特許第6440370号(P6440370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧
特許6440370ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法
<>
  • 特許6440370-ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法 図000002
  • 特許6440370-ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法 図000003
  • 特許6440370-ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法 図000004
  • 特許6440370-ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法 図000005
  • 特許6440370-ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440370
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ロコモーションシステム及びロボット装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 7/00 20060101AFI20181210BHJP
   H02N 2/06 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B25J7/00
   H02N2/06
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-46351(P2014-46351)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2014-176959(P2014-176959A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年8月29日
(31)【優先権主張番号】13/826,646
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンス, ドナルド エフ.
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−261379(JP,A)
【文献】 特開平4−221792(JP,A)
【文献】 特開平6−38410(JP,A)
【文献】 特開平6−46539(JP,A)
【文献】 特開平9−39788(JP,A)
【文献】 特開2001−264300(JP,A)
【文献】 特開平3−82377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
H02N 2/00 − 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット装置に使用されるロコモーションシステムであって、
マイクロピラーの第1のアレイであって、前記第1のアレイは、少なくとも1つのマイクロピラーを含む、マイクロピラーの第1のアレイと、
マイクロピラーの第2のアレイであって、前記第2のアレイは、少なくとも1つのマイクロピラーを含む、マイクロピラーの第2のアレイと、
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイの前記マイクロピラーの各々に関連付けられた制御回路と、
前記制御回路の各々に動作可能に連結されたコントローラであって、前記コントローラは、前記ロボット装置を所定の方向に動かす順番で、前記マイクロピラーを選択的にアクティブ化するように構成されており、前記マイクロピラーは、前記コントローラによりアクティブ化されたときに、曲がる、コントローラと、を備え
各制御回路は、マトリックスに構成された複数の導電線に連結されており、電圧及び接地が、選択的に、前記複数の導電線に印加され、前記マイクロピラーをアクティブ化する、ロコモーションシステム。
【請求項2】
前記制御回路は電圧制御回路を備え、前記電圧制御回路に電圧が印加されることにより前記マイクロピラーがアクティブ化される、請求項1に記載のロコモーションシステム。
【請求項3】
前記マイクロピラーは、非アクティブ化されるとまっすぐになる、請求項1または2に記載のロコモーションシステム。
【請求項4】
前記マイクロピラーは、圧電材料及び形状記憶合金の少なくとも一方から作製される、請求項1から3のいずれか一項に記載のロコモーションシステム。
【請求項5】
前記第1のアレイの少なくとも一つのマイクロピラー、及び前記第2のアレイの少なくとも一つのマイクロピラーは、同時にアクティブ化され、前記ロボット装置を前記所定の方向へと動かす、請求項1から4のいずれか一項に記載のロコモーションシステム。
【請求項6】
前記マトリックスは、アクティブマトリックスアレイである、請求項1から5のいずれか一項に記載のロコモーションシステム。
