特許第6440344号(P6440344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6440344流体制御システム及び流体駆動のアクチュエータを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440344
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】流体制御システム及び流体駆動のアクチュエータを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/36 20060101AFI20181210BHJP
   F15B 13/043 20060101ALI20181210BHJP
   G05D 16/20 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   G05B11/36 N
   F15B13/043 G
   G05D16/20 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-555075(P2012-555075)
(86)(22)【出願日】2011年2月22日
(65)【公表番号】特表2013-527511(P2013-527511A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011025666
(87)【国際公開番号】WO2011103547
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2014年2月17日
【審判番号】不服2016-4220(P2016-4220/J1)
【審判請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】12/710,039
(32)【優先日】2010年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】アルストリン ケビン エリック
(72)【発明者】
【氏名】ローアー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ロブ バート ダブリュ.
【合議体】
【審判長】 平岩 正一
【審判官】 西村 泰英
【審判官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−217818(JP,A)
【文献】 特表平9−512650(JP,A)
【文献】 特表2010−532064(JP,A)
【文献】 米国特許第6901315(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体アクチュエータの動きを制御するための制御アルゴリズムを有する流体制御システムであって、
前記流体アクチュエータに対して加圧流体の流れを制御するための制御弁と、
前記制御弁に取付けられたハウジング内に含まれ、制御アルゴリズムを含むマイクロプロセッサと、
前記制御弁に接続され、かつ、位置信号を発生する弁位置センサと、
前記マイクロプロセッサとは別体の監視コンロトーラと、
前記マイクロプロセッサ及び前記監視コントローラに接続されるグローバル通信バスと、
を含み、
前記マイクロプロセッサは、前記監視コントローラから前記グローバル通信バスを介して前記制御アルゴリズムの開始を指令する「スタートプロファイル」ビットを受信し、
前記監視コントローラは、前記制御弁の操作、または、前記弁位置センサもしくは前記加圧流体の監視を行うことなく、前記マイクロプロセッサから前記グローバル通信バスを介して欠陥状況を通知する欠陥フラグを受信することにより前記マイクロプロセッサの動作状態を監視し、
前記マイクロプロセッサは、前記監視コントローラから受信した「スタートプロファイル」ビットに応じて、前記流体アクチュエータを移動させるために前記流体アクチュエータに加圧流体が入るのを可能にさせるように、前記制御弁を動かすために前記制御弁に前記ハウジング内の接続ラインを介して送信される少なくとも1つの制御弁指令信号を発生させ、これにより、前記弁位置センサが、前記マイクロプロセッサによって実行される閉ループの前記制御アルゴリズムに使用するために、前記監視コントローラではなく、前記マイクロプロセッサに、変化した位置信号を送信することを特徴とする流体制御システム。
【請求項2】
さらに、少なくとも1つの外部センサとアナログをデジタルに変換するAD変換器を含み、該AD変換器は、前記少なくとも1つの外部センサと前記マイクロプロセッサに接続され、前記AD変換器は、該AD変換器が接続される前記外部センサのうちの少なくとも1つから信号を受信することを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項3】
さらに、SSIデバイスを含み、該SSIデバイスは、外部センサと前記マイクロプロセッサとの間に接続されることを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項4】
前記マイクロプロセッサは、アプリケーション制御アルゴリズム及びシーケンスロジック部を有することを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項5】
少なくとも1つのスレーブアクチュエータをさらに含み、前記マイクロプロセッサは、監視コントローラおよび前記少なくとも1つのスレーブアクチュエータと通信するためのネットワークバスインターフェースをさらに含み、前記少なくとも1つのスレーブアクチュエータは、前記マイクロプロセッサから前記ネットワークバスインターフェースを介して指令を受信することを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項6】
作動流体は、油液であることを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項7】
さらに、ローカル通信バスを含み、該ローカル通信バスは、前記マイクロプロセッサ及び少なくとも1つの外部センサに接続されることを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項8】
