特許第6440322号(P6440322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440322
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】通信制御システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/16 20060101AFI20181210BHJP
   G01S 1/70 20060101ALI20181210BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181210BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALN20181210BHJP
【FI】
   G01S5/16
   G01S1/70
   H04N5/225 600
   !G06Q30/02 470
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-38871(P2016-38871)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-156190(P2017-156190A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】515056004
【氏名又は名称】mplusplus株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171435
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤本 実
【審査官】 安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−251443(JP,A)
【文献】 特開2004−192623(JP,A)
【文献】 特開2015−011981(JP,A)
【文献】 特開2015−170412(JP,A)
【文献】 特開2003−036981(JP,A)
【文献】 特開2007−005094(JP,A)
【文献】 特表2004−534356(JP,A)
【文献】 特開2009−257890(JP,A)
【文献】 特開2011−188378(JP,A)
【文献】 特開2009−033366(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0034731(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0232866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/70,
G01S 3/78 − 3/789,
G01S 5/16,
H04N 5/222 − 5/257,
G06F 19/00,
G06Q 10/00 − 10/10,
G06Q 30/00 − 30/08,
G06Q 50/00 − 50/20,
G06Q 50/26 − 99/00,
G09F 9/30 − 9/46,
H01L 27/32,
H05B 37/00 − 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の基地局と複数の無線局と、無線局を撮影可能な非可視光撮影カメラとを有し、
無線局は少なくとも二次元の広がりを有する座標に並べられ、
基地局は無線局に無線信号を送信可能であり、
無線局は非可視光の発光部と動作装置とを有し、
前記無線信号はID属性により無線局をIDの個数よりも少ないグループ数に分割して発光部を発光させるものであると共に前記分割に用いた全てのID属性により各無線局は特定されるものであり、
前記基地局は前記ID属性ごとに無線信号を前記無線局に順次ブロードキャストし、
この無線信号のID属性に該当する無線局は前記発光部を発光させ、
前記カメラは同発光を撮影して、撮影の度に同発光した無線局の位置と無線信号とを関連づけて基地局で記憶し、
同記憶した情報を全て統合することにより無線局のIDと座標とを関連付けて座標テーブルを作成し、
同座標テーブルを前記基地局に記憶させてあり、
前記各無線局は条件充足の選択スイッチを有し、
前記基地局からブロードキャストされた前記条件充足の充足信号を前記各無線局は受信した際に前記選択スイッチの押された無線局は前記発光部を発光させ、
前記基地局は前記カメラにより前記発光を撮影した画像から発光座標テーブルを作成し、前記座標テーブルとの照合により前記条件充足の選択スイッチの押された無線局のIDを特定するものである通信制御システム。
【請求項2】
前記各無線局は条件充足の選択スイッチを複数有し、
前記基地局は前記複数の選択スイッチの選択に対応した複数の条件充足信号を発信可能であり、複数の条件に対応した無線局のIDをそれぞれ特定可能である請求項1記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記条件充足の選択スイッチの押された無線局のIDを前記座標テーブルに含まれるIDから除いた残余のIDにより、前記条件を充足しないIDを特定する請求項1記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記動作装置が可視光の発光装置を備え、前記複数の選択スイッチのいずれかを押した場合に、同押されたスイッチの条件に対応する可視光の発光装置を発光させるものである請求項2記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記動作装置がディスプレイ等の表示装置を備え、前記基地局から送られた内容を表示装置に表示するものである請求項1〜4のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記動作装置がディスプレイ等の表示装置を備え、押された前記選択スイッチに対応する内容を表示装置に表示するものである請求項1〜3のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項7】