【請求項7】
ロボット装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに連結されたロコモーションシステムであって、前記ロコモーションシステムは、
複数のマイクロピラーのアレイであって、各アレイが少なくとも一つのマイクロピラーを含む、複数のマイクロピラーのマイクロピラーアレイと、
前記複数のマイクロピラーのアレイの前記マイクロピラーの各々に関連付けられ
た制御回路と、
前記制御回路に動作可能に連結されたコントローラであって、前記コントローラは、前記マイクロピラーの各々を、前記プラットフォームを所定の方向に動かす順番で、選択的にアクティブ化するように構成されており、前記マイクロピラーの各々は、前記コントローラによりアクティブ化されたときに、曲がる、コントローラと、を含むロコモーションシステムと、を備え
前記制御回路の各々は、マトリックスに構成された複数の導電線に連結されており、電圧及び接地が、選択的に、前記複数の導電線に印加され、前記マイクロピラーをアクティブ化する、ロボット装置。
【請求項8】
前記マイクロピラーは、前記プラットフォームの長さに沿って順番に、連続してアクティブ化される、請求項7に記載のロボット装置。
【請求項9】
前記制御回路に電圧を印加し、少なくとも一つの所定のマイクロピラーをアクティブ化するように構成された電源をさらに備える、請求項7または8に記載のロボット装置。
【請求項10】
前記電源は、前記プラットフォームから遠隔しており、有線リンク及び無線リンクの少なくとも一方によりロボット装置に電力を供給する、請求項9に記載のロボット装置。
【請求項11】
電力は無線通信によりロボット装置に供給される、請求項10に記載のロボット装置。
【請求項12】
前記マイクロピラーは、非アクティブ化されるとまっすぐになる、請求項7から11のいずれか一項に記載のロボット装置。
【請求項13】
前記プラットフォームに連結され、前記ロボット装置の周囲の条件に関するデータを収集するように構成された機器をさらに備える、請求項7から12のいずれか一項に記載のロボット装置。
【請求項14】
プラットフォームと、プラットフォームに連結されたロコモーションシステムとを含むロボット装置の制御方法であって、ロコモーションシステムは、マイクロピラーの第1のアレイ及びマイクロピラーの第2のアレイと、前記アレイの各マイクロピラーに関連付けられた制御回路と、制御回路に動作可能に連結されたコントローラと、を含んでおり、前記方法は、
前記アレイのマイクロピラーのうちの少なくとも一つを選択することと、
前記ロボット装置を所定の方向に動かすために、前記少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化すること、を含み、前記少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することは、前記少なくとも一つのマイクロピラーを曲げることを含み、前記少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することは、各制御回路に連結され、かつマトリックスに構成された複数の導電線に、電圧及び接地を、選択的に印加することを含む、方法。
【請求項15】
前記少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することは、少なくとも一つのマイクロピラーが、曲がるように、制御回路に電圧を印加することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電圧を印加することは、プラットフォームから遠隔しており、かつプラットフォームと有線及び無線の少なくとも一方によりリンクした電源から電圧を供給することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロピラーのうちの少なくとも一つを選択することは、各アレイから同時に一つのマイクロピラーを選択することを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概してロボット工学の分野に関し、具体的にはロボット装置の推進に使用される移動システムに関する。
【0002】
ロボット工学は、一般に、電子機械マシン又はロボットの、設計、構築、及び操作に関する。少なくともいくつかの既知のロボットは、ロボットの機械的要素を制御するように構成された電気回路を含み、ロボットは、人間が実行することのできない、又は実行したくないと考える望ましくない及び/又は危険な機能を実行するように設計される。ミクロ及びナノサイズの電子機械システムにおける最近の進歩により、更に小さなロボットを作製することができるようになった。少なくともいくつかの既知の小型ロボットは、人間の近づけない環境(例えば狭い通路)において、及び/又は重機の使用が望ましくない、又は不可能な状況において動作できる大きさを有している。
【0003】
