特許第6440210号(P6440210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6440210リハビリ評価装置、リハビリ評価方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440210
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】リハビリ評価装置、リハビリ評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0488 20060101AFI20181210BHJP
   A61B 5/04 20060101ALI20181210BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20181210BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   A61B5/04 330
   A61B5/04ZDM
   A61H1/02 N
   A61B5/11 210
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-173621(P2016-173621)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-38521(P2018-38521A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 整
(72)【発明者】
【氏名】出尾 隆志
(72)【発明者】
【氏名】柴田アルナジャール ファディエスケー
(72)【発明者】
【氏名】下田 真吾
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−031538(JP,A)
【文献】 特開2015−073805(JP,A)
【文献】 特開2002−253534(JP,A)
【文献】 前田 竜範、木竜 徹,筋シナジーおよび主成分分析を用いたスクワットトレーニングの評価法の検討,電子情報通信学会技術研究報告(MEとバイオサイバネティックス),日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年12月,No.115, No.383,pp.61-65,ISSN: 0913-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/0496
A61B 5/11−5/113
A61H 1/00−5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
医中誌WEB
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価装置であって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する評価点取得手段と、
前記バランステスト時において、前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得する筋電位取得手段と、
前記筋電位取得手段により取得された筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する特徴量算出手段と、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点、の座標と、を表示する表示手段と、
を備える、ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項2】
請求項1記載のリハビリ評価装置であって、
前記訓練者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、
前記属性情報取得手段により取得された属性情報に基づいて、前記回帰モデルに沿った点であって前記訓練者が目標とする少なくとも1つの目標点を設定する目標点設定手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記座標系上に、前記回帰モデルと、前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点の座標と、前記目標点設定手段により設定された目標点と、を表示する、
ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリハビリ評価装置であって、
前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点、の座標を記憶する記憶手段を更に備え、
前記表示手段は、前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点に基づいて、該筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡を、前記座標系上に表示する、
ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項4】
請求項3記載のリハビリ評価装置であって、
前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する推測手段を更に備え、
前記表示手段は、前記座標系上に、前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡と現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と共に、前記推測手段により推測された将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示する、
ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項5】
請求項4記載のリハビリ評価装置であって、
前記推測手段は、前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量の単位変化量にかかる時間、及び過去の評価点の単位変化量にかかる時間、のうちの少なくとも一方に基づいて、前記将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する、
ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のうちのいずれか1項記載のリハビリ評価装置であって、
前記記憶手段により記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、前記回帰モデルを更新する更新手段を更に備え、
前記表示手段は、前記更新手段により更新された回帰モデルを表示する、
ことを特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項7】
請求項6記載のリハビリ評価装置であって、
前記記憶手段により記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標は、前記訓練者の属性、前記訓練者の訓練開始から経過時間、前記訓練者の訓練内容、又は、前記訓練者の回復度合い、毎に分類されており、
前記分類された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、前記訓練者の属性、前記訓練者の訓練開始から経過時間、前記訓練者の訓練内容、又は、前記訓練者の回復度合い、毎の回帰モデルを生成する回帰モデル生成手段を更に備え、
前記表示手段は、前記回帰モデル生成手段により生成された、前記訓練者に対応する回帰モデルを表示する、
を特徴とするリハビリ評価装置。
【請求項8】
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価方法であって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得するステップと、
前記バランステスト時において、前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得するステップと、
前記取得された筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出するステップと、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記算出された筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を表示するステップと、
を含む、ことを特徴とするリハビリ評価方法。
【請求項9】
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのプログラムであって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する処理と、
前記バランステスト時に取得された前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する処理と、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記算出された筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を表示する処理と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価装置、リハビリ評価方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価装置であって、訓練者の筋肉の筋電位に基づいて、各筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出し、算出した筋シナジ特徴量を表示するリハビリ評価装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−073805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記リハビリ評価装置においては、筋シナジ特徴量を取得し表示したとしても、最終的な筋シナジ特徴量の目標値を推定することが困難である。このため、その筋シナジ特徴量が回復傾向を示しているのか否かが不明である。また、訓練者の日々の体調変化などにより、筋電位及びその筋シナジ特徴量がバラツクことがある。このため、訓練者の回復度を正確に評価するのが困難である。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、訓練者の回復度を正確に評価でき、訓練者が回復傾向にあるか否かを正確に把握できるリハビリ評価装置、リハビリ評価方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価装置であって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する評価点取得手段と、
前記バランステスト時において、前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得する筋電位取得手段と、
前記筋電位取得手段により取得された筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する特徴量算出手段と、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点、の座標と、を表示する表示手段と、
を備える、ことを特徴とするリハビリ評価装置
である。
この一態様において、前記訓練者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、前記属性情報取得手段により取得された属性情報に基づいて、前記回帰モデルに沿った点であって前記訓練者が目標とする少なくとも1つの目標点を設定する目標点設定手段と、を備え、前記表示手段は、前記座標系上に、前記回帰モデルと、前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点の座標と、前記目標点設定手段により設定された目標点と、を表示してもよい。