前記カメラを複数設け、これら各カメラに対応させてそれらの近傍に前記無線局の配置された位置から目視可能なディスプレイを複数設け、
前記無線局における非可視光の発光部は方向性を有し、
前記無線局の非可視光の発光部を1のディスプレイに対応するカメラの視野に向けて座標テーブルを作成し、
前記無線局の非可視光の発光部を他のディスプレイに対応するカメラの視野に向けて他の座標テーブルを作成し、
条件に応じて各ディスプレイの方向を無線局で選択し前記各座標テーブルとの照合により条件選択とIDとの関連づけを行う請求項1〜6のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項8】
前記各無線局はスイッチを有し、前記ディスプレイの方向選択の後前記スイッチを押すことで条件選択が確定するものである請求項7記載の通信制御システム。
【請求項9】
前記無線局のIDと座標との関連付けを複数回行い、頻度の高い関連付けを優先させて座標テーブルを作成する請求項1〜8のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項10】
前記カメラが赤外線カメラであり、前記非可視光の発光部は赤外線の発光部である請求項1〜9のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項11】
前記IDは二進数により表示され、前記ID属性は二進数の各桁であり、前記無線信号は前記発光部を二進数の各桁ごとに分割して発光させるものである請求項1〜10のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項12】
前記IDはm進数(mは整数)により表示され、前記ID属性はm進数の各桁であり、前記無線信号は前記発光部をm進数の各桁ごとに分割して発光させるものであり、前記発光部はm−1種類の波長で発光可能である請求項1〜10のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項13】
前記座標テーブルを前記各無線局に記憶させてあり、前記各無線局は前記基地局からブロードキャストされた座標範囲の信号を受信することにより、前記座標テーブルで自らの座標が前記座標範囲の信号に該当する場合に、前記動作装置を動作させるものである請求項1〜12のいずれかに記載の通信制御システム。
【請求項14】
前記動作装置が可視光の発光装置である請求項1〜13のいずれかに記載の通信制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御システムに関する。さらに詳しくは、複数の無線局と、無線局を撮影可能な非可視光撮影カメラとを有し、無線局は少なくとも二次元の広がりを有する座標に並べられ、非可視光撮影カメラの画像を利用して無線局の座標とIDを特定する通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のごとき通信制御システムとしては、特許文献1,2に記載のごときシステムが知られている。
【0003】
特許文献1のシステムにあっては、追跡される複数の装置と,位置を判定するサーバで構成されている。そして、追跡される装置はIDを持ち、サーバがIDを指定して無線で点灯の要求をすると、該当する装置が赤外線を点灯させる。この光をサーバが撮影することで、装置の位置を取得するという仕組みになっている。このシステムでは,IDをそれぞれ指定してn個の装置に点灯を指示するにはn回のIDの送信が必要になる。
【0004】
特許文献2のシステムにあっては、位置を検出しようとする装置が、無線と赤外線の双方を同時に用いることで、位置測定精度を向上させようとしている。装置が無線と赤外線を同時に発信し、サーバが無線で発信されたIDを通信装置で受信し,赤外線発光をカメラで取得することで,あるIDをもつ装置の位置を取得する。同システムでも,n個の装置のIDと位置を把握するにはn回のIDの送信が必要になる。
【0005】
ところが、例えば、コンサートやイベント会場のように、非常に多くの入場者に無線局を保持させ、そのIDと位置を把握するには、その人数のIDをすべて送受信せねばならず、通信量が極めて増大し、実質的に位置把握を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−329762号公報