既知の小型ロボットは、通常可動式で、種々の手段によって推進させることができる。例えば、少なくともいくつかの既知の小型ロボットは、履帯システムによって、又は自動脚(automated leg)システムによって推進される。これらのシステムは小型ロボットを動かすのに概ね適しているが、このような推進手段は、動かされるロボットに比べて不釣り合いに大きく、不釣り合いに大きな電力を消費し、及び/又は摩耗及び故障し易い。例えば、少なくともいくつかの既知の推進システムは、モータ、レバー、及びベルトといった複数の可動部を含んでいる。このような推進システムの使用に合わせて作製されるこれらの既知の可動部がさらに小型化していることにより、使用される部品の故障頻度が上昇している。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、ロボット装置に使用されるロコモーションシステムが提供される。ロコモーションシステムは、少なくとも第1のマイクロピラーを含む第1のマイクロピラーアレイと、少なくとも第2のマイクロピラーを含む第2のマイクロピラーアレイと、第1及び第2のマイクロピラーアレイの各マイクロピラーに関連付けられた制御回路と、各制御回路に動作可能に連結されたコントローラとを含んでいる。コントローラは、ロボット装置を所定の方向に動かす順番で、第1及び第2のマイクロピラーを選択的にアクティブ化するように構成されている。
【0005】
別の態様では、ロボット装置が提供される。ロボット装置は、プラットフォームと、プラットフォームに連結されたロコモーションシステムとを含む。ロコモーションシステムは、各々が少なくとも一つのマイクロピラーを含む複数のマイクロピラーアレイと、複数のマイクロピラーアレイの各マイクロピラーに関連付けられた制御回路と、制御回路に動作可能に連結されたコントローラとを含んでいる。コントローラは、前記プラットフォームを所定の方向に動かす順番で、マイクロピラーを選択的にアクティブ化するように構成されている。
【0006】
また別の態様では、ロボット装置の制御方法が提供される。ロボット装置は、プラットフォームと、プラットフォームに連結されたロコモーションシステムとを含む。ロコモーションシステムは、各々が少なくとも一つのマイクロピラーを含む複数のマイクロピラーアレイと、複数のマイクロピラーアレイの各マイクロピラーに関連付けられた制御回路と、制御回路に動作可能に連結されたコントローラとを含んでいる。方法は、複数のマイクロピラーアレイに含まれるマイクロピラーのうちの少なくとも一つを選択することと、この少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することによりロボット装置を所定の方向に動かすこととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的なロボット装置の概略斜視図である。
図2図1に示すロボット装置に使用されうる例示的制御システムの概略図である。
図3図2に示す制御システムに使用されうる例示的選択マトリックスの概略図である。
図4図1に示すロボット装置に使用されうる例示的マイクロピラーの第1動作位置を示す拡大側面図である。
図5図4に示すマイクロピラーの第2動作位置を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実装態様は、ロボット装置を推進するために使用されるロコモーションシステムと、ロボット装置の制御方法とに関する。本明細書で使用される「ロボット装置」という用語は、任意の適切な大きさのロボット装置を指す。このような装置には、限定されないが、約10cm未満の特徴的寸法を有するロボット装置(ミニロボット)、約1cm未満の特徴的寸法を有するロボット装置(ミニロボット)、約1mm未満の特徴的寸法を有するロボット装置(ミクロロボット)、及び約1マイクロメートル未満の特徴的寸法を有するロボット装置(ナノロボット)が含まれる。
【0009】
例示的実装態様において、本明細書に記載のロコモーションシステムは、ロボット装置に連結された複数のマイクロピラーを含み、マイクロピラーはアクティブ化されると所定の方向にロボット装置を推進するために使用される。例示的実装態様では、マイクロピラーは、刺激を受けるとアクティブ化され、刺激が除去されると非アクティブ化される。いくつかの実装態様では、マイクロピラーは圧電材料及び/又は形状記憶合金(SMA)から作製される。したがって、圧電材料から作製されるマイクロピラーは、電圧が印加されるとアクティブ化され、電圧が除去されると非アクティブ化され、SMA材料から作製されるマイクロピラーは、SMA材料が冷えるとアクティブ化され、SMAが温まると非アクティブ化される。アクティブ化によりマイクロピラーは所定の方向に屈曲し、非アクティブ化によりマイクロピラーは元の方向に沿って直線状になる。直線状のとき、マイクロピラーは、ロボット装置の推進にさらに使用されるために休止状態にある。このように、本発明は、ロボット装置の推進に必要な可動部の数を既知のロコモーションシステムより減らすことを助ける。
【0010】