この一態様において、前記特徴量算出手段により算出された筋シナジ特徴量、及び前記評価点取得手段により取得された評価点、の座標を記憶する記憶手段を更に備え、前記表示手段は、前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点に基づいて、該筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡を、前記座標系上に表示してもよい。
この一態様において、前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する推測手段を更に備え、前記表示手段は、前記座標系上に、前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡と現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と共に、前記推測手段により推測された将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示してもよい。
この一態様において、前記推測手段は、前記記憶手段により記憶された過去の筋シナジ特徴量の単位変化量にかかる時間、及び過去の評価点の単位変化量にかかる時間、のうちの少なくとも一方に基づいて、前記将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測してもよい。
この一態様において、前記記憶手段により記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、前記回帰モデルを更新する更新手段を更に備え、前記表示手段は、前記更新手段により更新された回帰モデルを表示してもよい。
この一態様において、前記記憶手段により記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標は、前記訓練者の属性、前記訓練者の訓練開始から経過時間、前記訓練者の訓練内容、又は、前記訓練者の回復度合い、毎に分類されており、前記分類された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、前記訓練者の属性、前記訓練者の訓練開始から経過時間、前記訓練者の訓練内容、又は、前記訓練者の回復度合い、毎の回帰モデルを生成する回帰モデル生成手段を更に備え、前記表示手段は、前記回帰モデル生成手段により生成された、前記訓練者に対応する回帰モデルを表示してもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのリハビリ評価方法であって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得するステップと、
前記バランステスト時において、前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得するステップと、
前記取得された筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出するステップと、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記算出された筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を表示するステップと、
を含む、ことを特徴とするリハビリ評価方法であってもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのプログラムであって、
バランステストを行って前記訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する処理と、
前記バランステスト時に取得された前記訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位に基づいて、前記所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する処理と、
座標系上に、予め設定された訓練者が回復するときの前記筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す回帰モデルと、前記算出された筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を表示する処理と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、訓練者の回復度を正確に評価でき、訓練者が回復傾向にあるか否かを正確に把握できるリハビリ評価装置、リハビリ評価方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。
図2】腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の筋電位の変化の一例を示す図である。
図3】筋シナジ特徴量/評価点座標系上に回帰モデルと現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標とを表示した図である。
図4】本発明の実施形態1に係るリハビリ評価方法の処理フローの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。
図6】筋シナジ特徴量/評価点座標系上に回帰モデルと現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と目標点とを表示した図である。
図7】筋シナジ特徴量/評価点座標系上に筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡を表示した図である。
図8】本発明の実施形態4に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。
図9】筋シナジ特徴量/評価点座標系上に筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡および現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と共に将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示した図である。