少なくとも1つのスレーブアクチュエータをさらに含み、該スレーブアクチュエータは、前記マイクロプロセッサに接続された少なくとも1つのセンサと、前記スレーブアクチュエータへの加圧流体の流れを制御するための少なくとも1つのスレーブ制御弁とを有しており、前記スレーブ制御弁は、前記マイクロプロセッサによって制御されることを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサは、コントローラの構成要素であり、該コントローラは、前記流体アクチュエータの動作を制御し、かつ前記弁位置センサから信号を受信し、
前記制御弁は、前記流体アクチュエータに流体連結され、
前記監視コントローラは、前記コントローラと通信して前記コントローラの動作状態を監視するとともに、前記コントローラに「スタートプロファイル」ビットを選択的に送信する、ことを特徴とする請求項1記載の流体制御システム。
【請求項10】
流体駆動のアクチュエータを制御するための方法であって、
前記流体駆動のアクチュエータに油圧接続される制御弁を設け、
プログラム可能なマイクロプロセッサを含み、制御アルゴリズムがプログラムされ、前記制御弁に電気接続されるコントローラを、前記制御弁に取付けられたハウジング内に設け、
前記制御弁に、位置信号を発生して前記コントローラに送信する弁位置センサを設け、
監視コントローラ、及び、前記コントローラと前記監視コントローラとの間の通信用のグローバルバスを設け、
前記監視コントローラは、前記マイクロプロセッサに前記制御アルゴリズムの実行開始を指令する「スタートプロファイル」ビットを発生してそれを前記コントローラに前記グローバルバスを介して選択的に送信し、
前記監視コントローラは、前記流体駆動のアクチュエータまたは前記流体駆動のアクチュエータ内の流体を継続的に監視することなく、前記マイクロプロセッサから前記制御アルゴリズムの実行完了を通知する「プロファイルコンプリート」ビットまたは欠陥状況を通知する欠陥フラグを前記グローバルバスを介して受信することにより前記マイクロプロセッサの動作状態を監視し、
前記コントローラは、前記監視コントローラから前記グローバルバスを介して受信した「スタートプロファイル」ビットに応じて、前記制御弁に該制御弁を移動させる制御弁指令信号を前記ハウジング内の接続ラインを介して送信し、前記制御弁の移動によって前記流体駆動のアクチュエータに加圧流体が入ることが可能となるとともに、前記流体駆動アクチュエータが移動し、さらに、前記制御弁の移動によって、前記弁位置センサが、前記コントローラによって実行される閉ループの前記制御アルゴリズムに使用するために、前記監視コントローラではなく、前記コントローラに、変化した位置信号を送信する、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
さらに、アクチュエータセンサを設け、
該アクチュエータセンサは、前記流体駆動のアクチュエータに接続され、かつ前記コントローラに電気接続されており、前記コントローラは、前記アクチュエータセンサの出力を制御するために前記制御弁に信号を発生させることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラと、少なくとも1つのスレーブアクチュエータとの間に通信用のローカルバスをさらに設けることを特徴とする請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単一搭載型のユーザプログラマブルマイクロプロセッサから指令信号に従って、1つまたはそれ以上の油圧アクチュエータの性能を調整する分散型制御アーキテクチャを実行するための油圧アクチュエータの制御装置。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータを制御するための装置は、特許文献1に開示されている。この特許文献1には、位置コントローラに供給される電気信号を用いて、弁ピストンの位置を示す変位センサが開示されている。弁ピストンの位置を制御するためのコントローラは、弁のハウジングに取り付けられたそれ自体のハウジング内に配置されている。このコントローラは、電気可変入力としてコントローラに供給される位置設定点に、弁ピストンが追従することを確実にする。この場合、弁ピストンの位置は、油圧シリンダ等のアクチュエータを前後に移動して流量を制御するために弁の通路断面積の大きさを決定する。
【0003】
コックマン(Kockemann)による特許文献2は、油圧アクチュエータを制御するためのコントローラ装置を開示しており、この油圧アクチュエータは、3つの分離したコントローラによって発生した信号に応答して、アクチュエータ内の圧力媒体の流れを制御する電気作動の油圧制御弁を含んでいる。
第1のコントローラは、制御弁内のピストンの位置を調整する。第2のコントローラは、(油圧シリンダ等の)アクチュエータの動きを指令する。第3のコントローラは、制御弁に取り付けられる共通のハウジング内に配置される。第1、第2のコントローラは、コントローラ装置の製造者によって予めプログラムされている。この装置において、第3のコントローラのみが、ユーザによって自由にプログラムすることができる。
【0004】
この従来の装置は、油圧アクチュエータを制御するための状態フィードバック制御アルゴリズムを用いて、ユーザが第2のコントローラをプログラムすることはできない。また、この従来の装置では、開示されかつクレームアップされた、この装置におけるユーザがプログラムした状態フィードバック制御アルゴリズムを用いて、複数のスレーブアクチュエータを制御する能力がない。また、この従来の装置において、多種類の外部センサまたはスレーブ弁等の複数の装置から入力を受入れかつ処理するための能力がない。また、この従来の装置において、全てのコントローラは、単一のマイクロプロセッサに統合されるというよりも分離したマイクロプロセッサまたは電気回路から構成される。
【0005】