図1は、例示的なロボット装置100の概略斜視図である。例示的実装態様において、ロボット装置100は、本体102と、本体102に連結されたロコモーションシステム104とを含む。ロコモーションシステム104は、本体102に直接的に又は間接的に連結されている、マイクロピラー106の第1のアレイ及び/又は行110と、マイクロピラー106の第2のアレイ及び/又は行120とを含む。図では二行のマイクロピラーが含まれているが、ロボット装置100を本明細書に記載のように機能させることができる本体102には、任意の行数のマイクロピラーが連結されてよい。さらに、マイクロピラー106は、ロボット装置100を本明細書に記載のように機能させることができる任意の適切な構成に配置することができる。代替え的な実装態様では、本体102はほぼ円筒形状を有し、マイクロピラー106は本体102の周囲に間隔を空けて配置される。
【0011】
マイクロピラー106は、ロコモーションシステム104を本明細書に記載のように機能させることができる任意の適切な材料から作製することができる。具体的には、マイクロピラー106は、マイクロピラー106が電気又は熱といった刺激を受けると屈曲することを可能にする任意の適切な材料から作製することができる。例えば、マイクロピラー106は、圧電材料又は形状記憶合金(SMA)材料から作製される。適切な圧電材料の例には、限定されないが、自然発生液晶質、合成結晶質、及び合成セラミック材料が含まれる。適切なSMA材料の例には、限定されないが、銀−カドミウム合金、銅−亜鉛合金、ニッケル−チタン合金、銅−すず合金、及び銅−アルミニウム−ニッケル合金が含まれる。この例示的実装態様では、マイクロピラー106は圧電材料から作製される。さらに、マイクロピラー106は、ロコモーションシステム104を本明細書に記載のように機能させることができる任意の適切な寸法を有することができる。具体的には、マイクロピラー106は、マイクロメートル、及びサブマイクロメートルの範囲に作製することができる。さらに、マイクロピラー106の寸法は、ロボット装置100の大きさ及び重量と、マイクロピラー106の作製に使用される材料が支持することのできる荷重とによって決まる。
【0012】
動作時には、マイクロピラー106は、所定の方向にロボット装置100を推進することができる任意の適切な順番でアクティブ化及び非アクティブ化される。具体的には、第1の行110のマイクロピラー106と第2の行120のマイクロピラーとは、ロボット装置100の長さに沿って長手方向に延びる連続的な列の中で、アクティブ化及び非アクティブ化される。一実装態様では、ロボット装置100は、第1の行110の少なくとも一つのマイクロピラー106と第2の行120の少なくとも一つのマイクロピラー106とを同時にアクティブ化することにより推進される。別の実装態様では、ロボット装置100は、一度に第1の行110又は第2の行120のマイクロピラー106のみをアクティブ化することにより推進される。また別の実装態様では、ロボット装置100は、第1の行110のすべてのマイクロピラー106をアクティブ化及び非アクティブ化した後で、第2の行120のすべてのマイクロピラー106をアクティブ化及び非アクティブ化することにより推進される。このようにして、ロボット装置100がその所望の目的地に到達するまで、マイクロピラー106の一連のアクティブ化及び非アクティブ化を連続して繰り返す。
【0013】
この例示的実装態様では、ロボット装置100は、本体102に連結された機器108、及びロボット装置100から延びるケーブル130も含む。いくつかの実装態様では、機器108は、動作中、ロボット装置100の周囲の条件に関するデータを収集し、ケーブル130はこのデータを任意の適切な受信装置(図示しない)、又はロボット装置100のオペレータに転送する。適切な機器108の例には、限定されないが、温度及び圧力などの条件を測定するセンサ、及び/又はカメラが含まれる。一実装態様では、ケーブル130は、その中を通る光を反射してオペレータに返すことにより、周囲環境を表す可視表現を提供することのできる光ファイバから作製される。代替え的な実装態様では、機器108は無線リンクによりオペレータにフィードバックを提供する。
【0014】
図2はロボット装置100(図1に示す)に使用されうる例示的制御システム200の概略図であり、図3は制御システム200に使用されうる例示的選択マトリックス210の概略図である。例示的実装態様では、ロコモーションシステム104は、マイクロピラー106(図1に示す)を選択的にアクティブ化及び非アクティブ化するために制御システム200を使用する。具体的には、マイクロピラー106は圧電材料から作製され、制御システム200は選択マトリックス210と、選択マトリックス210に連結されたコントローラ202とを含む。このようにして、コントローラ202は、ロボット装置100を所定の方向へ推進する順番でマイクロピラー106を選択的にアクティブ化する。
【0015】
いくつかの実装態様では、コントローラ202は、メモリデバイス204と、メモリデバイス204に連結されて、ロボット装置100によって使用される動作命令の実行に使用されるプロセッサ206とを含んでいる。具体的には、この例示的実装態様では、メモリデバイス204、及び/又はプロセッサ206は、本明細書に記載される一又は複数の動作(例えば、ロボット装置100の推進の制御)を実行するようにプログラムされている。例えば、プロセッサ206は、工程を一又は複数の実行可能な命令としてコード化し、メモリデバイス204内に実行可能な命令を提供することによってプログラム可能である。代替え的な一実装態様では、ロボット装置100の推進は、遠隔装置(図示しない)によって制御される。