図10】筋シナジ特徴量及び評価点の座標が点aから点bまで(単位変化量)変化するのにかかる時間に基づいて、一定時間後の将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測した図である。
図11】本発明の実施形態5に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。本実施形態1に係るリハビリ評価装置1は、リハビリ訓練による訓練者の回復度を評価するためのものである。
【0010】
リハビリ評価装置1は、訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する評価点取得部2と、訓練者の筋肉の筋電位を取得する筋電位取得部3、訓練者の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する特徴量算出部4、筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示する表示部5と、を備えている。
【0011】
なお、リハビリ評価装置1は、例えば、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される演算プログラム、各種のデータを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)からなるメモリ、外部と信号の入出力を行うインターフェイス部(I/F)、などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。CPU、メモリ及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0012】
評価点取得部2は、評価点取得手段の一具体例である。評価点取得部2は、例えば、バランステストを行ったときの訓練者の姿勢変化に基づいて、その訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する。
【0013】
より具体的には、評価点取得部2は、訓練者をベルトなどで上方に吊り上げつつ、床面の板上に立たせ、その板を左右方向あるいは前後方向に一定量だけ移動させるバランステストを行い、そのときの訓練者の姿勢に基づいて、訓練者のバランス評価を行う。
【0014】
このバランステストにおいて、
(a)その訓練者の両手及び両脚が初期位置から移動しない場合、その評価点は+2点となる。
(b)その訓練者の手のみが初期位置から移動した場合、その評価点は+1点となる。
(c)その訓練者の足のみが初期位置から移動した場合、その評価点は、−1点となる。
(d)その訓練者の手及び足が初期位置から移動した場合、その評価点は、−2点となる。
【0015】
例えば、訓練者の両手及び両足にマーカなどを取付け、そのマーカの移動をカメラで撮影する。評価点取得部2は、カメラにより撮影された訓練者の手足の画像に基づいて、その訓練者の両手及び両足の移動を検出して、上記評価点を算出する。訓練者をドレッドミルのベルト、倒立二輪車、ペダル式歩行訓練機などの上に立たせて、上記左右方向あるいは前後方向の移動を行ってもよい。上記評価点の算出方法は一例であり、これに限定されない。評価点取得部2は、例えば、訓練者の左右の足裏の圧力変化や重心移動の変化などに基づいて、訓練者のバランス能力を評価した評価点を算出してもよい。また、ユーザが上記評価点を算出し、評価点取得部2に入力するようにしてもよい。
【0016】
筋電位取得部3は、筋電位取得手段の一具体例である。筋電位取得部3は、上記バランステスト時において、訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得する。筋電位取得部3は、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の筋電位を取得するのが好ましい。筋電位取得部3は、腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、前脛骨筋などに設けられた筋電位センサを用いて、各筋肉の筋電位を取得する。筋電位取得部3は、例えば、少なくとも4つの腹直筋(RA)、中殿筋(GM)、大腿膜張筋(TFL)、及び前脛骨筋(TA)の筋電位と、2つの脊柱起立筋(ES)及び長母指屈筋(FHL)と、を取得する。なお、上記筋電位取得部3が取得する筋肉の筋電位は一例であり、これに限定されない。
【0017】
図2に示すように、腹直筋(RA)及び中殿筋(GM)の筋電位の波形は高い相関性を有している。同様に、大腿膜張筋(TFL)および前脛骨筋(TA)の筋電位の波形は高い相関性を有している。筋電位取得部3が、これら相関性の高い、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の筋電位を取得し、これら筋電位に基づいて、後述の筋シナジ特徴量を高精度に算出できる。したがって、後述の回復度の評価をより高精度に行うことができる。
【0018】
筋電位取得部3は、取得した、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の筋電位を、特徴量算出部4に出力する。
【0019】
特徴量算出部4は、特徴量算出手段の一具体例である。特徴量算出部4は、筋電位取得部3により取得された筋電位に基づいて、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する。
【0020】
筋シナジとは、例えば、人がある動作を行う際に、複数の筋肉が冗長性を持ちながら協働して働く現象を指す。特徴量算出部4は、筋シナジ特徴量として、後述のSSI及びSCIという特徴量を算出する。これら特徴量は、リハビリ訓練による訓練者の回復度(バランス能力)を、上記筋シナジの観点から客観的に評価するための指標となる。
【0021】
続いて、上記筋シナジ特徴量SCIの算出方法について説明する。
筋電位取得部3は、上述した各筋肉(少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋)1、2、…、mの筋電位の時系列を取得する。筋電位取得部3は、例えば、一定の時間間隔で、訓練者の動作が開始されてから終了するまで(バランステスト時)行われる。i番目の筋肉のj番目の時点における筋電位の値は、筋電位行列Mのi行j列の要素M[i,j]に格納される。すなわち、