従来の制御アーキテクチャは、以後、集中管理式アーキテクチャと呼び、全ての油圧軸の動きを調整する責任を負う単一PLCからなる。これは、単一機械のPLCに送られる全てのセンサ信号にとって必要なことである。また、これは、全ての油圧軸に対するいくつかの状態フィードバック、閉ループ制御アルゴリズムを同時に実行するのに必要である。単一機械のPLCは、各油圧制御弁に指令または操作を送る。従来の集中管理式アーキテクチャの欠点は、機械全体にわたって配線ケーブルにコストが掛かり、また、PLCパネルにおける配線が複雑になることである。さらに、費用が高いPLCは、全ての油圧軸を同時に調整し、かつ油圧軸の要求された動的性能を達成するために、いくつかの状態フィードバック制御アルゴリズムを十分な制御速度で実行することが必要とされる。
【0006】
また、従来技術において、集中管理式アーキテクチャへの改良として、全てのセンサ及び制御弁をPLCにアナログ接続することが、いくつかの従来技術の設備において、フィールドバスまたはネットワークに置き換えられてきた。この設備は、リングトポロジーの形式で、いくつかのノードをPLCに接続することができるため、ケーブル配線の費用及び配線の複雑化を軽減できる。ノードとPLCとの間のデジタル通信を有する集中管理アーキテクチャのこの変化の欠点は、制御のアップデート率がフィールドバスまたはネットワークのバンド幅によって制限される。全てのノードが、これらのフィードバック値を8ビットまたは16ビットのワード形式で継続して送信する必要があり、かつPLCが、制御値を8ビットまたは16ビットのワード形式で継続して送信する必要があることを考慮すると、情報が送信される速度は、フィールドバスまたはネットワークの一定のバンド幅によって制限されることを意味する。この結果は、油圧軸の性能が、中央コントローラから受け入れた操作の待ち時間に苦しむことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ国登録特許第19530935号
【特許文献2】米国特許第6901315号明細書
【発明の概要】
【0008】
これらの問題の解決法は、この出願に開示された形式の「分散型制御アーキテクチャ」を用いることであり、ここで、各油圧軸に対する状態フィードバック制御アルゴリズムによって、特定軸を制御する油圧弁を局所的に実行する。この「分散型制御アーキテクチャ」の利点は、複数のセンサが関連する油圧制御弁に直接接続されることであり、かつフィールドバスまたはネットワークの有効なバンド幅を必要としないことである。
さらに、油圧制御弁は、ネットワークまたはフィールドバス上を移動するデータをより減少させる集中PLCから指令を受け入れることを必要とするよりも局所的に弁自体の指令軌跡を生じさせることができる。状態フィードバック制御アルゴリズムは、油圧コントローラまたは制御装置10のマイクロプロセッサ上に組み込まれるので、制御指令をより早い速度で実行することができ、これにより、上記油圧軸の動的性能をかなり改善することができる。最後に、集中PLCは、複雑さを低減し、かつより低いコストでユニットの使用を可能にして、かなり単純化する責任を負っている。新しい中央コンピュータは、各油圧軸の動きを調整する監視PLCとなるが、各油圧軸を継続してモニターしかつ操作する必要はない。
【0009】
代わりに、監視PLCは、「スタートプロファイル(Start Profile)」ビットを分散型コントローラに伝送する。分散型コントローラは、この「スタートプロファイル」ビットを受け取り、このプロファイルを実行して「プロファイルコンプリート(Profile Complete)」ビットを用いて応答する。新しい監視PLCは、各分散型コントローラの状態及び欠陥状態を監視し、そして、いくつかの分散型コントローラが欠陥フラグを立てた場合、適当な措置を講じる。分散型制御アーキテクチャにおけるネットワークまたはフィールドバスの通信トラフィックは、デジタルセンサワード及びデジタル操作ワードの連続する送信から状態及び欠陥ビットの周期的送信に縮小される。
【0010】
さらに、典型的な油圧制御システムは、ユーザによってプログラムされるマイクロプロセッサベースの制御アルゴリズムを可能にしており、製造業者だけによるものではない。これにより、プログラムのより柔軟性を可能にし、かつ、ユーザの知的所有権を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、油圧アクチュエータに接続された模範的な流体制御装置の概略図である。
図2図2は、制御回路基板内の複数のモジュールの配置と種々の入力及び出力を示す概略図である。
図3図3は、一連のスレーブアクチュエータに接続された典型的な流体制御装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に従う考察と、図面において開示されたシステム及び方法への事例的なアプローチが詳細に示されている。図面は、いくつかの可能なアプローチを示すが、これらの図面は、寸法及び特徴について、本発明の開示をより明確に説明するため誇張され、取り除かれ、部分的に区分されている。
さらに、ここに開示する記述は、包括的であり、さもなくば、図面に示された正確な形状及び構成は、請求項の記載を制限することを意図するものではなく、以下に詳細な記述によって開示される。
【0013】
さらに、多数の定数が、以下の考察において紹介される。いくつかの場合において、定数の実例値が与えられる。他の場合には、特定の値は与えられない。この定数の値は、関連するハードウエアの特性及び開示システムに関連する作動条件及び環境条件と共に互いの特徴による相互関係によって決まる。
【0014】
図1は、油圧アクチュエータ12を制御するための制御弁または装置10の概略図を示す。ハウジング14は、油圧制御弁16に取り付けられる。制御弁16は、油液等の作動流体の流れを制御する。油液は、ポンプ18で加圧され、制御弁16を通って最終的に油圧アクチュエータ12に供給され、さらに、アクチュエータ12から戻りタンク20に戻る。
【0015】