【0016】
プロセッサ206は一又は複数の処理ユニット(例えば、マルチコア構成で)を含むことができる。本明細書で使用する「プロセッサ」という用語は、従来技術においてコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されず、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及びその他のプログラマブル回路を広義に意味する。
【0017】
この例示的な実施形態では、メモリデバイス204は、実行可能な命令及び/又は他のデータなどの情報が選択的に格納され及び取り出されることを可能にする一又は複数のデバイス(図示しない)を含んでいる。この例示的な実装態様では、このようなデータには、限定されないが、位置データ、方向データ、GPSデータ、地図データ、青写真データ、床配置図データ、動作データ、及び/又は制御アルゴリズムが含まれる。別の構成では、制御システム200は、本明細書に記載のように方法及びシステムを機能させることができる任意のアルゴリズム及び/又は方法を使用するように構成することができる。メモリデバイス204は、限定しないが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、固体状態ディスク、及び/又はハードディスクといった、一又は複数のコンピュータで読込可能な媒体も含みうる。
【0018】
この例示的実装態様では、選択マトリックス210は、各マイクロピラー106に関連付けられた制御回路212を含み、コントローラ202は、ロボット装置100を所定の方向に推進することを可能にするために制御回路212に連結される。具体的には、選択マトリックス210は、マイクロピラー106の第1のアレイ及び/又は行110に関連付けられた制御回路212の第1のアレイ及び/又は行216と、マイクロピラー106の第2のアレイ及び/又は行120に関連付けられた制御回路212の第2のアレイ及び/又は行218とを含む。この例示的実装態様では、制御回路212は、後述するように電圧制御回路である。選択マトリックス210は、対応の制御回路212において交差する複数の長手方向導電線220と複数の横方向導電線230とをさらに含む。したがって、選択マトリックス210に使用される導電線220及び230の数は、マイクロピラー106を動作させるために使用される制御回路212の数に対応する。
【0019】
動作時には、選択マトリックス210は、長手方向導電線220に選択的に電圧を印加し、横方向導電線230を選択的に接地する。このように、導電線220に選択的に電圧を印加し、導電線230を選択的に接地することにより、対応の制御回路212に連結されたマイクロピラー106がアクティブ化される。例えば、第1の制御回路214は、第1の長手方向導電線222に電圧が印加されるとき、及び第1の横方向導電線232が接地されるとき、アクティブ化される。このように、選択マトリックス210は、制御回路212に適切な電圧を供給することにより、ロボット装置100を推進する適切な順番で関連のマイクロピラー106をアクティブ化する。一実装態様では、選択マトリックス210はアクティブなマトリックスアレイである。
【0020】
この例示的実装態様では、電源208によってロボット装置100に電力が供給されている。具体的には、電源208は、少なくとも一つの機器108(図1に示す)、又は制御回路212に電力を供給するために使用されている。電源208は、ロボット装置100を本明細書に記載のように機能させることができる任意の適切な電源とすることができる。いくつかの実装態様では、電源208は、ロボット装置100に連結されるか、又はロボット装置100から遠隔している。ロボット装置100に連結された電源208は、限定しないが、ソーラーパネル、及びリチウム−イオン電池などの任意の適切な電源とすることができる。ロボット装置100から遠隔している電源208は、任意の適切な電源とすることができ、有線又は無線リンクによりロボット装置100に電力を供給することができる。
【0021】
一実装態様では、ケーブル130(図1に示す)が電源108からロボット装置100に電力を転送する。具体的には、一実装態様において、ケーブル130は一又は複数の光ファイバを含み、光はケーブル130によりロボット装置100に連結されたソーラーパネル(図示しない)に導かれる。次いで、ソーラーパネルは、制御回路212をアクティブ化するために使用される電力に光エネルギーを変換する。代替え的な実装態様では、無線通信によりロボット装置100に電力を供給する。さらに、この例示的実装態様では、マイクロピラー106をアクティブ化するために必要な電圧は、約0.5ミリボルト/ニュートン(mV/N)〜約2.0mV/Nの範囲内に規定され、マイクロピラー106をアクティブ化するために必要な電流は、約10ミリアンペア(mA)〜約30mAの範囲内で規定される。