筋肉1の筋電位の時系列からなる横ベクトルM(1)と、
筋肉2の筋電位の時系列からなる横ベクトルM(2)と、…、
筋肉mの筋電位の時系列からなる横ベクトルM(m)と、
を縦に並べたものが、筋電位行列Mである。
【0022】
したがって、筋電位行列Mの行数は、mである。また、筋電位行列Mの列数は測定の時間長、すなわち、動作の時間長と、当該動作の間の測定頻度、測定間隔によって変わる。
【0023】
このようにして、筋電位取得部3は筋電位行列Mを取得する。特徴量算出部4は、筋電位取得部3により取得された筋電位行列Mに基づいて、下記式が成立するように、筋シナジ行列W、制御行列C、及び誤差行列Eを計算する。この際には、non-negative matrix factorizationが使用される。
M=WC+E
【0024】
以下、理解を容易にするため、添字kを適宜省略して説明する。なお、non-negative matrix factorizationでは、誤差度を最小化、あるいは、類似度Lを最大化する。
【0025】
ここで、筋電位行列Mの列数、制御行列Cの列数、誤差行列Eの列数がいずれもtであるとし、筋電位行列Mの行数、筋シナジ行列Wの行数、誤差行列Eの行数がいずれもmであるとし、筋シナジ行列Wの列数、制御行列Cの行数がいずれもnであるとすると、類似度Lは、以下のように定義できる。
L=1−1/m×Σi=1 √〔Σj=1 E[i、j]〕/√〔Σj=1(WC)[i、j]
【0026】
ここで、nは、シナジ数を表す数値である。一般に、nを大きくすれば、Lも大きくなるが、適切なnの大きさも、non-negative matrix factorizationを適宜用いることで、以下のように定めることができる。
【0027】
一般に、non-negative matrix factorizationにおいては、類似度Lが70%以上となるようなシナジ数nを選択することが望ましいとされている。一方で、シナジ数nが大きすぎると、計算負荷が高まるほか、過適応が生じて、かえって適切な処理ができなくなる。そこで、以下のような手法を用いる。すなわち、n=1、2、3、4、...のそれぞれについて、上記の類似度Lを計算する。
【0028】
例えば、シナジ数nが大きくなると、類似度Lも大きくなっていくが、シナジ数nが5程度で、増加の度合が飽和しており、しかも70%以上となっている。したがって、飽和し始めの前後の数値、たとえば、4、5あるいは6を、以降の計算を行うためのシナジ数nとして採用することができる。
【0029】
シナジ数nは、訓練者毎に異なる値としても良いし、訓練者がある動作を行う際のシナジ数に大きな差はないと考えられるので、全訓練者に共通する値としても良い。後者の場合には、あらかじめ実験的に何人かの訓練者に動作をさせ、適当なnの値をnon-negative matrix factorizationにより定めてから、以降は、これで定めたnの値を他の訓練者に対しても、そのまま用いる。
【0030】
このモデルでは、訓練者の中枢神経がn個の制御用信号C(1)、C(2)、...、C(n)をm個の筋肉に与えると、筋肉1は、筋電位WC(1)を満たすように動こうとし、筋肉2は、筋電位WC(2)を満たすように動こうとし、...、筋肉mは、筋電位WC(m)を満たすように動こうとする、と想定している。
【0031】
ここで、例えば、制御用信号C(1)、C(2)、...、C(n)が、互いにできるだけ独立して、非冗長なものとなっているほど、すなわち、筋シナジ行列Wにおける単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)が、互いにばらつかず、まとまっているほど、その動作に対する中枢神経の働きが良好であり、リハビリの回復度が高い。そこで、特徴量算出部4は、制御行列Cや筋シナジ行列Wから、中枢神経の働きやリハビリの回復度と関連する特徴量を計算する。
【0032】
単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)が、互いにばらつかず、まとまっている、ということは単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)によって現わされる空間の広がりが狭いことを意味する。すなわち、各辺の長さが1で、各辺の方向がW(1)、W(2)、...、W(n)のいずれかであるn次元平行多面体のn次元体積が小さいことになる。また、単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)同士のなす角がそれぞれ直角から遠ければ遠いほど、単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)は互いにばらつかず、まとまっていることになる。
【0033】
1つの動作に対する筋シナジ行列Wに含まれる単位縦ベクトルW(1)、W(2)、...、W(n)がばらつかず、まとまっていることを表す特徴量としては、種々のものを採用することが可能である。例えば、ベクトルの内積を利用することが考えられる。2つのベクトルx、yに対する内積p(x、y)は、ベクトルxの各要素をx[1]、x[2]、...、x[u]と、ベクトルyの各要素をy[1]、y[2]、...、y[u]と、それぞれ表記することにより以下のように定義できる。
p(x、y)=Σi=1(x[i]×y[i])
【0034】
すると、筋シナジ行列Wに対する特徴量SCIを、以下のように定めることができる。
SCI=2/[n(n+2)]×Σi=1Σj=1,j≠ip(W(i),W(j)
特徴量算出部4は、上記式を用いて、筋シナジ特徴量SCIを算出する。
【0035】
この筋シナジ特徴量SCIは、例えば、0〜1の間で変化し、リハビリの回復度が高ければ高いほど、大きな数値となる。
【0036】
続いて、上記筋シナジ特徴量SSIの算出方法について説明する。筋シナジ特徴量SSIは、以下のように、筋シナジ特徴量SCIと同様に算出される。