【特許文献2】特開2006−3157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、少ない通信量で多数の無線局のIDと位置関係を把握することの可能な通信制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信制御システムの特徴は、少なくとも1台の基地局と複数の無線局と、無線局を撮影可能な非可視光撮影カメラとを有し、無線局は少なくとも二次元の広がりを有する座標に並べられ、基地局は無線局に無線信号を送信可能であり、無線局は非可視光の発光部と動作装置とを有し、前記無線信号はID属性により無線局をIDの個数よりも少ないグループ数に分割して発光部を発光させるものであると共に前記分割に用いた全てのID属性により各無線局は特定されるものであり、前記基地局は前記ID属性ごとに無線信号を前記無線局に順次ブロードキャストし、この無線信号のID属性に該当する無線局は前記発光部を発光させ、前記カメラは同発光を撮影して、撮影の度に同発光した無線局の位置と無線信号とを関連づけて基地局で記憶し、同記憶した情報を全て統合することにより無線局のIDと座標とを関連付けて座標テーブルを作成し、同座標テーブルを前記基地局に記憶させてあり、前記各無線局は条件充足の選択スイッチを有し、前記基地局からブロードキャストされた前記条件充足の充足信号を前記各無線局は受信した際に前記選択スイッチの押された無線局は前記発光部を発光させ、前記基地局は前記カメラにより前記発光を撮影した画像から発光座標テーブルを作成し、前記座標テーブルとの照合により前記条件充足の選択スイッチの押された無線局のIDを特定することにある。
【0009】
以下の実施形態では、例えば、要件充足はYESに該当する。
【0010】
前記各無線局は条件充足の選択スイッチを複数有し、前記基地局は前記複数の選択スイッチの選択に対応した複数の条件充足信号を発信可能であり、複数の条件に対応した無線局のIDをそれぞれ特定可能であってもよい。以下の実施形態では、例えば、要件充足はYES、要件非充足はNoに該当する。
【0011】
前記条件充足の選択スイッチの押された無線局のIDを前記座標テーブルに含まれるIDから除いた残余のIDにより、前記条件を充足しないIDを特定してもよい。
【0012】
前記動作装置が可視光の発光装置を備え、前記複数の選択スイッチのいずれかを押した場合に、同押されたスイッチの条件に対応する可視光の発光装置を発光させてもよい。
【0013】
前記動作装置がディスプレイ等の表示装置を備え、前記基地局から送られた内容を表示装置に表示してもよい。また、前記動作装置がディスプレイ等の表示装置を備え、押された前記選択スイッチに対応する内容を表示装置に表示してもよい。
【0014】
前記カメラを複数設け、これら各カメラに対応させてそれらの近傍に前記無線局の配置された位置から目視可能なディスプレイを複数設け、前記無線局における非可視光の発光部は方向性を有し、前記無線局の非可視光の発光部を1のディスプレイに対応するカメラの視野に向けて座標テーブルを作成し、前記無線局の非可視光の発光部を他のディスプレイに対応するカメラの視野に向けて他の座標テーブルを作成し、条件に応じて各ディスプレイの方向を無線局で選択し前記各座標テーブルとの照合により条件選択とIDとの関連づけを行ってもよい。発光部の方向性はレンズやフード等、適宜公知の構成を用いて付与することができる。
【0015】
前記各無線局はスイッチを有し、前記ディスプレイの方向選択の後前記スイッチを押すことで条件選択を確定することができる。このスイッチは実施形態に記載の条件充足のスイッチを兼用させることができる。
【0016】
前記無線局のIDと座標との関連付けを複数回行い、頻度の高い関連付けを優先させて座標テーブルを作成してもよい。
【0017】
前記非可視光のカメラには赤外線カメラを用いることができ、前記非可視光の発光部は赤外線の発光部とすることができる。
【0018】
同構成において、前記IDは二進数により表示され、前記ID属性は二進数の各桁であり、前記無線信号は前記発光部を二進数の各桁ごとに分割して発光させるものとしてもよい。
【0019】
上記構成によれば、複数の無線局の非可視光の発光部を同時に点灯させて、複数の装置の位置を非可視光撮影カメラで同時に取得する。具体的には、二進数で表示されるIDがn個存在する場合は、点灯の回数はlog2n回(小数点第一位を切り上げ)で測定できる。例えば、1000個のIDが存在する場合、すべての無線局の位置を取得するためには、特許文献1の場合では1000回のID送信が必要となる。一方で、本発明ではlog21000=9.96578428であるため、10回の送信で全ての無線局の位置を取得することができる。つまり、無線局数が多数である場合には、本発明のほうが大量の装置の位置を短時間で取得できる。これにより、従来システムより位置追跡精度が向上することとなる。
【0020】
上記構成において、前記IDはm進数(mは整数)により表示され、前記ID属性はm進数の各桁であり、前記無線信号は前記発光部をm進数の各桁ごとに分割して発光させるものであり、前記発光部はm−1種類の波長で発光可能であるようにしてもよい。m=10の場合、前記発光部に9種類の波長それぞれに対応するLEDを設けても良い。また、log101000=3となり、この場合は3回のブロードキャストでIDと座標の関連付けが完了する。
【0021】
前記座標テーブルを前記各無線局に記憶させてあり、前記各無線局は前記基地局からブロードキャストされた座標範囲の信号を受信することにより、前記座標テーブルで自らの座標が前記座標範囲の信号に該当する場合に、前記動作装置を動作させるとよい。また、前記動作装置が可視光の発光装置であってもよい。ブロードキャストされた座標範囲を各無線局は座標テーブルで照合し、それぞれが該当する場合に動作装置を動作させる。座標範囲は、例えば、矩形範囲を動作させる場合は、左上の1点と縦辺・横辺の長さ、円形範囲を同させる場合は、中心座標位置と半径とする等、極めて通信量が少なくて負荷が少なく、多くの無線局を迅速かつ確実に動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記本発明に係る通信制御システムの特徴によれば、少ない通信量で多数の無線局のIDと位置関係をあらかじめ把握することが可能となった。その結果、コンサート会場やイベント会場等、多数の無線局を有する環境下でも、所望範囲に属する無線局を迅速に動作させたり、各無線局の条件充足ボタンの選択を迅速に集計することが可能となった。