典型的な実施形態では、アクチュエータ12は、図1,2,3に示された油圧シリンダであり、これは、両頭式シリンダとして説明されているが、適切な他のアクチュエータとすることもできる。たとえば、アクチュエータ12は、差動シリンダまたは油圧モータとすることができる。油圧ホースまたは油圧管は、制御弁16からアクチュエータ12に接続され、ポンプ18に接続されるポンプ接続具Pと、制御弁からタンク20への接続具Tとによって設計されている。また、A及びBは、制御弁から両頭シリンダのアクチュエータ12へ油圧ホースまたは油圧管の接続を示す。シャトル弁またはスプール弁(図示略)または他の形式の弁装置の位置xを測定するための変位センサ28が、制御弁16に含まれている。変位センサ28は、制御回路基板26に接続され、この基板26は、弁ピストンの位置xを電気信号xiに変換し、コントローラ11内において処理され、スプール位置の実測値の処理された位置として供給される。ソフトウエアは、入力及び出力のインターフェースとともにマイクロプロセッサ32内で機能し、また、コントローラ11の他の特徴が、図2に関して詳細に考察される。
【0016】
再び図1を参照すると、典型的な制御装置10が油圧アクチュエータ12に油圧で接続された概略図が示されている。コントローラ11を含むハウジング14は、油圧制御弁16に取り付けられる。制御弁16は、加圧された油液又は圧力ポンプ18から圧力ラインPを介して油圧アクチュエータ12に流れ、そして、タンクラインTを介して保持タンク20に戻る作動流体の流れを制御する。
【0017】
図1において、油圧アクチュエータ12は、複式の油圧アクチュエータとして示され、このアクチュエータは、出力軸を有し、この出力軸22に接続されるピストン24のいずれか一方に作用する加圧流体によって、出力軸22が一方向および他方向に駆動される。内部的には、制御弁16は、少なくとも1つの高速の電磁式アクチュエータ(図示略)を含み、このアクチュエータは、制御弁16内でスプールを位置決めるため、コントローラ11から信号を受け入れて反応する。制御弁16は、第1スプール弁が第2スプール弁等に供給する加圧油圧流体の流れを制御するために使用される段階的スプール弁を用いることができ、第1段階では、図1において、シリンダーアクチュエータ12として示すシリンダまたはモータ等のアクチュエータに加圧された油液の流れを制御する。
【0018】
さらに図1を参照すると、両頭シリンダ12を制御するために図1に図示されたコントローラ11のブロック回路図が示されている。コントローラ11には、制御弁の位置xとその結果のアクチュエータ12のピストンの位置を制御するため、実測値として変位センサ28からの出力信号xiが供給され、さらに、コントローラへの入力信号として、アクチュエータ12からの位置信号または圧力信号を伴う、セット点信号xsが供給され、アクチュエータ12の性能を制御するための閉ループの制御システムが提供される。
【0019】
コントローラ11の出力段階は、制御弁16に内蔵される電磁アクチュエータの複数のコイルにより電流ia及びibが供給される。これらの電流は、スプールを位置決めるのに役立ち、アクチュエータピストン24を移動させ、信号xsによって定められた位置をとるように、流体ラインA及びBを介してアクチュエータ12に供給される加圧油液または他の加圧流体の流れを制御する。その結果、アクチュエータピストン24またはピストンロッド22の位置の実測値が、できるだけ早く所望のセット点に従うことになる。
重要なことは、コントローラ11は、マイクロチップまたはマイクロプロセッサ32に基づいて、望むならば、製造業者によってプログラムすることができるコネクタ48またはグローバルバスシステム34を介してユーザによって自由にプログラム可能となる。
【0020】
制御弁16両頭シリンダ12の間の流体接続部A及びBは、共通に用いられる油圧接続ライン及び取付具を介して接続される。両頭シリンダ12のピストンロッド22は、変位センサ23を備え、ピストンロッド22の位置を電気信号siCpに変換する。この信号siCpは、位置の実測値として、コントローラ11に、さらに、マイクロプロセッサ32に供給される。信号xiCpと区別することによって、両頭シリンダーアクチュエータ12のピストンロッド22の実際の速度値は、必要とするならば、速度制御として得ることができる。制御弁16と一体の圧力センサ25は、インターフェースラインP及びTのみならず、ワークポートラインA及びBにおける圧力を測定し、さらに、コントローラ11に信号Pa、Pb、Ps、Ptを供給する。
【0021】
さらに、信号Pa、Pb、Ps、Ptに加えて、コントローラ11に位置センサ28から弁ピストンの位置の実測値xiが供給される。信号Pa、Pb間の重み付けされた圧力差から、両頭シリンダーアクチュエータ12のピストンロッド22に作用する力の尺度である実際の圧力値piが計算される。インターフェース圧力Ps、Ptは、ポート圧力Pa、Pbおよび弁ピストン位置xiと関連付けて用いられ、シリンダーアクチュエータ12に流入または流出する流量を計算する。
【0022】
コントローラ11は、単一のマイクロプロセッサ32として構成され、閉ループデジタル制御システムの一部分である。それゆえ、マイクロプロセッサ32は、シリンダーアクチュエータ12に供給される流体圧力を究極的に制御するために、圧力または流量制御のアルゴリズムを処理し、さらに加えて、シリンダーアクチュエータ12のピストンロッド22の位置制御のためのアルゴリズムを処理することができる。
【0023】
上述した位置制御の代わりに、速度制御、力制御、または圧力制御が、デジタルコントローラ11によって実行することができる。この装置は、単一のマイクロプロセッサ32に直接、それら自体の状態フィードバック制御アルゴリズム、シーケンスロジック、及び指令プロファイルをプログラムするためにエンドユーザ用のプラットフォームを備えている。選択的に、この制御ソフトウエアは、製造業者によってプログラムすることができる。さらに、上述した位置制御に加えて、ユーザに考えられる他の制御アプリケーションは、コントローラ11内に制限することなくプログラムされる。
【0024】
・pQポンプ制御
・pQシリンダ制御
・負荷感知ポンプ制御
・単一軸制御
・圧力及び温度が補償された流量制御
・圧力制御
・同軸制御(マスター/スレーブ)
・2つのスプールメータイン/メータアウト制御(マスター/スレーブ)
・パラレル流量制御
・安全シャットオフの制御
・予知及び診断(関連した弁及び機械)
【0025】