筋電位取得部3は、上記と同様に、p個の動作k=1、2、...、pからなるタスクに対して、筋肉(少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋)1、2、...、mの動作1を訓練者がした間の筋電位の時系列からなる筋電位行列M、動作2を訓練者がした間の筋電位の時系列からなる筋電位行列M、...、動作pを訓練者がした間の筋電位の時系列からなる筋電位行列Mを取得する。ここで取得される筋電位行列M、M、...、Mの行数はいずれもmであるが、筋電位行列M、M、...、Mの列数は、それぞれの動作をする時間長によって異なっても良い。
【0037】
特徴量算出部4は、筋電位取得部3により取得された筋電位行列に基づいて、下記式が成立するように、筋シナジ行列W、制御行列Ck、誤差行列Ekを計算する。
k=Wkk+Ek (k=1、2、...、p)
【0038】
ベクトルxに含まれる要素の平均e(x)、ベクトルxに含まれる要素の分散v(x)、ベクトルxに含まれる要素の標準偏差s(x)、2つのベクトルx、yに対する相関係数演算r(x、y)は、ベクトルxの各要素をx[1]、x[2]、...、x[u]と、ベクトルyの各要素をy[1]、y[2]、...、y[u]と、それぞれ表記すると、以下のように定義できる。
e(x)=(1/u)×Σi=1x[i]、
v(x)=(1/u)×Σi=1(x[i]−e(x))
s(X)=v(X)1/2
r(x、y)=Σi=1(x[i]−e(x))×(y[i]−e(y))/[m×s(x)×s(y)]
【0039】
特徴量算出部4は、下記式を用いて、筋シナジ特徴量SSIを算出する。
SSI=2/[n×p(p−1)]×Σi=1 Σk=1 Σh=1,h≠kr(W(i)、W(i)
【0040】
この筋シナジ特徴量SSIも、上記SCIと同様に、例えば、0〜1の間で変化し、リハビリの回復度が高ければ高いほど、大きな数値となる。なお、上述したSCI及びSSIについては、本出願人が既に提出した特開2015−73805号公報に開示されており、これを適宜援用できるものとする。
【0041】
表示部5は、表示手段の一具体例である。表示部5は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。表示部5は、筋シナジ特徴量を横軸とし評価点を縦軸とした座標系(以下、筋シナジ特徴量/評価点座標系)上に、予め設定された回帰モデルと、特徴量算出部4により算出された現在の筋シナジ特徴量(SCI又はSSI)、及び評価点取得部2により取得された現在の評価点、の座標と、を表示する(図3)。
【0042】
回帰モデルは、訓練者が回復するときの筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化を示す線(式)である。例えば、訓練者が回復する過程で、特徴量算出部4により算出された筋シナジ特徴量(SCI又はSSI)と、評価点取得部2により取得された評価点と、に基づいて、算出される。そして、回帰モデルは、算出された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、最小二乗法(残差平方和)などを用いて算出される。なお、回帰モデルは、リハビリの回復度を評価する訓練者と同様の属性(性別、年齢など)の人の筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて算出されるのが好ましい。上記のように算出された回帰モデルは、例えば、予めメモリなどに記憶されている。
【0043】
上記の如く、筋シナジ特徴量/評価点座標系上において、特徴量算出部4により算出された現在の筋シナジ特徴量及び評価点取得部2により取得された現在の評価点、の座標を表示する。このように、訓練者のバランス能力を筋シナジ特徴量及び評価点の両面で評価し、冗長性を持たせることで、訓練者の日々の体調変化などにより、筋シナジ特徴量がバラツクのを抑制できる。例えば、訓練者の体調が悪い場合は、筋シナジ特徴量が小さくなるだけなく評価点も同時に小さくなる。逆に、訓練者の体調が良い場合は、筋シナジ特徴量が大きくなるだけなく評価点も同時に大きくなる。このように、筋シナジ特徴量及び評価点は、一定の相関性を有しており、この相関性は訓練者の日々の体調変化などによる影響を受けないため、訓練者の回復度をより正確に表すことができる。
【0044】
特に、リハビリ訓練は長期(例えば、6か月〜数年)に渡って行われるため、その間に訓練者の体調は大きく変化する可能性がある。したがって、本実施形態1のように、筋シナジ特徴量/評価点座標系上において、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示することで、訓練者の日々の体調変化などによる筋シナジ特徴量のバラツキを効果的に抑制することで、その長期のリハビリ訓練に渡って、正確に訓練者の回復度を評価できる。
【0045】
さらに、本実施形態において、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標だけでなく、訓練者が回復状態にあるときの指標となる回帰モデルを同時に表示する。これにより、訓練者は、この回帰モデルと、現在の自身の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を比較するだけで、自身が回復傾向にあるのか否かが視覚的かつ正確に把握できる。
【0046】
図4は、本実施形態1に係るリハビリ評価方法の処理フローの一例を示すフローチャートである。
評価点取得部2は、バランステストを行って訓練者のバランス能力を評価した評価点を取得する(ステップS101)。
【0047】
筋電位取得部3は、上記バランステスト時において、訓練者の筋肉のうち、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の筋電位を取得する(ステップS102)。
特徴量算出部4は、筋電位取得部3により取得された筋電位に基づいて、少なくとも腹直筋、中殿筋、大腿膜張筋、及び前脛骨筋の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する(ステップS103)。
【0048】
表示部5は、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、予め設定された回帰モデルと、特徴量算出部4により算出された現在の筋シナジ特徴量及び評価点取得部2により取得された現在の評価点、の座標と、を表示する(ステップS104)。
【0049】