【0023】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る基地局、無線局、カメラの関係を示す図である。
図2】本発明に係る各無線局の構成を示すブロック図である。
図3図2の各無線局の要部斜視図である。
図4】本発明に係る各無線局の他の構成を示すブロック図である。
図5図4の各無線局の要部斜視図である。
図6】ラベリング法を用いて重心点を求める手順の説明図であって、(a)は撮影画像、(b)はグループ分割を行い重心点を求めた状態である。
図7】領域法の説明図である。
図8】重心法の説明図である。
図9】座標と各無線局のIDとを対応付ける座標テーブルを作成する手順を示し、(a)は2進数1桁目が1の無線信号をブロードキャストして中間テーブルM1を得る場合、(b)は二進数2桁目が1の無線信号をブロードキャストして中間テーブルM2を得る場合を示す。
図10】可視LEDの点灯手順を示し、(a)は点灯座標図Mcから指示テーブルMtを経て座標信号をブロードキャストする手順、(b)は点灯したLEDをカメラで撮影して指示テーブルMtと照合する手順、(c)は一部が点灯していない場合の代替テーブルの作成手順を示す図である。
図11】アンケート集計の手順を示し、(a)は○(YES)、×(NO)にそれぞれ対応する可視LEDが同時点灯されている状態、(b)は○(YES)のみを集計するために○のIDの赤外線LEDのみを点灯させ、第一集計テーブルMa1を作成して○点灯IDを集計する手順、(c)は×(NO)のみを集計するために×のIDの赤外線LEDのみを点灯させ、第二集計テーブルMa2を作成して×点灯IDを集計する手順を示す。
図12】本発明に係る各無線局のさらに他の構成を示す要部斜視図である。
図13】3次元座標を用いて本発明を実施する場合の基地局、無線局、カメラの関係を示す図である。
図14】2台以上のカメラと表示装置を用いて本発明を実施する場合の基地局、無線局、カメラの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
図1に示すように本発明に係る通信制御システム1は、基地局2と、XYの二次元座標として構成させている座標Cに割り付けられた複数の無線局3と、赤外線カメラ(非可視光撮影カメラ)4とを有している。各無線局3は、後述するようにペンライトとして構成され、各自これを一本ずつ持参するオーディエンスが、座標Cに配置された座席に着席し、各無線局3の座標位置が特定される。赤外線カメラ4は、座標Cの上に配置されて、各無線局3の座標位置を映像から特定することができる。カメラ4の画像は基地局2に送られて、処理される。なお、カメラ4は、XY平面と平行な関係以外の角度をもって、望ましくは、XY平面に対する直交方向に設置されるが、説明の簡略化のため、図1では異なる表記をとっている。
【0026】
基地局2は、処理装置21、送信アンテナ(無線通信信号送信部)22を備えている。処理装置21は中央演算処理装置及びメモリ・アドレスバスと、図示しないメモリ、マウス、キーボード、ディスプレイなどのユーザーインターフェイス(UIF)を備えており、外部からの操作指示が可能であると共に、赤外線カメラ4からの画像をキャプチャーし、メモリに記憶、処理する。また、メモリには、後述する各テーブルを記憶可能であり、処理装置と連携して、これらのテーブルの統合処理を行い、送信アンテナ22から、各無線局3へ指示を送信する。
【0027】
図2,3に示す各無線局3は、ペンライトとして構成され、筐体39の内部に通信モジュール31、赤外線LED(赤外線発光部、非可視光の発光部)32、可視光LED(動作装置)33、受信アンテナ(無線通信受信部)34、処理装置35、メモリ(座標テーブル記憶部)36、バッテリー37を備えている。通信モジュール31は、赤外線LED32、可視光LED33、受信アンテナ34を制御し、それぞれ動作させる。
【0028】
処理装置35は中央演算処理装置及びメモリ・アドレスバスを備えており、メモリ36と協働して通信モジュールからの信号を処理し、再度通信モジュール31を介してLEDを発光、動作させる。また、メモリ36は後述のテーブルを記憶し、受信信号との照合を行う。
【0029】
本実施形態では、赤外線発光部に赤外線LED32を用いているが、他の赤外線発光素子を用いてもよい。また、本実施形態では、動作装置として、可視光LED33を用いているが、これに加え、または、これに換えて、音や振動を発する素子を用いてもよい。
【0030】
図3に示すように、筐体39は棒状を呈し、先端の透明部から上方に向かって赤外線LED32、可視光LED33の赤外線光、可視光をそれぞれ照射可能である。筐体39の下部側面には、スイッチ35aの操作部が設けられ、これを押すことで、可視光LED33が点灯するように構成してもよい。
【0031】
各無線局3は、図4、5に示すように、可視光LEDを異なる色で符号33,38に示すように2種類設け、スイッチもこれら各可視光LED33,38に対応させて、符号35a、35bに示すように、2種類設けてもよい。本改変例では、可視光LED33,38はそれぞれ青、赤のLEDアレイとして構成され、筐体39の側面も半透明でこれらのLEDの発光を外部に照射可能である。
【0032】
本発明では、上記システムを利用して、次の処理がなされる。
1.無線局IDの割り振り
各無線局3に識別用のIDを割り振る。
2.無線局IDと座標情報の対応付け(キャリブレーション処理)
赤外線カメラ4で撮影した各無線局の画像座標と各無線局のIDとを対応付けて座標テーブルを作成する処理である(図6〜9)。
3.可視光LEDの点灯(動作装置の動作)