【0022】
図4は、例示的マイクロピラー106の第1の動作位置を示す拡大側面図であり、図5は、マイクロピラー106の第2の動作位置を示す拡大側面図である。この例示的実装態様では、マイクロピラー106は、基板240に連結されて基板240から延びており、制御回路212は、マイクロピラー106に隣接して基板240に連結されている。いくつかの実装態様では、制御回路212は、電子ビームリソグラフィープロセス、又はフォトリソグラフィープロセスによって基板240上に配置された一又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)(図示しない)を含む。次いで、基板240は、マイクロピラー106が任意の適切な構成に配置されるように、本体102に連結される(図1に示す)。
【0023】
この例示的実装態様では、マイクロピラー106は、所定の方向へロボット装置100を推進する順番で選択的にアクティブ化される。例えば、ロボット装置100が図1に示す休止状態にあるとき、マイクロピラー106はほぼ直線状の方向を有している。ロボット装置100を推進するために、マイクロピラー106は、アクティブ化されると屈曲するように、非アクティブ化されるとほぼ直線状の方向に戻るように、それぞれ構成されている。このように、一実装態様では、本体102は、アクティブ化されて屈曲したマイクロピラー106にシフトし、ロボット装置100をその方向に動かす。
【0024】
マイクロピラー106は、任意の適切な刺激を印加及び除去することにより、それぞれアクティブ化及び非アクティブ化される。例えば、この例示的実装態様では、マイクロピラー106は圧電材料から作製され、上述のように、制御回路212に電圧を印加することによりアクティブ化される。具体的には、圧電材料が、印加された電圧に応答することにより、第2の動作位置において、マイクロピラー106は印加電圧とは反対方向に屈曲する。次いで、マイクロピラー06は、電圧が除去されるとほぼ直線的な第1の動作位置に戻る。
【0025】
本明細書に記載されるロコモーションシステムは、ロボットシステムを容易に且つ効率的に所定の方向に推進することができる。具体的には、ロコモーションシステムは、ロボット装置の脚として機能するマイクロピラーの行を含む。マイクロピラーは、ロボット装置を所定の方向に推進することを助ける順番で選択的にアクティブ化される。具体的には、マイクロピラーは、任意の適切な刺激を受けるとアクティブ化され、例示的実装態様では、アクティブ化されると屈曲してロボット装置を屈曲したマイクロピラーに向かってシフトさせる。各マイクロピラーのアクティブ化を順番に制御することにより、任意の方向に進むようにロボット装置を導くことができる。このように、可動部の数を減らすことによって、ロボット装置に使用される他の既知の移動推進形態より信頼性を向上させた本明細書に記載の単純なロコモーションシステムを用いて、ますます小型化するロボット装置を推進することができる。
【0026】
ここに記載した説明では、ベストモードを含む種々の実装態様を開示し、且つ当業者が任意のデバイス及びシステムの作成及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、種々実装態様を実施することを可能にするために実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義されるもので、当業者であれば想起する他の実施例も含みうる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字言語から逸脱しない構造要素を有する場合、あるいは、それらが特許請求の範囲の文字言語との有意でない相違を有する等価な構造要素を含んでいる場合は、特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0027】
条項1 ロボット装置に使用されるロコモーションシステムであって、少なくとも第1のマイクロピラーを含む第1のマイクロピラーアレイと、少なくとも第2のマイクロピラーを含む第2のマイクロピラーアレイと、前記第1及び第2のマイクロピラーアレイの前記マイクロピラーの各々に関連付けられた制御回路と、前記制御回路の各々に動作可能に連結されたコントローラであって、前記第1及び第2のマイクロピラーを、ロボット装置を所定の方向に動かす順番で選択的にアクティブ化するように構成されたコントローラとを備えるロコモーションシステム。
【0028】
条項2 前記制御回路が電圧制御回路であり、電圧が前記電圧制御回路に印加されることにより前記マイクロピラーがアクティブ化される、条項1に記載のロコモーションシステム。
【0029】
条項3 前記第1及び第2のマイクロピラーは、アクティブ化されると、印加された電圧とは反対の方向に屈曲し、非アクティブ化されるとまっすぐになる、条項2に記載のロコモーションシステム。
【0030】
条項4 前記第1及び第2のマイクロピラーは、圧電材料及び形状記憶合金の少なくとも一方から作製されている、条項1に記載のロコモーションシステム。