以上、本実施形態1に係るリハビリ評価装置1において、筋電位取得部3は、バランステスト時において、訓練者の筋肉のうち、所定の筋肉の筋電位を取得する。そして、特徴量算出部4は、筋電位取得部3により取得された筋電位に基づいて、所定の筋肉の協働状態を示す筋シナジ特徴量を算出する。
【0050】
さらに、表示部5は、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、予め設定された回帰モデルと、特徴量算出部4により算出された現在の筋シナジ特徴量及び評価点取得部2により取得された現在の評価点、の座標と、を表示する。訓練者のバランス能力を筋シナジ特徴量及び評価点の両面で評価し、冗長性を持たせることで、訓練者の日々の体調変化などにより、筋シナジ特徴量がバラツクのを抑制できる。したがって、訓練者の回復度をより高精度に評価できる。また、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標だけでなく、回復状態の指標となる回帰モデルを同時に表示する。これにより、訓練者は、この回帰モデルと、現在の自分の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、を比較するだけで、自身が回復傾向にあるのか否かが視覚的かつ正確に把握できる。
すなわち、本実施形態1に係るリハビリ評価装置1によれば、訓練者の回復度を正確に評価でき、訓練者が回復傾向にあるか否かを正確に把握できる。
【0051】
実施形態2
図5は、本発明の実施形態2に係るリハビリ評価装置20の概略的構成を示すブロック図である。本実施形態2に係るリハビリ評価装置は、訓練者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得部6と、訓練者が目標とする少なくとも1つの目標点を設定する目標点設定部7と、を更に備えている。
【0052】
属性情報取得部6は、属性情報取得手段の一具体例である。属性情報取得部6は、例えば、入力装置などを介して、訓練者の年齢、性別、身長、体重、などの属性情報を取得する。入力装置は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、パーソナルコンピュータ、携帯端末などである。
【0053】
目標点設定部7は、目標点設定手段の一具体例である。目標点設定部7は、属性情報取得部6により取得された属性情報に基づいて、例えば、回帰モデルに沿った点である少なくとも1つの目標点を算出する。目標点設定部7は、例えば、属性情報取得部6により取得された訓練者の年齢に基づいて、訓練者の年齢が若くなる(低くなる)に従って、回帰モデル上の高い点を目標点として設定する。これは、訓練者の年齢が若くなるに従って、回復度が大きくなるからである。
【0054】
表示部5は、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、回帰モデルと、特徴量算出部4により算出された現在の筋シナジ特徴量、及び評価点取得部2により取得された現在の評価点の座標と、目標点設定部により設定された目標点と、を表示する(図6)。これにより、訓練者は、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を認識しつつ、自身が目標とする目標点をより明確に認識できる。
【0055】
なお、、目標点設定部7は、訓練者の現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と最終的な目標点(最終目標点)との間にその最終目標点よりも低く設定した少なくとも1つの目標点(マイルストン1、マイルストン2、・・・)を設定してもよい。目標点設定部7は、筋シナジ特徴量及び評価点の座標のバラツキ(分散値)に基づいて、これらマイルストンを設定してもよい。表示部5は、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、回帰モデルと、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と、目標点設定部7により設定された目標点及びマイルストンと、を表示する。
【0056】
これにより、訓練者は、いきなり目標点を目指すのではなく、まず、直近のマイルストンを目指して訓練を行うことができ、各マイルストンに到達する毎にその達成感を感じることができる。また、マイルストンに到達する毎に、表示部5の表示を介して、一緒にいる関係者などとその達成感を共有することができ、これが次のマイルストン到達へのモチベーションに繋がる。なお、リハビリ評価装置20は、上記表示部5に表示された画面情報を、無線などを介して、他のユーザの携帯端末(スマートフォンなど)に送信するようにしてもよい。これにより、より広く目標達成感を共有できる。なお、本実施形態2において、他の構成は上記実施形態1と略同一であるため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
実施形態3
本発明の実施形態3において、特徴量算出部4により算出された筋シナジ特徴量、及び評価点取得部2により取得された評価点、の座標は、例えば、メモリに逐次記憶される。メモリは、記憶手段の一具体例である。
【0058】
表示部5は、メモリにより記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点に基づいて、該筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡を、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に表示する(図7)。これにより、訓練者の筋シナジ特徴量及び評価点の座標の推移が明確になる。さらに、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に目標点を設定した場合に、その軌跡の目標点への近付き方を見ることで、現在の訓練者のリハビリ訓練が適切か否かが視覚的に把握できる。
【0059】