基地局から信号を送り特定座標の無線局3の可視光LEDを点灯(動作装置を動作させる)させる処理である(図10(a,b))。
4.点灯修正処理
指示通り可視光LEDが点灯しているか否かをチェックし、点灯を修正する処理である(図10(c))。
5.集計処理
スイッチを押して点灯している無線局の座標と点灯状態を調べて集計する処理である(図11)。
【0033】
1.無線局IDの割り振り
無線局のIDに8bitの数値を使用する場合、あらかじめ1から255までのIDを各無線局に登録しておく。このとき、すべての無線局に対して異なるIDを割り振る。すなわち、同じIDを持つ無線局が複数存在しないように、各無線局にIDを割りふる。以下、十進数Aの8bit進数表記をOBaaaaaaaaと表示する。aは0または1である。
【0034】
十進数1に対応する8bit二進数表記は0b00000001である。
十進数100に対応する8bit二進数表記は0b01100100である。
十進数255に対応する8bit二進数表記は0b11111111表記である。
【0035】
ID Aの二進数表記のn桁目をanと記述する。例えばID Aの二進数表記の1桁目はa1である。ID Aが十進数の100であるとき、すなわちA=100であるとき、a1はAの二進数表記0b01100100の1桁目であるので、0である。同様にa2=0,a3=1,a4=0,a5=0,a6=1,a7=1,a8=0である。
【0036】
関数β(A,i)は、ID Aの二進数表記のi桁目の数値を返す関数である。すなわち、β(A,i)=aiである。上記の例では、β(A,1)=a1=0であり、β(A,5)=a5=0である。iがAのビット長を超える場合、もしくはi=0の場合はβ(A,i)=0である。なお、IDのビット長は8bit以外の、正の整数bit長を用いることもできる。例えば1bit、16bit、128bitのビット長でもよい。
【0037】
2.無線局IDと座標情報の対応付け
基地局は、下記の手順で無線局のIDと位置情報を対応付ける。無線局に割りあてたIDの最大のビット長をnとする。IDが8bitの場合、n=8である。無線機に割りあてられたIDをAと表記する。調査を行なうべき座標q1=(X1,Y1),q2=(X2,Y2),....の集合Q={q1,q2,...}を予め決める。各座標qk毎に、nビット長の記憶領域を用意しておく。qkに対応するメモリをM(qk)と記述し、M(qk)の二進数表記のi桁目の数値をM(qk,i)とあらわす。あらかじめ、Qに含まれるすべてのqkに対してM(qk)=0として初期化する。基地局は、あらかじめ各カメラについて、すべての無線局が発光していない画像を撮影しておく。
以下、調査を行なうべき座標の集合Qに含まれるすべての座標について、その座標に存在する無線局のIDのリストM(Q)={(q1,M(q1)),(q2,M(q2)),...}を出力する手順を示す。
【0038】
2a.無発光
基地局は、カメラで無線局の発光状態を撮影する。
2b.変数セット
変数jについて、j=1とする(図6(a))。
2c.変数チェック
もしj>=nであれば、プロセス2kに進む。8bitの場合、n=8である。
2d.ブロードキャスト
基地局は、無線通信信号送信部よりjを、全ての無線局に対して送信する(ブロードキャスト)。
2e.点灯・消灯処理
各無線局は、無線通信により受信したjについて、β(A,j)を求める。β(A,j)=1であれば、赤外線LED32(または/及び可視光LED33)を点灯する。β(A,j)=0であれば消灯する。
【0039】
2f.発光画素取り出し
撮影した画像から、発光している画素のみを取りだす。画素を取りだす方法としては、発光していない画像と撮影した画像の差分画像を計算する方法(背景差分法)、撮影した画像から閾値θ以上の明度をもつ画素のみを取りだす方法(閾値法)がある。
【0040】
2g.画素分割(ラベリング法)
取りだした画素をグループ毎に分割する。各グループをG1,G2,..と表記する。グループGiの重心位置座標をp(Gi)=(xi,yi)と表記する。画素をグループに分割する方法としては、ラベリング法がある。無線局が発する赤外光をカメラで撮影すると、図6(a)に示すように無線局の光1点が、画像中では連結された複数の画素の集合として撮影される。ラベリング法では、図6(b)に示すように、連結状態にある複数の画素の集合をそれぞれの画素のグループに分割し、G1,G2,...のように、各画素のグループにラベルを割り振る。グループG1,G2,...の重心点を計算し、それらをp(G1),p(G2),...とする。
【0041】
2h−1.領域法
グルーブ分割後、領域法を適用する場合は、図7に示すように、カメラで取得した画像を、複数の領域R1,R2,....Rmに分割する。各領域Ri(i=0,...,m)に対して、座標(X,Y)を対応させる。領域Riは、矩形や円形を表す画像上の座標情報として表す方法と、画像上の画素の位置座標の集合として表す方法がある。矩形は、例えば(矩形の左上を表わす画像上のx座標,矩形の左上を表わす画像上のy座標,矩形の幅h,矩形の高さw)で表す。円形は、例えば(円の中心を表わす画像上のx座標、円の中心を表わす画像上のy座標、円の半径r)で表す。画素(ドットまたは、ピクセル)の集合で表す場合、画素giの位置を(xi,yi)と表記するとき(gi=xi,yi)、画素の集合で表わされた領域Riは(g1,g2,...,gn)で表わす。図7では、p(Gi)について、すべての領域R1,R2...についていずれの領域の内側に含まれているかを調べる。p(Gi)が含まれていたRに対応するqkについてM(qk,j)=1とする。今j=3とすると、p(Gi)はR1に含まれているので、R1に対応するq1についてM(q1,3)=1とする。