【0031】
条項5 前記第1のマイクロピラーアレイの少なくとも一つのマイクロピラーと、前記第2のマイクロピラーアレイの少なくとも一つのマイクロピラーとは、同時にアクティブ化されるとロボット装置を所定の方向に動かす、条項1に記載のロコモーションシステム。
【0032】
条項6 各制御回路は、マトリックスに構成された複数の導電線に連結されており、これら複数の導電線に選択的に電圧を印加する、及びこれら複数の導電線を選択的に接地することにより、前記第1及び第2のマイクロピラーがアクティブ化される、条項1に記載のロコモーションシステム。
【0033】
条項7 マトリックスはアクティブなマトリックスアレイである、条項6に記載のロコモーションシステム。
【0034】
条項8 プラットフォーム、及び、前記プラットフォームに連結されたロコモーションシステムであって、各々が少なくとも一つのマイクロピラーを含む複数のマイクロピラーアレイと、前記複数のマイクロピラーアレイの前記マイクロピラーの各々に関連付けられた制御回路と、前記制御回路に動作可能に連結されて、前記マイクロピラーの各々を、前記プラットフォームを所定の方向に動かす順番で、選択的にアクティブ化するように構成されたコントローラとを含むロコモーションシステムを備えるロボット装置。
【0035】
条項9 前記マイクロピラーは、前記プラットフォームの長さに沿って順番に、連続してアクティブ化される、条項8に記載のロボット装置。
【0036】
条項10 前記制御回路に電圧を印加することにより、少なくとも一つの所定のマイクロピラーをアクティブ化するように構成された電源をさらに備える、条項8に記載のロボット装置。
【0037】
条項11 前記電源は、前記プラットフォームから遠隔しており、有線リンク及び無線リンクの少なくとも一方によりロボット装置に電力を供給する、条項10に記載のロボット装置。
【0038】
条項12 電力は無線通信によりロボット装置に供給される、条項11に記載のロボット装置。
【0039】
条項13 前記マイクロピラーは、アクティブ化されると、印加された電圧とは反対の方向に屈曲し、非アクティブ化されるとまっすぐになる、条項10に記載のロボット装置。
【0040】
条項14 前記プラットフォームに連結されてロボット装置の周囲の条件に関するデータを収集するように構成された機器をさらに備える、条項8に記載のロボット装置。
【0041】
条項15 前記制御回路の各々は、マトリックスに構成された複数の導電線に連結されており、これら複数の導電線に選択的に電圧を印加する、及びこれら複数の導電線を選択的に接地することにより、前記マイクロピラーがアクティブ化される、条項8に記載のロボット装置。
【0042】
条項16 プラットフォームと、プラットフォームに連結されたロコモーションシステムとを含むロボット装置の制御方法であって、ロコモーションシステムは、各々が少なくとも一つのマイクロピラーを含む複数のマイクロピラーアレイと、複数のマイクロピラーアレイの各マイクロピラーに関連付けられた制御回路と、制御回路に動作可能に連結されたコントローラとを含んでおり、前記方法は、複数のマイクロピラーアレイのマイクロピラーのうちの少なくとも一つを選択すること、及びこの少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することにより、ロボット装置を所定の方向に動かすことを含む方法。
【0043】
条項17 少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することは、少なくとも一つのマイクロピラーが、印加された電圧とは反対方向に屈曲するように、制御回路に電圧を印加することを含む、条項16に記載の方法。
【0044】
条項18 電圧を印加することは、プラットフォームから遠隔している電源、並びにプラットフォームとの有線リンク及び無線リンクの少なくとも一方から電圧を印加することを含む、条項17に記載の方法。
【0045】
条項19 少なくとも一つのマイクロピラーをアクティブ化することは、各制御回路に関連付けられた複数の導電線に選択的に電圧を印加すること、及び各制御回路に関連付けられた複数の導電線を選択的に接地することを含む、条項16に記載の方法。
【0046】
条項20 マイクロピラーのうちの少なくとも一つを選択することは、複数のマイウロピラーアレイの各アレイから一つのマイクロピラーを同時に選択することを含む、条項16に記載の方法。
【符号の説明】
【0047】
100 ロボット装置
102 本体
104 ロコモーションシステム
106 マイクロピラー
108 機器
110 第1の行
120 第2の行
130 ケーブル
200 制御システム
202 コントローラ
204 メモリデバイス
206 プロセッサ
208 電源
210 選択マトリックス
212 制御回路
214 第1の制御回路
216 制御回路の第1の行
218 制御回路の第2の行
220 長手方向導電線
222 第1の長手方向導電線
230 横方向導電線
232 第1の横方向導電線
240 基板
図1
図2
図3
図4
図5