なお、表示部5は、ユーザにより指定された所定期間の筋シナジ特徴量及び評価点に基づいて、該所定期間だけの、筋シナジ特徴量及び評価点の座標の軌跡を、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に表示してもよい。なお、本実施形態3において、他の構成は上記実施形態1と略同一であるため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
実施形態4
図8は、本発明の実施形態4に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。本実施形態4に係るリハビリ評価装置40は、メモリにより記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する座標推測部8を更に備えている。座標推測部8は、推測手段の一具体例である。
【0061】
座標推測部8は、例えば、メモリにより記憶された過去の筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、時系列解析手法などを用いて、一定時間後の将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する。表示部5は、筋シナジ特徴量/評価点座標系上に、例えば、筋シナジ特徴量及び評価点の座標の変化の軌跡および、現在の筋シナジ特徴量及び評価点の座標と共に、座標推測部8により推測された将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を表示する(図9)。
【0062】
これにより、訓練者は、自身の回復度の方向性(悪化、停滞、良好など)を明確に認識できる。また、例えば、目標点やその前にマイルストンが設定されている場合に、訓練者は、その目標点やマイルストンを達成できるか否かが視覚的に把握できる。
【0063】
さらに、座標推測部8は、メモリにより記憶された過去の筋シナジ特徴量の単位変化量にかかる時間、及び、過去の評価点の単位変化量にかかる時間、のうちの少なくとも一方に基づいて、将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標をより高精度に推測してもよい。
。座標推測部8は、例えば、筋シナジ特徴量及び評価点の座標が点aから点bまで(単位変化量)変化するのにかかる時間に基づいて、一定時間後の将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標を推測する(図10)。
【0064】
例えば、筋シナジ特徴量及び評価点の座標が点aから点bへ変化するのに、1週間かかる訓練者は、2週間かかる訓練者と比較して、その後の変化がより大きくなると予測できる。したがって、このような過去の筋シナジ特徴量又は評価点の単位変化量にかかる時間を考慮することで、将来の筋シナジ特徴量及び評価点の座標をより高精度に推測できる。なお、本実施形態4において、他の構成は上記実施形態1と略同一であるため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
実施形態5
図11は、本発明の実施形態5に係るリハビリ評価装置の概略的構成を示すブロック図である。本実施形態5に係るリハビリ評価装置50は、メモリにより記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、回帰モデルを更新する回帰モデル更新部9を更に備えている。回帰モデル更新部9は、更新手段の一具体例である。回帰モデル更新部9は、例えば、メモリの筋シナジ特徴量及び評価点の座標データ量が予め設定したデータ量に到達すると、あるいは、予め設定した所定期間毎に、メモリに設定された回帰モデルを更新する。これにより、最新の回帰モデルを自動的に表示することができる。
【0066】
さらに、メモリにより記憶された筋シナジ特徴量及び評価点の座標は、訓練者の属性、訓練者の訓練開始から経過時間、訓練者の訓練内容(訓練方法、訓練量など)、又は、訓練者の回復度合い(筋シナジ特徴量及び評価点の単位時間当たりの回復レベルなど)、毎に分類されていてもよい。本実施形態5に係るリハビリ評価装置50は、上記分類された筋シナジ特徴量及び評価点の座標に基づいて、訓練者の属性、訓練者の訓練開始から経過時間、訓練者の訓練内容、又は、訓練者の回復度合い、毎の回帰モデルを生成する回帰モデル生成部10を更に有している。回帰モデル生成部10は、回帰モデル生成手段の一具体例である。
【0067】
表示部5は、回帰モデル生成部10により生成された、その訓練者に対応する回帰モデルを表示する。表示部5は、例えば、入力装置などを介して入力された訓練者の情報に基づいて、回帰モデル生成部10により生成された回帰モデルのうち、その訓練者の条件(訓練者の属性、訓練者の訓練開始から経過時間、訓練者の訓練内容、訓練者の回復度合いなど)に近い条件で生成された回帰モデルを選択し、表示する。これにより、その訓練者により適した回帰モデルを表示することができるため、管理者等は、その回帰モデルを参照して、その訓練者により適切な訓練内容を設計することができる。なお、本実施形態5において、他の構成は上記実施形態1と略同一であるため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態において、表示部5は、筋シナジ特徴量を横軸とし評価点を縦軸とした座標系上に、回帰モデル、筋シナジ特徴量及び評価点の座標、などを表示しているが、これに限定されない。例えば、表示部5は、筋シナジ特徴量を縦軸とし評価点を横軸とした座標系上に、回帰モデル、筋シナジ特徴量及び評価点の座標、などを表示してもよい。
【0069】
本発明は、例えば、図4に示す処理を、CPU又はGPU(Graphics Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0070】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0071】
プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0072】
1 リハビリ評価装置、2 評価点取得部、3 筋電位取得部、4 特徴量算出部、5 表示部、6 属性情報取得部、7 目標点設定部、8 座標推測部、9 回帰モデル更新部、10 回帰モデル生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11