【0042】
2h−2.重心法
グルーブ分割後、領域法を適用する場合は、図8に示すように、カメラで取得した画像から、重心点Si=(xi,yi,hi)のリストを作成する。xi,yiは画像上の座標(整数値)であり、hiは重み(実数値)である。各Siに対して座標(Xi,Yi)を対応させる。p(Gi)について、すべての点S1,...,Snに対して重みつき距離D(S,p)を計算する。重みつき距離を与える関数Dは、p(Gi)=(xi,yi),Sι=(xι,yι,hι)であるとき、D(Gi,Sι)=hι*((xi−xι)^2+(yi−yι)^2))^(1/2)で与えられる。Giと全てのSιについてD(Gi,Sι)を計算する。このとき、重みつき距離D(Gi,Sι)を最小とするようなSιに対応する座標qk=(Xk,Yk)について、M(qk,j)=1とする。今j=3とすると、Dが最も小さいのは上の図ではS1なので、q1についてM(q1,3)=1とする。
【0043】
2i.カウンター加算
j=j+1とする(図6(b))。図6(a)(b)において点P1は1桁目、2桁目ともに1であり、点灯している。
2j.リターン
プロセス2cに戻る。
【0044】
2k.座標テーブルの獲得
上記のプロセスで得られた各M(qk)を使用して、M(Q)={(q1,M(q1)),(q2,M(q2)),...}を作成して出力する。以上により、各座標に対応する無線局のIDの対応リスト(座標テーブル)が得られる。
【0045】
2l.座標テーブル送信・記憶
以上の処理が終了したら、システム運用者が必要と判断した場合に、以下の処理を行なう。基地局は、対応リスト(座標テーブル)を全ての無線局にブロードキャスト送信する。無線局は、自局のIDと一致するM(qk)をもつデータの組(qk,M(qk))を、受信した対応リスト内から取りだし、qkを自局の座標値として記憶する。もし、このブロードキャスト送信により、対応表に含まれないIDをもつ無線局が存在した場合は、その無線局の座標(X,Y)は(NULL,NULL)に設定する。NULLは「値を持たない」ことを意味する。
【0046】
2m.位置精度の向上
位置測位精度を向上させるため、上記2a−2kまでのプロセスを複数回行なう方法がある。上記プロセスを複数回行うと、プロセス2kにおいてAというIDをもつ無線局に対して、複数の座標q1,q2,...が割り当てられることがある。この方法を用いる場合、各無線局はプロセス2lでqkを座標値として記憶するときに、座標値qkを自局の座標値として記憶した回数tkも同時に記憶する。たとえば、座標値(1,2)が2回、(2,2)が10回、(2,1)が3回記憶された場合は、<(1,2),2>,<(2,2),10>,<(2.1),3>のように、座標値と記憶回数の組を記憶する。
この無線局Aの座標は、プロセス2lで記憶した回数がもっとも多い組の座標を、Aの座標値として使用する。上記の例では(2,2)が最も多くの回数(10回)記憶されたので、(2,2)をAの座標値として使用する。基地局が「座標値と記憶回数の組」の記録をリセットする信号を送信し、無線局がその信号を受信すると、その無線局のもつ座標の記憶回数を0に初期化する。
【0047】
3.可視光LEDの点灯(動作装置の動作)
次に、図10を参照しながら基地局から信号を送り特定座標の無線局3の可視光LEDを点灯(動作装置を動作させる)させる処理について説明する。まず、図10(a)に示すように、可視LEDの点灯範囲を入力する。まず、基地局のUIFを利用して、画像データとしての点灯マップMcを作成する。基地局2の処理装置21は、この点灯マップMcから、点灯すべき座標を列挙した点灯テーブルMtを作成し、その情報を送信アンテナ22で各無線局にブロードキャストする。
各無線局3のアンテナ34はブロードキャストされた情報を受信し、点灯テーブルMtの点灯座標データと先の座標テーブルM0とを照合する。この結果、自己の点灯座標データで照合されたIDに自己のIDが含まれると判断すれば、赤外線LED32と可視光LED33とを点灯させる。各無線局3の同動作の集積により、赤外線LED32と可視光LED33とが、図10(b)の如く点灯する。
【0048】
4.点灯修正処理
指示通り可視光LEDが点灯しているか否かをチェックし、点灯を修正する処理においては、赤外線カメラ4で赤外線LED32の点灯状況を撮影し、図10(c)に示すようにこれを基地局2の処理装置21で座標抽出し、先の点灯テーブルMtと照合する。点灯テーブルMtの点灯指示座標とこの座長抽出したデータとが一致しない場合は、再度点灯テーブルMtを送信し、さらに点灯していない部分については、無線局が一部欠落していると判断する。無線局の対応付けが欠落している場合(無線局qの座標値が(NULL,NULL)に設定されている場合)は、再度無線局のIDと位置情報を対応付ける手順を行なうことができる。
【0049】
なお、上記と異なり、点灯テーブルMtは、基地局2において、点灯すべき座標と座標テーブルM0とを照合して、点灯すべき無線局IDを列挙したものとして構成してもよい。この点灯テーブルMtを基地局2のアンテナ22から無線局にブロードキャストし、各無線局3において点灯テーブルMtのIDが自己のIDと一致すれば、赤外線LED32と可視光LED33とを点灯させればよい。
【0050】
5.集計処理
スイッチを押して点灯している無線局の座標と点灯状態を調べて集計する手順について説明する。同手順では、先の図4,5に示す可視光LED33,38及びスイッチを2種類設けた無線局3を用いている。図11(a)は○(YES、信号A)、×(NO、信号B)にそれぞれ対応する可視LEDが同時点灯されている状態である。ステージ等で、問題を出し、それに対してスイッチ35a,35bのいずれかを押した後の状態である。処理装置35は、各スイッチ35a,35bがいったん押されると、リセット信号を受信するまで、各スイッチ35a,35bのいずれが押されたかの状態を保持する。