コントローラ11は、マイクロプロセッサ32の回りに集中し、NCおよび/またはPLC機能を有する自由にプログラム可能なシーケンスコントローラである。この場合、NCは、数値制御用の機械制御システムに用いられることを指し、PLCは、プログラマブルロジックコントローラ用に用いられることを指す。また、マイクロプロセッサ32は、自由にプログラム可能な状態フィードバック制御アルゴリズム用のプラットフォームを与える。マイクロプロセッサ32のプログラムは、外部からユーザの知的所有権を保護するためにユーザによって実行される。機械上の油圧軸を制御するために油圧値を用いる多くのOEMメーカーでは、油圧軸制御の分野における彼らの知的所有権を保護することを望む。彼らは、油圧軸の制御が、他の機械製造業者に対して、主たる資産及び競争上の優位性になると考える。ここに要求された制装置10は、彼ら自身の制御ロジック、状態指令プロファイル、及び状態フィードバックアルゴリズムをプログラムする、エンドユーザのためのプラットフォームを提供する
【0026】
自由にプログラム可能なプラットフォームを提供することに加えて、ここで要求する油圧制御システムは、多軸制御用の「分散型制御アーキテクチャ」とすることができる。一般的な機械において、同期に制御されることが必要ないくつかの油圧軸がある。
以後、「中央化制御アーキテクチャ」と呼ぶ技術制御アーキテクチャの現在の状況は、全油圧軸の動きを調整する責任がある単一のPLCから構成される。これは、単一機械のPLCにつながる全てのセンサ信号が必要となる。また、これは、単一のPLCが、全ての油圧軸のための、いくつかの状態フィードバック、閉ループ制御アルゴリズムを同時に実行する必要がある。単一機械のPLCは、各油圧制御弁に指令または操作を送る。
【0027】
中央化制御アーキテクチュアの欠点は、機械全体にわたりケーブルをつなぐこと、及びPLCパネルにおける配線の複雑化のためにかなりの費用がかかることである。
さらに、コスト的には、ハイエンドのPLCは、全ての油圧軸を同時に調整することが必要であり、また、各油圧軸の必要な動的性能を達成するために、十分な制御速度で、いくつかの状態フィードバック制御アルゴリズムを実行することが必要である。
【0028】
「中央化制御アーキテクチャ」への改善として、PLCに備える全てのセンサ及び制御弁のアナログ的な連結が、いくつかの据付におけるフィールドバスとネットワークによって置き換えられる。この据付は、いくつかのノードが、リングトポロジーにおけるPLCに接続できるので、ケーブルの費用及び配線の複雑化を低減することができる。複数のノードとPLCの間のデジタル通信を備える中央化制御アーキテクチャのこの変動への欠点は、フィールドバスまたはネットワークの帯域によって制限されていることである。
【0029】
全てのノードが、8〜16ビットのワード形式でフィードバック値を継続して送信することを必要とし、かつ、PLCが、8〜16ビットのワード形式で、制御弁への操作を継続して送信する必要があることを考慮すると、情報が送信される速度は、フィールドバスまたはネットワークの一定の帯域によって制限されることを意味する。その結果、油圧軸の性能は、中央コントローラから受信された操作の待ち時間に悩まされる。
【0030】
これらの問題の解決は、「分散型制御アーキテクチャ」を用いて、各油圧軸のための状態フィードバック制御アルゴリズムが、特定の軸を制御する油圧弁において局所的に実行されることである。「分散型制御アーキテクチャ」の利点は、センサが関連する油圧制御弁に直接接続され、そして、フィールドバスまたはネットワーク上の価値ある帯域をもはや必要としないことである。
【0031】
さらに、油圧制御弁は、中央PLCから信号を受け取る必要があるよりも局所的に自身の指令軌跡を発生させることができ、中央PLCがネットワークまたはフィールドバス上のデータ伝送をさらに減少させる。状態フィードバック制御アルゴリズムが、制御装置10のマイクロプロセッサ32に内蔵されるので、この制御指令がより高い速度で実行され、その結果、上記油圧軸の動的性能をかなり改善する。最後に、中央PLCの責務は、十分に単純化され、複雑化を少なく、かつ、低コストのユニットを使用することを可能にする。
【0032】
新しい中央コンピュータは、各油圧軸の動きを調整する監視PLCとなり、各油圧軸を継続して監視かつ操作をする必要がなくなる。代わりに監視PLCは、分散型コントローラに「スタートプロファイル(Start Profile)」ビットを送信する。分散型コントローラは、この「スタートプロファイル」ビットを受信し、つぎに、このプロファイルを実行して「プロファイルコンプリート(Profile Complete)」ビットを用いて応答する。新しい監視PLCは、各分散型コントローラの状態及び欠陥状況を監視する。そして、分散型コントローラが欠陥フラグを掲げた場合、適切な動作を行う。分散型制御アーキテクチャにおけるネットワークまたはフィールドバスの通信トラフィックは、デジタルセンサ及びデジタル操作の各ワード信号の継続する送信から状態及び欠陥ビットの周期的な送信に転送量を下げさせる。
【0033】
図2を参照すると、制御回路基板におけるモジュールの配置及び種々の入力及び出力を示す概略図が図示されている。コントローラ11は、グローバルバスシステム34に通じる第1インターフェース113を有し、制御装置10が、グローバルバスシステム34を介して、監視PLC60等のより高い順位のコントローラに接続されている。コントローラ11は、ローカルバス33を通じる第2インターフェースを有する。さらに、各々の場合において、付加的なシリンダまたは他のアクチュエータを制御するための複数の装置及びセンサがこのローカルス33に接続されている。このローカルバス33は、図2において図示されるように、ネットワークまたはフィールドバスインターフェース113に通じる。これらのス33、34は、図1,2に示すように回路基板26に接続される。ネットワークバスインターフェース113等の回路基板部品を置き換えることにより、制御装置10は、異なるバスまたはネットワークシステムに単純な方法で接続される。
【0034】
