201がYESの場合には、ステップ203において予め設定された溝Waにおける全ての検査箇所の検査処理が終了したか否かを判定し、該ステップ203がYESの場合には、終了する。
【0080】
反対に、ステップ203がNOの場合には、ステップ205において図示しない電動モータ及び図示する電動モータ17,23をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム19,25を回動及び搖動して塗布ヘッド31を予め設定された溝Waにおける次位の検査箇所へ移動した後、ステップ193に戻って溝Waにおける次位の検査箇所の検査処理を実行する。
【0081】
本実施例は、ワークWに設けられた溝Waの複数箇所にて投射されるレーザスリット光を含む画像により溝幅を検査し、正規の溝幅に対して検査された溝幅が広い場合や狭い場合には、その差に対応して塗布ヘッド31の移動経路を修正することにより常に溝Waの中央を中心に塗布剤を均一に塗布することができる。
【0082】
また、溝Waに対する塗布剤の塗布処理後においては、塗布剤が塗布された溝Waに投射されるレーザスリット光を含む画像により塗布剤の盛高さを検査して塗布処理の良否を効率的に判別することができる。
【0083】
上記説明においては、演算された較正データの内のX−Y軸方向のデータに基づいて二次元移動装置33を駆動制御して塗布ヘッド31の塗布原点位置をワークWにおける溝Waの被塗布原点位置に一致するように較正する構成としたが、X−Y−Z軸方向の較正データに基づいて移動データを較正し、較正された移動データに基づいて塗布ロボット5を駆動制御する構成としてもよい。
【0084】
上記説明は、第2アーム25の先端に対して二次元移動手段33を設けて塗布ヘッド31を取り付け、較正データの内、X−Y軸方向のデータに基づいて二次元移動装置33を駆動制御して塗布ヘッド31の塗布原点位置をワークWにおける溝Waの被塗布原点位置に一致するように較正する構成としたが、二次元移動手段33の代わりに
図21に示す三次元移動手段211としてもよい。
【0085】
該三次元移動手段211は、第2走行体43に対してZ軸方向へ延出する第3フレーム213を設け、該第3フレーム213に対してZ軸方向へ移動するように支持され、塗布ヘッド31が設けられる第3走行体215を第3移動部材217によりZ軸方向へ移動させる。
【0086】
上記説明は、溝検査処理装置49により溝幅を検査し、基準溝幅に対するオフセット値に基づいて塗布ヘッド31の移動経路(移動データ)を修正する構成としたが、溝検査処理装置49により溝幅と共に溝深さを検査し、基準溝深さに対する差に基づいて塗布ヘッド31からの塗布剤の吐出量を増減制御することにより常に一定の盛高さで塗布剤を塗布するように構成してもよい。
【0087】
上記説明は、ワークWに設けられた溝Waに塗布剤を塗布する加工処理を例に説明したが、本発明は、ワーク加工処理ロボットによりワークに設けられた溝や孔を加工する際に、正規の溝や孔に対するオフセットを判別し、判別されたオフセット値によりワーク加工処理ロボットの加工ヘッドの移動経路を修正する技術事項であれば、本発明の技術範囲に含まれる。