【0051】
図11(b)は○(YES)のみを集計するために○のIDの赤外線LEDのみを点灯させ、第一集計テーブルMa1を作成して○点灯IDを集計する手順である。基地局2は、アンテナ22よりYESの信号Aを各無線局3にブロードキャストする。各無線局は、YESスイッチ35aの押されたもののみ、この信号Aを受信した後、第一リセット信号が送信されるまで、赤外線LED32を点灯させる。この状態でカメラ4により撮影を行い、画像よりYESの光った座標を抽出し、YES点灯テーブルMaを作成する。このYES点灯テーブルMaと座標テーブルM0とを照合し、YESの押された無線局3のIDを特定する。
【0052】
図11(c)は、×(NO)のみを集計するために×のIDの赤外線LEDのみを点灯させ、第二集計テーブルMa2を作成して×点灯IDを集計する手順を示す。NOスイッチ35bの押されたもののみ、B信号をブロードキャストし、NO点灯テーブルMbを作成する。他の手順は上記11(b)に準じ、NOの押された無線局3のIDを特定する。
【0053】
最後に他の実施形態の可能性について言及する。なお、以下の実施形態において、上記実施形態と同様の部材等には同一の符号を付してある。
【0054】
装置の改良について
図4,5において、基地局2は、アンテナ22より第一スイッチ35aを押した際の信号A1を各無線局3にブロードキャストする。各無線局は、第一スイッチ35aの押されたもののみ、この信号A1を受信した後、第一リセット信号が送信されるまで、赤外線LED32を点灯させる。この状態でカメラ4により撮影を行い、画像よりYESの光った座標を抽出し、第一スイッチ35a点灯テーブルMa1を作成する。この第一スイッチ35a点灯テーブルMa1と座標テーブルM0とを照合し、第一スイッチ35aの押された無線局3のIDを特定する。第二スイッチ35bのボタンを押した各無線局についても、同様にIDの特定処理を行なう。この処理により、ペンライトが複数のスイッチを持つ場合でも、いずれのスイッチを押したかを区別することができる。
【0055】
図12に示すように、ユーザが選択した選択肢Tを表示する、表示装置40を具備するペンライトを使用してもよい。表示装置40としては、選択肢Tの個数に対応する個数の単色のLED、7セグメントLED、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに類する表示装置を使用することができる。
【0056】
波長が異なる、複数の赤外線発光部をペンライトが持ち、波長の異なる赤外線を撮影できる複数のカメラを使用することで、ユーザが複数の選択肢T1,T2,...の中から選択した選択肢Tを特定してもよい。異なるn種類の波長を使用する場合、区別できる選択肢の数は2のn乗個となる。ペンライトは、2のn乗個までの選択肢を選択可能なスイッチを具備する。たとえば、波長が840nm,880nm,900nmの3種類である場合、区別可能な選択肢の個数は2の3乗個(8個)である。3種類の波長を使用する形態の場合、ユーザはペンライトのスイッチを使用して、選択肢0−7からひとつの選択肢Tを選ぶ。あらかじめ、Tと各波長のLEDとの対応テーブルを作成しておく。テーブルは、たとえば数値Tに対応した二進数表記の各桁を各波長のLEDに割りあてる方法がある。たとえば、次のテーブルを使用する。
【0057】
【表1】
【0058】
信号Aを受信した時に、選択肢テーブル中で1に対応する波長のLEDを点灯する。たとえば、選択肢6を選択したユーザのペンライトでは、波長840nm,880nmの二つのLEDを点灯させ、900nmのLEDは消灯する。各カメラでLEDの点灯状態を撮影し、それぞれについて座標テーブルM0と照合を行う。
【0059】
赤外線発光部、LED発光部、無線局を、腕時計、衣服、帽子、髪飾り、ヘッドバンド、グローブ、ヘッドフォン、靴、小手、脛当て、眼鏡、携帯電話、体に装着できる衣服や機器、装置に類するものに取り付けても良い。
【0060】
赤外線発光部の代わりに、紫外線を発光するLED、または照明器具と紫外線を撮影可能なカメラを使用してもよい。複数の波長を使用する場合に、赤外線だけではなく、可視光、紫外線の領域の光線を組み合わせて使用してもよい。この場合、対応する波長を撮影できるカメラを、使用する波長の数だけ使用する。
【0061】
なお、本明細書において、非可視光撮影カメラは次の赤外線、紫外線の領域を撮影できるカメラをいい、非可視光発光部は次の赤外線、紫外線の領域の光を発することのできる発光素子をいうものとする。
赤外線: 波長 750nm−2500nm
可視光線: 波長 380nm−750nm
紫外線: 波長 280nm−380nm
【0062】
上記実施形態において、座標Cは二次元としたが、図12に示す3次元座標Cを用いてもよく、さらに、高次元の座標を用いることも可能である。
【0063】
図14に示すように、複数のカメラ4a,4b,...と、指向性を持つ赤外線LEDと単一のスイッチSを持つ無線局3a,3b(ペンライト)を使用し、ペンライトの使用者が複数の選択肢T1,T2,...のうちのをひとつの選択肢Tを選択したことを判定してもよい。
【0064】
基地局2は、アンテナ22より判定用の信号ASを各無線局3にブロードキャストする。各無線局を使用するユーザーは、スイッチSを押しながら、ユーザーが選択したい選択肢Tに対応したカメラにペンライトの赤外線LED(赤外線発光部)を向ける。たとえば、カメラに付属した表示装置41,42(ディスプレイ)に選択肢に対応する文字列、またはイメージを表示し、それをユーザが見てカメラを選択する。