コントローラ11は、監視PLC60にグローバルバスシステム34を介して接続される。このグローバルバスシステム34において、監視PLC60は、「マスター」として指定され、弁コントローラ11は、「スレーブ」として指定される。ローカルバス33として示される第2バスシステムは、油圧軸が2つまたはそれ以上の油圧アクチュエータ12B及び油圧制御弁50によって制御されるときに用いるために設けられる。
【0035】
この例では、プレス動作におけるもので、2つの油圧シリンダが互いに並列して同一の経路に従う。この場合、コントローラ11は、マスターとして指定され、第2油圧制御弁50は、ローカルバス33上でスレーブノードとして指定される。コントローラ11は、制装置10を制御する責務があり、また、コントローラ11は、第2油圧制御弁50を制御する責務がある。
【0036】
このローカルバスシステムは、ローカルバス33を介する、例えばCANバスである。ローカルバス33及びグローバルバス34が複数の装置間のデータ交換を可能にするので、CANバスは、互いに適切な通信能力を有する複数の装置及びさらに可能な装置に接続する。グローバルバスシステム34とローカルバスシステム33との間のデータ交換は、拡張オブジェクト辞書データベース124によって可能になる。このデータ交換を介して、例えば、2つのアクチュエータシリンダのピストンロッドの同期制御が、実行される。グローバルバスシステム34は、複数の装置を監視コンピュータ60等のより高順位のコントローラに接続する。これは、個々の装置と監視コンピュータ60との間の通信のために用いられる。
【0037】
図2において、監視コンピュータ60は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)として図示されるが、また、1つのPCによって実行されることも可能である。グローバルバスシステム34を介して、監視コンピュータ60に、アクチュエータ12から、または拡張オブジェクト辞書データベース124に含まれるセンサデータから、または監視または制御目的のための制御弁の状態情報、または欠陥ビット、または診断データから、異なる実測値が供給される。
【0038】
油液等の加圧された油圧流体が、油圧ラインAおよび/またはBのいずれかを介してアクチュエータ12に入る。この油圧ラインの流速及び圧力は、種々のセンサ入力、及び製造業者、ユーザ、またはある第3者のプロバイダのいずれかによって供給されるアルゴリズムを用いる所望の動作指令に基づく、制御弁16内のスプール弁(図示略)の動きに応答している。マイクロプロセッサ32は、グローバルまたはローカルのデジタル通信システムあるいはその両方に接続することができる。
【0039】
グローバルまたはローカルのデジタル通信システムは、CAN等のフィールドバスまたはイーサネット等のネットワークとなり得る。コネクタ46,48が、ローカル及びグローバルのデジタル通信システムのそれぞれに電気接続されることが示されている。また、電気的なコネクタ48,46が図示され、コネクタ48は、マイクロプロセッサ32をフラッシュプログラムするのに用いることができ、また、コネクタ46は、変位センサ、圧力センサ、温度センサ、または振動センサ等の種々の外部センサに接続することができる。外部センサのデータをコントローラ11に転送する別のアプローチは、マルチプレックス等のシステムを用いてシリアル通信回線を用いてエンコードし、かつ、マイクロプロセッサ32、または図2に示したA/D変換器123またはSSIインターフェース126等の個別の通信装置を用いて、シリアル送信されたセンサ値をデコードする。
【0040】
図2を再び参照すると、典型的な制御装置10のコントローラ11の図解ダイアグラムが示されている。オンボード型の応用コントローラ(アプリケーションコントローラ)103は、図2に破線で囲った部分を含み、また、状態フィードバック利用の制御アルゴリズムを取り扱うプロセッサ部分102と、シーケンシングロジック及びCNC指令プロファイルの両方を取り扱うシーケンスロジック及びNCコントローラ104の両方を含む。
【0041】
典型的な制御装置10において、応用制御アルゴリズムがユーザによってプログラムされるが、代わりに製造業者によってプログラムされることもできるように、ソフトウエアプラットフォームが用意されている。また、ソフトウエアプラットフォームは、ユーザがシーケンシングロジック及びCNCプロファイルをプログラムすることを可能し、また、製造業者が代わりにプログラムすることもできる。
【0042】
典型的な油圧制御装置10は、カスケード接続の制御アーキテクチャを用い、これにより、シーケンスロジック及びNCコントローラ104が最高レベルで作動する。このコントローラの機能は、監視PLC60から「スタートプロファイル」指令を受け取り、そして、「プロファイルコンプリート」状態を監視PLC60に送信することができる。最後に、シーケンスロジック及びNCコントローラ104は、また、状態機械の現在の状態、または診断情報あるいは欠陥情報等の他の種々の状態ワード監視PLC60に送信することができる。最後に、シーケンスロジック及びNCコントローラ104は、応用状態フィードバックコントローラ102である次のより低次のコントローラにカスケード接続で指令プロファイル及びシーケンス情報を提供する。
【0043】
応用コントローラ103は、拡張オブジェクト辞書データベース124に読み取り/書き込みでアクセスすることができる。このデータベースは、AD変換器123またはSSIインターフェース126によって、データベースに書かれた検出データをフェッチする(fetching)ための保存場所である。拡張オブジェクト辞書データベース124は、また、ネットワーク/フィールドバス用インターフェース113によって送信される状態情報を保存する保存場所である。カスケード接続された次の低次のコントローラは、応用状態フィードバックコントローラ102である。このコントローラの機能は、リアルタイムで状態フィードバック制御アルゴリズムを実行するために、急速な固定サンプル速度でソフトウエア指令を実行することである。
【0044】