【0065】
各カメラ4a,4b,...は選択肢T1,T2,...に対応しているものとする。各無線局は、この信号ASを受信した後、第一リセット信号が送信されるまで、赤外線LED32を点灯させる。この状態でカメラ4a,4b,...により撮影を行い、画像より赤外線発光部の光った座標を抽出する。そして、カメラ4aについてはS1点灯テーブルMs1を作成し、カメラ4bについては点灯テーブルMs2を作成する。同様4iに対して点灯テーブルMsiを作成する。この、各点灯テーブルMs1,Ms2,...と座標テーブルM01、M02とを照合することで、選択肢T1,T2,..を選択した無線局3のIDを特定する。
【0066】
2.無線局IDと座標情報の対応付け(キャリブレーション処理)
キャリブレーション処理の過程において、無線局に割りあてたIDをそのまま使用するのではなく、IDを二進数表記した数値の末尾にパリティチェックコードPを追加した数値をIDの代わりとして使用してもよい。Pは、IDが偶数であるときは0、IDが奇数であるときは1とする。たとえば、IDの十進数表記13であるときは、Pは1である。13の二進数表記は1101であるので、IDの末尾にPを追加した数値は11011となる。この数値を、無線局のIDの代わりに用いてキャリブレーション処理を行なう。
【0067】
基地局では、最後のビットPを使用して、受信したIDにエラーが発生しているかどうかをチェックする。たとえば、受信したIDの二進数表記が11010であった場合は、末尾ビットPが0であるのに対して、末尾ビットを除いた数値1101が奇数であることから、通信エラーが発生していると判断できる。基地局では、エラーが発生したIDについて、エラーが発生したことを示すエラーマークを付与し、キャリブレーション終了時にエラーマークの付いたIDの数を計測する。基地局の管理者は、エラー発生数を把握することで、再度キャリブレーションを行なうかどうかを検討することができる。なお、上記の過程で、パリティチェックコードではなく、CRC(既存技術)を使用して通信エラーのチェックを行なってもよい。
【0068】
上記の過程で、無線局のIDに対して線形符号化処理(既存技術)を行なって得られた符号を、IDの代わりに使用してもよい。この場合、無線局は線形符号化を行なう符号化部を具備し、基地局は符号を復号する復号部を具備する。
【0069】
符号としてパリティ検査符号(既存技術)を使用してもよい。基地局が復号の過程でパリティ検査に失敗した場合、失敗したIDについてエラーマークを付与する。
【0070】
上記の過程で、パリティ検査符号のビット長を、基地局がブロードキャストによって全無線局に通知し、各無線局は受信した長さのパリティ検査符号を使用して無線局のID符号化した符号を、無線局のIDの代わりに使用してもよい。この場合、通信エラーの発生状況によって検査符号を増減させることで、通信エラーの発生を大きく抑制することができる。
【0071】
3.可視光LEDの点灯(動作装置の動作)
座標テーブルM0を予め作成することなく、YESを選択したユーザの数を、カメラで撮影した映像から数えることも可能である。この形態の場合、YESを選択したユーザのIDは特定できない。
座標テーブルM0を予め作成することなく、YESを選択したユーザのもつ無線局のIDを、カメラで撮影した映像を使用して認識してもよい。但し、IDと座標の関連付けはできず、IDの信号処理に時間と負荷を要する点が上記実施例と異なる。YESの信号Aを送信する代わりに、YESを選択した無線局についてのみ、キャリブレーション処理を行なう。前述のキャリブレーション処理を行なう過程において、YESを選択した無線局のみが赤外線LEDを点灯させる。YES以外の無線局は、キャリブレーション処理中においても赤外線発光部を点灯させない。この方法で作成された座標テーブルMtが含むペンライトのIDは、すなわちYESを選択したペンライトのIDと等しい。以上の方法により、YESを選択したペンライトのIDのリストを取得できる。
【0072】
5.集計処理
NOを選択したユーザを、すべての無線局のIDから、YESを選択しなかったユーザの無線局のIDを除くことで、特定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、コンサートやイベント等、無線局の数が極めて多い環境における通信制御に活用が可能である。例えば、例えばコンサートのペンライト等のIDと座標を符合させ、プロードキャストにより、所望の位置のペンライト等を光らせたり、いずれかのボタンを押しているペンライトのIDと選択ボタンを符合させ、アンケート等を取ることができる。特に、人数の多い大規模なイベント等で、これらの操作を迅速に行うことが可能である。ペンライトの代わりに、他の動作装置を動作させる無線局を用いることもできる。
【符号の説明】
【0074】
1:通信制御システム、2:基地局、3:複数の無線局(ペンライト)、4:非可視光撮影カメラ(赤外線カメラ)、21:処理装置、22:送信アンテナ(無線通信信号送信部)、31:通信モジュール、32:非可視光LED(赤外線発光部、非可視光発光部)、33:可視光LED(動作装置)、34:受信アンテナ(無線通信受信部)、35:処理装置、35a、b:スイッチ、36:メモリ(座標テーブル記憶部)、37:バッテリー、38:可視光LED(動作装置)、39:筐体、40:表示装置(動作装置)、41:表示装置、42:表示装置、C:座標、M0:座標テーブル、Mt:点灯テーブル、Mc:点灯マップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14