この応用状態フィードバックコントローラ102は、シーケンスロジック及びNCコントローラ104からの指令軌跡を受信し、そして、拡張オブジェクト辞書データベース124を介して、検出された状態フィードバックパラメータを受け取る。これらの指令及びフィードバックに基づいて、応用状態フィードバックコントローラ102は、カスケード接続された次の低次のコントローラに送られるように操作を計算する。応用状態フィードバックコントローラ102は、ユーザによってプログラムされ、または、製造業者によって予めプログラムされる。カスケード接続された次の低次のコントローラは、制御弁ピストンコントローラ114または制御弁アクチュエータ電流コントローラ116または制御弁アクチュエータPWMコントローラ112である。この選択は、拡張オブジェクト辞書データベース124における「制御モード」パラメータを介して応用コントローラ103によって選択可能なソフトウエアである。制御モードにおけるソフトウエアの選択は、図2においてスイッチ110として図示されている。
【0045】
スイッチ107の位置は、プロセッサ部分102によって選択され、その結果、流量コントローラ106がスイッチ110に接続されるか、または、圧力コントローラ108が、スイッチ110に接続されるかのいずれかに接続される。制御弁ピストン位置コントローラ114は、計算するためのソフトウエアロジックを含み、指令されたピストン位置と実際のピストン位置xiの間の誤差に基づいて電流指令を発生させる。この信号は、電流コントローラ116に送信される。電流コントローラ116は、指令された電流と検出されたアクチュエータ電流iaまたはibの間の誤差に基づいた1つのPWM指令信号を発生させる。複数のPWM信号は、パルス幅変調(PWM)の電流ドライバ112に送られる。このPWM電流ドライバ112は、電磁弁アクチュエータA118及びB120を介して浸透する電流iaまたはibを発生させ、力を生じて制御弁ピストンを動かす。この電磁弁アクチュエータ118および120は、制御弁ピストンの位置を決定し、次に、油圧アクチュエータ2に加圧された油液の流量を制御する。
【0046】
例として、シーケンスロジック及びNCコントローラ104は、ユーザがプログラムしたロジックに基づいて、流量制御状態フィードバックコントローラ106と圧力制御状態フィードバックコントローラ108のいずれかを呼び出し、射出成形機械で一般的に用いられるPQ制御アプリケーションを実行する。シーケンスロジック及びNCコントローラ104は、上記作動状態中、選択された状態フィードバックコントローラを、ユーザがプログラムした流量指令プロフィールまたは圧力指令プロフィールを与える。選択された状態フードバックコントローラの出力によって、スイッチ110に基づく位置コントローラ114、電流コントローラ116、または、電流ドライバ112への操作が成されて、制御弁スプールを最終的に位置決める。
【0047】
同様の方法で、付加的な油圧アクチュエータが応用コントローラ103によってローカルフィールドバス上のスレーブ弁50を介して制御される。所望であれば、位置コントローラ114または電流コントローラ116のいずれかまたは両方が、拡張オブジェクト辞書データベース124における「弁制御モード」の選択を通じて「ソフトウエアスイッチ」を用いる処理チェインから除去することができる。図2のアイテム110として描かれている「ソフトウエアスイッチ」の状態は、応用コントローラ103によって制御される。この機構を用いて、シーケンスロジック及びNCコントローラ104によって発生した制御信号は、位置コントローラ114または電流コントローラ116またはPWM電流ドライバ112に直接供給することができる。
【0048】
アクチュエータ12A及び12Bにより、1つの分散型油圧軸の高レベルの動きを機械上の他の分散型油圧軸と調整するために、監視PLCコンピュータ60は、グローバルバシステム34に接続され、次に、このグローバルバスシステムが、応用コントローラ103に接続される。ユーザは、監視PLC60によって指向される油圧軸の所望の動きまたは性能を指令するために、応用コントローラ103をプログラムすることができる。応用コントローラ103は、カスケード接続された下流のコントローラ112,114,116、及び同期軸制御の場合、ローカルバス33を介してスレーブの油圧制御弁50に伝送される必要な制御信号を発生させる。1つまたは複数のアクチュエータが一般的なシステムに用いられるけれども、この例では、2つのアクチュエータが示されている。
【0049】
アクチュエータ12A、12Bの動きは、応用コントローラ103を用いる閉ループ制御である。ここで、センサの選択は、閉ループ制御の入力を与えるために用いられる。図1に示す圧力センサ25及び図2に示す圧力センサ130は、制御装置10からそれぞれのアクチュエータ12へのワークポート圧力を測定するためのセンサPa及びPbを含む。圧力センサPsは、高い圧力の流体供給ラインの圧力を測定し、また、圧力センサPtは、戻りタンク(図示略)内の流体レベルを測定する。センサVpは、第2ステージの制御弁スプール(図示略)の位置を測定し、一方、センサCpは、油圧アクチュエータピストン12の位置を測定する。付加的なセンサのデータが必要とされる応用コントローラ103に、それ自体の制御ロジック及びアルゴリズムをユーザがプログラムするために最大の柔軟性を与えることが認められる。
【0050】
この目的のために、付加的外部センサ125が設けられ、外部センサのデータがコントローラ11に入る。外部センサのデータは、拡張オブジェクト辞書データベース124にアクセスして読み込むことにより、応用コントローラ103に利用可能になる。
【0051】
拡張オブジェクト辞書データベース124は、A/D変換器123、ネットワークバスインターフェース113、応用コントローラ103、及びSSIインターフェース126にそれぞれ接続される。SSIインターフェース126は、外部デジタルセンサ(図示略)から拡張オブジェクト辞書データベース124に信号を通過させる動作を行い、また、A/D変換器123は、外部アナログセンサ130からの信号をデジタル化する。拡張オブジェクト辞書データベース124は、複数の、較正設定、センサパラメータ、診断フラグ、制御アルゴリズムパラメータ、ゲイン表、信号閾値,及びデッドバンド等の情報及び他のデータを含む。
【0052】
図3を参照すると、一連のスレーブアクチュエータが接続されたコントローラ17の概略図が示されている。コントローラ11は、マイクロプロセッサ32及びインターフェースモジュール等の種々の電気部品を含んでいる。ローカルバス3は、CANバスまたはイーサネットネットワーク等のローカル通信フィールドバスまたはネットワークに接続される。グローバルバスシステム34は、CANまたはイーサネット等のグローバル通信フィールドバスまたはネットワークに接続される。
【0053】
マイクロプロセッサ32は、ASIC(application Specific Integrated Circuit)のマイクロチップまたは油圧制御弁16及びスレーブ油圧制御弁50A、50Bに送られる制御信号等の種々の信号を発生させるのに必要な信号処理及びアルゴリズムサポートを与える同様の素子とすることができる。種々の油圧制御弁は、図3に示すように、ローカルス33上のノード50A、50Bとしてコントローラ11に接続される。
【0054】
コントローラ11は、マスターとして指定され、付加的な油圧制御弁は、スレーブとして指定される。また、各油圧制御弁または装置10、50A、50Bは、油圧接続部を介してシリンダーアクチュエータ12A、12B、及び12Cに接続される。各シリンダーアクチュエータは、アクチュエータピストンの位置および/または速度を検出するためのセンサ23A、23B、及び23Cを実装している。各アクチュエータセンサは、インターフェース56A、56B、及び56Cを介してコントローラ11に接続されている。インターフェース56A、56B、及び56Cは、アナログインターフェース、またはSSI等のデジタルインターフェース、またはエンコーダによって出力される個別のインターフェースとすることができる。また、アクチュエータセンサ23A、23B、及び23Cは、ローカルバス33上の付加的なスレーブノードとして、コントローラ11に結合することができる。
【0055】
このように、コントローラ11は、これ内蔵する制御装置10によって制御される油圧アクチュエータ12A、及び1つまたはそれ以上の付加的な油圧アクチュエータ12B、12Cを制御することができる。各油圧アクチュエータのための制御ロジック及び状態フィードバックアルゴリズムは、ここに記載したように、ユーザによってコントローラ11内にプログラムされることができる。
【0056】
さらに再び図3を参照すると、典型的なコントローラ11の概略図が示されている。ここで、コントローラ17は、制御弁50A、50B等の少なくとも1つのスレーブ制御弁ユニットに制御信号を送るのに用いられる。このコントローラ17は、ローカルバス33に電気的に接続される。このローカルバスは、前に議論されたCANバスとして知られているものにすることができる。
【0057】
電気通信信号は、スレーブ制御弁50A、50Bの各々に接続されるローカルバス33を通じて送られる。これらの送られた信号はエンコードされて、適切なスレーブアクチュエータ50A、50Bのみが、スレーブ制御信号に応答する。スレーブ制御信号は、例えば、所望のシリンダ位置または制御弁位置または圧力レベルまたは力レベル等の変数を表す。これらの変数は、スレーブアクチュエータの性能に関連し、油圧シリンダ12A、12B、12Cの動きを検出するアクチュエータ23A、23B、23Cの各々に、センサに接続されるインターフェース56A、56B、56Cによって伝達される。複数のセンサからの各信号は、コントローラ17に送られて処理され、新しい制御信号がローカルバス33を介して制御装置10、50A、50Bに送られる。油圧シリンダ12A、12B、12Cの位置は、スレーブのインターフェース56A、56B、56Cを介してコントローラ17に伝達される。センサによって生じた信号の各振幅は、コード化され、また多重化され、また、アクチュエータセンサ23A、23B、23C等のセンサは、コントローラ17に直接結合される。
【0058】
コントローラ17は、グローバルバスシステム34を介してPLCとなることができる中央監視コンピュータ60と電気的に相互接続される。監視コンピュータ60は、マスターの油圧制御装置10’を調整するためにプログラムすることができ、さらに、マスターの制御装置10’によって発生した制御信号にスレーブのアクチュエータの性能が応答でき、マイクロプロセッサ32によって特定される。例えば、ユーザは、マスター及びスレーブのアクチュエータ12A−Cの動きが順番に作動するようにプログラムすることができる。このマイクロプロセッサ32は、ユーザによってフラッシュプログラムされ、そして、マスターの制御装置10及びスレーブの油圧制御弁50A、50Bの各々に送られる制御信号を発生させ、アクチュエータ12A、12B、12Cの所望の動きを生じさせる。このようにして、単一のコントローラ11は、分散型制御アーキテクチャで仕事ができ、2つまたはそれ以上の油圧制御弁を必要とする機械において分散機能を制御する。分散型の例として、マルチ制御弁の機能が含まれ、以下の応用に制限されるものではない。
【0059】
・同軸制御(マスター/スレーブ)
・2つのスプールメータイン/メータアウト制御(マスター/スレーブ)
・パラレル流量制御
・安全シャットオフの分散型の制御
【0060】
コントローラ17は、グローバルネットワーク上でスレーブとして作用し、また、フィールドバスインターフェースは、監視PLC60によってマスターにされる。監視PLC60は、コントローラ17,17'、17”等の機械上の他の分散型コントローラを監視及び調整する。
【0061】
この開示は、先行する例示を参照して特定して図示しかつ記載してきたが、この説明は、開示内容を実行するための最適なモードを単に説明するものである。当業者には理解できるように、ここに記載された開示内容の説明に対して種々の変形例が、添付の請求項に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱しないで実施することができる。添付の請求項は、本発明の範囲を定め、その方法及び装置は、請求項に記載の範囲内にあり、かつ、これによって、それらの等価物は包含される。本発明の記述は、新規でかつ自明でない要素の組合せを含み、特許請求の範囲は、本願または後願の中に新規でかつ自明でない要素の組合せを提示するものである。さらに、先行する説明は、例示的なものであり、また、単一の特徴または要素は、本願または後願の中に包含される全ての可能な組合せにとって本質的要素ではない。
図1
図2
図3